特許第5797892号(P5797892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797892
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】接続コネクター
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/61 20110101AFI20151001BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20151001BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20151001BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   H01R12/61
   F21S2/00 230
   F21V23/06
   F21Y101:02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-254349(P2010-254349)
(22)【出願日】2010年11月14日
(65)【公開番号】特開2012-104455(P2012-104455A)
(43)【公開日】2012年5月31日
【審査請求日】2013年8月20日
【審判番号】不服2014-22095(P2014-22095/J1)
【審判請求日】2014年10月30日
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510203809
【氏名又は名称】株式会社エクスプロア
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【合議体】
【審判長】 森川 元嗣
【審判官】 内田 博之
【審判官】 小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−110246号公報
【文献】 登録実用新案第3162845号公報
【文献】 特開2005−150072号公報
【文献】 特開2001−118621号公報
【文献】 特開2008−48532号公報
【文献】 特開2005−310570号公報
【文献】 特開2008−108728号公報
【文献】 特開2001−176589号公報
【文献】 特開2007−273417号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/61, F21S 2/00, F21V 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装型発光ダイオーが実装されこれに導通される回路パターンが蒸着されるフレキシブル長尺基板及び前記フレキシブル長尺基板の前記表面実装型発光ダイオードの実装面を保護するコーティング層を備えた長尺フレキシブル照明装置が載置可能な窪みを備えるコネクター本体部及び該コネクター本体部に上から押し付けられる押さえ突起を備えた押し付けキャップ部を有する表面実装型発光ダイオード用接続コネクターであって、
該基板はドラムに巻きつけた状態で展示可能で特定位置にて切断可能に構成され、
前記表面実装型発光ダイオードの実装面は透明樹脂にてコーティングされ、
前記表面実装型発光ダイオード接続コネクターは前記コネクター本体部の側面に設けられた第1の嵌合溝と前記押し付けキャップ部に設けられ前記第1の嵌合溝に嵌合可能な第1の嵌合突起と前記コネクター本体部の窪みに設けられた第2の嵌合溝と前記押し付けキャップ部に設けられ前記第2の嵌合溝に嵌合可能な第2の嵌合突起と先端が鋭くとがった針状端子とを備え、
前記フレキシブル長尺基板上の回路パターンに前記針状端子が刺突されることで前記針状端子と前記回路パターンとの間で電気的に導通可能となり、
この状態で前記押さえ突起によって前記コーティング層が押し付け固定され前記第1の嵌合溝と前記第1の嵌合突起とが嵌合されることで前記長尺フレキシブル照明装置及び前記コネクター本体部並びに前記押し付けキャップ部が固定されるとともに前記第2の嵌合溝と前記第2の嵌合突起とが嵌合されることで前記コネクターの奥行方向にずれないように前記コネクター本体部及び前記押し付けキャップ部が固定されることが可能となることを特徴とする表面実装型発光ダイオード用接続コネクター。
【請求項2】
請求項1記載の表面実装型発光ダイオード用接続コネクターにおいて、前記表面実装型発光ダイオードは長尺照明装置として用いることが可能であり、前記長尺照明装置が前記針状端子に刺突されることで前記長尺照明装置が押し付け支持されることを特徴とする表面実装型発光ダイオード用接続コネクター。
【請求項3】
請求項1記載の表面実装型発光ダイオード用接続コネクターにおいて、前記先端が鋭くとがった針状端子の側面に溝が設けられることで、単なる円形断面より周囲長を拡大して前記回路パターンとの接触部分を多くなるように構成したことを特徴とした表面実装型発光ダイオード用接続コネクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を利用した照明装置の接続具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーの観点から、白熱電球や蛍光灯に替えて発光ダイオード(以下、「LED」と省略表記する。)を光源とした照明装置が使用されてきている。このような照明装置に用いられるLEDは、高輝度で拡散範囲が広い表面実装型LED(以下、「SMD型LED」と省略表記する。)が多い。
【0003】
このような照明装置は、製造の容易さ、応用の広さから「非特許文献1」の如く、長尺の基板上に複数のSMD型LEDを配置し、蛍光灯と同様な照明装置としたり、プリント基板をフレキシブルとし看板のバックライト、足元灯、室内装飾、イルミネーション、間接照明等に広く応用されてきている。
【0004】
「特許文献1」では照明装置の設置場所の寸法に応じて長さを調節できる技法が開示されているが、それぞれ長さや形状が異なる照明装置基板にあらかじめ接続コネクターが装着してあり、ユーザーが自由に長さを調節して、接続コネクターをユーザー自身が取り付ける技法は開示されておらず、照明装置の設置自由度には限界がある。
【0005】
また、「非特許文献2」の如く、RGB(赤、緑、青)の3原色のチップが1個のSMDに実装されたLEDを使用したものもあり、専用のコントローラを使用して調光することも可能である。
【0006】
上記に例としてあげた如く、長尺状のSMD型LEDは大変使いやすく、フレキシブル基板を透明なシリコンやPVCでコーティングして、防滴或いは防水型として更に使いやすく応用分野を広げている。
【0007】
更に、「非特許文献3」の如く一定長さごとにフレキシブル基板上に配線パターンの余裕部分を設け、この部分で切断することにより任意の長さの照明装置とすることができ、各種の照明必要箇所に対応することができる。
【0008】
この任意の長さに切断されたSMD型LED照明装置(以下、「長尺フレキシブル照明装置」と呼称する。)を点灯させるためには、電源線や制御線の配線をしなければならない。この配線をするためには、「非特許文献3」の如くフレキシブル基板の配線パターン上を覆っているコーティング材を削り取った後、プリント配線パターンに電源配線を半田付けし、その半田付け箇所を保護した上で電源配線箇所及びフレキシブル基板接続箇所を熱収縮チューブで強度保持をしてやる必要がある。
【0009】
しかし、上記コーティング材を削り取る際、削りすぎてフレキシブル基板上のプリント配線パターンを傷付けてしまうことがある。また、削り過ぎないようにするとプリント配線パターン上にコーティング材を残してしまうと、これが半田こての熱で気化して悪臭を放ったり有毒ガスを発生したりする恐れがある。
【0010】
また、半田付けは一般ユーザーにはなかなか馴染みがなく、半田こてや半田を所有していない場合も多く、熱を加えすぎてプリント配線パターンを剥がしてしまったり、半田ごてや溶解半田で火傷をしたりという事故の恐れがある。このため、長尺フレキシブル照明装置は任意の長さにすることができるという大変便利な機能を持っているにもかかわらず、その配線のために半田付けに習熟した販売員を必要とする。
【0011】
さらに、フレキシブル基板と電源配線の接続部分はコーティング材も無く、熱収縮チューブで覆っただけでは強度不足で、接続部分が剥離したり切断したりする恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−21123号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】http://www.neo-w.co.jp/LED_tape.html
【非特許文献2】http://www.xmas-deco-lights.com/shop/LEDTapeLight.html
【非特許文献3】http://store.shopping.yahoo.co.jp/lifetec/zg-led-tp3528-60-yl.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のように、同一平面状に実装されたSMD型LEDの基板をフレキシブルとした照明装置において、非常に長尺なSMD型LEDを製造することは可能であり、そのSMD型LEDを任意の長さに切断して長尺フレキシブル照明装置とすることは可能であるが、切断された長尺フレキシブル照明装置に一般ユーザーが簡単に電源線を接続できるようにすることが課題である。
【0015】
さらに、この接続には半田ごての様な特殊な工具を必要とせず、危険防止のためにも接続部に十分な強度を持たせることも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような各課題を解決するため、本発明に係る接続コネクターは、先端が突鋭した針状端子をフレキシブル基板と共にその表面のプリント回路パターンを刺突することにより回路接続端子とする。
【0017】
また、上記刺突と同時に長尺フレキシブル照明装置の端部を圧着するような嵌合部を備えたワンタッチ接続構造とした接続コネクタ構成とする。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したような構成の接続コネクターを用いれば、長尺フレキシブル照明装置表面の透明樹脂の除去という煩雑な作業や、一般ユーザーには難しい半田付け作業を行う必要がなくなる。
【0019】
また、フレキシブル基板を刺突すると共に長尺フレキシブル照明装置の端部を圧着する構造のため、長尺フレキシブル照明装置と電源線との接続部分は十分な強度を有し、接続部の剥離や破損の心配も無くなる。
【0020】
上記説明による本発明の接続コネクターを用いれば、一般ユーザーが簡単に長尺フレキシブル照明装置の電源配線ができるため、製造・販売者はDIY店(日曜大工材料店)等で長尺フレキシブル照明装置をドラムに巻き付けた状態で展示し、一般ユーザーは必要な任意の長さでそれを切り取り、ACアダプター或いは電源コントローラとの接続を本発明の接続コネクターによってワンタッチで行うことができる。これはDIY店にとっては販売方法が簡易化する一方、一般ユーザーにとっては販売員への説明や作業依頼が不要となるためで、DIY店、ユーザーのどちらにとっても大変メリットがあることである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】長尺フレキシブル照明装置の端部構造の一例を示す図である。
図2】本発明に係る長尺フレキシブル照明装置用接続コネクターの全体構成図である。
図3】本発明に係る長尺フレキシブル照明装置用接続コネクターにより長尺フレキシブル照明装置と電源や制御線とを接続した場合を示す図である。
図4】本発明に係る長尺フレキシブル照明装置用接続コネクターの接続部分のA−A´断面図である。
図5】本発明に係る長尺フレキシブル照明装置用接続コネクターの接続部分のB−B´断面図である。
図6】本発明に係る長尺フレキシブル照明装置用接続コネクターの突鋭端子の別の応用例で、Aは概略形状、Bは断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を主略する箇所については公知技術によるものとする。
【0023】
図1は本発明が適用される長尺フレキシブル照明装置1の端部構造の一例を示した概念的斜視図である。同図に示すように、フレキシブルプリント基板2には銅箔等のプリント回路パターン3がプリント蒸着されており、プリント回路パターン3にSMD型LED5や回路構成部品(図示省略)が装着されている。該フレキシブル基板上には透明樹脂のコーティング材4がコーティングされている。
【0024】
図2は、本発明の長尺フレキシブル照明装置1用接続コネクタ10の全体構成図である。コネクター本体部11には先端が突鋭した複数の端子13が鋳込まれており、この端子は長尺フレキシブル照明装置用の電源線或いは制御線11dに接続されており、ACアダプターのような電源あるいは照明制御装置に接続されている。
【0025】
また、コネクタ本体部11には長尺フレキシブル照明装置1の横幅に適合した窪み11が設けられており、端子13は長尺フレキシブル照明装置1のプリント回路パターンに相当する位置に突出して鋳込まれている。
【0026】
更に、コネクター本体部11の側面及び窪み11aの奥には嵌合用の第1の嵌合溝11bと第2の嵌合溝11cが設けられている。
【0027】
一方、押し付けキャップ部12はコネクター本体部11より幅が広く、コネクター本体部11第1の嵌合溝11b及び第2の嵌合溝11cとそれぞれ嵌合する第1の嵌合突起12a及び第2の嵌合突起12cを有している。
【0028】
さらに、押し付けキャップ部12にはコネクター本体部11の窪み11aに相当する幅の押さえ突起12bを有している。
【0029】
図3は、上記で説明した構造の長尺フレキシブル照明装置1用接続コネクタ10を用いて長尺フレキシブル照明装置1と電源線或いは制御線を接続した場合の図である。長尺フレキシブル照明装置1は、先ず上記説明のコネクター本体部11の窪み11aに置かれその上から押し付けキャップ12で押し付けられ、突鋭端子13がフレキシブル基板2とプリント回路パターン3を刺突してプリント回路パターン3と突鋭端子13は電気的に導電接続される。
【0030】
記と同時に長尺フレキシブル照明装置1は押し付けキャップ12によってコネクター本体部11にしっかり押し付けられ第1の嵌合溝11bと第1の嵌合突起12aとの嵌合によって押し付けられたままとなる。
【0031】
また、この嵌合はコネクター本体部11の第2の嵌合溝11cと押し付けキャップ部12の第2の嵌合突起12cとの嵌合によってずれることなく固定される。
【0032】
図4は、図3のA−A´断面を示しており、コネクター本体部11の窪み11aに置かれた長尺フレキシブル照明装置1を、その上から押し付けキャップ部12の押さえ突起12bで押し付けることによりフレキシブル基板2に蒸着されたプリント回路パターン3に相当する位置に設けられた突鋭端子13がフレキシブル基板2とプリント回路パターン3を刺突して導電接続される様子を示している。
【0033】
上記による押し付けはコネクタ本体部11と押し付けキャップ部12の第1の嵌合溝11b、第2の嵌合溝11cと第1の嵌合突起12a、第2の嵌合突起12cよって固定維持される。
【0034】
図5は、図3のB−B´断面を示しており、コネクター本体部11の窪み11aには長尺フレキシブル照明装置1が突鋭端子13によってそのフレキシブルプリント基板とプリント回路パターン3を刺突されている。
【0035】
この長尺フレキシブル照明装置1は明コーティング材4の上から押し付けキャップ部12の押さえ突起12bによってコネクター本体部11にし付け固定され、同じく押し付けキャップ部12の第2の嵌合突起12cがコネクター本体部11の第2の嵌合溝11cに合して押し付けキャップ部12が図5の横方向にずれないように固定されている。
【0037】
図6は、突鋭端子13の改良例13aを示すもので、端子側面に溝を付け、断面形状を単なる円形ではなく、同一半径でも周囲長を増して突鋭端子13aとプリント回路パターン3との電気的接触部分を増大させ、より多くの電流を流せるようにしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上述してきたように、本願に係る発明によれば、長尺フレキシブル照明装置の電源線接続に半田付けのような特殊な作業を必要とせず、一般ユーザーでもコネクター部に長尺フレキシブル照明装置の一端を嵌め込み上部からキャップをパチッと嵌め込めば接続が完了し、接続部の強度も十分保つことができる。
【0039】
この様な効果のため、必要とされる任意の位置で切断できるという長尺フレキシブル照明装置の特長を最大限に生かすことができ、接続の手間が省けることから販売店、ユーザーの双方に大変大きなメリットとなる。
【0040】
また、本願発明による接続コネクターは、突鋭端子によってフレキシブルプリント板を通してプリントパターンを刺突して導電接触端子とするため、長尺フレキシブル照明装置と電源との接続ばかりか他のフレキシブルプリント板を使用した電子機器への配線接続コネクターとしても容易に応用できるものであり、各種産業に対して大きな有益性をもたらすものである。
【符号の説明】
【0041】
1…長尺フレキシブル照明装置、2…フレキシブルプリント基板、3…プリント回路パターン、4…透明樹脂コーティング材、5…SMD型LED、10…本願発明による接続コネクター、11…コネクター本体部、11a…窪み、11b…第1の嵌合溝、11c…第2の嵌合溝、11d…電源線或いは制御線、12…押し付けキャップ部、12a…第1の嵌合突起、12b…押さえ突起、12c…第2の嵌合突起、13…突鋭針状端子、13a…突鋭針状端子改良例
図1
図2
図3
図4
図5
図6