【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0046】
<過放電短絡試験>
本発明者らは、これまでの様々な試験の結果から、過放電状態における短絡の原因物質は鉄及びCrであることを確認している。ここでは、水素吸蔵合金にFe又はSUSを添加して、過放電状態における短絡の原因物質が鉄及びCrを示す。
【0047】
(電極セルの作製)
1−1)水素吸蔵合金のみ(標準):
水素吸蔵合金1gに、導電材としてのニッケル粉末3g、及び結着材としてのポリエチレン粉末0.12gを混合し、得られた粉1.24g(水素吸蔵合金0.3g含有)を発泡Ni上に加圧成形して直径18mm、厚さ1.8mmのペレット型とし、150℃×1時間真空焼成を行ってペレット電極を作製し、このペレット電極を負極とし、これを計算負極容量の2倍以上の容量をもつ正極(焼結式水酸化ニッケル)でセパレータを介して挟み込み、30wt%のKOH水溶液中に浸漬させて開放型試験セルを作製した。
【0048】
1−2)Fe添加品:
水素吸蔵合金0.95gとFe粉(増田理化工業(株) 鉄粉末60mesh 4N8%)0.05gに、導電材としてのニッケル粉末3g、及び結着材としてのポリエチレン粉末0.12gを混合し、得られた粉1.24g(水素吸蔵合金0.29g含有)を発泡Ni上に加圧成形して直径18mm、厚さ1.8mmのペレット型とし、150℃×1時間真空焼成を行ってペレット電極を作製した。このペレット電極を負極とし、これを計算負極容量の2倍以上の容量をもつ正極(焼結式水酸化ニッケル)でセパレータを介して挟み込み、30wt%のKOH水溶液中に浸漬させて開放型試験セルを作製した。
【0049】
1−3)SUS304添加品:
水素吸蔵合金0.95gとSUS304粉(増田理化工業(株)ステンレスSUS304粉末 −100mesh)0.05gに、導電材としてのニッケル粉末3g、及び結着材としてのポリエチレン粉末0.12gを混合し、得られた粉1.24g(水素吸蔵合金0.29g含有)を発泡Ni上に加圧成形して直径18mm、厚さ1.8mmのペレット型とし、150℃×1時間真空焼成を行ってペレット電極を作製した。このペレット電極を負極とし、これを計算負極容量の2倍以上の容量をもつ正極(焼結式水酸化ニッケル)でセパレータを介して挟み込み、30wt%のKOH水溶液中に浸漬させて開放型試験セルを作製した。
【0050】
(電圧低下測定前充放電条件と過放電短絡試験方法)
上記の開放型試験セルを充放電装置(東洋システム(株)製 充放電試験機:Toscat3000)に接続し、温度調整可能な恒温槽(YAMATO製)中に入れ、温度20℃の条件下で行った。
先ず、充電:0.2C×6時間、放電0.2C、0.7Vカットで10サイクル実施した。その後、CC/CV(定電流/定電圧)モードにて0.2C/0.1Vまで放電し、0.1Vを24時間保持した後、12時間休止(放置)した。その後、充電から開始し、さらに3サイクル充電まで充電:0.2C×6時間、放電0.2C、0.7Vカットで実施した。その後、そのまま休止(放置)し、電圧の観測を行った。
なお、放置時間はいずれも250時間とした。
【0051】
【表1】
【0052】
このような試験結果からも、過放電状態における短絡の原因物質は鉄及びCrであることが確認できた。
【0053】
<実施例・比較例>
次に、本発明に関する実施例及び比較例について説明するが、先ずは、実施例及び比較例の評価方法について説明する。
【0054】
(磁着物量の測定)
実施例及び比較例で得られたサンプル(粉体)をスラリー化すると共に、テトラフルオロエチレンで被覆された磁石をスラリーに投入して磁着物を磁石に付着させた後、JIS G 1258:1999を参酌して、磁石に付着した磁着物を酸溶解して磁着物を定量する方法を採用して行った。次に詳細に説明する。
なお、磁石に付着した磁着物は微量であるため、磁石ごと酸性溶液に浸漬させて磁着物を酸溶解させる必要がある。そこで、磁石には、テトラフルオロエチレンで被覆された磁石を用い、測定前に各磁石の強度を測定した。磁石の強度は、KANETEC社製TESLA METER 型式TM−601を用いて測定した。
【0055】
すなわち、500ccのポリプロピレン製ポットに水素吸蔵合金粉末(サンプル)を100g入れ、イオン交換水100ccとテトラフルオロエチレンで被覆された150mTの磁石1個とを入れて、ボールミル回転架台にのせ、予め調整した回転数60rpmで30分間回転させた。次に、磁石を取り出し、300mLトールビーカーに入れてイオン交換水に浸して超音波洗浄機(型式US-205 株式会社エスエヌディ製)で出力切替2周波の設定にて3分間洗浄し、磁石に付着した余分な粉を除去した。磁石を浸しているイオン交換水の交換と超音波での洗浄を8回繰り返した。その後、磁石を取り出し、100mLのメスシリンダーに入れ、磁石が完全に水没する量の王水(濃塩酸と濃硝酸とを3:1の体積比で混合した液体)に浸し、王水中で80℃で30分間加温して磁着物を溶解させた。
王水から磁石を取り出し、磁着物が溶解している王水をイオン交換水で希釈した。希釈した王水をICP発光分析装置で、La、Fe、Crの元素を分析した。
この磁着物には、水素吸蔵合金も一部含まれているため、分析値中のLa量から水素吸蔵合金中に組成成分として含まれるFe量を計算し、Feの分析値から差し引いて、残ったFe量を算出し、不純物としてのFe量値とした。
上記によって得られた不純物としてのFe量とCr量の合計をサンプル質量当りの磁着物量とし、算出した。
【0056】
(粗砕後の粒度の測定:150μmオーバー(+150μm)の割合の測定)
粗砕後の水素吸蔵合金粉末100gを篩目150μmの篩にて、IIDA SEISAKUSHO(株)製IIDA SIEVE SHAKERを用い、10分間粒度分けを行った。その後、篩上、篩下の質量を測定し、以下の式を用いて+150μmの割合を算出した。
+150μm割合(質量%) = 篩上質量/(篩上質量+篩下質量)×100
【0057】
(安息角の測定)
粗砕後の水素吸蔵合金粉末の流動性の指標として、水素吸蔵合金粉末の安息角を次のようにして測定した。
【0058】
ホソカワミクロン社製パウダーテスターを用いて、粗砕後の水素吸蔵合金粉末の水素吸蔵合金粉の安息角を測定した。すなわち、試料をパウダーテスター付属のロートより投入し、受け皿に十分な山を形成するまで試料の供給を行い、形成した山の角度を測定した。
【0059】
(微粉砕後の水素吸蔵合金粉末の平均粒径の測定)
微粉砕後の水素吸蔵合金粉末の平均粒径(D50)は、マイクロトラック(日機装(株)製、HRA9320−X100)を使用して下記条件設定の下で測定した。
(Transp):Reflec
(Sphere):No
(RefInx):1.51
(Flow):60ml/sec
【0060】
(実施例1)
各元素の質量比率で、Mm:31.70%、Ni:59.45%、Mn:5.20%、Al:2.10%、Co:1.30%、Fe:0.25%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:79.9%、Ce:20.1%となるよう調整したものを原料として用いた。
【0061】
上記で得られた混合物をルツボに入れて高周波溶解炉に固定し、10
-4〜10
-5Torrまで減圧にした後、アルゴンガスを導入し、アルゴンガス雰囲気中で1450℃まで加熱し、次いで総質量200kgの水冷式銅鋳型に10kgの溶湯を4kg/秒で流し込み、水素吸蔵合金インゴットを得た。さらに、得られた水素吸蔵合金インゴットをステンレス鋼製容器に入れて真空熱処理装置にセットし、アルゴンガス雰囲気中、1080℃で3時間の熱処理を行った。
【0062】
次に、Fuji Paudl社製ジョークラッシャー(型式1021−B)と吉田製作所製ブラウンミル(型式1025−HBG)とを用いて、水素吸蔵合金インゴットを500μmの篩目を通過する粒子サイズ(−500μm)まで粗砕し、得られた水素吸蔵合粉を60秒かけて磁選装置まで移送し、磁選工程に供した。
磁選工程では、下記に説明する磁力選別機を使用して、磁石の合計表面積に対する投入速度が35((g/分)/cm
2)となるように、水素吸蔵合粉を投入することで磁力選別(投入速度に対する磁選槽体積の比率1.3cm
3/(g/分))を行った。
【0063】
次に、磁選工程で回収された非磁着物としての水素吸蔵合粉を、東京アトマイザ製造社製バンタムミル(型式TAP−1WZ型)を用いて、水素吸蔵合金インゴットを106μmの篩目を通過する粒子サイズ(−106μm)まで微粉砕し、水素吸蔵合粉(サンプル)を得た。
【0064】
なお、使用した磁力選別機は、300mT(±30mT)の磁力を有する断面丸型棒状の磁石を並設し、且つそれを上下に2段重ねた構成(磁石の合計表面積200cm
2)を備えた磁力選別機を使用した。
【0065】
得られた水素吸蔵合金は、ICP発光分析装置により、MmNi
4.46Al
0.35Mn
0.42Co
0.10Fe
0.020(ABx=5.35)であることを確認した。
【0066】
(実施例2)
実施例1と同様に粗砕を行った後、得られた水素吸蔵合粉を60秒かけて磁選装置まで移送し、磁選工程に供した。
磁選工程では、下記に説明する磁力選別機を使用して、磁石の合計表面積に対する投入速度が0.75((g/分)/cm
2)となるように、水素吸蔵合粉を投入することで磁力選別(投入速度に対する磁選槽体積の比率40cm
3/(g/分))を行った。
【0067】
次に、磁選工程で回収された非磁着物としての水素吸蔵合粉を、東京アトマイザ製造社製バンタムミル(型式TAP−1WZ型)を用いて、水素吸蔵合金インゴットを106μmの篩目を通過する粒子サイズ(−106μm)まで微粉砕し、水素吸蔵合粉(サンプル)を得た。
【0068】
なお、使用した磁力選別機は、200mT(±20mT)の磁力を有する断面丸型棒状の磁石を並設し、且つそれを上下に4段重ねた構成(磁石の合計表面積400cm
2)を備えた磁力選別機を使用した。
【0069】
(比較例1)
磁選と微粉砕を行わなかった以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合粉(サンプル)を得た。
【0070】
(比較例2)
磁選を行わなかった以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合粉(サンプル)を得た。
【0071】
【表2】
【0072】
(実施例3)
各元素の質量比率で、Mm:31.57%、Ni:58.43%、Mn:5.20%、Al:2.10%、Co:2.70%となるように原料(Ni、Mn、Al及びCoの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:79.2%、Ce:20.8%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は、実施例1と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0073】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.39Al
0.34Mn
0.42Co
0.20(ABx=5.35)であることを確認した。
【0074】
(実施例4)
磁選工程以外は、実施例3と同様に行った。
【0075】
磁選工程では、下記に説明する磁力選別機を使用して、磁石の合計表面積に対する投入速度が54((g/分)/cm
2)となるように、水素吸蔵合粉を投入することで磁力選別(投入速度に対する磁選槽体積の比率1.4cm
3/(g/分))を行った。
なお、使用した磁力選別機は、450mT(±45mT)の磁力を有する断面丸型丸棒状の磁石を円周上に間隔を置いて5個配置して円筒状とし、当該円筒が水平軸を中心に40(回転/分)で回転する構成(磁石の合計表面積130cm
2)を備えた磁力選別機を使用した。
【0076】
(実施例5)
各元素の質量比率で、Mm:31.70%、Ni:59.70%、Mn:5.20%、Al:2.10%、Co:1.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、及びCoの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:78.9%、Ce:14.9%、Nd:4.7%、Pr:1.5%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0077】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.48Al
0.35Mn
0.42Co
0.10(ABx=5.35)であることを確認した。
【0078】
(実施例6)
各元素の質量比率で、Mm:31.70%、Ni:59.60%、Mn:5.20%、Al:2.10%、Co:1.30%、Fe:0.10%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:88.4%、Ce:8.1%、Nd:2.6%、Pr:0.9%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0079】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.47Al
0.35Mn
0.42Co
0.10Fe
0.008(ABx=5.35)であることを確認した。
【0080】
(実施例7)
各元素の質量比率で、Mm:31.70%、Ni:59.30%、Mn:5.20%、Al:2.10%、Co:1.30%、Fe:0.40%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:56.8%、Ce:30.4%、Nd:9.7%、Pr:3.1%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0081】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.45Al
0.35Mn
0.42Co
0.10Fe
0.032(ABx=5.35)であることを確認した。
【0082】
(実施例8)
各元素の質量比率で、Mm:31.44%、Ni:60.68%、Mn:4.94%、Al:1.98%、Co:0.66%、Fe:0.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:63.6%、Ce:25.7%、Nd:8.0%、Pr:2.7%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0083】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.60Al
0.33Mn
0.40Co
0.05Fe
0.024(ABx=5.40)であることを確認した。
【0084】
(実施例9)
各元素の質量比率で、Mm:31.78%、Ni:57.32%、Mn:4.74%、Al:1.84%、Co:4.02%、Fe:0.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:63.0%、Ce:26.2%、Nd:8.1%、Pr:2.7%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0085】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.30Al
0.30Mn
0.38Co
0.30Fe
0.020(ABx=5.30)であることを確認した。
【0086】
(実施例10)
各元素の質量比率で、Mm:31.51%、Ni:59.82%、Mn:6.19%、Al:1.52%、Co:0.66%、Fe:0.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:63.5%、Ce:25.8%、Nd:8.0%、Pr:2.7%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0087】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.53Al
0.25Mn
0.50Co
0.05Fe
0.024(ABx=5.35)であることを確認した。
【0088】
(実施例11)
各元素の質量比率で、Mm:31.91%、Ni:60.59%、Mn:3.76%、Al:2.77%、Co:0.67%、Fe:0.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:62.7%、Ce:26.4%、Nd:8.2%、Pr:2.7%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0089】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.53Al
0.45Mn
0.30Co
0.05Fe
0.024(ABx=5.35)であることを確認した。
【0090】
(実施例12)
各元素の質量比率で、Mm:31.53%、Ni:58.21%、Mn:4.95%、Al:2.13%、Co:0.66%、Fe:2.52%となるように原料(Ni、Mn、Al、Co及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:63.5%、Ce:25.9%、Nd:8.0%、Pr:2.6%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0091】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.40Al
0.35Mn
0.40Co
0.05Fe
0.200(ABx=5.40)であることを確認した。
【0092】
(実施例13)
各元素の質量比率で、Mm:31.45%、Ni:52.78%、Mn:8.65%、Al:1.82%、Co:5.30%となるように原料(Ni、Mn、Al、及びCoの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:79.5%、Ce:14.5%、Nd:4.5%、Pr:1.5%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0093】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.00Al
0.30Mn
0.70Co
0.40(ABx=5.40)であることを確認した。
【0094】
(実施例14)
各元素の質量比率で、Mm:33.60%、Ni:56.37%、Mn:3.96%、Al:3.24%、Co:2.83%となるように原料(Ni、Mn、Al、及びCoの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:59.6%、Ce:28.7%、Nd:8.8%、Pr:2.9%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0095】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.00Al
0.50Mn
0.30Co
0.20(ABx=5.00)であることを確認した。
【0096】
(実施例15)
各元素の質量比率で、Mm:31.53%、Ni:52.91%、Mn:3.71%、Al:1.22%、Co:10.63%となるように原料(Ni、Mn、Al、及びCoの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:63.5%、Ce:25.9%、Nd:8.0%、Pr:2.6%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0097】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.00Al
0.20Mn
0.30Co
0.80(ABx=5.30)であることを確認した。
【0098】
(実施例16)
各元素の質量比率で、Mm:30.79%、Ni:60.70%、Mn:3.63%、Al:1.19%、Fe:3.69%となるように原料(Ni、Mn、Al、及びFeの原料には純金属を用いた。)を秤量し、混合した。
なお、Mmは、La及びCeの希土類混合物であるミッシュメタルであり、Mm中の各成分の含有割合が、Mm全質量に対してLa:81.2%、Ce:13.3%、Nd:4.1%、Pr:1.4%となるよう調整したものを原料として用いた。
以降は実施例4と同様に水素吸蔵合金を得た。
【0099】
得られた水素吸蔵合金はICP発光分析装置により、MmNi
4.70Al
0.20Mn
0.20Fe
0.30(ABx=5.50)であることを確認した。
【0100】
【表3】
【0101】
(考察)
この結果より、磁石を用いて磁着物を排除する磁選工程を行うことにより、好ましくは、水素吸蔵合金原料を溶解して溶湯とし、これを冷却して得られた水素吸蔵合金インゴットを粉砕した後、磁石を用いて磁着物を排除する磁選工程を行うことにより、歩留りを低下させることなく、短絡の原因となる不純物(鉄及びCr)を効果的に除去できることが判明した。
また、比較例1と比較例2を比較すると、鉄或いは鉄合金を含有する粉砕手段を備えた装置で微粉砕しても、磁着物量は増えないことが認められる。
【0102】
磁選を行わないと、磁着物量は0.15ppmより下がらないため、逆に磁着物量が0.15ppm未満である水素吸蔵合金は、磁選を行っているものと推定することができる。