(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798170
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】血糖センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/78 20060101AFI20151001BHJP
G01N 27/327 20060101ALI20151001BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
G01N21/78 Z
G01N27/30 353Z
G01N27/46 338
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-241022(P2013-241022)
(22)【出願日】2013年11月21日
(62)【分割の表示】特願2010-159855(P2010-159855)の分割
【原出願日】2010年7月14日
(65)【公開番号】特開2014-41159(P2014-41159A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年11月21日
(31)【優先権主張番号】12/502,594
(32)【優先日】2009年7月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン モンドロ
(72)【発明者】
【氏名】デビット シフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン アルバート
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−200168(JP,A)
【文献】
特開2003−083927(JP,A)
【文献】
特表2007−538257(JP,A)
【文献】
米国特許第7378270(US,B2)
【文献】
特表2006−517651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
G01N 27/327
G01N 27/416
G01N 27/28
G01N 33/48−33/98
A61B 5/145−5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の体の血液検体採取部位から抜き取られた血液検体における血糖を測定する血糖センサにおいて、
テストストリップの連続式ストリップを担持する保管ローラを含むハウジングであって、前記テストストリップは、(1)前記テストストリップ上に位置して血液検体量検出領域を画定する導電コンタクトと、(2)一端に前記血液検体量検出領域と流体連通する入口を有する血液輸送路と、(3)前記血液輸送路の他端の測定地点と、を含む、ハウジングと、
前記血液検体量検出領域が血液検体採取部位と対向する前記連続式ストリップの第一の屈折部と、前記血液輸送路の前記入口が血液検体採取部位と対向する前記連続式ストリップの第二の屈折部と、の間の曲げローラ上で前記テストストリップの1つを前進させるように構成された駆動機構であって、前記曲げローラが前記テストストリップを屈曲状態で血液検体採取部位に対面させ、血液検体が前記コンタクトを架橋して、前記コンタクト間を電気導通させることによって血液検体量を検出し、前記検出された血液検体量が十分に大きく、前記血液輸送路の前記入口が前記血液検体採取部位に移動されると、前記血液検体が前記血液輸送路を通って移動して前記測定地点と接触する、駆動機構と、
を備えることを特徴とする血糖センサ。
【請求項2】
前記ハウジングの中に配置され、前記テストストリップを前記血液量検出領域において貫通し、前記血液検体採取部位の下の被験者の体の皮下腔内から血液検体を採取するランセットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の血糖センサ。
【請求項3】
血糖測定に既に使用された前記テストストリップの前記領域を前記ハウジングの外の環境から絶縁する第一のシール材と、前記テストストリップの未使用領域を前記環境から絶縁する第二のシール材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の血糖センサ。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記テストストリップの連続式ストリップと係合するスプロケット駆動部を備えることを特徴とする請求項1に記載の血糖センサ。
【請求項5】
前記テストストリップの連続式ストリップを巻き取る巻取りローラをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の血糖センサ。
【請求項6】
前記巻取りローラは、前記テストストリップの連続式ストリップが自由に動かないようするネゲータスプリングを用いて取り付けられることを特徴とする請求項5に記載の血糖センサ。
【請求項7】
前記スプロケット駆動部は、歯車およびエスケイプメント機構とともに機能し、前記血糖センサが作動され、十分な血液検体量が検知され、測定が完了したときの信号に応じて、前記テストストリップの連続式テストストリップを前記巻取りローラ上で所定の量だけ位置送りすることを特徴とする請求項5に記載の血糖センサ。
【請求項8】
前記駆動機構は、前記信号の受信する装置と動作的に接続されることを特徴とする請求項7に記載の血糖センサ。
【請求項9】
前記信号を生成するマイクロプロセッサをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の血糖センサ。
【請求項10】
前記測定地点において前記血液検体の中の血糖を測定する光学的センサをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の血糖センサ。
【請求項11】
前記測定地点において前記血液検体の中の血糖を測定する電気化学的センサを備えることを特徴とする請求項1に記載の血糖センサ。
【請求項12】
被験者の体の血液検体採取部位から抜き取られた血液検体における血糖を測定する血糖センサにおいて、
複数のテストストリップを収容するカートリッジであって、前記テストストリップは、(1)前記テストストリップ上に位置して血液検体量検出領域を画定する導電コンタクトと、(2)一端に前記血液検体量検出領域と流体連通する入口を有する血液輸送路と、(3)前記血液輸送路の他端の測定地点と、を含む、カートリッジと、
湾曲面として機能する案内部材であって、前記カートリッジが前記テストストリップの1つを前記案内部材を通過させて送り出し、前記案内部材が前記テストストリップを屈曲状態で血液検体採取部位に対面させ、血液検体が前記コンタクトを架橋して、前記コンタクト間を電気導通させることによって血液検体量を検出し、前記検出された血液検体量が十分に大きく、前記血液輸送路の前記入口が前記血液検体採取部位に移動されると、前記血液検体が前記血液輸送路を通って移動して前記測定地点と接触する、案内部材と、
を備えることを特徴とする血糖センサ。
【請求項13】
前記複数のテストストリップは、ディスクまたはドラム上に円形に構成されることを特徴とする請求項12に記載の血糖センサ。
【請求項14】
前記測定地点において前記血液検体の中の血糖を測定する光学的センサをさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の血糖センサ。
【請求項15】
前記測定地点において前記血液検体の中の血糖を測定する電気化学的センサを備えることを特徴とする請求項12に記載の血糖センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体検体の採取と試験の分野に関する。特に、本発明は、被験者の体のある部位から血液検体を採取し、テストストリップを使ってその血液検体の血糖を試験するのに有益な装置に関する。テストストリップは、1回の手順で検体採取と検知の両方を行うようになされた器具に組み込まれていてもよい。この装置の使用方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
血糖自己測定では一般に、使用者がある量の毛細管血を採取し、これを解析用の使い捨て要素の上に載せることが必要である。
【0003】
被験者の採血部位を穿刺し、テストストリップ上で試験するための少量の血液を採取する器具が、先行技術において知られている。例えば、引用をもって本願に援用される「特許文献1」には、被験者の皮膚を穿刺し、検体を採取するための適当なメカニズムを備えたランセットが開示されている。
【0004】
一般に、刺通部が形成されると、その採血部位を「搾る(milked)」ことによって同部位から体液を搾り出さなければならず、それからその体液をテストストリップに移さなければならない。テストストリップ方式の器具の傾向は、測定に使用する検体量のさらなる微量化に向かっている。しかしながら、測定に必要な検体の量はサブマイクロリットルレベルを達成したものの、一般的には、採血部位から体液を搾り出し、この検体をテストストリップに移すことは依然として必要である。ランセットによって作られた刺通部から血液を絞り出すための器具と技術は、先行技術、例えば引用をもって本願に援用される「特許文献2」、「特許文献3」および「特許文献4」において開示されている。
【0005】
血液検体中の血糖濃度を測定するための電流滴定法およびその他の技術を用いたテストストリップ式検出要素は、先行技術において知られている。引用をもって本願に援用される「特許文献5」、「特許文献6」および「特許文献7」の各々は、電気化学的血糖測定のためのテストストリップの構成の例を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,558,402B1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,793,633B2号明細書
【特許文献3】米国特許第6,071,251号明細書
【特許文献4】米国特許第6,752,817B2号明細書
【特許文献5】米国特許第6,258,229B1号明細書
【特許文献6】米国特許第6,143,164号明細書
【特許文献7】米国特許第5,437,999号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0064068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一体型のランセット/センサは、引用をもって本願に援用される「特許文献8」において開示されている。しかしながら、使用者による複雑な操作を必要とせずに、被験者の採血部位から血液検体を採取し、その部位から血液を絞り出し、検体をテストストリップ上の測定点に移すための、より便利な装置を提供することが好ましく、また現在の最新技術をさらに進歩させることになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ランセットと一体化させ、1つの器具で検体採取と試験を容易に行うことのできるテストストリップが提供される。器具の構成要素である本発明によるテストストリップは、試験に十分な検体量を検出して、屈曲状態で血液検体に関して相対的に移動して、血液検体をテストストリップ上の測定地点に輸送するのを円滑にするようになされている。
【0009】
具体的には、本発明によるセンサは、その上に配置され、血液検体量検出領域を画定する導電コンタクトを有するテストストリップを備える。このテストストリップはさらに血液輸送路を有し、この輸送路は、一端に血液検体量検出領域と流体連通する入口を有し、もう一端に測定地点を有する。テストストリップは、屈曲状態で、血液検体量検出領域が血液検体採取部位に対向して位置付けられる第一の位置と、血液輸送路の入口が血液検体採取部位に対向して位置付けられる第二の位置との間で移動可能である。血液検体量検出領域を画定するコンタクトを血液検体がつなぐことによって、コンタクト間に電気導通が起こり、血液検体量が検出され、検出されたこの血液検体の量は十分に大きいため、血液輸送路の入口が血液検体採取部位へと移動されると、血液検体が血液輸送路を通って測定地点と接触する。
【0010】
センサを使用する方法では、屈曲部分を有するテストストリップを被験者の体の血液検体採取部位の上に位置付け、テストストリップの屈曲部分が血液検体採取部位に対向するようにする必要がある。ランセットは、テストストリップを貫通して、被験者の体の検体採取部位の下の皮下腔内に入り、血液検体が採取される。血液は、テストストリップ上の導電コンタクトによって画定される血液検体量検出領域の中に溜まり、最小限の血液検体量が検出されると、導電コンタクトが血液検体と接触して信号を生成するようになっている。テストストリップが移動するとき、血液検体は血液輸送路を通って血糖測定地点に移動し、その間、血液輸送路は屈曲した状態に保たれ、測定地点で血液検体中の血糖が測定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による連続式テストストリップを描いた図である。
【
図2A】測定値を得るためのテストストリップの使用中の異なる位置にある、屈曲状態のテストストリップを描いた図である。
【
図2B】測定値を得るためのテストストリップの使用中の異なる位置にある、屈曲状態のテストストリップを描いた図である。
【
図2C】測定値を得るためのテストストリップの使用中の異なる位置にある、屈曲状態のテストストリップを描いた図である。
【
図2D】測定値を得るためのテストストリップの使用中の異なる位置にある、屈曲状態のテストストリップを描いた図である。
【
図3】本発明による個別テストストリップを描いた図である。
【
図4】ランセットと連続式テストストリップがハウジング内に格納された別の実施形態を描いた図である。
【
図5】複数の個別テストストリップを保持するカートリッジを描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、テストストリップ10は一般に、血液検体量検出領域12を有する。図の実施形態において、ランセット(
図1には示されていない)によって刺通穴14が穿刺されると、血液検体が血液量検出領域12に導入されるかもしれない。
【0013】
血液検体検出領域12はコンタクト16によって画定され、血液検体がコンタクトを架橋すると、コンタクト間には、測定値を得るのに十分な量の血液検体が得られたことを示すのに十分な電流が流れる。検体検出領域12に関するコンタクト16の寸法と位置は、所望の最小限の量の血液検体だけでコンタクト間に電流(量検出電流)が流れるようなものとする。コンタクト16は、血液検体量がない場合には相互に電気的に絶縁され、コンタクトが短絡しないように設置される。さらに、器具のコンタクト(図示せず)は、量検出電流から得られる信号を、処理のために受け取るようになされている。実施形態において、測定値を得るのに十分な血液検体は、約0.2μLから約3.0μL、好ましくは約0.2μLから約1μLの範囲、より好ましくは約0.2μLから約0.5μLの範囲にある。
【0014】
血液輸送路18は、一端に血液検体量検出領域12と流体連通する入口を有する。血液輸送路18によって、血液検体は輸送路の入口から測定地点20まで毛細管運動で移動することができる。血液検体検出領域12、血液輸送路18および測定地点18は全て、テストストリップの機能領域100の上に配置される。
【0015】
実施形態において、機能領域100は、ニュートラル(neutral)または非機能領域200によって分離されてもよく、これによって連続する機能領域を1つの連続するストリップの上に設置することができる。同様に、機能領域同士の間または機能領域と非機能領域との間にシール材24,42を配置して、テストストリップの使用済み部分を隔離し、あるいは未使用の機能領域をハウジング(
図1には示されていない)の中で乾燥状態に保つようにしてもよい。これらの隔離手段(および当業者の間で公知の、または今後開発される、これに相当するもの)は、連続式テストストリップをハウジングと併用する場合に有益である。
【0016】
テストストリップは移動可能で、血液検体を血液検体量検出領域12から血液輸送路18に移動させ、その後、毛細管作用によって測定地点20に移動させることができる。
図1において、ストリップの移動方向を30で示す。好ましい実施形態において、血液検体検出領域12と血液輸送路18との合計の容量は、約0.250μLから約0.5μLの範囲にある。輸送路は、測定値を得るのに必要な血液検体量が、検体が毛細管運動によって測定地点に到達できるだけの量となるような大きさとするか、またはそのように調整してもよい。
【0017】
図2Aは、採取部位40の血液検体32の上方に位置付けられた屈曲状態のテストストリップ10を描いたものである。屈曲の屈折部(inflection of the bend)36は採取部位と対向して位置付けられる。「屈曲状態」とは、テストストリップが検体と接触するときに、テストストリップの形状が直線でないことを意味する。
【0018】
図2Bは、採取部位40に関してテストストリップが位置送りされた、つまり移動された後の、
図2Aに示される位置の次の位置にあるテストストリップ10を描いたものである。血液検体32は、テストストリップ上の導電コンタクト16により画定される血液検体量検出領域12の中に溜まっているように示され、血液検体はコンタクトと接触している。コンタクト16の間に流れる電流によって信号が生成され、それによってテストストリップは次の位置へと位置送りされる。テストストリップが血液検体と接触する際にテストストリップを屈曲状態に保つことで、より長時間にわたって血液小滴の完全性が維持されると考えられ、血液検体の小滴の表面張力により、血液検体が、表面張力がない場合より少量で血液輸送路18に向かって移動しやすくなる。実際に、小滴の表面張力とテストストリップの移動とが複合的に、血液検体を血液検体検出領域12から血液輸送路18の入口へと向かう方向に引っ張る。
【0019】
図2Cは、採取部位40に関して、テストストリップが血液量検出ステップに応答して位置送された後の、
図2Bに示される位置の次の位置にあるテストストリップ10を描いたものである。テストストリップの屈折部36は、採取部位の上方に位置付けられている輸送路18の入口の位置にある。
【0020】
図2Dは、使用中のテストストリップのさらに別の位置の、測定地点に近いテストストリップの屈折部36を示している。血液検体は、毛細管運動によって血液輸送路を通って測定地点の試薬ウェル44へと移動する。
【0021】
血液輸送路18の中の毛細管運動による血液検体32の移動を促進にするために、テストストリップ10は、適当な材料と大きさで構成するべきである。この目的にとって好都合な点として、
図3に示されるテストストリップ(この場合、個別テストストリップである)は、柔軟なプラスチック基板層62と、その上に担持される電極層64を有し、例えば、測定地点の試薬ウェル44の中に作用極、基準極および/または対極が設けられる。必要に応じて、血液量検出領域を画定するコンタクト16も同様に、導電性電極層の中に画定されてもよい。これらの電極は、テストストリップの外部要素と電気的に接触して、量検出信号に応答してテストストリップを位置送りすることができ、また、測定値を取得、表示または必要に応じて記録できなければならない。流路形成層66は、血液輸送路を画定する。表面12は、疎水性プラスチック材料であることが有利である。
【0022】
図2B,2C,2Dに示されるように、試薬ウェル44は、テストストリップ上の電極の上方に配置される。血液検体と接触するこれらの電極の間に電流を流すことによって血糖値を電気化学的に測定するために、作用極、基準極および対極の多くの構成が知られている。これ以外の測定方法も知られており、例えば光学的方法では、検体が基板の色変化を誘発し、血中糖含有量に関する数値を取得する適当な器具により評価される。本明細書に記載されるテストストリップの構造は、血液検体の採取と、測定地点20までの血液検体の輸送と、に関するものであり、テストストリップから測定値を得る方法には関係がない。
【0023】
しかしながら、説明のために、限定するのではなく、測定地点20の領域44に2つの比較的不活性の電極を形成した、血糖測定用の適当な電気化学的セルを製作してもよい。十分な感度を有するテストストリップ式器具では、電極の作用領域を画定するウェルの面積は約0.19mm
2から約1.8mm
2であってもよい。少なくとも作用極の上に、糖類応答性試薬が堆積され、これには一般に、グルコース酸化酵素、レドックス媒体および、試薬が有効に電極上に塗布されるようにするための成分、例えば表面活性剤やバインダ等が含まれる。各種の化学試薬が当業界で知られており、ここでは割愛する。
【0024】
少なくとも作用極と対極が検体と接触していると、作用極で、検体中の測定物質である血糖が関わる反応が発生する。作用極での反応に関する可変値と、対極または基準極の作用極に関する相対的電位と、を測定してもよく、その結果として得られた信号を処理し、糖濃度を求めてもよい。このような数値を求め、得られた数値を環境要因に関して補正するための各種のアルゴリズムが知られている。例えば、電流が測定可変値であること、その信号の処理方法または装置で使用される測定方法は重要ではなく、当業界で知られている、あるいは今後開発されるどのような方法でも使用できる。
【0025】
本発明の重要な態様は、テストストリップが血液検体と接触するときに屈曲状態にあり、使用中に屈曲の屈折部36がテストストリップに沿って移動し、その結果、血液検体がそれと一緒に移動するという点である。これを実現するために、いくつかの構成が考えられる。
【0026】
図4は、テストストリップが(
図1に示されるように)連続し、複数の機能領域が保管ローラ56に巻かれ、ハウジング60の中に収容される構成を示している。曲げローラ58は、屈曲状態のテストストリップを血液検体採取部位に対向するように支持する屈曲支持部となり、テストストリップの使用済み部分は巻取りローラ54によって巻き取られる。ランセット72は、ランセットプランジャシステム74に連結されている。これに限定されないが、本発明に関連する使用に適したプランジャとランセットの設計は、前述の(特許文献1)に開示されている。ランセットはハウジング60の中に配置され、適切に引金が引かれると、ランセットは血液量検出領域12の中または付近の刺通穴14を通って、被験者の皮膚の下の皮下腔の中へと押し込まれるようになっている。
図1に示される具体的な実施形態の場合、グルコースセンサ要素はハウジングの中の一方のシール材42の背後で乾燥した状態に保たれ、その一方で、使用中のセンサは第二のシール材24の背後に保持される。シール材は、エラストマ材料で構成し、それが位置付けられたハウジングの開口部にぴったりと嵌り、テストストリップが1つの位置から次の位置に位置送りされたときに、シール材が開口部から引きずられることが有利である。適当な動力要素80および関連する測定器具(図示せず)もハウジング60の中に設置してよい。
【0027】
ローラ54は、テストストリップ上の機能領域100を前進させるための手段として機能してもよい。
図4に示されるように、テストストリップを担持するローラ54は、ネゲータスプリング(negator spring)88を用いて取り付けられ、連続式テストストリップが自由に動かないようにされている。スプロケット駆動部84がテストストリップと係合し、歯車82およびエスケイプメント機構86とともに機能して、血液検体量が検出されたという信号に反応して、あるいは測定完了時に生成される信号に反応して器具が作動されると、テストストリップを所定の量だけ位置送りする。
【0028】
駆動機構は好ましくは、血液量検出ステップに関する信号を受信する装置および、血糖測定値を測定、表示および/または記録する装置と動作的に接続され、採取と感知の全ての面が1つにまとめられる。この目的のために、適当なマイクロプロセッサを使用してもよい。
【0029】
ランセットとテストストリップが、前述のように、1つの器具またはハウジングの中に組み込まれている場合、ランセットが例えば刺通穴14のような指定位置においてテストストリップを貫通でき、血液が血液検体検出領域に溜まるようにテストストリップをランセットに関して位置付けるべきである。血液検体採取部位から体液をテストストリップの上に絞り出すための手段を備えていることが好ましいかもしれない。
【0030】
テストストリップの屈曲部分を屈曲状態に支持するために、他の屈曲面を使ってもよい。
図5は、複数のテストストリップを収容するカートリッジシステムを示している。カートリッジは個々のテストストリップを、案内部材を通過させて送り出し、この案内部材は、テストストリップが屈曲状態で被験者の血液検体採取部位40に対面されるようにする機能を果たす。したがって、テストストリップは、屈曲状態で移動されるためにランセットと一緒にハウジング内に格納される必要はない。必要なのは、テストストリップ上で最小限の量の血液検体が採取されたときに、コンタクト16からの電流を検出する手段である。したがって、コンタクト16は、使用中のいずれかの時点でテストストリップの外部要素と電気導通していなければならない。テストストリップの設計における通常の技術によれば、テストストリップが屈折状態で血液検体採取領域に対面させられるのであれば、複数のテストストリップまたは機能領域を連続使用のためにディスクまたはドラム上に円形に構成してもよい。
【0031】
例としての実施形態に関する上記の説明は、付属の特許請求範囲により定義される本発明を限定するとはみなされないものとする。