【実施例1】
【0016】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
図1において本発明のライフセーブ機能を具えたバッグA並びに使用形態の一例を示すものである。このライフセーブ機能を具えたバッグAは、バッグ本体Bを主要部材の一つとするものであり、バッグ本体Bは一対の本体面部1と、この一対の本体面部1を側縁で繋ぐ妻面部2と、前記一対の本体面部1を下縁で繋ぐ底面部3とを具えて構成される収容本体Cに対し、適宜の携行用バンド5を具える。
そしてこのバッグ本体Bの少なくとも本体面部1には、浮体6が具えられ、更に妻面部2と底面部3とには、一対となった本体面部1を拡げる方向に分割できるようにした分割構造4を具える。また一対の本体面部1は、互いの拡開限界を設定するとともに、使用者の両上肢と頸部との通し部7を構成するための脇ストラップ8をその周囲に具える。ライフジャケットとしてのライフセーブ機能を発現させるためには、この分割構造4を作用させて一対の本体面部1を拡開させ、いずれかの開放された通し部7から使用者が被るようにして反対側の通し部7から頭部を出してベスト状に使用者身体に装着するものである。
以下、これらの部材について説明する。
【0017】
まずバッグ本体Bについて説明する。このものは、
図2、
図3に更に詳しく図示するよう
にトートバッグタイプのもの
であり、バッグ本体Bにおける収容本体Cは、正面視で一例として矩形状の本体面部1を一対具え、その内部を収容部10とするとともに、その上方が開口部11となる。
本体面部1の構成は、適宜の布や、防水性を持たせた帆布や合成樹脂素材等が適用されるものであり、それぞれの本体面部1は、外皮シート12と内皮シート13とにより、袋状に構成され、それらの間を浮体収納部14とする。そして本体面部1の上方では、前記外皮シート12と前記内皮シート13とをスライドファスナを適用した閉鎖ファスナ15により閉鎖した状態としている。これら一対の本体面部1は、その側縁を妻面部2により繋がれているものであって、一例としてマチ布21により妻面部2が構成される。
また妻面部2の下方には、底面部3が連続するものであり、底面部3も同様に底マチ布31により構成される。そして、マチ布21と底マチ布31とはともに、分割構造4
であるスライドファスナ41を中心に具え、妻面部2、底面部3は、一例としてそれぞれほぼ中心で分割されるように構成されている。このスライドファスナ41は、一方の妻面部2の上端から底面部3を通り、更に他の妻面部2の上端に至る連続した形態
を採る。
【0018】
このような本体面部1に対し、手提げ紐を一例とする携行用バンド5がそれぞれの本体面部1の一例として外皮シート12側に設けられバッグ本体Bを構成する。このようなバッグ本体Bに対し、本体面部1の外皮シート12と内皮シート13と間に形成される浮体収納部14を利用し、ここに浮体6が収納される。この浮体6は
、軽量発泡樹脂等のシート状部材
を適用する。
更に一対の本体面部1により構成される収容部10には妻面部2と底面部との境界面に一例として帯ゴム状のものを適用した脇ストラップ8が設けられる。即ち妻面部2において、その内側に妻面部脇ストラップ8Aがその高さ方向中程に設けられるとともに、底面部3側には、両コーナー寄りの2箇所に底部脇ストラップ8Bが設けられる。これら脇ストラップ8は、前記妻面部2及び底面部3の分割構造4を開放した場合において、通し部7を実質的に形成する役割を担う。
更にバッグ本体Bは、
図9に示すようにその本体面部1の外面側において開口部近くに腰部用ベルト9を具える。即ち一例として分割された2本の腰部用ベルト9をベルト通し部51に通し、且つそれらの先端を腰部用ベルト9の他端や本体面部1に設けた面ファスナF等を利用して固着する。なおこのベルト通し部51は、前記携行用バンド5の素材を更に下方に延長して形成することが好ましい一例である。
【0019】
本発明は、以上述べたような形態を基本的な形態とするものであり、以下このものの作用について使用状態を説明に従って説明する。
(1)バッグとしての使用方法
通常のトートバッグとして用いるには、
図1、
図2に示すように単に完成状態において、その収容部10に収容物Pを収めるようにして用いる。当然ながらこのときは、バッグ本体Bは、妻面部2及び底面部3における分割構造4を構成するスライドファスナ41を閉じた状態としておく。
結果的に、収容部10はマチ状になった妻面部2及び底面部3の幅だけ収容部10のスペースが形成されている。そして使用者は手提げ紐を一例とした携行用バンド5を手に持って携行する。なお携行用バンド5は、手提げ紐
である。もちろん参考的な形態として、後述するように充分に長いループとして肩下げ用に1本または2本設けるようなショルダーストラップのものであってもよいし、また背負い紐状としてもよいし、これらを組み合わせて用いることも差し支えない。
なおこのようなトートバッグの場合は、前記浮体6がいわば芯材状に作用し、通常のトートバッグに比べれば保形性が充分保たれている。
【0020】
(2)非常時の使用方法
一方、非常時にライフジャケットとして使用する場合には、次のようにして用いる。
まず、
図1、
図3、
図4に示すように妻面部2上端及び底面部3における分割構造4であるスライドファスナ41を、一方の妻面部2を始端として一気に底面部3を通り他方の妻面部2に至るように解放させ、妻面部2と底面部3を中央で分割するようにする。このようにしたときには、一対のバッグ本体Bの本体面部1は、離れた状態となり脇ストラップ8の作用によりその拡開限界が設定される。
このような状態を見ると、底面部3においては、その左右のコーナー寄りに対となった脇ストラップ8Bが設けられ、一方それぞれの妻面部2にも、それぞれ一本ずつの脇ストラップ8Aが出現している。結果的にこれら脇ストラップ8A、8Bとの間に通し部7が形成される。
この状態では、あたかも底面部13における頭部通し部7Bは、頭部を出すための寸法に設定されており、妻面部2の脇ストラップ8Aと底面部3の脇ストラップ8Bとの間は、ほぼ肩の位置で、腕を出すような状態となって腕通し部7Aを構成している。このような形態であるからバッグ本体Bの本来の開口部11から、底部を上方にして被るようにして、頭部通し部7Bから頭部を出し、一方脇ストラップ8Aと脇ストラップ8Bとの間から腕を出し、あたかもライフジャケットを着用した状態とする。
更に
図9に示すような腰部ベルト9がある場合には、バッグ本体Bの上方に設けられていた腰部用ベルト9は、バッグ本体Bが逆さに装着した状態となっているので、腹部から下方の腰部近くに当たる位置となり、これを腰部にベルト状に巻き付けて更なる装着の確実性を図ることができる。
【0021】
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
《1》全体形状の他の
参考例
以上述べた
本発明に係る実施例は、トートバッグタイプの形態を採ったバッグ本体B
であるが、バッグ本体Bとしては、
図5に
参考形態として示すように肩掛け式のショルダーバッグ乃至は、いわゆるメッセンジャーバッグのような形態を採る
ことも可能である。この場合当然ながら携行用バンド5は、
図5(a)に示すようにショルダーバッグの形態を採る。また、
図5(b)に示すように背中に背負うタイプのバックパックタイプのもの
に本発明を応用してもよい。これらショルダーバッグタイプや背負いタイプ、いずれの場合も収容物Pの保管を考慮すると、開口部11を簡易的にせよ塞ぐ、閉じストラップ17を設けることが好ましい。
【0022】
《2》浮体について
また浮体6については、既に述べた
本発明に係る実施例では、矩形ボード状の発泡樹脂を本体面部1に構成した浮体収納部14に設けたものであるが、
参考形態として本体面部1内に機密性のある袋状部材を設けておき、ここに例えば小型の炭酸ガスボンベ等から炭酸ガスを充填して浮体による浮力を得るようにすることも
できる。即ち浮体6は、いわゆるエアバッグ状に構成されているものである。もちろんこのようなガス膨張タイプのほか、手動のポンプ式によるものであってもよい。なお炭酸ガスボンベ等を用いる場合、その開放弁には、水感応解放型や、衝撃感応解放型のものが実用化されており、このような仕様のものを適用することも差し支えない。
【0023】
《3》分割構造について
更に一対の本体面部1を引き離すための分割構造4については、スライドファスナ41により構成したもの
であるが、参考形態としては、例えば面ファスナ、ホック、ボタン、ストラップであってももちろん差し支えない。もちろんこのような手段の場合、バッグ本体Bの本来機能を奏するためには、収容部10については開口部11を除いて収容物Pが落ちない程度の密閉状態が必要となる。
【0024】
《4》脇ストラップについて
更にまた脇ストラップ8は、伸縮ベルトを適用したものを一例として挙げたが述べたが、単なる紐状のものであってもよいし、あるいは単なる伸縮しないベルト状であってもよいし、伸縮調整自在なベルト状部材であってもよい。
【0025】
《5》補機類の収納
本発明のライフセーブ機能を具えたバッグAについては、更にその機能を高めるため、災害発生時において、遭難者を容易に発見できるような反射板を付けたり、遭難者の発見し易いようにホイッスル等を装着できるスペースを設けてもよい。このようなスペースを積極的に利用して、更に懐中電灯、ファーストエイドキット等を格納するようにしておいてもよい。
【0026】
《6》内容物の散失防止
更に学童等がトートバッグとして利用することを考慮すると、非常時といえども内容物Pの散失を躊躇して、心理的に即座に使用することをためらうことも予想される。このため例えば内容物が落下しない工夫も採り得る。
即ち
図6に示す実施例は、通常使用する場合の収容部10に更に内袋16を設けるものである。このものが、例えば袋状部を一方の縁部を本体面部1の外皮シート12に固着させ、他方は他の対抗する本体面部1の内皮シート13に面ファスナFにより固着させるものである。そして非常時にあっては、この面ファスナFを解除するとともに、他の固定した側には、対抗する面ファスナFの例えばループ要素F1を設けておき、内袋16側の引き離し側の上縁部に設けた面ファスナFのフック要素F2を貼り付けるようにして、封緘した内袋16を形成するようにしたものである。このような状態で分割構造4におけるスライドファスナ41を開放させたときには、本体面部の一方に内側に収容部Cが収納された状態でバッグ本体Bをライフジャケットして身に着けることができる。
【0027】
《7》他の用途
ライフセーブ機能を具えたバッグAは、このようなライフジャケットとしての機能のほか、防災頭巾としての機能
も考慮しうる。例えば、分割構造4については、スライドファスナ41を一方の妻面部2のみ開放させたときには、
図7に示すように例えばバッグ本体Bの底面部3あるいは他の妻面部2を頭部に位置させて防災頭巾状にこれを被ることができる。この場合、頭頂部に位置にする妻面部2あるいは底面部3については、そのマチ布21、底マチ布31にも一定の緩衝性能を有する緩衝パッドを設けておくことが好ましい。また実際の高さ寸法設定を考慮すると、防災頭巾として用いる時には非常時の
使用状態でいえば妻面部2の脇ストラップ8Aは、ライフジャケットとしての使用時適正位置より下の位置に設けられることが好ましい。このため脇ストラップ8Aについては、このような条件を考慮した上で適切な位置に設けるほか、それぞれに適した位置に2段配置し、その端部を面ファスナで脱着自在として、いずれかの用途に応じて選択使用するようにしてもよい。
【0028】
更にこのように本発明のライフセーブ機能を具えたバッグAは、体に装着してライフセーブ機能を奏するほか、
図8に示すようにそのまま携行用バンド5等に更にロープ等を結び、水面上で溺れている遭難者に浮き輪状に投げ与えることも可能である。