【文献】
製鋼スラグから発生する膨張圧の定量的評価 日本建築学会学術講演梗概集B-1 構造1 Vol.2006 Page.597-598 (2006.07.31)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような膨張性材料に拘束圧を負荷した場合、その膨張率が低減されることが予想される。しかしながら、従来の水浸膨張試験方法では、膨張性材料の膨張率低減効果を定量的に計測することができなかった。
また、上述のような従来の水浸膨張試験方法は、鉄鋼スラグを代表とする膨張性材料に固化材あるいは特殊な薬液を混合するものであるため、コストの面から一般的に普及していないのが現状である。しかも、従来の膨張性の評価方法や試験時間を短縮できる膨張試験方法では、膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与しない。
【0005】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたもので、膨張性材料の拘束圧による膨張性の抑制効果が定量的に把握でき、かつ膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与できる膨張性材料の水浸膨張試験方法及び水浸膨張試験装置並びに膨張性材料を用いた盛土施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明は、膨張性材料で成形された供試体の水浸膨張を試験する水浸膨張試験方法であって、前記供試体を一方向にのみ膨張可能な状態でモールドに格納し、前記モールドに格納された供試体を養生用の水槽内に設置し、
前記水槽内を常温の水で満たし、かつ前記供試体に所定の拘束圧荷重を負荷した状態で所定時間放置して当該供試体を飽和状態に湿潤させるとともに前記拘束圧荷重に伴う供試体の初期沈下を収束させることでエージング処理し、前記エージング処理後の前記供試体の水浸膨張試験に際し、前記供試体に対し該供試体を構成する膨張性材料の物性に対応して前記供試体を前記一方向に圧縮する予め設定された拘束圧を前記供試体に負荷し、前記拘束圧
の荷重下で前記供試体を前記水槽の温水に浸し
た状態で一定時間養生する処理を前記供試体の水浸膨張が収束するまで繰り返し実行して前記試供体の水浸膨張量を計測し、前記計測された水浸膨張量
から前記供試体への拘束圧荷重初期に計測された水浸膨張量の計測値を減算した値と供試体作製時の前記供試体の前記一方向に沿った寸法との比から前記供試体の水浸膨張比を算出し、前記供試体の水浸膨張が収束した
と判定された時点での前記水浸膨張比を前記供試体の収束値として求め
、さらに前記供試体に荷重される前記拘束圧は、互いに異なる複数種類の拘束圧に設定されており、前記互いに異なる拘束圧が前記供試体に荷重される毎に該各拘束圧とそれぞれの拘束圧に対応する前記水浸膨張比の収束値とから前記各拘束圧と前記水浸膨張比との関係を求めることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、膨張性材料で成形された供試体の水浸膨張を試験する水浸膨張試験方法であって、前記供試体を一方向にのみ膨張可能な状態でモールドに格納し、前記モールドに格納された供試体を養生用の水槽内に設置し、
前記水槽内を常温の水で満たし、かつ前記供試体に所定の拘束圧荷重を負荷した状態で所定時間放置して当該供試体を飽和状態に湿潤させるとともに前記拘束圧荷重に伴う供試体の初期沈下を収束させることでエージング処理し、前記エージング処理後の前記供試体
に対する前記一方向
の膨張を拘束した状態で、前記供試体を前記水槽の温水に浸し
、かつ一定時間養生する処理を前記供試体の水浸膨張が収束するまで繰り返し実行して前記試供体の水浸膨張で発生する拘束圧を測定し、前記拘束圧の測定値
Pcと前記供試体の一方向と直交する方向の断面積
A×10000との
商から前記供試体の水浸膨張圧
σeを算出し、
前記拘束圧と前記水浸膨張圧とから前記供試体の水浸膨張が収束した
と判定された時点での前記水浸膨張圧を前記供試体の収束値として求め
、さらに前記供試体に対する拘束圧を無拘束圧状態から前記膨張性材料の水浸膨張比
がゼロとなる最大拘束圧になるまで段階的に変化させた時に当該各拘束圧荷重のそれぞれに対応する収束値を求めることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、膨張性材料で成形された供試体の水浸膨張を試験する水浸膨張試験装置であって、前記供試体をその一方向にのみ膨張可能な状態で格納するモールドと、前記モールドに格納された前記供試体を養生する水槽と、
前記水槽内を常温の水で満たし、かつ前記供試体に所定の拘束圧荷重を負荷した状態で所定時間放置して当該供試体を飽和状態に湿潤させるとともに前記拘束圧荷重に伴う供試体の初期沈下を収束させるエージング処理手段と、前記エージング処理後の前記供試体の水浸膨張試験に際し、前記供試体に対し該供試体を構成する膨張性材料の物性に対応して前記供試体を前記一方向に圧縮する予め設定された拘束圧を前記供試体に負荷する拘束圧負荷手段と、前記拘束圧
の荷重下で前記供試体を前記水槽の温水に浸し
た状態で一定時間養生する処理を前記供試体の水浸膨張が収束するまで繰り返し実行して前記試供体の水浸膨張量を計測する変位計と、前記計測された水浸膨張量
から前記供試体への拘束圧荷重初期に計測された水浸膨張量の計測値を減算した値と供試体作製時の前記供試体の前記一方向に沿った寸法との比から前記供試体の水浸膨張比を算出する水浸膨張比算出手段と、
前記荷重計による前記拘束圧荷重の測定
値と
前記水浸膨張比算出手段による前記水浸膨張比の算出
結果と
に基づいて前記供試体の水浸膨張が収束した時点を
前記各拘束圧の荷重毎に判定する判定手段と、前記供試体の水浸膨張が収束した
と判定された時点での前記水浸膨張比を前記供試体の収束値として求める収束値演算手段と、
さらに前記供試体に荷重される前記拘束圧は、互いに異なる複数種類の拘束圧に設定されており、前記互いに異なる拘束圧が前記供試体に荷重される毎に該各拘束圧とそれぞれの拘束圧に対応する前記水浸膨張比の収束値とから前記各拘束圧と前記水浸膨張比との関係を求める手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、膨張性材料で成形された供試体の水浸膨張を試験する水浸膨張試験装置であって、前記供試体をその一方向にのみ膨張可能な状態で格納するモールドと、前記モールドに格納された前記供試体を養生する水槽と、
前記水槽内を常温の水で満たし、かつ前記供試体に所定の拘束圧荷重を負荷した状態で所定時間放置して当該供試体を飽和状態に湿潤させるとともに前記拘束圧荷重に伴う供試体の初期沈下を収束させるエージング処理手段と、前記エージング処理後の前記供試体の前記一方向における膨張を拘束する拘束手段と、前記供試体
に対する前記一方向
の膨張を拘束した状態で前記供試体を前記水槽の温水に浸し
、かつ一定時間養生する処理を前記供試体の水浸膨張が収束するまで繰り返し実行して前記試供体の水浸膨張で発生する拘束圧荷重を測定する拘束圧測定計と、前記拘束圧の測定値
Pcと前記供試体の一方向と直交する方向の断面積
A×10000との
商から前記供試体の水浸膨張圧
σeを算出する水浸膨張圧算出手段と、
前記拘束圧荷重を無拘束圧状態から前記膨張性材料の水浸膨張比
がゼロ
となる最大拘束圧になるまでの拘束圧の変化を求める手段と、前記判定手段により前記供試体の水浸膨張が収束した
と判定された時点での前記水浸膨張圧を前記供試体の収束値として求める収束値演算手段と、
さらに前記供試体に対する拘束圧を無拘束圧状態から前記膨張性材料の水浸膨張比
がゼロとなる最大拘束圧になるまで段階的に変化させた時に当該各拘束圧荷重のそれぞれに対応する収束値を求める
手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、盛土施工方法であって、膨張性材料を盛土工事に用いるに際し、請求項1または
2に記載の水浸膨張試験方法から得られた前記拘束圧と前記水浸膨張比との関係から予め計画されている盛土高さに応じて前記膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する前記膨張性材料の水浸膨張比を求め、前記求められた水浸膨張比に基づいて前記水浸膨張比が得られる盛土高さに膨張性材料を盛土し、かつ前記土被り圧が得られる盛土高さに一般盛土材料を盛土することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、盛土施工方法であって、膨張性材料を盛土工事に用いるに際し、請求項
3または4に記載の水浸膨張試験装置から得られた前
記拘束圧と前記水浸膨張比との関係から予め計画されている盛土高さに応じて前記膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する前記膨張性材料の水浸膨張比を求め、前記求められた水浸膨張比に基づいて前記水浸膨張比が得られる盛土高さに膨張性材料を盛土し、かつ前記土被り圧が得られる盛土高さに一般盛土材料を盛土することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膨張性材料の拘束圧による膨張性の抑制効果が定量的に把握でき、かつ膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与できる。
そして、試験により得られた一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を利用して、盛土体の利用形態に応じた膨張量の許容範囲から、盛土材料の配置および層厚を計画することにより、膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる拘束圧負荷型水浸膨張比測定方式の水浸膨張試験方法を適用した水浸膨張試験装置の第1の実施の形態について
図1を参照して詳細に説明する。
図1において、鉄鋼スラグを代表とする膨張性材料で成形された供試体10の水浸膨張を試験する水浸膨張試験装置100は、モールド12、養生用の水槽14、拘束圧負荷機構(特許得請求の範囲に記載した拘束圧負荷手段に相当する)16、荷重計18、変位計20、パソコン(パーソナルコンピュータ)22等を備える。
【0015】
モールド12は、供試体10をその一方向(上方)にのみ膨張可能な状態で格納するもので、上面及び底面が開口された円筒体から構成されている。
水槽14は、供試体10の水浸膨張試験に際し、モールド12に格納された供試体10を常温の水に浸した状態と、JIS試験に準じて80℃の温水に浸した状態で養生するためのものである。
このような水槽14内の底部には、モールド12の載置台1402が設置されている。載置台1402の上面には、モールド12の下端が嵌合される円形の凹部1404が形成されている。したがって、モールド12の下端が凹部1404に嵌合された状態では、モールド12の下端開口は閉塞される。
また、凹部1404に嵌合されたモールド12は、モールド12の上端縁に係止される押え部材24と、この押え部材24を上方から下方へ貫通して載置台1402に螺合される取付ボルト26とによって載置台1402上に着脱可能に取り付けられている。また、凹部1404は載置台1402に設けられた通路1406により水槽14内に連通されている。
また、モールド12に格納された供試体10の下面と凹部1404との間には、供試体10への水浸性を良好にするためのポーラスストーン28が介在されている。
【0016】
拘束圧負荷機構16は、供試体10に、これを構成する膨張性材料の物性に対応して予め設定された拘束圧荷重を一方向、すなわちモールド12に格納された供試体10がモールド12の上端開口から上方に向け水浸膨張するのを拘束する方向から供試体10に負荷するものである。
【0017】
このような拘束圧負荷機構16は、モールド12の上端開口に臨む供試体10の上面に供試体10への水浸性を良好にするポーラスストーン30を介して当接される、多数の孔を有する拘束圧負荷盤1602と、この拘束圧負荷盤1602の上面に鉛直に突設した操作ロッド1604と、モールド12の上方で支持部材1606を介して押え部材24に水平に設けられ、操作ロッド1604が貫通する支持板1608と、この支持板1608の操作ロッド貫通箇所に設けられ、操作ロッド1604を上下方向に移動可能に案内するスラスト軸受1610と、操作ロッド1604の上端に設けられた変位測定部材1612と、この変位測定部材1612の上方に位置して配設された支持フレーム1614と、この支持フレーム1614の操作ロッド1604の軸線と一致する箇所に、上下方向に移動可能に貫通支持された拘束圧負荷ロッド1616と、この拘束圧負荷ロッド1616の下端と操作ロッド1604の上端との間を連結する連結部材1618と、支持フレーム1614上に設置され、拘束圧負荷ロッド1616を下方に動作させることにより拘束圧を連結部材1618を通して操作ロッド1604に付与する拘束圧発生部1618とから構成されている。
【0018】
荷重計18は、拘束圧発生部1618から拘束圧負荷ロッド1616、連結部材1618及び操作ロッド1604を通して供試体10に負荷される拘束圧荷重を測定するものであり、半導体圧力センサなどから構成されている。このような荷重計18は連結部材1618に装着される。荷重計18で測定された拘束圧荷重の測定データは通信回線を通してパソコン22に取り込まれる。
【0019】
変位計20は、拘束圧負荷機構16による供試体10への拘束圧荷重下で、供試体10を水槽14の温水32に浸した養生状態における試供体10の水浸膨張量を計測するもので、ダイヤルゲージから構成される。この変位計20は、支持フレーム1614に支持部材2014を介して支持されている。そして、変位計20に設けられた触針2012は変位測定部材1612に当接されている。また、変位計20で計測された水浸膨張量の計測データは通信回線を通してパソコン22に取り込まれる。
【0020】
パソコン22は、荷重計18で測定された拘束圧データ及び変位計20で計測された水浸膨張量データに基づいて供試体10の水浸膨張試験に必要な各種の演算処理を行ない、かつ拘束圧負荷機構16の拘束圧発生部1618を制御して、供試体10に負荷される拘束圧を膨張性材料の物性に応じ設定し制御する機能を備える。
【0021】
このためにパソコン22は、
図1に示すように、変位計20で計測された水浸膨張量と供試体作製時の供試体10の高さ方向(上下方向)に沿った寸法との比から供試体10の水浸膨張比を算出する水浸膨張比算出手段2202と、荷重計18による拘束圧の測定と水浸膨張比算出手段2202による水浸膨張比の算出とから供試体10の水浸膨張が収束した時点を判定する判定手段2204と、判定手段2204により供試体10の水浸膨張が収束したと判定された時点での水浸膨張比を供試体10の収束値として求める収束値演算手段2206と、供試体10に用いた膨張性材料を盛土工事に用いる際に、収束値演算手段2206で求めた収束値から予め計画されている盛土高さに応じて膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と、この土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を求める土被り圧・水浸膨張比演算手段2208とを備える。
【0022】
なお、演算処理を行なうパソコン22は、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。CPUが前記処理または制御プログラムを実行することにより、水浸膨張比算出手段2202、判定手段2204、収束値演算手段2206、土被り圧・水浸膨張比演算手段2208が実現される。
【0023】
次に、上記第1の実施の形態に示す水浸膨張試験装置100による試験方法について説明する。
本実施の形態に示す水浸膨張試験装置100の水浸膨張試験で得られた供試体の試験結果は実際に盛土を製造するために利用されることを目的としているため、実施工で想定される粒度および含水比で実施するものとする。
【0024】
本実施の形態に示す供試体10は、基本的にJISA5015の付属書2「鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に示す成形手順に準じて作製されるが、試料の含水比については、自然含水比状態で実施するものとする。また、供試体の締固め度については、本発明による試験結果は実際に盛土を製造するために利用されることを目的としているため、実施工で想定される締固め方法および締固め度で作製する。例えば、盛土の目標締固め度が90%と規定されている場合には締固め度90%で供試体を作製し、盛土の目標締固め度が95%と規定されている場合は締固め度95%で供試体を作製する。
【0025】
図1に示す水浸膨張試験装置100を用いて供試体の水浸膨張比試験を行なう場合は、まず、成形後の供試体10を格納したモールド12を載置台1402上にセットし固定する。その後、水槽14内を常温の水で満たし、拘束圧負荷機構16を作動して所定の拘束圧荷重を供試体10に負荷する。この状態で24時間放置し、供試体10を飽和状態に湿潤させるとともに拘束圧荷重に伴う供試体10初期沈下を収束させる。
このようなエージング(養生)処理を施した後の供試体10を用いて、以下に述べる水浸膨張試験を実行する。
【0026】
次に、上記エージング処理後の供試体10を用いて供試体10の水浸膨張比を求める場合について説明する。
エージング処理後の供試体10の水浸膨張比を求めるに際しては、互いに異なる複数種類の拘束圧荷重を供試体10に負荷した状態の各拘束圧荷重下における水浸膨張比を求める。
ここで、供試体10に対する拘束圧荷重は、実際の盛土工事で想定される土被り圧から設定されるものである。このため、計画盛土高さが5mの場合を想定すると、その拘束圧荷重は、25kN/m
2、50kN/m
2、100kN/m
2の3種類程度で実施するのが望ましい。
水浸膨張試験に際しての測定操作及び養生方法はJISA5015の付属書2「鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に準じておこなわれる。また、測定は供試体10の水浸膨張が収束したとみなせるまで継続して実施する。
【0027】
供試体10の水浸膨張試験に際しては、水槽14内を80℃の温水で満たし、上記各拘束圧荷重下で6時間保持し養生する。この養生処理は供試体10の水浸膨張が収束したと判定されるまで繰り返し実行される。この時、荷重計18で測定された拘束圧測定データはパソコン22に取り込まれる。また、供試体10への上記各拘束圧荷重時に生じる水浸膨張量は変位計20により計測され、その計測データはパソコン22に取り込まれる。
変位計20の計測データを取り込んだパソコン22では、下記の(1)式に示す演算を水浸膨張比算出手段2202で実行することにより、拘束圧荷重下における供試体10の水浸膨張比γe
p○○を算出する。
γe
p○○=(Dc−Ds)/H・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、γe
p○○は、ある拘束圧荷重下、例えば拘束圧50kN/m
2における水浸膨張比(%)であり、Dcは供試体10の収束時点における変位計20の計測値(mm)、Dsは供試体10の初期における変位計20の計測値(mm)であり、Hは供試体作製時の供試体10の高さ方向(上下方向)の寸法(mm)である。
【0028】
以下同様にして、拘束圧荷重を上記25kN/m
2、50kN/m
2、75kN/m
2、100kN/m
2に変えて測定がなされる毎に、それぞれの拘束圧荷重時に生じる水浸膨張量を変位計20により計測する。各拘束圧荷重毎に測定された計測データを基に水浸膨張比算出手段2202で(1)式を実行することにより、上記各拘束圧荷重時における水浸膨張比を算出する。そして、水浸膨張比算出手段2202による演算処理は、各拘束圧荷重毎に供試体10の水浸膨張が収束したと判定されるまで繰り返し実行される。この時の各拘束圧荷重毎の供試体10の水浸膨張比と繰返し回数1,2,3・・・との関係を
図2に示す。この
図2において、横軸の目盛は算術目盛である。
【0029】
図2において、特性曲線42は、供試体10が無拘束状態における繰返し回数(経過日数)と水浸膨張比γeとの関係を示す。特性曲線44は、供試体10が拘束圧荷重25kN/m
2における繰返し回数(経過日数)と水浸膨張比γeとの関係を示す。また、特性曲線46は、供試体10が拘束圧荷重50kN/m
2における繰返し回数(経過日数)と水浸膨張比γeとの関係を示す。さらに、特性曲線48は、供試体10が拘束圧荷重100kN/m
2における繰返し回数(経過日数)と水浸膨張比γeとの関係を示す。これら各特性曲線から明らかなように、80℃の温水中で6時間養生する処理が繰り返されることで、供試体10の水浸膨張が収束されることになる。
また、供試体10の拘束圧(kN/m
2)と水浸膨張比γe(%)との関係は、
図3に示すような特性曲線52となる。
【0030】
上記水浸膨張の収束判定は、荷重計18による拘束圧荷重の測定と水浸膨張比算出手段2202による水浸膨張比の算出結果に基づいて判定手段2204で行なわれる。判定手段2204において、供試体10の水浸膨張が収束したと判定されると、水浸膨張が収束したと判定された時点での水浸膨張比を供試体10の収束値とする演算が収束値演算手段2206で実行される。
次いで、土被り圧・水浸膨張比演算手段2208では、収束値演算手段2206で求めた収束値から、予め計画されている盛土高さに応じて膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と、この土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を求める。
【0031】
例えば、無拘束状態の拘束圧荷重0kN/m
2から、25kN/m
2、50kN/m
2、100kN/m
2毎に、収束値演算手段2206で求められた各収束値を
図3に示す特性曲線52上にプロットする。これにより、0kN/m
2、25kN/m
2、50kN/m
2、100kN/m
2のそれぞれに対応する収束値は、特性曲線52上の点P1,P2,P3,P4におかれる。
そこで、特性曲線52上の点P1,P2,P3,P4で示された収束値から、予め計画されている盛土高さに応じて、実際の膨張性材料で形成される盛土に被される一般盛土材料の土被り圧と、この土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を、土被り圧・水浸膨張比演算手段2208により求める。例えば、特性曲線52上の点Pxの収束値に対応する横軸上の交点に示される拘束圧から一般盛土材料の土被り圧σ
E(kN/m
2)を求め、読み取る。さらに、点Pxの収束値に対応する縦軸上の交点に示される水浸膨張比から土被り圧σ
E(kN/m
2)に対応する水浸膨張比γe
E(%)を求め、読み取る。
したがって、鉄鋼スラグで代表される膨張性材料を用いて盛土工事を行なう場合は、上述の方法で求められた土被り圧σ
Eと水浸膨張比γe
Eのデータに基づいて盛土工事の設計を行なえばよい。
【0032】
このような第1の実施の形態に示す水浸膨張試験装置100によれば、本水浸膨張試験装置の試験により得られた拘束圧σeと水浸膨張比γeとの関係から、一般盛土材料の土被り圧σ
Eに応じた水浸膨張比γe
Eを推定し、盛土の使用形態に応じて決定される許容膨張量から膨張性材料の盛土層厚を決定することができる。
これにより、土被り圧に応じた膨張率を定量的に把握することで、許容膨張量を満足させながら、従来では使用することができずに放置していた膨張性材料を盛土材料として有効に利用することができる。
さらに、一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を利用して、盛土体の利用形態に応じた膨張量の許容範囲から、盛土材料の配置および層厚を計画することで、膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与することができる。
また、供試体10に対する拘束圧σeを一般盛土材料の土被り圧σ
Eに応じて互いに異なる複数種類の拘束圧に設定することにより、供試体水浸膨張の収束値の算出、及び収束値に対応する土被り圧σ
Eと水浸膨張比γe
Eを推定し求めるのに有利となる。
【0033】
なお、上記第1の実施の形態に示す土被り圧・水浸膨張比演算手段2208では、収束値演算手段2206で求められた各収束値を
図3に示す特性曲線52上にプロットし、このプロットされた点の収束値に対応する横軸上の拘束圧から一般盛土材料の土被り圧σ
Eを読み取り、かつ縦軸上の水浸膨張比から土被り圧σ
Eに対応する水浸膨張比γe
Eを読み取る場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図3に示す拘束圧と水浸膨張比との関係を表すデータテーブルを作成し、このデータテーブルを収束値演算手段2206で求められた収束値で検索することにより、土被り圧σ
E及びこれに対応する水浸膨張比γe
Eを求めることができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
本発明にかかる水浸膨張試験装置の第2の実施の形態について
図4を参照して詳細に説明する。
図4において、鉄鋼スラグを代表とする膨張性材料で成形された供試体10の水浸膨張を試験する水浸膨張試験装置200は、モールド12、養生用の水槽14、拘束機構(特許得請求の範囲に記載した拘束手段に相当する)34、拘束圧測定計36、パソコン(パーソナルコンピュータ)38等を備える。
この水浸膨張試験装置200のモールド12及び養生用の水槽14は、
図1に示す水浸膨張試験装置100と同様に構成されている。
【0035】
拘束機構34は、供試体10一方向、すなわちモールド12に格納された供試体10がモールド12の上端開口から上方に向け水浸膨張するのを拘束するものである。
このような拘束機構34は、モールド12の上端開口に臨む供試体10の上面に供試体10への水浸性を良好にするポーラスストーン30を介して当接される、多数の孔を有する拘束圧負荷盤3402と、この拘束圧負荷盤3402の上面に鉛直に突設した操作ロッド3404と、モールド12の上方で支持部材3406を介して押え部材24に水平に設けられ、操作ロッド3404が貫通する支持板3408と、この支持板3408の操作ロッド貫通箇所に設けられ、操作ロッド3404を上下方向に移動可能に案内するスラスト軸受3410と、操作ロッド3404の上端に設けられた受け部材3418と、この受け部材3418の上方に位置して配設された反力盤3414と、この反力盤3414の操作ロッド3404の軸線と一致する箇所に、上下方向に移動可能に貫通して螺合された拘束圧調整ねじ3416と、この拘束圧調整ねじ3416の下端と受け部材3418との間を連結する連結部材3420とから構成されている。
【0036】
拘束圧測定計36は、供試体10の一方向における膨張を拘束した状態で、供試体10養生時に試供体10の水浸膨張で発生する拘束圧を測定するもので、半導体圧力センサなどから構成され、連結部材3420に装着されている。拘束圧測定計36で測定された拘束圧荷重の測定データは通信回線を通してパソコン38に取り込まれる。
【0037】
パソコン38は、拘束圧測定計36で測定された拘束圧データに基づいて供試体10の水浸膨張試験に必要な各種の演算処理を行なる。
このためにパソコン38は、
図4に示すように、拘束圧測定計36で計測された測定値と供試体10の一方向と直交する方向の断面積との
商から供試体10の水浸膨張圧を算出する水浸膨張圧算出手段3
802と、拘束圧測定計36による拘束圧の測定と水浸膨張圧算出手段3
802
による水浸膨張圧の算出とから供試体10の水浸膨張が収束した時点を判定する判定手段3804と、供試体10の水浸膨張が収束した時点での水浸膨張圧を供試体の収束値として求める収束値演算手段3806と、供試体10に用いた膨張性材料を盛土工事に用いる際に、収束値演算手段3806で求めた収束値から予め計画されている盛土高さに応じて膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を求める土被り圧・水浸膨張比演算手段3808とを備える。
【0038】
なお、演算処理を行なうパソコン38は、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。CPUが前記処理または制御プログラムを実行することにより、水浸膨張圧算出手段3402、判定手段3804、収束値演算手段3806、土被り圧・水浸膨張比演算手段3808が実現される。
【0039】
次に、上記第2の実施の形態に示す水浸膨張試験装置200による試験方法について説明する。
本実施の形態に示す水浸膨張試験装置200の水浸膨張試験で得られた供試体の試験結果は、第1の実施の形態に示す場合と同様に、実際に盛土を製造するために利用されることを目的としているため、実施工で想定される粒度および含水比で実施するものとする。
また、本第2の実施の形態に示す供試体10も、第1の実施の形態に示す場合と同様に、JISA5015の付属書2「鉄鋼スラグの水浸膨張試験方法」に示す成形手順に準じて作製される。
【0040】
図4に示す水浸膨張試験装置200を用いて供試体の水浸膨張試験を行なう場合は、まず、成形後の供試体10を格納したモールド12を載置台1402上にセットし固定する。その後、水槽14内を常温の水で満たし、拘束圧負荷機構16を作動して所定の拘束圧荷重を供試体10に負荷する。この状態で24時間放置し、供試体10を飽和状態に湿潤させるとともに拘束圧荷重に伴う供試体10初期沈下を収束させる。
このようなエージング(養生)処理を施した後の供試体10を用いて、以下に述べる水浸膨張試験を実行する。
【0041】
まず、上記エージング処理後の供試体10を用いて供試体10の水浸膨張圧を求める場合について説明する。
エージング処理後の供試体10の水浸膨張圧を求めるに際しては、その測定開始前に、拘束圧調整ねじ3416を再調整する。この時、拘束圧測定計36の読み値が50kN/m
2程度になるように調整すると初期のベディングエラーを小さくできる。
【0042】
供試体10の水浸膨張試験に際しては、水槽14内を80℃の温水で満たし、所定の拘束圧荷重下で6時間保持し養生する。この養生処理は供試体10の水浸膨張が収束したと判定されるまで繰り返し実行される。この時、拘束圧測定計36で測定された拘束圧測定データはパソコン38に取り込まれる。
拘束圧測定計36の測定データを取り込んだパソコン38では、(2)式に示す演算を水浸膨張圧算出手段3802で実行することにより、無拘束状態から拘束圧荷重を増大方向に段階的に変更した拘束圧荷重下における供試体10の水浸膨張圧σeを下記の(2)式により算出する。
σe=Pc/A×
10000・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ただし、σeは水浸膨張圧(kN/m
2)、Pcは荷重計の読み(kN)、Aは供試体の断面積(cm
2)である。
ここで、供試体10に対する拘束圧荷重を無拘束状態から拘束圧荷重を増大方向に段階的に変更した場合の供試体10の膨張量を、横軸に拘束圧を取り、縦軸に水浸膨張比を取ってグラフで表すと、
図5に示す特性線のようになる。
図5は、
図3の横軸を対数目盛にプロットしたものである。また、
図4に示す試験装置200の試験で求められる値は、点P15の収束値のみであり、点P11から点P14の収束値は
図1に示す試験装置100の試験で求められる値である。点P15の拘束値は、膨張性材料である供試体の水浸膨張比が0となる値である。また、
図4に示す試験装置200の方が
図1に示す試験装置100より簡単であるため、
図4に示す試験装置200を使用すれば、点P11と点P15の収束値を求めることができる。したがって、点P11と点P15との間を直線で結べば、膨張性材料の水浸膨張比を0に抑えた状態で拘束圧の変化を
図5の特性線54に示すように求めることができ、これに伴い、任意の拘束圧の水浸膨張比を簡易的に求めることが可能になる。ずなわち、試験装置200は、特許請求の範囲に記載した「膨張性材料の水浸膨張比を0に抑えた状態で拘束圧の変化を求める」機能を備える。
【0043】
また、供試体10に対する拘束圧荷重を無拘束状態から増大方向に段階的に変更する場合、その拘束圧荷重毎に、拘束圧測定計36による拘束圧荷重の測定と水浸膨張圧算出手段3402による水浸膨張圧の算出とから供試体10の水浸膨張が収束した時点を判定手段3804で判定する。
判定手段3804において、供試体10の水浸膨張が収束したと判定されると、水浸膨張が収束したと判定された時点での水浸膨張比を供試体10の収束値とする演算が収束値演算手段3806で実行される。次いで、土被り圧・水浸膨張比演算手段3808では、収束値演算手段3806で求めた収束値から、予め計画されている盛土高さに応じて膨張性材料に被される一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を求める。
【0044】
例えば、供試体10に対し、拘束圧荷重を無拘束状態から水浸膨張比がゼロとなる最大拘束圧荷重になるまで段階的に変化させた時に、その各拘束圧荷重毎に求められた収束値を
図5に示す特性線54に沿いプロットする。これにより、無拘束状態から最大拘束圧荷重に段階的に達するまでの各拘束圧荷重のそれぞれに対応する収束値は、特性線54上の点P11,P12,P13,P14,P15で示すように表される。
【0045】
そこで、点P11,P12,P13,P14,P15で示された収束値から、予め計画されている盛土高さに応じて、実際の膨張性材料で形成される盛土に被される一般盛土材料の土被り圧と、この土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を、土被り圧・水浸膨張比演算手段3808により求める。例えば、特性線54上の点Pxの収束値に対応する横軸上の交点に示される拘束圧から一般盛土材料の土被り圧σ
Eを求め、読み取る。さらに、点Pxの収束値に対応する縦軸上の交点に示される水浸膨張比から土被り圧σ
Eに対応する水浸膨張比γe
Eを求め、読み取る。
したがって、鉄鋼スラグで代表される膨張性材料を用いて盛土工事を行なう場合は、上述の方法で求められた土被り圧σ
Eと水浸膨張比γe
Eのデータに基づいて盛土工事の設計を行なえばよい。
【0046】
なお、上記第1の実施の形態に示す水浸膨張試験装置のように拘束圧を変えた一連の試験の実施が困難な時は、上記第2の実施の形態に示す水浸膨張試験装置を適用する。この場合、収束値演算手段3806で求められた収束値を
図5に示すようにプロットすることにより、土被り圧σ
Eに対応する水浸膨張比γe
Eを簡易的に求めることもできる。また、水浸膨張圧試験結果から求める場合は、膨張性材料による盛土高さHeの安全率αを3(通常は2)とすることが好ましい。
【0047】
このような第2の実施の形態に示す水浸膨張試験装置200によれば、第1の実施の形態に示す場合と同様に、水浸膨張試験装置の試験により得られた拘束圧γeと水浸膨張比σeとの関係から、一般盛土材料の土被り圧σ
Eに応じた水浸膨張比γe
Eを推定し、盛土の使用形態に応じて決定される許容膨張量から膨張性材料の盛土層厚を決定することができる。
これにより、土被り圧に応じた膨張率を定量的に把握することで、許容膨張量を満足させながら、従来では使用することができずに放置していた膨張性材料を盛土材料として有効に利用することができる。
さらに、一般盛土材料の土被り圧と該土被り圧に対応する膨張性材料の水浸膨張比を利用して、盛土体の利用形態に応じた膨張量の許容範囲から、盛土材料の配置および層厚を計画することで、膨張性材料の適用範囲の拡大に寄与することができる。
【0048】
なお、上記第2の実施の形態に示す土被り圧・水浸膨張比演算手段3808では、収束値演算手段3806で求められた各収束値を
図5に示す特性線54に沿いプロットし、このプロットされた点の収束値に対応する横軸上の拘束圧から一般盛土材料の土被り圧σ
Eを読み取り、かつ縦軸上の水浸膨張比から土被り圧σ
Eに対応する水浸膨張比γe
Eを読み取る場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5に示す拘束圧と水浸膨張比との関係を表すデータテーブルを作成し、このデータテーブルを収束値演算手段2206で求められた収束値で検索することにより、土被り圧σ
E及びこれに対応する水浸膨張比γe
Eを求めることができる。
【0049】
(実施例1)
次に、本発明の第1または第2の実施の形態に示す水浸膨張試験方法及び装置でえられた試験結果を盛土工事に応用した場合の実施例について、
図6を参照して説明する。
この実施例では、
図6に示すように、地盤60上に鉄鋼スラグで代表される膨張性材料を高さHe、例えば1.8mの高さに盛土して膨張性材料からなる盛土層62を形成した。
次いで、盛土層62の上面と盛土層62の周囲を含む一定の領域に一般の盛土材料を高さHn、例えば4.2mの高さに盛土して一般盛土材料からなる盛土層64を形成した。
この場合の盛土層62及び盛土層64を含めた盛土全体の計画盛土高さHoは6mである。
【0050】
以下、
図6に示す構造の盛土工事を行なう場合の計算例について述べる。
図6に示す盛土層62の高さHeは、次の(3)式で求められる。
He=δe/γe
E/α(m)・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ここで、膨張性材料の盛土高さHeは、He´=δe/γe
E/α(m)式により求められる値よりも小さい値に設定される。
ただし、δe(cm)は盛土層62の許容膨張量、γe
E(%)は想定される盛土圧σ
Eにおける水浸膨張比、αは安全率である。
また、想定される盛土圧σ
Eは、下記の(4)式で求められる。
σ
E=Hn×γt/2(kN/m
2)・・・・・・・・・・・・・(4)
ただし、Hn(m)は一般の盛土高さであり、γt(kN/m
3)は一般の盛土材料単位体積重量である。
【0051】
このような一般的な土を材料として計画された盛土工事の場合は、本発明の水浸膨張試験装置から得られた結果を整理し、
図3あるいは
図5に示すような拘束圧σeと水浸膨張比σeとの関係から、上記土被り圧σ
Eに応じた水浸膨張比γe
Eを推定し、盛土の使用形態に応じて決定される許容膨張量δeから膨張性材料の盛土層厚を決定する。
これにより、土被り圧に応じた膨張率を定量的に把握することで、許容膨張量を満足しながら、従来では使用することができずに放置していた膨張性材料を盛土材料として有効に利用することができる。また、このような盛土構成によると、膨張性材料の不均一性が原因による局所的な膨張に対しても、一般盛土材料からなる盛土高さHnの盛土層64を介することにより、盛土表面では局所的な膨張によるズレやヒビなどの影響が現れることがない。
また、上記(3)式及び(4)式を用いることにより、膨張性材料からなる盛土層62の高さHe、及び想定される盛土圧σ
Eを求めるのに有利となる。