特許第5798339号(P5798339)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社酉島製作所の特許一覧

<>
  • 特許5798339-循環ポンプ 図000002
  • 特許5798339-循環ポンプ 図000003
  • 特許5798339-循環ポンプ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798339
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】循環ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 7/06 20060101AFI20151001BHJP
   F04D 7/08 20060101ALI20151001BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   F04D7/06 F
   F04D7/08 C
   F04D29/58 C
   F04D29/58 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-38595(P2011-38595)
(22)【出願日】2011年2月24日
(65)【公開番号】特開2012-172655(P2012-172655A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000152170
【氏名又は名称】株式会社酉島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】木村 修
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−174232(JP,A)
【文献】 特開平05−142381(JP,A)
【文献】 特開2004−183614(JP,A)
【文献】 特開2001−173591(JP,A)
【文献】 特開平06−185488(JP,A)
【文献】 特開平11−230079(JP,A)
【文献】 実開昭51−154702(JP,U)
【文献】 特開昭60−178993(JP,A)
【文献】 特開平07−318688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 7/06
F04D 7/08
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に位置するモータケーシングからヒートバリアの軸貫通部を通して下端に位置するポンプケーシングにかけて配設した回転軸の回転により、前記ポンプケーシング内に配設したインペラを回転させて熱水を前記ポンプケーシングの吸込部から吸い込んで吐出部から吐出する一方、前記モータケーシング内の冷却水を循環冷却機構によって冷却しながら循環させるようにした循環ポンプであって、
前記循環冷却機構は、接続管の一端が前記モータケーシングの上端側に接続されるとともに、前記接続管の他端が前記モータケーシングの下端側の前記ヒートバリアに形成した前記軸貫通部に連通する高圧冷却水路に接続されており、
前記循環冷却機構の前記接続管に、前記モータケーシング内の冷却水を吸い込んで循環供給するためのポンプを配設するとともに、
前記ヒートバリアの前記軸貫通部および前記高圧冷却水路の外側に、前記軸貫通部および前記高圧冷却水路と交差しないように低圧冷却水供給機構から低圧冷却水を常に通水する低圧冷却水路を設けたことを特徴とする循環ポンプ。
【請求項2】
前記低圧冷却水路は、前記軸貫通部の外周に位置する複数の貫通孔からなり、前記複数の貫通孔が順次交差するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の循環ポンプ。
【請求項3】
前記モータケーシングの上端に、このモータケーシング内の気体を外部に排出する排出管を接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の循環ポンプ。
【請求項4】
前記排出管を、前記ポンプケーシングの吸込部へ熱水を供給する吸込側ボイラ配管に接続したことを特徴とする請求項3に記載の循環ポンプ。
【請求項5】
前記排出管に、前記モータケーシングから前記吸込側ボイラ配管へ向けた流動を許容し、逆向きの流動を阻止する逆止弁を配設したことを特徴とする請求項4に記載の循環ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電設備や原子力発電設備などにおいてボイラに熱水を循環供給するための循環ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の循環ポンプは、上部にポンプケーシングが設けられ、下部にモータケーシングが設けられている。これらケーシングには1本の回転軸が貫通され、ポンプケーシング内に位置する上端にインペラが配設されている。そして、循環ポンプは、回転軸が回転されることにより、熱水をポンプケーシングの吸込部から吸い込んで吐出部から吐出する。また、モータケーシング内では、回転軸の回転による熱を冷却するための冷却水が、循環冷却機構によって冷却されながら循環される(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この循環ポンプは、ポンプケーシングの配設スペースの下部に、モータケーシングを配設するためのスペースと、循環冷却機構を配設するためのスペースとが更に必要である。そのため、設備の構築費用が極めて高くなるうえ、メンテナンス作業も極めて煩雑である。即ち、ポンプケーシングを地面上に位置するように設置する場合には、モータケーシングおよび循環冷却機構を配設するためのスペースを確保するために、機場を大きく掘り起こす必要がある。逆に、モータケーシングおよび循環冷却機構を地面上に位置するように設置する場合には、モータケーシングおよびモータケーシングに接続する接続管等を地上の高い位置に設置するための基礎や建屋を設ける必要がある。そのため、設備の構築費用が極めて高くなる。
【0004】
この問題を解消するには、ポンプケーシングがモータケーシングの下側に位置するように設置(正立式)することが考えられる。このようにすれば、大掛かりな基礎や建屋が不要となるため、構築費用を低減できる。
【0005】
しかしながら、循環ポンプを正立配置した場合には、回転軸の回転を停止した暖待機中に、下方のポンプケーシング内の熱水と、上方のモータケーシング内の冷却水が、中間に位置するヒートバリアの軸貫通部を通して自然対流する。これにより、モータケーシング内にはポンプケーシング側の熱水が浸入する一方、ポンプケーシング内にはモータケーシング側の冷却水が浸入する。その結果、この水の置換現象により、モータケーシング内の冷却水の水温が上昇し、モータ機構が過熱されるという問題(モータ絶縁物の熱的損傷)が生じる。また、ポンプケーシング内の熱水(缶水)が冷却されるという問題(ボイラ熱量の損失)が生じる。なお、この問題は、ポンプケーシングをモータケーシングの上部に位置させて倒立配置した場合には生じない。また、正立式および倒立式のいずれでも、回転軸を回転させた稼働中には、循環冷却機構によって冷却水が循環される水流により生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−338287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、設備構築費用を低減可能な正立式とし、この正立式で生じる水の置換現象による問題を解消できる循環ポンプを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の循環ポンプは、上端に位置するモータケーシングからヒートバリアの軸貫通部を通して下端に位置するポンプケーシングにかけて配設した回転軸の回転により、前記ポンプケーシング内に配設したインペラを回転させて熱水を前記ポンプケーシングの吸込部から吸い込んで吐出部から吐出する一方、前記モータケーシング内の冷却水を循環冷却機構によって冷却しながら循環させるようにした循環ポンプであって、前記循環冷却機構は、接続管の一端が前記モータケーシングの上端側に接続されるとともに、前記接続管の他端が前記モータケーシングの下端側の前記ヒートバリアに形成した前記軸貫通部に連通する高圧冷却水路に接続されており、前記循環冷却機構の前記接続管に、前記モータケーシング内の冷却水を吸い込んで循環供給するためのポンプを配設するとともに、前記ヒートバリアの前記軸貫通部および前記高圧冷却水路の外側に、前記軸貫通部および前記高圧冷却水路と交差しないように低圧冷却水供給機構から低圧冷却水を常に通水する低圧冷却水路を設けた構成としている。
前記低圧冷却水路は、前記軸貫通部の外周に位置する複数の貫通孔からなり、前記複数の貫通孔が順次交差するように設けられている
【0009】
この循環ポンプは、モータケーシングの下部にポンプケーシングを位置させた正立式のものである。そのため、設備の構築時には、モータケーシングおよび循環冷却機構を配設するための大掛かりな基礎や建屋が不要であるため、設備構築費用を低減できる。
【0010】
また、循環ポンプでは、回転軸の回転を停止した暖待機中に、循環冷却機構の接続管に配設したポンプによりモータケーシング内の冷却水を強制的に循環させることができる。よって、ポンプケーシング内の熱水がモータケーシング内に流入することはないうえ、モータケーシング内の冷却水がポンプケーシング内に流入することはない。その結果、モータケーシング内の温度が異常上昇することによる電気絶縁物の損傷を防止できる。また、ポンプケーシング内の熱水が冷却されることによるボイラ熱量の損失を防止できる。
【0011】
この循環ポンプでは、前記モータケーシングの上端に、このモータケーシング内の気体を外部に排出する排出管を接続することが好ましい。このようにすれば、モータケーシング内にて、経時的に自然発生する可能性がある気体の1つである溶解ガスにより、回転軸が空運転状態となることによる損傷を防止できる。
この場合、前記排出管を、前記ポンプケーシングの吸込部へ熱水を供給する吸込側ボイラ配管に接続することが好ましい。ここで、吸込側ボイラ配管は、稼働中および暖待機中のいずれでもモータケーシングの内圧より高くはならない。そのため、常にモータケーシングから吸込側ボイラ配管へ向けた流れが生じ、逆流を防止することができる。
また、前記排出管に、前記モータケーシングから前記吸込側ボイラ配管へ向けた流動を許容し、逆向きの流動を阻止する逆止弁を配設することが好ましい。このようにすれば、予期しない圧力変動により、吸込側ボイラ配管内の熱水がモータケーシング内に流入することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の循環ポンプは、モータケーシングの下部にポンプケーシングを位置させた正立式のものであるため、モータケーシングおよび循環冷却機構を配設するために大掛かりな基礎や建屋が不要であり、設備構築費用を低減できる。また、循環冷却機構の接続管に配設したポンプによりモータケーシング内の冷却水を強制的に循環できるため、ポンプケーシング内の熱水がモータケーシング内に流入することはないうえ、モータケーシング内の冷却水がポンプケーシング内に流入することはない。よって、モータケーシング内の温度が異常上昇することによる電気絶縁物の損傷を防止できるうえ、ポンプケーシング内の熱水が冷却されることによるボイラ熱量の損失を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施形態の循環ポンプを示す断面図である。
図2図1の要部拡大断面図である。
図3図2の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1乃至図3は、本発明の実施形態に係る循環ポンプを示す。この循環ポンプは、上側に位置するモータケーシング10と、モータケーシング10の下部に位置するヒートバリア21と、ヒートバリア21の下部に位置するポンプケーシング32とを備えている。そして、これらの内部には回転軸36が回転可能に支持され、その下端にインペラ39が配設されるとともに、上端に冷却水循環用インペラ41が配設されている。また、モータケーシング10には、内部の冷却水を冷却して循環させる循環冷却機構42が接続されている。そして、本発明では、この循環冷却機構42の接続管43に、回転軸36の回転を停止した暖待機中でも、モータケーシング10内の冷却水を強制的に循環可能とするポンプ47を配設したものである。
【0016】
モータケーシング10は、略円筒状をなすモータケーシング本体11の上端を冷却水用インペラケース15によって塞いたものである。モータケーシング本体11は、上端閉塞部の中心に軸方向に沿って貫通する回転軸支持部12が設けられている。この回転軸支持部12は、モータケーシング本体11内に向けて延びる円筒状をなし、その内周部には上側スリーブ13が配設されている。また、モータケーシング本体11には、内部中間位置にモータステータ14が配設されている。このモータステータ14は、薄板の電磁鋼板を積層してできた円筒状のコアブロックと、このコアブロックの内径側に配設された複数の溝を貫通して巻回したコイル束とで構成されている。
【0017】
冷却水用インペラケース15は略円錐筒形状をなし、その下端開口部に冷却水用インペラ配設部16が形成されている。この冷却水用インペラ配設部16の上部には、略円柱状をなす空間からなる注水ポケット17が形成されている。この注水ポケット17の外周部には、循環冷却機構42の接続管43を接続する注水口18が設けられている。この冷却水用インペラケース15の上端開口は、モータカバー19により塞がれている。このモータカバー19には、ガス排出機構48の排出管49を接続する排出口20が設けられている。
【0018】
ヒートバリア21は、内部に断熱空間部22を備えたもので、モータケーシング10の下部に水密状態で配設されている。図2に示すように、ヒートバリア21には、中心に位置するように軸方向に貫通する孔からなる軸貫通部23が設けられている。この軸貫通部23の上部は、拡径された回転軸支持部24とされている。この回転軸支持部24の内部には、回転軸36の下部を回転可能に支持する下側スリーブ25が配設されている。また、ヒートバリア21には、外周部から回転軸支持部24にかけて径方向に貫通する高圧冷却水路26が設けられている。この高圧冷却水路26の外側端部は、循環冷却機構42の接続管43を接続する注出口を構成する。
【0019】
さらに、ヒートバリア21には、断熱空間部22の上側に位置するように、低圧冷却水路27が設けられている。この低圧冷却水路27は、図3に示すように、軸貫通部23および高圧冷却水路26と交差することなく、軸貫通部23の外周に位置するように穿設した複数(本実施形態では4本)の直線的な貫通孔28a〜28dにより構成される。例えば、第1の貫通孔28aの一端を流入口とし、他端を閉塞する。また、第1の貫通孔28aと交差するように第2の貫通孔28bを形成し、その両端を閉塞する。さらに、第2の貫通孔28bと交差するように第3の貫通孔28cを形成し、その両端を閉塞する。そして、第3の貫通孔28cと交差するように第4の貫通孔28dを形成し、その一端を閉塞し、他端を流出口とする。これにより、第1の貫通孔28aの一端の流入口から第4の貫通孔28dの他端の流出口にかけて連通した水路を形成する。そして、この水路に図示しない低圧冷却水供給機構からの低圧冷却水を通水することにより、モータケーシング10の側とポンプケーシング32の側との遮熱を図る構成としている。なお、図1および図2は、高圧冷却水路26および低圧冷却水路27を図示するために、形式的に対向位置に配置したものである。
【0020】
そして、本実施形態のヒートバリア21には、軸貫通部23に流体移動を抑制するための流動抑制機構29が設けられている。この流動抑制機構29は、軸貫通部23を通して、モータケーシング10からポンプケーシング32へ冷却水が流動すること、および、ポンプケーシング32からモータケーシング10へ熱水が流動することを抑制するためのものである。この双方向の流動を防止するために、本実施形態では、図2に示すように、軸貫通部23の回転軸支持部24の下部に位置するように、ラビリンス形の軸シール30を配設している。この軸シール30は、軸貫通部23の内周部に配設された円筒形状のもので、その内周面には、環状をなすように複数の環状溝31が設けられている。
【0021】
ポンプケーシング32は、略半球形状をなす中空状のもので、ヒートバリア21の下部に水密状態で配設されている。このポンプケーシング32には、モータケーシング10の軸方向に沿って突出する円筒状の吸込部33が設けられるとともに、この吸込部33の軸方向に対して交差するように径方向外向きに突出する円筒状の吐出部34が設けられている。ポンプケーシング32の内部は、吸込部33から吸い込んだ熱水を吐出部34へ案内するためのガイドベーン35により区画されている。
【0022】
回転軸36は、中空状をなすモータケーシング10内からポンプケーシング32内にかけて、ヒートバリア21の軸貫通部23を貫通させて配設されたものである。本実施形態では、モータケーシング本体11内に配設される回転軸本体37と、ポンプケーシング32内に配設されるインペラ39に形成した軸部39aと、冷却水用インペラケース15内に配設される冷却水循環用インペラ41に形成した軸部41aとを、一体的に連結することにより1本の回転軸36を構成している。よって、ヒートバリア21の軸貫通部23を貫通する回転軸36とは、インペラ39の軸部39aである。勿論、これら軸部39a,41aは、回転軸本体37と一体成形することも可能である。
【0023】
この回転軸36は、上側スリーブ13と下側スリーブ26とで、回転可能に支持されている。また、回転軸36には、モータステータ14に対して径方向内側に位置するようにモータロータ38が配設されている。このモータロータ38は、電磁鋼板を積層した円筒状のブロックと、このブロックの表層側内部を貫通する複数の銅製のバーと、各バーの両端を一括して連結する銅製リングとで構成されている。そして、モータロータ38は、モータステータ14のコイルにより生じる回転磁界の影響を受け、銅製のバーに電磁誘導現象による電流が流れることにより、回転磁界との作用で電磁力が発生して回転されるものである。
【0024】
インペラ39は、ポンプケーシング32のガイドベーン35内に配設されている。このインペラ39には、円板状をなす主板から回転軸本体37に連結される軸部39aが突設されている。インペラ39の主板の下面側にはインペラ羽根40が設けられ、このインペラ羽根40により、ポンプケーシング32の吸込部33から吸い込んだ熱水を吐出部34から吐出する。
【0025】
冷却水循環用インペラ41は、回転軸36を回転させた稼働中に、モータケーシング10内の冷却水を循環供給する循環冷却機構42の一部を構成するもので、モータケーシング10の冷却水用インペラケース15内に配設されている。この冷却水循環用インペラ41には、円板状をなす主板から回転軸本体37に連結される軸部41aが突設されている。この冷却水循環用インペラ41は、注水ポケット17内を臨むように開口した吸込流路と、この吸込流路の下端から放射状をなすように径方向外向きに延びる吐出流路とが形成されている。この流路により冷却水循環用インペラ41は、上方の注水ポケット17内の冷却水を下向きに吸い込んで径方向外向きに吐出することにより、回転軸支持部12を通してモータケーシング本体11内で下向きの水流を付与する。
【0026】
循環冷却機構42は、モータケーシング10の上部である注水ポケット17の注水口18と、モータケーシング10の下部であるヒートバリア21の注出口とを、迂回するように接続する接続管43を備えている。この接続管43には、上向きに延びる部分にモータクーラ44が配設されている。このモータクーラ44は、低圧冷却水入口45と低圧冷却水出口46を備え、図示しない低圧冷却水供給機構から低圧冷却水が供給されることにより、接続管43内を流動する昇温した冷却水を冷却するものである。
【0027】
ポンプ47は、循環冷却機構42の接続管43において、モータクーラ44の上流側に介設したキャンドモータ式ポンプからなる。このポンプ47は、上流側であるモータケーシング10内の冷却水を吸い込んで、モータクーラ44を介して下流側である注水ポケット17に循環供給する。なお、このキャンドモータ式のポンプ47は、モータのコイルを缶(キャン)に収めて防水し、水中でも使用できるようにしたものである。
【0028】
また、本実施形態の循環ポンプには、モータケーシング10の内部で発生した気体を外部に排出するためのガス排出機構48が更に設けられている。このガス排出機構48は、モータケーシング10の上端の排出口20に接続した排出管49と、この排出管49に介設したオリフィス50および逆止弁51とからなる。排出管49は、上向きに傾斜するように配管され、その先端が吸込側ボイラ配管52に分岐接続されている。オリフィス50は、モータケーシング10から流出する流体量を安定的に微量に維持するものである。逆止弁51は、モータケーシング10から吸込側ボイラ配管52へ向けた流動を許容し、逆向きの流動を阻止するものである。
【0029】
このように構成した循環ポンプは、ポンプケーシング32の吸込部33に吸込側ボイラ配管52が接続され、ポンプケーシング32の吐出部34に吐出側ボイラ配管53が接続される。なお、本実施形態の循環ポンプの使用例の1つである発電設備では、吐出側ボイラ配管53が水を過熱して蒸気を生成するボイラに接続され、吸込側ボイラ配管52が蒸気を高温の熱水とする復水器に接続される。そして、発電設備は、ボイラで生成された蒸気で、発電機に連結したタービンを回転させる。タービンを回転させた蒸気は、復水器によって高温の熱水に戻される。この熱水を本実施形態の循環ポンプにより循環供給する。
【0030】
次に、本実施形態の循環ポンプの動作について具体的に説明する。
【0031】
まず、ヒートバリア21の低圧冷却水路27および循環冷却機構42のモータクーラ44には、回転軸36を回転させた稼働中、および、回転軸36を停止させた暖待機中のいずれの状態でも、低圧冷却水供給機構から低圧冷却水が常に供給されている。
【0032】
そして、稼働中には、回転軸36の回転により、インペラ39と冷却水循環用インペラ41が回転する。これにより、ポンプケーシング32では、インペラ39の回転により、吸込側ボイラ配管52を介して復水器から熱水を吸い込んで、ボイラへ熱水を循環供給する。また、モータケーシング10内では、冷却水循環用インペラ41の回転により、冷却水がモータケーシング10内で下向きに流動する水流が付与される。そして、モータケーシング10の下部の冷却水は接続管43に吸い込まれ、モータクーラ44にて冷却されて注水ポケット17に循環供給される。そして、この循環冷却機構42による冷却水の循環流により、軸貫通部23を通したモータケーシング10内の冷却水とポンプケーシング32内の熱水との自然対流が防止される。
【0033】
一方、暖待機中には、回転軸36が停止されるため、インペラ39と冷却水循環用インペラ41が停止している。これにより、ポンプケーシング32では、熱水の循環供給が停止される。また、モータケーシング10では、冷却水循環用インペラ41による冷却水の水流(循環)が停止される。この状態で、循環冷却機構42の接続管43に介設したポンプ47を駆動させる。これにより、モータケーシング10内では、稼働中と同様に、モータケーシング10の下部の冷却水が接続管43に吸い込まれ、モータクーラ44にて冷却されて注水ポケット17に循環供給される。その結果、この暖待機中においても同様に、冷却水の循環流によって、軸貫通部23を通したモータケーシング10内の冷却水とポンプケーシング32内の熱水との自然対流が防止される。
【0034】
また、モータケーシング10内では、気体の1つである溶解ガスが経時的に自然発生することがある。そして、このガスは、稼働時に回転軸36を空運転現象を生じさせる。しかし、本実施形態では、モータケーシング10の上端に排出管49を接続している。そして、モータケーシング10内で発生したガスは、稼働中および暖待機中のいずれの状態でも、モータケーシング10の上端である注水ポケット17に溜まり、排出管49を通して吸込側ボイラ配管52へ排出される。具体的には、吸込側ボイラ配管52は、稼働中および暖待機中のいずれでもモータケーシング10の内圧より高くはならない。そのため、常にモータケーシング10から吸込側ボイラ配管52へ向けた流れが生じ、気体を排出できる。但し、気体および液体が排出管49を通して吸込側ボイラ配管52へ排出されると、その排出量に応じた熱水が軸貫通部23を通してポンプケーシング32からモータケーシング10内に流入する。その量は、軸シール30およびオリフィス50によって極微量となるように設定されている。しかも、流入した熱水は、モータケーシング10に直接流入するのではなく、接続管43を介してモータクーラ44にて冷却されて上端の注入ポケットから注入される。よって、モータケーシング10内の冷却水の温度が昇温することはない。
【0035】
このように、本発明の循環ポンプでは、回転軸36の回転を停止した暖待機中に、循環冷却機構42の接続管43に配設したポンプ47によりモータケーシング10内の冷却水を強制的に循環させることができる。よって、ポンプケーシング32内の熱水がモータケーシング10内に流入することはないうえ、モータケーシング10内の冷却水がポンプケーシング32内に流入することはない。その結果、モータケーシング10内の温度が異常上昇することによる電気絶縁物の損傷を防止できる。また、ポンプケーシング32内の熱水が冷却されることによるボイラ熱量の損失を防止できる。
【0036】
また、本実施形態の循環ポンプには、モータケーシング10の上端に排出管49を接続し、モータケーシング10内で発生したガスを吸込側ボイラ配管52へ排出できるようにしている。そのため、稼働中に回転軸36が空運転状態となることによる損傷を防止できる。また、排出管49には逆止弁51を設けているため、予期しない圧力変動により、吸込側ボイラ配管52内の熱水がモータケーシング10内に流入することを確実に防止できる。
【0037】
そして、本発明の循環ポンプは、モータケーシング10の下部にポンプケーシング32を位置させた正立式のものであるため、設備の構築時には、モータケーシング10および循環冷却機構42を配設するための大掛かりな基礎や建屋が不要であるため、設備構築費用を低減できる。
【0038】
なお、本発明の循環ポンプは、実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0039】
例えば、前記実施形態では、循環冷却機構42の1つとして冷却水循環用インペラ41を設け、稼働中には冷却水循環用インペラ41により冷却水を循環供給し、暖待機中にはポンプ47により冷却水を循環供給する構成としたが、冷却水循環用インペラ41を設けない構成とし、稼働中および暖待機中のいずれでもポンプ47により冷却水を循環供給する構成としてもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、ポンプケーシング32にガイドベーン35を配設したが、このガイドベーン35は配設しない構成としてもよい。さらに、ポンプケーシング32は、吸込部33の軸方向に対して吐出部34を径方向外向きに突設したものに限られず、螺旋状の流水路を有する渦巻状のものであってもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、モータケーシング10内に配設するモータ機構として、モータステータ14とモータロータ38を有し、回転磁界の作用で回転するものを用いたが、磁石の有無を含み、モータ機構の種類は希望に応じて変更が可能である。
【0042】
そして、前記実施形態では、本発明の循環ポンプを発電設備に使用する例を挙げて説明したが、使用用途は発電設備に限られるものではない。
【符号の説明】
【0043】
10…モータケーシング
21…ヒートバリア
23…軸貫通部
26…高圧冷却水路
27…低圧冷却水路
32…ポンプケーシング
33…吸込部
34…吐出部
36…回転軸
39…インペラ
42…循環冷却機構
43…接続管
44…モータクーラ
47…ポンプ
48…ガス排出機構
49…排出管
51…逆止弁
52…吸込側ボイラ配管
53…吐出側ボイラ配管
図1
図2
図3