(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798256
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】付加的なダイヤフラムを有する圧力測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 23/10 20060101AFI20151001BHJP
G01L 23/26 20060101ALI20151001BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20151001BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
G01L23/10
G01L23/26
F02D45/00 368S
F02D35/00 368Z
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-543910(P2014-543910)
(86)(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公表番号】特表2015-500985(P2015-500985A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012074095
(87)【国際公開番号】WO2013079661
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年5月30日
(31)【優先権主張番号】102011087641.3
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・ショルツェン
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・クリューガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤンペータ・ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】アンケ・マイヤー−シュライヒ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・アマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・デーリング
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ケッツレ
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5726408(JP,B2)
【文献】
英国特許出願公開第1207562(GB,A)
【文献】
特許第5625366(JP,B2)
【文献】
特表2009−520941(JP,A)
【文献】
特許第4309917(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
F02D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室(26)内の圧力を検出するための圧力測定装置であって、ハウジング(14)内に設けられている力伝達体(12)を有しており、該力伝達体(12)は、燃焼室(26)に曝されており、且つ、燃焼室圧を、前記力伝達体(12)と前記ハウジング(14)との間に介在する圧力測定ユニット(50)に少なくとも間接的に軸運動を用いて伝達し、及び、曲げ弾性的なダイヤフラム(16)を有しており、該ダイヤフラム(16)は、前記圧力測定ユニット(50)から離間して、前記力伝達体(12)と前記ハウジング(14)との間に設けられており、その際、前記曲げ弾性的なダイヤフラム(16)は、前記力伝達体(12)の軸方向の運動を前記ハウジング(14)内で実行するために弾性状に形成されている圧力測定装置において、曲げ弾性的なダイヤフラム(16)は、燃焼室側に曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム(30)が上流側に設けられており、該付加的なダイヤフラム(30)は、前記曲げ弾性的なダイヤフラム(16)を燃焼室(26)に向かってシールすることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
付加的なダイヤフラム(30)は、フレキシブルな材料製であり、該材料は、曲げ弾性的な前記付加的なダイヤフラム(30)の前記曲げ剛性が曲げ弾性的なダイヤフラム(16)の曲げ剛性よりも明らかに小さいように製造されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力測定装置。
【請求項3】
前記力伝達体(12)の外側(20)に第1のサポートリング(31)が設けられており、前記ハウジング(14)の内側(22)に第2のサポートリング(32)が設けられており、前記第1のサポートリング(31)と前記第2のサポートリング(32)との間に曲げ弾性的な前記付加的なダイヤフラム(30)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力測定装置。
【請求項4】
前記第1のサポートリング(31)と前記第2のサポートリング(32)との間に、リング状間隙(33)が形成されており、前記第1のサポートリング(31)と前記第2のサポートリング(32)の、燃焼室側の端面(35)に、曲げ弾性的な前記付加的なダイヤフラム(30)が、前記リング状間隙(33)をカバーするように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の圧力測定装置。
【請求項5】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、前記サポートリング(31,32)と共に周回して密に溶接されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の圧力測定装置。
【請求項6】
少なくとも1つのサポートリング(31,32)が、丸みを帯びた外縁部(37)を有していることを特徴とする請求項3,4又は5に記載の圧力測定装置。
【請求項7】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、軸方向にプレストレスを掛けられた状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項8】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、熱伝導材料製であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項9】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、高強度鋼合金製、特に、高合金ステンレス製であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項10】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、耐食材料製及び耐疲労材料製であることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の圧力測定装置。
【請求項11】
前記付加的なダイヤフラム(30)は、厚み0.05mm〜0.5mmの薄膜であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の圧力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係わる内燃機関の燃焼室内の圧力を検出するための圧力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング内に圧力測定ユニットが収容されている内燃機関用のグロープラグが開示されている。グロープラグは、更に、ヒータエレメントを有しており、このヒータエレメントは、ハウジングに対して相対的にスライド移動可能であり、圧力センサと少なくとも間接的に共働して、内燃機関の燃焼室内の圧力を測定することができる。このために、ヒータエレメントには、燃焼室内の圧力が加えられて、支持管及び力伝達スリーブを介して力が圧力センサに加えられる。圧力センサは、有利には、圧電式の素子として構成されており、圧電式の素子は、測定線路を介して導出されている。更に、グロープラグは、燃焼室側の端を有しており、この端は、燃焼室内の諸条件、特に温度に曝されている。燃焼室側の端に、グロープラグは、シール室を有しており、シール室内には、曲げ弾性的なダイヤフラムが収容されている。ダイヤフラムとヒータエレメントとの間に、付加的に1つのシール材が設けられており、シール材は、曲げ弾性的なダイヤフラムの前に燃焼室側に接続されている。シール材は、シール室を汚れから保護しており、この汚れにより、所定の作動期間後、燃焼室内の圧力の測定の精度が低下することになる。その際、シール材は、耐熱性且つ流動性があるように構成することができる。択一的に、シール材は、粉末状又はペースト状にしてもよい。
【0003】
特許文献2には、プラグハウジング、グローチューブ及び統合された圧力センサを有する内燃機関用のグロープラグが開示されている。グローチューブとプラグハウジングとの間で相対運動が可能である。グローチューブには、作動中燃焼室圧が加えられ、それにより、グローチューブは、プラグハウジングに対して相対運動を実行する。圧力センサは、相対運動の量を用いて、燃焼室内の圧力の大きさを求める。プラグハウジングの内面とグローチューブとの間に、弾性エレメントが設けられており、弾性エレメントは、プラグハウジングとグローチューブとの間の中間スペースをシールする。弾性エレメントは、リングエレメント又はスプリングエレメントとして構成されている。弾性エレメントの調整は、ハウジング内部に取り付けられたプレスリング又は溶接継ぎ目を介して行われる。
【0004】
力伝達体としてのグローチューブとプラグハウジングとの間に取り付けられている曲げ弾性的なダイヤフラムは、内燃機関の燃焼室内の高い温度によって熱衝撃が加わり、それにより、曲げ弾性的なダイヤフラムの弾性特性が変化し、それにより、測定結果が劣化してしまう。更に、熱衝撃は、曲げ弾性的なダイヤフラムの熱機械的応力を生じ、この熱機械的応力では、ダイヤフラム内に高い局所的且つ時間的温度勾配が生じる。高い温度勾配と同時に、熱膨張及び張力が生起して、曲げ弾性的なダイヤフラムの寿命を低下させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ公開特許第102005061879A1号公報
【特許文献2】ドイツ公開特許第102004012673A1号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明の圧力測定装置は、曲げ弾性的なダイヤフラムが燃焼室に対して確実にシールされ、且つ、燃焼室の熱から保護され、乃至、遮蔽されるという利点を有している。それにより、内燃機関の燃焼室内の圧力を、不利な諸条件下でも正確に測定することができる。その際、測定の精度は、長い寿命に亘って維持される。この際、付加的なダイヤフラムは、ハウジングの内側と力伝達体の外側との間に取り付けられている曲げ弾性的なダイヤフラムを、内燃機関の燃焼室からの燃料の温度の作用及び影響に対して遮蔽する。本発明の圧力測定装置は、熱衝撃がダイヤフラムに及ぼす不利な諸作用を簡単に最小化することができる。圧力測定装置の測定精度は、付加的なダイヤフラムを配置することによって実際上何ら損なわれず、それと同時に、圧力測定装置の寿命を延ばすことができる。
【0007】
本発明の有利な各実施例は、各従属請求項の各手段によって可能である。
【0008】
曲げ弾性の付加的なダイヤフラムがフレキシブルに構成されているようにすることにより、力伝達体とハウジングとの間の相対的な運動が最小限にしか損なわれない。フレキシブルとは、曲げ弾性的な付加的なダイヤフラムの曲げ剛性が、明らかに、曲げ弾性的なダイヤフラムの曲げ剛性よりも小さいということである。それにより、付加的なダイヤフラムは、曲げ応力をあまり受けず、その限りで、力伝達体を用いて受け取られて測定される圧力に最小の機械的な諸作用しか及ぼさない。それにより、本発明の圧力測定装置の高い測定精度を保証することができる。
【0009】
有利な実施例では、力伝達体の外側に第1のサポートリングが設けられており、ハウジングの内側に第2のサポートリングが設けられており、第1のサポートリングと第2のサポートリングとの間に曲げ弾性的な付加的なダイヤフラムが設けられている。ここで第1のサポートリングと第2のサポートリングとの間に、リング状間隙が形成されており、その際、第1のサポートリングと第2のサポートリングの、燃焼室側の端面に、曲げ弾性的な付加的なダイヤフラムが、リング状間隙をカバーするように設けられている。
【0010】
更に、付加的なダイヤフラムは、第1のサポートリングと第2のサポートリングの端面上に取り付けられており、その際、付加的なダイヤフラムは、内燃機関の燃焼室内の圧力によって各サポートリングに押圧されている。それにより、付加的なダイヤフラムを各サポートリングに安定して平面状に押圧することが保証される。
【0011】
更に、本発明の圧力測定装置は、有利には、力伝達体が、ハウジングに対して軸方向に燃焼室の方向に位置がずらされているように取り付けられている。これにより、付加的なダイヤフラムは、取り付け時にプレストレスを掛けられる。圧力測定装置の作動中、燃焼室からの圧力は、付加的なダイヤフラムの前負荷とは逆方向に作用する。この際、力伝達体は、軸方向でハウジングに対向して燃焼室から軸方向に離れ、その結果、各サポートリングの各端面は同一平面で対向する。この際、付加的なダイヤフラムは、機械的な各応力からほぼ自由である状態である。従って、燃焼室内の圧力の変動は、力伝達体とハウジングとの間でほんの僅かな相対運動しか生じず、それにより、付加的なダイヤフラムには、作動中、僅かな曲げ応力しか加わらない。燃焼室内の低い圧力変動は、付加的なダイヤフラムが機械的な応力からほぼ自由であるために、付加的なダイヤフラムの僅かな変動しか生じない。これにより、付加的なダイヤフラムの寿命は延長される。
【0012】
有利には、付加的なダイヤフラムは、熱伝導材料製である。熱伝導材料は、強烈な熱作用時に均等な熱分布及び低い局所的温度勾配になりやすい。これにより、付加的なダイヤフラムに及ぼす熱衝撃の影響を低減することができる。熱衝撃の応力によって、別の各構成要素が損なわれてしまわないようになる。これにより、付加的なダイヤフラムにとって、高い遮蔽作用と高い信頼度を保証することができる。同様に、付加的なダイヤフラムは、高強度鋼合金製であるようにすると有利である。高強度鋼合金は、高い温度耐性及び疲労耐性を有しており、且つ、簡単に製造可能である。更に、高強度鋼合金は、溶接することができる。高強度鋼合金の温度耐性及び疲労耐性は、有利なやり方で、付加的なダイヤフラムに掛けられる機械的且つ熱的な耐性の点での各条件を充足する。そうすることによって、材料の劣化によって圧力測定装置の測定精度が低下しないようになり、圧力測定装置の長い寿命を保証することができる。
【0013】
付加的なダイヤフラムは、有利には、密に周回する溶接を介して各サポートリングと結合されている。周回する各溶接部は、簡単に製造可能であり、高温時に高い強度にすることができる。それにより、各溶接部の後ろ側に位置している曲げ弾性的なダイヤフラムを確実にシールすることができる。更に、そのような各溶接部の製造は、簡単に自動化される。周回する溶接部は、内燃機関の燃焼室からの圧力及び温度の作用に曝されている付加的なダイヤフラムの剛性及び温度耐性での各条件を充足し、且つ、付加的なダイヤフラムの高い信頼度を確実にする。
【0014】
付加的なダイヤフラムは、有利には、厚み0.05mm〜0.5mmの薄膜として構成されている。厚み0.05mm〜0.5mmは、曲げ弾性的なダイヤフラムの有効な熱的遮蔽を確実にし、曲げ弾性的なダイヤフラムは、内燃機関の燃焼室内での各条件に耐性を有する。それにより、付加的なダイヤフラムは、良好に変形可能である。付加的なダイヤフラムは、容易に湾曲し、実際上、曲げモーメントを受けない。厚み0.05mm〜0.5mmは、付加的なダイヤフラムに、有利にも同時に薄膜の特性を与えて、熱遮蔽を呈し、且つ、それと同時に、高い程度に変形可能性を有することができるようになる。
【0015】
更に、第1のサポートリングと第2のサポートリングとの間に、リング状間隙が形成されており、その際、間隙の幅は、付加的なダイヤフラムの厚みの1〜3倍である。リング状間隙の幅は、燃焼室からの圧縮応力の結果、付加的なダイヤフラムが湾曲し得る程度により特定される。この際、広幅の間隙により、ハウジングに対して、力伝達体の高い軸方向の運動性を達成することができ、その際、付加的なダイヤフラムは、力伝達体とハウジングとの間の相対運動を損なわない。これに対して、狭幅の間隙によると、付加的なダイヤフラムは、燃焼室からの圧力の影響の結果、僅かしか変形しないようになる。この際、付加的なダイヤフラムの僅かな湾曲部だけが、間隙の領域内に形成されている。これにより、付加的なダイヤフラムの圧力が加わった表面はほぼ一定のままであり、その結果、実際上、圧力測定装置の測定結果が損なわれることはない。付加的なダイヤフラムの1〜3倍の厚みの幅を持ったリング状の間隙にした場合、ハウジングに対する力伝達体の軸方向移動と圧力測定装置の測定精度との有利な組み合わせを達成することができる。
【0016】
更に、本発明の圧力測定装置の各実施例は、少なくとも1つのサポートリングが丸みを帯びた縁部を有しているようにすると有利である。サポートリングの丸みを帯びた縁部により、リング状間隙の領域内に付加的なダイヤフラムを連続的に当接することができるようになる。これにより、付加的なダイヤフラムの湾曲した領域は、僅かな曲率半径を有している。それにより、僅かな曲率半径の領域内に、低い機械的な応力しか生じない。付加的なダイヤフラムの低減された機械的応力は、この付加的なダイヤフラムの寿命及び信頼度を高める。
【0017】
付加的なダイヤフラムは、燃焼室からの燃焼ガスに曝されており、燃焼ガスは、高い温度を有している。更に、燃焼ガスは、残留燃料を有しており、その結果、付加的なダイヤフラムは、高い腐食の危険性に曝されている。耐食性材料製の付加的なダイヤフラムは、この不都合な諸条件に耐え、高い信頼度を有している。更に、付加的なダイヤフラムは、圧力測定装置内で高い回数の負荷サイクルに曝されている。それにより、付加的なダイヤフラムは、材料の疲労の結果、機能しなくなる危険性がある。耐疲労性材料製の付加的なダイヤフラムは、高い回数の負荷変動に耐える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2a】組み立て状態でのプレストレスを掛けられた付加的なダイヤフラムの略図である。
【
図2b】作動状態での付加的なダイヤフラムの略図である。
【
図3】別の実施例による本発明の圧力測定装置の横断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0020】
図1には、圧力測定装置の燃焼室側の部分が図示されている。圧力測定装置は、力伝達体12を有しており、力伝達体12は、ハウジング14内に収容されている。力伝達体12は、内燃機関の燃焼室26に曝されており、ケーシング14に対向して長手方向軸線17に沿って軸方向に可動にハウジング14内に設けられている。力伝達体12は、ハウジング14内に曲げ弾性的なダイヤフラム16を用いて保持されている。そのために、曲げ弾性的なダイヤフラム16は、内側サポート部21と外側サポート部23を有している。その際、曲げ弾性的なダイヤフラム16は、内側サポート部21が力伝達体12の外側20に取り付けられており、外側サポート部23がハウジング14の内側22に、例えば、それぞれ周回する溶接継ぎ目を用いて取り付けられている。それにより、力伝達体12とハウジング14との間に形成された内部スペース18は、ダイヤフラム16を用いて内燃機関の燃焼室26に対してシールされている。
【0021】
力伝達体12に圧力24を加える、燃焼室26内の圧力は、曲げ弾性的なダイヤフラム14に基づいて、力伝達体12がハウジング14に対向して長手方向軸線17に沿って軸方向に移動するように作用する。曲げ弾性的なダイヤフラム16は、曲げ剛性を有して弾性的に構成されており、その際、力伝達体12がハウジング14内で所要のようにハウジング14内での軸方向の移動を行うことができて、力伝達体12に加わる圧力を圧力測定ユニット50に伝達することができるようになる。圧力測定ユニット50は、例えば、第1のサポートエレメント51、第2のサポートエレメント52及び圧力センサ53を有している。第1のサポートエレメント51は、力伝達体12と作用接続されている。第2のサポートエレメント52は、ハウジング14に支持されている。第1のサポートエレメント51と第2のサポートエレメント52との間に、圧力センサ53が前負荷力を用いて設けられている。圧力センサ53は、例えば、圧電素子であり、圧電素子は、力伝達体12に作用し、且つ、第1のサポートエレメント37を介して伝達された圧力を検出する。
【0022】
ハウジング14と力伝達体12の間に、付加的に1つの曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム30が設けられており、この曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム30は、曲げ弾性的なダイヤフラム16の手前の燃焼室側に支承されている。付加的なダイヤフラム30の役目は、曲げ弾性的なダイヤフラム16を燃焼室26に対してシールし、従って、曲げ弾性的なダイヤフラム16を、燃焼室26からの温度及び圧力の影響から遮蔽することにある。曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム30は、フレキシブルな材料製であり、この材料は、曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム28の曲げ剛性が、曲げ弾性的なダイヤフラム16の曲げ剛性よりも明らかに小さいように製造されている。
【0023】
曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム30の実施例は、
図2a及び2bに詳細に図示されている。そのために、曲げ弾性的なダイヤフラム16の、燃焼室26側に、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32が設けられている。第1のサポートリング31は、力伝達体12の外側20にシールして取り付けられており、第2のサポートリング32は、ハウジング14の内側22にシールして取り付けられている。サポートリング31及び32は、それぞれ燃焼室26側の端面35を有している。第1のサポートリング31と第2のサポートリング32との間に、リング状の間隙33が構成されており、リング状の間隙33は、力伝達体12を囲繞している。サポートリング31及び32の、燃焼室26側の端面35上に、付加的なダイヤフラム30が取り付けられている。その際、付加的なダイヤフラム30は、第1のサポートリング31と第2のサポートリング32との間に形成されたリング状の間隙33を橋絡している。その際、間隙33の幅は、有利には、付加的なダイヤフラム30の厚みの1〜3倍である。それにより、付加的なダイヤフラム30の十分な曲げ弾性を確保し、曲げ弾性的なダイヤフラム16を燃焼室26からの温度及び圧力の作用から一層確実に遮蔽することができるようになる。
【0024】
付加的なダイヤフラム30は、例えば、サポートリング31,32と、周回する溶接部を用いて結合されている。周回する溶接部は、金属材料の負荷可能な結合部を形成し、更に自動的に製造可能である。更に、付加的なダイヤフラム30は、有利には、厚み0.05mm〜0.5mmを有している。この厚みの付加的なダイヤフラムは、高い動作安定性を有しており、それと同時に、容易に変形可能であり、それにより、力伝達体とハウジングとの間の相対的な移動は阻止されない。更に、本発明の圧力測定装置の実施例は、リング状の間隙33が2mmを下回る幅を有していると有利である。この幅のリング状の間隙33により、力伝達体12の、ハウジング14に対する阻止されない相対移動を確保し、それと同時に、付加的なダイヤフラム30が僅かしか変形しないようにすることができる。付加的なダイヤフラム30の強すぎる変形は、当該付加的なダイヤフラム30の寿命を低下させ、且つ、燃焼室26内の圧力の不正確な測定を生じる。
【0025】
図2aは、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32を組み立て状態で略示し、組み立て状態では、圧力24は、圧力測定装置10に作用しない。この際、第1のサポートリング31は、第2のサポートリング32に対して、長手方向軸線17に沿って燃焼室26の方向に軸方向にずらされている。それにより、付加的なダイヤフラム30には、前負荷力38が加えられる。更に、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32は、端面35に、丸みを帯びた外縁部37を有しており、外縁部37は、リング状の間隙33の領域内に位置している。付加的なダイヤフラム30は、薄膜の形式で、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32に平坦に取り付けられており、リング状の間隙33を橋絡している。
【0026】
図2bには、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32に取り付けられた付加的なダイヤフラム30が、燃焼室26からの圧力40の圧力作用下での作動状態中で略示されている。その際、前負荷力38は、圧力40とは逆向きである。圧力40のために、力伝達体12は、長手方向軸線17に沿って燃焼室26から離れるようにずらされる。付加的なダイヤフラム30は、サポートリング31及び32の端面35に一貫して平坦に当接する。サポートリング31と32との間に、付加的なダイヤフラム3によって橋絡されるリング状の間隙33が形成されている。この際、サポートリング31,32の丸みを帯びた各縁37に、付加的なダイヤフラム30が単に部分的に当接している。それにより、付加的なダイヤフラム30は、リング状の間隙33の領域内で負荷下で僅かな変形部を有している。
【0027】
図3に略示した圧力測定装置では、内側の第1のサポートリング31は、曲げ弾性的なダイヤフラム16の内側サポート部21に直接隣接している。この際、付加的なダイヤフラム30は、プレストレスを掛けられていない状態で示されており、第1のサポートリング31及び第2のサポートリング32の各端面35上に薄膜のように載置される。付加的なダイヤフラム30は、ここでもリング状の間隙33を橋絡しており、間隙33は、第1のサポートリング31と第2のサポートリング32との間に形成されており、従って、燃焼室側のスペースを曲げ弾性的なダイヤフラム16から確実にシールする。
【符号の説明】
【0028】
12 力伝達体
14 ハウジング
16 曲げ弾性的なダイヤフラム
18 内部スペース
20 外側
21 内側サポート部
22 内側
23 外側サポート部
26 燃焼室
30 曲げ弾性的な付加的なダイヤフラム
31 第1のサポートリング
32 第2のサポートリング
33 リング状間隙
35 端面
37 丸みを帯びた外縁部
50 圧力測定ユニット
51 第1のサポートエレメント
52 第2のサポートエレメント
53 圧力センサ