特許第5798104号(P5798104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798104
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ライフセーブ機能を具えたバッグ
(51)【国際特許分類】
   A45C 9/00 20060101AFI20151001BHJP
   B63C 9/08 20060101ALI20151001BHJP
   B63C 9/115 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   A45C9/00 M
   B63C9/08 B
   B63C9/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-266947(P2012-266947)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-113180(P2014-113180A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】512315153
【氏名又は名称】大石 桂三
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】大石 里枝
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240692(US,A1)
【文献】 実開昭56−002822(JP,U)
【文献】 実公昭12−003892(JP,Y1)
【文献】 米国特許第1805803(US,A)
【文献】 実開昭50−000698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 9/00
B63C 9/08
B63C 9/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の本体面部と、この一対の本体面部を側縁で繋ぐ妻面部と、前記一対の本体面部を下縁で繋ぎ、前記妻面部と連続している底面部とを具えた収容本体と、この収容本体に設けられる携行バンドとによりバッグ本体を構成し、前記バッグ本体の少なくとも本体面部には浮体が具えられ、更に前記妻面部と底面部とには、一対となった本体面部を拡げる方向に分割できるようにした分割構造を具え、更にまた一対の本体面部は、互いの拡開限界を設定するとともに、使用者の両上肢と頸部との通し部を構成するための脇ストラップをその周囲に具え、前記バッグ本体は、トートバッグタイプであり、前記浮体を本体面部に具えるにあたっては、本体面部の全面または一部を袋状とし、ここに軽量発泡樹脂製の浮体を収納するようにし、更に前記妻面部と底面部とにおける分割構造は、一方の妻面部上端から底面部を通り、更に他の妻面部の上端に至る連続したスライドファスナにより構成されており、 ライフジャケットとしてのライフセーブ機能を発現させる場合には、前記分割構造を作用させて一対の本体面部を拡開させ、いずれかの開放側から使用者が被るようにして、反対側の開放側から頭部を出して、ベスト状に使用者身体に装着できるようにしたことを特徴とするライフセーブ機能を具えたバッグ。
【請求項2】
前記脇ストラップは、伸縮自在のゴムベルトにより構成されていることを特徴とする前記請求項記載のライフセーブ機能を具えたバッグ。
【請求項3】
前記バッグ本体には、腰部用ベルトが具えられていることを特徴とする前記請求項1または2記載のライフセーブ機能を具えたバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成部材中に浮体を設けることにより、水難時等に使用者の安全を確保することができるライフセーブ機能を具えたバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海、湖沼、河川、池等への転落事故等の水難事故に備えるため、ライフジャケットが用いられているが、これらは日常生活の中で常に携行しているわけではない。例えば、津波等が発生した場合、その時点でライフジャケット等を個人が携行していることは殆どなく、地震に伴う津波対策は、沿岸地域では迅速な避難を行うことしかない。このような突発的な津波、洪水災害や池等への転落事故が発生した場合の対策として日常的に携行するバッグ等を利用して、ライフジャケット機能を付加する考え方は、例えば実用新案登録第3170277号に開示されている(特許文献1)。
本発明も、このような考えの一環としてなされたものであるが、従来手法を考察すると、より日常的に携行する機会の多い形態の身の回り品に適用すること、平常時の使用の際には、違和感がないこと等の点で、更に改善の余地が散見される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3170277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、日常生活の中で使用することが多いトートバッグなどを利用してライフセーブ機能を具えさせれば、より突発的な水による危険自体を回避できるであろうとの着想に基づき、新規なライフセーブ機能を具えたバッグの開発を試みたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のライフセーブ機能を具えたバッグは、一対の本体面部と、この一対の本体面部を側縁で繋ぐ妻面部と、前記一対の本体面部を下縁で繋ぎ、前記妻面部と連続している底面部とを具えた収容本体と、この収容本体に設けられる携行バンドとによりバッグ本体を構成し、前記バッグ本体の少なくとも本体面部には浮体が具えられ、更に前記妻面部と底面部とには、一対となった本体面部を拡げる方向に分割できるようにした分割構造を具え、更にまた一対の本体面部は、互いの拡開限界を設定するとともに、使用者の両上肢と頸部との通し部を構成するための脇ストラップをその周囲に具え、前記バッグ本体は、トートバッグタイプであり、前記浮体を本体面部に具えるにあたっては、本体面部の全面または一部を袋状とし、ここに軽量発泡樹脂製の浮体を収納するようにし、更に前記妻面部と底面部とにおける分割構造は、一方の妻面部上端から底面部を通り、更に他の妻面部の上端に至る連続したスライドファスナにより構成されており、 ライフジャケットとしてのライフセーブ機能を発現させる場合には、前記分割構造を作用させて一対の本体面部を拡開させ、いずれかの開放側から使用者が被るようにして、反対側の開放側から頭部を出して、ベスト状に使用者身体に装着できるようにしたことを特徴として成るものである。
【0006】
請求項2記載のライフセーブ機能を具えたバッグは、前記請求項1記載の要件に加え、前記脇ストラップについては、伸縮自在のゴムベルトにより構成されていることを特徴として成るものである。
【0007】
請求項3記載のライフセーブ機能を具えたバッグは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記バッグ本体には、腰部用ベルトが具えられていることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0008】
まず請求項1記載の発明によれば、内容物を収容したバッグ本体を前後に2分割し、ベスト状に装着できるから、実用性の高いバッグを携行することが、即非常時に対応できるようライフジャケットを日常生活の行動中に携行している状態となり、非常時の救命機能が得られる。そして副次的に日常的にライフジャケットを携行していることから、携行する本人、更には周辺の家族等にも生活上の安心感が得られる。
【0009】
特に前記バッグ本体は、トートバッグタイプの形態を有し、学童等の放校時における活動、あるいは日常的な買い物等でも汎用的に使用できるものであることから、このものにライフセーブ機能が具えられていることにより、突発的に生じる事態にも対応できるチャンスが、より多くなる。
【0010】
加えて本体面部に浮体が形成されるようになり、ベスト状に身体に着用した際に胸部及び背部に配置されることとなる浮体が、使用者を浮上させる効果のほか、プロテクター機能をも発揮し、その有用性が高まる。
【0011】
更にバッグ本体の妻面部と底面部との分割構造としては、一連の連続したスライドファスナにより構成されたものであるから、非常時にライフジャケットとして使用する必要が生じた場合、一本のスライドファスナを操作するだけでよく、迅速な対応が採り得る。
【0012】
また請求項記載の発明によれば、前後の一対の本体面部を分割させた際に拡開限界を設定する脇ストラップは、伸縮自在のゴムベルトで構成されており、使用者の体格の相違があったとしてもその汎用性を損なわない。
【0013】
また請求項記載の発明によれば、バッグ本体には腰部用ベルト具えられており、これにより確実に身体に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のライフセーブ機能を具えたバッグ、並びにその使用状態を示す斜視図である。
図2】同上ライフセーブ機能を具えたバッグを示す斜視図(a)、側面図(b)、正面図(c)である。
図3】同上ライフセーブ機能を具えたバッグのライフセーブ機能を奏するための状態を示す斜視図(a)及び側面図(b)である。
図4】同上ライフセーブ機能を具えたバッグの着用状態を示す斜視図である。
図5】同上ライフセーブ機能を具えたバッグの他の参考例を示す斜視図である。
図6】同上ライフセーブ機能を具えたバッグの他の実施例であって、内容物の保持を図ってライフセーブ機能を発揮させる構成を示す説明図である。
図7】同上ライフセーブ機能を具えたバッグの防災頭巾としての使用状態を示す斜視図である。
図8】同上更に他の使用例を示す斜視図である。
図9】本発明のライフセーブ機能を具えたバッグにおいて、腰部ベルトを具えた実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであるとともに、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
図1において本発明のライフセーブ機能を具えたバッグA並びに使用形態の一例を示すものである。このライフセーブ機能を具えたバッグAは、バッグ本体Bを主要部材の一つとするものであり、バッグ本体Bは一対の本体面部1と、この一対の本体面部1を側縁で繋ぐ妻面部2と、前記一対の本体面部1を下縁で繋ぐ底面部3とを具えて構成される収容本体Cに対し、適宜の携行用バンド5を具える。
そしてこのバッグ本体Bの少なくとも本体面部1には、浮体6が具えられ、更に妻面部2と底面部3とには、一対となった本体面部1を拡げる方向に分割できるようにした分割構造4を具える。また一対の本体面部1は、互いの拡開限界を設定するとともに、使用者の両上肢と頸部との通し部7を構成するための脇ストラップ8をその周囲に具える。ライフジャケットとしてのライフセーブ機能を発現させるためには、この分割構造4を作用させて一対の本体面部1を拡開させ、いずれかの開放された通し部7から使用者が被るようにして反対側の通し部7から頭部を出してベスト状に使用者身体に装着するものである。
以下、これらの部材について説明する。
【0017】
まずバッグ本体Bについて説明する。このものは、図2図3に更に詳しく図示するようトートバッグタイプのものであり、バッグ本体Bにおける収容本体Cは、正面視で一例として矩形状の本体面部1を一対具え、その内部を収容部10とするとともに、その上方が開口部11となる。
本体面部1の構成は、適宜の布や、防水性を持たせた帆布や合成樹脂素材等が適用されるものであり、それぞれの本体面部1は、外皮シート12と内皮シート13とにより、袋状に構成され、それらの間を浮体収納部14とする。そして本体面部1の上方では、前記外皮シート12と前記内皮シート13とをスライドファスナを適用した閉鎖ファスナ15により閉鎖した状態としている。これら一対の本体面部1は、その側縁を妻面部2により繋がれているものであって、一例としてマチ布21により妻面部2が構成される。
また妻面部2の下方には、底面部3が連続するものであり、底面部3も同様に底マチ布31により構成される。そして、マチ布21と底マチ布31とはともに、分割構造4あるスライドファスナ41を中心に具え、妻面部2、底面部3は、一例としてそれぞれほぼ中心で分割されるように構成されている。このスライドファスナ41は、一方の妻面部2の上端から底面部3を通り、更に他の妻面部2の上端に至る連続した形態採る。
【0018】
このような本体面部1に対し、手提げ紐を一例とする携行用バンド5がそれぞれの本体面部1の一例として外皮シート12側に設けられバッグ本体Bを構成する。このようなバッグ本体Bに対し、本体面部1の外皮シート12と内皮シート13と間に形成される浮体収納部14を利用し、ここに浮体6が収納される。この浮体6は軽量発泡樹脂等のシート状部材適用する。
更に一対の本体面部1により構成される収容部10には妻面部2と底面部との境界面に一例として帯ゴム状のものを適用した脇ストラップ8が設けられる。即ち妻面部2において、その内側に妻面部脇ストラップ8Aがその高さ方向中程に設けられるとともに、底面部3側には、両コーナー寄りの2箇所に底部脇ストラップ8Bが設けられる。これら脇ストラップ8は、前記妻面部2及び底面部3の分割構造4を開放した場合において、通し部7を実質的に形成する役割を担う。
更にバッグ本体Bは、図9に示すようにその本体面部1の外面側において開口部近くに腰部用ベルト9を具える。即ち一例として分割された2本の腰部用ベルト9をベルト通し部51に通し、且つそれらの先端を腰部用ベルト9の他端や本体面部1に設けた面ファスナF等を利用して固着する。なおこのベルト通し部51は、前記携行用バンド5の素材を更に下方に延長して形成することが好ましい一例である。
【0019】
本発明は、以上述べたような形態を基本的な形態とするものであり、以下このものの作用について使用状態を説明に従って説明する。
(1)バッグとしての使用方法
通常のトートバッグとして用いるには、図1図2に示すように単に完成状態において、その収容部10に収容物Pを収めるようにして用いる。当然ながらこのときは、バッグ本体Bは、妻面部2及び底面部3における分割構造4を構成するスライドファスナ41を閉じた状態としておく。
結果的に、収容部10はマチ状になった妻面部2及び底面部3の幅だけ収容部10のスペースが形成されている。そして使用者は手提げ紐を一例とした携行用バンド5を手に持って携行する。なお携行用バンド5は、手提げ紐である。もちろん参考的な形態として、後述するように充分に長いループとして肩下げ用に1本または2本設けるようなショルダーストラップのものであってもよいし、また背負い紐状としてもよいし、これらを組み合わせて用いることも差し支えない。
なおこのようなトートバッグの場合は、前記浮体6がいわば芯材状に作用し、通常のトートバッグに比べれば保形性が充分保たれている。
【0020】
(2)非常時の使用方法
一方、非常時にライフジャケットとして使用する場合には、次のようにして用いる。
まず、図1図3図4に示すように妻面部2上端及び底面部3における分割構造4であるスライドファスナ41を、一方の妻面部2を始端として一気に底面部3を通り他方の妻面部2に至るように解放させ、妻面部2と底面部3を中央で分割するようにする。このようにしたときには、一対のバッグ本体Bの本体面部1は、離れた状態となり脇ストラップ8の作用によりその拡開限界が設定される。
このような状態を見ると、底面部3においては、その左右のコーナー寄りに対となった脇ストラップ8Bが設けられ、一方それぞれの妻面部2にも、それぞれ一本ずつの脇ストラップ8Aが出現している。結果的にこれら脇ストラップ8A、8Bとの間に通し部7が形成される。
この状態では、あたかも底面部13における頭部通し部7Bは、頭部を出すための寸法に設定されており、妻面部2の脇ストラップ8Aと底面部3の脇ストラップ8Bとの間は、ほぼ肩の位置で、腕を出すような状態となって腕通し部7Aを構成している。このような形態であるからバッグ本体Bの本来の開口部11から、底部を上方にして被るようにして、頭部通し部7Bから頭部を出し、一方脇ストラップ8Aと脇ストラップ8Bとの間から腕を出し、あたかもライフジャケットを着用した状態とする。
更に図9に示すような腰部ベルト9がある場合には、バッグ本体Bの上方に設けられていた腰部用ベルト9は、バッグ本体Bが逆さに装着した状態となっているので、腹部から下方の腰部近くに当たる位置となり、これを腰部にベルト状に巻き付けて更なる装着の確実性を図ることができる。
【0021】
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
《1》全体形状の他の参考
以上述べた本発明に係る実施例は、トートバッグタイプの形態を採ったバッグ本体Bであるが、バッグ本体Bとしては、図5参考形態として示すように肩掛け式のショルダーバッグ乃至は、いわゆるメッセンジャーバッグのような形態を採ることも可能である。この場合当然ながら携行用バンド5は、図5(a)に示すようにショルダーバッグの形態を採る。また、図5(b)に示すように背中に背負うタイプのバックパックタイプのものに本発明を応用してもよい。これらショルダーバッグタイプや背負いタイプ、いずれの場合も収容物Pの保管を考慮すると、開口部11を簡易的にせよ塞ぐ、閉じストラップ17を設けることが好ましい。
【0022】
《2》浮体について
また浮体6については、既に述べた本発明に係る実施例では、矩形ボード状の発泡樹脂を本体面部1に構成した浮体収納部14に設けたものであるが、参考形態として本体面部1内に機密性のある袋状部材を設けておき、ここに例えば小型の炭酸ガスボンベ等から炭酸ガスを充填して浮体による浮力を得るようにすることもできる。即ち浮体6は、いわゆるエアバッグ状に構成されているものである。もちろんこのようなガス膨張タイプのほか、手動のポンプ式によるものであってもよい。なお炭酸ガスボンベ等を用いる場合、その開放弁には、水感応解放型や、衝撃感応解放型のものが実用化されており、このような仕様のものを適用することも差し支えない。
【0023】
《3》分割構造について
更に一対の本体面部1を引き離すための分割構造4については、スライドファスナ41により構成したものであるが、参考形態としては、例えば面ファスナ、ホック、ボタン、ストラップであってももちろん差し支えない。もちろんこのような手段の場合、バッグ本体Bの本来機能を奏するためには、収容部10については開口部11を除いて収容物Pが落ちない程度の密閉状態が必要となる。
【0024】
《4》脇ストラップについて
更にまた脇ストラップ8は、伸縮ベルトを適用したものを一例として挙げたが述べたが、単なる紐状のものであってもよいし、あるいは単なる伸縮しないベルト状であってもよいし、伸縮調整自在なベルト状部材であってもよい。
【0025】
《5》補機類の収納
本発明のライフセーブ機能を具えたバッグAについては、更にその機能を高めるため、災害発生時において、遭難者を容易に発見できるような反射板を付けたり、遭難者の発見し易いようにホイッスル等を装着できるスペースを設けてもよい。このようなスペースを積極的に利用して、更に懐中電灯、ファーストエイドキット等を格納するようにしておいてもよい。
【0026】
《6》内容物の散失防止
更に学童等がトートバッグとして利用することを考慮すると、非常時といえども内容物Pの散失を躊躇して、心理的に即座に使用することをためらうことも予想される。このため例えば内容物が落下しない工夫も採り得る。
即ち図6に示す実施例は、通常使用する場合の収容部10に更に内袋16を設けるものである。このものが、例えば袋状部を一方の縁部を本体面部1の外皮シート12に固着させ、他方は他の対抗する本体面部1の内皮シート13に面ファスナFにより固着させるものである。そして非常時にあっては、この面ファスナFを解除するとともに、他の固定した側には、対抗する面ファスナFの例えばループ要素F1を設けておき、内袋16側の引き離し側の上縁部に設けた面ファスナFのフック要素F2を貼り付けるようにして、封緘した内袋16を形成するようにしたものである。このような状態で分割構造4におけるスライドファスナ41を開放させたときには、本体面部の一方に内側に収容部Cが収納された状態でバッグ本体Bをライフジャケットして身に着けることができる。
【0027】
《7》他の用途
ライフセーブ機能を具えたバッグAは、このようなライフジャケットとしての機能のほか、防災頭巾としての機能考慮しうる。例えば、分割構造4については、スライドファスナ41を一方の妻面部2のみ開放させたときには、図7に示すように例えばバッグ本体Bの底面部3あるいは他の妻面部2を頭部に位置させて防災頭巾状にこれを被ることができる。この場合、頭頂部に位置にする妻面部2あるいは底面部3については、そのマチ布21、底マチ布31にも一定の緩衝性能を有する緩衝パッドを設けておくことが好ましい。また実際の高さ寸法設定を考慮すると、防災頭巾として用いる時には非常時の使用状態でいえば妻面部2の脇ストラップ8Aは、ライフジャケットとしての使用時適正位置より下の位置に設けられることが好ましい。このため脇ストラップ8Aについては、このような条件を考慮した上で適切な位置に設けるほか、それぞれに適した位置に2段配置し、その端部を面ファスナで脱着自在として、いずれかの用途に応じて選択使用するようにしてもよい。
【0028】
更にこのように本発明のライフセーブ機能を具えたバッグAは、体に装着してライフセーブ機能を奏するほか、図8に示すようにそのまま携行用バンド5等に更にロープ等を結び、水面上で溺れている遭難者に浮き輪状に投げ与えることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
A バッグ
B バッグ本体
C 収容本体
F 面ファスナ
F1 ループ要素
F2 フック要素
P 収容物

1 本体面部
10 収容部
11 開口部
12 外皮シート
13 内皮シート
14 浮体収納部
15 閉鎖ファスナ
16 内袋
17 閉じストラップ

2 妻面部
21 マチ布

3 底面部
31 底マチ布

4 分割構造
41 スライドファスナ

5 携行用バンド
51 ベルト通し部

6 浮体

7 通し部
7a 頭部通し部
7b 腕部通し部

8 脇ストラップ
8A 妻面脇ストラップ
8B 底面脇ストラップ

9 腰部用ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9