(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798260
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】アルミナ担体の表面改質方法
(51)【国際特許分類】
B01J 32/00 20060101AFI20151001BHJP
B01J 33/00 20060101ALI20151001BHJP
B01J 27/24 20060101ALI20151001BHJP
C01F 7/02 20060101ALI20151001BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
B01J32/00
B01J33/00 A
B01J33/00 G
B01J27/24 M
C01F7/02 D
B01J37/02 101E
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-560231(P2014-560231)
(86)(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公表番号】特表2015-509446(P2015-509446A)
(43)【公表日】2015年3月30日
(86)【国際出願番号】CN2013072117
(87)【国際公開番号】WO2013131454
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】201210055808.0
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】313009936
【氏名又は名称】▲陽▼光▲凱▼迪新能源集▲団▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼申▲コー▼
(72)【発明者】
【氏名】宋▲徳▼臣
(72)【発明者】
【氏名】▲ジャン曉東▼
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−198690(JP,A)
【文献】
特開2011−219309(JP,A)
【文献】
特開平03−193681(JP,A)
【文献】
特開2001−031887(JP,A)
【文献】
特開昭58−055333(JP,A)
【文献】
特開昭61−036120(JP,A)
【文献】
米国特許第04944930(US,A)
【文献】
特開昭59−169911(JP,A)
【文献】
米国特許第04952389(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C01F 7/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ担体の表面改質方法であって、
1)可溶性アジ化物を脱イオン水に溶かしてアジ化物水溶液を調整する工程と、
2)アルミナ担体を前記アジ化物水溶液に吸収させ、次に前記アルミナ担体を真空環境で乾燥させる工程と、
3)乾燥したアルミナ担体を反応器内に置き、四塩化ケイ素を加え、グリニャール試薬を滴下し、前記反応器を密封し、前記反応器を加熱し、反応温度を3〜18時間維持する工程と、前記加えられた四塩化ケイ素およびアルミナ担体の体積比は、0.5〜5:1となるように制御され、反応温度は160〜350℃に制御され、
4)前記反応器を冷却させた後に前記アルミナ担体をろ過し、前記アルミナ担体を洗浄し、前記アルミナ担体を再度真空環境で乾燥させて、表面改質アルミナ担体を得る工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記工程1において、可溶性アジ化物塩は、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、アジ化アンモニウム、アジ化カルシウム、アジ化セシウム、アジ化バリウムの中の一つまたは複数である、請求項1のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項3】
前記工程1において、可溶性アジ化物水溶液の重量パーセント濃度は、5〜30%に制御される、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項4】
前記工程2において、アルミナ担体は、α、γ、δ、κ、またはθ結晶形アルミナの一つまたは複数である、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項5】
前記工程2において、アルミナ担体を真空環境で乾燥させるための温度は20〜80℃に制御され、乾燥時間は2〜4時間に制御される、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項6】
前記工程3の反応器加熱温度は180〜250℃に制御される、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項7】
前記工程3で加えられる四塩化ケイ素とアルミナ担体の体積比は1〜2:1となるように制御される、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項8】
前記工程3で加えられるグリニャール試薬の体積は、四塩化ケイ素の体積の0.1〜2%である、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項9】
前記工程4において、無水エチルアルコールおよび脱イオン水で連続して洗浄する、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【請求項10】
前記工程4において、真空環境で乾燥させるための温度は20〜80℃に制御され、乾燥時間は2〜4時間に制御される、請求項1または2のアルミナ担体の表面改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒担体の改質の技術分野に関し、特に、アルミナ担体の表面改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミナは産業で幅広く利用されている触媒担体である。機械強度や水熱安定性に優れている。化学工業や石油生成など、様々な工業分野の触媒で広く利用されている。触媒担体として、アルミナの表面の化学的性質(酸性度やアルカリ度、腐食耐性、金属と担体間の相互作用等)や物理的性質(機械強度、伝熱性等)は、担持する触媒の性質に大きく影響する。
【0003】
しかし、触媒担体として、アルミナには幾つかの欠点がある。第1に、担体としてのアルミナの機械強度は相対的に低く、特に耐摩耗性が低い。特定の反応状況(連続撹拌スラリー床反応器、循環型流動床反応器等)では、担体は破砕し、触媒の使用寿命を短くすることから、触媒粉末からの生成物の分離が困難になるという問題が更に生じる。第2に、アルミナ担体の耐酸性が相対的に低い。酸性環境では、アルミナの表面は溶解し易く、活性金属と担体の間の結合が著しく弱められる。次に、活性金属は反応の間に担体から離され易い。対応して、触媒の耐用年数と生成物の品質が損なわれる。第3に、担持される活性金属はアルミナ担体と強い相互作用を有する。相互作用により、スピネル型構造を備えたアルミン酸塩化合物が形成され易く、この化合物は触媒の焙焼過程の間に還元され難い。対応して、活性金属の還元性や利用効率が低下する。即ち、アルミナ担体の表面を改質して、化学的性質や物理的性質を改善することが必要である。
【0004】
特許文献1は、アルミナ担体およびその製造方法を開示している。改質後の担体表面は、改質元素M(MはLa、Ce、Pr、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn等)によりアルミナを改質することにより形成されるスピネル型構造化合物の層を有する。改質元素Mの質量分率は、改質されていないアルミナの量の0.1〜10wt%である。この方法によれば、担体表面の酸性度を低減させるとともに、表面上の活性金属と担体の間の相互作用を阻止することができるので、長期にわたる作用の間に、水素化触媒の活性度と安定性を高く維持することができる。この方法は、担持活性金属とアルミナ担体の相対的に強い相互作用を低減するものであるが、表面の耐酸性や耐摩耗性を明らかに改善することはできない。特許文献2は、改質触媒担体の製造方法を開示している。担体はアルミナ、二酸化チタン、酸化マグネシウム、ジルコニア、または耐火性酸化物およびその混合物であってよい。TEOSおよび希酸により生成されるモノケイ酸は担体と反応して約0.1〜10.6Si/nm
2で担体表面に堆積し、ケイ素原子はシリコン−酸素結合により、担体材料と結合される。改質後、担体の耐摩耗性や耐拡散性が改善する。しかし、耐酸性は効果的に改善せず、また、担持金属とアルミナ担体の間の相互作用を効果的に阻止するものではない。上述の特許のいずれも化学的方法を用いて、アルミナ担体表面に酸化被膜を形成しており、アルミナ担体表面の化学的性質や物理的性質が変化し、耐摩耗性が改善し、或いは担持金属と担体間の相互作用が阻止される。一方、酸化層は主に金属酸化物または酸化ケイ素から構成されるので、酸化層の性質改質後に機械強度や、担持金属と担体間の相互作用、改質後のアルミナの耐酸性が決まる。上述の特許はこれらの性質全てを同時に達成するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第201110004999.3号
【特許文献2】中国特許出願第200480041633.1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
窒化ケイ素は、耐摩耗性、化学的不活性、耐酸性、および伝熱性において非常に優れた性質を有するが、窒化ケイ素から作られる通常の材料は、比表面積が相対的に小さい(1m
2/g未満)。担持活性金属の割合を高めることは困難であり、従って、窒化ケイ素は触媒担体として直接使用することはできない。アルミナが窒化ケイ素により改質されるならば、両者の効果が組み合わせられ、即ち、新しい材料は、アルミナから大きな比表面積や多孔質構造を得るとともに、窒化ケイ素から高い耐摩耗性、化学的不活性、高い耐酸性を得るであろう。しかし、窒化ケイ素の合成条件は相対的に厳しく、例えば、窒化ケイ素の合成温度は通常1200℃を超え、これは殆どのアルミナ担体の結晶転移温度よりも高く、また、合成後の一次生成物は複雑な不純物を含む。従って、アルミナの表面上で窒化ケイ素を合成することにより担体表面を改質するために、通常の方法を利用することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題に鑑み、本発明の目的の一つは、アルミナ担体の表面を改質する方法を提供することにある。本方法は、穏やかな反応条件で、アルミナ担体表面上で窒化ケイ素を合成することにより、アルミナ担体の様々な性質を改善するものである。
【0008】
上記の目的を達成するために、以下の技術的構想が提供される。
【0009】
1)可溶性アジ化物塩を脱イオン水に溶解してアジ化物水溶液を調整する工程。
【0010】
2)アルミナ担体を工程1のアジ化物水溶液に吸収させ、次にアルミナ担体を真空環境で乾燥させる工程。
【0011】
3)アルミナ担体を反応器内に置き、四塩化ケイ素を加え、グリニャール試薬を滴下し、反応器を密封し、反応器を加熱し、反応温度を3〜18時間維持する工程。加えられた四塩化ケイ素およびアルミナ担体の体積比は0.5〜5:1となるように制御され、反応器の加熱温度は160〜350℃に制御される。
【0012】
4)反応器を冷却し、アルミナ担体をろ過し、アルミナ担体を洗浄し、アルミナ担体を再度真空環境で乾燥させて、改質されたアルミナ担体表面を得る工程。
【0013】
好適な態様において、工程1の可溶性アジ化物塩は、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、アジ化アンモニウム、アジ化カルシウム、アジ化セシウム、アジ化バリウムの中の一つまたは複数である。
【0014】
好適な一態様において、工程1の可溶性アジ化物の重量パーセント濃度は、5〜30%に制御されることにより、アルミナ担体の表面は充分な濃度のアジ化物により被覆されると同時に、アジ化物の結晶化が回避される。
【0015】
別の好適な態様において、工程2のアルミナ担体は、α、γ、δ、κ、またはθ結晶形アルミナの中の一つまたは複数である。
【0016】
好適な一態様において、工程2では、真空環境で乾燥させるための温度は20〜80℃に制御され、乾燥時間は2〜4時間に制御される。上記の環境では、アルミナ担体上の水分が効果的に除去されるので、次の工程での合成反応に良い。
【0017】
別の好適な態様において、工程3の反応器加熱温度は180〜250℃に制御されるので、反応の効果的な制御が正常に処理されると共に、高温でのアジ化物の化合物の分解を避けることができる。
【0018】
好適な一態様において、工程3で加えられた四塩化ケイ素とアルミナ粉末の体積比は1〜2:1となるように制御されるので、四塩化ケイ素を酸化アルミに霧担体に完全に含浸させると共に担体細孔に入れることができる。
【0019】
好適な一態様において、工程3で加えられるグリニャール試薬の体積は、四塩化ケイ素の体積の0.1〜2%である。本明細書では、グリニャール試薬は、四塩化ケイ素とアジ化物の間の反応速度を加速するとともに、それらの間の充分な反応を確実にするための触媒として作用する。
【0020】
別の好適な態様において、工程4の洗浄作用では、最初に無水エチルアルコールを洗浄溶液として利用し、次に脱イオン水を洗浄溶液として利用するので、アルミナ担体表面に付着する有機不純物や塩化物副産物を取り除くことができる。
【0021】
好適な一態様において、工程4の真空環境で乾燥させるための温度は20〜80℃に制御され、乾燥時間は2〜4時間に制御される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の効果は以下のとおりである。本発明はソルボサーマル合成法を利用して、相対的に低温で四塩化ケイ素とアルミナ担体表面を合成して、緻密な窒化ケイ素層を形成するので、アルミナ担体の多孔質構造と、窒化ケイ素の高い機械的強度や化学的不活性を完全に組み合わせることができ、機械的強度(特に耐摩耗性)や耐酸性が大きく改善され、また、担持金属と担体の間の相互作用を効果的に阻止する。窒化ケイ素は一種の超硬質物質であるとともに高い耐磨耗性を有し、それと共に窒化ケイ素は通常、軸受けやタービンリーフなどの機械部品に作られる。したがって、改質された担体は同様に高い耐磨耗性を有する。窒化ケイ素は良好な化学的不活性を有しており、それにより改質された担体は担持金属と担体の間の相互作用を効果的に阻止する。また、窒化ケイ素は高い耐酸性を有する。窒化ケイ素はフッ化水素酸以外の有機酸と反応しない。従って、改質された担体は同様に高い耐酸性を有する。
【0023】
本発明により改質されたアルミナ担体は、金属触媒を製造するのに適するとともに、触媒の性質や使用寿命を効果的に改善することができる。また、本方法は、窒化ケイ素材料の合成に関連する現在の技術における高いエネルギ消費や残留不純物の問題を効果的に解消する。さらに、本方法は工程が単純であり、制御が容易であり、装置に対する要件が少なく、相対的にエネルギ消費が低い。従って、本方法は大量生産に適する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を、実施形態を参照して以下に更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
1.200gのアジ化アンモニウムを脱イオン水に溶解させて、重量パーセント濃度が18%のアジ化アンモニウム水溶液を調整する。
【0026】
2.上記の水溶液200mLにγ-アルミナ粉末を注ぎ入れる。予備か焼処理後のこの粉末の平均粒径は85μmであり、かさ密度は1.2g/mLであり、比表面積は200m
2/gである。完全攪拌後の水溶液をろ過し、温度が50℃の真空乾燥キャビネット内で4時間乾燥させる。
【0027】
3.乾燥したアルミナ担体をステンレス鋼の反応器に入れ、200mLの四塩化ケイ素を加え、1mLのグリニャール試薬を滴下し、反応器を密封し、高純度の窒素を10分間注入し、次に温度を3℃/分の速度で250℃に上昇させ、この温度を10時間維持する。
【0028】
4.反応器を室温に冷却し、反応器を開放し、アルミナ担体をろ過し、アルミナ担体を2〜3回連続して無水エチルアルコールと脱イオン水で洗浄し、次にアルミナ担体を温度50℃の真空乾燥キャビネット内で4時間乾燥させて表面改質アルミナ担体を得る。
【実施例2】
【0029】
工程1において、アジ化アンモニウム溶液の重量パーセント濃度を25%に上げたことを除き、他の作用は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0030】
工程3において、反応を維持するためにステンレス鋼反応器内温度を200℃に制御することを除き、他の作用は実施例1と同じである。
【実施例4】
【0031】
工程3において、温度を維持するための時間が4時間に制御されることを除き、他の作用は実施例1と同じである。
【実施例5】
【0032】
1.200gのアジ化カルシウムを脱イオン水に溶解させて、重量パーセント濃度が30%のアジ化カルシウム水溶液を調整する。
【0033】
2.上記の水溶液300mLに円筒状アルミナ担体を注ぎ入れる。予備か焼処理後のこの粉末の平均粒径は1.8mmであり、かさ密度は0.6g/mLであり、粒子長さは5〜6mmであり、比表面積は150m
2/gであり、γ-アルミナとα-アルミナの重量パーセントはそれぞれ88%と12%である。完全攪拌後の水溶液をろ過し、温度が80℃の真空乾燥キャビネット内で2時間乾燥させる。
【0034】
3.乾燥したアルミナ担体をステンレス鋼の反応器に入れ、500mLの四塩化ケイ素を加え、5mLのグリニャール試薬を滴下し、反応器を密封し、高純度の窒素を10分間注入し、次に温度を3℃/分の速度で350℃に上昇させ、この反応温度を3時間維持する。
【0035】
4.反応器を室温に冷却し、反応器を開放し、アルミナ担体をろ過し、アルミナ担体を2〜3回連続して無水エチルアルコールと脱イオン水で洗浄し、次にアルミナ担体を温度70℃の真空乾燥キャビネット内で3時間乾燥させて表面改質アルミナ担体を得る。
【実施例6】
【0036】
工程2において、円筒状アルミナ担体を粒径がΦ3mmの球状アルミナ担体に置き換え、アルミナ担体が重量パーセントで20%のδ-アルミナと80%のθ-アルミナから構成される点を除き、他の作用工程は実施例5と同じである。
【実施例7】
【0037】
1.100gのアジ化ナトリウムおよび100gのアジ化カリウムを脱イオン水に溶解させて、重量パーセント濃度がいずれも10%のアジ化ナトリウムとアジ化カルシウムを有する混合溶液を調整する。
【0038】
2.上記の水溶液200mLに平均粒径が150μmのθ-アルミナ担体粉末を注ぎ入れる。完全攪拌後の水溶液をろ過し、温度が30℃の真空乾燥キャビネット内で3時間乾燥させる。
【0039】
3.乾燥したアルミナ担体をステンレス鋼の反応器に入れ、300mLの四塩化ケイ素を加え、2mLのグリニャール試薬を滴下し、反応器を密封し、高純度の窒素を10分間注入し、次に温度を2℃/分の速度で160℃に上昇させ、この反応温度を18時間維持する。
【0040】
4.反応器を室温に冷却し、反応器を開放し、アルミナ担体をろ過し、アルミナ担体を2〜3回連続して無水エチルアルコールと脱イオン水で洗浄し、次にアルミナ担体を再度温度40℃の真空乾燥キャビネット内で2時間乾燥させて表面改質アルミナ担体を得る。
【0041】
上述の実施例1〜4の方法で改質されたアルミナ担体の物理的性質および化学的性質を試験する。結果は以下の表1に示すとおりである。表1において、対照となる試料は、関連する実施例の同じバッチで製造された未改質γ-アルミナである。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例7の方法で改質されたアルミナ担体の物理的特性と化学的特性の試験を行った。結果は以下の表2に示すとおりである。表2において、対照となる試料は、実施例のアルミナと同じバッチで製造された未改質θ-アルミナである。
【0044】
【表2】
【0045】
表1および表2のデータによれば、本発明の改質されたアルミナ担体では、細孔の構造の性質(合計比表面積、平均細孔径、合計細孔容積)において明らかな差は示されておらず、即ち、改質アルミナ担体は元の担体の細孔構造の性質を維持しており、担持型金属触媒の担体として利用するのに適するものである。また、ASTMD5757-00に相当するジェットリング試験での担体の耐摩耗試験によれば、摩耗後の平均粒径と比較すると、改質された担体の平均粒径は改質されていない担体よりも明らかに大きいことがデータからわかる。即ち、担体の耐摩耗性は明らかに改善されており、耐摩耗性は窒化ケイ素の質量パーセントの増加を受けて改善される。
【0046】
また、表1および表2のデータによれば、アジ化物溶液の濃度を高めると、担体表面に含浸されるアジ化物の量も増加する。四塩化ケイ素およびアルミナの反応温度を上昇させたり、或いは反応時間を延長させると、それらの間の反応の完全性を高めることができる。これらの要因全てが、窒化ケイ素の重量パーセントを効果的に増加させるとともに、アルミナ表面での窒化ケイ素層の厚みの増加と等しい効果を有する。