(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両用ドアのアウターパネルと、当該アウターパネルに取り付けられるドアミラーのミラーベースとの間にシール部材が介設される車両用ドアミラー取付部のシール構造であって、
上記ミラーベースには、上記アウターパネル側に開口する空間が形成されており、
上記シール部材は、上記ミラーベースの開口形状に沿うような形状に形成されて上記空間内に収容されているとともに、当該シール部材の全周に亘って突設され、上記アウターパネルに弾性的に接触する第1シールリップと、当該シール部材の全周に亘って突設され、上記空間を区画する上記ミラーベースの内側面に弾性的に接触する第2シールリップとを備え、
第1シールリップは、上記シール部材の外周縁部の上記アウターパネル側の端部から上記アウターパネルに弾性的に接触するように外側に向かって突出している一方、第2シールリップは、上記シール部材の外周縁部の上記ミラーベース側の端部から上記ミラーベースの内側面に弾性的に接触するように外側に向かって突出していることを特徴とする車両用ドアミラー取付部のシール構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のものでは、車両用ドアのパネルとミラーベースの縁部とで、ガスケットを挟み込むようにしてシールを行うことから、ミラーベースと車体との間の密封性は向上するものの、ガスケットのリップ部がミラーベースの縁部に沿って外部に露出することから、ドアミラー取付部の見栄えが悪くなるという問題がある。
【0006】
そこで、ミラーベース取付部の見栄えを向上させるべく、ミラーベースとアウターパネルと間に形成される空間内にシール部材を収容するようなシール構造が考えられる。具体的には、
図9(a)に示すように、シール部材103をミラーベース105の内側に嵌め込むとともに、かかるシール部材103に形成されたシールリップ113を車両用ドアのパネル117に弾性的に接触させてシールを行うが考えられる。
【0007】
しかしながら、このようなシール構造では、ドアミラー取付部の見栄えを向上させることはできるものの、シール部材103やミラーベース105の製品ばらつきに起因して、
図9(b)に示すように、シール部材103とミラーベース105との間に隙間155が生じるおそれがある。このため、かかるシール構造では、シール部材103やミラーベース105の製品ばらつきを吸収するべく、例えば、ミラーベース105側にシールパッキンを設ける等別途シール処理を施す必要があることから、製造コストが嵩むという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ミラーベースと車体との間にシール部材を介設させるシール構造において、ミラーベースに別途シール処理を施すことなく、ドアミラー取付部の見栄え及びシール性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るドアミラー取付部のシール構造では、2つのシールリップを設けることにより、車体側とミラーベース側とを分けてシールを行うようにしている。
【0010】
具体的には、第1の発明は、車両用ドアのアウターパネルと、当該アウターパネルに取り付けられるドアミラーのミラーベースとの間にシール部材が介設される車両用ドアミラー取付部のシール構造を対象とする。
【0011】
そして、上記ミラーベースには、
上記アウターパネル側に開口する空間が形成されており、上記シール部材は、上記ミラーベースの開口形状に沿うような形状に形成されて上記空間内に収容されているとともに、当該シール部材の全周に亘って突設され、上記アウターパネルに弾性的に接触する第1シールリップと、当該シール部材の全周に亘って突設され、上記空間を区画する
上記ミラーベースの内側面に弾性的に接触する第2シールリップ
とを備えている。
【0012】
第1シールリップは、上記シール部材の外周縁部の上記アウターパネル側の端部から上記アウターパネルに弾性的に接触するように外側に向かって突出している一方、第2シールリップは、上記シール部材の外周縁部の上記ミラーベース側の端部から上記ミラーベースの内側面に弾性的に接触するように外側に向かって突出している。
【0013】
第1の発明によれば、アウターパネルとミラーベースとの間に介設されたシール部材は、ミラーベースに形成された空間に収容されていることから、第1及び第2シールリップがミラーベースの外側に露出しないので、ドアミラー取付部の見栄えを向上させることができる。
【0014】
また、シール部材は、当該シール部材の全周に亘って突設され、アウターパネルに弾性的に接触する第1シールリップを備えていることから、車体側への雨水や洗車水等の浸入を確実に抑えることができる。
【0015】
さらに、シール部材は、当該シール部材の全周に亘って突設され、ミラーベースに形成された空間を区画するミラーベースの内側面に弾性的に接触する第2シールリップを備えていることから、ミラーベースにシールパッキンを設ける等別途シール処理を施すことなく、ミラーボディ側への雨水等の浸入を確実に抑えることができる。
【0016】
そうして、これら第1及び第2シールリップを備えることにより、車両走行時にミラーベースと車体との間に空気が入り込むのが抑えられることから、風騒音の発生を確実に抑えることができる。
【0017】
以上により、ミラーベースと車体との間にシール部材を介設させるシール構造において、ミラーベースに別途シール処理を施すことなく、ミラーベース取付部の見栄え及びシール性を向上させることができる。
【0018】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第1シールリップと上記第2シールリップとは、上記ミラーベースの上記アウターパネルへの取付方向に対向するように、上記シール部材の外周縁部から二股に形成されており、上記第1シールリップの先端部が上記ミラーベースの外周縁側に傾倒するように、上記第1シールリップが上記アウターパネルに接触するとともに、上記第2シールリップの先端部が上記アウターパネル側に傾倒するように、当該第2シールリップが上記ミラーベースに接触することにより、当該第1シールリップと当該第2シールリップとの間には、水を溜めるための溝状の空間が形成されており、上記第1及び第2シールリップには、上記シール部材の下端部に対応する部位に、上記溝状の空間に溜まった水を排出するための切欠部がそれぞれ形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明では、第1シールリップと第2シールリップとは、ミラーベースのアウターパネルへの取付方向に対向するように、換言すると、断面コ字状をなすようにシール部材の外周縁部から二股に形成されている。そうして、第1シールリップは、その先端部がミラーベースの外周縁側に傾倒するようにアウターパネルに接触している一方、第2シールリップは、その先端部がアウターパネル側に傾倒するようにミラーベースに接触していることから、両者の先端部同士が近づくことになる。これにより、第1シールリップと第2シールリップとの間には、シール部材の全周に亘って溝状の空間が形成される。
【0020】
これにより、アウターパネルとミラーベースの外周縁部との間からミラーベースの空間内に浸入した雨水や洗車水等の水滴は、第1又は第2シールリップを伝って、これらの間に形成された溝状の空間に溜まることになる。そうして、溝状の空間に溜まった水滴が一定量以上に達すると、水滴の集合は、シール部材の全周に亘って形成された溝状の空間内を流れ落ちて、シール部材の下端部に至る。
【0021】
ここで、第1及び第2シールリップには、シール部材の下端部に対応する部位に、切欠部がそれぞれ形成されていることから、シール部材の下端部に溜まった水滴の集合は、かかる切欠部からミラーベースの外側へ排出される。以上により、雨水や洗車水等の水滴が、ミラーベースの内側に留まり続けるのを抑えることができる。
【0022】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記ミラーベースは、上記第2シールリップが当該ミラーベースの内側面に弾性的に接触するように、上記シール部材が組み付けられた状態で、上記アウターパネルに取り付けられるものであり、上記第1シールリップは、その突出長が上記第2シールリップの突出長よりも長いことを特徴とするものである。
【0023】
ところで、アウターパネルへのミラーベースの取り付けに先立ち、シール部材をミラーベースに予め組み付ける場合には、第2シールリップの長さを調整することにより、当該第2シールリップをミラーベースの内側面に確実に接触させることができるのに対し、ミラーベースがアウターパネルに取り付けられて初めて当該アウターパネルに接触する第1シールリップは、アウターパネル側の成形誤差や取付誤差等の影響によりアウターパネルに接触しない可能性がある。
【0024】
ここで、第3の発明によれば、第1シールリップの突出長を第2シールリップの突出長よりも長く設定していることから、第1シールリップをアウターパネルに容易に接触させることができる。
【0025】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記ミラーベースの内側面には、上記第1及び第2シールリップの付け根部を支持する突起部が形成されていることを特徴とするものである。
【0026】
上記第3の発明では、シール部材はミラーベースに予め組み付けられているところ、第2シールリップが、ミラーベースのアウターパネルへの取付方向に延びるような姿勢でミラーベースの内側面に接触している場合には、これと対向するように二股に形成された第1シールリップも、ミラーベースの取付方向に延びるような姿勢をとる。この場合には、第1シールリップがアウターパネルに対して起立した状態で、当該アウターパネルに押し当てられることから、第1シールリップの先端部がミラーベースの外周縁側ではなく内側に傾倒するように、アウターパネルに接触する場合がある。
【0027】
そうして、第1シールリップの先端部がミラーベースの内側に傾倒するようにアウターパネルに接触すると、これと対向するように二股に形成された第2シールリップが内側に引っ張られることになり、第2シールリップとミラーベースの内側面とが接触せず、ミラーボディ側へ雨水や洗車水等が浸入したり、車両走行時に空気が入り込んだりするおそれがある。
【0028】
ここで、第4の発明によれば、ミラーベースの内側面には、第1及び第2シールリップの付け根部を支持する突起部が形成されていることから、第1及び第2シールリップがミラーベースの取付方向に対向するよう並んだ姿勢を維持したまま、第1シールリップの先端部がアウターパネルに押し当てられる。したがって、第1シールリップの先端部がミラーベースの内側に傾倒するように、第1シールリップがアウターパネルに接触するのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る車両用ドアミラー取付部のシール構造によれば、シール部材は、ミラーベースに形成された空間に収容されていることから、第1及び第2シールリップがミラーベースの外側に露出しないので、ミラーベース取付部の見栄えを向上させることができる。
【0030】
また、シール部材は、アウターパネルに弾性的に接触する第1シールリップのみならず、ミラーベースの内側面に弾性的に接触する第2シールリップを備えていることから、車体側及びミラーボディ側への雨水や洗車水等の浸入や、車両走行時にミラーベースと車体との間に空気が入り込むことに起因する風騒音の発生を確実に抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ドアミラーを示す斜視図である。このドアミラー1は、運転者の後方確認のために用いられるものであり、三角窓部を介してフロントドアに固定されるものとは異なり、
図1に示すように、フロントドア(車両用ドア)7のアウターパネル17に直接ミラーベース5が固定されるようになっている。なお、以下の説明では、右側のドアミラー1について説明するが、左側のドアミラーについては、右側のドアミラー1と左右対称であることを除けば同様の構成であることから、その説明を省略する。
【0034】
このドアミラー1は、後方確認用ミラー等が組み込まれたミラーボディ11と、ミラーボディ11を支持するためのミラーベース5とを備えている。
図2に示すように、ミラーベース5は、当該ミラーベース5とアウターパネル17との間に防水用のシールラバー(シール部材)3を介設させるようにして、アウターパネル17の取付部27に固定されおり、これにより、ミラーベース5の内部及びアウターパネル17の取付部27を外部からシールする構造となっている。
【0035】
シールラバー3は、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合ゴム)等のゴム製の成形加工品であり、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、アウターパネル17側から見て略長円状に形成され、ミラーベース5に取り付けられるベース側取付部33と、当該ベース側取付部33からアウターパネル17側に凹む、有底の略三角形筒状のパネル側取付部43と、当該ベース側取付部33の外周縁からアウターパネル17側に突出する略長円形筒状の竪壁部53とを有している。換言すると、シールラバー3は、略ハット状に形成されており、有底の略三角形筒状のパネル側取付部43のミラーベース5側の端部に、鍔部としての略長円状のベース側取付部33が形成されているとともに、かかるベース側取付部33の外周縁から略長円形筒状の竪壁部53がアウターパネル17側に突設されている。
【0036】
ベース側取付部33には、ミラーベース5の4つの位置決めボス35aに対応する4つの孔33aが形成されている一方、パネル側取付部43の略三角形状の底部には、ミラーベース5の3つの取付ボス35bに対応する3つの孔43aと、2つの位置決めボス35cに対応する丸孔43b及び長孔43cと、カプラ固定部35dに対応する四角形孔43dとが形成されている。
【0037】
また、シールラバー3は、当該シールラバー3の全周に亘って突設される略環状の第1及び第2シールリップ13,23を備えている。より詳しくは、第1シールリップ13は略長円形筒状の竪壁部53におけるアウターパネル17側の端部から、かかる竪壁部53の全周に亘って筒径方向外側に
向かって突出して略環状をなしている一方、第2シールリップ23は略長円形筒状の竪壁部53におけるミラーベース5側の端部から、かかる竪壁部53の全周に亘って筒径方向外側に
向かって突出して略環状をなしている。換言すると、第1シールリップ13と第2シールリップ23とは、ミラーベース5の取付方向に対向するように、竪壁部53(シール部材の外周縁部)から二股に形成されている。
【0038】
第1シールリップ13は、その突出長が第2シールリップ23の突出長よりも長くなるように形成されており、後述の如く、アウターパネル17に弾性的に接触する一方、第2シールリップ23は、ミラーベース5に弾性的に接触するようになっている。これら第1及び第2シールリップ13,23は、略長円形筒状の竪壁部53の全周に亘ってそれぞれほぼ一定の突出長で筒径方向外側に突出していることから、シールラバー3は、第1及び第2シールリップ13,23を含めて略長円状(後述するミラーベース5の開口形状に沿うような形状)に形成されている。また、第1及び第2シールリップ13,23における、(アウターパネル17に取り付けられた状態での)シールラバー3の下端部に対応する部位には、
図2及び
図3(a)に示すように、切欠部13b,23bがそれぞれ形成されている。
【0039】
図4は、シールラバー3が組み付けられたミラーベース5の底面をアウターパネル17側から見た図であり、
図5及び
図6は、それぞれ
図4のV−V線及びVI−VI線の断面図である。ミラーベース5は硬質の合成樹脂製の成形加工品であり、
図2に示すように、ミラーベース本体部15と、当該ミラーベース本体部15を下側から覆うカバーベース25とを備えている。ミラーベース本体部15は、ミラーボディ11に組み込まれる電動格納ユニットの回転軸9を支持するとともにアウターパネル17に固定されるインナーベース部35と、このインナーベース部35の上側を覆うカバー部45とが一体になっている。換言すると、ミラーベース本体部15のインナーベース部35は、カバー部45とカバーベース25とによって上下から覆われていて、これにより、当該ミラーベース5には、
図6に示すように、カバー部45及びカバーベース25の内側面によって区画される、アウターパネル17側に開口する空間55が形成されている。
【0040】
この空間55には、ミラーベース5をアウターパネル17に取り付けるための3つの取付ボス35bと、ミラーベース5をアウターパネル17に対して位置決めするための2つの位置決めボス35cと、カプラを固定するためのカプラ固定部35dと、シールラバー3を位置決めするための4つの位置決めボス35aとが設けられている。
【0041】
図4に示すように、ミラーベース5の開口形状はアウターパネル17側から見て略長円状となっており、シールラバー3を位置決めするための4つの位置決めボス35aを、これらに対応するシールラバー3の4つの孔33aに挿通して、シールラバー3をミラーベース5に組み付けると、略長円状のシールラバー3が、空間55にすっぽりと収容されるようになっている。換言すると、シールラバー3は、第1及び第2シールリップ13,23を含めて、ミラーベース5の外側に露出しないような寸法に形成されており、これにより、ミラーベース5をアウターパネル17に取り付けても、第1及び第2シールリップ13,23がミラーベース5の外側に露出しないようになっている。
【0042】
このように、シールラバー3がミラーベース5に組み付けられると、
図4〜
図5に示すように、3つの取付ボス35bが3つの孔43aを通ってアウターパネル17側に突出し、且つ、2つの位置決めボス35cが丸孔43b及び長孔43cを通ってアウターパネル17側に突出するとともに、カプラ固定部35dが四角形孔43dに臨むことになる。また、かかる組み付け状態では、
図6に示すように、カバーベース25のアウターパネル17側の先端部25cの全周に亘って形成された、アウターパネル17側に突出するリブ(突起部)5bが第1及び第2シールリップ13,23の付け根部(竪壁部53)に当たるとともに、先端部23aがミラーベース5の外周縁側に傾倒するように、第2シールリップ23がミラーベース5の内側面5a(より詳しくはカバー部45及びカバーベース25の先端部における内側面)に弾性的に接触するようになっている。
【0043】
アウターパネル17の取付部27には、
図2に示すように、シールラバー3のパネル側取付部43に対応する部位に取付凹部37が形成されているとともに、かかる取付凹部37内において、ミラーベース5の位置決めボス35cに対応する部位に位置決め穴37bが形成され、且つ、ミラーベース5の取付ボス35bに対応する部位に取付穴37aが形成されている。
【0044】
このアウターパネル17にミラーベース5を取り付ける際には、アウターパネル17へのミラーベース5の取付に先立ち、上述の如く、第2シールリップ23がミラーベース5の内側面5aに弾性的に接触するように、シールラバー3をミラーベース5に組み付け、その後、ミラーベース5の位置決めボス35cをアウターパネル17の位置決め穴37bに挿入する。このように、位置決めボス35cが位置決め穴37bに挿入されると、ミラーベース5の取付ボス35bがアウターパネル17の取付穴37aに合致する。そうして、不図示のボルトを取付穴37aから取付ボス35bに挿入してかかる取付ボス35bに螺合させることにより、ミラーベース5とアウターパネル17との間でシールラバー3が圧縮されるとともに、
図7に示すように、カバー部45及びカバーベース25の先端とアウターパネル17との間に僅かな隙間が開いた状態で、ミラーベース5がアウターパネル17の取付部27に固定される。
【0045】
このようにして、ミラーベース5がアウターパネル17の取付部27に固定されると、その先端部13aがミラーベース5の外周縁側に傾倒するように、第1シールリップ13がアウターパネル17の取付凹部37の周縁部27aに押し付けられて弾性的に接触する。これにより、取付穴37aや位置決め穴37bが形成されたアウターパネル17の取付凹部37と、ミラーベース5の外側の空間とのシール性が確保され、アウターパネル17の内側(車体側)への雨水や洗車水等の浸入が抑えられる。また、上述の如く、第2シールリップ23も、その先端部23aがミラーベース5の外周縁側(アウターパネル17側)に傾倒するように、ミラーベース5の内側面5aに押し付けられて弾性的に接触していることから、ミラーベース5の内側の空間55と、ミラーベース5の外側の空間とのシール性が確保され、ミラーボディ11側への雨水や洗車水等の浸入が抑えられる。加えて、これら第1及び第2シールリップ13,23により、車両走行時にミラーベース5とアウターパネル17との間に空気が入り込むのが抑えられることから、いわゆる笛吹き現象による風騒音の発生も抑えられる。
【0046】
ここで、第2シールリップ23は、ミラーベース5に予め組み付けられていることから、その長さを調整することにより、ミラーベース5の内側面5aに確実に接触させることができるのに対し、第1シールリップ13は、アウターパネル17側の成形誤差や取付誤差等の影響によりアウターパネル17に接触しない可能性があるところ、本実施形態では、第1シールリップ13の突出長を第2シールリップ23の突出長よりも長く設定していることから、第1シールリップ13をアウターパネル17に確実に接触させることができる。
【0047】
また、第1シールリップ13と第2シールリップ23とは、ミラーベース5の取付方向に対向するように二股に、換言すると、断面コ字状をなすように形成されているとともに、第1シールリップ13の先端部13aがミラーベース5の外周縁側に傾倒し且つ第2シールリップ23の先端部23aがアウターパネル17側に傾倒するように、第1シールリップ13がアウターパネル17に接触し且つ第2シールリップ23がミラーベース5に接触することから、当該第1シールリップ13と当該第2シールリップ23との間には、開口部が窄まった断面溝状の空間63がシールラバー3の全周に亘って形成されている。このように、第1シールリップ13と第2シールリップ23との間に、溝状の空間63が形成されることにより、このような空間63が形成されていない構造に比して、第1及び第2シールリップ13,23を、それぞれアウターパネル17及びミラーベース5の内側面5aに強く押し付ける付勢力が生じるとともに、かかる溝状の空間63に雨水や洗車水等の水が溜まることになる。
【0048】
そうして、アウターパネル17とミラーベース5の外周縁部との間からミラーベース5の空間内に浸入した雨水等の水滴は、第1又は第2シールリップ23を伝って、かかる溝状の空間63に溜まる。このようにして溝状の空間63に溜まった水滴が一定量以上に達すると、水滴の集合は、シールラバー3の全周に亘って形成された溝状の空間63内を流れ落ちて、シールラバー3の下端部に至り、第1及び第2シールリップ13,23に形成された切欠部13b,23bからミラーベース5の外側へ排出される。
【0049】
ところで、シールラバー3は、上述の如くミラーベース5に予め組み付けられているところ、
図8(a)に示すように、第2シールリップ23がミラーベース5の取付方向に延びるような姿勢で、換言すると、第2シールリップ23の先端部23aのみならず第2シールリップ23全体が、ミラーベース5の内側面5aにべったりと接触している場合には、これと対向するように二股に形成された第1シールリップ13も、ミラーベース5の取付方向に延びるような姿勢をとることになる。この場合には、ミラーベース5をアウターパネル17に取り付ける際、
図8(a)に示すように、第1シールリップ13がアウターパネル17に対して起立した状態で、当該アウターパネル17に押し当てられることになり、先端部13aがミラーベース5の外周縁側ではなく内側に傾倒するように、第1シールリップ13がアウターパネル17に接触する場合がある。
【0050】
そうして、
図8(b)に示すように、第1シールリップ13の先端部13aがミラーベース5の内側に傾倒するようにアウターパネル17に接触すると、これと対向するように二股に形成された第2シールリップ23も内側に引っ張られることになり、第2シールリップ23とミラーベース5の内側面5aとが接触せず、ミラーボディ11側へ雨水等が浸入したり、車両走行時に空気が入り込んだりするおそれがある。
【0051】
ここで、本実施形態では、ミラーベース5の内側面5aには、第1及び第2シールリップ13,23の付け根部である竪壁部53を支持するリブ5bが形成されていることから、第2シールリップ23がミラーベース5の内側面5aにべったりと接触することなく、第1及び第2シールリップ13,23がミラーベース5の取付方向に対向するよう並んだ姿勢を維持したまま、第1シールリップ13の先端部13aがアウターパネル17に押し当てられるので、第1シールリップ13の先端部13aがミラーベース5の内側に傾倒するようにアウターパネル17に接触するのを抑えることができる。
【0052】
−効果−
本実施形態によれば、アウターパネル17とミラーベース5との間に介設されたシールラバー3は、ミラーベース5に形成された空間55に収容されていることから、第1及び第2シールリップ13,23がミラーベース5の外側に露出しないので、ドアミラー取付部の見栄えを向上させることができる。
【0053】
また、第1シールリップ13がアウターパネル17に弾性的に接触することにより、アウターパネル17の内側への雨水や洗車水等の浸入を確実に抑えることができるとともに、第2シールリップ23がミラーベース5の内側面5aに弾性的に接触することにより、ミラーボディ11側への雨水や洗車水等の浸入を確実に抑えることができる。加えて、これら第1及び第2シールリップ13,23により、車両走行時にミラーベース5とアウターパネル17との間に空気が入り込むのが抑えられることから、風騒音の発生も確実に抑えることができる。
【0054】
さらに、第1シールリップ13と第2シールリップ23との間には、水を溜めるための溝状の空間63が、シールラバー3の全周に亘って形成されていることから、アウターパネル17とミラーベース5の外周縁部との間からミラーベース5の空間内に浸入した雨水や洗車水等の水滴をかかる溝状の空間63に溜めることができるとともに、第1及び第2シールリップ13,23には、シールラバー3の下端部に対応する部位に、切欠部13b,23bがそれぞれ形成されていることから、シールラバー3の下端部に溜まった水滴の集合を、かかる切欠部13b,23bからミラーベース5の外側へ排出することができる。これにより、雨水や洗車水等の水滴が、ミラーベース5の内側に留まり続けるのを抑えることができる。
【0055】
また、第1シールリップ13の突出長を第2シールリップ23の突出長よりも長く設定していることから、第1シールリップ13をアウターパネル17に確実に接触させることができる。
【0056】
さらに、ミラーベース5の内側面5aには、第1及び第2シールリップ13,23の付け根部である竪壁部53を支持するリブ5bが形成されていることから、第1シールリップ13の先端部13aがミラーベース5の内側に傾倒するように、アウターパネル17に接触するのを抑えることができる。
【0057】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0058】
上記実施形態では、シールラバー3をアウターパネル17側から見て略長円状に形成したが、これに限らず、シールラバー3の形状はミラーベース5の開口形状に合わせて適宜変更することができる。
【0059】
また、上記実施形態では、ミラーベース本体部15として、インナーベース部35とカバー部45とが一体になったものを用いたが、これに限らず、ミラーベース本体部15としてインナーベース部35のみを有するものを用い、かかるインナーベース部35を別体のカバーベース25で覆うようにしてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、第1シールリップ13と第2シールリップ23とが、ミラーベース5の取付方向に対向するように、換言すると、断面コ字状をなすように二股に形成たが、これに限らず、第1シールリップ13と第2シールリップ23とを末広がりになるように形成して、第2シールリップ23をカバー部45及びカバーベース25の先端部ではなく、それよりもミラーボディ11側に近い位置でミラーベース5の内側面5aに接触させるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、第1シールリップ13の突出長が第2シールリップ23の突出長よりも長くなるように第1シールリップ13を形成したが、第1シールリップ13をアウターパネル17に接触させることができるのであれば、これに限らず、第1シールリップ13の突出長と第2シールリップ23の突出長とが同じになるように、又は、第1シールリップ13の突出長が第2シールリップ23の突出長よりも短くなるようにしてもよい。
【0062】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。