(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798245
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ファイバー水平挿入タイプフェルールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/38 20060101AFI20151001BHJP
G02B 6/40 20060101ALI20151001BHJP
G02B 6/32 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
G02B6/38
G02B6/40
G02B6/32
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-515986(P2014-515986)
(86)(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公表番号】特表2014-517355(P2014-517355A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012042428
(87)【国際公開番号】WO2012174221
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】61/496,715
(32)【優先日】2011年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス インコーポレイテド
【氏名又は名称原語表記】MOLEX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】マルコム エイチ ホッジ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンゾン チェン
(72)【発明者】
【氏名】ディーン リチャードソン
(72)【発明者】
【氏名】スコット エイ アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディー シルツ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アール マラポード
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−505208(JP,A)
【文献】
特開2004−054114(JP,A)
【文献】
特表2005−503575(JP,A)
【文献】
特開2007−163969(JP,A)
【文献】
特開平08−094856(JP,A)
【文献】
特開平05−034655(JP,A)
【文献】
特開2000−227768(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/111650(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/38
G02B 6/32
G02B 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーフェルールアセンブリであって、
各光ファイバーが軸を含む複数のほぼ平行な光ファイバーと、
複数の光ファイバーの一側に沿って形成され、光ファイバーを互いに固定する接続部材であって、ほぼ平坦な平面を有する接続部材と、
正面および反対方向に面する背面と、複数の光ファイバーを受容するように構成された光ファイバー受容ネストとを含むフェルール本体であって、前記軸は互いにほぼ平行であり、前記光ファイバー受容ネストは前記光ファイバーの軸に関して横方向に開口して前記光ファイバーの前記光ファイバー受容ネストへの挿入を容易にし、該光ファイバー受容ネストは光ファイバー合わせ面を含み、該光ファイバー合わせ面は複数の弧状表面を含み、各弧状表面は、前記光ファイバーを前記軸に関して整列させるように、前記光ファイバーのうちの1つと係合するように構成される、フェルール本体と、
前記光ファイバーを前記光ファイバー受容ネスト内に固定するために前記フェルール本体に固定されるほぼ平坦な平面を有するカバーであって、前記平面は前記接続部材を収容する隙間を形成するように前記光ファイバー受容ネストから離間しているカバーと、
前記フェルール本体の前記正面にほぼ隣接して配設されたビーム拡大要素であって、該ビーム拡大要素の前記光ファイバーに対向する面の上端及び下端に前記光ファイバーの軸に関して横方向に延在するように形成された凹部状のリザーバであって屈折率の一致する媒体を供給するリザーバを含むとともに、各々が各光ファイバーと整列されるレンズ要素を複数個有するレンズアレイを含むビーム拡大要素と、
を備える、光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項2】
前記光ファイバーは隣り合う構成で配置される、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項3】
各光ファイバーは隣接する光ファイバーと接触している、請求項2に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項4】
前記弧状表面は、前記軸にほぼ平行に伸びる複数の弧状チャネルを画定する、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項5】
前記カバーが前記光ファイバー受容ネスト内に位置決めされる、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項6】
前記光ファイバー受容ネストおよび前記カバーが、該カバーを前記光ファイバー受容ネスト内に係止するように構成される、請求項5に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項7】
前記カバーは、前記光ファイバーを前記軸に関して整列させる内部表面を含む、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項8】
前記フェルール本体は複数のほぼ整列した第2の光ファイバーを受容するように構成された第2の光ファイバー受容ネストをさらに含み、前記第2の複数の光ファイバーは前記軸に関してほぼ平行であり、前記第2の光ファイバー受容ネストは前記光ファイバー受容ネストとほぼ反対方向に前記軸に関して横方向に開口して、複数の前記第2の光ファイバーの前記第2の光ファイバー受容ネストへの挿入を容易にし、該第2の光ファイバー受容ネストは第2の光ファイバー合わせ面を含み、該第2の光ファイバー合わせ面は複数の第2の弧状表面を含み、各第2の弧状表面は前記第2の光ファイバーのうちの1つと係合するように構成され、前記第2の弧状表面は前記第2の光ファイバーを前記軸に関して整列させ、前記第2の光ファイバーを前記第2の光ファイバー受容ネスト内に固定するために前記フェルール本体に固定される第2のカバーをさらに備える、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項9】
前記ビーム拡大要素は、前記屈折率の一致する媒体をさらに含み、該屈折率の一致する媒体は、前記光ファイバーの端面に隣接して配設され、前記光ファイバーと屈折率が一致する、請求項1に記載の光ファイバーフェルールアセンブリ。
【請求項10】
複数のほぼ平行な光ファイバーを受容する光ファイバーフェルールにおいて、複数の前記光ファイバーは、該光ファイバーの一側に沿って形成され、前記光ファイバーを互いに固定する接続部材を有し、該接続部材はほぼ平坦な平面を有し、
前記光ファイバーフェルールは、
正面および反対方向に面する背面と、光ファイバー受容ネストとを含むフェルール本体であって、前記光ファイバー受容ネストは、ほぼ前記正面と前記背面との間を伸び、複数のほぼ整列した光ファイバーを受容するように構成され、前記光ファイバーの軸は互いにほぼ平行であり、前記光ファイバー受容ネストは前記軸に関して横方向に開口して前記光ファイバーの前記光ファイバー受容ネストへの横方向の挿入を容易にし、該光ファイバー受容ネストは光ファイバー合わせ面を含み、該光ファイバー合わせ面は複数の弧状表面を含み、各弧状表面は前記光ファイバーのうちの1つと係合する、光ファイバー受容ネストと、
前記光ファイバーを前記光ファイバー受容ネスト内に固定するために前記フェルール本体に固定されるほぼ平坦な平面を有するカバーであって、前記平面は前記接続部材を収容する隙間を形成するように前記光ファイバー受容ネストから離間しているカバーと、
前記フェルール本体の前記正面にほぼ隣接して配設されたビーム拡大要素であって、該ビーム拡大要素の前記光ファイバーに対向する面の上端及び下端に前記光ファイバーの軸に関して横方向に延在するように形成された凹部状のリザーバであって屈折率の一致する媒体を供給するリザーバを含むとともに、各々が各光ファイバーと整列されるレンズ要素を複数個有するレンズアレイを含むビーム拡大要素と、
を備える、光ファイバーフェルール。
【請求項11】
前記光ファイバーを前記光ファイバー受容ネスト内に固定するために前記フェルール本体に固定されたカバーをさらに含む、請求項10に記載の光ファイバーフェルール。
【請求項12】
前記弧状表面は、前記軸にほぼ平行に伸びる複数の弧状チャネルを画定する、請求項10に記載の光ファイバーフェルール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は2011年6月14日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第61/496,715号、「Paroli−Type Ferrule Assembly」に対する優先権を主張する。前述の特許出願内容はその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、光ファイバーフェルールアセンブリに関し、より具体的には、光ファイバーの水平挿入用に構成された光ファイバー受容ネストを備えたマルチファイバーフェルールアセンブリに関する。
【0003】
光ファイバーを相互接続するシステムは、一般的に嵌め合いフェルールアセンブリを使用し、ファイバーの取り扱いを容易にし、位置決めを正確にする。ガラスの光ファイバーはフェルール本体を通って伸びる穴の中に固定され、各ファイバーの終端面はフェルール本体の端面とほぼ同一面に、あるいはわずかにそこから突出して位置決めされる。相補的フェルールアセンブリが嵌め合わされると、一方のフェルールアセンブリの各光ファイバーは、もう一方のフェルールアセンブリの嵌め合わされる光ファイバーと整列される。
【0004】
ガラスの光ファイバーに代わってプラスチックの光ファイバーの使用が増加しているが、これはプラスチックの光ファイバーの伝送速度が増加し、また伝送距離が増加したためである。ガラスの光ファイバーと比べて、プラスチックの光ファイバーの終端処理および取り扱いは、プラスチックの光ファイバーの特性およびサイズの理由から、追加の、そして異なった難問を生じる。例えば、プラスチックの光ファイバーは一般的に非常にフレキシブルで、容易に変形され得るが、このことは光伝送特性に影響を与える可能性がある。より効率的にプラスチックの光ファイバーを終端処理するために使え、フェルールアセンブリを小さくできるマルチファイバーフェルールアセンブリを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様においては、光ファイバーフェルールアセンブリは複数のほぼ平行な光ファイバーを含む。フェルール本体は正面と反対に面する背面とを有する。フェルール本体は、複数のほぼ整列した光ファイバーを受容するように構成された光ファイバー受容ネストを有し、各光ファイバーの軸は、ほぼ光ファイバー軸に平行である。光ファイバー受容ネストは光ファイバー軸に対して横方向に開口し、光ファイバー受容ネストへの光ファイバーの挿入を容易にする。光ファイバー受容ネストは複数の弧状表面をもつ光ファイバー合わせ面(registration surface)を有し、各弧状表面は、光ファイバーを光ファイバー軸と整列するために光ファイバーの1つを係合するように構成されている。フェルール本体にはカバーが固定され、光ファイバーを光ファイバー受容ネスト内に固定する。
【0006】
本発明の別の態様では、光ファイバーフェルールが正面および反対方向に面する背面を含む。フェルール本体はさらにほぼ正面と背面の間を伸び、複数のほぼ整列された光ファイバーを受容するように構成され、各光ファイバーの軸はほぼ光ファイバー軸と平行である光ファイバー受容ネストを含む。光ファイバー受容ネストは複数の弧状表面を含む光ファイバー合わせ面を有し、各弧状表面は光ファイバーの1つを係合するように構成されている。光ファイバー合わせ面は、光ファイバー軸に対して横方向に開口し、光ファイバー受容ネストへの光ファイバーの水平挿入を容易にする。
【0007】
さらに別の態様においては、光ファイバーフェルールアセンブリの組み立て方法は、正面、反対方向に面する背面、および正面と背面の間に位置づけされた光ファイバー受容ネストを有するフェルール本体を提供することを含む。光ファイバー受容ネストはほぼ正面と背面との間を伸びる複数の弧状チャネルを含む光ファイバー合わせ面を有する。光ファイバーは各弧状チャネルと整列される。光ファイバーは光ファイバー受容ネスト開口に移動され、複数の弧状表面に対して水平に移動され、ほぼ平行に整列された光ファイバーを形成する。光ファイバーアレイは光ファイバー受容ネスト内で固定される。
【0008】
本開示の構造および動作の編成および態様、さらにその目的および利点は、添付図と関連付けて以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。同一の参照番号および符号は同一の要素を識別している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】終端処理されたフェルールアセンブリの実施形態の透視図である。
【
図2】
図1のフェルールアセンブリの分解透視図である。
【
図3】
図1の線3−3にほぼ沿って表現された断面図である。
【
図4】
図1の線4−4にほぼ沿って表現された断面図である。
【
図5】フェルール本体、光ファイバーの1つの配列、および1つのカバーのみを描く
図2の正面図である。
【
図6】光ファイバーから離れて置かれているフェルール本体の代替実施形態の正面図である。
【
図7】光ファイバーから離れて置かれているフェルール本体の別の代替実施形態の正面図である。
【
図8】
図3と類似するが、別の実施形態のものを示す断面図である。
【
図9】
図5と類似するが、別の実施形態のものを正面図である。
【
図10】接続部材を含む光ファイバーアレイを示す、
図8と類似する断面図である。
【
図11】取り付け具および光ファイバーアレイのダイアグラム図である。
【
図12】光ファイバーアレイは取り付け具に挿入され、等角コーティングがアレイに適用されている、
図11と類似するダイアグラム図である。
【
図13】等角コーティングがアレイに均等に配分されている、
図13に類似するダイアグラム図である。
【
図14】アレイが取り付け具から外されている、
図13に類似するダイアグラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は様々な形式の実施形態が可能であり、具体的な実施形態が図中に示され、また詳細に説明されている。本開示は本開示の原理の例示と解釈され、説明されたもののみに限定される意図はない。
【0011】
したがって特徴あるいは態様の記述は、本開示の一例の特徴あるいは態様を説明するものであり、本開示のすべての実施形態が、記述された特徴あるいは態様をもたなければならないことを意味するものではない。さらに、説明は様々な特徴を解説していることに注意すべきである。いくつかの特徴を組み合わせて可能なシステムデザインを説明しているが、それらの特徴は明示的に開示されていない他の組み合わせにおいて使用されてもよい。したがって、解説されている組み合わせは特に記述がない限り、それに限定されることを意図されているものではない。
【0012】
各図で解説された実施形態において、本開示の様々な要素の構造及び動きを説明するために使用される上、下、左、右、前、および後等の方向の表現は、絶対的表現ではなく、相対的なものである。これらの表現は各要素が図に示されている位置にあるときに適切となる。要素の位置の描写が変化した場合、これらの表現はそれに従って変化する。
【0013】
図1〜4を参照すると、マルチファイバーレンズタイプフェルールアセンブリ10が図解されている。フェルールアセンブリはフェルール本体11を含み、複数の光ファイバー50がそこに固定されている。レンズプレート30などの光またはビーム拡大要素がフェルール本体11に固定されてもよい。描かれているように、フェルールアセンブリ10は2列、16個の光ファイバー50を含むが、フェルールアセンブリは、希望によって、より多くのまたはより少ない光ファイバーを受容するように構成してもよい。
【0014】
フェルール本体11はほぼ長方形で、ほぼ平面の正面12とほぼ平面の背面13を有する。ほぼ長方形のフランジ14は背面13に隣り合うフェルール本体11の周りに伸びる。フランジ14はハウジング(図示されていない)等の別の構成要素内に、フェルールアセンブリ10を容易にマウントするために使用可能である。互いに反対方向に面する光ファイバー受容ネスト対15は、正面12と背面13の間に伸びる。光ファイバー受容ネスト15は光ファイバー50を受容するために隣り合って構成され、各光ファイバーは互いにほぼ平行である。各光ファイバー受容ネスト15は、光ファイバー受容ネスト15内に位置する各光ファイバー50を位置決めおよび支持するための光ファイバー係合または合わせ面16を有する。
【0015】
合わせ面16は複数の弧状または扇形状セクション17を含んでもよい。各弧状セクション17は光ファイバー50の1つを支持する。光ファイバー50が一般的に容易に変形されるプラスチック材から形成されている場合は、弧状セクション17は光ファイバーを整列させるばかりでなく、光ファイバーを支持してその変形を阻止することが望ましい。光ファイバーの変形(例えば断面の円形から楕円形への変化、あるいは偏平表面の形成)は当該光ファイバーの光学的性能に悪影響を与える可能性がある。フェルール本体11へ挿入される光ファイバー50がガラスで形成されている場合は、弧状セクション17は変形を阻止するために光ファイバーを支持する必要はないが、各光ファイバーの正確な位置決めのために依然として有用であろう。
【0016】
フェルール本体11は正面12を通って後方に伸びる整列穴対18を含んでもよい。整列穴は正面12の水平のセンターライン上に位置する。整列穴18はほぼ円筒状で、正面12と背面13の間のフェルール本体11を通って伸びてもよい。整列穴18はその中に柱(図示されていない)を受容するように構成され、光ファイバーアセンブリの対とはめ合わせる時の位置合わせを容易にする。
【0017】
整列カバー20は各光ファイバー受容ネスト15内で受容するように構成され、光ファイバー50を光ファイバー受容ネスト15内に確保する。各整列カバー20は外部表面21と反対側に面する内部表面22を備え、ほぼ長方形である。外部表面21はほぼ平面的でよく、また内部表面22は、光ファイバー受容ネスト15の弧状セクション17に対応する複数の弧状またはホタテ貝状セクション23を含み、光ファイバー50を位置決めし、支持してもよい。弧状セクション17の場合と同様、プラスチックの光ファイバー50を固定するときは、光ファイバー上への力を分散させて当該ファイバーの変形を減らすのが望ましい。
【0018】
希望により、光ファイバー受容ネスト15および整列カバー20をテーパー形状にし、整列カバー20からフェルール本体11への組み込みを容易にしてもよい。具体的には、光ファイバー受容ネストをフェルール本体11の正面12から背面13にかけてテーパー状にし、光ファイバー受容ネスト15が、背面と比べて、正面に隣接してわずかに幅広くなってもよい(
図5)。同様に整列カバー20をその正面24から背面25にかけてテーパー状にし、背面と比べて、正面に隣接してわずかに幅広くなるようにしてもよい。したがって、整列カバー20はその背面25に隣接したとき、その正面12に隣接する光ファイバー受容ネスト15よりも幅が狭い。この構成は整列カバー20がフェルール本体11の正面12から挿入されることを可能とし、整列カバー20の側壁26がフェルール本体11の内部壁19を十分に係合するまで背面13に向かって後方へ移動することを許す。
【0019】
フェルール本体11の内部壁19と整列カバー20の側壁26に勾配をつけ、光ファイバー受容ネスト15への整列カバー20の挿入によって光ファイバーが所定位置に固定され、また整列カバーが追加のラッチメカニズムを必要としないようにしてもよい。希望によっては、フェルール本体11の内部壁19と整列カバー20の側壁26をテーパー状あるいは下向きに傾斜させ、光ファイバー受容ネスト15への整列カバー20のスライド移動により、整列カバー20の内部表面22を、光ファイバー受容ネスト15の光ファイバー合わせ面16へ向かって移動させてもよい。
【0020】
光ファイバー受容ネスト15の各弧状セクション17は整列カバー20の弧状セクション23の1つと整列される。光ファイバー受容ネスト15の合わせ面16に沿った弧状セクション17の間隔、および整列カバー20の内部表面22に沿った弧状セクション23の間隔を設定してもよい。ある実施形態においては、
図5で描かれているように、4つの光ファイバー50のアレイがグループ化され、比較的小さいスペースまたは間隙を光ファイバーの各グループ間に存在するように、弧状セクション17および弧状セクション23が構成されている。これはプラスチックの光ファイバーの終端処理を容易にするために望ましい。別の実施形態においては、弧状セクション17および弧状セクション23を均一に隔て、隣接する光ファイバーが互いに接触する(
図6)か、または隣接する光ファイバー間に間隙51を挟んで(
図7)各光ファイバー50間に均等にスペースが入るようにしてもよい。
【0021】
フェルール本体11および整列カバー20は、インジェクションモールディングが可能なポリフェニレンサルファイドまたはポリエーテルイミド等の樹脂で形成されてもよく、またシリカ(SiO2)等の添加剤を含んで樹脂の強度および安定性を増強させてもよい。希望によって他の材料を使用してもよい。
【0022】
レンズプレート30はほぼ長方形であり、正面32と背面33を有する。レンズプレート30はインジェクションモールディングが可能で、その屈折率が光ファイバー50に近い光学グレードの樹脂で形成されてもよい。一例においては、レンズプレートはUltem(登録商標)で形成されてもよい。凹部34をレンズプレート30の正面32の中央に位置させ、そして複数のレンズ要素35を含んでもよい。レンズプレート30がフェルール本体11の正面12に固定されたとき、レンズ要素1つを各光ファイバー50と整列させる。描かれている実施形態においては、レンズ要素35はクロスフォーカスタイプで凸形状を含み(
図4)、凹部34の底部表面36からレンズプレート30の正面32に向けて突出している。レンズプレート30の背面33をフェルール本体11の正面32に隣接して配置し、各光ファイバー50の端面52がレンズプレート30の背面33と係合してもよい。
【0023】
レンズプレート30は、フェルール本体11の整列穴18と整列するように構成された円筒状ガイド穴またはレセプタクル対37を含んでもよい。各ガイド穴37を、フェルール本体11の整列穴18の直径と一致する、またはそれより大きい直径を有するように構成してもよい。
【0024】
レンズプレート30は、背面33から突出する円形スペーサーまたはペデスタル対(図示されない)を有し、1つが各ガイド穴37を取り囲んでもよい。スペーサーの長さはフェルール本体11の正面12とレンズプレート30の背面33の間の一定かつ事前決定された距離または間隙38を画定するように選択されてもよい。リザーバー40をレンズプレート30の上部および下部表面41に備え、エポキシ等の屈折率の一致する媒体を光ファイバー50の端面52とレンズプレート30の背面33との間に適用するのを容易にしてもよい。
【0025】
組み立て中に、複数の光ファイバー50がフェルール本体11の光ファイバー受容ネスト15の1つの中に位置決めされる。光ファイバー50のそれぞれは、光ファイバー受容ネスト15内の光ファイバー合わせ面16の弧状セクション17を係合するように位置決めされる。
【0026】
整列カバー20は光ファイバー受容ネスト15に隣接して位置決めされ、整列カバー20の背面25はフェルール本体11の正面12とほぼ隣接する。整列カバー20は、内部表面22の弧状セクション23のそれぞれが光ファイバー50の1つと整列するように位置決めされる。その後、整列カバー20は、正面12から背面13に向けて、フェルール本体に対して移動されてもよい。フェルール本体11のテーパー状の内部壁19および整列カバー20のテーパー状の側壁26は、整列カバー20を所定位置に固定し、光ファイバー50はフェルール本体11と整列カバー20の間に挟まれる。希望によって、エポキシ等の接着剤を、光ファイバー受容ネスト15内の光ファイバー50ならびに整列カバー20の内部表面22に適用し、フェルール本体11、整列カバー20、および光ファイバー50をさらに固定してもよい。フェルール本体11が追加の光ファイバー受容ネスト15を含む場合には、当該光ファイバー受容ネスト15内の光ファイバー50を固定するために処理を繰り返してもよい。
【0027】
光ファイバー50がフェルール本体11の光ファイバー受容ネスト15内に固定されたのち、光ファイバーを正面12の近くでへき開または終端処理を行ってもよい。希望により、さらなる処理を光ファイバー50の端面52で行ってもよい。例えば、光ファイバーがガラスでできている場合、従来の技術で知られているように、端面52を研磨することは望ましい。次に接着剤をフェルール本体の正面12とレンズプレート30の背面33との間に適用することによって、レンズプレート30をフェルール本体11に固定してもよい。ある実施形態においては、レンズプレート30をフェルール本体11の正面12に隣接して位置決めするために取り付け具(図示されない)を使用してもよく、またエポキシ等の接着剤をレンズプレート30の上部および下部表面41に隣接してリザーバー40に適用してもよい。接着剤はリザーバー40から移動し、フェルール本体11の正面12とレンズプレート30の背面33の間の間隙に沿って移動してレンズプレートをフェルール本体に固定し、そして光ファイバー50の端面52とレンズプレートのレンズ要素35の間に均一の間隙42を形成する。多くの例においては、レンズプレート30および光ファイバー50と大体一致する屈折率をもつ接着剤を使用し、光透過率を最大にするのが望ましい。
【0028】
ある代替実施形態においては、レンズプレート30を撤廃し、あるフェルールアセンブリ10の光ファイバー50が、記述されているフェルールアセンブリの光ファイバー50と整列された光ファイバーを有する、別のフェルールアセンブリ(図示されない)と直接嵌め合わせてもよい。
【0029】
図8〜10を参照すると、フェルールアセンブリ110の代替実施形態が描かれている。同一の構成要素を描写するために同一の参照番号および符号が使用される。ここではその描写は繰り返して行われない。
図8〜10では、整列カバー120は修正されているが、フェルールアセンブリ110は前述のフェルールアセンブリ10とほぼ同一である。より具体的には、整列カバー120の内部表面122はほぼ平面で、内部表面の面に沿って光ファイバー50を係合する。
【0030】
いくつかの例においては、例えば特定タイプのプラスチックの光ファイバー50を使用する場合など、ほぼ平坦な内部表面22に隣接して光ファイバー50の表面を追加支持することは望ましい。
図10に描かれているように、光ファイバーを支持および位置決めするために、光ファイバーを完全にまたは部分的に取り囲む等角コーティング53等の物質によって、光ファイバー50を固定してもよい。そのような物質は、力をほぼ平面の内部表面122から分配し、プラスチックの光ファイバー50が変形される可能性を減らすという追加利点を有する。この構成はさらに、光ファイバー50の光ファイバー受容ネスト15への装填を簡素化する。
【0031】
そのようなマトリックスあるいは接続部材54を形成するために、取り付け具70(
図11)を備えてもよい。取り付け具70は、複数の弧状または扇形状のセクション72を下部表面73に有するファイバー受容ネスト71を含んでもよい。光ファイバー受容ネスト71は、取り付け具70内に形成される接続部材54の外部境界を画定する側壁74を有してもよい。
【0032】
図12に示されているように、光ファイバー50を取り付け具70の光ファイバー受容ネスト71内に位置決めし、光ファイバーの下部表面が各弧状セクション72を係合し、光ファイバーを望み通りに整列するようにしてもよい。等角コーティング53を光ファイバー50の上部表面に適用してもよい。ある実施形態においては、ほぼ平面の自己平準化表面55を光ファイバー50の上に形成する程度に遅い速度で、かつ等角コーティングが隣接する光ファイバー50間で自主的に流動または漏出しない程度に早い速度となるように、等角コーティング53を選択してもよい(
図13)。等角コーティングが硬化あるいは固まったのち、光ファイバー50および接続部材54のアセンブリを取り付け具70から単一ユニットとして取り外してもよい(
図14)。
【0033】
図10に描かれているように、光ファイバー50と接続部材54のアセンブリを、フェルール本体11の光ファイバー受容ネスト15および光ファイバー受容ネスト15内に位置決めされたほぼ平面の内部表面122を有する整列カバー120に挿入し、接続部材54のほぼ平面の表面55が整列カバー120のほぼ平坦平面の内部表面122によって係合されるようにしてもよい。接続部材54の厚さによっては、カバー120の厚さを減らし(
図8〜9のそれと比較)、過度な力が接続部材に加わらないようにすることが望ましい。前述したように、希望によっては、エポキシ等の接着剤を光ファイバー受容ネスト15内に適用し、フェルール本体11、光ファイバー50、および整列カバー120を固定してもよい。整列カバー120によって加えられた力は、接続部材のほぼ平面の表面55によって分散され、したがって光ファイバー50のいかなる変形あるいはひずみも最小にする。この構成は容易に変形するプラスチックの光ファイバーの使用には特に有用であろう。
【0034】
別の代替実施形態においては、光ファイバー受容ネスト15の光ファイバー合わせ面16と整列カバー120の内部表面122の両方ともほぼ平面的でもよい。言い換えれば、フェルール本体11も整列カバー120もどちらも光ファイバー50を整列するための如何なる弧状セクションも含まない。そのような場合、前述の接続部材54を使用して、あるいは接続部材54と関連する登録部材(図示しない)によって位置合わせを達成してよい。
【0035】
本開示の好ましい実施形態が示され説明されているが、当業者は、前述の説明および添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を考案することができることが想定される。