(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797923
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】内燃機関用吸気マニホールド
(51)【国際特許分類】
F02M 35/104 20060101AFI20151001BHJP
F02M 35/10 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
F02M35/104 P
F02M35/10 301P
F02M35/10 301T
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-81213(P2011-81213)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-215132(P2012-215132A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭二郎
(72)【発明者】
【氏名】片平 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】森山 敏
【審査官】
赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−053829(JP,A)
【文献】
特開2002−364470(JP,A)
【文献】
特開2002−317717(JP,A)
【文献】
特開2002−220540(JP,A)
【文献】
実開昭60−015960(JP,U)
【文献】
特開2002−045891(JP,A)
【文献】
特開2006−242045(JP,A)
【文献】
実開平02−007350(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10〜35/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されスロットル装置から空気の導入されるサージタンクとを備える内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記分岐管は、互いに離間して並列に設けられ、該分岐管の間に画成される空間には、流体の流通する配管が設けられ、前記配管は前記分岐管と並列に配置され、且つ、並列方向に沿って前記分岐管と重なりあうように配置され、前記空間には前記分岐管同士を接続する架橋部が設けられ、前記配管は前記架橋部に装着されたホルダによって該架橋部に対して保持されると共に、前記配管は前記並列方向から見て前記ホルダと前記分岐管の頂部との間に設けられることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項2】
請求項1記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記分岐管は、前記サージタンク及び内燃機関本体に接続される本体部と、
前記本体部の側方に開口した開口部に装着されるカバー部材と、
を備え、
前記架橋部が、前記カバー部材に設けられることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記ホルダは、弾性を有して前記配管を挟持可能な配管保持部を備えることを特徴とする内燃機関用吸気マニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に対して空気を供給するための複数の分岐管を有した内燃機関用吸気マニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、車両に搭載される内燃機関に接続され、該内燃機関の各シリンダ室に対して空気を供給可能な吸気マニホールドを提案している(特許文献1参照)。この吸気マニホールドは、内燃機関の各シリンダに接続される複数の分岐管と、各分岐管が接続され空気の供給されるサージタンクとを備え、前記サージタンクに形成された吸気入口管から前記サージタンク内へと空気が導入された後、各分岐管へ分配されて内燃機関の各シリンダ室へと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−364470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、複数の分岐管の間の空間を利用して配管を配置すること可能な内燃機関用吸気マニホールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するために、本発明は、内燃機関の各シリンダに対して接続される複数の分岐管と、前記分岐管が接続されスロットル装置から空気の導入されるサージタンクとを備える内燃機関用吸気マニホールドにおいて、
前記分岐管は、互いに離間して並列に設けられ、該分岐管の間に画成される空間には、流体の流通する配管が設けられ
、前記配管は前記分岐管と並列に配置され、且つ、並列方向に沿って前記分岐管と重なりあうように配置され、前記空間には前記分岐管同士を接続する架橋部が設けられ、前記配管は前記架橋部に装着されたホルダによって該架橋部に対して保持されると共に、前記配管は前記並列方向から見て前記ホルダと前記分岐管の頂部との間に設けられることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、複数の分岐管を有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、互いに離間して並列に設けられた分岐管の間には、流体の流通する配管が空間に設けられている。
【0007】
従って、隣接する分岐管の間に設けられた空間に配管を設けることで、デッドスペースとなっている前記空間を有効的に活用することができ、それに伴って、内燃機関用吸気マニホールドがエンジンルーム内で占有する体積を低減することが可能となる。
【0010】
さらにまた、分岐管は、サージタンク及び内燃機関本体に接続される本体部と、前記本体部の側方に開口した開口部に装着されるカバー部材と、を備え、前記架橋部を、前記カバー部材に設けるとよい。
【0012】
また、ホルダには、弾性を有して配管を挟持可能な配管保持部を備えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、複数の分岐管を有する内燃機関用吸気マニホールドにおいて、互いに離間して並列に設けられた分岐管の間には、流体の流通する配管を前記空間に設けることにより、前記分岐管の間でデッドスペースとなっている空間を有効活用することができ、それに伴って、内燃機関用吸気マニホールドがエンジンルーム内で占有する体積を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドの外観斜視図である。
【
図2】
図1に示す内燃機関用吸気マニホールドの分岐管カバーの正面図である。
【
図3】
図2の分岐管カバーに装着されたホルダを示す単体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールドを示す。
【0018】
この内燃機関用吸気マニホールド(以下、吸気マニホールド10という)は、車両等に搭載される、例えば、4つのシリンダ室を有する4気筒の内燃機関に設けられている。
【0019】
この吸気マニホールド10は、
図1に示されるように、例えば、樹脂性材料から形成され、複数の第1〜第4分岐管12a〜12dと、該第1〜第4分岐管12a〜12dの一端部がそれぞれ接続されるサージタンク14と、前記サージタンク14の長手方向(矢印A、B方向)に沿った一端部に設けられる吸入接続部16と、前記サージタンク14を覆うように装着されるカバー部材18とを含む。
【0020】
第1〜第4分岐管12a〜12dは、サージタンク14の長手方向(矢印A、B方向)に沿って互いに等間隔離間して並列に配置され、且つ、その一端部から他端部に向かって湾曲形状で形成される。この第1〜第4分岐管12a〜12dは、サージタンク14に接続される本体部20と、該本体部20の側方に開口した開口部を閉塞する分岐管カバー22とを含む。そして、第1〜第4分岐管12a〜12dの一端部が、サージタンク14に接続されて連通し、他端部が、図示しない内燃機関のシリンダヘッドに接続されている。
【0021】
分岐管カバー22は、
図1、
図2及び
図4に示されるように、第1〜第4分岐管12a〜12dの開口部を閉塞するように複数設けられたカバー部24と、前記カバー部24同士を互いに接続する架橋部26とからなる。カバー部24は、本体部20と同様に互いに所定間隔離間して並列に設けられ、前記カバー部24を並列に保持するように架橋部26が設けられている。この架橋部26は、カバー部24の延在方向に対して直交するように形成され、所定幅寸法で形成されると共に、前記カバー部24において本体部20との接合部近傍に設けられる。
【0022】
また、第1分岐管12aに装着されるカバー部24と第2分岐管12bに装着されるカバー部24とを接続する架橋部26には、前記第1及び第2分岐管12a、12bの本体部20から離間する方向に向かって膨出した台座部28が形成され、該台座部28には、配管30を保持可能なホルダ32が装着される。
【0023】
台座部28は、吸気マニホールド10が図示しない内燃機関に装着された際、鉛直方向に延在する取付面34と、該取付面34の略中央に開口した矩形状の孔部36とを備える。この台座部28は、
図4Bに示されるように、カバー部24において最もサージタンク14から離間する方向に突出した頂部38に対して外側に突出することがない位置に設けられる。
【0024】
ホルダ32は、
図1〜
図4に示されるように、台座部28に対して当接するベース部40と、該ベース部40に対して突出して孔部36に挿入される挿入部42と、前記挿入部42とは反対方向に突出し配管30を保持する保持部(配管保持部)44とからなる。ベース部40は、断面円形状のプレート状に形成され、その一側面中央に断面矩形状の挿入部42が設けられる。この挿入部42の側面には、外方に向かって突出し内方に弾性変形可能な一対のフック46を備える。
【0025】
保持部44は、配管30の断面形状に対応した断面円弧状に形成され、その開口部48がベース部40から離間する方向に開口すると共に、前記開口部48の開口幅は、配管30の直径より狭くなるように形成されている。
【0026】
また、保持部44は、フック46と同様に、径方向に変形可能な弾性を有しており、前記開口部48を通じて配管30を内部へと挿入する際、前記開口部48を押し広げながら挿入する。
【0027】
そして、ホルダ32は、挿入部42を台座部28の孔部36に挿入することによってフック46が該台座部28の取付面34に対して係合され、ベース部40が台座部28の前記取付面34に当接した状態で保持されると共に、保持部44は、前記台座部28から離間する方向に配置される。この際、保持部44が、カバー部24において最もサージタンク14から離間する方向に突出した頂部38に対して外側に突出することがない。
【0028】
このホルダ32に保持される配管30は、例えば、カバー部材18の接続部50と内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)との間に接続され、該シリンダヘッドの内部に溜まったガスが前記配管30を通じて第1〜第4分岐管12a〜12dへと流通し、再び各シリンダ室へと供給され燃焼される。すなわち、配管30は、その一端部がカバー部材18の接続部50に接続され、他端部がシリンダヘッドに対して接続され、その途中が前記ホルダ32によって保持される。
【0029】
この際、配管30は、その途中経路がホルダ32によって第1分岐管12aと第2分岐管12bとの間となるように規制され、且つ、前記第1及び第2分岐管12a、12bの頂部38に対して外側に突出することがない位置で保持される。そのため、配管30は、第1分岐管12aと第2分岐管12bとの間の空間52において、吸気マニホールド10の周辺に設けられた他の部材との接触が回避され保護される。
【0030】
また、第1分岐管12aと第2分岐管12bとの間で、デッドスペースとなっている空間52に配管30を配置することで、吸気マニホールド10を含む内燃機関の搭載される車両のエンジンルーム内の空間を有効活用することができる。
【0031】
本発明の実施の形態に係る内燃機関用吸気マニホールド10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0032】
先ず、内燃機関における各シリンダ室の吸気作用に伴って吸入接続部16からサージタンク14へと空気が流入し、前記サージタンク14内において第1〜第4分岐管12a〜12dへとそれぞれ分配される。そして、第1〜第4分岐管12a〜12dへと供給された空気が、内燃機関のシリンダヘッドを通じて各シリンダ内へと順次供給される。
【0033】
また、内燃機関の各シリンダ室からシリンダヘッドへと移動したガスが、配管30を通じてカバー部材18の接続部50から第1〜第4分岐管12a〜12dへと供給された後、各シリンダ室へと再び導入される。
【0034】
以上のように、本実施の形態では、複数の第1及び第2分岐管12a、12bの間に設けられた空間52を利用して配管30を配置し、しかも、前記第1〜第4分岐管12a〜12dを構成する分岐管カバー22に対してホルダ32で固定することが可能となる。そのため、配管30を固定するための固定用ブラケットを別個に設ける必要がなく、内燃機関を構成する構成部品の点数を削減できると共に、限られたエンジンルーム内の空間を有効に活用することが可能となる。
【0035】
また、第1〜第4分岐管12a〜12dを構成する分岐管カバー22に架橋部26を設け、該架橋部26を利用して配管30を前記第1及び第2分岐管12a、12bの間の空間52に配置しているため、前記第1〜第4分岐管12a〜12dにおける本体部20の形状が複雑となることがなく、該本体部20と一体的に成形されるサージタンク14等を含む吸気マニホールド10の製造を容易に行うことが可能となる。
【0036】
さらに、ホルダ32を、吸気マニホールド10の架橋部26に対して着脱自在な別体で構成することにより、前記架橋部26を含む分岐管カバー22の形状を簡素化することができ、それに伴って、前記分岐管カバー22の製造が容易となる。
【0037】
さらにまた、ホルダ32には、弾性を有した保持部44を備えているため、配管30を確実且つ容易に保持することができると共に、その製造も容易であって好適である。
【0038】
また、上述した吸気マニホールド10においては、第1分岐管12aと第2分岐管12bとを接続する架橋部26にホルダ32を設けて配管30を保持可能な構成としているが、特に、これに限定されるものではなく、複数の架橋部26のうちのいずれか1つに台座部28を形成してホルダ32を設けるようにすればよく、さらには、複数の架橋部26に対してそれぞれホルダ32を装着可能とし、複数の配管30をそれぞれの前記ホルダ32で保持可能な構成としてもよい。
【0039】
なお、上述した吸気マニホールド10においては、架橋部26に形成された台座部28に対してホルダ32が着脱自在に設けられる構成について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記架橋部26に対して配管30を保持可能な保持部を一体的に形成するようにしてもよいし、前記架橋部26ではなくカバー部24に対して保持部を直接形成するようにしてもよい。これにより、別部材で設けられたホルダ32が不要となるため、部品点数の削減を図ることができると同時に、前記ホルダ32を組み付けるための組付工数が不要となり、吸気マニホールド10の組付性を向上させることができる。
【0040】
また、ホルダ32は、断面円弧状の保持部44を有する場合に限定されるものではなく、例えば、架橋部26に対して略直交するように立設し、該架橋部26から離間する方向に開口した一対の壁部を設け、該壁部の間に配管30を挿通させることにより、前記配管30を第
1分岐管12a
と第2分岐管12bとの間の空間52に維持するようにしてもよい。
【0041】
さらに、配管30が、第1〜第4分岐管12a〜12dに対して接続される構成について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、前記配管30を吸入接続部16やサージタンク14等と接続するようにしてもよい。
【0042】
なお、本発明に係る内燃機関用吸気マニホールドは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0043】
10…内燃機関用吸気マニホールド 12a…第1分岐管
12b…第2分岐管 12c…第3分岐管
12d…第4分岐管 14…サージタンク
18…カバー部材 20…本体部
22…分岐管カバー 24…カバー部
26…架橋部 28…台座部
30…配管 32…ホルダ
34…取付面 36…孔部
42…挿入部 44…保持部
50…接続部 52…空間