(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラ・モジュール・ハウジングがさらに第1端部と第2端部とを含んでおり、該第1端部と該第2端部との間に前記コントローラ・モジュール・ハウジングの長さ部分が延びており、前記センサ・ヘッドは前記コントローラ・モジュール・ハウジングの第1端部に近接して位置決めされており、該コントローラ・モジュール・ハウジングの第2端部は前記ユーザの手によって保持されるようになっている、請求項1に記載の装置。
前記取り付け部材が支持部材を含み、前記試料カップ及び前記支持部材は支持面上の定置位置で当該手持ち式光学測定装置に実質的に安定なベースを提供する、請求項2に記載の装置。
前記サンプリング部材は、前記試料カップが前記センサ・ヘッドの周りに固定されているとき、該センサ・ヘッドの周りに剛性の保護カバーを提供する、請求項1に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記の詳細な説明は本質的に模範例を示すものであり、本発明の範囲、適用性、又は形態を限定することは意図されていない。むしろ、下記説明は、本発明の模範的な実施態様を実施するためのいくつかの実際的な例を提供する。構造、材料、寸法、及び製造プロセスの例が、選択された要素のために提供され、他の全ての要素は本発明の分野における当業者に公知のものを採用する。記載の例の多くが種々様々な好適な代替物を有することは当業者に明らかである。
【0017】
本発明の実施態様では概して、浸漬可能なセンサ・ヘッドを有する手持ち式光学測定装置と、このような装置の使用方法とが提供される。手持ち式光学測定装置の構成部分が手持ち式構造内に自己内蔵されることは有利であり、このことは種々様々な用途のための好都合なツールを提供する。本発明のいくつかの実施態様の場合、手持ち式蛍光光度計の形態を成す光学測定装置が提供される。本発明のいくつかの実施態様が手持ち式蛍光光度計に関連してここに記載されているが、言うまでもなく、本発明の態様は種々の光学測定装置(例えば濁度計、吸光度計など)において具体化されることができ、本発明はいかなる特定の装置形態にも限定されることはない。
【0018】
図1は、本発明のいくつかの実施態様に基づく手持ち式蛍光光度計100の形態を成す光学測定装置の斜視図である。蛍光光度計100は一般に、手持ち式コントローラ・モジュール104に結合された浸漬可能なセンサ・ヘッド102を含んでいる。コントローラ・モジュール104はまた、センサの読み値及び計算値をユーザに表示するための電子ディスプレイ110と、キーバッド112の形態を成す入力インターフェイスとを含んでいる。キーパッド112は、ユーザが蛍光光度計100と対話するのを可能にする(例えば変数の入力、パラメータの設計、メニューアイテムへのアクセスなど)。
【0019】
いくつかの実施態様によれば、コントローラ・モジュール104は一般に細長いハウジング106を有している。このハウジングは、蛍光光度計100を手によって容易に把持又は保持するためにハンドル又は棒状部材と同様の好都合な形態を提供している。センサ・ヘッド102は好ましくは水密ハウジングを含んでいる。水密ハウジングは、関心事の液体試料内に部分的又は全体的に浸漬されたときに、センサ・ヘッドが測定及びその他の機能を果たすのを可能にする。従って、いくつかの事例では、センサ・ヘッド102は、浸漬可能なディップ・プローブと同様のいくつかの要素及び/又は特徴を有している。例えば、本発明のいくつかの実施態様の場合、浸漬可能なセンサ・ヘッド102は米国特許第7,550,746号明細書及び米国特許出願公開第2009/0212236号明細書(それぞれの明細書の内容全体は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されたものと同様の1つ以上の要素及び/又は構成部分を有している。浸漬可能なセンサ・ヘッド102の形態は、関心事の試料を含有する光学セルの外部にセンサ及び他の構成部分を位置決めする蛍光光度計及び他の光学機器といくつかの点で対比されることもできる。
【0020】
いくつかの事例において、センサ・ヘッド102は、コントローラ・ハウジング106の、ディスプレイ110とは反対側の底面108に結合(例えば付着又は一体化)され、コントローラ・ハウジングの遠位端120に隣接して位置決めされている。典型的には、ユーザはコントローラ・ハウジングの近位端122の近くでコントローラ・ハウジング106を把持することにより、試料からの測定を行い、ディスプレイ110を読み、且つ/又はキーパッド112を操作することができる。例えば、センサ・ヘッド102を試料中に部分的又は完全に浸した状態で、(現場のリザーバ/容器内、実験室内のビーカー内などの)液体試料の表面の上方にコントローラ・モジュール104を保持することによって、ユーザはセンサ・ヘッド102を試料中に浸すことができる。いくつかの実施態様において、ユーザは、試料で満たされた試料カップを浸漬可能なセンサ・ヘッド102の周りに繋止しつつ、コントローラ・モジュール104の第2の端部を把持してもよい。もちろん、コントローラ・モジュール及びセンサ・ヘッドの他の形態が可能であり、本発明は特定の物理的形態に限定されない。
【0021】
一般に、手持ち式蛍光光度計100は最小限でも、関心事の物質(例えば化学溶液、例えば抗菌生成物又は清浄化生成物)を含む試料からの蛍光発光を測定し、試料中の物質の濃度を計算し、且つ割り出された濃度をユーザに表示する。ユーザは次いで任意には、割り出された濃度に基づいて所期の処置を施すことができ、例えば、物質をより多く産業用システムに添加することによって物質濃度を高めることができる。このように、蛍光光度計は手動フィードバック・ループの一部であり得る。濃度が閾値濃度よりも低い又は高いことを蛍光光度計が割り出す場合、ユーザは、その差異を見て、生成物のディスペンシング量をより多く又はより少なくすることによって、生成物のディスペンシング量を適宜に調節することができる。加えて、蛍光光度計は生成物切れアラームの一部として機能することもできる。生成物が切れると、(生成物濃度を反映する)蛍光が所定の閾値レベル未満に低下する。この時点で、センサはディスペンサが生成物切れであることをユーザに警告することができる。信号は視覚的又は聴覚的な信号又は振動信号であり得る。従って、このようなフィードバックは、所期効果(清潔、微生物の低減、潤滑など)を達成するのに十分なクリーナー、抗菌剤、又はその他の組成物が存在することを保証する。
【0022】
蛍光光度計の基本作業はよく知られているため、様々な詳細は便宜上ここでは省かれる。一般に、蛍光光度計100は物質の蛍光特性に基づいて、液体試料中の特定物質の濃度を計算する。本明細書中により詳細に説明するように、蛍光光度計100は光源を含む。光源は、選択された波長範囲内の光を発する。センサ・ヘッド102が液体試料中に浸漬されると、光は関心事の物質の粒子に衝突する。光は、物質の特定分子における電子を励起して、電子が別の波長範囲内のより低いエネルギーの光を発する(すなわち蛍光を発する)ようにする。センサ・ヘッド102は光学センサ、例えば光検出器を含む。この光学センサは、蛍光発光を検出し、且つ蛍光発光強度を示す相応の電気信号を生成する。蛍光光度計100は、光学センサとカップリングされたコントローラを含んでいる。コントローラは蛍光発光強度と物質濃度との既知の関係に基づいて物質濃度を計算することができる。
【0023】
この一般的なプロセスの数多くの変更形及び具体的な詳細が、蛍光光度計に関する本発明の実施態様に対して考えられる。例えば関心事の物質は、蛍光特性を有する所期の化学溶液であってよい。その一例としては、殺生物剤、例えば殺虫生成物及び抗菌生成物、防食生成物、スケール防止生成物、ファウリング防止生成物、殺菌生成物、及び他の清浄化生成物、洗剤、及び添加剤などが挙げられる。便宜上、これらの、そしてその他のこのような物質は代わりに単に「生成物」、「化学溶液」、及び/又は「処理溶液」と呼ばれる。さらに、種々の産業用システム内に使用される冷却水の試料(例えば水試料)における水処理溶液の濃度を割り出すことに関する例が本明細書中に提供されてはいるものの、手持ち式蛍光光度計100が、水及び他の液体を処理するための数多くの環境内で使用される生成物の濃度を割り出す上で有用であることは言うまでもない。ほんの数例を挙げるならば、手持ち式蛍光光度計100は、洗濯、自動食器洗浄、手動食器洗浄、サード・シンク(3
rd sink)用途、パワーシンク(power sink)用途、自動車の手入れ、現場のクリーニング作業、健康管理用途、硬質面用途などにおける1つ以上の物質の濃度を割り出すのに有用である。
【0024】
センサ・ヘッド102から放射する光の存在下で、多くの生成物が蛍光を発する。なぜならば、生成物を形成する化合物の多くは蛍光特性を有しているからである。例えば、ベンゼン成分を有する化合物又は分子は、1つ以上の置換電子供与基、例えば−OH、−NH
2、及び−OCH
3と、蛍光特性を呈する多環式化合物とを取り込むことができる。上記用途で使用される多くの化合物は、これらと同様の化学構造、例えば界面活性剤、潤滑剤、抗菌剤、溶剤、ヒドロトロープ、再付着防止剤、色素、腐食防止剤、及び漂白添加剤を含む。これらの化合物は、食器洗浄用洗剤、濯ぎ剤、洗濯用洗剤、現場クリーニング用クリーナー、抗菌剤、床コーティング剤、食肉、家禽及び魚介の屠体処理剤、農薬、自動車手入れ用組成物、水管理組成物、プール及び温泉のための組成物、無菌パッケージング組成物、及び瓶洗浄組成物などのような生成物中に組み入れられることができる。これらの化合物及び対応する用途のうちのいくつかの例を米国特許第7,550,746号明細書に見いだすことができる。この内容全体は参照により本明細書中に組み込まれる。
【0025】
これに加えて、又はこれとは別に、蛍光トレーサ(ここでは「蛍光マーカー」とも呼ばれる)を、自然に蛍光を発する化合物を既に含む又は含まない生成物中に組み入れることができる。トレーサのいくつかの非限定的な例は、ナフタレンジスルホネート(NDSA)、2−ナフタレンスルホン酸、アシッド・イエロー7,1,3,6,8−ピレンテトラスルホン酸ナトリウム塩、及びフルオレセインを含む。いくつかの実施態様の場合、蛍光トレーサは生成物に周知の比率で添加され、ひいては一旦トレーサの濃度が割り出されると、生成物濃度を評価することが可能になる。例えば、いくつかの事例において、蛍光トレーサの濃度は、現在の蛍光信号と、較正手順中に測定された既知のトレーサ濃度からの蛍光信号とを比較することにより割り出すことができる。次いで、蛍光トレーサの既知の公称比率と、測定された蛍光濃度とから化学生成物の濃度を評価することができる。いくつかの事例において、液体試料中の現在の生成物濃度C
cを以下の式によって割り出すことができる。
【0027】
ここで、C
m=K
m×(S
x−Z
0)である。
【0028】
ここで、C
mは現在の蛍光マーカー濃度であり、K
mは勾配補正係数であり、S
xは現在の蛍光測定値であり、Z
0はゼロシフトであり、C
0は生成物の公称濃度であり、C
fは蛍光トレーサの公称濃度である。
【0029】
図2を参照すると、本発明のいくつかの実施態様に基づく励起スペクトル強度202及び発光スペクトル強度204のプロット200が示されている。この例では、紫外線(UV)発光ダイオード(LED)の形態を成す光源を有する蛍光光度計は、約280nm〜約310nmの励起光を、蛍光トレーサが添加された生成物を有する冷却塔水の試料中に発する。添加されたNDSAはこのUV線を吸収して約310nm〜約400nmの蛍光を生成する。蛍光光度計の発光検出器は、この発光放射線を検出し、蛍光光度計はNDSAトレーサの濃度を割り出し、そして最終的には冷却塔水試料中の生成物濃度を割り出す。
【0030】
図3は、
図1に示された手持ち式蛍光光度計と同様の手持ち式蛍光光度計300の分解図である。蛍光光度計300は一般に、コントローラ・モジュール部分303に結合された浸漬可能なセンサ・ヘッド301を含んでいる。コントローラ・モジュール部分303は、ハウジングと、ハウジング内部のいくつかの構成部分とを含んでいる。ハウジングは上側部分302と下側部分304とから形成されていて、コントローラ・ハウジングの下側部分304は下側部分の外側の底面305を画定している。センサ・ヘッド301はセンサ・ヘッド・ハウジング316を含んでいる。センサ・ヘッド・ハウジング316は、コントローラ・ハウジングの底面305に固定的に取り付けられるように形成されている。いくつかの実施態様において、センサ・ヘッド・ハウジング316は、コントローラ・ハウジングの1つ以上の部分と一体的に形成されていてよい。
【0031】
いくつかの実施態様において、コントローラ・モジュール303は一般に、センサ・ヘッド301から受信された信号に基づいて生成物濃度を割り出すのに必要な構成部分を含む。
図3に示されているように、コントローラ・モジュール303は制御ボード306を含んでいる。制御ボードは、ディスプレイボードケーブル312を介してディスプレイボード308とカップリングしている。ディスプレイボード308は電子ディスプレイ309(例えばLCDスクリーン)を含んでいる。電子ディスプレイ309は情報をユーザに表示する。コントローラ・モジュール303はまた、メンブレン・キーパッド・オーバーレイ(membrane keypad overlay)310の形態を成す入力インターフェイスを含んでいる。メンブレン・キーパッド・オーバーレイは、ユーザがコントローラ・モジュール303によって種々様々な情報を入力するのを可能にする。コントローラ・モジュール303は、ポータブル電源、例えば蛍光光度計300内の回路に給電するためのバッテリ314も含んでいる。
【0032】
いくつかの実施態様において、浸漬可能なセンサ・ヘッド301は、共通の譲受人を持つ米国特許第7,550,746号明細書及び米国特許出願公開第2009/0212236号明細書(それぞれの明細書の内容全体は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されたものと同様の1つ以上の要素及び/又は構成部分を有している。
図3に戻ると、いくつかの実施態様の場合、センサ・ヘッド301はハウジング316を含んでいる。このハウジングは光源ボード320と発光検出器ボード322とを収納している。第1のOリング318が、センサ・ヘッド・ハウジング316とコントローラ・ハウジングの下側部分304との間にシールを形成する。光源ボード320及び発光検出器ボード322上の構成部分は黄銅管326によって遮蔽されている。黄銅管326はそれぞれのボードを実質的に取り囲んでいる。それぞれの管326は管の遠位端に切欠きを含んでおり、センサ・ヘッド・ハウジング316は、ハウジングを通って延びる窓330を含んでいる。これらの切欠き及び窓330は、光源ボード320上に位置決めされた光源(例えばLED)と、発光検出器ボード322上に位置決めされた発光検出器(例えば光検出器)とがセンサ・ヘッド・ハウジング316の外側の分析領域と連通するのを可能にする。電気ケーブル324が光源ボード320及び発光検出器ボード322を制御ボード306にカップリングする。制御ボード306は、ボード306上のコントローラが光源を制御し且つ発光検出器から戻った信号を受信するのを可能にする。いくつかの実施態様の場合、センサ・ヘッド301は1つ以上の温度センサも含んでいる。これらの温度センサは水試料の温度を測定することができる。例えば光源ボード320及び/又は発光検出器ボード322は、センサ・ヘッド・ハウジング316内に延びる1つ以上の温度センサを含んでいてもよい。付加的なOリング334とともに、センサ・ハウジング316の遠位面内に位置決めされたカバー332が、温度センサの周りにシールを形成する。
【0033】
図4は、本発明のいくつかの実施態様に基づく手持ち式蛍光光度計のための制御ボード400の概略図である。制御ボード400は、プリント回路板401上に位置決め(例えばはんだ付け)されて一緒にカップリングされた(接続は図示されていない)数多くの別個の構成部分を含むことができる。
図4は、1つの模範的な制御ボード400の基礎構成部分の単純化された概略図を示しており、当業者には明らかなように、構成部分間の種々の接続及び/又は構成部分に関する細部は変化しうる。制御ボード400はコントローラ402を含んでいる。コントローラ402は、発光検出器からの強度信号に基づいて水試料中の生成物濃度を計算する。コントローラ402は種々様々な他の機能を提供し得る。これらの機能の一例としては、較正ルーティンを実施すること、入力インターフェイスで入力された指示を受け入れて実行すること、及び/又は蛍光光度計のディスプレイ上の表示のためのデータをフォーマットすることが挙げられる。コントローラ402は、任意の好適な形態、例えばソフトウェア駆動型マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、又は固定ハードウェア・デザイン、例えば特定用途向け集積回路などの形態で具体化されることができる。加えて、コントローラ402は内蔵メモリを有していてよく、或いは、制御ボードは、コントローラ402による実行のための指示を保存するメモリ(図示せず)を有していてよい。
【0034】
制御ボードは、制御ボード400を電源、例えば
図3に示されたバッテリ314に接続するためのコネクタ410を備えた電力ケーブルも含んでいる。制御ボード400はまた、コントローラ給電部412と、アナログ給電部414と、センサ・ヘッド内の光源に給電するための光源給電部416とを含む。いくつかの実施態様の場合、制御ボード400は、リアルタイム・クロック・バッテリ418と、ロックイン増幅器420と、基準フォトダイオード増幅器422と、ディスプレイボード424と光源ボード404と発光検出器ボード406とのためのコネクタとを含んでいる。いくつかの場合、制御ボード400は、音響器426と、USB又はその他のタイプのデータ・コネクタ428と、他のコンピューティング・デバイスと交信するための無線手段430と、任意のアナログ出力部432及び論理出力部434とを有していてもよい。
【0035】
図5は、本発明のいくつかの実施態様に基づく光源ボード500の斜視図である。光源ボード500(
図3には符号320としても示されている)は一般にプリント回路板502を含み、プリント回路板502は、前置増幅器508と、光源ボード500を制御ボードにカップリングするためのコネクタ510とともに、光源504と、基準フォトダイオード506とを有するプリント回路板502を含んでいる。励起フィルタ512が、光源504からの光を、光が浸漬可能なセンサ・ヘッドから出る前にフィルタリングすべく、フィルタ・ホルダ514によって光源504の上に位置決めされる。光源504は、考えられ得る種々様々な要素を含むことができる。例えば光源504はガス放電ランプ、水銀ランプ、重水素ランプ、金属蒸気ランプ、発光ダイオード(LED)、又は複数のLEDであってよい。加えて、光源504は、選択された要素及び所望のスペクトルに応じて、考えられ得る数多くのスペクトルの励起放射線を発することができる。いくつかの実施態様では、光源は波長約280nm〜約310nmの光を発することができる紫外LEDである。
【0036】
図6は、本発明のいくつかの実施態様に基づく発光検出器ボード600を示す斜視図である。検出器ボード600は一般に、プリント回路板602上に位置決めされた発光検出器604を含む数多くの構成部分を含んでいる。本発明のいくつかの実施態様の場合、発光検出器604はUV感光性フォトダイオードを含む。例えば、検出器604は、センサ・ヘッドの外側の分析領域から検出された約310nm〜約400nmの光に基づいて強度信号を生成することができる。検出器ボード600はまた、前置増幅器606と温度センサ608とを含んでいる。発光検出器604の周りに位置決めされた発光フィルタ・ホルダ610が、放射エネルギーをスクリーニングし、所期波長を通過させて検出器604に送るための1つ以上のフィルタを支持している。
図6に示された実施態様の場合、フィルタは干渉フィルタ612とUG−11ガラス・フィルタ614とを含む。いくつかの実施態様の場合、付加的なポリエステル膜フィルタ616も発光検出器604の前に位置決めされている。いくつかの事例において、ポリエステル膜フィルタ616の厚さは約0.5±0.2mmである。いくつかの事例では、光学設計が光学効率の増大をもたらすことができる(例えばボール・レンズ、高発散ビームなどの使用)が、高い効率及びコリメート・ビームに対する高い拒絶値を有する干渉フィルタの性能が犠牲になることもある。このようなポリエステル膜を組み入れると、いくつかの事例では、散乱光レベルを最小化することにより、100ネフェロメトリック濁度単位(NTU)という高い濁度の試料中のNDSA蛍光の測定を可能にすることができる。
【0037】
図7A〜7Cは、前述のような手持ち式蛍光光度計のコントローラ・モジュールに取り付けられることができる、本発明のいくつかの実施態様に基づく別々の浸漬可能なセンサ・ヘッド700を示す種々の図面を示す。
図7Aはセンサ・ヘッド700の頂面斜視図である。
図7Bはセンサ・ヘッド700の底部斜視図である。
図7Cは
図7Aのセンサ・ヘッド700の斜視断面図である。センサ・ヘッド700は、プラスチックから形成されることができ、且つ所望の形状及び特徴を得るように成形且つ/又はミリングされることができる。
【0038】
一般に、センサ・ヘッド700は、第1の鉛直方向のキャビティ又はチャンバ712を含むハウジング702を含んでいる。第1の鉛直方向のキャビティ又はチャンバ712は、光源回路ボード(例えば
図3の符号320又は
図5の符号500の光源ボード)を受容するように形成されている。いくつかの事例において、光源チャンバ712は円筒形態を有するように形成されている。円筒形態は、
図3に示された円筒形黄銅シールド326のための滑り嵌めを提供することができる。いくつかの実施態様の場合、光源チャンバ712は、チャンバ712の1つの側面に沿って平面状の壁726を含む部分円筒形態を有している。
図7A〜7Cに戻ると、センサ・ヘッド・ハウジング702は、光源チャンバ712と同様に、発光検出器回路ボード(例えば
図3の符号322又は
図6の符号600)の発光検出器ボードを受容するための第2の鉛直方向のキャビティ又はチャンバ714を含んでいる。いくつかの事例において、光源チャンバ712及び発光検出器チャンバ714は、センサ・ヘッド700の長手方向軸線708を中心として対称に形成して位置決めされることができるが、このことは全ての実施態様において必要とされるわけではない。
【0039】
センサ・ヘッド・ハウジング702はさらに、ハウジング702の外面内に所定の角度を成すアングル状切欠き752を含んでいる。いくつかの実施態様の場合、切欠き752の角度はほぼ90度であるが、言うまでもなく本発明は切欠きのための特定の角度に限定されることはない。切欠き752は、センサ・ヘッド700の長手方向軸線で第2壁756と交差する第1壁754によって仕切られている。第1壁754は光源窓720を画定する。光源窓720は、光源によって発せられた励起エネルギーのための、第1壁754を貫通する通路を提供する。第2壁756も同様に発光検出器窓722を画定し、この発光検出器窓722は、蛍光発光がセンサ・ヘッド・ハウジング702内部に配置された発光検出器に達するように、第2壁756を貫通する通路を提供する。いくつかの実施態様では、光源窓720及び/又は発光検出器窓722はセンサ・ヘッド・ハウジング702を通って延びるチャネルを含んでいる。いくつかの実施態様の場合、窓720,722は、レンズ、プリズム、又は光源放射線及び/若しくは蛍光発光に対して光学的に透明な他の材料を含んでいる。例えばいくつかの実施態様の場合、それぞれのチャネル内部にはガラス又はサファイアのボール・レンズが位置決めされている。当業者に知られた他の好適な材料を使用してもよい。ボール・レンズは、光源/検出器窓を提供し、さらに、光源/検出器と、センサ・ヘッド700のハウジング702の外側の分析領域750との間で光を導くための集束手段も提供する。
【0040】
図示のように、光源窓720及び発光検出器窓722を含むアングル状切欠き752は、アングル状切欠き及び窓がコントローラ・モジュールの遠位端に面するように、コントローラ・モジュールに対して配向されている。本明細書中にさらに論じるように、アングル状切欠き及び窓はいくつかの実施態様において、異なる方向に配向されていてよい。例えば、いくつかの実施態様において、アングル状切欠き及び窓は、コントローラ・モジュールの近位端に向いている。
【0041】
いくつかの実施態様の場合、センサ・ヘッド700は近位端704と遠位端706とを含んでいる。これらの間には、長手方向軸線708とセンサ・ヘッド700の長さ部分とが延びている。
図1及び3に示されているように、いくつかの実施態様では、センサ・ヘッド700は、センサ・ヘッド700の近位端704又はその近くで、コントローラ・モジュール・ハウジングの底面に結合されている。いくつかの事例では、センサ・ヘッド700はコントローラ・ハウジングにファスナによって固定的に取り付けられている。ファスナは例えばねじ、ボルト及び/若しくはピン、又は接着剤又は溶接(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施態様において、センサ・ヘッド700は4つのねじで固定されている。これらのねじは、センサ・ヘッド700とコントローラ・モジュールとの間の溝710内に位置決めされたOリングを圧縮する。いくつかの実施態様において、センサ・ヘッド・ハウジング702はコントローラ・モジュールと一体的に形成されて、センサ・ヘッドの近位端704とコントローラ・モジュールの底面とが継ぎ目なしに移行するようになっていてもよい。
【0042】
いくつかの実施態様の場合、センサ・ヘッド700はファスナの一部又は全ても含んでいる。ファスナはセンサ・ヘッド700の周りに試料カップを取り外し可能に固定する。ただ1つの例として、ファスナは、センサ・ヘッド・ハウジング702の周りに位置決めされた1つ以上のピン740と、試料カップ上の対応スロットとを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合、ピン740とスロットとはバヨネット式ファスナを形成する。バヨネット式ファスナは、試料カップをセンサ・ヘッドの周りに固定し、且つ試料カップをセンサ・ヘッド700の周りに好ましい配向に方向付ける(例えば回転)。他のファスナ(例えばねじ山、対向する加圧要素など)を含むこともできる。
【0043】
いくつかの実施態様の場合、センサ・ヘッド700はまた、
図3に示されているような、1つ以上の温度センサ・カバーを挿入するための穴730を含んでいる。
図7A〜7Cに戻ると、穴730は、ねじ山を有しているか、或いは温度センサ・カバーを受容して固定するように他の形で形成されていてよい。(
図7A〜7Cには示されていない)温度センサは、現在の水試料温度を検知し、そして対応信号を生成するように適合されている。対応信号は、例えば許容範囲外の温度に起因するエラーに基づいて濃度計算を補正するために使用されることができる。
【0044】
加えて、センサ・ヘッド700は好ましくは浸漬可能なセンサ・ヘッドである。浸漬可能なセンサ・ヘッドは、蛍光発光を測定するときにこれが水試料表面よりも下方に部分的又は全体的に浸漬されることを意味する。従って、センサ・ヘッド・ハウジング702、すなわちコントローラ・ハウジングへの結合部、及びハウジング702内の窓又はその他の潜在的な空所(void)は、浸漬前に事実上シールされる。例えばいくつかの場合、ハウジング702は、センサ・ヘッドの近位端704に第1のOリング溝710を含み、且つ温度センサ穴730の周りに第2のOリング溝732を含んでいる。試料カップを含むいくつかの実施態様において、センサ・ヘッドの近位端704の近くでセンサ・ヘッド700の周囲に第3のOリング溝742を形成することにより、試料カップとセンサ・ヘッド700との間に実質的に不透過性のシールを提供する。加えて、光源窓720及び発光検出器窓722はOリングなどでシールされてもよい。いくつかの実施態様では、光源窓720及び発光検出器窓722は、窓チャネルとチャネル内部に配置されたボール・レンズとの間の圧力嵌めに基づいてシールされている。
【0045】
図8は、本発明のいくつかの実施態様に基づく、水試料中の物質の濃度を割り出す方法を示すフローチャートである。一般に、蛍光光度計は生成物内の活性分子の蛍光発光を測定する。蛍光発光は水試料中の実際の生成物濃度に対して比例する。コントローラ・モジュールと、コントローラ・モジュールに結合されたセンサ・ヘッドとを有する手持ち式蛍光光度計を提供した(802)後、関心事の生成物を含有する水試料を提供する。センサ・ヘッドを水試料中に浸漬し(804)、水試料はセンサの分析領域を占有する。次に第1UV波長を有する紫外(UV)励起光を、センサ・ヘッド内の光源によって発生させて、これを水試料及び分析領域内へ導く(806)。次いでセンサ・ヘッドが第2UV波長で試料の蛍光発光を検出して測定する(808)。センサ・ヘッドはコントローラを含む(例えば
図4の符号402)。コントローラが、測定された蛍光発光に基づいて試料中の生成物濃度を計算する(810)。第1波長は280〜310nmであってよい。第2UV波長は310nm〜400nmであってよい。センサは第1波長で試料の基準蛍光発光を測定してもよい。センサは、化学物質濃度がゼロであるゼロ溶液の蛍光発光を測定してもよい。この場合、試料中の化学物質濃度は、化学物質を含有する試料の測定された蛍光発光と、ゼロ溶液の測定された蛍光発光との計算された差に基づいて計算されることができる。試料濃度は、較正試料中の既知の生成物濃度に対して割り出された較正定数に基づいて計算されてもよい。
【0046】
一例として、いくつかの場合、2つのUV検出器からの信号に基づいて試料濃度を評価することができる。基準検出器が、光源によって発生せしめられたUC励起の強度を測定するのに対して、蛍光発光検出器が、生成物によって発せられた蛍光発光の強度を測定する。計算は下記の式を使用する。
【数1】
【0047】
ここで、Ccは試料溶液中の生成物X(例えば界面活性剤、抗菌剤など)の実際の現在の濃度である。
【0049】
【数2】
は、試料溶液に対応する発光検出器からの出力信号である。
【0050】
【数3】
は、試料溶液に対応する基準検出器からの出力信号である。
【0051】
【数4】
は、ゼロ溶液(すなわち、生成物濃度がゼロである溶液)に対応する発光検出器からの出力信号である。
【0052】
【数5】
は、ゼロ溶液に対応する基準検出器からの出力信号である。
【数6】
【0053】
ここで、C
CALIBRは、較正溶液中の生成物の濃度である。
【0054】
【数7】
は、較正溶液に対応する発光検出器からの出力信号である。
【0055】
【数8】
は、較正溶液に対応する基準検出器からの出力信号である。
【0056】
図4を参照して上述したように、手持ち式蛍光光度計内部のコントローラ402は、発光検出器からの強度信号に基づいて試料中の生成物濃度を計算することができる。いくつかの実施態様では、コントローラ402は、上記関係を用いて、較正定数、ゼロシフト、及び/又は励起基準信号に基づいて生成物濃度を計算してもよい。コントローラのための動作指示はボード上に又は別個のメモリ内に保存されることができる。この点において、メモリは、プログラム指示を含むコンピュータ可読媒体であってよい。これらのプログラム指示によって、コントローラは、指示に帰する機能のうちのいずれかを提供し、そしてここに記載した方法のうちのいずれかを実施するようになる。コントローラは、発光検出器及び/又は基準検出器から得られた生の蛍光データと、他の関連データとをメモリ内に保存してもよい。コントローラは任意の計算された蛍光値及び/又は濃度データをメモリ内に保存してもよい。
【0057】
上述のように、本発明のいくつかの実施態様において、センサ・ヘッドを水試料中に手で降下させることにより、手持ち式蛍光光度計によって蛍光測定値を求めることができる。例えば、ユーザがコントローラ・モジュールを把持して浸漬可能なセンサ・ヘッドを液体試料中に一時的に浸すことで、センサ・ヘッドは試料中に部分的又は完全に浸漬され、水試料はセンサ・ヘッド窓の近くの分析領域を占めるようになる。同様の方法を用いて、本明細書中に前述した本発明の実施態様と同様に構成された(蛍光光度装置に加えて)1つ以上の光学測定装置によって、水試料の他の光学特性を測定することができる。例えば濁度計及び/又は吸光度計は、濁度及び/又は吸光度を測定するセンサ及び光学素子を組み込んだ浸漬可能なセンサとともに上述のものと同様の手持ち式コントローラ・モジュールを含んでいてよい。
【0058】
ここで
図9〜10に眼を転じると、いくつかの実施態様において、浸漬可能なセンサ・ヘッドの周りに水試料を含有するように試料カップが提供されている。いくつかの実施態様において、測定値を求めるには、約5ml〜約20mlの小さな体積の水があれば十分である。このような手持ち式装置は、このように携帯性が極めて高く、水試料源から取り出された状態で、水流中の1つ以上の特性を測定することができる。例えば、いくつかの実施態様では、手持ち式光学装置は、現場又は実験室環境において蛍光発光を測定するために使用されることができる手持ち式蛍光光度計である。
【0059】
本発明の実施態様はこのように、伝統的なセル・ベースの蛍光光度計(例えば光学的に透明なセル内部に水試料が入れられる)のターゲットとなるものと同様の数多くの用途において有用である。しかしながら、本発明の実施態様は、セル・ベースの装置を凌ぐ数多くの利点を提供する。例えば、セル・ベースの装置は典型的には、セル内部の水の特性を測定するために、セル外部に配置された器具類に頼るのに対して、本明細書中に記載されている手持ち式装置のセンサ・ヘッドは水試料中に浸漬することができる。従って、本明細書中の手持ち式装置は、セル表面の引掻き傷又はファウリング(fouling)に起因する信号劣化のような、光学セルに関連する欠点を回避する。同様に、(例えば、上記蛍光光度計における小さな面積の光源窓及び発光検出器窓の)最小限の清浄化が、光学セルについて通常必要とされる時間がかかる清浄化又は交換と対照を成しうる。加えて、本発明の実施態様では、水試料が浸漬可能なセンサ・ヘッドのすぐ近くにあり、このことがセンサ・ヘッド内部に配置された光学センサと水試料との間の移動距離を劇的に短くすることに部分的に起因して、感度が高められることができる。従って、本発明の実施態様においてもたらされた高められた感度は、極めて低濃度の生成物(例えば数ppm)を測定すること並びに/又は色度及び/若しくは濁度が高い水試料内部の生成物の濃度を測定することに有用である。
【0060】
図9A〜9Dは、本発明のいくつかの実施態様に基づく手持ち式光学測定装置900の種々の図である。光学測定装置900は概して、浸漬可能なセンサ・ヘッド906を組み込んだコントローラ・モジュール902と、測定されるべき水試料を含有するための試料カップ908を有するサンプリング部材904とを含んでいる。いくつかの実施態様では、サンプリング部材904は、コントローラ・モジュール902に有利にカップリングされ、ひいては、水試料を得て含有する一体的且つ好都合な態様を提供しつつ、さらに使用中及び/又は使用していないときには浸漬可能なセンサ・ヘッド906のための保護シェル又は保護カバーを提供する。いくつかの実施態様の場合、試料カップの取り付け性によって、追加的な準備ステップ又はハンドリング・ステップなしに、最小限の遅れですくわれた試料の測定を行うことが可能になる。
【0061】
図9Aは、サンプリング部材904が開位置にある状態の手持ち式光学測定装置900の斜視図である。手持ち式コントローラ・モジュール902は概して、センサ・ヘッド906に結合された底面932を有するハウジング930を含んでいる。ハウジングは好ましくは、ユーザの手によって保持されるように適合されている。例えば、ハウジングは、棒状体(wand)又はハンドルの形態を有する細長いハウジングであってよい。
図9Bを参照すると、いくつかの実施態様の場合、ハウジング930は、ディスプレイ及び/又は入力インターフェイス例えば(
図9Bに示されていない)キーパッド、ボタンなどを含んでよい面980を有している。図示はしていないが、コントローラ・モジュール902は、ハウジング930内部に位置決めされたコントローラを含んでいる。コントローラは、センサ・ヘッド内部に配置された少なくとも1つの光学センサから受信された光学センサ信号に基づいて水試料の光学特性を計算するように適合されている。一例として、光学センサは蛍光発光検出器を含むことができ、コントローラは、水試料中の蛍光レベルを示す光学信号を受信し、且つ、本明細書中で上述した蛍光光度計の実施態様において説明したように水試料中の生成物の対応濃度を計算することができる。いくつかの実施態様では、光学センサは更に又は代わりに濁度センサ及び/又は吸光度センサを含んでいてよい。
【0062】
図9Aに戻ると、いくつかの実施態様の場合、浸漬可能なセンサ・ヘッド906は近位端942と遠位端940とを含んでおり、近位端942と遠位端940との間には、センサ・ヘッド906の長さ部分が延びている。センサ・ヘッド906の近位端942は、コントローラ・ハウジングの底面932に結合されていて、センサ・ヘッドの遠位端940は、ハウジング930の底面932から離れるように延びている。一例としては、いくつかの事例において、コントローラ・モジュール・ハウジング930は遠位端936と近位端934とを有しており、遠位端936と近位端934との間にコントローラ・モジュール・ハウジング930の長さ部分が延びていて、センサ・ヘッド906は遠位端936に近接して位置決めされている。コントローラ・モジュール・ハウジングの近位端934は、ユーザの手によって保持されるように適合されることができる。
【0063】
いくつかの実施態様において、サンプリング部材904は試料カップ908及び取り付け部材910の両方を含んでいる。取り付け部材910は試料カップ908をコントローラ・モジュール902にカップリングしている。いくつかの実施態様の場合、取り付け部材910は、試料カップをコントローラ・モジュールにカップリングし且つ/又はコントローラ・モジュールと一緒に保持する細長い部材である。例えば取り付け部材910は細長い剛性部材であって、第1端部952は試料カップ908にカップリングされており、第2端部950はコントローラ・モジュール902にカップリングされている。第1端部952と第2端部950との間に取り付け部材910の長さ部分が延びている。
【0064】
いくつかの事例において、取り付け部材910は試料カップ908と一体であり且つコントローラ・モジュール902に移動可能にカップリングされているが、異なる実施態様は、コントローラ・モジュール902と一体であり且つ/又は試料カップ908に取り付けられた取り付け部材を含んでよい。取り付け部材910は、種々の態様でコントローラ・モジュール902にカップリングされることができる。一例として、いくつかの事例の場合、取り付け部材910の第2端部950はコントローラ・モジュール部分の近位端934においてピボット920の周りでヒンジ状にカップリングされている。いくつかの事例では、取り付け部材は、ハウジング・コントローラの底面932に対してほぼ平行な回転軸線922を中心として旋回してよいが、他の構造も可能である。
【0065】
試料カップ908は、コントローラ・モジュール902上の浸漬可能なセンサ・ヘッド906によって分析されるべき水試料を含有するように構成されている。
図9B〜9Dに眼を移すと、いくつかの実施態様において、試料カップ908は、手持ち式装置900の閉位置においてセンサ・ヘッド906を完全に取り囲むことができる。いくつかの事例において、試料カップ908はセンサ・ヘッド906の周りに取り外し可能に固定されることができる。例えば
図9Aに示されているように、いくつかの実施態様において、試料カップ908及びコントローラ・モジュール/センサ・ヘッドは、協働するファスナ(例えばポスト960Aと穴960B及び/又は節部(nub)962Aと試料カップ周縁部962B)を含んでいる。これらのファスナは、センサ・ヘッド906の周りに試料カップ908を取り外し可能に固定する。当業者に明らかなように、種々様々なファスナが利用可能であり、本発明はいかなる特定のファスナにも限定されない。いくつかの実施態様の場合、試料カップがセンサ・ヘッドの周りに固定され、センサ・ヘッド904が試料カップ内部の空気及び水を押し退けるのに伴って、空気が試料カップから逃れる。このことは、試料カップ内部に捕捉されて蛍光測定値に影響を与え得る空気のポケットを低減し又は排除することを助ける。さらに、いくつかの事例において、試料カップ908がセンサ・ヘッド906の周りに固定されたとき、Oリング(図示せず)又はその他のシーリング・メカニズムが、試料カップ908内に水試料を含有することを助けることができる。いくつかの実施態様の場合、さらに空気が試料カップから逃れることを可能にするために、試料カップ908はシールされない場合がある。
図9B〜9Dに戻ると、水試料が試料カップ908内に存在すると想定して、センサ・カップがセンサ・ヘッド906に被さるように閉鎖するのに伴って、センサ・ヘッドは水試料中に少なくとも部分的に延びることになり、ひいては、試料から光を受容し且つ/又は試料中へ光を透過させるセンサ・ヘッドの少なくとも一部が水試料中に浸漬されることが保証される。
【0066】
従って、試料カップ908は、センサ・ヘッド906の周りに固定されているときには、センサ・ヘッド906のための保護容器を提供することもできる。いくつかの実施態様の場合、試料カップ908は剛性プラスチックから形成されている。剛性プラスチックは、センサ・ヘッド906のための耐久性のある頑丈な保護シェル又は保護カバーを提供する。当業者に知られた、同様の特性を有するその他の材料も考えられる。
【0067】
上述のように、浸漬可能なセンサ・ヘッド906は、液体試料中の蛍光、濁度、及び/又は吸光度を測定するのに有用な光学センサを含む種々様々な光学センサのうちの1つ以上を含むことができる。多くの事例では、センサ・ヘッドは、異なる光学特性の測定を容易にするために特定の波長を有する光を発する光源を含んでもよい。光学センサは、センサの形態に応じて、1つ以上の光波長範囲に対して感受性を有していてよい。いくつかの実施態様の場合、試料カップ908は、光学センサがそれに対して感受性を有する光波長に対して不透明である材料を含む。いくつかの実施態様では、試料カップ材料は、センサ・ヘッド内部の光源によって生成される光波長に対して不透明である。一例として、いくつかの実施態様において、試料カップ908は上述の蛍光光度計の実施態様にとって有用な約280nm〜約320nmの範囲内及び約300nm〜約420nmの範囲内のUV放射線に対して不透明であってよい。いくつかの実施態様では、透明なポリカーボネートを使用して、周囲光から保護し且つ水試料レベルの視覚的制御を可能にすることができる。
【0068】
図9C及び9Dを参照すると、いくつかの事例において、試料カップ908と取り付け部材910とは合体することにより、支持面(図示せず)上の光学装置900のためにほぼ安定なベースを形成する。例えば試料カップ908の底部は支持面上の第1の足場を提供することができ、取り付け部材910は、その第2端部952で支持部材970を含んでいて、第2の足場を提供することができる。いくつかの事例では、試料カップ908及び/又は支持部材970の形状は、ほぼ平らな足場を提供するように構成されていてよく、これにより、取り付け部材910及び/又はコントローラ・モジュール・ハウジング930は支持面に対してほぼ平行になる。しかしながら、いくつかの実施態様の場合、試料カップ及び/又は支持部材は、コントローラ・モジュールが支持面に対して所定の角度を有するように構成されていてよい。このような構造は、コントローラ・モジュール面980上のディスプレイを見ることを助けることができる。
【0069】
いくつかの実施態様において、センサ・ヘッドが試料カップ908内に挿入されたとき、過剰充填出口又は開口が過剰試料水のための試料カップ908からの通路を提供する。いくつかの実施態様の場合、過剰充填出口を有利には、センサ光学素子を有するセンサ・ヘッド906の一部の視線から外れるように配置することにより、迷光が過剰充填開口を通って試料カップ908に入ることから生じる測定値に対する潜在的な影響を最小限に抑える。いくつかの実施態様において、光学測定装置900はさらに、過剰充填開口にカップリングされた過剰充填リザーバ又は過剰充填キャビティを含んでいる。過剰充填リザーバ又は過剰充填キャビティは試料カップ908からの水試料の一部を受容することができる。例えば過剰充填リザーバは、試料カップ908にカップリングされた別個のチャンバ又は僅かに大きい試料カップの一部であってよい。いくつかの実施態様の場合、取り付け部材910は、取り付け部材910の第1端部952に隣接する過剰充填開口を有する過剰充填リザーバを含んでいてよい。
図9Eは、本発明のいくつかの実施態様に基づく、試料カップ908と過剰充填リザーバ982とを接続する過剰充填出口978を有する光学測定装置900の一例を示している。
【0070】
図10は、本発明のいくつかの実施態様に基づく、水試料の光学特性を測定する方法1000を示すフローチャートである。第1ステップ1002では、測定を行うために手持ち式光学測定装置を提供する。この装置は好ましくは、センサ・ヘッドを備えたコントローラ部分と、試料カップを有するサンプリング部分とを含んでいる。いくつかの実施態様の場合、装置は本明細書中に記載された手持ち式光学測定装置のうちの1つを含むが、本発明の特徴を有するいかなる装置も使用されることができる。例えば光学測定装置は、水試料の1つ以上の異なる光学特性、例えば水試料の蛍光、濁度、又は吸光度を測定するように適合されることができる。他の光学特性も考えられる。
【0071】
第2ステップ1004において、この方法は、手持ち式光学測定装置のセンサ・ヘッドの周りから試料カップを外すことを含む。次いで、試料カップを十分な体積の水試料で満たし(1006)、センサ・ヘッドの周りにこれを戻して固定する(1008)。いくつかの実施態様は、ユーザが水試料を得るためにカップを容易に使用することを可能にする。例えば、ユーザは、試料カップ908を外し、これをセンサ・ヘッド906から離れる方向に動かし、次いで水試料をカップ内に注ぎ込むことができる。いくつかの実施態様では、ユーザは、カップ908を使用して、より大きいリザーバ又は容器から水試料をすくうことができる。例えば、ユーザは、最初に、取り付け部材910をコントローラ・モジュール902から引き離すことによって装置を開くことができる。次いで、ユーザは取り付け部材及び/又はコントローラ部分を掴むことによって水をすくうことができる。いくつかの実施態様では、取り付け部材は、コントローラ部分902に対して180度の方向に回転させることができ、そしてユーザはコントローラ部分902を把持することによって、試料を得る時に装置の長さを延長させることができる。このため、取り付け部材は延長ハンドルを提供することができ、このことは、開放水体から水試料を捕え又はすくうことをより容易にする。
【0072】
試料カップがセンサ・ヘッドの周りに完全に固定された状態で、センサ・ヘッドは水試料中に少なくとも部分的に浸漬されている。いくつかの実施態様では、試料カップは好ましくは、センサ・ヘッドの周りから外されている間も、センサ・ヘッドの周りに固定されている間も、一貫して装置のコントローラ部分にカップリングされたままである。センサ・ヘッドの周りに試料カップが固定されると、この方法はまた、センサ・ヘッド及びコントローラ部分で水試料の光学特性を測定する(1010)ことを含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、この方法はさらに、水試料を試料カップ内に導入する前に、サンプリング部分をコントローラ部分及びセンサ・ヘッドから離れる方向に回転させることを含む。例えば、
図9Dを参照すると、装置が開いて試料カップ908がアクセス可能になるまで、試料部分904をコントローラ・モジュール902から離れる方向に回転させることができる。
図9Aは、開いた形態の一例を示している。水試料から光学特性を測定した後、試料カップを外して開くことにより、試料カップから水試料を廃棄することができる。次いで、試料カップをセンサ・ヘッドの周りに再び固定することによって、センサ・ヘッドの周りに保護カバーを提供することができる。
【0074】
このように本発明の実施態様が開示された。開示された実施態様を参照しながらかなり詳細に本発明を説明してきたが、開示された実施態様は一例として提示されたに過ぎず、本発明の他の実施態様も可能である。当業者には明らかなように、本発明の思想及び添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の変更、適応、及び改変を加えることができる。