特許第5798113号(P5798113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許57981134−メチル−1−ペンテン系重合体からなる樹脂微粉末、およびそれを含む組成物、ならびにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798113
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる樹脂微粉末、およびそれを含む組成物、ならびにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 10/14 20060101AFI20151001BHJP
   C08L 23/20 20060101ALI20151001BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20151001BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20151001BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20151001BHJP
   C09D 123/20 20060101ALI20151001BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20151001BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20151001BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20151001BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20151001BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20151001BHJP
   C22C 1/08 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   C08F10/14
   C08L23/20
   C08K3/00
   C08J3/12 ACES
   C04B38/06 D
   C09D123/20
   C09D11/00
   C09D7/12
   C09D201/00
   B22F3/02 M
   B22F3/11 B
   C22C1/08 F
【請求項の数】11
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-512628(P2012-512628)
(86)(22)【出願日】2011年2月8日
(86)【国際出願番号】JP2011000699
(87)【国際公開番号】WO2011135763
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2013年10月17日
(31)【優先権主張番号】61/368,420
(32)【優先日】2010年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】特願2010-104310(P2010-104310)
(32)【優先日】2010年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】川辺 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】栗原 舞
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和俊
(72)【発明者】
【氏名】関 亮一
【審査官】 井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2006/054696(JP,A1)
【文献】 国際公開第2010/005072(WO,A1)
【文献】 特開2002−265719(JP,A)
【文献】 特開平09−328588(JP,A)
【文献】 特開平05−194751(JP,A)
【文献】 特公昭39−019024(JP,B1)
【文献】 特開2003−160669(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/011231(WO,A1)
【文献】 特開平07−300538(JP,A)
【文献】 特開2007−031639(JP,A)
【文献】 特開平05−156028(JP,A)
【文献】 特開昭63−178175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00− 19/44
C08F 6/00−246/00
C08F301/00
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、1.0×10-2dl/g以上5.0×10-1dl/g未満であり、かつ4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の割合が50〜100質量%である4-メチル−1−ペンテン系重合体からなり、平均粒径D50が1.0×10-1〜5.0×10μmであり、
かつ粉砕により、乾燥粉末として得られる、樹脂微粉末。
【請求項2】
前記平均粒径D50が、1.0×10-1〜1.0×10μmである、請求項1に記載の樹脂微粉末。
【請求項3】
(A)請求項1に記載の樹脂微粉末0.1〜150質量部と、
(B)金属およびセラミック粉末からなる群から選ばれる少なくとも1種の焼結性粉末100質量部と、を含有する組成物。
【請求項4】
前記組成物は、(C)可塑化バインダー5〜200質量部をさらに含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項3に記載の組成物を押し出し成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結する工程と、を含む多孔質焼結体の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質焼結体はハニカムフィルタである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の樹脂微粉末を含有する塗料。
【請求項8】
請求項1に記載の樹脂微粉末を含有するインキ。
【請求項9】
4-メチル-1-ペンテン系重合体のバルクまたは粗粉砕物を、ジェット粉砕処理する工程を含む、請求項1に記載の樹脂微粉末を製造する方法。
【請求項10】
前記粗粉砕物は、有機溶媒を染み込ませた4-メチル-1-ペンテン系重合体を粉砕して得る、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記バルクまたは粗粉砕物は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の熱分解物である、請求項9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-メチル-1-ペンテン系重合体からなる樹脂微粉末と、それを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位を含むオレフィン系重合体(以下、4-メチル-1-ペンテン系重合体ともいう)は、遷移金属化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒、いわゆるチーグラー型触媒を用いて製造されるのが一般的であるが(特許文献2を参照)、メタロセン触媒を用いて得られることも報告されている(特許文献1を参照)。
【0003】
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、透明性、ガス透過性、耐薬品性、剥離性とともに耐熱性に優れた樹脂として、医療器具、耐熱電線、耐熱食器、剥離用材など様々な分野で利用されている。特に、4-メチル-1-ペンテン系重合体の表面張力が低いことを利用して、離型フィルムとして用いたり、離型ワックスとして用いたりする(特許文献1などを参照)。
【0004】
これらの用途に4-メチル-1-ペンテン系重合体を適用する場合には、重合反応により得られたバルクを用いてもよい。重合反応により得られたバルクを他の樹脂とブレンドして用いてもよい。重合反応により得られるバルクまたはそのブレンドを、必要に応じてペレット化したり、所望の形状(例えば、フィルム状)に成形することもある。さらには、重合反応により得られたバルクを、熱分解によりオリゴマー化してもよい。オリゴマーを、他の樹脂とブレンドしたり、所望の形状に成形してもよい。いずれの方法も、生産コストの点から好ましい。
【0005】
高い融点を有し、かつ表面張力の低い粉末状樹脂は、例えば、焼結性粉末との混合用途、より具体的には多孔質焼結材用組成物や冶金用組成物などで必要とされている。焼結性粉末へ添加する粉末状樹脂として、例えばアミド系樹脂粉末などが用いられる場合がある。アミド系樹脂粉末などは、焼結工程における熱分解により、臭気を発生させるおそれがある。
【0006】
また、一般的に樹脂を切削加工するときに、切子と称される切削くずが発生する。この切削くずを、廃棄することなく有効活用することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2005/121192号
【特許文献2】特公平5−88250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、高い融点を有し、かつ表面張力が低く、さらに熱分解させても臭気の発生が抑制されることに着目し、4-メチル-1-ペンテン系重合体の微粉末を、種々の組成物への微粉末状の添加剤として用いることを検討した。その結果、特定の前処理を施すことで、4-メチル-1-ペンテン系重合体の粉砕による微粉化ができることを見出した。また、比較的低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、他のオレフィン重合体と比べて、むしろ効率的に粉砕され、微粉化ができることを見出した。
【0009】
そこで本発明は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の微粉末を提供すること、およびそれを種々の組成物の添加剤として応用すること、を目的とする。また、4-メチル-1-ペンテン系重合体の微粉末の原料として、4-メチル-1-ペンテン系重合体を切削加工するときの切子を用いることで、切子の有効活用を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明の第1は、以下に示す樹脂微粉末に関する。
[1] デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η]が、1.0×10-2dl/g以上3.0dl/g未満である4-メチル-1-ペンテン系重合体からなり、平均粒径D50が1.0×10-1〜5.0×10μmである樹脂微粉末。
[2] 前記平均粒径D50が、1.0×10-1〜1.0×10μmである、[1]に記載の樹脂微粉末。
[3] 前記極限粘度[η]が、1.0×10-2dl/g以上5.0×10-1dl/g未満である、[1]に記載の樹脂微粉末。
[4] 前記極限粘度[η]が、5.0×10-1dl/g以上3.0dl/g未満である、[1]に記載の樹脂微粉末。
【0011】
本発明の第2は、以下に示す、樹脂微粉末を含む組成物などに関する。
[5] (A)前記[1]に記載の樹脂微粉末0.1〜150質量部と、(B)金属およびセラミック粉末からなる群から選ばれる少なくとも1種の焼結性粉末100質量部と、を含有する組成物。
[6] 前記組成物は、(C)可塑化バインダー5〜200質量部をさらに含有する、[5]に記載の組成物。
[7] 前記[5]に記載の組成物を押し出し成形して成形体を得る工程と、前記成形体を焼結する工程と、を含む多孔質焼結体の製造方法。
[8] 前記多孔質焼結体はハニカムフィルタである、[7]に記載の製造方法。
[9] 前記[1]に記載の樹脂微粉末を含有する塗料。
[10] 前記[1]に記載の樹脂微粉末を含有するインキ。
【0012】
本発明の第3は、以下に示す、樹脂微粉末を製造する方法に関する。
[11] 4-メチル-1-ペンテン系重合体のバルクまたは粗粉砕物を、ジェット粉砕処理する工程を含む、[1]に記載の樹脂微粉末を製造する方法。
[12] 前記粗粉砕物は、有機溶媒を染み込ませた4-メチル-1-ペンテン系重合体を粉砕して得る、[11]に記載の製造方法。
[13] 前記バルクまたは粗粉砕物は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の熱分解物である、[11]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂微粉末は、4-メチル-1-ペンテン系重合体からなり;4-メチル-1-ペンテン系重合体は、高融点、低表面張力、滑性、潤滑性、熱分解しても臭気を発生させない、という特性を有しうる。それらの特性を活用して、本発明の樹脂微粉末は種々の用途に用いられうる。つまり、冶金用組成物の添加剤として、セラミック焼結材用組成物の添加剤として、粘着剤の添加剤として、ゴムの添加剤としての用途などが考えられる。また、4-メチル-1-ペンテン系重合体は上記の特性に加え、低密度、透明性も有しているため、インキや塗料の添加剤としても有用であると考えられるが、他にも種々の用途展開がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1参考例1で得られたTPX微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真(拡大倍率2000倍)である。
図2参考例2で得られたTPX微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真(拡大倍率2000倍)である。
図3参考例3で得られたTPX微粒子の電子顕微鏡(SEM)写真(拡大倍率1000倍)である。
図4参考例1で得られた粉体の粒径分布を示すグラフである。X軸は粉体の粒径を示し、Y軸(右側)は、粒径に対応する粉体個数を示し(ヒストグラム参照)、Y軸(左側)は、粉体の累積個数分布を示す(曲線参照)。
図5参考例2で得られた粉体の粒径分布を示すグラフである。X軸は粉体の粒径を示し、Y軸(右側)は、粒径に対応する粉体個数を示し(ヒストグラム参照)、Y軸(左側)は、粉体の累積個数分布を示す(曲線参照)。
図6参考例3で得られた粉体の粒径分布を示すグラフである。X軸は粉体の粒径を示し、Y軸(右側)は、粒径に対応する粉体個数を示し(ヒストグラム参照)、Y軸(左側)は、粉体の累積個数分布を示す(曲線参照)。
図7】実施例4で得られた粉体の粒径分布を示すグラフである。X軸は粉体の粒径を示し、Y軸(右側)は、粒径に対応する粉体個数を示し(ヒストグラム参照)、Y軸(左側)は、粉体の累積個数分布を示す(曲線参照)。
図8】実施例5で得られた粉体の粒径分布を示すグラフである。X軸は粉体の粒径を示し、Y軸(右側)は、粒径に対応する粉体個数を示し(ヒストグラム参照)、Y軸(左側)は、粉体の累積個数分布を示す(曲線参照)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末
本発明の樹脂微粉末は、4-メチル-1-ペンテン系重合体を含む。4-メチル-1-ペンテン系重合体とは、構成単位の少なくとも一部が4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位である重合体である。
【0016】
本発明の樹脂微粉末を構成する4-メチル-1-ペンテン系重合体の全構成単位に対する、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の割合は、50〜100質量%であることが好ましく、60〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましい。
【0017】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に含まれる、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位以外の構成単位は、炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる構成単位であることが好ましい。4-メチル-1-ペンテン系重合体の全構成単位に対する、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数が2〜20のオレフィンから導かれる構成単位の合計割合は、0〜50質量%であることが好ましく、0〜40質量%であることがより好ましく、0〜30質量%であることがさらに好ましく、0〜10質量%であることが特に好ましい。
【0018】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数2〜20のオレフィンの例には、直鎖状または分岐状のα-オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、非共役ポリエン、官能化ビニル化合物などが含まれる。
【0019】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる、直鎖状または分岐状のα-オレフィンの具体例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のα−オレフィン;3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセンなどの、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のα-オレフィンが含まれる。
【0020】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる環状オレフィンの具体例には、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどの、炭素原子数3〜20、好ましくは5〜15の環状オレフィンが含まれる。
【0021】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる芳香族ビニル化合物の具体例には、スチレン、およびα-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレンなどの、モノまたはポリアルキルスチレンが含まれる。
【0022】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる共役ジエンの例には、1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどの、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜10の共役ジエンが含まれる。
【0023】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる非共役ポリエンの具体例には、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペンル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエンなどの、炭素原子数5〜20、好ましくは5〜10の非共役ポリエンが含まれる。
【0024】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる官能化ビニル化合物の例には、水酸基含有オレフィン;ハロゲン化オレフィン;アクリル酸、プロピオン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸、5-ヘキセン酸、6-ヘプテン酸、7-オクテン酸、8-ノネン酸、9-デセン酸などの不飽和カルボン酸類;アリルアミン、5-ヘキセンアミン、6-ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類;(2,7-オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、および上記不飽和カルボン酸類として例示した化合物において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類;上記不飽和カルボン酸類として例示した化合物において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類;4-エポキシ-1-ブテン、5-エポキシ-1-ペンテン、6-エポキシ-1-ヘキセン、7-エポキシ-1-ヘプテン、8-エポキシ-1-オクテン、9-エポキシ-1-ノネン、10-エポキシ-1-デセン、11-エポキシ-1-ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類などが含まれる。
【0025】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれる水酸基含有オレフィンは、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限はないが、例えば末端水酸化オレフィン化合物が挙げられる。末端水酸化オレフィン化合物の具体例には、ビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化-1-ブテン、水酸化-1-ペンテン、水酸化-1-ヘキセン、水酸化-1-オクテン、水酸化-1-デセン、水酸化-1-ドデセン、水酸化-1-テトラデセン、水酸化-1-ヘキサデセン、水酸化-1-オクタデセン、水酸化-1-エイコセンなどの、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状の水酸化α−オレフィン;水酸化-3-メチル-1-ブテン、水酸化-4-メチル-1-ペンテン、水酸化-3-メチル-1-ペンテン、水酸化-3-エチル-1-ペンテン、水酸化-4,4-ジメチル-1-ペンテン、水酸化-4-メチル-1-ヘキセン、水酸化-4,4-ジメチル-1-ヘキセン、水酸化-4-エチル-1-ヘキセン、水酸化-3-エチル-1-ヘキセンなどの、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状の水酸化α−オレフィンが含まれる。
【0026】
4-メチル-1-ペンテン系重合体に構成単位として含まれるハロゲン化オレフィンの具体例には、塩素、臭素、ヨウ素等周期表第17族原子を有するハロゲン化α-オレフィン、例えばハロゲン化ビニル、ハロゲン化-1-ブテン、ハロゲン化-1-ペンテン、ハロゲン化-1-ヘキセン、ハロゲン化-1-オクテン、ハロゲン化-1-デセン、ハロゲン化-1-ドデセン、ハロゲン化-1-テトラデセン、ハロゲン化-1-ヘキサデセン、ハロゲン化-1-オクタデセン、ハロゲン化-1-エイコセンなどの、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖状のハロゲン化α-オレフィン;ハロゲン化-3-メチル-1-ブテン、ハロゲン化-4-メチル-1-ペンテン、ハロゲン化-3-メチル-1-ペンテン、ハロゲン化-3-エチル-1-ペンテン、ハロゲン化-4,4-ジメチル-1-ペンテン、ハロゲン化-4-メチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-4,4-ジメチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-4-エチル-1-ヘキセン、ハロゲン化-3-エチル-1-ヘキセンなどの、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の分岐状のハロゲン化α−オレフィンが含まれる。
【0027】
4-メチル-1-ペンテンとともに構成単位として含まれるオレフィン類として特に好ましい例には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、ビニルシクロヘキサン、スチレンなどが含まれる。4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)に、4-メチル-1-ペンテンとともに構成単位として含まれるオレフィン類は、1種類であってもよく、2種類以上の組み合わせであってもよい。
【0028】
本発明の樹脂微粉末に含まれる4-メチル-1-ペンテン系重合体の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(分子量分布 Mw/Mn)は、1.0〜20.0であり、1.0〜10.0であってもよく、1.0〜5.0であってもよい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される、ポリスチレン換算値である。GPC測定は、温度140℃、展開溶媒をオルトジクロロベンゼンとして行えばよい。
【0029】
4-メチル-1-ペンテン系重合体の、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)の下限は、120℃であることが好ましく、160℃であることがより好ましく、180℃であることがさらに好ましく、200℃であることが特に好ましい。また、融点(Tm)の上限は、245℃であることが好ましく、240℃であることがより好ましく、235℃であることがさらに好ましく、230℃であることが特に好ましい。このように、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、ポリオレフィン系樹脂の中では高い融点を有する。これは、4-メチル-1-ペンテン系重合体は嵩高い側鎖を有しているので、その分子鎖が動き難いためであると考えられる。
【0030】
融点の測定は、示差走査型熱量計(Diamond DSC、パーキンエルマー社製)を用いて行い、試料約5mgをアルミパンに詰めて10℃/分で280℃まで昇温し;280℃で5分間保持し;10℃/分で30℃まで冷却し;30℃で5分間保持した後;10℃/分で280℃まで昇温する際の吸熱ピークを融点とする。
【0031】
4-メチル-1-ペンテン系重合体の、デカリン溶媒中135℃で測定した極限粘度[η](dl/g)は、1×10−2〜3.0であることが好ましい。4-メチル-1-ペンテン系重合体は、極限粘度[η]に応じて、大きく2つに分類して考えてもよい。第1は、極限粘度[η]が5×10−1〜3.0の範囲にある重合体であり、比較的高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体である。第2は、極限粘度[η]が1×10−2〜5×10−1の範囲にある重合体であり、比較的低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体である。
【0032】
4-メチル-1-ペンテン系重合体の臨界表面張力は、好ましくは22〜28mN/m,より好ましくは23〜27.5mN/m、さらに好ましくは23.5〜27.5mN/m、特に好ましくは24.0〜27.5mN/mである。臨界表面張力は、4-メチル-1-ペンテン系重合体における、4-メチル-1-ペンテンの構成単位に依存する。前記好適な臨界表面張力を得るには、4-メチル-1-ペンテンの構成単位の含有量を、50〜100重量%、好ましくは、60〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、特に好ましくは80〜100重量%とすることが好ましい。臨界表面張力がこの範囲にある4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末は、それを含む粉体組成物の流動性を高めることができる。
【0033】
4-メチル-1-ペンテン系重合体は、オレフィン類を直接重合して得ることができる。重合に用いる重合触媒の例には、特開昭57−63310号公報、特開昭58−83006号公報、特開平3−706号公報、特許第3476793号公報、特開平4−218508号公報、特開2003−105022号公報等に記載されているマグネシウム担持型チタン触媒;国際公開第01/53369号、国際公開第01/27124号、特開平3−193796号公報あるいは特開平2−41303号公報などに記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。マグネシウム担持型チタン触媒は、電子供与体成分としてポリエーテルを含む触媒が、分子量分布の比較的狭い重合体が得られる傾向があるため特に好ましい。
【0034】
このように、本発明の組成物に含まれる4-メチル-1-ペンテン系重合体は、メタロセン触媒を用いて製造されうる。メタロセン触媒としては、下記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物を用いたオレフィン重合触媒が好適に用いられる。
【化1】
【化2】
【0035】
上記一般式(1)または(2)における、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14は、水素、炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。互いに隣接したR1からR4は、互いに結合して環を形成してもよく;互いに隣接したR5からR12は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0036】
上記一般式(2)におけるAは、一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基である。Aは、Yと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよい。
【0037】
上記一般式(1)または(2)におけるMは、周期表第4族から選ばれた金属である。Yは炭素またはケイ素であり、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選んでもよく、jは1〜4の整数である。
【0038】
上記一般式(1)または(2)におけるR1〜R14で表される炭化水素基の好ましい例には、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアルキルアリール基が含まれ、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。それらの具体例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1,1-ジエチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1,1,2,2-テトラメチルプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3-トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1-メチル-1-シクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、2-メチル-2-アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2-フェニルエチル、1-テトラヒドロナフチル、1-メチル-1-テトラヒドロナフチル、フェニル、ナフチル、トリルなどが含まれる。
【0039】
上記一般式(1)または(2)におけるR1〜R14で表されるケイ素含有炭化水素基の好ましい例には、ケイ素原子数1〜4かつ炭素原子数3〜20のアルキルシリル基、またはアリールシリル基が含まれる。その具体例には、トリメチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが含まれる。
【0040】
上記一般式(1)または(2)において、R1およびR3が水素であり、かつR2が炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基であることが好ましい。R2は、立体的に嵩高い置換基であることがさらに好ましく、R2は炭素原子数4以上の置換基であることが特に好ましい。
【0041】
上記一般式(1)または(2)における、フルオレン環上の置換基R5からR12のうち、互いに隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。つまり、一般式(1)または(2)における置換フルオレニル基は、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニルまたはオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルなどでありうる。
【0042】
また、上記一般式(1)または(2)における、フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、R8=R9であることが好ましい。つまり、一般式(1)または(2)におけるフルオレニル基は、無置換フルオレニル、3,6-二置換フルオレニル、2,7-二置換フルオレニルまたは2,3,6,7-四置換フルオレニルであることがより好ましい(ここでフルオレン環上の3位、6位、2位、7位はそれぞれR7、R10、R6、R11に対応する)。
【0043】
上記一般式(1)におけるR13とR14は、水素、炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましい炭化水素基の具体例としては、R1〜R14で表される炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
【0044】
一般式(1)におけるYは炭素またはケイ素であり、R13とR14と結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。置換メチレン基の好ましい具体例には、メチレン、ジメチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert-ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレンが含まれ;置換シリレン基の好ましい具体例には、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチルtert-ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレンなどが含まれる。
【0045】
一般式(2)におけるYは炭素またはケイ素であり、不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基またはシクロメチレンシリレン基などを構成する。好ましいシクロアルキリデン基の具体例には、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデンなどが含まれ;好ましいシクロメチレンシリレン基の具体例には、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレンなどが含まれる。
【0046】
一般式(1)および(2)におけるMは、周期表第4族から選ばれる金属元素であり、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどでありうる。
【0047】
一般式(1)および(2)におけるQは,ハロゲン、炭素原子数1〜20の炭化水素基、アニオン配位子、または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組み合わせで選ばれる。ハロゲンの具体例には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が含まれる。炭化水素基の具体例には、R1〜R14で表される炭化水素基と同様のものが含まれる。アニオン配位子の具体例には、メトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシなどのアルコキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基などが含まれる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例には、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル類が含まれる。これらのうち、Qは同一でも異なった組み合わせでもよいが、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
【0048】
本発明における上記メタロセン化合物の具体例としては、WO01/27124に例示される化合物が好適に挙げられるが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。これらの中でも一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、分子量分布や末端構造の観点から好ましい。
【0049】
前記の通り、本発明の樹脂組成物に含まれる4-メチル-1-ペンテン系重合体(B)は、メタロセン触媒を用いて製造されうるが、その場合の触媒組成物は以下の成分を含むことが好ましい。
成分(i):上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物
成分(ii):(ii-1)有機金属化合物、(ii-2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(ii-3)メタロセン化合物(i)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物
成分(iii):微粒子状担体(必須成分ではないが必要に応じて含まれる)
【0050】
これらの触媒組成物は、従来から用いられており、例えば国際公開第01/27124号に記載されている。
【0051】
メタロセン触媒を用いた4-メチル-1-ペンテン系重合体を得るための重合は、溶液重合法や懸濁重合法などの液相重合法、または気相重合法のいずれであってもよい。液相重合法においては不活性炭化水素溶媒を用いてもよく、不活性炭化水素溶媒の具体例には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などが含まれ、重合モノマーである4-メチル-1-ペンテンを含むオレフィン類自身を溶媒として用いることもできる。
【0052】
重合反応容積1リットルあたり、成分(i)の量は、通常10-8〜10-2モル、好ましくは10−7〜10−3モルとなるようにする。
【0053】
触媒組成物において、成分(ii-1)と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-1)/M〕は、通常0.01〜5000となるように、好ましくは0.05〜2000となるようにする。触媒組成物において、成分(ii-2)のアルミニウム原子と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-2)/M〕は、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるようにする。触媒組成物において、成分(ii-3)と、成分(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(ii-3)/M〕は、通常1〜10、好ましくは1〜5となるようにする。
【0054】
メタロセン触媒を用いた4-メチル-1-ペンテン系重合体を得るための重合反応の温度は、通常−50〜400℃、好ましくは10〜300℃、より好ましくは10〜250℃の範囲である。重合温度が低すぎると単位触媒あたりの重合活性が低下してしまい、工業的に好ましくない。
【0055】
重合圧力は、通常、常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧の条件下である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0056】
また、重合反応系中に水素ガスを導入することで、重合活性を制御したり、4-メチル-1-ペンテン系重合体の分子量や極限粘度[η]を調整したりすることができる。水素ガスの導入量は、オレフィン1kgあたり0.001〜100000NL程度が適当である。
【0057】
比較的低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、オレフィン類を直接重合して得てもよいし;重合により得た比較低高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を、熱分解して得てもよい。熱分解した4-メチル-1-ペンテン系重合体を、溶媒分別(溶媒に対する溶解度の差で分別すること)したり、分子蒸留(沸点の差で分別すること)したりしてもよい。
【0058】
ベースとなる熱分解前の4-メチル-1-ペンテン系重合体を熱分解するための条件(分解温度や分解時間)は、熱分解後の所望の分子量や極限粘度[η]などに応じて適宜設定される。分解温度は、通常150〜450℃の範囲であるが、250℃〜440℃の範囲が好ましく、350〜430℃の範囲が特に好ましい。また、分解時間は、通常5〜300分であるが、好ましくは、10〜240分、より好ましくは15〜180分である。
【0059】
本発明の樹脂微粉末の平均粒径D50は、50μm以下であることが好ましく、20μm以下とすることもでき、10μm以下とすることもできる。より具体的に、樹脂微粉末の平均粒径D50の下限は、1.0×10-1μmであることが好ましく、5.0×10-1μmであることがより好ましく、7.0×10-1μmであることがさらに好ましく、1.0μmであることが特に好ましい。また、樹脂微粉末の平均粒径D50の上限は、5.0×10μmであることが好ましく、3.0×10μmであることがより好ましく、1.0×10μmであることがさらに好ましく、5.0μmであることが特に好ましい。
【0060】
樹脂微粉末の平均粒径D50は、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定される。具体的には、分散溶媒に樹脂微粉末を分散させて測定試料として、レーザ回折・散乱法に基づいて粒径分布を求め、求めた粒径分布から平均粒径D50を算出する。平均粒径D50とは、積算分布曲線の粒径が小さい方から50%に相当する粒子径であり;すなわち粉体群を、ある粒子径を基準に2つの群に分けたとき、大きい粒子径を有する群の質量と、小さい粒子径を有する群の質量とが等質量となるときの、その基準とした粒子径をいう。
【0061】
4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂塊を粉砕して得られる樹脂微粉末の平均粒径D50は、小さくなる傾向にある。また、4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂塊を粉砕して得られる樹脂微粉末の粒度分布は、相対的に狭くなる傾向にある。特に、粗大粒子の存在割合が低くなる傾向が見られる。これらの傾向は、4-メチル-1-ペンテン系重合体が、ポリオレフィン系樹脂の中では、比較的嵩高い側鎖を有し、原子の充填密度が低く、分子間力が小さいといった特徴を有するためであると考えられる。また、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、その分子鎖が動きにくいため、ガラス転移温度が高く、剛直であるといった特徴を有するためであるとも考えられる。
【0062】
本発明の樹脂微粉末は、粒子径が比較的小さいにも係わらず、流動性が高いことを特徴とする。流動性が高いことは、例えば「安息角」が小さいことをいう。例えば、本発明の樹脂微粉末の安息角は、同じサイズのポリエチレン粉末の安息角と比較して小さい。安息角は、JIS R 9301に準じて測定される。
【0063】
前述の通り、4-メチル-1-ペンテン系重合体の分子間力は小さいため、4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末表面の臨界表面張力は低い。したがって、本発明の樹脂微粉末は、離型性および滑性に優れる。このため、4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末は、高い流動性を示す。
【0064】
本発明の樹脂微粉末は、粉砕により得られる粉末であり、乾燥粉末として得られることを特徴とする。つまり、乳化重合などのように、溶媒中でモノマー成分を重合して得る粉体状樹脂粒子とは異なる。
【0065】
2.4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末の製造方法
本発明の4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末の製法は、大きく2つに分類されうる。1つは、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を任意に前処理して、ジェット粉砕する方法である。他の1つは、低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を、ジェット粉砕する方法である。
【0066】
高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体とは、通常、極限粘度[η]が5.0×10-1dl/g以上3.0dl/g未満である重合体をいう。通常、極限粘度[η]が5.0×10-1dl/g以上3.0dl/g未満である4-メチル-1-ペンテン系重合体の粉砕物は、ベトつきが少なく、ハンドリングに優れる。ところが、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、一般には微粉化は困難であり、特に粒径分布の狭い微粉(例えば平均粒径D50が50μm以下)を得ることは困難であった。そこで、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を前処理して、ジェット粉砕可能な状態にする。
【0067】
高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体の前処理には、使用原料に応じて、カッター粉砕、ふるい処理、溶媒処理などから選ばれる1種類以上の処理を適宜選択して実施することが好ましい。
【0068】
カッター粉砕により、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を粗粉砕する。粗粉砕物の平均粒径D50は、100μm以下程度にすることが好ましい。例えば、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体のペレットは、カッター粉砕して粗粉砕することが好ましい。カッター粉砕は、カッターミルを用いて行えばよい。
【0069】
ふるい処理により、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体の粉体の粒径分布をシャープにする。ふるい処理に用いられるフィルターのメッシュサイズは、1000μm以下であることが好ましい。ふるい処理物の平均粒径D50は、100μm以下程度にすることが好ましい。例えば、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体のペレットを切断したときの切りくず(切子)は、微細な粉体をも含むが、大きい粉体をも含む。そのため、ふるい処理を行うことで、微細な粉体のみを抽出することが好ましい。
【0070】
溶媒処理とは、4-メチル-1-ペンテン系重合体に溶媒を染込ませることであり;通常は、重合体を溶媒中に浸漬させて行う。溶媒の例には、n-へキサン、メチルシクロへキサン、デカン、テカリンなどの脂肪族系炭化水素:テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロフォルムなどのハロゲン化炭化水素などが含まれる。溶媒中への浸漬時間は、30分〜24時間が一般的であるが、3〜4時間程度で十分なことが多い。浸漬する溶媒の温度は、常温でもよいが、加熱または冷却してもよい。溶媒処理は、カッター粉砕の前処理としてもよく、ジェット粉砕の前処理として行ってもよい。
【0071】
前処理後の4-メチル-1-ペンテン系重合体を、ジェット粉砕することで、本発明の樹脂微粉末を得ることができる。ジェット粉砕の処理量(粉砕させる原料の、単位あたり時間の量)が少ないほど、粉砕物の粒径は小さくなるが、生産性は低下する。一方、ジェット粉砕の処理量が多いほど、粉砕物の粒径は大きくなるが、生産性は高まる。
【0072】
ジェット粉砕は、超微粉砕機を用いればよく、例えばナノジェットマイザー(株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)などを用いることができる。ジェット粉砕は、1回だけ行ってもよいし、必要に応じて複数回繰り返して行ってもよい。
【0073】
一方、低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体とは、通常、極限粘度[η]が1.0×10-2dl/g以上5.0×10-1dl/g未満ある重合体をいう。低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体と比較すると、微粉化しやすい。そのため、低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体には、ジェット粉砕をするための前処理を行っても行わなくてもよい。
【0074】
低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体は、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体を熱分解して得ることができるが、直接重合によって得ることもできる。
【0075】
低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体のジェット粉砕は、高分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体のジェット粉砕と同様の手法にて行えばよい。低分子量の4-メチル-1-ペンテン系重合体のジェット粉砕は、他のポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレンなど)と比較して、粉砕しやすい。4-メチル-1-ペンテン系重合体のガラス転移温度(Tg)が高いためである。
【0076】
3.4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末を含む組成物
本発明の4-メチル-1-ペンテン系重合体の樹脂微粉末は、種々の用途に用いられうる。例えば、インキ組成物や塗料組成物の添加剤として、冶金用粉末組成物の添加剤として、セラミック焼結用粉末組成物の添加剤として、粘着剤の添加剤として、ゴムの添加剤として、トナーの離型剤として、金型離型材などとして用いられうる。
【0077】
さらには、軸上、歯車、カム、電気部品、カメラ部品、自動車部品、家庭用品向けの部品への樹脂添加剤として、ワックス、グリース、エンジンオイル、ファインセラミックス、メッキなどの樹脂添加剤としても用いられうる。
【0078】
本発明の好ましい組成物の一例は、前述の樹脂微粉末と、金属およびセラミック粉末からなる群から選ばれる少なくとも1種の焼結性粉末とを含有する組成物である。焼結性粉末100質量部に対する、樹脂微粉末の含有量は0.1〜150質量部、好ましくは5〜150質量部、さらに好ましくは10〜100質量部、特に好ましくは15〜85質量部である。樹脂微粉末の含有量が少なすぎると、組成物の潤滑性低下して成形しにくくなる場合があり、また成形体や焼結体を金型から離型しにくくなる(離型性が低下する)ことがある。一方、樹脂微粉末の含有量が多すぎると、離型性および潤滑性が飽和するだけでなく、圧縮性が低下して所望の焼結体が得られにくい場合がある。
【0079】
多孔質焼結材用組成物
本発明の多孔質焼結材用組成物は、本発明の樹脂微粉末と、セラミック粉末または金属粉末と、可塑化バインダーと、を含有する。本発明の多孔質焼結材用組成物からは、多孔質性の焼結材を得ることができる。多孔質性の焼結材とは、例えばハニカムフィルタである。ハニカムフィルタは、例えば自動車の触媒コンバータの触媒担体や、ディーゼルエンジン排ガスの浄化用触媒担体に用いられる。
【0080】
セラミック粉末または金属粉末は、多孔質焼結体を構成する材料となる。セラミック粉末の例には、コージェライト、スピネル、クレイ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、アルカリ、遷移金属などが含まれる。金属粉末の例には、鉄、タングステン、銅、青銅、モリブデン、クロム、またはニッケルを主成分とする粉末が含まれる。
【0081】
可塑化バインダーは、エチレン・酢酸ビニル共重合物などの熱可塑性樹脂、セルロースまたはその誘導体、界面活性剤(ステアリン酸やオレイン酸)、オイル、水などからなることが多い。多孔質焼結材用組成物における可塑化バインダーの含有量は特に限定されないが、焼結性粉末100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましく、30〜160質量部であることがさらに好ましく、40〜100質量部であることが特に好ましい。例えば、100質量部のセラミック粉末に対して、2〜25質量部のセルロースまたはその誘導体と、0.5〜10質量部の界面活性剤と、2〜25質量部のオイルと、30〜100質量部の水とを含む。
【0082】
多孔質焼結材用組成物における樹脂微粉末の含有量は、100質量部のセラミック粉末に対して、5〜150質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、特に好ましくは15〜85質量部でありうる。本発明の樹脂微粉末は、多孔質焼結材用組成物において、焼結材に孔を形成させるための細孔形成材として作用する。
【0083】
多孔質焼結体を得るための焼結プロセスは、1)多孔質焼結材用組成物を、押出ダイを通して未焼成体を造形する工程、2)未焼成体を加熱して、細孔形成材を除去する工程、3)細孔形成材を除去した未焼成体を焼成する工程、を含みうる。つまり、本発明の樹脂微粉末が、未焼成体を加熱した際に、気化または分解することによって、得られるセラミック焼結材に細孔を形成する。
【0084】
本発明の多孔質焼結材用材組成物は、未焼成体を造形する工程において球状顆粒の密度が高まり、そのため、混練の際に混練スクリューに巻き込まれ易くなる。さらに、本発明の樹脂微粉末は、原料粉末(金属粉末またはセラミック粉末)に対する滑剤としても作用する。その結果、本発明の多孔質焼結材用材組成物は、短時間で均一に混練される。
【0085】
前記の通り、本発明の樹脂微粉末は4-メチル-1-ペンテン系重合体からなる微粉末であり、4-メチル-1-ペンテン系重合体はポリエチレンなどのポリオレフィンと比較して、分解開始温度が低い。そのため、未焼成体の加熱温度が低くても、除去することができる。
【0086】
また、未焼結体を加熱して細孔形成剤を除去するときに、細孔形成剤が低温で溶融してしまうと、未焼結体の自重によって焼結体が変形してしまうことがある。本発明の樹脂微粉末の融点は高いので、未焼成体を加熱している間に溶融しにくい。そのため、加熱中の未焼結体の変形が抑制される。
【0087】
多孔質焼結材用組成物における細孔形成剤の平均粒径D50の下限は、1.0×10-1μmであることが好ましく、5.0×10-1μmであることがより好ましく、7.0×10-1μmであることがさらに好ましく、1.0μmであることが特に好ましい。過剰に小さい粒径の細孔形成剤では、焼結体に孔を形成できないことがあるからである。また、細孔形成剤の平均粒径D50の上限は、5.0×10μmであることが好ましく、3.0×10μmであることがより好ましく、1.0×10μmであることがさらに好ましく、5.0μmであることが特に好ましい。過剰に大きい粒径の細孔形成剤では、多孔質焼結体の十分な強度が得られないことがある。
【0088】
冶金用粉末組成物
本発明の冶金用組成物は、本発明の樹脂微粉末と、焼結性粉末とを含む。冶金用組成物からは、例えば、焼結体である金属部材などを得ることができる。
【0089】
焼結性粉末は、得られる焼結体を構成する材料となる。焼結性粉末は、通常、セラミック粉末または金属粉末であり;金属粉末の例には、鉄、タングステン、銅、青銅、モリブデン、クロム、またはニッケルを主成分とする粉末が含まれる。焼結性粉末の重量平均粒径は、最大1000μmであることが好ましく、通常、10〜500μmの範囲である。20〜350μmが好ましく、30〜150μmが特に好ましい。冶金用組成物における焼結性粉末の含有量は、85〜99.9質量%であることが好ましく、95〜99.8質量%であることがより好ましく、98〜99.7質量%であることが特に好ましい。冶金用組成物における樹脂微粉末の含有量は、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜2質量%であることが特に好ましい。樹脂微粉末の使用量が不足すると、潤滑性が不足する。また、樹脂微粉末を過剰に使用すると、潤滑性が飽和するだけでなく、圧縮性が低下する。なお、冶金用組成物において、本発明の樹脂微粉末は乾燥潤滑剤として作用する。
【0090】
冶金用組成物は、焼結性粉末に樹脂微粉末を適量添加したのち、混合機で混合して得ることができる。混合機としては、容器回転式、機械撹拌式、流動撹拌式および無撹拌式等の、混合粉体に与えるせん断力が小さい混合機が好適である。容器回転式混合機では、水平円筒型、傾斜円筒型、V 型、二重円錐型および連続V型が好ましく、撹拌羽が内蔵されている混合機も好適に使用できる。機械撹拌式混合機では、リボン型、スクリュー型、複軸パドル型、円錐形スクリュー型および回転円板型が好ましい。流動撹拌式混合機では、流動床式、旋回流動式、ジェットポンプ式が好ましい。
【0091】
冶金のプロセスは、1)前述記載の方法で混合した冶金用組成物を、焼結用金型に充填して圧縮成形する工程、2)金型から圧縮成形物を離型する工程、3)離型物を熱処理および焼結する工程、を含みうる。
【0092】
冶金用組成物を焼結用金型に充填して圧縮成形する工程には、公知のいずれの方法を適合してもよい。例えば、室温の冶金用組成物を、50〜70℃に加熱した金型に充填・圧縮すると、粉末の取り扱いが容易で、圧粉体密度をさらに向上させることができるため好適である。また、冶金用組成物と金型を、ともに100℃〜150℃に加熱する温間成形を適合してもよい。
【0093】
さらに、焼結および熱処理についても、公知の方法を適合すればよい。
【0094】
乾燥潤滑剤には、冶金用組成物を金型内で圧縮成形したときに焼結性粉末を流動させて、焼結用金型のキャビティーの全体に行きわたらせることが求められる。さらには、乾燥潤滑剤には、金型から圧縮成形物を離型するときの離形性を高めることが求められる。その結果、精密な形状の圧縮成形物が得られる。本発明の樹脂微粉末は、融点が高く、低表面張力を有する4-メチル-1-ペンテン系重合体からなる微粉末であるので、焼結性粉末を流動させることができ、かつ金型からの離型を容易にすることができる。
【0095】
冶金用組成物に配合された乾燥潤滑剤が低融点であると、焼結性粉末の粉末同士の間に液架橋を形成するために、流動性を低下させることがあった。特に、冶金用組成物を焼結用金型に充填するときに、冶金用組成物と金型とを加熱する場合には、この流動性の低下が顕著であった。そのため、冶金用組成物に、融点の高い乾燥潤滑剤、例えば高級脂肪酸金属塩類やエチレンビスアミドを配合することがあった。ところが、これらは、焼結性粉末の流動性の向上効果が不十分であった。
【0096】
冶金用組成物における樹脂微粉末の平均粒径D50の下限は、1.0×10-1μmであることが好ましく、5.0×10-1μmであることがより好ましく、7.0×10-1μmであることがさらに好ましく、1.0μmであることが特に好ましい。また、樹脂微粉末の平均粒径D50の上限は、5.0×10μmであることが好ましく、3.0×10μmであることがより好ましく、1.0×10μmであることがさらに好ましく、5.0μmであることが特に好ましい。粒径が大きい樹脂微粉末は、焼結体の強度を低下させるからである。一方、粒径が過剰に小さい樹脂微粉末は、冶金用組成物における焼結性粉末の流動性を十分に高めることができない。
【0097】
冶金用組成物における乾燥潤滑剤は、離型物を焼結する際に、熱分解されて除去されなければならない。本発明の樹脂微粉末は4-メチル-1-ペンテン系重合体からなる微粉末であり、4-メチル-1-ペンテン系重合体はポリエチレンなどのポリオレフィンと比較して、分解開始温度が低い。よって、より低い焼結温度で、より確実に除去されうる。また、冶金用組成物における乾燥潤滑剤として用いられることがあるアミドワックスなどは、熱分解によって臭気物質を発生させて作業効率を低下させることがあるが、本発明の樹脂微粉末は臭気物質を発生させにくい。
【0098】
冶金用組成物に含まれる樹脂微粉末の一部は、本発明の樹脂微粉末以外の樹脂微粉末であってもよい。本発明の樹脂微粉末以外の樹脂微粉末の例には、脂肪酸金属塩やアミドワックスが含まれ;より具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩や、エチレンビス(ステアロイルアミド)型アミドワックス、ステアロイルアミド型アミドワックスなどが含まれる。
【0099】
インキ組成物/塗料組成物
本発明のインキ組成物および塗料組成物は、本発明の樹脂微粉末と、マトリックス樹脂と、有機溶媒と、着色剤とを含有する。インキ組成物は、例えばオフセット印刷などに用いられうる。
【0100】
マトリックス樹脂の例には、ロジン、ギルソナイト、エステルガムなどの天然樹脂;フェノール樹脂、アルキッド樹脂、石油樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ニトロセルロース、塩化ゴムなどの合成樹脂が含まれる。
【0101】
有機溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;トリクロロエチレン、ジクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、プロパンジオール、フェノールなどのアルコール;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、ヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン;メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ギ酸ブチルなどのエステル類;テトラヒドロフランなどのエーテル類などが含まれる。
【0102】
インキ組成物および塗料組成物における、本発明の樹脂微粉末の含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。インキ組成物および塗料組成物において、本発明の樹脂微粉末はワックスとして作用する。
【0103】
インキ組成物および塗料組成物において、ワックスは、印刷皮膜の耐摩擦性を高める。例えば、インキ組成物および塗料組成物を塗布した塗膜が、他の部材に接触することで、印刷面がこすれて印刷品質が低下することがあるが、ワックスは、この印刷品質低下を抑制する。
【0104】
ところが、オフセット印刷は、塗膜を加熱する(ヒートセットする)ことで溶媒を蒸発させて印刷物を得るが、この加熱温度(ヒートセット温度)が高温、例えば150℃以上になることもある。そのため、通常のワックスは塗膜の加熱工程において溶解してしまい、その耐磨耗特性を維持できないことがあった。
【0105】
本発明の樹脂微粉末は、4-メチル-1-ペンテン系重合体からなる樹脂微粉末であり、4-メチル-1-ペンテン系重合体は、ワックスとして用いられるポリエチレンなどと比較して融点が高い(150℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上)。そのため、本発明の樹脂微粉末を含有する組成物インキ組成物および塗料組成物は、印刷皮膜の耐摩擦性が高く、たとえヒートセット温度が高いオフセット印刷による印刷皮膜であっても、耐摩耗性が高まりうる。
【0106】
また、本発明の樹脂微粉末を構成する4-メチル-1-ペンテン系重合体は透明性も高い。したがって本発明の樹脂微粉末は、印刷皮膜の色調に影響を与えにくく、印刷品質への影響が小さい。
【0107】
さらに、本発明の樹脂微粉末を構成する4-メチル-1-ペンテン系重合体の密度は低い。そのため、インキ組成物および塗料組成物の印刷塗膜における表面に、本発明の樹脂微粉末が偏在しうる。塗膜表面にワックスが偏在することで、印刷皮膜の耐摩耗性はさらに向上する。
【実施例】
【0108】
参考例1]
ポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学株式会社製、商標名:TPX、銘柄名:DX820、融点:233℃、MFR:180[g/10min](ASTM-D1238、260℃‐5kg荷重)のペレット(粒径約3mm)を用意した。
【0109】
前記ペレットを、常温のメチルシクロヘキサンに4時間浸漬して溶媒処理した。溶媒処理したペレットを、カッターミルでカッター粉砕した。カッター粉砕物に、さらにジェット粉砕処理(6回)を行った。ジェット粉砕処理は、ナノジェットマイザー(NJ50型:株式会社アイシンナノテクノロジーズ製)を用いた。粉砕条件は、押し込み圧:1.3〜1.5MPa、粉砕圧:1.0〜1.35MPaの範囲に設定した。得られた粉体の粒径を測定し、結果を表1にまとめた。
【0110】
参考例2]
ポリ-4-メチル-1-ペンテン(三井化学株式会社製、商標名:TPX、銘柄名:DX810UP、融点:233℃、MFR:5[g/10min](ASTM-D1238、260℃‐5kg荷重)のパウダー(粒径約300μm)を用意した。
【0111】
前記パウダーを、常温のメチルシクロヘキサンに4時間浸漬して溶媒処理した。溶媒処理したパウダーに、ジェット粉砕(2回)処理を行った。ジェット粉砕処理は、参考例1と同様の手法にて行った。得られた粉体の粒径を測定し、結果を表1にまとめた。
【0112】
参考例3]
ポリ-4-メチル-1−ペンテン(三井化学株式会社製、商標名:TPX、融点約233℃、MFR 約1〜200[g/10min](ASTM-D1238、260℃‐5kg荷重)の製造工程で発生した、切子やペレットの混合物(粒径約1μm〜3mm)を用意した。
【0113】
前記切子やペレットの混合物に、850ミクロン・メッシュを用いて、ふるい処理を実施した。ふるい通過物に、ジェット粉砕(3回)処理を行った。ジェット粉砕処理は、参考例1と同様の手法にて行った。得られた粉体の粒径を測定し、結果を表1にまとめた。
【0114】
[比較例1]
参考例1で用意したペレット(粒径:D50=3mm)に、前処理(溶媒処理およびカッター粉砕)を実施することなく、ジェット粉砕(1回)処理を行った。その粉体の粒径を測定した結果を表1にまとめた。
【0115】
[比較例2]
参考例2で用意したパウダー(粒径:D50=300μm)に、前処理(溶媒処理)を実施することなく、ジェット粉砕(3回)処理を行った。その粉体の粒径を測定した結果を表1にまとめた。
【0116】
〔粒度分布測定〕
参考例および比較例における粉体の平均粒径D50は、以下の手法で測定した。界面活性剤を含む水溶液に、粉体を拡散分散させた後に、粒度分布測定機(CILAS社製・1064型 測定範囲:0.04〜500μm)にて、原料粉砕物の粒径サイズを測定し、平均粒径D50を測定した。前述の通り、平均粒径D50とは、積算分布曲線の粒径が小さい方から50%に相当する粒子径、すなわち粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側の質量が等量となる際の粒径をいう。また、参考例1〜3の粉体について、同様の方法で粒度分布を測定し、結果を図4参考例1)、図5参考例2)、および図6参考例3)に示した。
【0117】
〔モルフォロジー観察〕
ジェット粉砕処理後の粉体の形状を、走査型電子顕微鏡(日本電子(株):JSM6380)にて観察した。参考例1〜3で得られた粉体の顕微鏡写真を、それぞれ図1図3に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
参考例1においては、4-メチル-1-ペンテン系重合体ペレットの前処理として、溶媒処理後にカッター粉砕を行い、前処理後の原料粒径は76μmとなった。さらにジェット粉砕(6回)を行った結果、図1に示す砂粒形状の微粒子が得られ、その平均粒径は4μmであった。一方、比較例1では、参考例1と同じペレットを用いて、前処理を施さずジェット粉砕を実施したが、粉砕効果が全く見られなかった。
【0120】
参考例2においては、4-メチル-1-ペンテン系重合体パウダーに溶媒処理を行い、原料粒径は113μmとなった。さらにジェット粉砕(2回)を行った結果、図2に示す砂粒形状の微粒子が得られ、その平均粒径は3μmであった。また、比較例2においても、参考例2で用いたパウダーの前処理を実施せずジェット粉砕を行ったが、十分に粉砕することができず、平均粒径は211μmであった。
【0121】
このように、4-メチル-1-ペンテン系重合体微粉末を得るためには、溶媒処理などの前処理を行ってから、ジェット粉砕をすることが重要であることが明らかとなった。
【0122】
4-メチル-1-ペンテン系重合体ペレットの製造工程で発生する切子は、ペレット、及び、いびつな形状の切り屑が混在しているため、ふるい処理(850ミクロン・メッシュ)を実施した。ふるい工程後の原料粒径は35μmとなった。さらにジェット粉砕(3回)することで、図3に示すように、針形状、もしくは枝分かれ形状の微粒子が得られ、その粒径は長軸方向で7μmであった。
【0123】
[実施例4]
極限粘度[η]が2.9dL/gの4-メチル-1-ペンテンホモポリマー150gを500mlの枝付重合フラスコに仕込み、窒素を流通させながら、サンドバスを用い358℃に加熱した。フラスコ壁面の重合体が融解したことを確認した後、温度を保ったまま2時間撹拌を続けることにより、4-メチル-1-ペンテン系ポリマーを熱分解した。その後、常温まで冷却することにより、極限粘度[η]が0.20dL/gのオリゴマー(4MP1系オリゴマー)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn、融点、臨界表面張力などを、表2に示した。
【0124】
得られたオリゴマーを、シングルトラックジェットミル(セイシン企業社製STJ−200型)を用いて粉砕処理した(粉砕処理量;2kg/h)。粉砕処理物の平均粒径D50は、2.5μmであった。
【0125】
[実施例5]
4-メチル-1-ペンテン系ポリマー(三井化学社製DX820)150gを500mlの枝付重合フラスコに仕込み、窒素を流通させながら、サンドバスを用い357℃に加熱した。フラスコ壁面の重合体が融解したことを確認した後、温度を保ったまま2時間撹拌を続けることにより、4-メチル-1-ペンテン系ポリマーを熱分解した。その後、常温まで冷却することにより、極限粘度[η]が0.23dL/gのオリゴマー(4MP1系オリゴマー)を得た。得られたオリゴマーの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn、融点、臨界表面張力などを、表2に示した。
【0126】
得られたオリゴマーを、シングルトラックジェットミル(セイシン企業社製STJ−200型)を用いて粉砕処理した(粉砕処理量;5kg/h)。同様の粉砕処理を、2回繰り返して行った。粉砕処理物の平均粒径D50は、3.6μmであった。
【0127】
[比較例3]
微粉のエチレンビスステアリルアミド(日本化成社製スリパックスEK)を用意した。融点と平均粒径D50を表2に示した。
【0128】
実施例4および実施例5、ならびに比較例3に示す物性値は、以下の方法により求めた。〔オリゴマー組成〕
13C−NMRスペクトルの解析により求めた。
【0129】
〔極限粘度[η]〕
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。サンプル約20mgを、デカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液に、デカリン溶媒を5ml追加して希釈した後に、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]= lim(ηsp/C) (C→0[分子量])
【0130】
〔分子量分布〕
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。また、重量平均分子量と数平均分子量は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。装置 : ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)溶剤 : o−ジクロロベンゼンカラム: TSKgelカラム(東ソー社製)×4流速 : 1.0 ml/分試料 : 0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液温度 : 140℃分子量換算 : PS換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10-4,aPS=0.70
【0131】
〔融点〕
示差走査型熱量計(DSC)を用いて、試料約5mgをアルミパンに詰めて280℃まで昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分で30℃まで冷却し、30℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温する際の吸熱ピークを融点とした。
【0132】
〔臨界表面張力〕
画像処理式・固液界面解析システム(協和界面科学社製Dropmaster500)を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で、試験サンプル表面に表面張力の判明している4種類のぬれ張力試験用混合液(エチレングリコールモノエチルエーテル/ホルムアミド、表面張力各31、34、37、40mN/m)を滴下し、接触角を測定した。
【0133】
5枚の試験サンプルについて測定を行い、その平均値を求めた。この接触角の平均値θから算出されるcosθ(Y軸)と、試験用混合液の表面張力(X軸)とから得られる点(5個以上)を、X−Y座標にプロットした。これらの点の最小二乗法より得られる直線と、cosθ=1との交点に対応する表面張力(X軸)を、臨界表面張力(mN/m)とした。
【0134】
臨界表面張力測定用の試験サンプルは、SUSプレート上に4-メチル-1-ペンテン系重合体をキャスティングして調製した。キャスティングは、窒素雰囲気下、250℃×5分の条件にて、4-メチル-1-ペンテン系重合体をSUSプレート上に加熱溶融し、その後、常温に戻して固化させた。本試験サンプルの表面について、臨界表面張力を測定した。
【0135】
〔粒度分布測定〕
実施例4および実施例5における平均粒径D50および粒度分布は、界面活性剤を含む水溶液に、粉体を拡散分散させた後に、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(セイシン企業社製LMS−30、測定範囲:0.1〜1000μm)を用いて測定した。また、実施例4および実施例5の粉体の粒度分布を、図7(実施例4)および図8(実施例5)に示した。
【0136】
比較例3における平均粒径D50は、界面活性剤を含む水溶液に、粉体を拡散分散させた後に、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラックHRA、測定範囲:0.1〜700μm)を用いて測定した。
【0137】
〔安息角〕
安息角は、JIS R 9301に準じて測定された。
【0138】
【表2】
【0139】
表2に示されるように、実施例4および実施例5の4-メチル-1-ペンテン-1系重合体のオリゴマーは、前処理なしで、ジェットミル粉砕によって平均粒径D502.5μmおよび3.6μmの粒子となった。
【0140】
また、表2に示されるように、実施例4および実施例5の4-メチル-1-ペンテン-1系重合体のオリゴマーは、同等のサイズのエチレンビスステアリルアミドと比較して安息角が小さい。すなわち、本発明の樹脂微粉末は、粒子径が比較的小さいにも係わらず、流動性が高いことを特徴とする。
【0141】
本出願は、2010年4月28日出願の出願番号JP2010−104310、および2010年7月28日出願のUS61/368,420に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の樹脂微粉末は、4-メチル-1-ペンテン系重合体の特性を利用して、各種組成物への添加剤として用いられうる。例えば、4-メチル-1-ペンテン系重合体は表面張力が低いので、滑剤として用いられたり;他のポリオレフィンと比べて高融点であるので、ヒートセット温度の高いインキ組成物へのワックスとして用いられたりする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8