(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の研磨パッドは、ポリウレタン樹脂発泡体からなる研磨層のみであってもよく、研磨層と他の層(例えばクッション層など)との積層体であってもよい。
【0019】
前記ポリウレタン樹脂発泡体は、少なくともイソシアネート成分、高分子量ポリオール、下記一般式(1)で表されるポリシロキサン基含有ジオール、及び中空微小体を原料成分として含む。
(式中、R
1は炭素数が1〜12のアルキル基であり、nは10〜380の整数であり、mは1〜12の整数である。)
【0020】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。イソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0021】
イソシアネート成分としては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
【0022】
高分子量ポリオールとしては、ポリウレタンの技術分野において、通常用いられるものを挙げることができる。例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等に代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いでえられた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかで、研磨層の機械的特性及び研磨層の疎水性を高める観点から、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることが好ましい。
【0023】
高分子量ポリオールの重量平均分子量は特に限定されないが、得られるポリウレタン樹脂の弾性特性等の観点から、500〜1500であることが好ましい。重量平均分子量が500未満であると、これを用いて得られるポリウレタン樹脂は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなり易く、このポリウレタン樹脂からなる研磨パッドが硬くなりすぎ、研磨対象物表面のスクラッチの発生原因となる場合がある。また、摩耗しやすくなるため、研磨パッドの寿命の観点からも好ましくない。一方、重量平均分子量が1500を超えると、これを用いて得られるポリウレタン樹脂からなる研磨パッドが軟らかくなり、十分に満足できるプラナリティを得難くなる。
【0024】
また、上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等の低分子量ポリオールを併用することができる。また、エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、及びジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミンを併用することもできる。また、モノエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、及びモノプロパノールアミン等のアルコールアミンを併用することもできる。これら低分子量ポリオール、低分子量ポリアミン等は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら低分子量ポリオール、低分子量ポリアミン等の配合量は特に限定されず、研磨パッドに要求される特性により適宜決定されるが、全ポリオール成分の20〜70モル%であることが好ましい。
【0025】
前記一般式(1)で表されるポリシロキサン基含有ジオールは、イソシアネート成分と反応させて、ポリウレタンの側鎖にポリシロキサン基を導入するために用いられ、ポリウレタン樹脂に疎水性を付与するための原料である。前記一般式(1)において、R
1はブチル基であることが好ましく、mは3であることが好ましい。
【0026】
また、前記ポリシロキサン基含有ジオールは、水酸基価が7〜120mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは20〜120mgKOH/gである。
【0027】
前記ポリシロキサン基含有ジオールは、例えば、水酸基を有するポリシロキサンとトリメチロールプロパンとを脱水縮合させることにより合成することができる。また、前記ポリシロキサン基含有ジオールの市販品としては、例えば、FM−DA11(チッソ株式会社、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:1000、水酸基価:112.2mgKOH/g)、FM−DA21(チッソ株式会社、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:5000、水酸基価:22.4mgKOH/g)、FM−DA26(チッソ株式会社、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:15000、水酸基価:7.5mgKOH/g)などが挙げられる。
【0028】
前記ポリシロキサン基含有ジオールは、ポリウレタン樹脂発泡体の全原料に対して1〜10重量%用いる。
【0029】
ポリウレタン樹脂発泡体をプレポリマー法により製造する場合において、プレポリマーの硬化には鎖延長剤を使用する。鎖延長剤は、少なくとも2個以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。具体的には、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールや低分子量ポリアミンを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0030】
また、前記ポリシロキサン基含有ジオールを鎖延長剤として用いてもよい。
【0031】
本発明におけるイソシアネート成分、ポリオール成分、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨パッドの所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨パッドを得るためには、ポリオール成分と鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対するイソシアネート成分のイソシアネート基数は、0.80〜1.20であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.15である。イソシアネート基数が前記範囲外の場合には、硬化不良が生じて要求される比重及び硬度が得られず、研磨特性が低下する傾向にある。
【0032】
ポリウレタン樹脂発泡体は、溶融法、溶液法など公知のウレタン化技術を応用して製造することができるが、コスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
【0033】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造は、プレポリマー法、ワンショット法のどちらでも可能であるが、事前にイソシアネート成分とポリオール成分からイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が、得られるポリウレタン樹脂の物理的特性が優れており好適である。
【0034】
本発明においては、ポリウレタン樹脂を発泡体にするために、中空微小体を使用する。プレポリマー法において、中空微小体は、イソシアネート末端プレポリマーを含む第1成分に添加してもよく、鎖延長剤を含む第2成分に添加してもよいが、ポリウレタン樹脂発泡体中に均一に分散させるために第1成分に添加することが好ましい。
【0035】
前記中空微小体とは、内部が中空であり、外郭が樹脂で形成されているものである。本発明においては、公知の中空微小体を特に限定なく使用可能であり、例えば、エクスパンセル DE(日本フィライト社製)、ミクロパール(松本油脂工業製)、及びARBOCEL(Rettenmaier&Sohne製)、マツモトマイクロスフェアーF(松本油脂製薬製)等が例示される。
【0036】
中空微小体の添加量は特に制限されないが、ポリウレタン樹脂発泡体中に0.1〜10重量%になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.3〜5重量%である。
【0037】
なお、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
【0038】
研磨パッド(研磨層)を構成する熱硬化性ポリウレタン樹脂発泡体をプレポリマー法で製造する場合の具体例について以下に説明する。かかるポリウレタン樹脂発泡体の製造方法は、以下の工程を有する。
1)中空微小体の混合工程
イソシアネート末端プレポリマーを含む第1成分に中空微小体を添加し、均一に分散させて分散液を得る。前記プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
2)硬化剤(鎖延長剤)の混合工程
上記分散液に鎖延長剤を含む第2成分を添加、混合して反応液を得る。
3)注型工程
上記反応液を金型に流し込む。
4)硬化工程
金型に流し込まれた反応液を加熱し、反応硬化させる。
【0039】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造方法においては、反応液を型に流し込んで流動しなくなるまで反応した発泡体を、加熱、ポストキュアすることは、発泡体の物理的特性を向上させる効果があり、極めて好適である。
【0040】
第3級アミン系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。触媒の種類、添加量は、混合工程後、所定形状の型に流し込む流動時間を考慮して選択する。
【0041】
ポリウレタン樹脂発泡体の製造は、各成分を計量して容器に投入し、撹拌するバッチ方式であっても、また撹拌装置に各成分を連続して供給して撹拌し、反応液を送り出して成形品を製造する連続生産方式であってもよい。
【0042】
また、ポリウレタン樹脂発泡体の原料となるプレポリマー及び中空微小体等を反応容器に入れ、その後鎖延長剤を投入、撹拌後、所定の大きさの注型に流し込みブロックを作製し、そのブロックを鉋状、あるいはバンドソー状のスライサーを用いてスライスする方法、又は前述の注型の段階で、薄いシート状にしても良い。また、原料となる樹脂を溶解し、Tダイから押し出し成形して直接シート状のポリウレタン樹脂発泡体を得ても良い。
【0043】
また、ポリウレタン樹脂発泡体の製造方法としては、機械的発泡法、化学的発泡法などの公知の方法を併用してもよい。
【0044】
前記ポリウレタン樹脂発泡体中の中空微小体の平均セル径は、150μm以下であることが好ましく、より好ましくは30〜70μmである。この範囲から逸脱する場合は、研磨後の研磨対象物のプラナリティ(平坦性)が低下する傾向にある。
【0045】
前記ポリウレタン樹脂発泡体の硬度は、アスカーD硬度計にて、40〜70度であることが好ましい。アスカーD硬度が40度未満の場合には、研磨対象物のプラナリティが低下し、一方、70度を超える場合は、プラナリティは良好であるが、研磨対象物のユニフォーミティ(均一性)が低下する傾向にある。
【0046】
前記ポリウレタン樹脂発泡体の比重は、0.5〜1.3であることが好ましい。比重が0.5未満の場合、研磨層の表面強度が低下し、研磨対象物のプラナリティが低下する傾向にある。また、1.3より大きい場合は、研磨層表面の気泡数が少なくなり、プラナリティは良好であるが、研磨速度が低下する傾向にある。
【0047】
前記ポリウレタン樹脂発泡体は、吸水率が3.7%以下であることが好ましく、より好ましくは3.5%以下である。また、前記ポリウレタン樹脂発泡体は、曲げ弾性変化率(wet/dry)が40%以下であることが好ましく、より好ましくは35%以下である。なお、前記各物性の測定方法は実施例の記載による。
【0048】
本発明の研磨パッド(研磨層)の研磨対象物と接触する研磨表面には、スラリーを保持・更新する表面形状を有することが好ましい。発泡体からなる研磨層は、研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持・更新する働きを持っているが、更なるスラリーの保持性とスラリーの更新を効率よく行うため、また研磨対象物との吸着による研磨対象物の破壊を防ぐためにも、研磨表面に凹凸構造を有することが好ましい。凹凸構造は、スラリーを保持・更新する形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝、及びこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの凹凸構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
【0049】
前記凹凸構造の作製方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定サイズのバイトのような治具を用い機械切削する方法、所定の表面形状を有した金型に樹脂を流しこみ、硬化させることにより作製する方法、所定の表面形状を有したプレス板で樹脂をプレスし作製する方法、フォトリソグラフィを用いて作製する方法、印刷手法を用いて作製する方法、炭酸ガスレーザーなどを用いたレーザー光による作製方法などが挙げられる。
【0050】
本発明の研磨パッドは、前記研磨層とクッションシートとを貼り合わせたものであってもよい。
【0051】
前記クッションシート(クッション層)は、研磨層の特性を補うものである。クッションシートは、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために必要なものである。プラナリティとは、パターン形成時に発生する微小凹凸のある研磨対象物を研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、研磨対象物全体の均一性をいう。研磨層の特性によって、プラナリティを改善し、クッションシートの特性によってユニフォーミティを改善する。本発明の研磨パッドにおいては、クッションシートは研磨層より柔らかいものを用いることが好ましい。
【0052】
前記クッションシートとしては、例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布やポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、感光性樹脂などが挙げられる。
【0053】
研磨層とクッションシートとを貼り合わせる手段としては、例えば、研磨層とクッションシートとを両面テープで挟みプレスする方法が挙げられる。
【0054】
前記両面テープは、不織布やフィルム等の基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を有するものである。クッションシートへのスラリーの浸透等を防ぐことを考慮すると、基材にフィルムを用いることが好ましい。また、接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は、金属イオン含有量が少ないため好ましい。また、研磨層とクッションシートは組成が異なることもあるため、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、各層の接着力を適正化することも可能である。
【0055】
本発明の研磨パッドは、プラテンと接着する面に両面テープが設けられていてもよい。該両面テープとしては、上述と同様に基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を有するものを用いることができる。基材としては、例えば不織布やフィルム等が挙げられる。研磨パッドの使用後のプラテンからの剥離を考慮すれば、基材にフィルムを用いることが好ましい。また、接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は、金属イオン含有量が少ないため好ましい。
【0056】
半導体デバイスは、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を経て製造される。半導体ウエハとは、一般にシリコンウエハ上に配線金属及び酸化膜を積層したものである。半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、
図1に示すように研磨パッド(研磨層)1を支持する研磨定盤2と、半導体ウエハ4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えた研磨装置などを用いて行われる。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と半導体ウエハ4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。研磨に際しては、研磨定盤2と支持台5とを回転させつつ半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付け、スラリーを供給しながら研磨を行う。スラリーの流量、研磨荷重、研磨定盤回転数、及びウエハ回転数は特に制限されず、適宜調整して行う。
【0057】
これにより半導体ウエハ4の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
[測定、評価方法]
(ポリオール成分の重量平均分子量の測定)
ポリオール成分の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)にて測定し、標準ポリスチレンにより換算した。
GPC装置:島津製作所製、LC−10A
カラム:Polymer Laboratories社製、(PLgel、5μm、500Å)、(PLgel、5μm、100Å)、及び(PLgel、5μm、50Å)の3つのカラムを連結して使用
流量:1.0ml/min
濃度:1.0g/l
注入量:40μl
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
【0060】
(硬度の測定)
JIS K6253−1997に準拠して行った。作製したポリウレタン樹脂発泡体を2cm×2cm(厚み:任意)の大きさに切り出したものを硬度測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時には、試料を重ね合わせ、厚み6mm以上とした。硬度計(高分子計器社製、アスカーD型硬度計)を用い、硬度を測定した。
【0061】
(比重の測定)
JIS Z8807−1976に準拠して行った。作製したポリウレタン樹脂発泡体を4cm×8.5cmの短冊状(厚み:任意)に切り出したものを比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定には比重計(ザルトリウス社製)を用い、比重を測定した。
【0062】
(吸水率の測定)
JIS K7312に準拠して測定した。作製したポリウレタン樹脂発泡体を幅20mm×長さ50mm×厚み1.27mmの大きさに切り出したものをサンプルとした。該サンプルを25℃の蒸留水中に48時間浸漬し、浸漬前後の重さを下記式に代入して吸水率を算出した。
吸水率(%)=[(浸漬後の重さ−浸漬前の重さ)/浸漬前の重さ]×100
【0063】
(曲げ弾性変化率の測定)
作製したポリウレタン樹脂発泡体を幅1cm、長さ3cm、厚み2mmの大きさに切り出したものをサンプルとした。測定装置としてインストロン社製の5864卓上試験システムを用い、曲げ強度測定用治具の交点間距離22mm、クロスヘッド速度0.6mm/min、移動変位量6.0mmの条件でサンプルの応力及び歪を測定し、下記式により曲げ弾性率を算出した。
曲げ弾性率=(直線部分の2点間の応力差)/(同じ2点間の歪の差)
また、サンプルを23℃±2℃の蒸留水に48時間浸漬し、その後、前記と同様の方法で曲げ弾性率を算出した。
曲げ弾性変化率は下記式により算出した。
曲げ弾性変化率(%)=(浸漬前の曲げ弾性率−浸漬後の曲げ弾性率)/(浸漬前の曲げ弾性率)×100
【0064】
(研磨速度の測定)
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、研磨速度の測定を行った。研磨速度は、8インチのシリコンウエハ上に熱酸化膜2000Å、Ta100Å、TaN100Å、及びCu−seed800Åをこの順で堆積させ、その上にCuメッキ25000Åを製膜したものを1枚につき60秒研磨し、このときの研磨量から算出した。初期研磨速度は4枚目の研磨速度とした。後期研磨速度は12枚目の研磨速度とした。そして、研磨速度維持率は下記式により算出した。
研磨速度維持率(%)=[1−{(初期研磨速度−後期研磨速度)/初期研磨速度}]×100
Cu膜の膜厚測定には、非接触抵抗測定システム(ナプソン社製、Model−NC−80M)を用いた。研磨条件としては、スラリーとして、Cu用中性スラリー(フジミインコーポレット社製、PL7101)に過酸化水素を1重量%添加したものを研磨中に流量200ml/minにて添加した。研磨荷重としては2psi、研磨定盤回転数70rpm、ウエハ回転数70rpmとした。なお、作製した研磨パッドをプラテンに貼付後に、ダイヤモンド砥粒ディスク(旭ダイヤ社製、M#100)を用いて研磨パッド表面を30分間ドレス処理した。ドレス処理条件は、ディスク荷重0.6psi、研磨定盤回転数30rpm、ディスク回転数15rpmとした。
【0065】
実施例1
容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)1173重量部、イソホロンジイソシアネート264重量部、一般式(1)で表されるポリシロキサン基含有ジオールA(チッソ株式会社、FM−DA11、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:1000、水酸基価:112.2mgKOH/g)48重量部、重量平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール1638重量部、重量平均分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコール283重量部、及びジエチレングリコール195重量部を入れ、70℃で4時間反応させてイソシアネート末端プレポリマーA(NCOwt%:9.25wt%)を得た。
70℃に調整し減圧脱泡した前記プレポリマーA100重量部、及び中空微小体としてエクスパンセル551DE(日本フィライト社製)3重量部を重合容器内に加え、ハイブリッドミキサー(キーエンス製)で3分間混合した。得られた混合液を70℃で1時間減圧脱泡して分散液を得た。そこへ予め120℃に溶融した4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)26.4重量部を添加し(NCO Index:1.1)、ハイブリッドミキサーで1分間混合して反応液を調製した。そして、該反応液をパン型のオープンモールド(注型容器)へ流し込んだ。この反応液の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、100℃で16時間ポストキュアを行い、ポリウレタン樹脂発泡体ブロックを得た。
約80℃に加熱した前記ポリウレタン樹脂発泡体ブロックをスライサー(アミテック社製、VGW−125)を使用してスライスし、ポリウレタン樹脂発泡体シートを得た。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して、厚さ1.27mmになるまで該シートの表面バフ処理をし、厚み精度を整えたシートとした。このバフ処理をしたシートを直径61cmの大きさで打ち抜き、溝加工機(テクノ社製)を用いて表面に溝幅0.25mm、溝ピッチ1.50mm、溝深さ0.40mmの同心円状の溝加工を行い、研磨層を得た。この研磨層の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼りつけた。更に、コロナ処理をしたクッションシート(東レ社製、ポリエチレンフォーム、トーレペフ、厚み0.8mm)の表面をバフ処理し、それを前記両面テープにラミ機を使用して貼り合わせた。さらに、クッションシートの他面にラミ機を使用して両面テープを貼り合わせて研磨パッドを作製した。
【0066】
実施例2〜7、比較例1〜4
表1に記載の配合を採用した以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。表1中のポリシロキサン基含有ジオールB及びCは以下のとおりである。
一般式(1)で表されるポリシロキサン基含有ジオールB(チッソ株式会社、FM−DA21、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:5000、水酸基価:22.4mgKOH/g)
一般式(1)で表されるポリシロキサン基含有ジオールC(チッソ株式会社、FM−DA26、R
1:ブチル基、m:3、重量平均分子量:15000、水酸基価:7.5mgKOH/g)
【0067】
【表1】