(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798234
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ネットワークベースのIPモビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるトラフィック・オフロード
(51)【国際特許分類】
H04W 28/08 20090101AFI20151001BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20151001BHJP
H04W 80/04 20090101ALI20151001BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20151001BHJP
【FI】
H04W28/08
H04W48/18
H04W80/04
H04W88/06
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-500337(P2014-500337)
(86)(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公表番号】特表2014-510488(P2014-510488A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2012054698
(87)【国際公開番号】WO2012126848
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2013年10月31日
(31)【優先権主張番号】11290142.6
(32)【優先日】2011年3月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100128657
【弁理士】
【氏名又は名称】三山 勝巳
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】メリア,テレマソ
(72)【発明者】
【氏名】スケイヒル,フランク
【審査官】
田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0202427(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/149594(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/123092(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/029464(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/099727(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/091306(WO,A1)
【文献】
CJ.Bernardos,Proxy Mobile IPv6 Extensions to Support Flow Mobility draft-bernardos-netext-pmipv6-flowmob-03,NETEXT Working Group Internet-Draft Intended status: Standards Track,2011年 3月14日,URL,http://tools.ietf.org/pdf/draft-bernardos-netext-pmipv6-flowmob-03.pdf
【文献】
3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Architecture enhancements for non-3GPP accesses (Release 10),3GPP TS 23.402,2011年 1月,V10.2.1
【文献】
3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; IP flow mobilityand seamless Wireless Local Area Network (WLAN) offload; Stage 2 (Release 10),3GPP TS 23.261,2010年 9月,V10.1.0
【文献】
水越 康博 Yasuhiro Mizukoshi,増加するトラヒック量・デバイス数・基地局数に対応するためのモバイル通信技術,電子情報通信学会2011年通信ソサイエティ大会講演論文集2 PROCEEDINGS OF THE 2011 IEICE COMMUNICATIONS SOCIETY CONFERENCE,2011年 8月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/28
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるトラフィック・オフロードのための方法であって、
ネットワークベースのIPモビリティ関連シグナリングを使用して、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするステップ、
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、トラフィックに関する最初のアップリンク・パケットを受信すると、アクセス・レベルで前記トラフィックをオフロードすべきかどうかを決定するステップ、及び
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティからの命令を受信すると、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするステップ
を含む方法。
【請求項2】
IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたネットワークベースのIPモビリティをサポートするシステムにおける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、アクセス・レベルでトラフィックをオフロードすべきかどうかを決定するステップ
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするように、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティに命令するステップ
を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティから受信された、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令に肯定応答するステップ
を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、IPv6 MN(Mobile Node)に関するアクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令を、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティから受信すると、前記MNに関する新たなアドレス構成情報を含むルーティング・アドバタイズメントを送信するステップ
を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークベースのIPモビリティが、プロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6に相当し、
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、LMA(Local Mobility Anchor)に相当し、
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、MAG(Mobile Access Gateway)に相当する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたプロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6をサポートするシステムにおいて、
LMA(Local Mobility Anchor)が、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令を含むFMI(Flow Mobility Initiate)メッセージをMAG(Mobile Access gateway)へ送信するステップを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたプロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6をサポートするシステムにおいて、
MAG(Mobile Access Gateway)が、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令の肯定応答を含むFMA(Flow Mobility Acknowledge)メッセージをLMA(Local Mobility Anchor)へ送信するステップを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
マルチアクセス・モバイル通信システムにおけるネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティ、とりわけLMA(Local Mobility Anchor)などであって、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されているエンティティ。
【請求項11】
マルチアクセス・モバイル通信システムにおけるネットワークベースのIPフロー・モビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティ、とりわけMAG(Mobile Access Gateway)などであって、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されているエンティティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にモバイル通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信システムの詳細な説明は、文献において、とりわけ、たとえば3GPP(3
rd Generation Partnership Project)などの標準化団体によって発行されている技術仕様などにおいて見つけることができる。
【0003】
マルチアクセス・モバイル通信システムの一例が、EPS(Evolved Packet System)である。EPSは、3GPPアクセスと非3GPPアクセスの両方によってアクセスすることができるEPC(Evolved Packet Core)を含む。モバイル端末(UE(User Equipment)とも呼ばれる)は、IP接続を提供するEPSを介してIPベースのサービスにアクセスすることができる。EPSは、IPモビリティ(とりわけネットワークベースのIPモビリティ)をサポートする。EPSは、とりわけ3GPP TS23.401および3GPP TS23.402において指定されている。
【0004】
IPフロー・モビリティ(IFOM)と呼ばれる新たな機能が、現在そのようなシステムにおいて導入されている。IPフロー・モビリティは、複数のアクセスを介して同時に接続されているモバイル端末に関する1つのアクセスから別のアクセスへの選択されたIPフローの移動を可能にする。IPフロー・モビリティは現在、とりわけ3GPPおよびIETF(Internet Engineering Task Force)によって指定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS23.401
【非特許文献2】3GPP TS23.402
【非特許文献3】RFC5213
【非特許文献4】「Proxy Mobile IPv6 Extensions to Support Flow Mobility」、draft−bernardos−netext−pmipv6−flowmob−02
【非特許文献5】「Logical Interface Support for multi−mode IP Hosts」、draft−ietf−netext−logical−interface−support−01
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなシステムにおけるトラフィックを最適化する必要がある。より一般的には、そのようなシステムにおけるネットワーク機能を改善すること、とりわけ、より多くの利点をオペレータまたはサービス・プロバイダにもたらすことが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、とりわけそのような必要性に対処する。
【0008】
これらの目的およびその他の目的は、一態様においては、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるトラフィック・オフロードのための方法によって達成され、前記方法は、
−ネットワークベースのIPモビリティ関連シグナリングを使用して、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするステップを含む。
【0009】
これらの目的およびその他の目的は、その他の態様においては、そのような方法を実行するためのエンティティによって達成される。そのようなエンティティは、とりわけ、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするネットワーク・エンティティ(とりわけ、プロキシ・モバイルIPv6 MIPv6に関するLMA(Local Mobility Anchor)およびMAG(Mobile Access Gateway)など)を含む。
【0010】
次いで、本発明の実施形態による装置および/または方法のいくつかの実施形態について、ほんの一例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来技術による、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをサポートしない、ネットワークベースのIPフロー・モビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるIPフロー・ルーティングの一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをサポートする、ネットワークベースのIPフロー・モビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるIPフロー・ルーティングの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードのセットアップをサポートするように強化されたネットワークベースのIPフロー・モビリティ・シグナリング(netowork−based IP flow mobility signaling)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ネットワークベースのIPモビリティをサポートするマルチアクセス・システム(たとえばEPSなど)の一例が、
図1および
図2において示されている。示されている例においては、ネットワークベースのIPモビリティは、IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたプロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6に対応する。
【0013】
PMIPv6は、とりわけRFC 5213において指定されている。PMIPv6ドメインは、LMA(Local Mobility Anchor)およびMAG(Mobile Access Gateway)と呼ばれるエンティティを含む。
【0014】
フロー・モビリティ・サポート用のPMIPv6拡張の説明は、「Proxy Mobile IPv6 Extensions to Support Flow Mobility」、draft−bernardos−netext−pmipv6−flowmob−02というドキュメントにおいて見つけることができる。このドキュメントは、PMIPv6標準(RFC 5213)の拡張として2つのメッセージを指定している。接続されているUEへ新たなフローがルーティングされることになるようにMAGに命令するためのFMI(Flow Mobility Initiate)メッセージが、LMA(Local Mobility Anchor)のためにMAG(Mobile Access Gateway)へ送信される。フローが、5タプルを使用して認識され、フロー・モビリティ手順が、LMAによって開始される(任意のトリガを入力として使用することができる)。選択されたフロー(FMIメッセージは、特定のフローの情報を含む)をルーティングすることをMAGが受け入れた場合には、MAGは、FMA(Flow Mobility Acknowledge)メッセージをLMAへ送信して肯定応答を行うことになる。オペレーションが失敗した場合には、MAGは、特定のステータス・コードを用いて返信する。
【0015】
示されている例においては、MNは、2つの異なるフロー、すなわち、オペレータによってコントロールされるサービスに関してやり取りされるIPv6フロー1、およびオペレータ以外によってコントロールされるサービスに関してやり取りされるIPv6フロー2(公的なインターネットを用いてやり取りされるトラフィックなど)を有する。示されている例においては、IPv6フロー1は、MAG1と示されているMAGを介して3GPP(3G)アクセスを通じてルーティングされ、IPv6フロー2は、MAG2と示されているMAGを介して非3GPP(WiFi)アクセスを通じてルーティングされる。
【0016】
したがって、3GPPエボルブド・パケット・コア・アーキテクチャは、3GPP無線アクセス・ネットワークおよび非3GPP無線アクセス・ネットワークへの(同時の)ワイヤレス・アクセスをデュアル・モード・モバイル・デバイスに提供する。とりわけ3GPPは、WIFIアクセスに対する選択的なトラフィック・オフロード技術によってネットワークの混雑を最小限に抑えるために(可能な場合には)補足的なWLANカバレッジを活用することを目指している。オフロード・サービスは、モビリティ・サポートを伴わないシンプルな代替接続(たとえば、シームレスでないWLANオフロードを実行するホスト・デバイス内のさらなるIPアドレス)として、またはトラフィックをシームレスにオフロードするためのセカンダリ接続(たとえば、自分のコンテンツをどこでもアクセス可能にすることに関心がある3Gサブスクライバのためのプレミアム・サービス)として機能することができる。
【0017】
いくつかのケースにおいては、オペレータまたはサービス・プロバイダは、アクセス・ネットワークにおいて直接トラフィックをオフロードすること、ひいては、IPフローを再びモビリティ・アンカーへルーティングするのを回避することに関心を持つ場合がある。とりわけ、いくつかのケースにおいては、サービス・プロバイダは、IPフローをアクセス・ネットワーク・ノードから公的なインターネットへ直接ルーティングすることに関心を持つ場合がある。
【0018】
しかし、現在指定されているようなシステムは、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードのそのような機能を提供することはできない。言い換えれば、
図1において示されているように、別々のワイヤレス・アクセスを介してルーティングされる、MNに関するIPv6フロー1およびIPv6フロー2などの別々のフローは、現在は両方ともLMAを経由する。
【0019】
本発明の実施形態は、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードのそのような機能を提供できるようにする。たとえば、
図2において示されているように、本発明の実施形態は、アクセス・レベルで、すなわちMAG2によってIPv6フロー2をインターネットへ直接ルーティングできるようにする。
【0020】
本発明の実施形態は、シンプルなメカニズムによってアクセス・レベルでのトラフィック・オフロードのそのような機能を提供できるようにし、現在のアーキテクチャに対する変更をほとんど必要とせず、動的なオフロードを可能にする。
【0021】
一実施形態においては、FMIメッセージおよびFMAメッセージは、LMAがそのFMIメッセージおよびFMAメッセージをやり取りするように命令された任意の時点でやり取りされ、MAGにおいて一時的なオフロード・ポリシーをインストールするために再利用することができる。
【0022】
一実施形態においては、LMAは、IPフロー・モビリティ・シグナリングを使用して、アクセス・レベルでトラフィックをオフロードするようにMAGに命令する(たとえば、
図2において示されているように、LMAは、IPv6フロー2のトラフィックを直接インターネットへルーティングするようにMAG2に命令する)。
【0023】
一実施形態においては、
図3において示されているように、LMAとMAGとの間におけるIPフロー・モビリティ・シグナリングが強化され、それによってLMAは、FMIメッセージを使用して、ローカル・ルーティングを実行するようにMAGに命令する。
【0024】
図3は、例として、上述のドキュメント「Proxy Mobile IPv6 Extensions to Support Flow Mobility」、draft−bernardos−netext−pmipv6−flowmob−02から得られたシグナリング・フローにおいて、本発明の実施形態による、とりわけFMIメッセージに対して提案される修正を示している。
図3におけるフローXとフローYはそれぞれ、
図1および
図2におけるIPv6フロー1とIPv6フロー2にそれぞれ対応することができる。モバイル・ノードは、
図3においてはMN1と示されている。
【0025】
一実施形態においては、
図3に示されているように、下記のステップを提供することができる。
− 第1のステップにおいては、フローXおよびフローYが、両方ともLMAによってルーティングされ、
− 次いでLMAは、アクセス・レベルでフローYのトラフィックをオフロードすることを決定し、したがってアクセス・レベルでの前記トラフィック・オフロードをセットアップするようにMAGに命令する新たなフィールド(示されている例においては、「オフロード」と呼ばれている)を含むFMIメッセージをMAGへ送信し、
− 次いでMAGは、FMAメッセージをLMAに返して、前記命令に肯定応答し、
− 次いでフローYのトラフィックが、MAG(MAG2)によってルーティングされ、その一方でフローXは、引き続きLMAによってルーティングされる。
【0026】
本発明の実施形態は、IPアドレス構成におけるいかなる変化もMNに気づかれることなく、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードのそのような機能を提供できるようにする。
【0027】
3つの異なるケース、すなわち、MNがIPv4のみのノードであるケースと、MNがIPv6のみのノードであるケースと、MNがデュアル・スタック・ノードであるケースとを区別することができる。MNは、「Logical Interface Support for multi−mode IP Hosts」、draft−ietf−netext−logical−interface−support−01というドキュメントにおいて指定されている論理インターフェース機能を実施することが想定される。
【0028】
MNがIPv4のみのノードである場合には、下記のステップを提供することができる。
・ MNは、論理インターフェース上で構成されている1つ(または複数の)IPアドレスを有する
・ MNは、ワイヤレス・メディア選択を取り扱っている論理インターフェースを通じてパケットを送信する
・ オフロードされるフローに属するアップリンク・パケットが、MAGに到達し、インターネットへ直接ナットされる(natted)
・ インターネットから来るダウンリンク・パケットが、MAG2(NAT)に到達し、MNへルーティングされる
・ この手順は、MNにとってトランスペアレントであり、LMAは、いつでもオフロード・フィルタを除去することができ、このケースにおいては、
図1の構成に戻る。
【0029】
MNがIPv6のみのノードである場合には、下記のステップを提供することができる。
・ FMI/FMAメッセージがやり取りされると、MAGは、LMAから前もって割り当てられたプレフィックスと、パケットをLMAへ戻さずにローカルにルーティングさせるためのさらなるプレフィックスとを含むルーティング・アドバタイズメント(RA)をMNへ送信する
・ RAは、ルーティング情報(この時点では、標準化されていない)を含むことができる
・ MNは、インターネットへ直接ルーティングされるべきアプリケーションのための正しいソース・アドレス選択を実行することが想定される(ここでは、ANDSF(Access Network Discovery and Selection Function)などの機能が役立つことができる)。
・ NATは、IPv6に適用されない。
【0030】
MNがデュアル・スタック・ノードである場合には、下記のステップを提供することができる。
・ 上述のケースに加えて、オペレータは、オペレータ・サービスがIPv6を介して提供され、インターネット・オフロードがIPv4を介して提供される、といったさらなるポリシーを構成して、IPアドレスの選択をよりシンプルにすることができる
【0031】
上述したように、LMAは、オフロードを開始するためのFMIを任意の時点でMAGへ送信することができる。実際には、既存のIPフローをオフロードすると、そのセッションに関する通信相手のノードによって見られるホーム・アドレスが変わる結果となる。多くのアプリケーションにとって、これは問題とならないが、セッションの継続性を必要とするアプリケーションにとっては、これは、アプリケーション・レベルの問題および劣悪なユーザ経験をもたらす可能性がある。このケースにおいては、FMIに関するトリガのうちの1つを、LMAによって受信された新たなフローに関する最初のアップリンク・パケットとすることを提案する。MNから最初のフロー・アップリンク・パケットを受信すると、LMAは、このフローをすぐにオフロードすべきかどうかを決定することができ、そのケースにおいては、LMAは、上述のようにFMIをMAGへ送信する。FMIを受信すると、MAGは、ルーティングの更新を実行し、肯定応答FMAを送信し、MNから受信されるこのフローに関する後続のパケットを直接インターネットへ転送する。実際には、最初のアップリンク・パケットと、ルーティングの更新がMADにおいて完了する時点との間には、遅延が生じる可能性がある。この遅延の間に、MNは、このフローに関するさらなるアップリンク・パケットをLMAへ送信し続ける場合がある。我々は、3つの選択肢を提案する。
1)これらのさらなるアップリンク・パケットを破棄する
2)これらのパケットを、LMAが発行したHoA(LMA issued HoA)とともにインターネットへ送信する
3)これらのパケットをソースMAGへ戻す(trombone)
【0032】
LMAは、アップリンク・パケットのデスティネーション・アドレス(CN)に応じて、これらのアプローチのうちのいずれかを選択することができる。オプション3は、より複雑ではあるが、オフロードされるあらゆる新たなフローに関して、同じMAGにMNが接続されている持続時間にわたってIPアドレスが必ず一定のままとなる。
【0033】
トラフィック・オフロードのための方法(その例については、上で説明してきた)に加えて、そのような方法を実行するように構成されているエンティティも提供される。そのようなエンティティとしては、とりわけ、ネットワークベースのIPフロー・モビリティをサポートするエンティティ(とりわけ、プロキシ・モバイルIPv6 MIPv6に関するLMA(Local Mobility Anchor)およびMAG(Mobile Access Gateway)など)が含まれる。
【0034】
一態様においては、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするマルチアクセス・モバイル通信システムにおけるトラフィック・オフロードのための方法が提供される。
【0035】
さまざまな実施形態が提供され、それらの実施形態は、単独で、または組み合わせて(さまざまな組合せによって)使用することができる。
【0036】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティ関連シグナリングを使用して、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするステップを含む。
【0037】
一実施形態においては、
− 前記システムは、IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたネットワークベースのIPモビリティをサポートする。
【0038】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、アクセス・レベルでトラフィックをオフロードすべきかどうかを決定するステップを含む。
【0039】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、トラフィックに関する最初のアップリンク・パケットを受信すると、アクセス・レベルで前記トラフィックをオフロードすべきかどうかを決定するステップを含む。
【0040】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティが、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするように、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティに命令するステップを含む。
【0041】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティからの命令を受信すると、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップするステップを含む。
【0042】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティから受信された、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令に肯定応答するステップを含む。
【0043】
一実施形態においては、前記方法は、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティが、IPv6 MN(Mobile Node)に関するアクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令を、ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティから受信すると、前記MNに関する新たなアドレス構成情報を含むルーティング・アドバタイズメントを送信するステップを含む。
【0044】
一実施形態においては、
− ネットワークベースのIPモビリティは、プロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6に相当し、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティは、LMA(Local Mobility Anchor)に相当し、
− ネットワークベースのIPモビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティは、MAG(Mobile Access Gateway)に相当する。
【0045】
一実施形態においては、IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたプロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6をサポートするシステムにおいて、前記方法は、
− LMA(Local Mobility Anchor)が、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令を含むFMI(Flow Mobility Initiate)メッセージをMAG(Mobile Access gateway)へ送信するステップを含む。
【0046】
一実施形態においては、IPフロー・モビリティ・サポート用に強化されたプロキシ・モバイルIPv6 PMIPv6をサポートするシステムにおいて、前記方法は、
− MAG(Mobile Access Gateway)が、アクセス・レベルでのトラフィック・オフロードをセットアップする命令の肯定応答を含むFMA(Flow Mobility Acknowledge)メッセージをLMA(Local Mobility Anchor)へ送信するステップを含む。
【0047】
別の態様においては、マルチアクセス・モバイル通信システムにおけるネットワークベースのIPモビリティをサポートするコア・ネットワーク・エンティティ、とりわけLMA(Local Mobility Anchor)などが提供され、前記エンティティは、そのような方法を実行するように構成されている。
【0048】
別の態様においては、マルチアクセス・モバイル通信システムにおけるネットワークベースのIPフロー・モビリティをサポートするアクセス・ネットワーク・エンティティ、とりわけMAG(Mobile Access Gateway)などが提供され、前記エンティティは、そのような方法を実行するように構成されている。
【0049】
上述のエンティティの詳細な実施態様は、当業者にとっては何ら特別な問題をもたらすものでもなく、したがって当業者に対しては、上記で開示してきた以上に完全に開示する必要はない。
【0050】
さまざまな上述の方法のステップは、プログラムされたコンピュータによって実行することができるということを当業者なら容易に認識するであろう。本明細書においては、いくつかの実施形態はまた、プログラム・ストレージ・デバイス、たとえばデジタル・データ・ストレージ・メディアをカバーするように意図されており、それらのプログラム・ストレージ・デバイスは、マシンまたはコンピュータによって読み取ることができ、マシンによって実行可能なまたはコンピュータによって実行可能な命令のプログラムをエンコードし、前記命令は、前記上述の方法のステップのうちのいくつかまたはすべてを実行する。それらのプログラム・ストレージ・デバイスは、たとえば、デジタル・メモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気ストレージ・メディア、ハード・ドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタル・データ・ストレージ・メディアとすることができる。これらの実施形態はまた、上述の方法の前記ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータをカバーするように意図されている。