特許第5797945号(P5797945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5797945
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20151001BHJP
【FI】
   H01L33/00 432
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-137024(P2011-137024)
(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公開番号】特開2013-4890(P2013-4890A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
【審査官】 小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−135753(JP,A)
【文献】 特開2004−327955(JP,A)
【文献】 特開2007−300018(JP,A)
【文献】 特開2011−044418(JP,A)
【文献】 特開2004−327632(JP,A)
【文献】 特開2007−220942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に実装される複数の発光素子及びこの複数の発光素子を封止する樹脂部材からなる発光体と、
該発光体を囲うように前記基板上に設けられる反射部材とを備え、
前記反射部材は発光体から出射する光を上方に導くテーパ状の反射面、この反射面の下端に発光体の外周縁の上面を被うひさし部と、発光体の外周縁の側面を囲む側壁部とを有し、
前記ひさし部及び側壁部と発光体の外周縁との間には隙間が設けられていることを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
前記反射面の下端が、前記発光体の最外側に配置されている発光素子と発光体の外周縁との間に位置している請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
前記ひさし部及び側壁部は、前記反射面の下端から発光体の外周縁に沿ってL字状に凹設されている請求項に記載のLEDランプ。
【請求項4】
前記反射部材は、基板上に配置された反射枠体からなり、この反射枠体の中央部にはすり鉢状の凹部が形成され、この凹部の内周面に前記反射面が形成されると共に、凹部の下部にはL字状に凹設された前記ひさし部及び側壁部が設けられている請求項に記載のLEDランプ。
【請求項5】
前記ひさし部及び側壁部の表面の色は黒色系である請求項に記載のLEDランプ。
【請求項6】
前記反射面は、金属膜によって形成される請求項1に記載のLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDからなる発光体及びこの発光体を囲う反射枠体とを備えた一般照明用のLEDランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電球や蛍光灯に代わる一般照明用の照明装置として、複数の発光ダイオード素子(LEDチップ)を用いたLEDランプが用いられるようになってきている。LEDは電球に比べて指向性が狭くなっているため、照明用として用いる場合は、反射材を使用して指向性を広くする工夫がされている。このようなLEDランプは、基板上に複数のLEDチップを配列して樹脂封止した発光体と、この発光体を囲う反射枠体とを備えて構成されるものが多い(特許文献1,2)。また、特許文献3には、遮光効果を得るために、前記発光体を囲う周壁部に黒色系の樹脂材料を用いて構成された発光装置が開示されている。
【0003】
図5は従来の一般的なLEDランプ1の基本構造を示したものである。発光体3は、複数のLEDチップ(図示せず)によって構成されており、複数のLEDチップを基板2の中央部に集合させて円形状に樹脂封止したものである。また、前記発光体3の周囲を囲うようにして基板2上に反射枠体6が配置される。この反射枠体6には、内部をすり鉢状に刳り抜いた凹部が設けられ、この凹部の内周面に前記発光体3から発せられる光を上方に向けて反射させるための反射面7が設けられている。
【0004】
このような構造のLEDランプ1にあっては、前記発光体3から発せられる光によって直接前方方向を照明すると共に、前記反射面7の傾斜角度に応じた指向性を得ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−327955号公報
【特許文献2】特開2010−171164号公報
【特許文献3】特開2001−144333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LEDチップによって構成された発光体は、中心部分から発せられる光とは発色の異なったリング状の発光痕が外周部に現れることがある。この発光痕は、封止する樹脂部材に含有されている蛍光剤によって強くなる傾向がある。例えば、白色発光を得るために、青色光を発する青色LEDを用い、封止する樹脂部材に黄色系の蛍光材料を用いた場合にあっては、白色発光の中に黄色味の強い発光痕が現れるといった現象が顕著となっていた。
【0007】
照明用のLEDランプにあっては、発光体3にLEDチップを複数個使用しているため、前記発光痕がより多く発生していることになる。この発光体3の内部では、隣接するLEDチップ間で打ち消し合うため、前記発光痕があまり目立たないが、発光体3内の外周部に位置するLEDチップからは透光性を有した樹脂部材を通してそのまま外部に放出される。これによって、発光体3の照射範囲の外周部に沿って黄色味がかかったリング状の発光痕が発生し、前記反射枠体6の反射面7で反射されると、前記発光痕がさらに顕著に現れるといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複数の発光素子によって構成される発光体の照射範囲の外周部に現れるリング状の発光痕を生じなくさせると共に、指向性を持たせて前方方向を明るく均等に照明することのできるLEDランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のLEDランプは、基板と、該基板上に実装される複数の発光素子及びこの複数の発光素子を封止する樹脂部材からなる発光体と、該発光体を囲うように前記基板上に設けられる反射部材とを備え、前記反射部材は発光体から出射する光を上方に導くテーパ状の反射面、この反射面の下端に発光体の外周縁の上面を被うひさし部と、発光体の外周縁の側面を囲む側壁部とを有し、前記ひさし部及び側壁部と発光体の外周縁との間には隙間が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るLEDランプによれば、発光体を囲うようにして設けられる反射面が、前記発光体の上面近傍であって発光体の外周縁より内側位置を下端として上方にテーパ状に延びているため、封止部材を通して全方向に発する光の中でリング状の発光痕が生じる部分を前記反射面によって遮光することができる。
【0011】
また、反射面の下端が、前記発光体の最外側に配置されている発光素子と発光体の外周縁との間に位置するように設定することで、前記発光体から上方に発せられる光量や輝度を低下させることなく、発光痕のみを効果的に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るLEDランプの斜視図である。
図2】上記LEDランプの断面図である。
図3】反射枠体を底面側から見た斜視図である。
図4】上記LEDランプの組立斜視図である。
図5】従来のLEDランプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係るLEDランプ11の構造を示したものである。このLEDランプ11は、ガラスエポキシやBTレジン等によって四角形状に形成され、表面に電極パターンや電極端子(図示せず)が設けられる基板12と、この基板12上の中央部に設けられる発光体13と、この発光体13を取り囲む反射面17が形成された反射枠体16とを備えて構成されている。
【0014】
前記発光体13は、縦横方向に複数配列実装される発光素子(LEDチップ)14と、これら複数のLEDチップ14を円形状に封止する樹脂部材15とを有して構成されている。前記LEDチップ14は一例として窒化ガリウム系化合物半導体が用いられ、設定される発光量や輝度等に応じて数十個程度一定の間隔を有して正方配列される。この複数のLEDチップ14は全て直列又は並列接続され、両端のLEDチップ14からは前記基板12に形成されているアノード及びカソードからなる一対の端子電極(図示せず)に接続される。また、前記樹脂部材15は透明又は透光性を有する樹脂材料によって形成され、発光用途に応じて各種の蛍光剤や拡散剤等が所定量含有される。
【0015】
前記反射枠体16は、前記発光体13を囲うようにして基板12上に配置される。この反射枠体16は、平面形状やサイズが前記基板12と同じであるが、一定の深さを有して形成されており、その中央部には前記発光体13を取り囲むすり鉢状の凹部20が開設されている。この反射枠体16は、遮光効果を持たせるように、例えば、カーボンブラック等を含有させた黒色系の樹脂部材によって成形することができる。
【0016】
前記凹部20は、前記発光体13から発せられる光を均等に集光させるため、内周面が円形状に形成され、上面に向かってテーパ状に広がる反射面17となっている。ここで、前記発光体13の外周部から発せられる光によって生じる黄色味かかったリング状の発光痕を防止するため、発光体13の外周部を一定の範囲で覆う必要がある。このため、本発明では、図2に示したように、前記反射面17の下端Aが前記発光体13の上面の外周縁より内側で、且つ発光体13の最も外側に配置されているLEDチップ14aの上に掛からない範囲内に位置するように設定されている。これによって、発光体13から発せられる光を遮ることなく、発光体13の外周縁に沿って発生するリング状の発光痕を有効に防止することが可能となる。
【0017】
次に、前記反射面17を形成するための反射枠体16の下部構造について説明する。この反射枠体16は、図3に示すように、基板12上に載置される底面に前記発光体13を囲う円形状の貫通孔21が設けられる。この貫通孔21は、前記発光体13の外周側面と対向する側壁部22と、この側壁部22の上部が内側に張り出すひさし部23とを有して断面L字状に形成されており(図2参照)、このひさし部23の縁面24が発光体13の上面の外周部より内側に位置するように形成される。なお、前記縁面24は、図2に示した反射面17の下端Aに相当する。
【0018】
前記側壁部22及びひさし部23は遮光面となっており、発光体13から発せられる光を遮ることができる一方、反射面17には光反射率の高い金属膜、あるいはニッケルメッキその他の銀色系のメッキによる表面加工が施される。また、前記反射枠体16の上面18にも前記反射面17と連続するように金属膜やメッキ加工を施すことによって、発光体16の上方全体を明るく発光させることができる。前記反射面17の形状及び傾斜角は、LEDランプ11の光学的仕様に応じて適宜設定されるが、カメラのフラッシュ光源のように、ある一定の距離にムラなく光を照射させるためには、発光体13を中心にした円形で、上方に向かって40°〜80°の範囲が適しており、室内照明としては120°までの範囲で傾斜設定するのが望ましい。
【0019】
図4は前記LEDランプ11の組立方法を示したものである。基板12は、LEDランプ11の平面形状に合わせて正方形状に形成され、中央部に複数のLED14を直列又は並列に実装配置するためのダイボンドパターン(図示せず)、外周部に前記ダイボンドパターンと導通するアノード及びカソードからなる一対の端子電極(図示せず)がエッチング等によってパターン形成される。そして、前記ダイボンドパターン上にLED14を実装した後、前記基板12上に金型を載置して樹脂材料を充填することで、円形状の発光体13が形成される。
【0020】
前記発光体13が形成された基板12上に反射枠体16を載置し、接着剤等によって接合する。この反射枠体16には底部に発光体13を収容する円形状の貫通孔20及びこの貫通孔20から上方に傾斜して延びる反射面17が金型成形あるいは切削加工によって形成されている。前記反射枠体16は、前述したように、遮光性を持たせるためにカーボンブラックを含有させた黒色系の樹脂材料を用いて形成されるのが望ましい。カーボンブラックは、紫外線を吸収する効果を有しているため、発光体13から受ける光によって樹脂材料の劣化を有効に防止することができる。このカーボンブラックは、反射枠体16全体に含有させる必要はなく、少なくとも発光体13に直接面した側壁部22及びひさし部23の裏側に集中して含有させるか、カーボンブラックを含有した樹脂層を前記側壁部22及びひさし部23の裏側に沿って配設させてもよい。また、反射枠体16の反射面17と上面18に反射率の高い金属膜を形成することで、発光体13から発せられる光を前方に集光させて明るく照射することができる。なお、前記貫通孔21は、発光体13を上方から被せるようにして装着するために、若干の隙間が生じる程度の広さと高さを有して形成されるが、密着させてもよい。
【0021】
前記反射枠体16は、その厚みを深くした場合は、それに比例して反射面17の傾斜角度が増すことで照射範囲を狭くして集光させることができる。一方、反射枠体16の厚みを浅くした場合は、それに比例して反射面17の傾斜角度がなだらかになることで照射範囲を広く設定することができる。本発明の反射枠体16にあっては、ひさし部23によって発光体13の外周縁を一定範囲で覆っているので、前記反射面17の傾斜角度に関わりなく、リング状の発光痕を防止する効果が得られる。
【0022】
本実施形態では、反射面17が開放状態となっているため、このまま照明装置に組み込むことができるが、この反射面17上に凸状あるいは凹状のレンズを組み合わせることで、発光光量を調整することができると共に、様々な発光効果を得ることも可能である。
【符号の説明】
【0023】
11 LEDランプ
12 基板
13 発光体
14 LED
15 樹脂部材
16 反射枠体
17 反射面
18 上面
19 反射部材
20 凹部
21 貫通孔
22 側壁部
23 ひさし部
24 縁面
図1
図2
図3
図4
図5