特許第5798148号(P5798148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5798148改善された機械加工性を有する研磨成形体
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  • 特許5798148-改善された機械加工性を有する研磨成形体 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798148
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】改善された機械加工性を有する研磨成形体
(51)【国際特許分類】
   C22C 29/16 20060101AFI20151001BHJP
   C22C 26/00 20060101ALI20151001BHJP
   B22F 1/02 20060101ALI20151001BHJP
   C22C 1/05 20060101ALI20151001BHJP
   C22C 1/10 20060101ALI20151001BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20151001BHJP
   B23B 27/20 20060101ALI20151001BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20151001BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   C22C29/16 A
   C22C26/00 B
   B22F1/02 A
   C22C1/05 L
   C22C1/05 P
   C22C1/10 E
   C22C1/10 J
   B23B27/14 B
   B23B27/20
   B23B51/00 M
   B23C5/16
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-107985(P2013-107985)
(22)【出願日】2013年5月22日
(62)【分割の表示】特願2009-541595(P2009-541595)の分割
【原出願日】2007年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-209753(P2013-209753A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年6月20日
(31)【優先権主張番号】60/869,804
(32)【優先日】2006年12月13日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504462548
【氏名又は名称】ダイヤモンド イノベイションズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100102990
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良博
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ウェブ,スティーブン ダブリュ.
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−158174(JP,A)
【文献】 特開2007−145667(JP,A)
【文献】 特開平3−107441(JP,A)
【文献】 特開平7−299752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 29/16
B22F 1/02
B23B 27/14
B23B 27/20
B23B 51/00
B23C 5/16
C22C 1/05
C22C 1/10
C22C 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子、焼結触媒、および該超硬質粒子よりも低いヌープ硬度を有する反応物質粒子を混合して、混合物を形成し、ここで該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 Al、 Mn、 W、 Ni、もしくはそれらの炭素合金またはそれらの化合物を含むこと;
該混合の前に、該反応物質粒子に該焼結触媒をプレコーティングすること;および
該混合物を焼結し、結果として該反応物質粒子が該焼結触媒と反応して反応相を形成し焼結成形体を産し、ここで該反応相が立方晶窒化ホウ素よりも低いヌープ硬度を有すること、
を含んでなる、研磨成形体を製造する方法。
【請求項2】
該反応物質粒子が六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、 モリブデン 硫化物、 タングステン 硫化物、 またはリン化物の一以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該焼結が、該混合物に約1000℃〜約2200℃の温度、および約40 kbar〜約200 kbarの圧力を、約5分〜約300分の焼結時間の間適用すること、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
該焼結成形体を付形すること、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は同時係属の米国仮出願60/869,804、2006年12月13日出願、タイトル「改善された機械加工性を有する研磨成形体」に対する優先権を主張する。その仮出願の開示はその全体がここに引用によって組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援研究に関する声明 適用なし。
【0003】
共同研究協定に対する団体名 適用なし。
【0004】
シークエンスリスト 適用なし。
【0005】
1.技術分野
本開示は概して、例えば有用な幾何学形状により容易に形成される研磨成形体に関する。
【背景技術】
【0006】
2.関連技術についての記載
研磨成形体はドリル加工、ボーリング加工、切削加工(cutting)、フライス加工、研削加工(grinding)、および他の材料除去操作において使用される。研磨成形体は、固体に焼結し、結合し、あるいは統合された超硬質粒子からなる。超硬質粒子は、ダイヤモンド, 立方晶窒化ホウ素,窒化炭素(CN)化合物,ホウ素−炭素−窒素−酸素(BCNO)化合物、または炭化ホウ素よりも大きい硬度を有する任意の材料であってもよい。該超硬質粒子は、例えば単結晶または多結晶凝集体であってもよい。
【0007】
商業的には、研磨成形体は、ダイヤモンド系のものであれば、ダイヤモンドまたは多結晶ダイヤモンド (PCD) 成形体として、または立方晶窒化ホウ素 (cBN)系のものであれば、多結晶立方晶窒化ホウ素 (PCBN) 成形体として知られているだろう。残留焼結触媒がそこから取り除かれていく研磨成形体は、溶脱または熱安定成形体と呼ばれることがある。超鋼合金基材と一体化された研磨成形体は支持成形体と称される。支持研磨成形体は、超鋼合金を含み、エンジニアリング構造に対する研磨成形体の接着を簡単にする上に、耐衝撃性、強度も高める。
【0008】
研磨成形体は、多くの異なる方法を用いてそこから切削ティップ(tip)が切断される「ブランク」または「工具ブランク」と称される大きなディスクに製造される。
【0009】
単純な超硬質相、例えばダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素を本質的にベースにした研磨成形体が周知である。しかしながら、これらの研磨成形体は非常に堅く、したがって研削すること、または滑らか若しくは欠陥のない表面を有する制御された寸法の有用な構成要素に加工することが困難である。研磨機械加工、レーザー切削、またはプラズマ機械加工の費用はかなりのものであり、研磨成形体の商業的応用を制限している。ひとつの解決方法は、超硬質粒子を有し硬質相の少ない研磨成形体を製造することである。しかしながら、これらの成形体は、あまり良好な商業的特性を提供しておらず、そしてその少ない硬質相が焼結触媒の機能を台無しにするので概して問題がある。
【0010】
研磨成形体の欠陥とは、様々な大きさおよび程度の、スポットと研磨層のまたは工具ブランクの全体の形状の歪み、内部または表面の層間剥離、ピット、チップ(chip)、クラックのことを云う。欠陥は、工具強度および工具寿命、またはブランクからの有用なツールの収量を減じるので、望ましくない。
【0011】
米国特許第4,016,736号は、ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素成形体について記載しており、ここでは立方晶窒化ホウ素の耐熱性が活用されている。米国特許第4,797,241号それぞれ独立に焼結されたPCD および PCBNの混合物を含む研磨成形体について記載している。米国特許第6,759,128号は、B-C-N新固体相でできた焼結混合物について記載している。米国特許第6,772,849号、4,734,339号、5,755,299号はすべて、ドリルビット用ホウ化物被覆PCDについて記載している。米国特許第5,697,994号は、耐腐食性を増すためにダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素を含む成形体について記載している。しかしながら、これらの文献のいずれも成形体の硬度の制御または改善された加工について記載していない。
【0012】
米国特許公開第No. 2003/0019106および米国特許第6,596,225は、反応しないモールドコーティングとして六方晶窒化ホウ素を使用することについて記載している。この窒化ホウ素は、研磨成形体の一部ではない。
【0013】
触媒液相、典型的には溶融Fe, Ni, Al, Co, Mn, W,合金またはそれらの混合物を伴う研磨成形体の高圧力焼結も周知である。概して、触媒は、金属粒子と超硬質粒子の混合によって、または外部の金属含有ソースとの接触によって提供される。この触媒金属は、成形体にされた超硬質研磨粉末に染みこむ。超硬質粒子との接触点における溶融金属の等角接触部は、粒子相互間の結合が生じることを可能にする。この溶融金属の接触部は、十分に持続し、空間的に均一であり、その超硬質粒子は溶解し、再沈殿または再結晶化して、超硬質粒子間の高品質な結合でできた連続的な母材を提供する。成形体焼結の間に形成されるこの高品質の結合が、高硬度を有する成形体を造り、単結晶超硬質相の値に近づける。高硬度に加えて、超硬質粒子間に形成された強固な結合は、低レベルのマイクロ構造欠陥と組み合わさって、この成形体に対して高い強度、高い耐摩耗性、高い耐熱性、および有用な破壊靱性を与える。この特性の組み合わせは、これまで、この成形体が非常に研削すること、あるいは有用な形状に形成することが難しいことも云われてきた。研磨機械加工、レーザー切削、および高エネルギープラズマ機械加工が、商業的に有用な工具ブランクを製造するためのその後のプロセスステップとして要求されている。
【0014】
この超硬質グリットを有する触媒溶融金属との不完全および/または非均一な接触、または不安定な反応が、品質が低めの粒子間結合を伴う成形体を造り、欠陥を増すことも知られている。この欠陥のある成形体は、機械加工の難しさは少ないかもしれないが、実用のために要求される研磨特性は提供しないだろう。それは使用の際に簡単にクラックを生じるかまたは層間剥離する。したがって、制御された硬度、有用な靱性、強度および加工時の容易性を同時に備える研磨成形体は、まだ知られていない。
【0015】
したがって、コスト効率のよいプロセスによって、高レベルの硬度、強度および靱性を維持しつつ、機械加工性が独立に向上する、製品または成形体に対する要求が存在する。
【0016】
ここに含まれる開示は、上述した課題の一つ以上を解決するための試みについて記載している。
【発明の概要】
【0017】
研磨成形体は、5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子を含んでもよい超硬質相、焼結触媒、および超硬質相よりも低いヌープ硬度を有する触媒−セラミック化合物を含んでもよい反応相を含んでもよい。
【0018】
一実施態様において、該反応相は該超硬質相粒子に結合される粒子を含んでなる。別の実施態様において、該反応相は3000 KHN以下のヌープ硬度を有する。
【0019】
一実施態様において、該超硬質粒子がダイヤモンドを含んでもよく;該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 Al、 W、 Mn、 またはNiを含んでもよく;および;該反応相が六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、 任意の金属のまたは金属間の硫化物またはリン化物のような反応物質と該触媒の化合物を含む。さらに別の実施態様において、該超硬質粒子が立方晶窒化ホウ素を含んでもよく;該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 AI、 W、 Mn、またはNiを含んでもよく;および該反応相が炭素またはホウ素または窒素を含んでもよい。
【0020】
一実施態様は、該成形体の約0.5から20質量パーセントを構成する該反応相を含んでもよい。いくつかの実施態様において、該反応物質相の平均粒子サイズが約0.5〜約25マイクロメートルであってもよい。いくつかの実施態様において、該超硬質粒子が約0.5μm〜約100マイクロメートルの平均粒子サイズであってもよい。好ましくは、該反応物質相の平均粒子サイズは該超硬質粒子の平均粒子サイズ未満である。該反応の詳細に応じて、該反応相の粒子サイズは変化してもよい。
【0021】
一実施態様は、研磨成形体を製造する方法を含んでもよい。一実施態様では、方法が5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子、焼結触媒、および該超硬質粒子よりも低いヌープ硬度を有する反応物質粒子を混合して、混合物を形成すること、を含んでもよい。一実施態様は、該混合物を焼結し、結果として該反応物質粒子が該焼結触媒と反応して、該焼結成形体中に炭素含有化合物またはホウ素含有化合物(例えばCo6W6B6 または W2Co21B6)の反応相を形成すること、を含んでもよい。
【0022】
方法の一実施態様では、該反応物質粒子が六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、 モリブデン 硫化物、 タングステン 硫化物、 またはリン化物の一以上を含んでもよい。一実施態様では、焼結が、該混合物に約1000℃〜約2200℃の温度、および約40 kbar〜約200 kbarの圧力を、約5分〜約300分の焼結時間の間適用することを含んでもよい。さらに別の実施態様では、方法が、該反応物質粒子に該焼結触媒をプレコーティングすることをさらに含んでもよい。別の方法の実施態様は、該焼結成形体を付形することをさらに含んでもよい。
【0023】
研磨成形体の一実施態様が、5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子を含むことがある超硬質相;焼結触媒;ならびに該焼結触媒および一以上の六方晶窒化ホウ素、グラファイト、金属の硫化物、金属間の硫化物、金属リン化物、または金属間のリン化物を含むことがある反応生成物、を含んでもよい。別の実施態様は、六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、金属の 硫化物、金属間の硫化物、金属リン化物、または金属間のリン化物の一以上でできた未反応相をさらに含んでもよい。研磨成形体の一実施態様は、3000 KHN以下のヌープ硬度を有する該反応生成物を含んでもよい。
【0024】
一実施態様では、該超硬質粒子が一以上のダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素を含んでもよく;該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 Al、 Mn、 W、および Ni、またはこれらの元素の一以上を含有する化合物を含んでもよい。別の実施態様では、該反応生成物が該超硬質相よりも低いヌープ硬度を有してもよい。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[17]に記載する。
[1]
5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子を含む超硬質相;
焼結触媒;ならびに
該焼結触媒および反応物質を含み且つ該超硬質相より低いヌープ硬度を有する化合物、を含む反応相、
を含んでなる研磨成形体。
[2]
該反応相が該超硬質相粒子に結合される粒子を含んでなる、項目1に記載の研磨成形体。
[3]
該反応相が3000 KHN以下のヌープ硬度を有する、項目1に記載の研磨成形体。
[4]
該超硬質粒子がダイヤモンドを含み;
該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 Al、 W、 Mn、 Niまたはそれらの化合物を含み;および
該反応相が六方晶窒化ホウ素、グラファイト、金属または金属間の硫化物またはリン化物、および該焼結触媒間の反応の生成物を含む、
項目1に記載の研磨成形体。
[5]
該超硬質粒子が立方晶窒化ホウ素を含み;
該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 AI、 W、 Mn、 Niまたはそれらの化合物を含み;および
該反応相が該焼結触媒と六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、金属または金属間の硫化物またはリン化物との間の反応の生成物を含む、
項目1に記載の研磨成形体。
[6]
該反応相が該成形体の約0.5から20質量パーセントを構成する、項目1に記載の研磨成形体。
[7]
該超硬質粒子が0.1μm〜100μmの平均粒子サイズを有し;および
該反応相が0.1μm〜50μmの平均粒子サイズを有する粒子を含む、項目1に記載の研磨成形体。
[8]
5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子、焼結触媒、および該超硬質粒子よりも低いヌープ硬度を有する反応物質粒子を混合して、混合物を形成すること;および
該混合物を焼結し、結果として該反応物質粒子が該焼結触媒と反応して反応相を形成し焼結成形体を産すること、
を含んでなる、研磨成形体を製造する方法。
[9]
該反応物質粒子が六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、 モリブデン 硫化物、 タングステン 硫化物、 またはリン化物の一以上を含む、項目9に記載の方法。
[10]
該焼結が、該混合物に約1000℃〜約2200℃の温度、および約40 kbar〜約200 kbarの圧力を、約5分〜約300分の焼結時間の間適用すること、を含む項目9に記載の方法。
[11]
該混合の前に、該反応物質粒子に該焼結触媒をプレコーティングすること、をさらに含む項目9に記載の方法。
[12]
該焼結成形体を付形すること、をさらに含む項目9に記載の方法。
[13]
5000 KHN以上のヌープ硬度を有する超硬質粒子を含む超硬質相;
焼結触媒;および
該焼結触媒および一以上の六方晶窒化ホウ素、グラファイト、金属の硫化物、金属間の硫化物、金属リン化物、または金属間のリン化物を含む反応生成物、
を含んでなる研磨成形体。
[14]
六方晶窒化ホウ素、 グラファイト、金属の 硫化物、金属間の硫化物、金属リン化物、または金属間のリン化物の一以上でできた未反応相、
をさらに含んでなる項目14に記載の研磨成形体。
[15]
該反応生成物が3000 KHN以下のヌープ硬度を有する、項目14に記載の研磨成形体。
[16]
該超硬質粒子が一以上のダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素を含み;
該焼結触媒が一以上のFe、 Co、 Al、 Mn、 W、 Ni、もしくはそれらの炭素合金またはそれらの化合物を含む、項目14に記載の研磨成形体。
[17]
該反応生成物が該超硬質相よりも低いヌープ硬度を有する、項目14に記載の研磨成形体。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の本質および利点をより充分に理解するために、添付した図面と関連させて以下の詳細な説明に対する言及がされる。
【0026】
図1】は、研磨成形体を形成する方法において採用することができる典型的なステップ(工程)を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本方法、システムおよび材料について記載する前に、本開示は、記載された特定の方法論、システムおよび材料が変化することができ、それゆえにそれらに限定されないことを理解されたい。また、本記載において使用される専門用語は、特定の種類または実施態様を説明する目的のためにすぎず、請求の範囲を限定する意図ではない。例えば、添付の請求の範囲やここで使用されるとおり、単数形「一つの(a)」「一つの(an)」および「該(the)」は、文脈が明確にそうでないと述べていないかぎり、複数についての言及も含む。また、ここで使用される「含む(comprising)」という語は、「含むが限定はしない」ことを意図する。他に定義がされていない限り、ここで使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。ここで述べられる全ての公開物は、その全体が引用により組み込まれる。ここには、本発明には先行発明があるおかげでこれらの開示を予期する資格がないという告白として解釈されるものはない。
【0028】
ここで使用されるとおり、「約」という語は、これを伴って使用される数値のプラスまたはマイナス10%を意味する。従って、約50%は40%〜605の範囲にあることを意味する。
【0029】
ここで表される組成物は、「追加パーセント」法で表現される。
【0030】
本開示は概して、より簡易に機械加工ができる研磨成形体およびそれを製造する方法に関係する。特に、本開示の研磨成形体は、超硬質相、焼結触媒相および反応相を含む。反応相は、ここで詳細に記載されるとおり、反応物質粒子を焼結触媒と反応させることによって形成される。
【0031】
本発明では、焼結触媒の取り扱いおよび材料中に存在する相の種類と品質の選択が、改善された機械加工性を有する成形体を提供することを発見した。特に、本発明者は、焼結プロセスの間に超硬質粒子に触媒および反応粒子(または以下で成分「A」として記載される)を追加することおよび選択することにより、その超硬質粒子よりも低い硬度を有する反応生成物でできた反応相を形成することが出来ることを発見した。そのような材料は、有用な硬度、靱性、強度を有する研磨成形体をもたらし、そして新たな追加の欠点を招くことなく機械加工の困難さを低減させる。
【0032】
本開示の研磨成形体は、触媒相と追加されたセラミックまたは他の反応物質成分の間に形成された反応生成物を含む。この反応生成物は新たな非超硬質「反応相」(ここで成分Bと呼ばれる)であり、それは形成された研磨成形体の超硬質粒子よりも柔らかい。反応物質または反応相の存在は、あらゆるレベルの変換において、触媒の機能に悪影響を与え、超硬質グリットを焼結させることはない。本開示の残りの部分では、未反応反応物質粒子または追加の成分を「A」と称し、および非超硬質相(これは焼結触媒と反応物質の化合物である)を反応相、反応生成物または「B」と称する。
【0033】
超硬質粒子は当該技術分野で一般的に使用されるものであり、例えばダイヤモンド, 立方晶窒化ホウ素およびそれに類するものを含む。これらの粒子の硬度は一般的に5,000 KHN以上のヌープ硬度値である。超硬質粒子のサイズは、当該技術分野で知られる任意の範囲であってよく、それは硬質で実質的に欠陥のない物品を形成するために焼結することができる範囲であり、たとえば0.1μm〜100μmの間、または約1000μmまでの粒子直径であってもよい。一実施態様では、超硬質粒子のサイズが約2μm〜約8μmであってもよい。別の実施態様では、超硬質粒子のサイズが約2μm〜約4μmであってもよい。さらに別の実施態様では、超硬質粒子のサイズが約5μm〜約4μmであってもよい。
【0034】
研磨成形体で使用される焼結触媒は、当該技術分野で現在または今後知られているもの、例えばFe, Ni, Al, W, MnまたはCo,またはそれらの合金,化合物,および組み合わせをここで含んでもよい。いくつかの実施態様では、焼結触媒がコバルト、コバルト/タングステン合金、コバルト/タングステン/炭素化合物および/または炭素とFe, Ni, Al, W, Mn,またはCoとの組み合わせを含んでもよい。
【0035】
実施態様では、成分「A」または反応物質粒子は、限定することなく、六方晶窒化ホウ素 (HBN), グラファイト, 任意の金属のまたは金属間の硫化物またはリン化物、または焼結触媒と通常の高圧力、高温(HPHT)プロセス条件である程度反応して反応物質−触媒成分を形成する類似の相を含んでもよい。成分「A」粒子は、焼結触媒を伴って反応および/または変換して、超硬質粒子および/または超硬質相よりも柔らかいが、超硬質粒子に結合する触媒の機能を損なうことはしない、新たな相「B」、を形成するように選択的に選び出される。成分「A」粒子は反応相が焼結後に研磨成形体中でおよびその全体を通じて良好に分散され分配されることができる任意のサイズのものであってよい。例えば、成分「A」粒子は、約0.1μm〜約50μmの粒子直径でもよい。成分「A」粒子の平均粒子サイズは、混合中に良好な分散を進めるために超硬質粒子のサイズよりかなり小さくてもよい。この超硬質粒子は例えば0.1μm〜100μmの間で変化する粒子サイズのものであってもよい。
【0036】
成分「A」反応物質粒子は、成形体の約0.5 w/w %から約20 w/w %の量で超硬質粒子および焼結触媒に追加されてもよい。焼結触媒は、成形体中に成形体の約10質量%〜約30質量%、または約15質量%〜約25質量%、または約18質量%〜約20質量%の量で、存在してもよい。いくつかの実施態様では、反応物質粒子が成形体の約2質量%〜約 10質量%を構成してもよい。別の実施態様では、反応物質粒子が成形体の約 3%〜約 9%を構成してもよい。成形体の残余部の質量は超硬質粒子を構成してもよい。成分「A」は焼結触媒と反応し、および/または焼結触媒の存在するところでまたは接触するところで変換する。この反応または変換は、化学的または物理的に生じ、例えば溶融を含む。焼結触媒と成分「A」粒子の反応または変換の際に、新たな相「B」または反応相化合物が形成される。この新たな相「B」は好ましくは超硬質粒子に良好に結合され、かつ超硬質相ではない。この新たな相「B」はそれ自身が焼結用の触媒であってもよく、そうでなくてもよい。新たな相「B」は超硬質粒子よりも低い硬度を有し、例えば3,000 KHN未満であってもよい。反応相「B」は、焼結の間に反応によって達成されることがある、ある程度の結晶性および粒子サイズのカーバイド、ホウ化物または窒化物化合物であってもよい。様々な実施態様では、反応相「B」は、成形体にされた超硬質粒子中の焼結触媒が染み込んで分配されることに悪影響を与えないために、焼結触媒を引きつけたり、押し返したり、または消費したりすることが全くないこともできる。
【0037】
いくつかの実施態様では、焼結研磨成形体中の選択された成分「A」粒子の追加およびそれの相「B」への変換が、通常の成形体よりも研削速度を150%以上まで改善することができる。研削速度は、焼結研磨物品の作製における付形または研削の間の材料加工中に観察される、一般的に使用される機械加工性の目安である。研削速度は、固定された研削条件で、除去された研削ホイールの単位体積あたりの、除去された焼結研磨成形体の体積の比率であることを意味する。形成された成形体の硬度、靱性および強度は、その成形体の製造および適用の両方に関して有用な範囲のままである。
【0038】
図1を参照すると、超硬質材料11、焼結触媒 9および成分「A」13が、ボールミルまたは他の適当な装置で混合され(ステップ10)良好な分散が形成される。混合された成分は、乾燥され(ステップ12)、そしてタングステンカーバイド/コバルト(WC/Co)ディスクのような基材も配置される(ステップ14)耐火金属カップに装填される(ステップ14)。次にカップはHPHT圧力セルに装填され、約 5分〜約 300分の間、約 1000℃〜 約 2200℃で加熱されながら、約 40 kbar〜約 200 kbarの圧力で圧縮される(ステップ 16)。圧力セルは、圧力が解放される間に冷却されることが好ましい。次に、焼結物品、現在は研磨成形体20、が取り出され、洗浄され超硬質研磨成形体を取り出してもよい。研磨成形体は、そこに結合されそこ全体に分散した反応生成物 24を伴う超硬質粒子 22を含む。全ての焼結触媒が反応物質と反応する必要はなく、いくらかの未反応触媒26が最終製品に残ってもよい。最終製品は、ボーリング加工、切削加工、フライス加工、旋削加工、または研削、放電機械加工(EDM)、レーザー切削またはそれに類するものによって作製された任意の他の材料の除去操作に使用可能である。
【0039】
上述の研磨成形体を調製する方法は、本発明の実施態様に含まれる。その方法は、少なくとも一つの焼結触媒で成分「A」粒子をプレコーティングすること、およびこの被覆された成分「A」粒子を超硬質相粒子および焼結触媒粒子と結合させること、をさらに含んでもよい。次に、この結合され被覆された「A」粒子、超硬質相粒子、および焼結触媒は、例えば約1000℃〜約2200℃の高温で、例えば約40 kbar〜約200 kbarの圧力下、約5分〜約300分の焼結時間の間加熱することによって焼結され、例えば研磨成形体を形成してもよい。次に、この研磨成形体は、研削またはEDMまたはレーザーまたは任意の当該技術分野で既知の方法によって付形されてもよい。
【0040】
この方法はまた、焼結触媒の外部ソースの使用を含んでもよく、そこでは成分「A」粒子および超硬質粒子がボールミルで混合され、良好な分散を形成する。混合された成分は乾燥されWC/Coディスクも配置される耐火金属カップに装填されてもよい。焼結の間、例えば約5分〜約300分の焼結時間の間、例えば約40 kbar〜約200 kbarの圧力下、例えば約1000℃〜約2200℃の高温である。WC/Coディスクからのコバルトの一部が、ディスクから混合された粉末に押し出され、これが焼結触媒として働き、「A」粒子と反応して研磨成形体を形成してもよい。次に、この研磨成形体は、研削またはEDMまたはレーザーまたは任意の当該技術分野で既知の方法によって付形されてもよい。
【実施例】
【0041】
例1:比較
多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)研磨成形体を、5質量パーセントの粉末化された2μmアルミニウムの粉末と、2μm〜4μm粒子サイズのcBN粉末を、流体ボールミルで混合することによって調製した。混合された粉末をTa金属カップに配置し、2 mm厚に成形された層を形成し、カップの一端を固体カーバイドディスクでシールした。これらの材料を、1450℃、55 kbarで17分間標準的なHPHT圧力セルで焼結させた。このCBN 成形体は、欠陥がなく、続いて小さな長方形にEDM切削した。ダイヤモンドホイール研削試験を用いて、機械加工の容易さを評価した。このダイヤモンドホイールは、合計0.02インチの研削ホイールのダウンフィード(downfeed)の間に、成形体の0.31〜0.38グラムを除去した。
【0042】
例2:発明
例1に記載したようにPCBN 研磨成形体を調製したが、例外として、追加成分、1質量パーセントの六方晶窒化ホウ素を、アルミニウムと立方晶窒化ホウ素の混合物に加えた。六方晶窒化ホウ素は、8 μm〜12 μmの粒子サイズであった。これらの粉末を例1のようにカプセル化し、例1と同じランで高圧力焼結にかけた。驚くほど、この成形体は欠陥がなかった。上述した例1と同一の研削テストは、合計0.02インチの研削ホイールのダウンフィードの間に、0.51〜0.54グラムの成形体の除去を示した。このホウ素窒化物成形体の研削速度は、この追加によって、約50%増加した。
【0043】
例3:比較
2 μm〜3 μmサイズのダイヤモンド粉末を10% 1 μmコバルト金属粉末とともに流体ボールミルで混合することによってダイヤモンド研磨成形体を調製した。混合した粉末をTa金属カップに装填し、一端を固体カーバイドディスクでシールし、1450℃、55 kbarで25分間HPHT焼結した。焼結した部分を、例えば熱安定性のような顕微鏡的評価用に、および研削試験用にも、2 mm x 10 mmの部分に検索および切削した。このダイヤモンド研磨成形体は、空気中で850℃の2分間の誘導コイル加熱と続く急速冷却の熱サイクルの前と後のいずれでも視覚的および顕微鏡的に欠陥がなかった。この強制的な熱ひずみによって、視覚的なクラック、ピットまたは層間剥離は生じなかった。この成形体は、熱サイクルの前と後の両方で、視覚的および顕微鏡的に欠陥がなかった。
【0044】
例4:発明
例3に記載したように成形体を調製したが、例外として、六方晶窒化ホウ素 (hBN)を1および3質量パーセントのレベルで加えて二つの成形体を製造した。焼結、調製、および試験条件は例3と同一であった。1および3質量パーセントの六方晶窒化ホウ素 (hBN)を追加した、両成形体は、熱サイクルの前と後で、視覚的および顕微鏡的に欠陥がなかった。六方晶窒化ホウ素は反応して完全にW2Co21B6、コバルト/ホウ素/タングステン化合物を形成した。両方の材料が、驚くほど研削速度の上昇を示した。またこの3% hBN 追加成形体は、このような成形体の使用において一般的であるWC基材にロウ付けもされた。
【0045】
例5:発明
反応物質粒子としてのhBNを1%追加して、例4に記載されるように、ダイヤモンド研磨成形体を調製した。1% hBN追加成形体の場合の研削速度は、例4の結果と同様であり、実質的には比較例3のもたらす研削速度を超えていた。
【0046】
例6:発明
5μm〜8μmおよび2μm〜3μmのサイズのダイヤモンド粉末に反応物質粒子として一連のhBNを追加して、例4に記載されるように、ダイヤモンド研磨成形体を調製した。この5μm〜8μmのダイヤモンド材料は、元来2〜3μmのダイヤモンドよりも硬質であるが、欠陥を与えられることなく、hBNによって実質的に柔らかくなった。
【0047】
例7:発明
5μm〜8μmのダイヤモンド粉末に反応物質粒子として粒子サイズ2μm〜4μmのhBN粉末を6質量パーセント伴って、例4に記載されるように、ダイヤモンド研磨成形体を調製し、このhBNは比較として例6とは異なる粒子サイズであるが質量パーセントは同一であった。
【0048】
例8:発明
hBN 粒子の分散を悪くして、局部的に高いhBN含有率のスポットをつくるようにこの製造方法をかき乱したことを除いて、例4に記載されるように、粒子サイズ 8 μm 〜 12 μmの3% w/w hBNおよび2 μm 〜 3 μmサイズのダイヤモンド粉末を含む、ダイヤモンド研磨成形体を調製した。このPCDは、それらのスポットがPCD材料にピットおよびクラックを生じるという点で欠陥がある。欠陥のあるPCD材料の耐摩耗性を、(hBNおよびダイヤモンドの)粒子サイズと組成が均等な欠陥のない材料と比較した。欠陥のあるPCDは、良好な材料よりもかなり柔らかかった。このことは、欠陥がPCDを柔らかくしたことを裏付けている。
上記で開示した特徴および機能および他の特徴および機能の変更、またはそれらの代替が、望ましく多くの他の異なるシステムまたは応用に組み合わせることができることが理解されよう。また、様々の現在は予見されないかまたは予期されないそこでの代替、改造、変更、または改良が、その後に当業者によって可能であり、それらも特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1