(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、電子黒板の普及が進行している。電子黒板は、指や電子ペン等を入力手段に用い、チョークを用いて黒板に描画するときと同様の操作性を電子的に実現することができる。電子黒板は、座標入力装置と表示装置で構成される。因みに、座標入力装置は、入力手段による操作位置を検出する位置検出装置と、位置情報を処理する演算装置で構成される。
【0003】
因みに、表示装置には、PDP(Plasma Display Panel)、LCD(Liquid Crystal Display)、プロジェクタ等が用いられている。また、位置検出装置には、タブレット型やタッチパネル型の検出装置が普及し始めている。これを実現する技術として、電磁誘導方式、超音波方式など様々な技術が実用化されている。
【0004】
この他、位置検出装置には、イメージセンサを用いて表示面近傍(以下「操作入力面」ともいう。)を撮像し、その撮像画像の信号処理を通じて操作入力面を横切る入力物体の位置を検出する光学式の検出装置もある(特許文献1及び2を参照)。光学式の検出装置は、描画応答性のよさ、赤外線、太陽光線、温度変化等の外部ノイズ耐性が強い等の利点のため利用数が年々増加しつつある。
【0005】
光学式の位置検出装置は、イメージセンサ、その取得画像を処理する制御基板、光源により構成され、それらは操作入力面の周囲に配置される。光学式の位置検出装置では、操作入力面の周辺にイメージセンサが2つ以上設置される。これは、操作入力面を横切る入力物体又はその影を複数の視野から検出し、三角測量の原理に従って、入力座標を検出するためである。
【0006】
なお、イメージセンサの近傍には、LED(Light Emitting Diode)等の光を照射する光源が複数設置される。光源は、操作入力面の周囲を取り囲むように設置される再帰反射性を有する反射面を照射するように、操作入力面に対してほぼ平行に取り付けられる。通常、再帰反射性を有する反射面には、微細なコーナーキューブリフレクタ等を一様に配置した再帰反射テープが用いられる。再帰反射テープは、光線の入射角に関わらず、光源方向に光線を再帰反射することができる。以下、再帰反射テープを少なくとも1辺に沿って貼り付けた枠体を再帰反射枠という。
【0007】
すなわち、光学式の位置検出装置は、操作入力面に沿うように光線を照射し、再帰反射テープにおいて再帰反射された反射光をイメージセンサで受光(撮像)する構成を採用する。このため、入力物体が操作入力面に接近して操作入力面を横切る(すなわち、光線を遮断する)と、撮像画像に影が出現する。光学式の位置検出装置では、複数のイメージセンサで検出された影の位置を制御基板に与え、入力物体が横切った操作入力面上の座標を算出する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0014】
さらに、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するものを含むものとする。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
[電子黒板システムの従来構成]
まず、電子黒板システムの全体構成を説明する。ここでは、形態例に係る電子黒板システムとの違いを明確にするため、最初に従来型の電子黒板システムについて説明する。
【0017】
図1に、光学式の位置検出装置を使用する従来型の電子黒板システムの概要を示す。
図1に示す電子黒板システム10は、座標入力装置11と、指示物体12と、演算装置14と、表示装置15を有している。
【0018】
座標入力装置11は、信号処理部としての位置検出装置13と、構造体としての再帰反射枠16で構成されている。位置検出装置13と再帰反射枠16は、いずれも不図示の枠体に取り付けられている。因みに、再帰反射枠16は、操作入力面に向かって右辺、左辺、下辺の外縁を取り囲むように配置される。再帰反射枠16のうち操作入力面に対して垂直な面には再帰反射テープが貼り付けられている。再帰反射テープの表面には微細なコーナーキューブや球形のビーズが一面に形成されている。
【0019】
位置検出装置13は、制御デバイス131と、撮像ユニット(左)132と、撮像ユニット(右)133を有している。撮像ユニット132は、イメージセンサと光源で構成される。撮像ユニット132の画角は約90度であり、操作入力面の右辺と下辺に配置された再帰反射テープを撮像する。一方の撮像ユニット(右)133の画角も約90度であり、操作入力面の左辺と下辺に配置された再帰反射テープを撮像する。なお、イメージセンサの近傍に配置される不図示の光源は、対応する撮像ユニット132及び133の撮像範囲と同じ範囲に赤外線を照射する。
【0020】
前述したように、再帰反射テープに入射した赤外線は、どの角度で入射した場合でも、光源方向に反射される。このため、撮像ユニット132及び133のイメージセンサは、再帰反射テープで反射された赤外光を受光する。従って、赤外線の入射及び反射光路によって形成される操作入力面を横切る指示物体12が存在しない場合、撮像ユニット132及び133のイメージセンサは、撮像範囲にある再帰反射テープ面をそのまま撮像する。一方、指や棒等の指示物体12が操作入力面を横切る場合、物体は撮像画面上の影として撮像ユニット132及び133のイメージセンサに撮像される。なお、指示物体12には、無線通信機能を搭載する電子ペンも含まれる。
【0021】
制御デバイス131は、撮像ユニット132及び133から撮像画像を入力して影の位置情報を求め、その位置情報から三角測量の原理に基づいて操作入力面上における指示物体12の座標(X,Y)を計算する。計算された座標(X,Y)は、コンピュータその他で構成される演算装置14に座標情報として送信される。演算装置14は、受信した座標情報に基づいて、描画情報(文字、線、図形等)を生成し、表示装置15に出力する。表示装置15は、
図1に示すようにプロジェクタを用いても良いし、PDPやLCD等のフラットディスプレイを用いることも可能である。
【0022】
図2に撮像ユニット132及び133の詳細構成を示し、
図3に撮像ユニット132及び133により取得される撮像画面例を示す。
図2に示すように、撮像ユニット132及び133は、イメージセンサ134と複数のLED135で構成される。
図2の場合、LED135は、照射方向が広角になるように複数配置されている。イメージセンサ134には、CCDセンサ、CMOSセンサその他の撮像素子が用いられ、受光面に配置されたレンズを通して再帰反射テープ面の画像を取得する。なお、LED135からは赤外線が照射される。
【0023】
図3の上段は、各イメージセンサ134の画角範囲を表している。また、
図3の中段は、操作入力面の右上隅に配置されるイメージセンサ134の撮像画面例を示し、
図3の下段は、操作入力面の左上隅に配置されるイメージセンサ134の撮像画面例を示している。
図3に示すように、撮像画面には指示物体12(この場合は、先が円錐形状のペン)が影として撮像された様子を表している。
【0024】
なお、座標読み取りの精度を向上するためには、イメージセンサ134の光軸とLED135の光軸を一致させる又は近づける必要がある。因みに、特許文献1にはイメージセンサ134の近傍にLED135を設置する方法が記載され、特許文献2にはハーフミラーを用いてイメージセンサ134とLED135の光軸を一致させる方法が記載されている。
【0025】
[形態例で使用する位置検出装置]
図4に、本形態例で使用する位置検出装置230と、その撮像画角の関係を示す。なお、
図4には示していないが、位置検出装置230の筺体には、プロジェクタが一体的に取り付けられている。
【0026】
まず、本形態例で使用する位置検出装置230の基本構成と、その撮像画角の関係を説明する。位置検出装置230は、独立した筺体内に、制御デバイス231と、撮像ユニット(左)232と、撮像ユニット(右)233の全てを有している。制御デバイス231の機能は、
図1の制御デバイス131に対応する。撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233は、
図1の撮像ユニット(左)132と撮像ユニット(右)133に対応する。
【0027】
撮像ユニット(左)232と撮像ユニット(右)233の画角は、いずれもほぼ180度である。撮像ユニットは、イメージセンサとLEDで構成される。LEDが照明する角度も、ほぼ180度である。撮像ユニットは、撮像角度と照射角度の違いを除き、
図2で示した構造と同様である。もっとも、画角は、三角測量が可能であれば180度に限らない。画角は、例えば160度以上でも良い。
【0028】
図4の中段に撮像ユニット233で撮像される撮像画像を示し、
図4の下段に撮像ユニット232で撮像される撮像画像を示す。このように、画角が広い撮像ユニットを用いるため、撮像ユニット232及び233は、操作入力面の左辺、下辺、右辺に位置する再帰反射テープの全体を撮像することができる。
【0029】
従って、撮像ユニット232及び233は、操作入力面の左右端よりも内側に配置することができる。このことは、操作入力面のサイズ毎に専用の位置検出装置230を設ける必要がないことを意味する。すなわち、本形態例に係る位置検出装置230は、任意のサイズの操作入力面において共通に用いることができる。そこで、
図4では、操作入力面の水平方向長に比して大幅に長さが短い位置検出装置230を用い、操作入力面の上辺中心付近に配置する例を示している。
【0030】
[使用形態]
この形態例に係る電子黒板システムは、机上、床等の任意の水平面への設置を想定する。ただし、不図示のプロジェクタから投影面である机上に画面を投影する際、机上の色が暗いと、投影面が見えづらい可能性がある。そこで、本形態例は、白色又はこれに近い色のシート201を使用する。なお、シート201は、不使用時(収納時)には、巻きつけ又は折り曲げ可能な可撓性の材料で構成されている。
以下、本形態例で使用する再帰反射枠付きシート201の実施例を説明する。
【0031】
[実施例1]
図5に、実施例1に係るシート201の構成例を示す。シート201の上辺及び下辺の長さは、左辺及び右辺に比して短い矩形形状を有している。実施例1に係るシート201には、その左辺と右辺に再帰反射枠16A及び16Bが固定されている。シート201に固定された再帰反射枠16A及び16Bのうち操作入力面を囲む面には、再帰反射テープ211が貼りつけられている。
【0032】
左辺に位置する再帰反射枠16Aの下端付近には、蝶番220を介し、下辺として用いられる再帰反射枠16Cが回転自在に取り付けられている。因みに、蝶番220の一方の固定具は、再帰反射テープ211の取付面に取り付けられ、他方の固定具は、下辺として用いられる再帰反射枠16Cの長軸方向の側端面に固定されている。この構成により、下辺として用いられる再帰反射枠16Cは、蝶番220の支軸を中心にシート201の面に沿った開閉が可能となる。
【0033】
収納時、使用者は、下辺として用いられる再帰反射枠16Cを把持し、蝶番220の支軸を中心に反時計周りに回転する。そして、下辺として用いられる再帰反射枠16Cを、左辺の再帰反射枠16Aと平行な位置で止める。このとき、左辺の再帰反射枠16Aと下辺の再帰反射枠16Cの2本は平行な状態になる。この2本の再帰反射枠16A及びCにシート201を巻きつける又は2つに折り曲げれば、電子黒板をコンパクトに収納することができる。
【0034】
使用時、使用者は、シート201を水平面上で広げ、左辺の再帰反射枠16Aに折りたたんであった下辺の再帰反射枠16Cを、蝶番220を中心に時計周りに移動させる。下辺の再帰反射枠16Cを初期位置から90°回転させると、蝶番220側の左辺の再帰反射枠16Aに、下辺の再帰反射枠16Cの長軸方向の側端面が当たって止まる。このとき、下辺として使用される再帰反射枠16Cの先端側面(軸方向の側端面)は、右辺の再帰反射枠16Bの再帰反射テープ211の張り付け面に当たって固定される。
【0035】
もっとも、下辺として使用される再帰反射枠16Cの先端側面と右辺の再帰反射枠16Bとの間には、わずかに隙間があってもよい。この場合、下辺として使用される再帰反射枠16Cの停止位置は、蝶番220側の枠体同士の当接により決まる。さらに、下辺として使用される再帰反射枠16Cの取付角度は使用条件には無関係である。再帰反射テープ211は、照明光の入射角度に関係なく光源方向に照明光を反射できるためである。なお、少なくとも隙間部分に相当する長さの再帰反射テープ211が、下辺として使用される再帰反射枠16Cの端面からはみ出していてもよい。隙間が少なくなることで、指示物体12の位置検出不能領域を無くす又は最小化できる。
【0036】
なお、
図5の場合、下辺として使用され、蝶番220を中心に回転移動される再帰反射枠16Cは左辺側の再帰反射枠16Aの下端寄りに取り付けられているが、取付位置はこれに限らない。例えば右辺側の再帰反射枠16Bの下端寄りに取り付けられてもよい。
【0037】
[実施例2]
図6に、実施例2に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201の基本構造は、実施例1のシート201と同様である。すなわち、本実施例の場合も、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、蝶番220を中心に回転移動される。
【0038】
実施例1との違いは、蝶番220を中心に回転移動される再帰反射枠16Cが2つの部材16C1及び16C2で構成され、先端側に位置する部材16C2は、蝶番220側の部材16C1に対してスライド可能である点である。スライド構造は任意である。例えば部材16C1を筒状に形成し、部材16C2を部材16C1に対して出し入れ可能に構成する。いずれにしても、収納時には部材16C2を部材16C1内に収容し、使用時には部材16C2を部材16C1から引き出して使用する。
【0039】
この構造の利点は、左辺に対して下辺の長さが大幅に長いときである。実施例1の場合、収納時の枠体の最大長は下辺の再帰反射枠16Cで決まるが、実施例2の場合には、下辺の再帰反射枠16の長さが可変であるため、収納時における枠体の最大長を使用時における下辺の再帰反射枠16Cの長さ以下にできる。好ましい実施例では、収納時における枠体の最大長を、左辺の再帰反射枠16Aの長さ以下に制限できる。
【0040】
なお、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、2つの部材である必要はなく、3つの部材で構成されていてもよい。また、下辺として使用される再帰反射枠16は、スライド式ではなく、組み立て式でもよい。
【0041】
[実施例3]
図7に、実施例3に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201の基本構造も、実施例1のシート201と同様である。すなわち、本実施例の場合も、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、蝶番220を中心に回転移動される。
【0042】
実施例1との違いは、蝶番220が2つであることである。すなわち、下辺として使用される再帰反射枠16Cが2つの部材16C11で構成され、それぞれが左辺側の再帰反射枠16Aの蝶番220と右辺側の再帰反射枠16Bの蝶番220に回転自在に取り付けられている点である。この構成の場合、使用時には、2つの部材16C11の先端同士が当たった状態で止まる。もっとも、2つの部材16C11の先端同士の間には隙間が形成されていてもよいし、隙間を塞ぐように再帰反射テープ211の一端が、部材16C11の先端から飛び出していてもよい。
【0043】
この構造の場合も、収納時における枠体の最大長を使用時における下辺の再帰反射枠16Cの長さ以下にできる。好ましい実施例では、収納時における枠体の最大長を、左辺及び右辺の再帰反射枠16A、16Bの長さ以下に制限できる。
【0044】
[実施例4]
図8に、実施例4に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201の基本構造は、実施例3のシート201と同様である。すなわち、本実施例の場合も、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、シート201の左右両辺の再帰反射枠16A、16Bに取り付けられた蝶番220を中心に回転移動可能である。
【0045】
実施例3との違いは、蝶番220を中心に回転移動される再帰反射枠16Cが2つの部材16C21及び16C22で構成され、先端側に位置する部材16C22は、蝶番220側の部材16C21に対してスライド可能である点である。すなわち、実施例2と同様である。
【0046】
なお、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、2つの部材である必要はなく、3つの部材で構成されていてもよい。また、下辺として使用される再帰反射枠16Cは、スライド式ではなく、組み立て式でもよい。
【0047】
[実施例5]
図9に、実施例5に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201も、実施例1と同様、その左辺側と右辺側に再帰反射枠16が固定されている。
【0048】
実施例1との違いは、本実施例における電子黒板システムは、下辺として使用される再帰反射枠16Cが、シート201に対して独立した部品として用意されている点である。
【0049】
この実施例の場合、下辺として使用される再帰反射枠16C31の両端には、取付構造171が形成されている。この取付構造171は、例えば断面矩形の切り欠きである。切り欠きの大きさは、左辺及び右辺の再帰反射枠16A、16Bを嵌め込むのに十分な大きさを有している。勿論、各再帰反射枠の長軸方向の側面の一つには再帰反射テープ211が張り付けられている。
【0050】
収納時、使用者は、下辺として用いられる再帰反射枠16C31をシート201から取り外す。そして、左辺又は右辺の再帰反射枠16A、16Bにシート201を巻きつけ又は2つに折り曲げ、電子黒板をコンパクトに収納する。このとき、下辺として用いられる再帰反射枠16C31を左右の再帰反射枠16A、16Bに重ね、それらにシート201を巻きつけてもよい。
【0051】
使用時、使用者は、シート201を水平面上で広げ、別部品である下辺の再帰反射枠16C31の取付構造171を、左辺の再帰反射枠16Aと右辺の再帰反射枠16Bに嵌め込むように取り付ける。
【0052】
なお、取付機構171と左右2つの再帰反射枠16A、16Bとの取り付けは機械的な嵌め込みに限らず、ネジ止め機構により取り付けであってもよい。また、シート201は机上等の水平面に設置するため、下辺を構成する再帰反射枠16C31は、必ずしも左右2つの再帰反射枠16A、16Bに取り付ける必要はなく、端にシート201の下辺に沿って配置するだけでもよい。
【0053】
[実施例6]
図10に、実施例6に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201も、実施例5と同様、下辺として使用される再帰反射枠16Cが、シート201に対して別部品で構成される。
【0054】
実施例5との違いは、下辺として使用される再帰反射枠が2つの部材16C41及び16C42で構成され、一方の部材16C41は、他方の部材16C42に対してスライド可能である点である。スライド構造は任意である。例えば部材16C41を筒状に形成し、部材16C42を部材16C41に対して出し入れ可能に構成する。いずれにしても、収納時には部材16C42を部材16C41内に収容し、使用時には部材16C42を部材16C41から引き出して使用する。
【0055】
この構造の利点は、左辺に対して下辺の長さが大幅に長いときである。実施例5の場合、収納時の枠体の最大長は下辺の再帰反射枠16Cで決まるが、実施例6の場合には、下辺の再帰反射枠の長さが可変であるため、収納時における枠体の最大長を使用時における下辺の再帰反射枠の長さ以下にできる。好ましい実施例では、収納時における枠体の最大長を、左辺の再帰反射枠16Aの長さ以下に制限できる。
【0056】
なお、下辺として使用される再帰反射枠は、2つの部材である必要はなく、3つの部材で構成されていてもよい。また、下辺として使用される再帰反射枠は、スライド式ではなく、組み立て式でもよい。
【0057】
[実施例7]
図11に、実施例7に係るシート201の構成例を示す。この実施例の場合、シート201の下辺にのみ再帰反射枠16Cが固定されており、左辺と右辺の再帰反射枠16A1、16B1は独立した部品として構成される。
【0058】
この場合、左辺用の再帰反射枠16A1と右辺用の再帰反射枠16B1はそれぞれ、シート201の下辺に固定された再帰反射枠16Cに着脱可能に取り付けられる。または、左辺用の再帰反射枠16A1と右辺用の再帰反射枠16B1はそれぞれ、シート201の左辺と右辺に沿うように配置される。シート201は、机上の水平面に置かれるため、必ずしも、下辺の再帰反射枠16Cに取り付けられなくてもよい。例えばシート201の右辺と左辺に沿って再帰反射枠16A1、16B1を配置するだけでもよい。
【0059】
収納時、使用者は、左辺用の再帰反射枠16A1と右辺用の再帰反射枠16B1をシート201から取り外す。そして、長辺である下辺の再帰反射枠16Cにシート201を巻きつけ又は2つに折り曲げ、電子黒板をコンパクトに収納する。このとき、左右の再帰反射枠16A1、16B1も下辺の再帰反射枠16Cに重ね、それらにシート201を巻きつけてもよい。
【0060】
使用時、使用者は、シート201を水平面上で広げ、別部品である左右2つの再帰反射枠16A1、16B1を、シート201の左辺と右辺に沿って配置する。なお、左右2つの再帰反射枠16A1、16B1は、機械的な嵌め込みにより下辺の再帰反射枠16Cに取り付けてもよいし、ネジ止め機構を用いて下辺の再帰反射枠16Cに取り付けてもよい。
【0061】
[実施例8]
図12に、実施例8に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201も、実施例7と同様、下辺として使用される再帰反射枠16Cがシート201に対して固定されており、左辺用と右辺用の再帰反射枠が別部品で構成される。
【0062】
実施例7との違いは、左辺用と右辺用の再帰反射枠が2つの部材16A11及び16A12で構成され、一方の部材16A12は、他方の部材16A11に対してスライド可能である点である。スライド構造は任意である。例えば部材16A11を筒状に形成し、部材16A12を部材16C11に対して出し入れ可能に構成する。いずれにしても、収納時には部材16C12を部材16C11内に収容し、使用時には部材16C12を部材16C11から引き出して使用する。
【0063】
なお、左辺用と右辺用に使用される再帰反射枠は、2つの部材である必要はなく、3つの部材で構成されていてもよい。また、下辺として使用される再帰反射枠は、スライド式ではなく、組み立て式でもよい。
【0064】
[実施例9]
図13に、実施例9に係るシート201の構成例を示す。この実施例に係るシート201も、実施例7と同様、下辺として使用される再帰反射枠16Cがシート201に対して固定されている。
【0065】
実施例7との違いは、左辺用と右辺用の再帰反射枠16A21、16B21が蝶番220によって下辺用の再帰反射枠16Cの両端に回転可能に取り付けられている点である。
【0066】
収納時、使用者は、左辺用の再帰反射枠16A21を把持し、蝶番220を中心に時計周りに回転する。また、使用者は、右辺用の再帰反射枠16B21を把持し、蝶番220を中心に反時計周りに回転する。そして、左右2つの再帰反射枠16A21、16B21がシート201の下辺に平行な位置で止める。このとき、左右2辺の再帰反射枠16A21、16B21と下辺の再帰反射枠16Cの2本は平行な状態になる。この2本の再帰反射枠16A21、16B21にシート201を巻きつける又は2つに折り曲げれば、電子黒板をコンパクトに収納することができる。
【0067】
使用時、使用者は、シート201を水平面上で広げ、左辺用の再帰反射枠16A21を反時計周りに回転し、右辺用の再帰反射枠16B21を時計周りに回転する。左辺用と右辺用の再帰反射枠16A21、16B21の回転は、それぞれ初期位置から90°の位置で止まる。
【0068】
なお、
図13では、左辺用と右辺用の各再帰反射枠16A21、16B21が1つの部材で構成されているが、それぞれ2つの部材によるスライド構造を有していてもよい。勿論、スライド構造は任意である。また、左辺用と右辺用に使用される再帰反射枠は、2つの部材である必要はなく、3つの部材で構成されていてもよい。また、下辺として使用される再帰反射枠は、スライド式ではなく、組み立て式でもよい。
【0069】
[実施例10]
図14に、実施例9に係るシート201の構成例を示す。前述の実施例1〜6においては、シート201の左辺と右辺に再帰反射枠が固定されている場合について説明した。
【0070】
しかし、本実施例に示すように、シート201の上下辺に再帰反射枠16C、16Dを固定し、左辺又は右辺に別部材としての再帰反射枠16A31を取り付け又は配置する構成としてもよい。
【0071】
[実施例11]
図15に、実施例10に係るシート201の構成例を示す。前述の実施例7〜8においては、シート201の下辺に再帰反射枠が固定されている場合について説明した。
【0072】
しかし、本実施例に示すように、シート201の左辺にのみ再帰反射枠16Aを固定し、上下辺に別部材としての再帰反射枠16C41、16D41を取り付け又は配置する構成としてもよい。
【0073】
[実施例12]
図16に、実施例11に係るシート201の他の構成例を示す。前述の実施例においては、シート201の1辺又は対向する2辺に再帰反射枠を固定し、残りの2辺又は1辺に独立部品としての再帰反射枠を配置又は取り付ける場合について説明した。
【0074】
本実施例では、各実施例に共通するシート面の構造を説明する。本実施例の場合、シート201の投影面(具体的には、操作入力面の上辺中央付近)には、位置検出装置230とプロジェクタ312を一体的に固定したプロジェクタスタンド311の設置位置を示すマーク301が印刷されている。
【0075】
このように、シート面に設置位置を示すマーク301が印刷されていることにより、プロジェクタ一体型の位置検出装置230を容易に位置決めすることができる。