(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドをその先端側で回動可能に支持する第2アーム部と前記第2アーム部の基端側をその先端側で回動可能に支持する第1アーム部との少なくとも2個のアーム部を有するアームと、前記アームを伸縮させるための第1駆動用モータと、前記第2アーム部に対して前記ハンドを相対回動させるための第2駆動用モータと、前記第1駆動用モータの動力および前記第2駆動用モータの動力を伝達するための動力伝達機構とを備え、
前記第2駆動用モータは、前記第1アーム部に取り付けられ、
前記動力伝達機構は、前記第1アーム部と前記第2アーム部との連結部に配置され前記第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、前記第2駆動用モータに連結される第3減速機と、前記第2アーム部の基端側に配置され前記第3減速機の出力部に固定される第1プーリと、前記第2アーム部の先端側に配置され前記ハンドの基端側に固定される第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに架け渡されるベルトとを備え、
前記第2減速機の出力部は、前記第1アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともに前記第2アーム部の基端側に固定され、
前記第2減速機の入力部は、前記第2減速機の出力部に回転可能に保持され、
前記第3減速機の出力部は、前記第1アーム部の先端側に回動可能に保持され、
前記第3減速機の入力部は、前記第3減速機の出力部に回転可能に保持され、
前記動力伝達機構は、前記ハンドが所定方向を向いた状態で略直線状に動くように前記第1駆動用モータの動力を前記アームおよび前記ハンドに伝達し、かつ、前記第2アーム部に対して前記ハンドが相対回動するように前記第2駆動用モータの動力を前記ハンドに伝達することを特徴とする産業用ロボット。
上下方向を回動の軸方向として前記第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向として前記アーム支持部材を旋回させるための旋回機構と、前記産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、
前記アームが伸びると前記搬送対象物が収容される収容部の中に前記ハンドが入り、前記アームが縮むと前記収容部から前記搬送対象物が搬出されるように構成され、
前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の奥側に配置される前記搬送対象物の端部を奥側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の手前側に配置される前記搬送対象物の端部を手前側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されているときの前記奥側端の中心と前記手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、
前記収容部内に収容される前記搬送対象物を前記ハンドに搭載可能な位置まで前記アームが伸びている状態では、上下方向から見たときに、前記第2アーム部と前記ハンドとの連結部に配置される前記ハンドの回動中心が前記基準線上に配置されるとともに、前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置され、
前記旋回機構によって旋回する際の前記産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置まで前記アームが縮んでいる状態では、上下方向から見たときに、前記ハンドの回動中心と前記ハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に前記アーム支持部材の旋回中心が配置されるとともに、搬出された前記搬送対象物の前記奥側端の中心が前記基準線上に配置され、
前記制御部は、前記旋回機構によって前記アーム支持部材を旋回させ、かつ、前記ハンドを回動させながら、前記アームを伸縮させて、前記搬送対象物を搬送することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の産業用ロボット。
上下方向を回動の軸方向として前記第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向として前記アーム支持部材を旋回させるための旋回機構と、前記産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、
前記アームが伸びると前記搬送対象物が収容される収容部の中に前記ハンドが入り、前記アームが縮むと前記収容部から前記搬送対象物が搬出されるように構成され、
前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の奥側に配置される前記搬送対象物の端部を奥側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の手前側に配置される前記搬送対象物の端部を手前側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されているときの前記奥側端の中心と前記手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、
前記制御部は、前記産業用ロボットの教示を行っている場合に、前記収容部内に収容される前記搬送対象物を前記ハンドに搭載可能な位置まで前記アームが伸びている状態で、上下方向から見たときに、前記第2アーム部と前記ハンドとの連結部に配置される前記ハンドの回動中心および前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置されており、かつ、前記ハンドの回動中心と前記ハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に前記旋回機構によって旋回する前記アーム支持部材の旋回中心が配置されていなければ、前記ハンドの回動中心および前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置された状態を維持しつつ、前記アーム支持部材の旋回中心が前記ハンド中心線上に配置されるように、前記産業用ロボットを動作させることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の産業用ロボット。
上下方向を回動の軸方向として前記第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向として前記アーム支持部材を旋回させるための旋回機構とを備える請求項1から9のいずれかに記載の産業用ロボットの制御方法であって、
前記搬送対象物が収容される収容部内に前記搬送対象物が収容されたときに前記収容部の奥側に配置される前記搬送対象物の端部を奥側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の手前側に配置される前記搬送対象物の端部を手前側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されているときの前記奥側端の中心と前記手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、
上下方向から見たときに、前記第2アーム部と前記ハンドとの連結部に配置される前記ハンドの回動中心が前記基準線上に配置されるとともに、前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置されるように、前記収容部に収容される前記搬送対象物を前記ハンドに搭載可能な位置まで前記アームが伸び、
上下方向から見たときに、前記ハンドの回動中心と前記ハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に前記旋回機構によって旋回する前記アーム支持部材の旋回中心が配置されるとともに、搬出された前記搬送対象物の前記奥側端の中心が前記基準線上に配置されるように、前記旋回機構によって旋回する際の前記産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置まで前記アームが縮み、
前記旋回機構によって前記アーム支持部材を旋回させ、かつ、前記ハンドを回動させながら、前記アームを伸縮させて、前記搬送対象物を搬送することを特徴とする産業用ロボットの制御方法。
上下方向を回動の軸方向として前記第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向として前記アーム支持部材を旋回させるための旋回機構とを備える請求項1から10のいずれかに記載の産業用ロボットの教示方法であって、
前記搬送対象物が収容される収容部内に前記搬送対象物が収容されたときに前記収容部の奥側に配置される前記搬送対象物の端部を奥側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されたときに前記収容部の手前側に配置される前記搬送対象物の端部を手前側端とし、前記搬送対象物が前記収容部内に収容されているときの前記奥側端の中心と前記手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、
前記収容部内に収容された前記搬送対象物を前記ハンドに搭載可能な位置まで前記アームが伸びている状態で、上下方向から見たときに、前記第2アーム部と前記ハンドとの連結部に配置される前記ハンドの回動中心および前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置されており、かつ、前記ハンドの回動中心と前記ハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に前記旋回機構によって旋回する前記アーム支持部材の旋回中心が配置されていなければ、前記ハンドの回動中心および前記ハンドの先端部の中心が前記基準線上に配置された状態を維持しつつ、前記アーム支持部材の旋回中心が前記ハンド中心線上に配置されるように、前記産業用ロボットを動作させることを特徴とする産業用ロボットの教示方法。
前記収容部内に収容された前記搬送対象物を前記ハンドに搭載可能な位置まで前記アームが伸びている状態で、前記ハンドを回動させながら、前記搬送対象物と前記ハンドとの向きを合わせることを特徴とする請求項13記載の産業用ロボットの教示方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、本体部を架台に対して移動させることができるため、架台に対する本体部の移動方向におけるガラス基板の位置ずれを抑制しつつガラス基板の傾きを補正することが可能である。しかしながら、この産業用ロボットでは、たとえば、架台に対する本体部の移動方向へハンドが直線状に動いて、カセット内のガラス基板を搬出する場合には、架台に対する本体部の移動方向に直交する方向でのガラス基板の位置ずれを抑制しつつガラス基板の傾きを補正することが困難である。すなわち、この産業用ロボットでは、ガラス基板を搬出する際のハンドの移動方向によっては、ガラス基板の位置ずれを抑制しつつガラス基板の傾きを適切に補正することが困難である。
【0006】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物を搬出する際のハンドの移動方向にかかわらず、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドをその先端側で回動可能に支持する第2アーム部と第2アーム部の基端側をその先端側で回動可能に支持する第1アーム部との少なくとも2個のアーム部を有するアームと、アームを伸縮させるための第1駆動用モータと、第2アーム部に対してハンドを相対回動させるための第2駆動用モータと、第1駆動用モータの動力および第2駆動用モータの動力を伝達するための動力伝達機構とを備え、
第2駆動用モータは、第1アーム部に取り付けられ、動力伝達機構は、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第3減速機の出力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置されハンドの基端側に固定される第2プーリと、第1プーリと第2プーリとに架け渡されるベルトとを備え、第2減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともに第2アーム部の基端側に固定され、第2減速機の入力部は、第2減速機の出力部に回転可能に保持され、第3減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持され、第3減速機の入力部は、第3減速機の出力部に回転可能に保持され、動力伝達機構は、ハンドが所定方向を向いた状態で略直線状に動くように第1駆動用モータの動力をアームおよびハンドに伝達し、かつ、第2アーム部に対してハンドが相対回動するように第2駆動用モータの動力をハンドに伝達することを特徴とする。
また、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドをその先端側で回動可能に支持する第2アーム部と第2アーム部の基端側をその先端側で回動可能に支持する第1アーム部との少なくとも2個のアーム部を有するアームと、アームを伸縮させるための第1駆動用モータと、第2アーム部に対してハンドを相対回動させるための第2駆動用モータと、第1駆動用モータの動力および第2駆動用モータの動力を伝達するための動力伝達機構とを備え、第2駆動用モータは、第2アーム部に取り付けられ、動力伝達機構は、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、太陽歯車と遊星歯車と内歯車と遊星歯車を回転可能に保持する遊星キャリヤとを有し第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部とハンドとの連結部に配置される第4減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第2減速機の入力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置され第4減速機の入力部に固定される第2プーリと、太陽歯車に固定される第3プーリと、遊星キャリヤに固定される第4プーリと、内歯車に固定される第5プーリと、第2駆動用モータの回転軸に固定される第6プーリと、第1プーリと第3プーリとに架け渡される第1ベルトと、第2プーリと第4プーリとに架け渡される第2ベルトと、第5プーリと第6プーリとに架け渡される第3ベルトとを備え、ハンドが所定方向を向いた状態で略直線状に動くように第1駆動用モータの動力をアームおよびハンドに伝達し、かつ、第2アーム部に対してハンドが相対回動するように第2駆動用モータの動力をハンドに伝達することを特徴とする。さらに、上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドをその先端側で回動可能に支持する第2アーム部と第2アーム部の基端側をその先端側で回動可能に支持する第1アーム部との少なくとも2個のアーム部を有するアームと、アームを伸縮させるための第1駆動用モータと、第2アーム部に対してハンドを相対回動させるための第2駆動用モータと、第1駆動用モータの動力および第2駆動用モータの動力を伝達するための動力伝達機構とを備え、第2駆動用モータは、第2アーム部に取り付けられ、動力伝達機構は、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、第1かさ歯車と第1かさ歯車に噛み合うとともに互いに対向配置される第2かさ歯車および第3かさ歯車と第1かさ歯車を回転可能に保持する保持部材とを有し第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部とハンドとの連結部に配置される第4減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第2減速機の入力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置され第4減速機の入力部に固定される第2プーリと、第2かさ歯車に固定される第3プーリと、第3かさ歯車に固定される第4プーリと、保持部材に固定される第5プーリと、第2駆動用モータの回転軸に固定される第6プーリと、第1プーリと第3プーリとに架け渡される第1ベルトと、第2プーリと第4プーリとに架け渡される第2ベルトと、第5プーリと第6プーリとに架け渡される第3ベルトとを備え、ハンドが所定方向を向いた状態で略直線状に動くように第1駆動用モータの動力をアームおよびハンドに伝達し、かつ、第2アーム部に対してハンドが相対回動するように第2駆動用モータの動力をハンドに伝達することを特徴とする。
【0008】
本発明の産業用ロボットは、第2アーム部に対してハンドを相対回動させるための第2駆動用モータと、第1駆動用モータの動力および第2駆動用モータの動力を伝達するための動力伝達機構とを備え、動力伝達機構は、第2アーム部に対してハンドが相対回動するように第2駆動用モータの動力をハンドに伝達する。そのため、本発明では、搬送対象物を搬出する際のハンドの移動方向にかかわらず、第2アーム部に対してハンドを自由に相対回動させることができる。したがって、本発明では、搬送対象物を搬出する際のハンドの移動方向にかかわらず、搬送対象物の傾きが検出されたときには、第2アーム部に対してハンドを相対回動させるとともに、たとえば、産業用ロボットの本体部を回動させれば、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、産業用ロボットの本体部を所定方向へ移動させるための移動機構がなくても、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能になる。したがって、本発明では、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能であっても産業用ロボットを小型化することが可能になる。さらに、本発明では、従来のように、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正する際に産業用ロボットの本体部を所定方向へ移動させる場合と比較して、搬送対象物の傾きを補正する際のタクトタイムを短縮することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、動力伝達機構は、ハンドが所定方向を向いた状態で略直線状に動くように第1駆動用モータの動力をアームおよびハンドに伝達するため、第2駆動用モータを停止状態にしておけば、動作中の産業用ロボットを非常停止させたときに、ハンドは所定方向を向いた状態で略直線状に所定量動いた後に停止する。すなわち、第2駆動用モータを停止状態にしておけば、動作中の産業用ロボットを非常停止させても、ハンドが一定方向を向いている状態が維持されるため、非常停止時の産業用ロボットの姿勢の乱れを抑制することが可能になる。したがって、本発明では、産業用ロボットを非常停止させても、産業用ロボットの周辺機器の予期せぬ箇所にハンドが衝突するのを防止することが可能になる。
【0011】
また、本発明
では、第2駆動用モータ
が、第1アーム部に取り付けられ、動力伝達機構
が、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第3減速機の出力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置されハンドの基端側に固定される第2プーリと、第1プーリと第2プーリとに架け渡されるベルトとを備え
ている場合には、動力伝達機構の構成を比較的簡素化することが可能になる。
【0012】
この場合には、たとえば、第2減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともに第2アーム部の基端側に固定され、第2減速機の入力部は、第2減速機の出力部に回転可能に保持され、第3減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持され、第3減速機の入力部は、第3減速機の出力部に回転可能に保持されている。
【0013】
また、この場合には、第2減速機の入力部および出力部は、略筒状に形成され、第2減速機の出力部の内周側に第2減速機の入力部が配置され、第2減速機の入力部の内周側を通過するように第3減速機の出力部が配置されていることが好ましい。このように構成すると、第3減速機の出力部が第2減速機の外側に配置されている場合と比較して、第1アーム部と第2アーム部との連結部を小型化することが可能になる。
【0014】
また、本発明
では、第2駆動用モータ
が、第2アーム部に取り付けられ、動力伝達機構
が、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、太陽歯車と遊星歯車と内歯車と遊星歯車を回転可能に保持する遊星キャリヤとを有し第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部とハンドとの連結部に配置される第4減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第2減速機の入力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置され第4減速機の入力部に固定される第2プーリと、太陽歯車に固定される第3プーリと、遊星キャリヤに固定される第4プーリと、内歯車に固定される第5プーリと、第2駆動用モータの回転軸に固定される第6プーリと、第1プーリと第3プーリとに架け渡される第1ベルトと、第2プーリと第4プーリとに架け渡される第2ベルトと、第5プーリと第6プーリとに架け渡される第3ベルトとを備え
ている場合には、第2アーム部とハンドとの連結部に第4減速機が配置されるため、第2アーム部とハンドとの連結部の剛性を高めることが可能になる。したがって、搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正するために、第2駆動用モータの動力で第2アーム部に対してハンドを相対回動させる場合であっても、ハンドを適切に回動させることが可能になる。
【0015】
この場合には、たとえば、第2減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともに第2アーム部の基端側に固定され、第2減速機の入力部は、第2減速機の出力部に回転可能に保持され、第4減速機の出力部は、第2アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともにハンドの基端側に固定され、第4減速機の入力部は、第4減速機の出力部に回転可能に保持され、内歯車は、第2アーム部に回動可能に保持されている。
【0016】
また、本発明
では、第2駆動用モータ
が、第2アーム部に取り付けられ、動力伝達機構
が、第1アーム部と第2アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータの動力が伝達される第2減速機と、第1かさ歯車と第1かさ歯車に噛み合うとともに互いに対向配置される第2かさ歯車および第3かさ歯車と第1かさ歯車を回転可能に保持する保持部材とを有し第2駆動用モータに連結される第3減速機と、第2アーム部とハンドとの連結部に配置される第4減速機と、第2アーム部の基端側に配置され第2減速機の入力部に固定される第1プーリと、第2アーム部の先端側に配置され第4減速機の入力部に固定される第2プーリと、第2かさ歯車に固定される第3プーリと、第3かさ歯車に固定される第4プーリと、保持部材に固定される第5プーリと、第2駆動用モータの回転軸に固定される第6プーリ
と、第1プーリと第3プーリとに架け渡される第1ベルトと、第2プーリと第4プーリとに架け渡される第2ベルトと、第5プーリと第6プーリとに架け渡される第3ベルトとを備えてい
る場合には、第2アーム部とハンドとの連結部に第4減速機が配置されるため、第2アーム部とハンドとの連結部の剛性を高めることが可能になる。したがって、搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正するために、第2駆動用モータの動力で第2アーム部に対してハンドを相対回動させる場合であっても、ハンドを適切に回動させることが可能になる。
【0017】
この場合には、たとえば、第2減速機の出力部は、第1アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともに第2アーム部の基端側に固定され、第2減速機の入力部は、第2減速機の出力部に回転可能に保持され、第4減速機の出力部は、第2アーム部の先端側に回動可能に保持されるとともにハンドの基端側に固定され、第4減速機の入力部は、第4減速機の出力部に回転可能に保持され、保持部材は、第2アーム部に回動可能に保持されている。
【0018】
本発明において、たとえば、産業用ロボットは、第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材を備え、第1駆動用モータは、第1アーム部またはアーム支持部材に取り付けられ、動力伝達機構は、さらに、アーム支持部材と第1アーム部との連結部に配置され第1駆動用モータに連結される第1減速機を備えている。
【0019】
本発明において、たとえば、第1減速機の出力部は、第1アーム部の基端側に回動可能に保持されるとともにアーム支持部材に固定され、第1減速機の入力部は、第1減速機の出力部に回転可動に保持されている。
【0020】
本発明において、第2駆動用モータは、第2駆動用モータの回転軸を停止させるブレーキを備えることが好ましい。このように構成すると、通常の搬送対象物の搬送時に、第2駆動用モータの回転軸を確実に停止させておくことが可能になる。したがって、動作中の産業用ロボットを非常停止させたときに、略直線状に動くハンドを確実に所定方向に向けておくことが可能になる。したがって、産業用ロボットを非常停止させたときに、産業用ロボットの周辺機器の予期せぬ箇所にハンドが衝突するのを確実に防止することが可能になる。
【0021】
本発明において、産業用ロボットは、上下方向を回動の軸方向として第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向としてアーム支持部材を旋回させるための旋回機構と、産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、アームが伸びると搬送対象物が収容される収容部の中にハンドが入り、アームが縮むと収容部から搬送対象物が搬出されるように構成され、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の奥側に配置される搬送対象物の端部を奥側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の手前側に配置される搬送対象物の端部を手前側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されているときの搬送対象物の奥側端の中心と手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、収容部内に収容される搬送対象物をハンドに搭載可能な位置までアームが伸びている状態では、上下方向から見たときに、第2アーム部とハンドとの連結部に配置されるハンドの回動中心が基準線上に配置されるとともに、ハンドの先端部の中心が基準線上に配置され、旋回機構によって旋回する際の産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置までアームが縮んでいる状態(すなわち、旋回機構によって旋回する際の産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置にハンドがある状態)では、上下方向から見たときに、ハンドの回動中心とハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上にアーム支持部材の旋回中心が配置されるとともに、搬出された搬送対象物の奥側端の中心が基準線上に配置され、制御部は、旋回機構によってアーム支持部材を旋回させ、かつ、ハンドを回動させながら、アームを伸縮させて、搬送対象物を搬送することが好ましい。
【0022】
このように構成すると、たとえば、水平方向へ移動可能な産業用ロボットのハンドが産業用ロボットの移動方向へ動いて搬送対象物を搬送する場合であって、収容部に収容される搬送対象物の中心とアーム支持部材の旋回中心とが、産業用ロボットの移動方向に直交する方向において、ずれている場合であっても、収容部から搬送対象物を適切に搬出することが可能になる。また、たとえば、産業用ロボットが水平方向へ移動できない場合であって、収容部に収容される搬送対象物の中心とアーム支持部材の旋回中心とが、収容部に向かってハンドが動いていく方向に直交する方向において、ずれている場合であっても、収容部から搬送対象物を適切に搬出することが可能になる。
【0023】
本発明において、産業用ロボットは、上下方向を回動の軸方向として第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向としてアーム支持部材を旋回させるための旋回機構と、産業用ロボットを制御する制御部とを備えるとともに、アームが伸びると搬送対象物が収容される収容部の中にハンドが入り、アームが縮むと収容部から搬送対象物が搬出されるように構成され、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の奥側に配置される搬送対象物の端部を奥側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の手前側に配置される搬送対象物の端部を手前側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されているときの搬送対象物の奥側端の中心と手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、制御部は、産業用ロボットの教示を行っている場合に、収容部内に収容される搬送対象物をハンドに搭載可能な位置までアームが伸びている状態で、上下方向から見たときに、第2アーム部とハンドとの連結部に配置されるハンドの回動中心およびハンドの先端部の中心が基準線上に配置されており、かつ、ハンドの回動中心とハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に旋回機構によって旋回するアーム支持部材の旋回中心が配置されていなければ、ハンドの回動中心およびハンドの先端部の中心が基準線上に配置された状態を維持しつつ、アーム支持部材の旋回中心がハンド中心線上に配置されるように、産業用ロボットを動作させることが好ましい。このように構成すると、第2アーム部に対してハンドを自由に相対回動させることが可能であっても、産業用ロボットの教示作業を容易に行うことが可能になる。
【0024】
本発明の産業用ロボットであって、上下方向を回動の軸方向として第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向としてアーム支持部材を旋回させるための旋回機構とを備える産業用ロボットは、搬送対象物が収容される収容部内に搬送対象物が収容されたときに収容部の奥側に配置される搬送対象物の端部を奥側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の手前側に配置される搬送対象物の端部を手前側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されているときの搬送対象物の奥側端の中心と手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、上下方向から見たときに、第2アーム部とハンドとの連結部に配置されるハンドの回動中心が基準線上に配置されるとともに、ハンドの先端部の中心が基準線上に配置されるように、収容部に収容される搬送対象物をハンドに搭載可能な位置までアームが伸び、上下方向から見たときに、ハンドの回動中心とハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に旋回機構によって旋回するアーム支持部材の旋回中心が配置されるとともに、搬出された搬送対象物の奥側端の中心が基準線上に配置されるように、旋回機構によって旋回する際の産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置までアームが縮み(すなわち、旋回機構によって旋回する際の産業用ロボットの旋回半径が最小になる位置までハンドが移動し)、旋回機構によってアーム支持部材を旋回させ、かつ、ハンドを回動させながら、アームを伸縮させて、搬送対象物を搬送する制御方法によって制御されることが好ましい。
【0025】
このように構成すると、たとえば、水平方向へ移動可能な産業用ロボットのハンドが産業用ロボットの移動方向へ動いて搬送対象物を搬送する場合であって、収容部に収容される搬送対象物の中心とアーム支持部材の旋回中心とが、産業用ロボットの移動方向に直交する方向において、ずれている場合であっても、収容部から搬送対象物を適切に搬出することが可能になる。また、たとえば、産業用ロボットが水平方向へ移動できない場合であって、収容部に収容される搬送対象物の中心とアーム支持部材の旋回中心とが、収容部に向かってハンドが動いていく方向に直交する方向において、ずれている場合であっても、収容部から搬送対象物を適切に搬出することが可能になる。
【0026】
本発明の産業用ロボットであって、上下方向を回動の軸方向として第1アーム部の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材と、上下方向を旋回の軸方向としてアーム支持部材を旋回させるための旋回機構とを備える産業用ロボットは、搬送対象物が収容される収容部内に搬送対象物が収容されたときに収容部の奥側に配置される搬送対象物の端部を奥側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されたときに収容部の手前側に配置される搬送対象物の端部を手前側端とし、搬送対象物が収容部内に収容されているときの搬送対象物の奥側端の中心と手前側端の中心とを通過する線を基準線とすると、収容部内に収容された搬送対象物をハンドに搭載可能な位置までアームが伸びている状態で、上下方向から見たときに、第2アーム部とハンドとの連結部に配置されるハンドの回動中心およびハンドの先端部の中心が基準線上に配置されており、かつ、ハンドの回動中心とハンドの先端部の中心とを結んだハンド中心線上に旋回機構によって旋回するアーム支持部材の旋回中心が配置されていなければ、ハンドの回動中心およびハンドの先端部の中心が基準線上に配置された状態を維持しつつ、アーム支持部材の旋回中心がハンド中心線上に配置されるように、産業用ロボットを動作させる教示方法で教示されることが好ましい。このように構成すると、第2アーム部に対してハンドを自由に相対回動させることが可能であっても、産業用ロボットの教示作業を容易に行うことが可能になる。
【0027】
本発明の産業用ロボットの教示方法では、収容部内に収容された搬送対象物をハンドに搭載可能な位置までアームが伸びている状態で、ハンドを回動させながら、搬送対象物とハンドとの向きを合わせることが好ましい。このように構成すると、旋回機構等を用いて搬送対象物とハンドとの向きを合わせる場合と比較して、搬送対象物とハンドとの向き合わせが容易になる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、搬送対象物を搬出する際のハンドの移動方向にかかわらず、搬入される搬送対象物の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
図2は、
図1のE−E方向から産業用ロボット1を示す側面図である。
図3は、
図1に示す産業用ロボット1の制御部20および制御部20に接続される各種モータを示すブロック図である。なお、以下の説明では、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、Z方向が上下方向と一致する。また、以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向とする。
【0032】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である液晶ディスプレイ用のガラス基板2(以下、「基板2」とする。)を搬送するための搬送用の多関節型ロボットである。
図1、
図2に示すように、ロボット1は、基板2が搭載される2個のハンド3と、2個のハンド3のそれぞれが先端側に連結される2本のアーム4と、2本のアーム4を支持する本体部5と、本体部5を水平方向(具体的には、左右方向)に移動可能に支持するベース部材6とを備えている。本体部5は、2本のアーム4の基端側を支持するアーム支持部材7と、アーム支持部材7が固定されるとともに上下動可能な昇降部材8と、昇降部材8を上下方向に移動可能に支持する柱状部材9と、本体部5の下端部分を構成するとともにベース部材6に対して水平移動可能な基台10と、柱状部材9の下端が固定されるとともに基台10に対して旋回可能な旋回部材11とを備えている。
【0033】
本体部5は、ベース部材6に対して左右方向へ移動可能となっており、ロボット1は、本体部5を左右方向へ移動させる水平移動機構を備えている。この水平移動機構は、本体部5を左右方向へ移動させるための水平駆動用モータ12(
図3参照)を備えている。昇降部材8は、柱状部材9に対して上下方向に移動可能となっており、ロボット1は、昇降部材8を昇降させる昇降機構を備えている。この昇降機構は、昇降部材8を昇降させるための昇降駆動用モータ13(
図3参照)を備えている。旋回部材11は、基台10に対して上下方向を軸方向として旋回可能となっており、ロボット1は、ハンド3、アーム4、アーム支持部材7、昇降部材8および柱状部材9と一緒に、旋回部材11を旋回させる旋回機構を備えている。この旋回機構は、旋回部材11を旋回させるための旋回駆動用モータ14(
図3参照)を備えている。
【0034】
ハンド3の基端側は、上下方向を回動の軸方向として、アーム4の先端側に回動可能に連結されている。このハンド3には、上述の特許文献1に記載の産業用ロボットと同様に、基板2が収容される収容部(たとえば、カセット)に収容された基板2の傾き(具体的には、前後方向等の基板2の搬出方向に対する基板2の傾き)を検出するためのセンサ(図示省略)が取り付けられている。
【0035】
アーム4は、第1アーム部15と第2アーム部16との2個のアーム部を備えており、本体部5に対して伸縮するように構成されている。第1アーム部15の基端側は、上下方向を回動の軸方向として、アーム支持部材7の先端側に回動可能に支持されている。第2アーム部16の基端側は、上下方向を回動の軸方向として、第1アーム部15の先端側に回動可能に支持されている。第2アーム部16の先端側には、ハンド3の基端側が回動可能に支持されている。第1アーム部15および第2アーム部16は、中空状に形成されている。
【0036】
アーム支持部材7の基端側は、昇降部材8に固定されている。本形態では、2個のハンド3、2本のアーム4および2個のアーム支持部材7が上下方向に重なるように配置されている。すなわち、本形態のロボット1は、ダブルアーム型のロボットである。
【0037】
ロボット1では、柱状部材9に対して昇降部材8がハンド3およびアーム4等と一緒に上下動する。また、本体部5に対してアーム4が伸縮する。具体的には、ハンド3が所定方向を向いた状態で直線状に動くようにアーム4が伸縮する。さらに、ベース部材6に対して基台10が水平移動する。また、基台10に対して旋回部材11が旋回する。これらの動作の組合せによって、ロボット1は、基板2が収容される収容部から基板2に所定の作業が行われる作業位置へ基板2を搬送する。本形態では、アーム4が伸びると、収容部の中にハンド3が入り、アーム4が縮むと、ハンド3に搭載された基板2が収容部から搬出される。
【0038】
本形態のロボット1は、
図3、
図4に示すように、アーム4を伸縮させるための第1駆動用モータ21と、第2アーム部16に対してハンド3を相対回動させるための第2駆動用モータ22と、第1駆動用モータ21および第2駆動用モータ22の動力を伝達するための動力伝達機構23とを備えている。第1駆動用モータ21および第2駆動用モータ22は、
図3に示すように、ロボット1を制御する制御部20に接続されている。また、水平駆動用モータ12、昇降駆動用モータ13および旋回駆動用モータ14も制御部20に接続されている。
【0039】
(動力伝達機構およびその周辺部の構成)
図4は、本発明の実施の形態にかかる動力伝達機構23の構成を説明するための概略図である。
図5は、
図4のF部の拡大図である。
【0040】
第1駆動用モータ21は、第1アーム部15に取り付けられている。具体的には、第1アーム部15と第2アーム部16との連結部に比較的近い位置で、第1駆動用モータ21は、第1アーム部15に取り付けられている。第1駆動用モータ21の回転軸には、プーリ24が固定されている。
【0041】
第2駆動用モータ22も、第1アーム部15に取り付けられている。具体的には、第1駆動用モータ21よりも第1アーム部15と第2アーム部16との連結部に近い位置で、第2駆動用モータ22は、第1アーム部15に取り付けられている。この第2駆動用モータ22は、ブレーキ付きのモータである。すなわち、第2駆動用モータ22は、その回転軸を停止させるブレーキを備えている。第2駆動用モータ22の回転軸には、プーリ25が固定されている。
【0042】
動力伝達機構23は、アーム支持部材7と第1アーム部15との連結部に配置され第1駆動用モータ21に連結される第1減速機としての減速機26と、第1アーム部15と第2アーム部16との連結部に配置され第1駆動用モータ21に連結される第2減速機としての減速機27と、第2駆動用モータ22に連結される第3減速機としての減速機28とを備えている。
【0043】
減速機26は、入力部30と、出力部31と、出力部31を回転可能に保持する固定用フランジ32とを備えている。固定用フランジ32は、第1アーム部15の基端側に固定されている。出力部31は、固定用フランジ32を介して、第1アーム部15の基端側に回動可能に保持されている。また、出力部31は、アーム支持部材7の先端側に固定されている。入力部30は、筒状に形成される出力部31の内周側に回転可能に保持されている。入力部30の一端(
図4に示す例では上端)には、プーリ33が固定されている。プーリ33は、第1アーム部15の基端側の内部に配置されている。第1駆動用モータ21の回転軸に固定されるプーリ24とプーリ33とには、ベルト34が架け渡されている。ベルト34およびプーリ33等を介して入力部30に伝達される第1駆動用モータ21の動力は、減速されて出力部31に伝達される。なお、プーリ33は、入力部30と一体で形成されても良い。
【0044】
減速機27は、入力部35と、出力部36と、出力部36を回転可能に保持する固定用フランジ37とを備えている。固定用フランジ37は、第1アーム部15の先端側に固定されている。
図4、
図5に示す例では、固定用フランジ37は、第1アーム部15の先端側の上面側に固定されている。出力部36は、固定用フランジ37を介して、第1アーム部15の先端側に回動可能に保持されている。また、出力部36は、第2アーム部16の基端側に固定されている。入力部35は、筒状に形成される出力部36の内周側に回転可能に保持されている。入力部35の一端には、プーリ38が固定されている。プーリ38は、第1アーム部15の先端側の内部に配置されている。第1駆動用モータ21の回転軸に固定されるプーリ24とプーリ38とには、ベルト39が架け渡されている。ベルト39およびプーリ38等を介して入力部35に伝達される第1駆動用モータ21の動力は、減速されて出力部36に伝達される。なお、プーリ38は、入力部35と一体で形成されても良い。
【0045】
減速機28は、入力部40と、出力部41と、出力部41を回転可能に保持する固定用フランジ42とを備えている。固定用フランジ42は、第1アーム部15の先端側に固定されている。
図4、
図5に示す例では、固定用フランジ42は、第1アーム部15の先端側の下面側に固定されている。出力部41は、固定用フランジ42を介して、第1アーム部15の先端側に回動可能に保持されている。出力部41の一端(
図4、
図5に示す例では上端)には、第1プーリとしてのプーリ43が固定されている。プーリ43は、第2アーム部16の基端側の内部に配置されている。また、出力部41は、筒状に形成される減速機27の入力部35の内周側を通過するように配置されている。入力部40は、出力部41の他端側に回転可能に保持されている。入力部40には、プーリ44が固定されている。第2駆動用モータ22の回転軸に固定されるプーリ25とプーリ44とには、ベルト45が架け渡されている。ベルト45およびプーリ44等を介して入力部40に伝達される第2駆動用モータ22の動力は、減速されて出力部41に伝達される。なお、プーリ44は、入力部40と一体で形成されても良い。
【0046】
第2アーム部16の先端側の内部には、第2プーリとしてのプーリ46が配置されている。すなわち、第2アーム部16とハンド3との連結部には、プーリ46が配置されている。プーリ46は、ハンド3の基端側に固定されている。プーリ43とプーリ46とには、ベルト47が架け渡されている。
【0047】
本形態では、第1駆動用モータ21が駆動すると、アーム4が伸縮する。また、本形態では、第1駆動用モータ21の動力によって、ハンド3が所定方向を向いた状態で直線状に動くように、第1アーム部15の長さ、第2アーム部16の長さ、減速機26、27の減速比、および、プーリ24、33、38、43、46の径が設定されている。たとえば、第1駆動用モータ21の動力によって、ハンド3が前後方向を向いた状態で前後方向へ直線状に動くように、あるいは、ハンド3が左右方向を向いた状態で左右方向へ直線状に動くように、第1アーム部15の長さ、第2アーム部16の長さ、減速機26、27の減速比、および、プーリ24、33、38、43、46の径が設定されている。
【0048】
また、本形態では、第2駆動用モータ22が駆動すると、第1駆動用モータ21が停止していても、第2アーム部16に対してハンド3が相対回動する。
【0049】
(産業用ロボットの制御方法)
図6は、
図1に示す産業用ロボット1における基板2の傾きと基板2を搭載する際のハンド3との関係を説明するための平面図である。
【0050】
以上のように構成されたロボット1では、収容部に収容された基板2を搬出する際に、制御部20は、まず、第1駆動用モータ21を駆動させ、アーム4を伸縮させて、ハンド3に設けられたセンサによって、基板2の搬出方向に対する基板2の傾きを検出する。このとき、第2駆動用モータ22には、ブレーキがかけられており、第2駆動用モータ22の回転軸は停止している。
【0051】
この基板2の傾き検出動作で、基板2の傾きが検出されなければ(あるいは、基板2の傾きが規定値以下であれば)、制御部20は、再び、第1駆動用モータ21を駆動させ、アーム4を伸縮させて、収容部から基板2を搬出し、搬出した基板2を所定の作業位置へ搬入する。アーム4が伸縮する時には、ハンド3は、前後方向を向いた状態で前後方向へ直線状に動く、あるいは、左右方向を向いた状態で左右方向へ直線状に動く。また、このとき、収容部で基板2を搭載する際のハンド3の状態は、
図6の二点鎖線で示す状態となる。すなわち、このときには、ハンド3は、基板2の搬出方向と略平行になっている。また、このとき、第2駆動用モータ22には、ブレーキがかけられており、第2駆動用モータ22の回転軸は停止している。
【0052】
一方、基板2の傾き検出動作で、基板2の傾きが検出されると(あるいは、検出された基板2の傾きが規定値を超えていると)、基板2の搬出方向に略直交する方向での基板2の位置ずれを抑制しつつ基板2の傾きを補正するため、制御部20は、第2駆動用モータ22を駆動させて、第2アーム部16に対してハンド3を所定量、回動させるとともに、旋回駆動用モータ14を駆動させて、基台10に対して旋回部材11を所定量、回動させる。
【0053】
この動作は、アーム4が縮んだ状態で行っても良いし、アーム4が伸びた状態で行っても良い。アーム4が縮んだ状態でこの動作を行う場合には、この動作を行った後、制御部20は、ブレーキをかけて第2駆動用モータ22を停止させるとともに旋回駆動用モータ14を停止させた状態で第1駆動用モータ21を駆動させて、アーム4を伸ばし、その後、昇降駆動用モータ13を駆動させて、収容部内でハンド3に基板2を搭載する。このとき、収容部で基板2を搭載する際のハンド3の状態は、
図6の実線で示す状態となる。すなわち、このときには、ハンド3は、基板2の搬出方向に対して、基板2の傾きと同程度傾いている。
【0054】
なお、基板2の傾きを補正するため、ハンド3を所定量、回動させるとともに旋回部材11を所定量、回動させる動作をアーム4が伸びた状態で行う場合には、制御部20は、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を停止させた状態で、第1駆動用モータ21を駆動させて、アーム4を伸ばし、その後、第2駆動用モータ22を駆動させて、ハンド3を所定量、回動させるとともに、旋回駆動用モータ14を駆動させて、旋回部材11を所定量、回動させてから、昇降駆動用モータ13を駆動させて、収容部内でハンド3に基板2を搭載する。このとき、収容部で基板2を搭載する際のハンド3の状態は、
図6の実線で示す状態となる。
【0055】
収容部内でハンド3に基板2を搭載すると、制御部20は、第2駆動用モータ22を駆動させて、先程の回動方向と逆方向へハンド3を所定量、回動させるとともに、旋回駆動用モータ14を駆動させて、先程の回動方向と逆方向へ旋回部材11を所定量、回動させる。すると、収容部で基板2が搭載されたハンド3の状態は、
図6の二点鎖線で示す状態となり、収容部に収容された基板2の傾きは、基板2の搬出方向に直交する方向における基板2の位置ずれが抑制された状態で補正される。
【0056】
その後、制御部20は、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を停止させた状態で、第1駆動用モータ21を駆動させ、ハンド3を縮めて、収容部から基板2を搬出する。アーム4が縮む際には、ハンド3は、前後方向を向いた状態で前後方向へ直線状に動く、あるいは、左右方向を向いた状態で左右方向へ直線状に動く。また、その後、制御部20は、旋回駆動用モータ14等を駆動させて、ロボット1に所定の動作を行わせた後に、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を停止させた状態で、第1駆動用モータ21を駆動させ、アーム4を伸縮させて、基板2を作業位置へ搬入する。このときには、ハンド3は、前後方向を向いた状態で前後方向へ直線状に動く、あるいは、左右方向を向いた状態で左右方向へ直線状に動く。
【0057】
なお、基板2の傾き検出動作によって、基板2の傾きが検出された場合に、基板2の傾きに応じて第2アーム部16に対してハンド3を所定量、回動させるとともに基台10に対して旋回部材11を所定量、回動させた状態のまま、収容部から基板2を搬出し、その後、ハンド3を逆方向へ所定量、回動させるとともに旋回部材11を逆方向へ所定量、回動させてから、基板2を作業位置へ搬入しても良い。この場合には、収容部に収容された基板2の傾きは、基板2の搬出方向に直交する方向における基板2の位置ずれが抑制された状態で作業位置へ搬入される際に補正される。また、基板2の傾き検出動作によって、基板2の傾きが検出された場合に、基板2の傾きに応じて第2アーム部16に対してハンド3を所定量、回動させるとともに、基台10に対して旋回部材11を所定量、回動させながら、アーム4を伸縮させることも可能である。
【0058】
(産業用ロボットの教示方法)
図7は、
図1に示す産業用ロボット1の教示方法を説明するための平面図である。以下では、前後方向(X方向)へハンド3が直線状に動いて基板2を搬送する場合の収容部内での(すなわち、アーム4が伸びている状態での)ロボット1の教示方法を説明する。ロボット1の教示は、制御部20に接続される教示操作端末(ティーチングペンダント)を用いて、オペレータが行う。
【0059】
なお、基板2は、長方形の板状に形成されており、以下の説明では、基板2が収容部に収容されたときに収容部の奥側に配置される基板2の端部を奥側端2aとし、基板2が収容部に収容されたときに収容部の手前側に配置される基板2の端部を手前側端2bとする。また、基板2が収容部内に収容されているときの奥側端2aの中心C10と手前側端2bの中心C20とを通過する線を基準線LBとする。ロボット1の教示作業時においては、基板2は、前後方向に対して傾いていない状態で収容部に収容されており、基準線LBは、前後方向と略平行になっている。
【0060】
前後方向を向いた状態のハンド3が前後方向へ直線状に動いて基板2を搬送する場合の収容部内でのロボット1の教示を行うときには、まず、
図7(A)に示すように、収容部内に収容された基板2をハンド3に搭載可能な位置まで、アーム4を伸ばして、ハンド3を収容部内に入れる。その後、上下方向から見たときに、第2アーム部16とハンド3との連結部に配置されるハンド3の回動中心C1とハンド3の先端部の中心(より具体的には、ハンドフォークが伸びている方向に直交する方向におけるハンド3の先端部の中心)C2とを結んだハンド中心線LHが基準線LBと略平行になるように(すなわち、ハンド中心線LHが前後方向と略平行になるように)、第2駆動用モータ22を駆動させて、ハンド3を回動させる。すなわち、ハンド3を回動させながら、基板2とハンド3との向きを合わせる。
【0061】
その後、
図7(B)、(C)に示すように、上下方向から見たときに、ハンド中心線LHが基準線LBと略平行となっている状態を維持しながら、左右方向における基板2の一端面とハンド3の一端との距離L1と、左右方向における基板2の他端面とハンド3の他端との距離L2とが等しくなるように(すなわち、ハンド中心線LHが基準線LBと重なるように)、水平駆動用モータ12、旋回駆動用モータ14および/または第1駆動用モータ21を駆動させて、左右方向へハンド3を移動させる。また、前後方向における基板2とハンド3との相対位置が所定位置となるように、前後方向へハンド3を移動させる。すなわち、上下方向から見たときに、ハンド中心線LHが基準線LBと重なるようにジョグ動作を行って、基板2とハンド3との位置合わせを行う。
【0062】
このとき、
図7(B)に示すように、旋回機構によって旋回する旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されていない状況と、
図7(C)に示すように、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されている状況とが生じうる。本形態では、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されている場合には、収容部内でのロボット1の教示作業を終了する。
【0063】
一方、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されていない場合には、ハンド中心線LHが基準線LBと重なっている状態を維持しつつ、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されるように、水平駆動用モータ12、旋回駆動用モータ14および/または第1駆動用モータ21を駆動させ、ロボット1を動作させてから、収容部内でのロボット1の教示作業を終了する。このような教示作業を行うことで、ハンド3が前後方向を向いた状態で前後方向へ直線状に動いて、基板2を適切に搬送することが可能になる。
【0064】
なお、本形態では、上下方向から見たときに、ハンド中心線LHが基準線LBと重なるようにジョグ動作を行って、基板2とハンド3との位置合わせを行った後に、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されていない場合には、制御部20が、自動的に水平駆動用モータ12、旋回駆動用モータ14および/または第1駆動用モータ21を駆動させて、ハンド中心線LHが基準線LBと重なっている状態を維持しつつ、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されるようにロボット1を動作させる。また、本形態では、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されると、
図7(C)に示すように、アーム支持部材7と第1アーム部15との連結部に配置される第1アーム部15の回動中心C4もハンド中心線LH上に配置される。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第2駆動用モータ22が駆動すると、第2アーム部16に対してハンド3が相対回動する。そのため、本形態では、収容部から基板2を搬出する際のハンド3の移動方向にかかわらず、第2アーム部16に対してハンド3を自由に相対回動させることができる。すなわち、収容部から基板2を搬出する際のハンド3の移動方向が、たとえば、前後方向であっても左右方向であっても第2アーム部16に対してハンド3を自由に相対回動させることができる。したがって、本形態では、基板2の傾きが検出されたときには、基板2を搬出する際のハンド3の移動方向にかかわらず、第2アーム部16に対してハンド3を相対回動させるとともに基台10に対して旋回部材11を相対回動させて、基板2の位置ずれを抑制しつつ基板2の傾きを補正することが可能になる。
【0066】
また、本形態では、基板2の位置ずれを抑制しつつ基板2の傾きを補正する際にロボット1の本体部5を左右方向へ移動させる必要がないため、従来のように、基板2の傾きを補正する際にロボット1の本体部5を左右方向へ移動させる場合と比較して、基板2の傾きを補正する際のタクトタイムを短縮することが可能になる。すなわち、基板2の位置ずれを抑制しつつ基板2の傾きを補正する際にロボット1の本体部5を左右方向へ移動させる場合には、
図8の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態まで、ロボット1の本体部5を大きく移動させる必要があるが、本形態では、本体部5を移動させる必要がないため、その分、タクトタイムを短縮することが可能になる。
【0067】
本形態では、収容部から作業位置へ基板2を搬送する際に、第2駆動用モータ22にブレーキがかけられており、第1駆動用モータ21の動力で、ハンド3が所定方向を向いた状態で直線状に動くように、アーム4が伸縮する。そのため、基板2の搬送時にロボット1を非常停止させると、ハンド3は所定方向を向いた状態で略直線状に所定量動いた後で停止する。すなわち、動作中のロボット1を非常停止させても、ハンド3が一定方向を向いている状態が維持されるため、非常停止時のロボット1の姿勢の乱れを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1を非常停止させても、ロボット1の周辺機器の予期せぬ箇所にハンド3が衝突するのを防止することが可能になる。
【0068】
本形態では、第2駆動用モータ22に連結される減速機28の出力部41にプーリ43が固定され、ハンド3の基端側にプーリ46が固定されており、プーリ43とプーリ46とには、ベルト47が架け渡されている。そのため、動力伝達機構23の構成を比較的簡素化することが可能になる。また、本形態では、出力部41が、筒状に形成される減速機27の入力部35の内周側を通過するように配置されているため、出力部41が減速機27の外側に配置されている場合と比較して、第1アーム部15と第2アーム部16との連結部を小型化することが可能になる。
【0069】
本形態では、前後方向へハンド3が直線状に動いて基板2を搬送する場合の収容部内でのロボット1の教示を行うときに、収容部内に収容された基板2をハンド3に搭載可能な位置までアーム4が伸びている状態で、上下方向から見たときに、ハンド中心線LHが基準線LBと略平行になるように、第2駆動用モータ22を駆動させて、基板2とハンド3との向きを合わせている。そのため、本形態では、基板2とハンド3との向き合わせが容易になる。
【0070】
すなわち、たとえば、旋回駆動用モータ14を駆動させて、基板2とハンド3との向き合わせを行う場合には、旋回中心C3とハンド3の先端との距離が長くなるため、旋回駆動用モータ14の回転量に対するハンド3の先端の移動量が大きくなり、基板2とハンド3との向き合わせが困難になる。これに対して、本形態では、第2駆動用モータ22を駆動させて、基板2とハンド3との向きを合わせており、ハンド3の回動中心C1とハンド3の先端との距離が短くなるため、第2駆動用モータ22の回転量に対するハンド3の先端の移動量を抑制することができ、基板2とハンド3との向き合わせが容易になる。
【0071】
本形態では、前後方向へハンド3が直線状に動いて基板2を搬送する場合の収容部内でのロボット1の教示を行う際、上下方向から見たときにハンド中心線LHが基準線LBと重なるようにジョグ動作を行って、基板2とハンド3との位置合わせを行った後に、旋回部材11の旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されていない場合には、水平駆動用モータ12、旋回駆動用モータ14および/または第1駆動用モータ21を駆動させて、ハンド中心線LHが基準線LBと重なっている状態を維持しつつ、旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されるようにロボット1を動作させている。そのため、第2アーム部16に対してハンド3を自由に相対回動させることが可能であっても、ロボット1の複雑な教示作業が不要となり、教示作業を容易に行うことが可能になる。
【0072】
また、本形態では、制御部20が、自動的に、水平駆動用モータ12、旋回駆動用モータ14および/または第1駆動用モータ21を駆動させて、ハンド中心線LHが基準線LBと重なっている状態を維持しつつ、旋回中心C3がハンド中心線LH上に配置されるようにロボット1を動作させるため、オペレータの教示作業がより容易になる。
【0073】
(動力伝達機構の変形例1)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる動力伝達機構53の構成を説明するための概略図である。
図10は、
図9のG部の拡大図である。
図11は、
図10に示す減速機58およびその周辺部の構成を説明するための概略図である。
【0074】
上述した形態では、第2アーム部16とハンド3との連結部に、プーリ46が配置されている。この他にもたとえば、
図9に示すように、第2アーム部16とハンド3との連結部に、第4減速機としての減速機50が配置されても良い。この場合には、第2アーム部16とハンド3との連結部の剛性を高めることが可能になる。したがって、基板2の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正するために、第2駆動用モータ22の動力で第2アーム部16に対してハンド3を相対回動させる場合であっても、ハンド3を適切に回動させることが可能になる。
【0075】
図9〜
図11に示す変形例1では、上述の動力伝達機構23に代えて、動力伝達機構53が設けられている。以下、動力伝達機構53の構成について説明する。なお、以下の説明では、動力伝達機構23の構成と共通する動力伝達機構53の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略または簡略化する。
【0076】
動力伝達機構53は、減速機50に加え、上述の減速機26および減速機27を備えている。また、動力伝達機構53は、第2駆動用モータ22に連結される第3減速機としての減速機58を備えている。変形例1では、第1駆動用モータ21は、上述した形態と同様に第1アーム部15に取り付けられている。また、この変形例1では、第2駆動用モータ22は、第2アーム部16に取り付けられている。この第2駆動用モータ22は、第2アーム部16の基端側の内部に配置されている。
【0077】
減速機27は、上述のように、入力部35と、出力部36と、固定用フランジ37とを備えている。上述した形態では、入力部35の他端にプーリは固定されていないが、この変形例1では、入力部35の他端に第1プーリとしてのプーリ60が固定されている。
【0078】
減速機58は、
図11に示すように、太陽歯車62と、複数の遊星歯車63と、内歯車64と、遊星歯車63を回転可能に保持する遊星キャリヤ65とを有する遊星歯車減速機である。減速機58は、第2アーム部16の内部に配置されている。太陽歯車62には、第3プーリとしてのプーリ66が固定されている。遊星キャリヤ65には、第4プーリとしてのプーリ67が固定されている。内歯車64は、軸受68を介して第2アーム部16に取り付けられており、第2アーム部16に対して回動可能となっている。すなわち、内歯車64は、第2アーム部16に回動可能に保持されている。内歯車64には、第5プーリとしてのプーリ69が固定されている。なお、プーリ69は、内歯車64と一体で形成されても良い。
【0079】
減速機50は、入力部70と、出力部71と、出力部71を回転可能に保持する固定用フランジ72とを備えている。固定用フランジ72は、第2アーム部16の先端側に固定されている。出力部71は、固定用フランジ72を介して、第2アーム部16の先端側に回動可能に保持されている。出力部71の一端は、ハンド3の基端側に固定されている。入力部70は、出力部71の他端側に回転可能に保持されている。入力部70には、第2プーリとしてのプーリ73が固定されている。プーリ73は、第2アーム部16の先端側の内部に配置されている。なお、プーリ73は、入力部70と一体で形成されても良い。
【0080】
減速機27の入力部35に固定されるプーリ60と、減速機58の太陽歯車62に固定されるプーリ66とには、第1ベルトとしてのベルト74が架け渡されている。減速機50の入力部70に固定されるプーリ73と、減速機58の遊星キャリヤ65に固定されるプーリ67とには、第2ベルトとしてのベルト75が架け渡されている。第2駆動用モータ22の回転軸に固定される第6プーリとしてのプーリ76と、減速機58の内歯車64に固定されるプーリ69とには、第3ベルトとしてのベルト77が架け渡されている。
【0081】
この変形例1では、第1駆動用モータ21の動力によって、ハンド3が所定方向を向いた状態で直線状に動くように、第1アーム部15の長さ、第2アーム部16の長さ、減速機26、27、50、58の減速比、および、プーリ24、33、38、60、66、67、73の径等が設定されている。また、この変形例1では、第2駆動用モータ22が駆動すると、内歯車64が回転して遊星歯車63が回転するため、遊星キャリヤ65、プーリ67、73、ベルト75および減速機50を介して第2駆動用モータ22の動力がハンド3に伝達され、第2アーム部16に対してハンド3が相対回動する。また、この変形例1でも、上述した形態と同様に、基板2の傾き検出動作によって、基板2の傾きが検出されると、基板2の位置ずれを抑制しつつ基板2の傾きを補正するため、ロボット1は、第2駆動用モータ22を駆動させて、第2アーム部16に対してハンド3を所定量、回動させるとともに、基台10に対して旋回部材11を所定量、回動させる。
【0082】
(動力伝達機構の変形例2)
図12は、本発明の他の実施の形態にかかる減速機88およびその周辺部の構成を説明するための概略図である。
【0083】
変形例1では、第2駆動用モータ22に、遊星歯車減速機である減速機58がベルト77を介して連結されている。この他にもたとえば、
図12に示すように、第1かさ歯車81と、第1かさ歯車81に噛み合う第2かさ歯車82および第3かさ歯車83と、第1かさ歯車81を回転可能に保持する保持部材84とを備える減速機88が、ベルト77を介して第2駆動用モータ22に連結されても良い。
【0084】
減速機88では、第2かさ歯車82と第3かさ歯車83とが上下方向で対向するように配置されている。また、上述のプーリ66が、軸85を介して第2かさ歯車82に固定され、上述のプーリ67が、軸85を介して第3かさ歯車83に固定されている。第1かさ歯車81は、水平方向を軸方向として配置される軸86に固定されており、軸86は、保持部材84に回転可能に保持されている。保持部材84は、軸受87を介して第2アーム部16に取り付けられており、第2アーム部16に対して回動可能となっている。すなわち、保持部材84は、第2アーム部16に回動可能に保持されている。保持部材84には、第5プーリとしてのプーリ89が固定されている。第2駆動用モータ22の回転軸に固定されるプーリ76と、プーリ89とには、ベルト77が架け渡されている。なお、プーリ89は、保持部材84と一体で形成されても良い。
【0085】
この変形例2では、第1駆動用モータ21の動力によって、ハンド3が所定方向を向いた状態で直線状に動くように、第1アーム部15の長さ、第2アーム部16の長さ、減速機26、27、50の減速比、および、プーリ24、33、38、60、66、67、73の径等が設定されている。また、この変形例2では、第2駆動用モータ22が駆動すると、保持部材84が回転して第1かさ歯車81が回転するため、第3かさ歯車83、プーリ67、73、ベルト75および減速機50を介して第2駆動用モータ22の動力がハンド3に伝達され、第2アーム部16に対してハンド3が相対回動する。
【0086】
(産業用ロボットの制御方法の変形例)
図13は、本発明の他の実施の形態にかかる産業用ロボット1の制御方法を説明するための平面図である。
【0087】
上述した形態では、制御部20は、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を停止させた状態で、第1駆動用モータ21を駆動させて、アーム4を伸縮させ、基板2を搬送している。この他にもたとえば、左右方向(Y方向)へハンド3が動いて基板2を搬送する場合であって、かつ、前後方向において、旋回部材11の旋回中心C3が収容部の中心からずれている場合(すなわち、
図13に示すように、収容部に収容されるとともに左右方向に対して傾いていない基板2の基準線LB上に旋回部材11の旋回中心C3が配置されていない場合)には、制御部20は、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を駆動させながら、第1駆動用モータ21を駆動させて、アーム4を伸縮させ、基板2を搬送しても良い。
【0088】
この場合には、
図13(A)に示すように、収容部内に収容される基板2をハンド3に搭載可能な位置までアーム4が伸びている状態では、上下方向から見たときに、ハンド3の回動中心C1が基準線LB上に配置されるとともに、ハンド3の先端部の中心C2が基準線LB上に配置される。また、
図13(B)に示すように、旋回部材11の旋回中心C3を中心にして旋回する際のロボット1の旋回半径が最小になる位置までアーム4が縮んでいる状態(旋回中心C3を中心にして旋回する際のロボット1の旋回半径が最小になる位置にハンド3がある状態)では、上下方向から見たときに、ハンド中心線LH上に旋回中心C3が配置されるとともに、搬出された基板2の奥側端2aの中心C10が基準線LB上に配置されている。また、制御部20は、旋回部材11を旋回させ、かつ、ハンド3を回動させながら、アーム4を伸縮させて、基板2を搬送する。
【0089】
この場合には、左右方向へハンド3が動いて基板2を搬送する場合であって、かつ、前後方向において、旋回部材11の旋回中心C3が収容部の中心からずれている場合であっても、収容部から基板2を適切に搬出することが可能になる。なお、この場合には、アーム4が伸びている状態とアーム4が縮んでいる状態との間でロボット1を動作させるときに、PTP動作によって、ロボット1を動作させることが好ましい。PTP動作によってロボット1を動作させる場合、補間動作によってロボット1を動作させる場合と比較して、ハンド3の振動を抑制することが可能になる。ただし、基板2の奥側端2aの中心C10が基準線LB上を通過するように、補間動作によって、ロボット1を動作させても良い。
【0090】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0091】
上述した形態では、ロボット1は、本体部5を支持するベース部材6を備えているが、ロボット1は、ベース部材6を備えていなくても良い。すなわち、本体部5は、左右方向へ移動可能となっていなくても良い。この場合であっても、基板2の傾きに応じて第2アーム部16に対してハンド3を所定量、回動させるとともに基台10に対して旋回部材11を所定量、回動させることで、基板2の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能になる。したがって、この場合には、基板2の位置ずれを抑制しつつその傾きを補正することが可能であってもロボット1を小型化することが可能になる。
【0092】
また、本体部5が左右方向へ移動可能となっておらず、かつ、ハンド3の移動方向に直交する方向において、旋回部材11の旋回中心C3が収容部の中心からずれている場合であっても、
図13に示すように、第2駆動用モータ22および旋回駆動用モータ14を駆動させながら、第1駆動用モータ21を駆動させて、アーム4を伸縮させることで、収容部から基板2を適切に搬出することが可能になる。
【0093】
上述した形態では、第1駆動用モータ21は、第1アーム部15に取り付けられている。この他にもたとえば、第1駆動用モータ21は、アーム支持部材7に取り付けられても良い。この場合には、減速機26の入力部30の他端(
図4に示す例では下端)にプーリが固定され、このプーリと、第1駆動用モータ21の回転軸に取り付けられるプーリとにベルトが架け渡される。また、減速機26の入力部30に固定されるプーリ33と、減速機27の入力部35に固定されるプーリ38とにベルトが架け渡される。
【0094】
上述した形態では、アーム4の基端側は、アーム支持部材7の先端側に回動可能に支持されている。この他にもたとえば、アーム4の基端側は、旋回部材11に回動可能に支持されても良い。この場合の旋回部材11は、アーム4の基端側を回動可能に支持するアーム支持部材である。
【0095】
上述した形態では、アーム4は、第1アーム部15と第2アーム部16との2個のアーム部によって構成されているが、アーム4は、3個以上のアーム部によって構成されても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、2個のハンド3と2個のアーム4とを備えるいわゆるダブルアーム型のロボットであるが、ロボット1は、1個のハンド3と1個のアーム4とを備えるシングルアーム型のロボットであっても良い。また、上述した形態では、ロボット1によって搬送される搬送対象物は基板2であるが、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、基板2以外の半導体ウエハ等であっても良い。