特許第5798278号(P5798278)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5798278
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】医療システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20151001BHJP
   A61B 8/12 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   A61B8/00
   A61B8/12
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-527610(P2015-527610)
(86)(22)【出願日】2015年1月16日
(86)【国際出願番号】JP2015051094
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-14683(P2014-14683)
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】吉村 武浩
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−330324(JP,A)
【文献】 特開2006−325016(JP,A)
【文献】 特開2006−191279(JP,A)
【文献】 特開2009−106494(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/148730(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体画像上に所望の文字情報をコメントとして表示可能な医療システムにおいて、
タッチパネルを備える操作部と、
前記操作部と通信手段を介して接続された、前記被検体画像の観測制御を行う第1の制御部と、
複数の前記コメントの種別に係るコメント群情報を保持する記憶部と、
前記記憶部から前記コメント群情報を読み出し、前記操作部との間において、前記コメント群情報を送受信する第1の送受信部と、
前記操作部に設けられ、前記第1の送受信部との間で、前記コメント群情報を送受信する第2の送受信部と、
前記操作部に設けられ、前記第2の送受信部が受信した前記コメント群情報に応じて前記タッチパネル上に、対応するコメントを表示するタッチパネル画像処理部と、
前記タッチパネル画像処理部によって複数の前記コメントが前記タッチパネルに表示された状態でタッチパネル上の所望のコメントを選択した際、前記第1の送受信部が受信した前記タッチパネル上のコメントを前記記憶部から読み出し、前記対応するコメントを前記被検体画像に表示する画像処理部と、
前記操作部に設けられ、前記コメント群情報を読み出し、前記第1の制御部に送信するように、前記第1および第2の送受信部の制御を行う第2の制御部と、
前記第1および前記第2の制御部と接続され、前記第1または第2の制御部の処理負荷の状況に応じて前記コメント群情報の送受信を制御するコメント送受指示部と、
を備えることを特徴とする医療システム。
【請求項2】
前記記憶部が記憶している前記コメント群情報には、前記各コメントに対応する前記タッチパネル上の位置情報も含まれ、
前記タッチパネル画像処理部は、前記コメント群情報の前記タッチパネル上の位置情報に応じて前記タッチパネル上の対応する位置に対応するコメントを表示し、
前記画像処理部は、前記第1の送受信部が受信した前記コメント群情報の前記タッチパネル上の位置情報に応じて対応するコメントを前記記憶部から読み出し、前記対応するコメントを前記被検体画像に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
請求項1に記載の医療システムは、被検体の超音波画像上に所望の文字情報をコメントとして表示可能な超音波観測システムであり、
前記第1の制御部は、前記操作部と通信手段を介して接続された、前記被検体画像の超音波観測制御を行い、
前記画像処理部は、前記タッチパネル画像処理部によって複数の前記コメントが前記タッチパネルに表示された状態でタッチパネル上の所望のコメントを選択した際、前記第1の送受信部が受信した前記タッチパネル上の位置情報に応じて対応するコメントを前記記憶部から読み出し、前記対応するコメントを前記被検体の超音波画像に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記被検体画像に所定の画像処理を施し、外部のモニタに表示せしめる超音波観測装置を有し、
前記操作部は、前記超音波観測装置の超音波観測装置本体部とは別体に構成され、
前記第1の制御部、前記記憶部、前記第1の送受信部および前記画像処理部は前記超音波観測装置本体部に設けられ、
前記第2の送受信部、前記タッチパネル画像処理部および前記第2の制御部は、前記操作部に設けられ、
前記超音波観測装置本体部における前記第1の送受信部と、前記操作部における前記第2の送受信部とは、ケーブルにより接続される
ことを特徴とする請求項に記載の医療システム。
【請求項5】
前記コメント送受指示部は、さらに、前記第1および第2の送受信部による前記コメント群情報の送受信の成否を判断し、前記第1の送受信部に再送信、または再送信のタイミングまたは再送信の情報量を指示することを特徴とする請求項に記載の医療システム。
【請求項6】
前記第1および第2の送受信部は、相互確認するシーケンスを用い、相互通信の成否および失敗した前記コメント群情報を前記コメント送受指示部に通知することを特徴とする請求項5に記載の医療システム。
【請求項7】
前記第1および第2の送受信部は、前記コメント群情報を1つ以上のブロックに分割して送受信し、前記コメント送受指示部からの指示に応じて、前記コメント群情報を全部または前記ブロックごとに選択的に送受信することを特徴とする請求項5に記載の医療システム。
【請求項8】
前記コメント送受指示部は、前記コメント群情報の送受信の成否を前記ブロックごとに判断し、送受信が失敗したブロックのみ再度送受信することを特徴とする請求項7に記載の医療システム。
【請求項9】
前記コメント送受指示部は、超音波観測装置本体部内の超音波観測動作による情報処理状況を監視し、当該超音波観測装置本体部の情報処理負荷に応じて前記コメント群情報の送受信を制御することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項10】
前記コメント送受指示部は、前記超音波観測装置本体部内の超音波観測動作に起因する情報処理を優先させるために、当該超音波観測装置本体部の情報処理負荷が高いときには前記コメント群情報の送受信を禁止し、同情報処理負荷が低いときには前記コメント群情報の送受信を許可することを特徴とする請求項9に記載の医療システム。
【請求項11】
前記超音波観測装置本体部は、さらに、
任意のコメントを前記コメント群情報のコメントとして入力する入力部と、
前記入力部により変更されたコメントを前記記憶部に記憶させるコメント生成部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の医療システム。
【請求項12】
前記コメント送受指示部は、さらに、前記超音波観測装置の起動時、前記操作部と前記超音波観測装置本体部との接続時、超音波観測モードの変更時、術者の変更時、または前記コメント生成部による前記コメント群情報の更新時のうち少なくとも1つのタイミングにおいて、前記記憶部が記憶している前記コメント群情報の送信を指示することを特徴とする請求項11に記載の医療システム。
【請求項13】
前記コメント送受指示部は、前記超音波観測装置の起動時、前記操作部と前記超音波観測装置本体部との接続時、超音波観測モードの変更時または術者の変更時には、前記コメント群情報の全てを送受信し、前記コメント生成部による前記コメント群情報の更新時には、前記コメント群情報の更新部分のみを送受信し、前記第1または第2の送受信部による送受信が失敗した際には、前記コメント群情報のうち送受信失敗した部分のみを送受信することを特徴とする請求項12に記載の医療システム。
【請求項14】
前記コメント群情報は、複数の情報セットを有し、観測モード、観測対象、患者または術者の別に応じて1つの所望な情報セットを選択することを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【請求項15】
前記コメント群情報は、観測モード、観測対象、患者または術者の別に応じて1つの所望な情報セットを手動もしくは自動に選択することを特徴とする請求項14に記載の医療システム。
【請求項16】
前記コメントは、少なくとも英数字または記号を含む文字情報であることを特徴とする請求項1に記載の医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の形状、性状または動態を可視化して所定の検査を行う医療機器を接続可能な観測装置を有する医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体内の形状、性状または動態を可視化して所定の検査を行う医療機器を接続可能な観測装置は種々知られているが、たとえば、超音波を用いて超音波検査を行う医療機器として、超音波プローブまたは電子走査型超音波内視鏡もしくは機械式走査型超音波内視鏡を接続可能な超音波観測装置が知られている。
【0003】
この種の超音波観測装置は、接続される超音波プローブまたは超音波内視鏡の超音波振動子から超音波パルスを生体組織に繰り返し送信し、この生体組織から反射される超音波パルスのエコー信号を受信して、生体内の情報を可視像の超音波断層画像として生成し、モニタ等の表示部に表示させている。
【0004】
また近年、この種の超音波観測装置本体部に、操作パネルとしての機能を果たすとともにLCD(Liquid Crystal Display)表示部を備えたキーボードを接続し、所定の操作を行う超音波観測システムも提案されている。
【0005】
一方、超音波内視鏡診断においては、関心領域の位置を特定するために、たとえば、周辺臓器またはリンパ節等の名称等を、当該超音波観測装置に接続される診断用モニタ等に表示する診断画像に入力することが求められていた。
【0006】
そして、上述のごとき操作パネルとしてのキーボードを超音波観測装置に接続する超音波観測システムにおいては、術者は前記キーボードにおける文字キーを用いて直接文字列を入力することが行われていた。
【0007】
しかしながら、この際、入力すべき文字を捜す際に手間取ったり、あるいは、入力ミスにより再度入力をやり直す等、不必要な時間を浪費することもあり、結果として、診断時間をロスする虞もあった。
【0008】
係る点に鑑み、従来、超音波観測装置内に予め登録したコメント群(診断時に入力頻度が高い医学的コメント群)のリストを診断用モニタ上に表示しておき(図7参照)、操作パネル(キーボード)上の選択手段、たとえば、トラックボール等により、当該診断用モニタ上の任意のコメントを選択する技術が知られている(日本国特開2007−330324号公報参照)。
【0009】
または、診断用モニタに表示した上記コメントリストにおけるそれぞれのコメントに所定の選択番号を対応付けておき、操作パネル(キーボード)上の該当番号キーを押下することで任意のコメントを選択する技術も知られている。
【0010】
さらに、操作パネルにおける前記LCD表示部に位置入力装置を組み合わせた、いわゆるタッチパネル機能を持たせるとともに、前記診断用モニタに表示したコメントリストにおけるそれぞれのコメントに対応付けられた前記選択番号に対応する番号ボタンを表示させ、当該番号ボタンに触れることで任意のコメントを選択する技術も知られている(図8参照)。
【0011】
また、診断用モニタ上における任意のコメントを選択するこれら技術において、当該診断用モニタに表示するコメント群を最小限にするため、観測モード(診断部位)または操作モード(たとえば、メカラジアル走査、電子ラジアル走査、電子コンベックス走査)等の切り替えに応じて表示するコメントを変更する技術、または、術者の好みでの表示コメントのカスタマイズを可能とする技術等が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、これら従来技術においては、たとえば図7に示すように、診断画像にコメントリストをオーバーレイして表示した際、場合によっては係る表示が診断の妨げとなる虞があった。
【0013】
また、診断画像を縮小し、そのスペースにコメント群を表示したとしても、縮小された画像が見づらくなり、少なからず診断に支障をきたしていた。
【0014】
すなわち、診断画像にコメント群を示すコメントリスト情報を表示することは、場合によっては診断効率を下げるという問題を有していた。
【0015】
また、通常の超音波内視鏡診断においては、術者は診断用モニタに正対して診断を行うこととなるが、上述のごとく、前記操作パネル(キーボード)が超音波観測装置本体部とは別体に設けられた超音波観測システムにおいては、当該操作パネルは術者の傍に置かれることが多く、この場合、術者は操作パネルを操作する際は診断用モニタから一旦目を離すこととなる。
【0016】
この状況においては、たとえば図8に示すごとき、タッチパネル機能を備えた操作パネルのLCD表示部に前記診断用モニタに表示したコメントリストにおけるそれぞれのコメントに対応付けられた前記選択番号に対応する番号ボタンを表示させた技術においても、当該操作パネルのコメント入力画面(LCDタッチパネル画面)のボタンには番号が表示されるのみであり、コメント入力時には、図7に示すごとく診断用モニタに表示する超音波画像に付加されたコメントリストを確認しながら、当該ボタンの操作を行うこととなる。
【0017】
すなわち、術者は診断用モニタと操作パネルとを交互に確認しながら操作することとなり、操作が煩わしかった。
【0018】
一方、上述した不具合を解消するために、超音波観測装置の本体部から操作パネルに対して、図7に示すごときコメントリストが付与された診断画像を伝送し、操作パネルにおける前記LCDタッチパネル画面に表示させることも考えられる。
【0019】
しかしながら、当該診断画像を操作パネル上のLCDタッチパネル画面に表示させようとすると、診断画像を送受する画像転送用のラインが別途必要となる。
【0020】
すなわち、操作パネルと超音波観測装置の本体部とを接続するケーブルが太くなり、結果として、操作パネルのとりまわしが煩雑となっていた。
【0021】
さらに、操作パネル上のLCDタッチパネル画面を映像モニタのごとく使用するため、映像更新に必要な膨大なデータを常時処理する必要があり、結果として、映像通信およびLCD表示制御の占有度が増え、術者の操作に対するレスポンスが劣化する虞もあった。
【0022】
本発明は上述した点に鑑みてなされたもので、診断効率を低下させることなく、タッチパネルの操作に基づいて、診断用モニタに表示される被検体画像上に所望の文字情報を的確に表示可能な医療システムを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一態様の医療システムは、被検体画像上に所望の文字情報をコメントとして表示可能な医療システムにおいて、タッチパネルを備える操作部と、前記操作部と通信手段を介して接続された、前記被検体画像の観測制御を行う第1の制御部と、複数の前記コメントの種別に係るコメント群情報を保持する記憶部と、前記記憶部から前記コメント群情報を読み出し、前記操作部との間において、前記コメント群情報を送受信する第1の送受信部と、前記操作部に設けられ、前記第1の送受信部との間で、前記コメント群情報を送受信する第2の送受信部と、前記操作部に設けられ、前記第2の送受信部が受信した前記コメント群情報に応じて前記タッチパネル上に、対応するコメントを表示するタッチパネル画像処理部と、前記タッチパネル画像処理部によって複数の前記コメントが前記タッチパネルに表示された状態でタッチパネル上の所望のコメントを選択した際、前記第1の送受信部が受信した前記タッチパネル上のコメントを前記記憶部から読み出し、前記対応するコメントを前記被検体画像に表示する画像処理部と、前記操作部に設けられ、前記コメント群情報を読み出し、前記第1の制御部に送信するように、前記第1および第2の送受信部の制御を行う第2の制御部と、前記第1および前記第2の制御部と接続され、前記第1または第2の制御部の処理負荷の状況に応じて前記コメント群情報の送受信を制御するコメント送受指示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の第1の実施形態の超音波観測システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける操作パネルを示した正面図である。
図3図3は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける操作パネルのLCD表示部の一表示例を示した図である。
図4図4は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける診断用モニタの一表示例を示した図である。
図5図5は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける超音波観測装置と操作パネルとの通信シーケンスを示した図である。
図6図6は、本発明の第2の実施形態の超音波観測システムの構成を示す図である。
図7図7は、従来の超音波観測システムにおける診断用モニタの一表示例を示した図である。
図8図8は、従来の超音波観測システムにおける操作パネルのLCD表示部の一表示例を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0026】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の超音波観測システムの構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の超音波観測システム1は、被検体に対して超音波を送信し、前記被検体により反射された前記超音波を受信して、受信した前記超音波から得られる超音波信号に基づき画像を生成することを特徴とする。
【0028】
すなわち、超音波観測システム1は、被検体に対して超音波を送信し、被検体により反射された超音波を受信して、受信した超音波から超音波信号を生成する超音波振動子を有する、たとえば、電子走査型超音波内視鏡2と、この電子走査型超音波内視鏡2から得られた超音波信号に基づいて超音波画像を生成する画像生成手段を備える超音波観測装置3と、この超音波観測装置3の本体部に接続され所定の操作指示を行う操作パネル4と、前記超音波観測装置3と前記操作パネル4との間で所定のデータの伝送を行う通信手段としてのケーブル5と、超音波観測装置3において生成された超音波画像を表示し術者の診断に供する診断用モニタ6と、を備える。
【0029】
図2は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける操作パネルを示した正面図である。
【0030】
図2に示すように、操作パネル4は、超音波観測装置3の本体部に接続されたキーボードであって、メカタクトスイッチ、メンブレンスイッチ等により構成された操作ボタン46と、トラックボール47を備えるとともに、LCDタッチパネル43を備えている。
【0031】
ここで、前記LCDタッチパネル43は、LCD(Liquid Crystal Display)表示部に位置入力装置を組み合わせた、いわゆるタッチパネル機能を備え、当該パネル上における座標の位置が予め定められている。
【0032】
そして、たとえば操作者が当該タッチパネル上の任意の位置を触接することにより、パネル上の当該触接箇所に係る座標位置を認識することができるようになっている。
【0033】
また、操作パネル4の背面(図中キーボード部の上面側)には、前記超音波観測装置3またはその他の周辺機器(他の内視鏡診断装置等)との接続コネクタが配設されている。
【0034】
図1に戻って、操作パネル4は、前記超音波観測装置3とケーブル5を介して接続され、操作手段(操作ボタン46、トラックボール47、LCDタッチパネル43)、コントロール手段(操作制御部41、LCD画像処理部42)、コメント送受指示部44およびコメント受信部45を有する。
【0035】
前記操作ボタン46、トラックボール47およびLCDタッチパネル43は、操作制御部41と接続され、該操作制御部41に対し術者の操作に応じた操作指示を送出するようになっている。
【0036】
また、前記操作制御部41は、超音波観測装置3における装置制御部31と接続され、当該超音波観測装置3に対して所定の操作指示を送出するようになっている。
【0037】
さらに操作制御部41は、前記LCD画像処理部42とも接続され、当該LCD画像処理部42に対して所定のLCD表示指示を送出する。
【0038】
前記LCD画像処理部42は、前記LCDタッチパネル43と接続され、前記操作制御部41の制御下に当該LCDタッチパネル43に所定のLCD表示データを送出する。
【0039】
前記コメント送受指示部44は、超音波観測装置3におけるコメント送信部35および前記操作制御部41と接続される。そして当該操作制御部41の処理負荷の状況を監視し、超音波観測装置3におけるコメント送信部35から送出するコメント群データの送出タイミング、データ量および送受信方式の指示を当該コメント送信部35に対して行う。
【0040】
前記コメント受信部45は、超音波観測装置3およびLCD画像処理部42と接続され、当該超音波観測装置3における前記コメント送信部35から送られたコメント群データを元に前記LCD画像処理部42にコメント群の表示指示を送出する。
【0041】
またコメント受信部45は、コメント送受指示部44とも接続され、超音波観測装置3における前記コメント送信部35からのコメント群データの通信成否を監視し、失敗した際にはどの箇所で失敗したかについての情報を該コメント送受指示部44に通知する。
【0042】
一方、前記超音波観測装置3は、図1に示すように、装置本体内における各回路の制御を行う装置制御部31、電子走査型超音波内視鏡2からの超音波信号に基づいて所定の超音波画像を生成する画像処理部32、およびコメントの登録および変更を行うコメント処理手段(コメント生成部33、メモリ34、コメント送信部35)を備える。
【0043】
前記装置制御部31は、操作パネル4および画像処理部32と接続され、当該操作パネル4における前記操作制御部41からの操作指示に従い、装置本体内の各種設定を制御するとともに画像処理部32に対して超音波画像生成のための各種設定指示を送出する。
【0044】
また装置制御部31は、コメント生成部33とも接続され、コメント生成および更新の指示を該コメント生成部33に対して送出する。
【0045】
前記コメント生成部33は、メモリ34と接続され、生成したコメント群を該メモリ34に書き込むようになっている。
【0046】
このとき前記コメント生成部33は、前記コメント群情報を、各コメントに対応するLCDタッチパネル43上における座標位置情報に関連付けて前記メモリ34に対して書き込むようになっている。
【0047】
前記コメント送信部35は、操作パネル4およびメモリ34と接続され、該操作パネル4における前記コメント送受指示部44からのコメント送信指示に従い、前記メモリ34からコメント群データを取得し、当該操作パネル4におけるコメント受信部45に対して、任意のタイミング、データ量および送受信方法に従い当該コメント群データを送出する。
【0048】
前記画像処理部32は、装置制御部31および診断用モニタ6と接続され、該装置制御部31の指示に従い電子走査型超音波内視鏡2から得た超音波信号に基づいて超音波画像を生成し、該診断用モニタ6に送出する。
【0049】
また前記画像処理部32は前記メモリ34とも接続され、前記装置制御部31からコメント入力操作指示があった場合に、該メモリ34からコメント群データを取得して超音波画像に付加する処理を行う。
【0050】
その後画像処理部32は、操作パネル4からコメント選択情報を受けた場合には該選択コメントを超音波画像に入力する処理も行う。なお、この際、コメント選択情報は操作パネル4から直接でもよいし、装置制御部31を介してでもよい。
【0051】
上述したように、従来の超音波観測システムにおいては、図8に示す如く操作パネルのコメント入力画面(LCDタッチパネル画面)のボタンには番号が表示されるのみであり、コメント入力時には、図7に示すごとく診断用モニタに表示する超音波画像に付加されたコメントリストを確認しながら、キーボードボタン操作を行っていた。
【0052】
これに対して本実施形態の超音波観測システムにおいては、図3に示すように、操作パネル4におけるコメント入力画面、すなわちLCDタッチパネル43のボタンに、超音波観測装置3から指定された、たとえば、“AO”、“PANC”、“T”、“LN”、“CBD”、“PA”、“IVC”、“SVC”等のコメントをボタンの形状で表示する。
【0053】
図3に示すように本実施形態においては、操作パネル4のLCDタッチパネル43上において、超音波観測装置3において登録されているコメントを確認することができ、そのコメントが付与されたボタン部分を押下する(タッチパネルに触れる)ことで、図4に示すように、診断用モニタ6における任意の位置に選択したコメントを入力することが可能となる。
【0054】
すなわち本第1の実施形態の超音波観測システムにおいては、操作パネル4のコメント受信部45が、超音波観測装置3におけるコメント送信部35から所定のコメント情報を受信すると、操作パネル4におけるLCD画像処理部42は、操作制御部41の制御下に、当該コメント情報に応じてLCDタッチパネル43上の前記ボタンにおけるコメントを変更する。
【0055】
さらに前記操作制御部41は、LCDタッチパネル43上の上記変更に係る情報を超音波観測装置3における装置制御部31に送出する。
【0056】
これを受けて装置制御部31は、画像処理部32を制御して診断用モニタ6における所定部分のコメント表示を変更する。
【0057】
次に、本実施形態の超音波観測システムにおける、超音波観測装置3と操作パネル4との間の通信シーケンスについて説明する。
【0058】
図5は、第1の実施形態の超音波観測システムにおける超音波観測装置と操作パネルとの通信シーケンスを示した図である。
【0059】
本実施形態の超音波観測システムは、超音波観測装置3において、観測モード(診断部位またはスコープ毎のプリセット)毎に、8個のコメントを登録・編集することができるようになっている。そして、その文字数は、各ボタン最大6個としている。
【0060】
つまり、操作パネル4側で受け取る文字数は、最大8[ボタン/モード]×6[文字/ボタン]=48文字となる。
【0061】
そして本実施形態においては、上述した8個のコメントは、それぞれTEXT1〜8として、2つのコメント群を1セットとし、1セット毎にハンド・シェイクを行いながら、最大4回の送受信を実施するようにしている。
【0062】
その際、すなわちコメント送信モード中には、装置制御部31および操作制御部41からはコメント以外の通信が発生しないようブロックする。また、仮に途中で通信を失敗した場合には、失敗したコメント群のみ送受信をやり直すこととする。
【0063】
また、起動時には、現在の観測モードの全コメントTEXT1〜8を操作パネルに送信する。
【0064】
さらに観測モード変更時には、変更された観測モードの全コメントTEXT1〜8を操作パネルに送信する。
【0065】
そしてコメント修正時には、変更されたコメントまたはコメント群のみを操作パネルに送信する。
【0066】
なお、表示する文字を英数字に限定することで、更に転送文字ビットを少なく制限してもよい。
【0067】
このように、本第1の実施形態の超音波観測システムにおいては、操作パネル4のコメント受信部45が、超音波観測装置3におけるコメント送信部35から所定のコメント情報を受信すると、操作パネル4におけるLCD画像処理部42は、操作制御部41の制御下に、当該コメント情報に応じてLCDタッチパネル43上の前記ボタンにおけるコメントを変更する。
【0068】
さらに前記操作制御部41は、LCDタッチパネル43上の上記変更に係る情報を超音波観測装置3における装置制御部31に送出する。
【0069】
これを受けて装置制御部31は、画像処理部32を制御して診断用モニタ6における所定部分のコメント表示を変更する。
【0070】
以上説明したように本第1の実施形態の超音波観測システムによると、超音波観測装置3において登録されたコメントが操作パネル4上(LCDタッチパネル43)において確認することができることから、より直感的に簡便に入力することができる。
【0071】
また、本第1の実施形態の超音波観測システムによると、超音波観測装置3において登録されたコメントリストを、診断用モニタ6における超音波画像(診断画像)に表示する必要がなく、画像診断がしやすくなる。
【0072】
換言すれば、画像診断の効率を低下させることなく、診断用モニタに表示される診断画像上に所望の文字情報を的確に表示することができる。
【0073】
さらに本第1の実施形態の超音波観測システムによると、超音波観測装置3と操作パネル4とを接続するケーブルとして、コメント表示のための専用映像ケーブル(たとえば、RGBケーブルで15mm程度の太さ)を要することなく、細径のケーブルを採用することができ、操作パネルの取扱いが容易となる。
【0074】
さらに本第1の実施形態の超音波観測システムによると、コメント送受信のタイミングを限定することで、操作パネル4からの操作信号の遅延を防止することができる。
【0075】
さらに本第1の実施形態の超音波観測システムによると、コメント変更点のみ送受信に限定することで、送受信時間が短くなり、操作性への影響がより緩和される。
【0076】
さらに本第1の実施形態の超音波観測システムによると、コメント送受信を複数回に分けて送信することで、1回の通信データの長さを抑えることができ、通信エラー時のリカバリー時間が短く済む。
【0077】
さらに本第1の実施形態の超音波観測システムによると、コメント送受信方法をハンド・シェイクすることで、超音波観測装置3と操作パネル4の情報の一致性が向上する。
【0078】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態の超音波観測システムの構成を示す図である。
【0079】
上述したように、本発明の第1の実施形態の超音波観測システムは、超音波観測装置3と、この超音波観測装置3とはケーブル5を介して接続される、当該超音波観測装置3とは別体の操作パネル4と、を備えている。
【0080】
そして、前記メモリ34およびコメント生成部33等は超音波観測装置3側に設けられ、また、前記LCDタッチパネル43等は操作パネル4側に設けられていた。
【0081】
これに対して本第2の実施形態の超音波観測システムは、第1の実施形態における超音波観測装置3における構成要素と操作パネル4における構成要素を一体化して構成されていることを特徴とし、すなわち第2の実施形態における超音波観測システム101は、図6に示すように、超音波観測装置103に、前記LCDタッチパネル43等を含む操作パネル4の機能を集約して備える。
【0082】
さらに第1の実施形態において超音波観測装置3と操作パネル4と接続するケーブル5は、超音波観測装置103内部の配線にとって代わることとなる。
【0083】
なお、その他の構成的な特徴は第1の実施形態と同様なのでここでの詳しい説明は省略する。
【0084】
この第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に図5に示す如き通信シーケンスによりコメント群データ等を送受信するものであり、ケーブル5に係る効果以外の効果を奏するようになっている。
【0085】
すなわち、本第2の実施形態の超音波観測システムによっても、登録されたコメントがLCDタッチパネル43において確認することができることからより直感的に簡便に入力することができ、また、登録されたコメントリストを、診断用モニタ6における超音波画像(診断画像)に表示する必要がなく、画像診断がしやすくなる等、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
また、上記第1の実施形態においては、メモリ34およびコメント生成部33を超音波観測装置3側に設けたが、これに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、たとえば、超音波観測装置3に接続される電子走査型超音波内視鏡2または操作パネル4側に設けてもよい。
【0087】
さらに、上述した各実施形態においては、本発明の医療システムの実施形態として超音波観測システムを例に挙げたが、本発明の技術思想は、被検体画像上に所望の文字情報をコメントとして表示可能な他の医療システム、たとえば被検体の断層像を得るCT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の診断システムにも適用することができる。
【0088】
なお、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0089】
このように、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更または応用が可能であることは勿論である。
【0090】
本出願は、2014年1月29日に日本国に出願された特願2014−14683号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
LCDタッチパネル(43)を備える操作パネル(4)と、ケーブル(5)を介して接続された超音波観測装置(3)を備え、操作パネル(4)のコメント受信部(45)が超音波観測装置(3)のコメント送信部(35)からコメント情報を受信すると、LCD画像処理部(42)が当該コメント情報に応じてLCDタッチパネル(43上のコメントを変更すると共に操作制御部(41)が上記変更に係る情報を装置制御部(31)に送出し、超音波観測装置3が診断用モニタ(6)における所定部分のコメント表示を変更する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8