特許第5798422号(P5798422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798422
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/16 20060101AFI20151001BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20151001BHJP
   B65H 23/26 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B41J15/16
   B41J15/04
   B65H23/26
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-208178(P2011-208178)
(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公開番号】特開2013-67113(P2013-67113A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2014年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154863
【弁理士】
【氏名又は名称】久原 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100123685
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 信行
(72)【発明者】
【氏名】中西 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】堀切 敬一
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−208319(JP,A)
【文献】 特開平11−246092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/16
B41J 15/04
B65H 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙が巻回されたロール紙を軸支する支持機構が設けられた筐体と、
該筐体に組み合わされ、前記ロール紙から引き出された前記記録紙を紙送りしながら該記録紙に対して印刷を行う印刷モジュールと、
前記筐体の内部に設けられ、前記記録紙が引き出されてから前記印刷モジュールに達するまでの間に、該記録紙に対してテンションを付与するテンション部材とを備えたプリンタであって
前記テンション部材は、前記記録紙の紙幅方向に沿って形成され、先端部が該記録紙に接触する押圧体と、該押圧体を付勢して、該押圧体の前記先端部を前記記録紙に対して押圧させる弾性部とを備え、
前記弾性部は、前記押圧体を押圧しながら、前記記録紙の紙送り方向に揺動自在に弾性支持し、
前記押圧体は、その基端部に、ガイド軸が挿通されるガイド孔が形成され、
前記ガイド軸は、前記押圧体を付勢方向にガイドすると共にその付勢方向への押圧体の移動量を規制し、
前記ガイド孔と前記ガイド軸との間には、前記押圧体の揺動を許容する隙間が画成されており、
前記テンション部材は、前記記録紙を押圧することで前記テンションを付与すると共に、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が前記紙送り方向に揺動自在とされている
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1記載のプリンタにおいて、
前記テンション部材は、前記筐体の内部に対して、取り外し可能に備えられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項に記載のプリンタにおいて、
前記テンション部材は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていることを特徴とするプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から引き出された記録紙に印刷を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
感熱ロール紙等のロール紙を使用するプリンタにおいては、内部でロール紙の巻回が緩んでしまう場合があり、引き出された記録紙が弛んでしまうことがあった。特に、ロール径が大きく重量がある場合には、回転時の慣性等によって巻回が緩み易く、弛みが発生し易かった。
ところで、上記弛みが生じた状態で印刷を開始した場合には、記録紙がプリンタの排出口方向に引っ張られていくので弛みが徐々に解消されはじめるが、この弛みが解消されて記録紙が張った瞬間に搬送トルクが急激に大きくなってしまう。そのため、一様の搬送トルクで記録紙を紙送りすることが難しく、それにより印字ムラ等の印字不良を招いてしまい易かった。
【0003】
そこで、上記問題を解消するために、ロール紙から引き出された記録紙が印字部まで搬送される途中経路に揺動自在とされたテンション部材を設け、記録紙にテンションを付与することで弛みを抑制し、それによって急激なトルク上昇を抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−99458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のプリンタでは、ロール紙を筐体の内部に投入して落とし込むタイプ(いわゆるドロップイン方式)のプリンタとされている。この場合には、ロール紙の使用に伴ってロール径が太径から細径に変化したとしても、記録紙の搬送経路が変化し難いため、上記したようにテンション部材によって一定のテンションを継続的に付与させ易い。つまり、ロール紙の使いはじめ(ロール径が最大)から使い終わり(ロール径が最小)まで、記録紙に対して一定のテンションを付与し続けることができ、搬送トルクの上昇を抑制するという効果を継続的に奏効することが可能である。
【0006】
しかしながら、ドロップイン方式の場合、ロール紙が載置された状態で回転するので、ロール紙が暴れ易く記録紙に皺等が発生したり、紙ジャム等が発生したりし易い。そこで、ドロップイン方式に代えて、ロール紙を筐体の内部で軸支する軸支方式が採用される場合が多い。
ところが、この軸支方式を上記特許文献1に記載のプリンタに採用した場合、ロール径が変化するにつれて記録紙の搬送経路が変化するので、記録紙に対して一定のテンションを付与し続け、搬送トルクの上昇を抑制する、という上記した作用効果を奏効させることが難しかった。
【0007】
例えば、ロール径が最大のときに適切なテンションを付与するようにテンション部材を設けてしまうと、ロール径が最小になったときにテンション部材が記録紙に対して接触せず、テンションを付与することができないという不都合が予想される。
逆に、ロール径が最小となっても記録紙に対して適切に接触するようにテンション部材を設けてしまうと、ロール径が最大のときにテンション部材と記録紙とが接触しすぎたり、両者の接触角が鋭角になったりしてしまい、ロール紙に余計な負荷を与えてしまう恐れが考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、ロール径の変化に伴って記録紙の搬送経路が変化したとしても、記録紙に対して安定的に一定のテンションを付与することができ、安定した印刷を継続的に行うことができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、記録紙が巻回されたロール紙を軸支する支持機構が設けられた筐体と、該筐体に組み合わされ、前記ロール紙から引き出された前記記録紙を紙送りしながら該記録紙に対して印刷を行う印刷モジュールと、前記筐体の内部に設けられ、前記記録紙が引き出されてから前記印刷モジュールに達するまでの間に、該記録紙に対してテンションを付与するテンション部材と、を備え、前記テンション部材は、前記記録紙を押圧することで前記テンションを付与すると共に、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が前記紙送り方向に揺動自在とされていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプリンタによれば、印刷を開始すると、印刷モジュールが支持機構によって軸支されたロール紙から引き出された記録紙を紙送りしながら、該記録紙に印刷を行う。このとき、記録紙がロール紙から引き出されてから印刷モジュールに達するまでの間に、テンション部材が記録紙を押圧するので、該記録紙にテンションを付与することができ、弛みが生じてしまうことを抑制することができる。
【0011】
特に、テンション部材のうち少なくとも記録紙に接触する押圧部分が紙送り方向に揺動自在とされているので、記録紙を押圧しながら、紙送りされる記録紙に伴って揺動(傾動)する。これにより、記録紙に局所的な曲げ等をできるだけ生じさせずに紙送りさせることができる。そのため、記録紙の搬送負荷を低減させることができる。また、記録紙が紙送りされはじめる始動段階において、押圧部分が記録紙に伴って揺動することで、記録紙を搬送方向にスムーズに誘導できる。そのため、効果的に搬送負荷の低減化を図ることができると共に、上記始動段階における搬送トルクの増大を抑制できる。
【0012】
また、ロール紙は支持機構に軸支されているので、ロール径の変化(太径から細径に変化)に伴って印刷モジュールに向かう記録紙の搬送経路が変化する。しかしながら、テンション部材の押圧部分が揺動によって広範囲に亘り可動するので、ロール径が変化したとしても、記録紙が安定して接触し易い。従って、記録紙の弛み抑制を広い径範囲で行うことが可能となる。
しかも、ロール径の変化に伴って記録紙の搬送経路が変化したとしても、上記揺動によって、押圧部分と記録紙との接触角が鋭角になることを防ぎつつ記録紙を紙送りし易い。そのため、ロール径の変化に関係なく、一定のテンションを付与し易く、一定の搬送トルクで記録紙を紙送りすることができる。
【0013】
以上のことから、ロール径の変化に伴って記録紙の搬送経路が変化したとしても、記録紙に対して安定的に一定のテンションを付与することができ、印字ムラ等の印字不良を防止しながら安定した印刷を継続的に行うことができる。
【0014】
(2)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記テンション部材は、前記記録紙の紙幅方向に沿って形成され、先端部が該記録紙に接触する押圧体と、該押圧体を付勢して、該押圧体の前記先端部を前記記録紙に対して押圧させる弾性部と、を備え、前記弾性部は、前記押圧体を押圧しながら、前記記録紙の紙送り方向に揺動自在に弾性支持していることが好ましい。
【0015】
この場合には、弾性部による付勢力を利用して、押圧体の先端部を記録紙の紙幅方向に広範囲に亘って押し当てながら、該記録紙を押圧することができる。従って、記録紙を紙幅方向に均等に押圧してテンションを付与することができ、弛みを効果的に抑制し易い。
特に、弾性部が押圧体を揺動自在に支持しているので、印刷を停止させると、自身の弾性復元力により紙送り方向に傾いた押圧体を逆方向に揺動させて元の位置に自然に復帰させることができる。そのため、それ以降に印刷を再度開始したとしても、紙送りの始動時における搬送トルクの増大を繰り返し抑制できる。
【0016】
(3)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記押圧体の基端部には、ガイド軸が挿通されるガイド孔が形成され、前記ガイド軸は、前記押圧体を付勢方向にガイドすると共にその付勢方向への押圧体の移動量を規制し、前記ガイド孔と前記ガイド軸との間には、前記押圧体の揺動を許容する隙間が画成されていることが好ましい。
【0017】
この場合には、弾性部によって付勢された押圧体が、ガイド軸でガイドされながら該ガイド軸に沿って移動する。そのため、所望する方向に押圧体を正確に付勢することができ、より安定して記録紙を押圧し易い。また、ガイド軸が弾性部によって付勢された押圧体の移動量を規制しているので、記録紙を適切な押圧力で押圧でき、最適なテンションを付与し易い。
なお、ガイド軸とガイド孔との間には、上記隙間が画成されているので押圧体の揺動が規制されることがない。
【0018】
(4)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記テンション部材は、前記筐体の内部に対して、取り外し可能に備えられていることが好ましい。
【0019】
この場合には、摩耗等の状況に応じて、適宜テンション部材を容易に部品交換することができ、メンテナンス性を高めると同時にプリンタを長期間使用することが可能である。
【0020】
(5)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記テンション部材は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていることが好ましい。
【0021】
この場合には、記録紙に接触する押圧部分が金属材料又は強化繊維入りの樹脂材料で形成されているので、摩擦抵抗に強く摩耗し難い。そのため、摩耗粉等の発生を抑制することができ、これに起因する印字不良等を招き難い。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るプリンタによれば、ロール径の変化に伴って記録紙の搬送経路が変化したとしても、記録紙に対して安定的に一定のテンションを付与することができ、安定した印刷を継続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る実施形態を示す図であって、サーマルプリンタの外観斜視図である。
図2図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
図3図1に示すサーマルプリンタの縦断面図である。なお、記録紙は引き出していない状態である。
図4図2に示すプリンタカバーを取り外した状態における斜視図である。
図5図4に示すA−A断面図である。
図6図3に示すテンション部材により記録紙を押圧している状態において、押圧体が揺動する直前の状態を示す断面図である。
図7図6に示す押圧体が紙送り方向に揺動した状態を示す断面図である。
図8図7に示す状態の後、ロール紙のロール径が小さくなった場合において押圧体が紙送り方向に揺動した状態を示す断面図である。
図9】本発明に係るサーマルプリンタの変形例を示す縦断面図であり、外巻きロール紙に対応したプリンタの実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るプリンタの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例としてPOSレジシステム等に用いられるサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
【0025】
(サーマルプリンタの構成)
本実施形態のサーマルプリンタ1は、図1図3に示すように、記録紙(感熱紙)Pが巻回されたロール紙Rを軸支する一対の軸支片21が設けられたケーシング(筐体)2と、このケーシング2に組み合わされ、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを紙送りしながら該記録紙Pに対して印刷を行う印刷モジュール3と、を備えている。
なお、本実施形態では、上記ロール紙Rとして、印字面(感熱面)P1を内側に向けて記録紙Pが巻回された内巻きロール紙を例に挙げて説明する。
【0026】
ケーシング2は、ケーシング本体4及びプリンタカバー5によって概略箱状に形成され、ケーシング本体4の内部にはロール紙Rが収容される収容容器10が設けられている。これらケーシング本体4及びプリンタカバー5は、例えば樹脂材料や金属材料或いはこれらの組み合わせによって形成されている。
なお、本実施形態では、図1に示す状態において前後方向L1及び上下方向L2を定義する。即ち、紙面に対して上側を上方、下側を下方とする。また、プリンタカバー5が設けられている側を前方、その反対側を後方とする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対してそれぞれ直交する方向を左右方向L3とする。
【0027】
ケーシング本体4の内部には、図2及び図3に示すように、前方に開口すると共に上記収容容器10が格納される内部空間S1が画成されている。この内部空間S1は、底壁部4aと、後方側に位置する奥壁部4bと、奥壁部4bの上端部に連設された内部天壁部4cと、左右方向L3に向かい合った一対の内部側壁部4dと、で画成されている。
【0028】
プリンタカバー5は、ケーシング本体4の前面にシャフト11を介して連結され、このシャフト11の軸線回りに略90度程度の角度範囲で開閉可能とされている。このシャフト11は、ケーシング本体4の前面側における下部側に設けられており、プリンタカバー5の下端部に取り付けられたヒンジ片5aを通してケーシング本体4に連結されている。これにより、プリンタカバー5の上端部側を大きく開閉させることが可能とされている。
なお、このプリンタカバー5は、閉状態時、上記内部空間S1の前方開口部を塞ぐと共に、ケーシング本体4側に設けられた図示しない係合部に係合されることで自動的にロックがなされる。
【0029】
図1及び図2に示すように、ケーシング本体4の前面側には、上記係合部とプリンタカバー5との係合を解除する操作部12が設けられている。この操作部12は、下方に向けて押し下げ操作可能とされ、押し下げられることでプリンタカバー5のロック解除を行って、開操作を可能とさせている。
また、ケーシング本体4の前面には、上記操作部12以外に、電源スイッチ13や各種の操作ボタン14、及び各種の操作メニューや操作情報等が表示される表示部15等が設けられている。
【0030】
ところで、プリンタカバー5を閉めた際、図1図3に示すように、プリンタカバー5の上端部とケーシング本体4との間には若干の隙間が開くように設計されており、この隙間を利用して記録紙Pがケーシング2の内部から排出される。つまり、この隙間は記録紙Pの排出口16として機能する。
【0031】
図2図4に示すように、この収容容器10は、プリンタカバー5の内面のうち上端部側を除く部分に略全面に亘って取り付けられており、プリンタカバー5の内面に面する湾曲板10aと、ケーシング本体4の内部に向けて立ち上がるように湾曲板10aの左右両端縁に連設された一対の対向板10bと、ケーシング本体4の内部に向けて立ち上がるように湾曲板10aの下端縁及び一対の対向板10bの下端縁に連設された底板10cと、で構成されている。
【0032】
湾曲板10aは、ケーシング本体4の内方に向けて凹曲面状に湾曲しており、その曲率はロール紙Rの曲率と略同一とされている。湾曲板10aの上端部には、プリンタカバー5の内面側に向けて落ち込む段差部20が形成されている。
【0033】
一対の対向板10bは、左右方向L3に互いに向かい合うと共にケーシング本体4の内部側壁部4dに面している。これら一対の対向板10bの左右方向L3の間隔は、ロール紙Rの紙幅よりも若干大きい間隔となるように設定されており、対向板10bの間にロール紙Rを抵抗なくスムーズに出し入れすることが可能とされている。
そして、これら湾曲板10aと一対の対向板10bと底板10cとで画成された収容容器10内の空間が、ロール紙Rを収容する収容空間S2として機能する。なお、底板10cはケーシング2の底壁部4aに面している。
【0034】
ところで、一対の対向板10bには、ロール紙Rを収容空間S2内にて軸支する軸支片21がそれぞれ設けられている。
この軸支片21は、対向板10bの外面側に形成された収納凹部25内に収納され、基端部を中心として左右方向L3に開閉可能とされたアーム板22と、このアーム板22の先端部に形成され、ロール紙Rを回転可能に支持する支持突起23と、を備えている。
【0035】
アーム板22は、プリンタカバー5に対して直交するように配設された板片であり、湾曲板10a側に位置する基端部が図示しない連結ピン等を介して対向板10bに回動可能に連結されている。アーム板22の基端部と対向板10bとの間には、アーム板22を閉腕方向(収容容器10の内方)に付勢するコイルバネ26が取り付けられている。これによりアーム板22は、対向板10bの外面から飛び出すことなく上記収納凹部25内に収納されている。
【0036】
支持突起23は、アーム板22の先端部から収容空間S2に向けて突設されており、対向板10bに形成された貫通孔27を通じて収容空間S2側に突出している。この支持突起23は、例えば円錐台状に形成されており、ロール紙Rの軸孔内に挿入されて該ロール紙Rを回転可能に軸支している。
上記のように構成された一対の軸支片21によって、ロール紙Rは軸支された状態で収容空間S2内に収容されると共に、収容容器10に対して接触することなく回転可能とされている。
【0037】
上記印刷モジュール3は、図3に示すように、ケーシング本体4側に取り付けられた本体ユニット30と、プリンタカバー5側に取り付けられ、本体ユニット30に対して分離可能に組み合わされるプラテンユニット31と、で構成されている。そして、これら両ユニット30、31が組み合わされることで、両ユニット30、31の間には上記排出口16と収容容器10内の収容空間S2とを連通させる記録紙用通路40が画成される。
【0038】
プラテンユニット31は、プリンタカバー5の開閉に伴って本体ユニット30に対して分離可能に組み合わされるユニットとされ、図2図4に示すように、記録紙用通路40を通じて記録紙Pを排出口16に向けて紙送りするプラテンローラ34と、該プラテンローラ34の前方側(下流側)に配設された固定刃35と、を備えている。
【0039】
本体ユニット30は、図3に示すように、ケーシング本体4の内部において表示部15や操作ボタン14の裏側(後方側)に位置する部分に取り付けられており、記録紙用通路40を通して紙送りされる記録紙Pの印字面P1に印字を行うサーマルヘッド32と、該サーマルヘッド32の前方側(下流側)に配設された可動刃33と、を備えている。
【0040】
サーマルヘッド32は、図示しない複数の発熱素子を有するヘッドであり、図示しないコイルバネ等によってプラテンローラ34側に押圧されて、プラテンローラ34の外周面に対して圧接されている。これにより、プラテンローラ34とサーマルヘッド32との間に記録紙Pを挟み込むことが可能とされている。
また、プラテンローラ34の一端側には、図示しないモータによって駆動する歯車伝達機構に噛合する図示しない従動ギアが固定されている。そのため、プラテンローラ34は、モータの駆動に伴って回転し、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを記録紙用通路40に沿って排出口16に向けて紙送りさせることが可能とされている。
【0041】
図3に示すように、固定刃35及び可動刃33は、互いの刃先を向かい合わせにした状態で、記録紙用通路40を挟んで対向配置されている。可動刃33は、スライド移動により固定刃35に対して接近離間可能とされている。これにより、サーマルヘッド32によって印刷された記録紙Pを任意のタイミングで切断することが可能とされている。
これら固定刃35及び可動刃33は、記録紙Pを切断するカッター機構として機能する。即ち、本実施形態の印刷モジュール3は、カッター機構を具備するカッター付きのモジュールとされている。
【0042】
また、ケーシング2内には、各種の電子部品が実装された制御基板36が取り付けられている。この制御基板36は、例えば操作ボタン14等の入力に応じて、サーマルヘッド32に電気信号や制御信号を出力したり、プラテンローラ34を駆動するモータに制御信号を出力したりして、各構成品の総合的な制御を行っている。
【0043】
ところで、図3及び図4に示すように、ケーシング2の内部には、一対の軸支片21によって軸支されたロール紙Rから引き出された記録紙Pが印刷モジュール3に達するまでの間、より具体的には記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの間に、記録紙Pに対してテンションを付与するテンション部材50が取り付けられている。
【0044】
このテンション部材50は、記録紙Pを押圧することで上記テンションを付与すると共に、記録紙Pの紙送り方向に揺動自在とされている部材である。
具体的には、テンション部材50は、図4図7に示すように、押圧体51と、該押圧体51をロール紙Rから引き出された記録紙Pに向けて付勢して、押圧体51の先端部(押圧部分)51aを記録紙Pに対して押圧させると共に、押圧体51を記録紙Pの紙送り方向(図4に示す矢印方向)に揺動自在に弾性支持するコイルバネ(弾性部)52と、を備えている。
【0045】
押圧体51は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に沿って長尺に形成された部材であり、収容容器10の湾曲板10aの上端部に形成された段差部20内に、前後方向L1にスライド移動自在に配設されている。この際、押圧体51は、段差部20の壁面20aによってガイドされながらスライド移動可能とされている。
【0046】
押圧体51の先端部51aは、記録紙Pに対してその紙幅の略全長に亘って接触する部分であり、記録紙Pに向かって凸曲面となるように滑らかに湾曲形成されている。押圧体51の左右方向L3の両側における基端部には、左右方向L3の外側に向けて第1フランジ片51b及び第2フランジ片51cがそれぞれ突設されている。
第1フランジ片51bは、段差部20の底面20b及びプリンタカバー5の内面に対して平行とされた板片であり、第2フランジ片51cは段差部20の壁面20aに対して平行とされて該壁面20aに接する板片とされている。そして、これら第1フランジ片51b及び第2フランジ片51cは、側面視でL字形状となるように互いに連設されている。
【0047】
なお、押圧体51の基端部のうち、上記した一対の第1フランジ片51b及び第2フランジ片51cで挟まれる部分には凹部51dが形成されており、この凹部51d内に湾曲板10aの上端部に位置する収容容器10のガイド突起20cが配設されている。このガイド突起20cと押圧体51との間には、押圧体51のスライド移動を許容する隙間H(図5参照)が確保されている。
また、第1フランジ片51bは、このガイド突起20cの側面にスライド自在に接している。この点においても、押圧体51は前後方向L1にガイドされながらスライド移動可能とされている。
【0048】
また、上記第1フランジ片51bには、連結ねじ(ガイド軸)55を挿通させるためのガイド孔56が形成されている。この連結ねじ55は、収容容器10に対して押圧体51を連結させ、且つ押圧体51のスライド移動をガイドする部材であり、上記ガイド孔56に挿通された状態で段差部20の底面20bに螺着されている。この際、連結ねじ55のヘッド部が、段差部20の底面20bから離間した位置に留まるように螺着されている。
なお、図示の例では、連結ねじ55にEリング57が固定されており、ワッシャ58を介して段差部20への捩じ込み量が規定されている。
【0049】
上記コイルバネ52は、連結ねじ55に被嵌された状態で押圧体51の第1フランジ片51bと段差部20の底面20bとの間に配設されており、弾性復元力により押圧体51を付勢して記録紙Pに押し付けている。特に、押圧体51は、上記コイルバネ52による付勢時に、段差部20の壁面20aによるガイド、第2フランジ片51cによるガイド、連結ねじ55によるガイド等によって、がたつき少なく前後方向L1にスライド移動可能とされている。
なお、連結ねじ55のヘッド部は、コイルバネ52によって付勢された押圧体51の移動量を規制している。
【0050】
ところで、上記したガイド孔56は、連結ねじ55の直径よりも大きい径で開口しており、ガイド孔56と連結ねじ55との間には押圧体51の上記揺動を許容する隙間が画成されている。
【0051】
また、テンション部材50は、図7に示すように記録紙用通路40の挿入口40a内に記録紙Pがスムーズに挿入されるように、紙送りされる記録紙Pの搬送方向を変更させる役割も担っている。具体的には、挿入口40aにおける記録紙Pと、記録紙用通路40に沿って挿入口40aの外側まで延びる仮想挿入面Kと、のなす挿入角度θ1が例えば−50°までの角度範囲内に収まるように搬送方向を変更している。
【0052】
なお、上記テンション部材50により、記録紙Pが記録紙用通路40内にスムーズに挿入されるだけでなく、記録紙Pが記録紙用通路40に挿入された状態が長時間継続されることで生じてしまう紙の癖についても、その発生を抑制することが可能とされている。癖のついた記録紙Pで印字を行うと印字不良を発生させる恐れがあるので、この点を考慮するとテンション部材50には紙の癖が原因となる印字不良を低減させる効果も奏効させることができる。それに加え、印字始めの脱調についても低減させる効果を奏効させることができる。
【0053】
また、本実施形態の押圧体51は、強化繊維が含有された樹脂材料によって、例えば射出成形等によって形成されている。強化繊維としては、例えばガラスフィラー等が挙げられ、樹脂材料に30重量%程度含有されている。
【0054】
更に、ケーシング2の内部には、図2及び図3に示すように、ロール紙Rから引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの間に、記録紙Pを紙幅方向からガイドするガイド部材60が設けられている。
このガイド部材60は、プリンタカバー5の内面において、テンション部材50とプラテンユニット31との間に位置する部分に取り付けられている。このガイド部材60は、左右方向L3にロール紙Rの紙幅よりも若干大きな間隔を開けて向かい合うように立設された板片であり、押圧体51よりも後方側に向けて突出している。これにより、テンション部材50の押圧体51によって搬送経路が変更された記録紙Pは、ガイド部材60によってガイドされながら挿入口40aに向けて紙送りされる。
【0055】
(サーマルプリンタの作動)
次に、上記のように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
まず、図2に示すように、操作部12の押し下げ操作によってプリンタカバー5を開けて収容容器10を開放させた後、ロール紙Rを収容容器10内に投入する。すると、この投入操作によって、ロール紙Rは支持突起23の表面上を滑りながら押し込まれていく。これにより、支持突起23が収容容器10の外方に向けて押し出されるので、一対のアーム板22が開腕方向に回動して開いた状態となる。ところが、このアーム板22はコイルバネ26によって閉腕方向に付勢されているので、支持突起23はロール紙Rの側面に押し付けられた状態となる。
【0056】
そして、ロール紙Rのさらなる押し込みによって軸孔が支持突起23の位置に達すると、ロール紙Rの側面に押し付けられていた支持突起23が軸孔内に自動的に挿入されると共に、一対のアーム板22が閉腕方向に回動する。これにより、ロール紙Rは、アーム板22及び支持突起23からなる一対の軸支片21によって軸支された状態となる。
なお、アーム板22は対向板10bに形成された収納凹部25内に完全に収納された状態となり、対向板10bの外面からの飛び出しが抑制される。
【0057】
上記したロール紙Rのセットが終了した後、記録紙Pをある程度の長さだけ引き出した状態でプリンタカバー5を閉操作する。そして、プリンタカバー5を完全に閉めると、該プリンタカバー5はケーシング本体4の係合部に係合されて自動的にロックがかかった状態となる。また、プリンタカバー5を閉じることで、図3に示すように、プリンタカバー5側のプラテンユニット31と、ケーシング本体4側の本体ユニット30と、が一体的に組み合わされた状態となる。従って、記録紙Pは、サーマルヘッド32とプラテンローラ34との間に挟まれながら、プラテンユニット31及び本体ユニット30の間に画成された記録紙用通路40内に収まった状態となる。
【0058】
次いで、記録紙Pへの印刷を開始する。
まず、モータを駆動させることで、歯車伝達機構を介してプラテンローラ34を回転させる。これにより、プラテンローラ34の外周面とサーマルヘッド32との間に挟まれた記録紙Pが排出口16に向けて紙送りされると共に、軸支片21によって軸支されたロール紙Rが回転する。また、これと同時にサーマルヘッド32を作動させて、多数の発熱素子を適宜発熱させる。これにより、送り出された記録紙Pに対して各種の文字や図形等を印刷することができる。
【0059】
そして、印刷がなされた記録紙Pは、プラテンローラ34の回転によってさらに紙送りされることで、固定刃35と可動刃33との間を通過する。そして、上記印刷が終了したタイミングで可動刃33を固定刃35に向けてスライド移動させることで、記録紙Pを固定刃35と可動刃33との間で挟み込んで切断することができる。
その結果、印刷及び切断が終了した記録紙Pを排出口16から取り出すことができ、該記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0060】
ところで、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに達するまでの間に、テンション部材50を利用して記録紙Pを押圧することができる。つまり、図7に示すように、押圧体51の先端部51aが、コイルバネ52からの弾性復元力を受けて記録紙Pをその長さ等に応じた力で押圧する。これにより、記録紙Pに最適なテンションを付与することができ、記録紙Pに弛み等が生じてしまうことを抑制することができる。
特に、押圧体51の先端部51aを記録紙Pの紙幅方向に広範囲に亘って押し当てながら、該記録紙Pを紙幅方向に均等に押圧してテンションを付与することができ、弛みを効果的に抑制し易い。加えて、押圧体51は、連結ねじ55によるガイド等によって、がたつき少なく前後方向L1にスライド移動するうえ、連結ねじ55のヘッド部がコイルバネ52によって付勢された押圧体51の移動量を規制しているので、記録紙Pを適切な押圧力で押圧でき最適なテンションを付与し易い。
【0061】
しかも、コイルバネ52は、押圧体51を記録紙P側に付勢しているだけでなく、該押圧体51を揺動自在に支持している。そのため、押圧体51は、記録紙Pを押圧しながら、紙送りされる記録紙Pに伴って図6から図7に示すように揺動(傾動)する。なお、押圧体51の揺動は、例えばガイド孔56の内縁が連結ねじ55に接する等することで停止する。
これにより、記録紙Pに局所的な曲げをできるだけ生じさせずに挿入口40aに紙送りさせることができる。つまり、図6に示す状態では、記録紙Pが押圧体51の先端部51aにおいて角度θ2で曲げが生じるが、押圧体51の揺動により図7に示すように、その角度θ2がより大きくなだらかになる。そのため、記録紙Pの搬送負荷を低減させることができる。
【0062】
また、印刷開始によって記録紙Pが紙送りされる始動段階において、図7に示すように、押圧体51が記録紙Pに伴って揺動することで、記録紙Pを搬送方向にスムーズに誘導できる。そのため、効果的に搬送負荷の低減化を図ることができると共に、上記始動段階における搬送トルクの増大を抑制でき、印字ムラ等の印字不良を防止し易い。
【0063】
しかも、印刷を停止させると、コイルバネ52の弾性復元力により、紙送り方向に傾いた押圧体51を逆方向に揺動させて、図6に示すように元の位置に自然に復帰させることができる。そのため、それ以降に印刷を再度開始したとしても、紙送りの始動時における搬送トルクの増大を繰り返し抑制できる。
【0064】
更に、ロール紙Rは軸支片21に軸支されているので、図7及び図8に示すように、ロール径の変化(太径から細径に変化)に伴って印刷モジュール3に向かう記録紙Pの搬送経路が変化する。しかしながら、テンション部材50の押圧体51が揺動によって広範囲に亘り可動するので、ロール径が変化したとしても記録紙Pが安定して接触し易い。従って、記録紙Pの弛み抑制を広い径範囲で行うことが可能となる。
しかも、ロール径の変化に伴って記録紙Pの搬送経路が変化したとしても、上記揺動によって押圧体51と記録紙Pとの接触角が鋭角になることを防ぎつつ記録紙Pを紙送りできる。そのため、ロール径の変化に関係なく、一定のテンションを付与し易く、一定の搬送トルクで記録紙Pを紙送りすることができる。
加えて、ロール径が変化したとしても、上記揺動によって、記録紙用通路40の挿入口40aに対する記録紙Pの挿入角度θ1が一定になり易い。この点においても、一定の搬送トルクで記録紙Pを紙送りすることができる。
【0065】
以上のことから、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、ロール径の変化に伴って記録紙Pの搬送経路が変化したとしても、記録紙Pに対して安定的に一定のテンションを付与することができ、印字ムラ等の印字不良を防止しながら安定した印刷を継続的に行うことができる。
【0066】
また、テンション部材50の押圧体51は、ガラスフィラーが含有された樹脂材料で形成されているので、摩擦抵抗に強く摩耗し難い。そのため、摩耗粉等の発生を抑制することができ、これがサーマルヘッド32等に付着すること等による印字不良を招き難い。しかも、押圧体51の先端部51aは、記録紙Pに向かって凸曲面となるように形成されているので、記録紙Pを均等の力で押圧し易いうえ、記録紙Pを摺動させ易い。
これらのことから、記録紙Pを引っ掛かり少なくスムーズに案内でき、搬送抵抗のさらなる低減化を図り易いうえ、記録紙Pに擦れや傷等を付け難い。
【0067】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、インクジェットヘッドによって印字するインクジェットプリンタであっても構わない。
【0069】
また、上記実施形態では、プリンタカバー5側にプラテンユニット31を配置し、ケーシング本体4側に本体ユニット30を配置した構成としたが、これとは逆に、プリンタカバー5側に本体ユニット30を配置し、ケーシング本体4側にプラテンユニット31を配置しても構わない。
また、可動刃33をサーマルヘッド32と同じユニットに具備し、固定刃35をプラテンローラ34と同じユニットに具備させたが、この場合に限られず逆でも構わない。また、固定刃35及び可動刃33のカッター機構は、必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。
【0070】
また、上記実施形態では、アーム板22及び支持突起23を有する一対の軸支片21を利用してロール紙Rを軸支する構成としたが、この構成は一例であり他の構成を採用してロール紙Rを軸支する支持機構を構成しても構わない。
【0071】
また、上記実施形態では、テンション部材50の押圧体51を、強化繊維が含有された樹脂材料で形成し、強化繊維の一例としてガラスフィラーを挙げたが、その他にも、例えば各種耐摩耗性に優れた(スーパー)エンジニアリングプラスチック群等や金属(ステンレス鋼やアルミニウム合金材等或いは金属表面改質/被膜コーティング処理品等)を好適に用いることができる。これらの場合であっても、摩擦抵抗に強く摩耗し難い押圧体とすることができる。
【0072】
また、上記実施形態において、連結ねじ55は必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合、例えばコイルバネ52の一端側を段差部20の底面20bに連結させ、他端側を押圧体51に連結することで、押圧体51をコイルバネ52で揺動自在に弾性支持させるように構成しても良い。また、この場合には、コイルバネ52に代えて板ばね等の他の弾性部を採用することも可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、ロール紙Rとして、印字面(感熱面)P1を内側に向けて記録紙Pが巻回された内巻きロール紙を例に挙げて説明したが、印字面P1を外側に向けて記録紙Pが巻回された外巻きロール紙を採用したプリンタであっても構わない。外巻きロール紙を採用した場合であっても、同様のテンション部材を具備することで、同様の作用効果を奏効することができる。
例えば、図9に示すように、外巻きロール紙Rをケーシング2の内部で軸支した場合であっても、該ロール紙Rから引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに達するまでの間に、押圧体51を具備するテンション部材50を配設すれば良い。こうすることで、やはり記録紙Pに対してテンションを付与することができると共に、押圧体51が記録紙Pの紙送りに伴って揺動し、記録紙Pを搬送方向にスムーズに誘導する。従って、上記実施形態の場合と同様の作用効果を奏効することができる。
このように、本発明に係るプリンタは、内巻きロール紙であっても外巻きロール紙であっても、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
P…記録紙
R…ロール紙
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
2…ケーシング(筐体)
3…印刷モジュール
21…軸支片(支持機構)
50…テンション部材
51…押圧体
52…コイルバネ(弾性部)
55…連結ねじ(ガイド軸)
56…ガイド孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9