特許第5798145号(P5798145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798145
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】化粧板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 33/00 20060101AFI20151001BHJP
   B27D 5/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B32B33/00
   B27D5/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-71100(P2013-71100)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193574(P2014-193574A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2014年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 健一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 明功
(72)【発明者】
【氏名】長藤 慎介
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−164859(JP,A)
【文献】 特開2007−167826(JP,A)
【文献】 特開2000−343667(JP,A)
【文献】 特開2012−192743(JP,A)
【文献】 特開平08−072214(JP,A)
【文献】 特開平05−004310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 33/00
B27D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の表面が平滑である木質基材の前記平滑な表面に、着色透明で且つ凹凸を有する下地膜を形成する下地工程と、
前記下地膜上に、印刷模様をインクジェット印刷する印刷工程と、
前記印刷模様を覆う透明の仕上げ塗装を施す仕上げ塗装工程とを有し、
前記下地工程において、前記木質基材の表面は平滑に保たれることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項2】
請求項1の化粧板の製造方法において、
前記印刷模様は、前記下地膜の凹凸に同調して印刷されることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2の化粧板の製造方法において、
前記印刷模様の印刷は、前記下地膜の着色の色に対応するインクを削減又は除去した印刷として行われることを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項4】
少なくとも一方の表面が平滑である木質基材と、
前記木質基材の前記平滑な表面に設けられ、着色透明で且つ凹凸を有する下地膜と、
前記下地膜上にインクジェット印刷された印刷模様と、
前記印刷模様を覆う仕上げ塗装膜とを備え
前記印刷模様は、前記下地膜の着色の色が含まれないか又は削減されていることを特徴とする化粧板。
【請求項5】
請求項4の化粧板において、
前記印刷模様は、前記下地膜の凹凸に同調して印刷されていることを特徴とする化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷を用いた化粧板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面に下地膜を設けた後、印刷によって木目等を印刷し、更に透明の保護層を設けた構成の化粧板が各種知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、凹溝を有する基材の全表面に基材の色を隠蔽する隠蔽層と、インク吸収層とを積層して設けた後に、インクジェットによる印刷を行い、更に透明又は半透明の仕上げ塗装を施すことが記載されている。この技術によると、凹溝部にまでインク吸収層が設けられているので、全体に精細な印刷を施すことができる。
【0004】
また、例えば特許文献2では、木質の被加飾体に無色の第1透明層、有色の第2透明層を積層した後、第2透明層上に木目模様を転写印刷し、更に無色透明な保護部を設けている。この技術によると、被加飾体の木質生地を生かしながら、意匠性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−293838号公報
【特許文献2】特開2011−143583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、化粧板の外観について、更なる改善の余地がある。
【0007】
例えば、特許文献1の化粧板の場合、隠蔽層によって下地の色合いが隠蔽されているので、深み感において物足りないものであった。
【0008】
また、特許文献2の化粧板の場合、平坦な被加飾体を用いていることから外観が平面的であり、単調な印象であった。
【0009】
以上に鑑み、本発明の目的は、より意匠性に優れた化粧板及びその製造方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明の化粧板の製造方法は、木質基材の平滑な表面に、着色透明で且つ凹凸を有する下地膜を形成する下地工程と、下地膜上に、印刷模様を印刷する印刷工程と、印刷模様を覆う透明の仕上げ塗装を施す仕上げ塗装工程とを有する。
【0011】
このような化粧板の製造方法によると、木質基材の表面が平滑であっても、下地膜が凹凸を有することにより外観が平面的になるのを避けることができる。また、下地膜が着色透明であることにより、木質基材の色合いを隠蔽してしまうことを避けることができる。結果として、製造される化粧板は、色合いの深み感があり、立体的な印象の外観となる。印刷模様は、インクジェット方式によりダイレクト印刷する。
【0012】
尚、印刷模様は、下地膜の凹凸に同調して印刷されるのであっても良い。
【0013】
これにより、表面の凹凸と模様(色彩)が適切に一致し、より自然な外観である化粧板を製造することができる。
【0014】
また、印刷模様の印刷は、下地膜の着色の色に対応するインクを削減又は除去した印刷として行われるのであっても良い。つまり、下地膜の着色と、印刷模様の印刷の色とが合わさって、化粧板の模様となるようにする(但し、木質基材の色と、仕上げ塗装が着色透明の場合にはその色とについても関係する)。
【0015】
仮に、模様の色を全て含む印刷により木目模様を表現すると、当該木目模様は下地膜の表面に平面的に印刷されたものとなる。これに対し、下地膜の着色の色と、当該色を含まない又は当該色が薄い印刷模様とを合わせて目的とする化粧板の模様を表現することにより、より深み感に優れ、自然な模様が表現された外観を実現することができる。
【0016】
また、インクジェット印刷用のインクは一般に高価であるから、下地膜の着色に対応する色のインクを削減することにより、化粧板をより安価に製造することができる。
【0017】
次に、前記の目的を達成するために、本発明の化粧板は、木質基材の平滑な表面に設けられ、着色透明で且つ凹凸を有する下地膜と、下地膜上にインクジェット印刷された印刷模様と、印刷模様を覆う仕上げ塗装膜とを備える。
【0018】
このような化粧板は、木質基材の凹凸及び色合いが生かされ、且つ、表現された模様の深み感が優れ、意匠性の高い化粧板となっている。
【0019】
尚、印刷模様は、下地膜の凹凸に同調して印刷されていても良い。
【0020】
このような化粧板は、表面の凹凸と模様(色彩)が適切に一致し、より自然な外観となる。
【0021】
また、印刷模様は、前記下地膜の着色の色が含まれないか又は削減されていても良い。
【0022】
下地膜の着色と、当該着色の色を含まない又は薄い印刷による印刷模様とを合わせて目的の模様とすることにより、より深み感に優れ且つ自然な模様を表現することができる。また、印刷模様に用いるインクを削減することができるので、より安価な化粧板となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の技術によると、深み感、立体感、模様の自然さ等の外観に優れ、意匠性の高い化粧板及びその製造方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1(a)及び(b)は、本発明の実施形態にかかる例示的化粧板の断面を模式的に示す図である。
図2図2(a)は、図1の化粧板に描画される画像を示す図であり、図2(b)及び(c)は、図2(a)の画像を実現する下地膜及び印刷模様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明はいずれも例示であり、本発明の内容を制限するものではない。
【0026】
図1(a)は、本実施形態の化粧板10の断面を模式的に示す図である。化粧板10は、平滑な表面を有する木質基材11と、木質基材11の表面上に設けられた下地膜12と、下地膜12上にインクジェット印刷された印刷模様13と、印刷模様13上を覆うように下地膜12上に設けられた仕上げ塗装膜14とを有する。
【0027】
木質基材11は、例えば、合板又はMDF(medium density fiberboard)であってもよいし、合板及び/又はMDFを積層したものであってもよい。本実施形態の木質基材11は、表面が平坦である。
【0028】
このような木質基材11の表面に、着色透明で且つ凹凸を有する下地膜12が設けられている。図1(a)の例では、下地膜12の表面に設けられた溝12aにより凹凸を有するようになっているが、表面に突起した部分が有るのであっても良い。凹凸模様としては、例えば木目模様(導管模様)、目地溝等である。
【0029】
下地膜12は、例えば、液状の樹脂等を塗布し、硬化させることにより形成する。この際、凹凸を付けた状態で硬化することにより、凹凸を有する下地膜12とする。
【0030】
具体例として、紫外線硬化型塗料に染料及び/又は顔料を混入し、これをロールコーター等によって塗布し、硬化させることにより下地膜12としても良い。ここで、高粘度の塗料をロールコーターや溝付のロールコーターによって塗布し、通常は塗装不良とされるローピング現象を故意に発生させることにより、不規則に波打った塗装面(不規則な凹凸を有する塗装面)を設ける。これにより、より立体感のある化粧板10を得ることができるので、意匠性が向上する。
【0031】
また、塗料に対し、透明性を妨げない程度にシリカ微粒子やアルミナ微粒子を添加することにより、インク吸収性を有する下地膜12とすることが好ましい。これにより、印刷模様13の定着、発色等を改善することができる。
【0032】
また、下地膜12としては、紫外線硬化型樹脂に代えて、熱硬化型塗料(ポリエステル、メラミン等)、湿気硬化型塗料(ウレタン等)を用いても良いし、EB(Electron Beam:電子線)硬化型塗料を用いても良い。例えば熱硬化型塗料を用いる場合、過熱した状態にて塗布し、凹凸を付けた後に冷却して個化させても良い。更に、水系塗料及び溶剤系塗料のいずれであっても、硬化後に透明又は半透明になるのであれば、下地膜12の形成に用いることができる。
【0033】
また、塗料の塗布に代えて、シートを貼り付けることにより下地膜12を形成しても良い。シートの種類は透明樹脂シートであれば特に問われず、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル等を用いても良い。ポリエチレン、ポリエステル等を用いることもできるが、この場合には、木質基材11に接着するためにプライマー処理が必要となる。
【0034】
更に、ディスペンサー(定量吐出装置)、スプレー等を用いて液体状の透明樹脂を吐出(吹きつけ)することにより所定の模様の凹凸を形成し、樹脂の種類に対応する所定の方法(UV、熱、EB等)により硬化を行っても良い。
【0035】
次に、印刷模様13は、下地膜12上にインクジェット方式によりダイレクト印刷することにより形成される。
【0036】
この際、下地膜12の凹凸に同調して印刷模様13を印刷するのが好ましい。一例を図1(b)に示す。
【0037】
図1(b)において、化粧板10は、木質基材11、下地膜12、印刷模様13及び仕上げ塗装膜14を有する。下地膜12は、凸部12bが形成されていることにより表面に凹凸を有する。更に、印刷模様13は、下地膜12の凸部12b上に合わせて印刷されている。これにより、例えば印刷模様13として木目模様を印刷する場合に、表面の凹凸と模様を一致させることができ、より自然な外観が実現する。
【0038】
また、印刷模様13は、下地膜12の着色の色が削減又は除去された(該当する色のインクを用いないか、又は、使用量が少ない)印刷により形成するのが良い。この際、下地膜12は、化粧板10に表現される画像の基礎となる色に着色する。これに関して、図2(a)〜(c)に示す。
【0039】
図2(a)は、化粧板10に印刷される画像15を模式的に示す図である。画像15は、その基礎となる色である背景色12cと、模様13aとからなるものと考える。
【0040】
この場合に、下地膜12を背景色12cの色に着色されたものとし(図2(b))、その上に、模様13aに対応する印刷模様13(図2(c))を背景色12cの色のインクを除く又は減らした印刷により印刷して、図2(a)の画像15を実現する。
【0041】
このようにすると、下地膜12の表面に画像15の全ての色によって印刷を行う場合には平面的になりやすいことに比べ、深み感に優れ、より自然に模様が表現された外観とすることができる。また、下地膜12の色に対応する色のインクを用いることなく印刷模様13を印刷するので、当該インクのコストを不要とすることができる。特に、一般にインクジェット方式に用いるインクは値段が高いので、下地膜12に着色するための染料及び/又は顔料のコストを考慮しても、全体としてはコストダウンとなり得る。
【0042】
尚、表現するべき画像15によっては、下地膜12及び印刷模様13の両方に同じ特定の色を用いる方が望ましい場合等も考えられる。この場合も、印刷模様13に用いる特定の色のインクは使用量が少なくなるので、コストを低下し得る。
【0043】
例えば、画像15が木目模様である場合、下地膜12を赤色又は黄色に着色しておき、対応する赤色又は黄色を除く色だけを用いて印刷模様13を印刷する。
【0044】
尚、下地膜12は透明着色であるから、木質基材11自体の色が完全に遮蔽されることない。従って、画像15と、製造された化粧板10の外観とについて、同一になるとは限らない。
【0045】
印刷模様13を印刷した後、これを覆うように、下地膜12上の全面に仕上げ塗装膜14を形成する。これにより、印刷模様13を保護すると共に、艶感、立体感等を向上させて、外観の意匠性を高め、高級感を付与することができる。
【0046】
仕上げ塗装膜14は、無色透明の塗装としても良いし、着色透明の塗装としても良い。仕上げ塗装膜14を着色透明とした場合、化粧板10の外観は、木質基材11の色彩と、下地膜12の着色及び印刷模様13により表現される画像15の色彩と、仕上げ塗装膜14の着色とが合わさったものとなる。仕上げ塗装膜14を着色透明とすることにより、化粧板10の外観を更に改善することもでき、また、印刷模様13の印刷に用いるインクの使用量を削減することも可能である。
【0047】
また、例えば床材等の化粧板として使用する等、耐摩耗性が要求される場合には、外観が低下しない程度に既知の減摩剤を添加して仕上げ塗装膜14を形成するのが好ましい。
【0048】
以上のように、化粧板10において、下地膜12及び仕上げ塗装膜14はいずれも透明であるから、木質基材11の色調、風合い等を生かすことができ、濡れ色の表現も可能となるので、意匠性の高い化粧板10とすることができる。
【0049】
また、下地膜12に凹凸を設けていることにより、より立体的で天然木に近い、自然な外観を得ることができる。更に、下地膜12に凹凸を設けることによっても、同様に外観を改善することができる。
【0050】
また、下地膜12に着色していることにより、木質基材11の色合いにバラツキがある場合にも、違和感が無い程度にまで化粧板10としての外観を均一化することができる。また、インクジェット印刷に用いるインクの使用量を削減し、低コスト化することができる。
【実施例】
【0051】
以下、本実施形態の実施例1〜5と、比較例とについて説明する。
【0052】
(実施例1)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系のクリアシーラーを塗布し、乾燥させた。これにより、基材の表面は濡れ色の出た基材色となった。この後、着色UV樹脂(UV樹脂100重量部に対して黄色顔料を5重量部添加したもの)をロールコーターにて54g/m塗布し、クリアのエンボスフィルムを圧着させた。UV照射を行ってUV樹脂を硬化させた後にエンボスフィルムを除去し、着色透明で且つ凹凸を有する下地層を形成した。その後、インクジェットにより、下地膜上に印刷模様として木目画像の描画を行った。最後に、表面にクリア塗料を塗布して仕上げ塗装膜を形成した。この結果、基材の濡れ色をベースとした立体感を有する意匠の化粧板となった。
【0053】
(実施例2)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系のクリアシーラーを塗布し、乾燥させた。その後、高粘度(5000mPa・s程度)の着色UV樹脂(KRM7735(ダイセル・サイテック株式会社):TPGDA(ダイセル・サイテック株式会社)=60:40の混合物に、UV開始剤を4部、黄色顔料を5部添加したもの)をリバースロールコーターにて163g/m塗布した。このようにして、高粘度であることから生じるローピングを伴った着色透明凹凸層として下地膜を設けた。その後、インクジェットにより、下地膜上に、印刷模様として木目画像の描画を行った。最後に、表面にクリア塗料を塗布して仕上げ塗装膜を形成した。その結果、木目画像が認められ、且つ、立体感を有する意匠の化粧板となった。
【0054】
(実施例3)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、高粘度(5000mPa・s程度)の着色UV樹脂(KRM7735(ダイセル・サイテック株式会社):TPGDA(ダイセル・サイテック株式会社)=60:40の混合物に、UV開始剤を4部、黄色顔料を5部添加したもの)をリバースロールコーターにて163g/m塗布した。このようにして、高粘度であることから生じるローピングを伴った着色透明凹凸層として下地膜を設けた。その後、インクジェットにより、黄色インクを70%減少させた木目画像の描画を行った。その結果、木目画像が認められ、且つ、立体感を有する意匠の化粧板となった。また、インク使用量を減らすことができた。
【0055】
(実施例4)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系のクリアシーラーを塗布し、乾燥させた。その後、着色透明で且つ凹凸のあるシート(材質はPVC、厚さ0.10mm、青みを有するシート)を基材上に接着し、下地層を設けた。その後、インクジェットにより、下地膜上に、印刷模様として木目画像の描画を行った。最後に、表面にクリア塗料を塗布して仕上げ塗装膜を形成した。その結果、木目画像が認められ、且つ、立体感を有する意匠の化粧板となった。
【0056】
(実施例5)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系のクリアシーラーを塗布し、乾燥させた。その後、着色透明で且つ凹凸のあるシート(材質はPVC、厚さ0.10mm、青みを有するシート)を基材上に接着し、下地層を設けた。その後、インクジェットにより、黄色インクを70%減少させた木目画像の描画を行った。その結果、木目画像が認められ、且つ、立体感を有する意匠の化粧板となった。また、インク使用量を減らすことができた。
【0057】
(比較例1)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系の白着色剤を塗布した。その後、インクジェットにより、木質基板に木目画像の描画を行った。最後に、表面にクリア塗料を塗布した。その結果、画像の描画は行えたが、立体感を有しない意匠の化粧板となった。
【0058】
(比較例2)
表面が平滑な木質基材(合板、MDF等)上に、水系の白着色剤を塗布した。その後、着色非透明で且つ凹凸のあるシート(材質はPVC、厚さ0.10mm、白顔料添加品)を接着し、白色で隠蔽性の下地層を形成した。その後、その後、インクジェットにより、下地膜上に、印刷模様として木目画像の描画を行った。最後に、表面にクリア塗料を塗布して仕上げ塗装膜を形成した。その結果、画像の描画は行えたが、立体感を有しない意匠の化粧板となった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の化粧板及びその製造方法によると、より深み感、立体感、濡れ色等に優れ、自然で且つ意匠性の高い外観の化粧板が実現するので、化粧板として有用である。
【符号の説明】
【0060】
10 化粧板
11 木質基材
12 下地膜
12a 溝
12b 凸部
12c 背景色
13 印刷模様
13a 模様
14 塗装膜
15 画像
図1
図2