(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重量推定部は、前記基本重量情報に対応付けられた前記画素のうち、前記濃淡レベルが高い前記画素に対して前記補正量を大きくし、前記濃淡レベルが低い前記画素に対して前記補正量を小さくする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の重量推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るX線検査装置について説明する。
【0015】
(1)X線検査装置の概略説明
図1は、本発明の一実施形態に係るX線検査装置10の外観を示す斜視図である。また、
図2に、X線検査装置10が組み込まれる検査ライン(X線検査システム)100の例を示す。検査ラインでは、食品等の物品Gの検査が行われる。検査ライン100には、X線検査装置10の他、上流コンベアユニット60と、振り分け機構70とが含まれる。上流コンベアユニット60は、X線検査装置10の上流に設けられている。上流コンベアユニット60は、X線検査装置10に対して連続的に物品Gを送る。上流コンベアユニット60は、物品Gを載せる載置面を有する。物品Gは所定の距離間隔を空けて載置面に載せられる。これにより、X線検査装置10には、所定の距離間隔d(あるいは時間間隔)で物品Gが搬送される(
図8参照)。
【0016】
X線検査装置10は、上流コンベアユニット60によって連続的に搬送されてくる物品Gに対してX線を照射することにより物品Gの良否判断を行う。具体的に、X線検査装置10は、物品Gを透過したX線量に基づいて物品Gの重量(質量)を推定し、推定した重量が所定範囲内であるか否かの検査を行う。推定された重量が所定の範囲内に含まれる場合には、物品Gを良品と判断し、推定された重量が所定の範囲から外れる場合には、不良品と判断する。X線検査装置10での検査結果は、X線検査装置10の下流に設けられた振り分け機構70に送られる。振り分け機構70は、ラインコンベアユニット80および不良品回収ライン90に接続される。振り分け機構70は、X線検査装置10において良品と判断した物品Gをラインコンベアユニット80に振り分け、不良品と判断した物品Gを不良品回収ライン90に振り分ける。
【0017】
(2)X線検査装置の詳細説明
図1、
図3、または
図5に示すように、X線検査装置10は、主として、シールドボックス11と、コンベアユニット(搬送部)12と、X線照射器(X線照射部)13と、X線ラインセンサ(X線検出部)14と、タッチパネル機能付きのモニタ30と、制御装置20とから構成されている。
【0018】
(2−1)シールドボックス
シールドボックス11は、後述するコンベアユニット12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、制御装置20等を収容するボックスである。シールドボックス11の正面上部には、モニタ30の他、キーの差し込み口および電源スイッチ等が配置されている。シールドボックス11の両側面には、開口11aが形成されている。開口11aは、物品Gをシールドボックス11の内外に搬入および搬出させるために用いられる。開口11aは、遮蔽ノレン(図示せず)によって塞がれている。遮蔽ノレンは、シールドボックス11の内部のX線が外部へ漏洩することを防止する。遮蔽ノレンは、鉛を含むゴムから成形されている。遮蔽ノレンは、物品Gが開口11aを通過する際に物品Gによって押しのけられるようになっている。
【0019】
(2−2)コンベアユニット
コンベアユニット12は、シールドボックス11内で物品Gを搬送する。コンベアユニット12は、
図1に示すように、シールドボックス11の両側面に形成された開口11aを貫通するように配置されている。コンベアユニット12は、主として、無端状のベルトと、駆動ローラと、コンベアモータ12a(
図5参照)とから構成されている。駆動ローラは、コンベアモータ12aによって駆動される。駆動ローラの駆動により、ベルトが回転され、ベルト上の物品Gが下流に搬送される。コンベアユニット12による物品Gの搬送速度は、オペレータによって入力された設定速度に応じて変動する。制御装置20は、設定速度に基づいてコンベアモータ12aをインバータ制御し、物品Gの搬送速度を細かく制御する。また、コンベアモータ12aには、コンベアユニット12による搬送速度を検出して制御装置20に送るエンコーダ12b(
図5参照)が装着されている。
【0020】
(2−3)X線照射器
X線照射器13は、
図3に示すように、コンベアユニット12の上方に配置されている。X線照射器13は、X線ラインセンサ14に向けて扇状の照射範囲XにX線を照射する。照射範囲Xは、コンベアユニット12の搬送面に対して垂直に延びる。また、照射範囲Xは、コンベアユニット12の搬送方向に対して交差する方向に扇状に広がる。すなわち、X線照射器13から照射されるX線は、ベルトの幅方向に広がる。
【0021】
X線照射器13から照射されるX線量(X線の強度)は、X線照射器13の使用を開始してから暫く安定しない。言い換えると、X線照射器13から照射されるX線量は、安定時に至るまで変動する。安定時は、X線照射器13の使用開始から所定時間(例えば、5分程度)が経過した後の時間である。一方、非安定時は、X線照射器13の使用開始時から所定時間が経過するまでの時間である。
【0022】
(2−4)X線ラインセンサ
X線ラインセンサ14は、
図3に示すように、コンベアユニット12の下方に配置されている。X線ラインセンサ14は、主として、多数のX線検出素子14aから構成されている。X線検出素子14aは、コンベアユニット12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置されている。また、各X線検出素子14aは、物品Gやコンベアユニット12を透過したX線を検出し、検出したX線に基づくX線透過信号を出力する。言い換えると、X線透過信号は、透過したX線の強度に応じたX線透過信号を出力する。なお、透過したX線の強度は、透過したX線量(透過X線量)の大小に依存する。X線透過信号により、X線画像の明るさ(濃淡値)が決定される(
図4参照)。
図4は、X線ラインセンサ14のX線検出素子14aによって検出されるX線の検出量(透過量)の例を示すグラフである。グラフの横軸は、各X線検出素子14aの位置に対応する。また、グラフの横軸は、コンベア
ユニット12の搬送方向に直交する方向の距離に対応する。また、グラフの縦軸は、X線検出素子14aで検出されたX線の透過量(検出量)を示す。すなわち、検出量の多いところが明るい(淡い)X線画像として表示され、検出量が少ないところが暗い(濃い)X線画像として表示される。すなわち、X線画像の明暗(濃淡)は、X線の検出量に対応する。結果として、X線画像の明暗(濃淡)は、物品Gの重量に対応する。
【0023】
さらに、X線ラインセンサ14は、検体である物品Gが扇状のX線の照射範囲X(
図3参照)を通過するタイミングを検知するためのセンサとしても機能する。すなわち、X線ラインセンサ14は、コンベアユニット12のベルト上で搬送される物品GがX線ラインセンサ14の上方位置(照射範囲X)に来たとき、所定の閾値以下の電圧を示すX線透過信号(第1信号)を出力する。一方、X線ラインセンサ14は、物品Gが照射範囲Xを通過すると所定の閾値を上回る電圧を示すX線透過信号(第2信号)を出力する。第1信号および第2信号が後述の制御装置20に入力されることにより、照射範囲Xにおける
物品Gの有無が検出される。所定の閾値とは、物品Gの有無を判定するために任意で設定された値である。
【0024】
なお、本実施形態では、物品Gを透過せずX線ラインセンサ14によって検出されたX線についてのX線量を、「照射X線の検出量」といい、物品Gを透過してX線ラインセンサ14によって検出されたX線についてのX線量を、「物品透過X線の検出量」という。
【0025】
(2−5)モニタ
モニタ30は、液晶ディスプレイである。モニタ30は、検査時に必要となる検査パラメータ等の入力をオペレータに促す画面を表示する。モニタ30は、タッチパネル機能も有しており、オペレータからの検査パラメータ等の入力を受け付ける。
【0026】
(2−6)制御装置
制御装置20は、
図5に示すように、主として、記憶部21および制御部22を含む。記憶部21は、ROM、RAM、およびHDD(ハードディスク)等によって構成されている。制御部22は、CPUによって構成されている。
【0027】
また、制御装置20は、図示しない表示制御回路、キー入力回路、通信ポートなども備えている。表示制御回路は、モニタ30でのデータ表示を制御する回路である。キー入力回路は、モニタ30のタッチパネルを介してオペレータにより入力されたキー入力データを取り込む回路である。通信ポートは、プリンタ等の外部機器やLAN等のネットワークとの接続を可能にする。
【0028】
制御装置20は、また、上述のコンベアモータ12a、エンコーダ12b、X線照射器13、およびX線ラインセンサ14等に接続されている。制御装置20は、エンコーダ12bからコンベアモータ12aの回転数に関するデータを取得し、当該データに基づき、物品Gの移動距離を把握する。また、制御装置20は、上述したように、X線ラインセンサ14から出力された信号を受信することにより、コンベアユニット12のベルト上の物品Gが照射範囲Xに来たタイミングを検出する。
【0029】
(2−6−1)記憶部
記憶部21は、制御部22に実行させる各種プログラムや検査パラメータを記憶する。検査パラメータは、モニタ30のタッチパネル機能を使ってオペレータによって入力される。
【0030】
記憶部21は、主として、X線画像記憶領域21a、第1情報記憶領域(第1記憶領域)21b、第2情報記憶領域(第2記憶領域)21c、サンプル濃淡値記憶領域21d、重量推定情報記憶領域(重量情報記憶領域)21e、物品重量記憶領域21f、および診断/検査結果記憶領域21gを有する。
【0031】
(a)X線画像記憶領域
X線画像記憶領域21aには、後述する画像生成部22aによって生成された画像に関するデータ(画像データ)が記憶されている。画像データには、物品透過X線画像の画像データと、照射X線画像の画像データとが記憶されている。物品透過X線画像とは、物品Gを透過した後X線ラインセンサ14によって検出されたX線(物品透過X線)に基づいて生成された画像である。また、照射X線画像とは、物品Gを透過せずにX線ラインセンサ14によって検出されたX線(照射X線)に基づいて生成された画像である。また、画像データとは、画像を構成するデータである。
【0032】
(b)第1情報記憶領域
第1情報記憶領域21bは、後述するヒストグラム作成部22bによって作成された第1ヒストグラムに関する情報(第1情報)を記憶する。第1情報とは、照射X線画像の濃淡値(濃淡レベル)に関する情報であって、照射X線画像を構成する各画素の濃淡値および各濃淡値を有する画素の総数を示す情報である。照射X線画像の濃淡値は、背景の明るさの程度を示す。
【0033】
第1情報記憶領域21bは、複数の第1情報が記憶できるようになっている。すなわち、第1情報記憶領域21bは、ヒストグラム作成部22bによって第1ヒストグラムが作成されるたびに、当該第1ヒストグラムに関する第1情報をさらに記憶する。
【0034】
(c)第2情報記憶領域
第2情報記憶領域21cは、後述するヒストグラム作成部22bによって作成された第2ヒストグラムに関する情報(第2情報)を記憶する。第2情報とは、物品透過X線画像の濃淡値(濃淡レベル)に関する情報であって、物品透過X線画像を構成する各画素の濃淡値および各濃淡値を有する画素の総数を示す情報である。物品透過X線画像の濃淡値によって、物品の重量が推定される。
【0035】
第2情報記憶領域21cもまた、複数の第2情報が記憶できるようになっている。すなわち、第2情報記憶領域21cは、ヒストグラム作成部22bによって第2ヒストグラムが作成されるたびに、当該第2ヒストグラムに関する第2情報をさらに記憶する。
【0036】
(d)サンプル濃淡値記憶領域
サンプル濃淡値記憶領域21dは、後述するサンプル濃淡値判定部22cによって判定されたサンプル濃淡値を記憶する。サンプル濃淡値は、最新の照射X線画像の濃淡値であって、最新の背景の明るさを示す。すなわち、サンプル濃淡値は、照射X線の検出量または照射X線の強度によって変動する。サンプル濃淡値記憶領域21dはサンプル濃淡値判定部22cによって新たなサンプル濃淡値が判定される度に、当該新たなサンプル濃淡値によって上書きされる。なお、サンプル濃淡値は、例えば、X線検査装置の使用開始時あるいは使用終了時にリセットされるようになっている。
【0037】
(e)重量推定情報記憶領域
重量推定情報記憶領域21eは、物品Gの重量を推定するために必要な情報を記憶する。具体的に、重量推定情報記憶領域21eには、重量変換テーブルおよび重量変換テーブルを作成するためのアルゴリズムと、補正情報とが記憶されている。
【0038】
(e−1)重量変換テーブル
重量変換テーブルは、物品Gの重量を推定する際に用いる情報である。具体的に、重量変換テーブルは、
図6および
図7に示すように、画素の濃淡値(濃淡レベル)(a)と、重量値(m)とを一対一で対応付けた情報である。
【0039】
重量推定情報記憶領域21eには、後述する重量推定部22eによって作成された複数の重量変換テーブルが記憶されている。複数の重量変換テーブルには、初期テーブルと、修正テーブルとが含まれる。初期テーブルは、濃淡レベル(a)と、基本重量(m)とを対応付けた重量変換テーブルである。基本重量とは、X線照射器13の使用開始時(非安定時)における、物品透過X線画像の濃淡値に対応付けられる重量である。言い換えると、基本重量は、照射X線画像の濃淡値が、X線照射器13の使用開始時の照射X線画像濃淡値(初期照射X線画像濃淡値(以下、初期濃淡値とよぶ))と一致する場合に参照する重量情報である。また、修正テーブルは、照射X線画像の濃淡値と初期濃淡値とが一致しない場合に参照する重量変換テーブルである。
【0040】
(e−2)補正情報
補正情報は、初期テーブルにおける濃淡値(a)と重量値(m)との対応付けを、照射X線の検出量に応じて補正するための情報である。言い換えると、補正情報は、重量変換テーブルにおける、X線画像の濃淡値(a)を分類する階調の数と、各濃淡値(a)に対応付ける重量値(m)とを、照射X線の検出量に応じて変更するための情報を含む。
【0041】
本実施形態では、X線照射器13の使用開始時(非安定時)における照射X線画像の濃淡値(背景の明るさ)を、前述の通り初期濃淡値とする。例えば、X線照射器13の使用開始時の背景の明るさ(照射X線画像の濃淡値)を、220とする。このとき用いる重量変換テーブル(初期テーブル)において、照射X線画像の濃淡値(a)は、0〜220の階調に分類される(
図6参照)。一方、X線照射器13の使用後所定時間(例えば5分)が経過してX線ラインセンサ14における照射X線の検出量が安定した場合(安定時)の背景の明るさを、例えば、210とする。このとき用いる重量変換テーブル(修正テーブル)において、照射X線画像の濃淡値(a)は、0〜210の階調に分類される(
図7参照)。すなわち、補正情報に基づき、重量変換テーブルの照射X線画像の濃淡値(a)は、照射X線の検出量に対応する数の階調に変更される。
【0042】
また、補正情報は、修正テーブルにおいて新たに分類された数の階調の各濃淡値(濃淡レベル)に応じ、重量変換テーブルのデータのスライド量Sを定義する。具体的に、補正情報は、初期テーブルにおいて各濃淡値(a)に対応付けられた重量値(m)のデータをスライドさせる量を定義し、新たに分類された階調の各濃淡値(a)に、どの重量値(m)を対応付けるかを定義する。なお、補正情報は、高い濃淡値に対応付けられた重量値(m)のスライド量が、低い濃淡値に対応付けられた重量値(m)のスライド量よりも大きくなるように定義する(
図9参照)。
【0043】
なお、スライド量Sは、下記式(1)によって求められる。
【0045】
より具体的には、式(1)にしたがって各濃淡レベルにおけるスライド量Sを少数第一位まで求める。ここで、Dは、後述する開き量特定部22dによって特定された、サンプル濃淡値と初期濃淡値との差である。
【0046】
(f)物品重量記憶領域
物品重量記憶領域21fには、物品Gの正量品か否かの判定基準となる重量情報が記憶されている。言い換えると、重量情報は、正量品と判断される物品Gの重量の範囲に関する情報であり、具体的には、重量の上限値および下限値が記憶されている。物品重量記憶領域21fには、複数種類の物品Gについて、それぞれに対応する正量品の重量情報が記憶されている。
【0047】
(g)診断/検査結果記憶領域
診断/検査結果記憶領域21gには、後述する重量診断部22fによる診断の結果と、異物検査部22gによる検査結果とが記憶されている。
【0048】
(2−6−2)制御部
制御部22は、記憶部21に記憶された各種プログラムを実行することにより、画像生成部22a、ヒストグラム作成部22b、サンプル濃淡値判定部(照射量判定部)22c、開き量特定部22d、重量推定部22e、重量診断部22f、異物検査部22g、および良否判断部22hとして機能する。
【0049】
(a)画像生成部
画像生成部22aは、X線ラインセンサ14によって検出されたX線の検出量(物品透過X線の検出量および照射X線の検出量)に基づいてX線画像を作成する。具体的に、画像生成部22aは、物品透過X線に基づいて物品透過X線画像を生成する。また、画像生成部22aは、照射X線に基づいて照射X線画像を生成する。
【0050】
より具体的に、画像生成部22aは、X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号を細かい時間間隔で取得する。画像生成部22aは、取得したX線透過信号に基づいてX線画像を生成する。すなわち、扇状のX線の照射範囲X(
図3参照)を物品Gが通過するとき、画像生成部22aは、X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号に基づいて、物品GのX線画像を生成する。また、扇状のX線の照射範囲X(
図3参照)を物品Gが通過していないとき、画像生成部22aは、X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号に基づいて、物品Gが載置されていないベルト(背景)のX線画像を生成する。言い換えると、物品Gが通過していない時に各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号によって照射X線の量あるいは強度の変動(すなわち、背景の明るさの変化)が把握される。
【0051】
なお、物品Gが扇状のX線の照射範囲Xを通過するタイミングは、X線ラインセンサ14からの信号により判断される。すなわち、X線ラインセンサ14が出力する信号により照射範囲Xにおける物品Gの有無が判断される。画像生成部22aは、X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから得られるX線の明るさに関する細かい時間間隔毎のデータをマトリクス状に時系列につなぎ合わせることにより、物品Gを対象とするX線画像または物品Gを対象としないX線画像(すなわち、背景画像)を生成する。
【0052】
図8(a)〜(c)を参照して、物品Gを対象とするX線画像と、物品Gを対象としないX線画像(背景のX線画像)とについて説明する。本実施形態では、
図8(a)に示すように、物品Gが所定の距離間隔dを空けてベルト上に載置されている。照射範囲Xにおける物品Gの有無は、上述したように、X線ラインセンサ14から出力される信号により判断される。X線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから得られるデータを時系列に繋ぎ合わせることにより、
図8(b)に示すような、物品GのX線画像と、背景のX線画像とが生成される。すなわち、物品GのX線画像は、物品Gおよびベルトを透過したX線についてのX線透過信号に基づくX線画像(物品透過X線画像)であり、背景のX線画像は、ベルトを透過したX線についてのX線透過信号に基づくX線画像(照射X線画像)である。物品透過X線画像および照射X線画像は、
図8(b)および(c)に示すように、物品Gの画像(ベルトおよび物品Gの画像)は、ベルトのみの画像に比べて暗くなっている。なお、説明を簡単にするため、全ての物品Gを同じ暗さにしている。
【0053】
(b)ヒストグラム作成部
ヒストグラム作成部22bは、画像生成部22aによって生成されたX線画像に基づき、X線画像の濃淡値に関する情報を作成する。具体的に、ヒストグラム作成部22bは、X線画像に基づき、各濃淡値(濃淡レベル)を有する画素数を示すヒストグラムを作成する。言い換えると、ヒストグラム作成部22bは、物品透過X線画像および照射X線画像をそれぞれ構成する全画素を所定幅の濃淡値(階調)毎に分類し、各濃淡値を有する画素数をカウントする。これにより、物品透過X線画像および照射X線画像のそれぞれについて濃淡値毎の画素数を示すヒストグラムを作成する。
【0054】
図9は、ヒストグラム作成部22bによって物品透過X線画像に基づいて作成されたヒストグラムを曲線で表した図である。記号C1で示す曲線は、背景の明るさが220.0の時の、ある物品Gの物品透過X線画像における各画素の濃淡値および画素数を示し、記号C2で示す曲線は、背景の明るさが210.0の時の、同じ物品Gの物品透過X線画像における各画素の濃淡値および画素数を示す。
図9において、横軸は、照射X線画像の濃淡値に対応するディジタルデータの階調値を示し、縦軸は、X線画像のうち、各階調値に対応する画素をカウントした結果として得られる画素数を示している。
【0055】
ヒストグラム作成部22bによって作成された照射X線画像のヒストグラムに関するデータは、第1情報記憶領域21bに記憶される。また、ヒストグラム作成部22bによって作成された物品透過X線画像についてのヒストグラムに関するデータは、第2情報記憶領域21cに記憶される。
【0056】
(c)サンプル濃淡値判定部
サンプル濃淡値判定部22cは、第1情報記憶領域21bに記憶されている最新の第1情報に基づいて、サンプル濃淡値を判定する。ここで、最新の第1情報とは、重量推定を行う際に用いる物品透過X線画像の直前に取得された照射X線画像に関する情報であり、例えば、
図8の物品透過X線画像G2を用いて重量が推定される場合には、物品透過X線画像G2の直前に取得された照射X線画像(背景画像)B1についての第1情報を意味する。
【0057】
サンプル濃淡値判定部22cは、照射X線画像を構成する各画素の濃淡値の平均値を求める。平均値は、少数第一位まで求められる。サンプル濃淡値判定部22cは、当該平均値を、照射X線画像のサンプル濃淡値とする。サンプル濃淡値は、上述したように、背景の明るさを示す。サンプル濃淡値は、照射X線の検出量に応じて変化する。サンプル濃淡値判定部22cによって判定されたサンプル濃淡値は、上述のサンプル濃淡値記憶領域21dに記憶される。サンプル濃淡値の算出に際しては、上記の通り照射X線画像の全画素の平均値を算出してもよいし、照射X線画像についてのヒストグラムを平滑化処理した平滑ヒストグラムから算出してもよい。
【0058】
(d)開き量特定部
開き量特定部22dは、初期濃淡値と、サンプル濃淡値との開き量を特定する。具体的に、開き量特定部22dは、初期濃淡値と、サンプル濃淡値記憶領域21dに記憶された最新のサンプル濃淡値とを比較し、サンプル濃淡値が閾値よりも小さいかどうかを判断する。また、開き量特定部22dは、サンプル濃淡値と初期濃淡値とが一致しない場合に、サンプル濃淡値と初期濃淡値とに、どの程度の開き(違い)があるか(開き量)を特定する。
【0059】
(e)重量推定部
重量推定部22eは、重量推定情報記憶領域21eに記憶されているアルゴリズムに基づいて、重量変換テーブル(初期テーブル)を作成する。また、重量推定部22eは、上述の開き量特定部22dによって特定された情報と、重量推定情報記憶領域21eに記憶された補正情報とに基づいて重量変換テーブルを補正し、新たな重量変換テーブルである修正テーブルをさらに作成する。さらに、重量推定部22eは、重量変換テーブルに基づいて、物品Gの重量を推定する。以下、重量変換テーブルの作成、補正、および重量の推定についてそれぞれ説明する。
【0060】
(e−1)重量変換テーブルの作成
重量推定部22eは、以下の原理に基づいて、重量変換テーブル(初期テーブル)を作成する。なお、重量推定部22eによる処理は、透過X線画像においてX線の照射方向に厚みのある物質ほど暗く写るという性質を利用して行われる。
【0061】
具体的に、重量推定部22eは、次の数式(2)に基づいて、重量変換テーブル(初期テーブル)における各画素に対応する重量値(m)を算出する。
【0062】
【数2】
(但し、m:重量値、c:物の厚さから重量に変換するための係数、t:物質の厚さ、I:物質を透過したときの明るさ、I
0:物質がないときの明るさ、μ:線吸収係数、であるとものとする。)
【0063】
また、数式(2)のαに、例えば、1.0を代入し、画素の濃淡値(階調)(a)(0〜220)に対応する重量値(m)をテーブル化する(
図6参照)。これにより、濃淡値(a)と、重量値(m)との関係を示すテーブルが作成される。
【0064】
(e−2)重量変換テーブルの補正
重量推定部22eは、開き量特定部22dによって特定された情報(初期濃淡値とサンプル濃淡値との開き量)と、補正情報とに基づいて、初期テーブルを補正したテーブルである修正テーブルをさらに作成する。具体的に、重量推定部22eは、照射X線の検出量に基づいて、X線画像の濃淡値(a)を分類するための階調の数を変更する。例えば、初期テーブルにおいて、0〜220であった階調を、修正テーブルにおいて0〜210の階調に変更する(
図6および
図7参照)。さらに、重量推定部22eは、重量変換テーブルにおけるデータのスライド量Sを決定し、決定したスライド量に基づいて、修正テーブルにおいて新たに分類された階調の各濃淡値に対応付ける重量値(m)を決定する。ここで、重量推定部22eは、上述したように、高い濃淡値に対応付けられた重量値(m)のスライド量を、低い濃淡値に対応付けられた重量値(m)のスライド量よりも大きくする(
図9参照)。
【0065】
具体的には、上述したように、修正テーブルに関するデータのスライド量Sは、式(1)によって求められる。ここで、Dは、開き量特定部22dによって特定された、サンプル濃淡値と閾値との差である。
【0067】
また、修正テーブルにおいて各濃淡値に対する値Wjは、例えば、式(3)によって求められる。
【0069】
ここで、Nは、スライド量Sの少数第一以下を切り捨てた値である。また、kは、スライド量SからNを引いた値(k=S−N)である。
【0070】
上記式に基づき、濃淡値(a)に対応付ける重量値(m)を変更することにより、照射X線の検出量(照射X線の強度)に応じた重量変換テーブル(修正テーブル)が生成される。これにより、照射X線の検出量の変動によるヒストグラムのズレに関わらず、適当な重量推定が可能となるように重量変換テーブルが補正される。
【0071】
(e−3)重量推定処理
重量推定部22eは、第2情報記憶領域21cに記憶されている第2情報と、重量変換テーブルとに基づいて、物品Gの重量を推定する。ここで、重量推定部22eは、サンプル濃淡値記憶領域21dに記憶されている最新のサンプル濃淡値に応じた重量変換テーブルを参照する。具体的に、サンプル濃淡値と初期濃淡値とが一致する場合には、重量推定部22eは、初期テーブルを参照して物品Gの重量を推定する。一方、サンプル濃淡値と初期濃淡値とが一致しない場合には、重量推定部22eは、開き量に応じた修正テーブル(直近のサンプル濃淡値と初期濃淡値との開き量に基づいて作成された重量変換テーブル)を参照して物品Gの重量を推定する。重量推定部22eは、重量変換テーブルを参照し、物品透過X線画像を構成する全ての画素の濃淡値に対応する重量値(m)を算出する。さらに、重量推定部22eは、全ての画素に対応する重量値(m)を足し合わせることにより、物品Gの重量値(総重量)を推定する。
【0072】
(f)重量診断部
重量診断部22fは、物品Gの重量値が所定の範囲内に収まっているか否かを診断する。物品Gの重量値が所定の範囲内に収まっている場合には、当該物品Gを正常と診断する。一方、物品Gの重量値が所定の範囲内に収まっていない場合には、当該物品Gを重量異常と判定する。
【0073】
(g)異物検査部
異物検査部22gは、物品透過X線画像に対して画像処理を施すことにより、物品Gに含まれる異物を検出する。たとえば、物品透過X線画像上に予め設定した閾値よりも暗く現れる領域が存在する場合には、当該物品Gに異物が混入していると判断し、当該物品Gを異常と判断する。
【0074】
また、物品透過X線画像にマスクを設定することも可能となっている。マスクは、例えば、背景に対応する領域に対して設定される。
【0075】
(h)良否判断部
良否判断部22hは、物品Gについての良品/不良品の診断を行う。良否判断部22hによる診断は、上述の重量診断部22fによる診断結果および異物検査部22gによる検査結果に基づいて行われる。良否判断部22hは、上述の診断/検査結果記憶領域21gに記憶されている情報(診断/検査結果)に基づいて、物品Gに対する良品/不良品の診断を行う。
【0076】
良否判断部22hは、診断/検査結果に基づき、重量診断および異物検査に関する両方の異常が検出されなかった場合に、物品Gを良品と判断し、その旨を示す信号を出力する。一方、良否判断部22hは、診断/検査結果に基づき、重量診断および異物検査の少なくともいずれか一方に異常が検出された場合には、物品Gを不良品と判断し、その旨を示す信号を出力する。
【0077】
良否判断部22hによって出力された信号は、振り分け機構70に送られる。振り分け機構70は、良否判断部22hによる診断結果に基づき、物品Gをラインコンベアユニット80または不良品回収ライン90に振り分ける。
【0078】
(3)重量推定に係る処理の流れ
以下、
図10を参照して、X線検査装置10における重量推定に係る処理の流れを説明する。まず、ステップS1において、X線ラインセンサ14による物品Gの有無の判断を確認する。X線ラインセンサ14がX線の照射範囲における物品Gの存在を確認しない場合、ステップS2に進む。一方、X線ラインセンサ14がX線の照射範囲における物品Gの存在を確認した場合、ステップS7に進む。
【0079】
ステップS2では、画像生成部22aが、X線ラインセンサ14によって検出されたX線のX線量に基づいてX線画像を作成する。具体的に、画像生成部22aは、物品Gを透過せずにX線ラインセンサ14によって検出されたX線(照射X線)の検出量(強度)に基づいて照射X線画像を生成する。画像生成部22aによって生成された照射X線画像は、X線画像記憶領域21aに記憶される。
【0080】
次に、ステップS3で、ヒストグラム作成部22bが、X線画像記憶領域21aに記憶された照射X線画像に基づいて、照射X線画像に基づくヒストグラムを作成する。すなわち、ヒストグラム作成部22bは、照射X線画像をそれぞれ構成する全画素を所定幅の濃淡値毎に分類し、各濃淡値を有する画素数をカウントする。
【0081】
その後、ステップS4に進み、サンプル濃淡値判定部22cが、第1情報記憶領域21bに記憶されている最新の第1情報に基づいて、サンプル濃淡値を判定する。その後、ステップS5において、サンプル濃淡値と閾値とを比較して、サンプル濃淡値と閾値との開き量が特定される。
【0082】
その後、ステップS6に進み、ステップS6において、開き量に応じて重量変換テーブルを補正する。
【0083】
一方、ステップS7では、画像生成部22aが、X線ラインセンサ14によって検出されたX線のX線量に基づいてX線画像を作成する。具体的に、画像生成部22aは、物品Gを透過した後、X線ラインセンサ14によって検出されたX線(物品透過X線)に基づいて物品透過X線画像を生成する。画像生成部22aによって生成された物品透過X線画像は、X線画像記憶領域21aに記憶される。
【0084】
次に、ステップS8で、ヒストグラム作成部22bが、X線画像記憶領域21aに記憶された物品透過X線画像に基づいて、ヒストグラムを作成する。すなわち、ヒストグラム作成部22bは、物品透過X線画像をそれぞれ構成する全画素を所定幅の濃淡値毎に分類し、各濃淡値を有する画素数をカウントする。
【0085】
その後、ステップS9に進み、ステップS9において、重量推定部22eが重量変換テーブルに基づいて物品Gの重量を推定する。ここで、重量推定部22eが用いる重量変換テーブルは、直近の照射X線によって得られた照射X線画像の濃淡値(サンプル濃淡値)に基づいたテーブルである。すなわち、直近の照射X線画像の濃淡値が、初期テーブルにおける濃淡値と一致する場合には、初期テーブルが参照され、一致しない場合には、補正テーブルが参照される。
【0086】
(4)特徴
(4−1)
上記実施形態では、X線照射器13から照射されるX線がX線ラインセンサ14によって検出される。X線ラインセンサ14は、検出するX線量の大小(X線の強度)に応じたX線透過信号を出力する。X線照射器13から照射されるX線量は、常に一定というわけではない。具体的に、X線照射器13から照射されるX線量(照射X線量)は、非安定時と安定時とでは異なる。非安定時とは、X線照射器13がX線の照射を開始した後の所定期間(例えば、5分)である。安定時とは、X線照射器13がX線の照射を開始した後、所定期間が経過した後の期間である。言い換えると、X線照射器13から照射されるX線量は、安定時に達するまで、照射開始時点から変動し続ける。例えば、
図11では、所定期間内に得られた照射X線画像の濃淡値(背景の明るさ)データを示す。
図11に示すように、X線照射器13の使用を開始した時点から時間が経過するにつれて、背景の明るさは徐々に暗くなっている(鎖線参照)。
図11には示していないが、背景の明るさはその後安定する。したがって、物品Gの重量を、重量変換テーブルに基づいて推定する場合、照射開始時に用いた重量変換テーブル(初期テーブル)と同じ重量変換テーブルを安定時に使った場合、物品Gに対して誤った重量を推定することになる(
図11の一点鎖線参照)。しかし、本実施形態に係るX線検査装置10は、照射X線量の変化に応じて、重量変換テーブルが補正される。また、物品Gの重量は、重量変換テーブルに基づき推定される。したがって、X線の照射量に関わらず適切な重量を推定することができる(
図11の実線参照)。
【0087】
(4−2)
上記実施形態では、開き量特定部22dによって初期濃淡値と最新のサンプル濃淡値とが比較され、初期濃淡値とサンプル濃淡値との開き量が特定される。重量推定部22eは、当該開き量に基づいて、重量変換テーブルを補正した。すなわち、直前の背景の明るさから得られる照射X線の検出量に基づいて新たな重量変換テーブル(修正テーブル)が作成される。これにより、物品の重量推定を適切に修正することができる。
【0088】
(4−3)
上記実施形態では、物品X線画像を構成する画素の濃淡値(濃淡レベル)と重量情報(重量値)とを一対一で対応付ける重量変換テーブルを記憶している。また、照射X線量に応じて重量変換テーブルが補正され、新たな重量変換テーブルが生成される。物品Gの重量推定は、照射X線量に応じて作成された重量変換テーブルに基づいて行われる。すなわち、物品Gの重量推定は、重量変換テーブルにおいて予め画素の濃淡値に対応付けられた重量情報を参照して行われるため、物品Gの重量推定処理を高速で行うことができる。
【0089】
(4−4)
また、上記実施形態では、画素の濃淡値に応じて、重量変換テーブルの補正が行われる。具体的に、重量情報に対応付けられた画素のうち、濃淡値の高い画素に対する補正量を大きくし、濃淡値が低い画素に対する補正量を小さくする。これにより、重量推定の精度を向上させることができる。
【0090】
(5)変形例
(5−1)
上記実施形態では、サンプル濃淡値判定部22cは、第1情報記憶領域に記憶されている直近のヒストグラムを用いてサンプル濃淡値を判定した。開き量特定部22dによって初期濃淡値と最新のサンプル濃淡値とが比較されて開き量が特定された。また、重量推定部22eは、当該開き量に基づいて、重量変換テーブルを補正した。
【0091】
ここで、サンプル濃淡値判定部22cは、第1情報記憶領域に記憶されている直近の複数のヒストグラムを用いてサンプル濃淡値を判定し、開き量特定部22dは、初期濃淡値と、当該複数のヒストグラムに基づいて判定されたサンプル濃淡値とを比較して、開き量を特定してもよい。
【0092】
具体的に、例えば、
図8の物品透過画像G3に対応する物品Gの重量が推定される場合には、初期濃淡値と比較するサンプル濃淡値として、背景画像B1のヒストグラムおよび背景画像B2のヒストグラムについての情報を用いて、照射X線画像を構成する各画素の濃淡値の平均値が用いられ、
図8の物品透過画像G4に対応する物品Gの重量が推定される場合には、初期濃淡値と比較するサンプル濃淡値として、背景画像B1のヒストグラムおよび背景画像B2のヒストグラムについての情報を用いて照射X線画像を構成する各画素の濃淡値の平均値が用いられるように設計されていてもよい。また、例えば、
図8の物品透過画像G4に対応する物品Gの重量が推定される場合に、初期濃淡値と比較するサンプル濃淡値として、背景画像B1のヒストグラム、背景画像B2のヒストグラム、および背景画像B3のヒストグラムについての情報を用いて、照射X線画像を構成する各画素の濃淡値の平均値が用いられるように設計されていてもよい。これにより、ノイズの影響を低減し、好ましい重量推定を行うことができる。
【0093】
(5−2)
上記実施形態では、X線照射器13によって照射されるX線量の変化を判定するため、
開き量特定部22dによってサンプル濃淡値と初期濃淡値とを比較した。しかし、開き量特定部22dは、サンプル濃淡値と初期濃淡値との比較に代えて、他の方法によって、X線照射器13によって照射されるX線量の変化を判定してもよい。例えば、開き量特定部22dは、X線ラインセンサ14によって出力されるX線透過信号の電圧値そのものを比較することで、X線照射器13によって照射されるX線量の変化を判定してもよい。
【0094】
(5−3)
上記実施形態では、X線照射器13によって照射されるX線量を、ベルトの下方に配置されたX線ラインセンサ14の各X線検出素子14aから出力されるX線透過信号の電圧値によって判定したが、X線照射器13によって照射されるX線量は、他の場所に配置されたX線ラインセンサ14によって検出されてもよい。
【0095】
(5−4)
上記実施形態では、X線検出素子14aが、コンベアユニット12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置された。しかし、X線検出素子14aの配置は、上記態様に限られるものではない。また、コンベアユニット12で
物品Gを移動させる代わりに、X線照射器13およびX線ラインセンサ14が移動する構成になっていてもよい。
【0096】
(5−5)
上記実施形態では、重量推定部22eは、重量変換テーブルを参照して、物品透過X線画像を構成する全ての画素の濃淡値に対応する重量値(m)を算出し、全ての画素に対応する重量値(m)を足し合わせることにより、物品Gの重量値(総重量)を推定した。
【0097】
しかし、重量推定部22eは、上記実施形態における方法に代えて、物品透過X線画像のヒストグラムを参照して物品Gの重量値を算出してもよい。すなわち、ヒストグラムは各濃淡値を有する画素数をカウントしたものであるから、濃淡値(a)毎に対応する重量値(m)と画素数を掛け合わせ、掛け合わせによって得られた値をたし合わせることによって、物品Gの重量値を算出してもよい。この処理は、全画素について演算する上記実施形態の処理に比べ、高速に処理できる点で利点がある。