特許第5798469号(P5798469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5798469-水硬性材料用改良剤 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798469
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】水硬性材料用改良剤
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/32 20060101AFI20151001BHJP
   C04B 24/12 20060101ALI20151001BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20151001BHJP
   C04B 24/02 20060101ALI20151001BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20151001BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20151001BHJP
   C04B 103/60 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   C04B24/32 A
   C04B24/12 A
   C04B28/02
   C04B24/02
   C08L71/02
   C08K5/17
   C04B103:60
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-270504(P2011-270504)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2013-121886(P2013-121886A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2014年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】正長 眞理
(72)【発明者】
【氏名】福原 広二
【審査官】 相田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/083839(WO,A1)
【文献】 特開2006−206403(JP,A)
【文献】 特開2006−206404(JP,A)
【文献】 特開平4−21552(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/117372(WO,A1)
【文献】 特開昭59−97562(JP,A)
【文献】 特開2000−219557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00〜28/36
WPI
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
[R−O−(XO)−]Y[−O−(XO)−R (I)
(一般式(I)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素基を表し、XO、XOは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、m、nは、それぞれ、XO、XOの平均付加モル数を表し、m、nは、それぞれ独立に、0〜500であり、m+n=5〜500であり、Yは水酸基を含有する化合物の残基を表し、p、qは、それぞれ独立に、0〜6である。ただし、pとqは同時に0にはならない。)
で表される化合物(A)と、アミノ酸(B)とを含んでなる水硬性材料用改良剤であって、
該化合物(A)と該アミノ酸(B)とを、重量比で、(A)/(B)=60/40〜99/1の割合で含有する、
水硬性材料用改良剤。
【請求項2】
前記一般式(I)におけるXO、XOがいずれもオキシエチレン基である、請求項1に記載の水硬性材料用改良剤。
【請求項3】
前記アミノ酸(B)が、水100gへの20℃における溶解度が2g以上のアミノ酸である、請求項1または2に記載の水硬性材料用改良剤。
【請求項4】
請求項1または2に記載の水硬性材料用改良剤とセメントを含む、セメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性材料用改良剤に関する。本発明は、より詳細には、水硬性材料の乾燥収縮ひび割れに対して優れたひび割れ抑制機能を有する水硬性材料用改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
水硬性材料は、強度や耐久性等に優れた硬化物を与える。このことから、水硬性材料は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物として広く用いられている。水硬性材料は、土木・建築構造物を構築するために欠かすことができない。
【0003】
水硬性材料は、硬化した後に、外気温や湿度条件等により、内部に残った未反応水分の散逸を起こす。このため、乾燥収縮が進行し、硬化物中にひび割れが生じ、強度や耐久性等が低下するという問題がある。土木・建築構造物の強度や耐久性等が低下すると、安全性の低下や修復コストの増大など、重大な問題が生じる。
【0004】
このような問題に対し、法規制が強化されてきている。1999年6月に成立した住宅の品質確保の促進に関する法律では、コンクリートのひび割れも瑕疵保証の対象となっている。2009年2月に改訂された、鉄筋コンクリート造に関する建築工事標準仕様書(JASS 5(日本建築学会))では、耐用年数が長期(100年以上)にわたるコンクリートにおける26週での収縮ひずみが8×10−4以下に規制された。
【0005】
最近、コンクリートのひび割れを抑制するために乾燥収縮を低減させる方法として、収縮低減剤が重要視されている。上記JASS 5の改訂と同時に、収縮低減剤に関する建築学会基準も制定された。
【0006】
従来の収縮低減剤として、炭素原子数1〜4のアルコールのアルキレンオキシド付加物(特許文献1参照)、2〜8価の多価アルコールのエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共付加物(特許文献2参照)、低級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加物(特許文献3参照)、オリゴマー領域のポリプロピレングリコール(特許文献4参照)、低分子アルコール類(特許文献5参照)、2−エチルヘキサノールのアルキレンオキシド付加物(特許文献6参照)が報告されている。
【0007】
しかしながら、これらの収縮低減剤は、コンクリートに使用した場合に強度が低下するという問題がある。このため、強度を保つためにセメントペースト分の割合を高くする必要があり、コンクリートコストが高くなるという問題が生じる。
【0008】
コンクリートに使用した場合の強度低下を抑制し得る収縮低減剤として、2〜8価の多価アルコールのアルキレンオキシド付加物が報告されている(特許文献7、8参照)。しかしながら、これらの収縮低減剤は、いずれも、粉末樹脂、膨張材などの他の混和材料との組み合わせが必要となっており、コンクリートコストが高くなるという問題は解決できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭56−51148号公報
【特許文献2】特公平1−53214号公報
【特許文献3】特公平1−53215号公報
【特許文献4】特開昭59−152253号公報
【特許文献5】特公平6−6500号公報
【特許文献6】特許第2825855号公報
【特許文献7】特開平9−301758号公報
【特許文献8】特開2002−68813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、他の混和材料との組み合わせを必要とせず、耐凍結融解性に優れ、また硬化物の強度低下を起こすことなく、優れたひび割れ抑制機能を示す、汎用性の高い水硬性材料用改良剤を提供することにある。また、そのような水硬性材料用改良剤を含むセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の水硬性材料用改良剤は、
一般式(I):
[R−O−(XO)−]Y[−O−(XO)−R (I)
(一般式(I)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素基を表し、XO、XOは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表し、m、nは、それぞれ、XO、XOの平均付加モル数を表し、m、nは、それぞれ独立に、0〜500であり、m+n=5〜500であり、Yは水酸基を含有する化合物の残基を表し、p、qは、それぞれ独立に、0〜6である。ただし、pとqは同時に0にはならない。)
で表される化合物(A)と、アミノ酸(B)とを含んでなる水硬性材料用改良剤であって、
該化合物(A)と該アミノ酸(B)とを、重量比で、(A)/(B)=60/40〜99/1の割合で含有する。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記一般式(I)におけるXO、XOがいずれもオキシエチレン基である。
【0013】
好ましい実施形態においては、上記アミノ酸(B)が、水100gへの20℃における溶解度が2g以上のアミノ酸である。
【0014】
本発明のセメント組成物は、本発明の水硬性材料用改良剤とセメントを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、他の混和材料との組み合わせを必要とせず、耐凍結融解性に優れ、また硬化物の強度低下を起こすことなく、優れたひび割れ抑制機能を示す、汎用性の高い水硬性材料用改良剤を提供することができる。また、そのような水硬性材料用改良剤を含むセメント組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例におけるひび割れ抵抗性の評価に用いるリング拘束供試体の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の水硬性材料用改良剤は、化合物(A)とアミノ酸(B)とを含んでなる。
【0018】
化合物(A)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。アミノ酸(B)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0019】
化合物(A)は一般式(I)で表される。
[R−O−(XO)−]Y[−O−(XO)−R (I)
【0020】
一般式(I)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜8の炭化水素基を表す。R、Rは、好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜4の炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜2の炭化水素基であり、さらに好ましくは、水素原子である。
【0021】
一般式(I)中、XO、XOは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。XO、XOは、それぞれ、1種のみのオキシアルキレン基であっても良いし、2種以上のオキシアルキレン基であっても良い。XOが2種以上のオキシアルキレン基である場合、(XO)はランダム配列であっても良いし、ブロック配列であっても良い。XOが2種以上のオキシアルキレン基である場合、(XO)はランダム配列であっても良いし、ブロック配列であっても良い。XO、XOは、好ましくは、オキシプロピレン基またはオキシエチレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基である。
【0022】
一般式(I)中、m、nは、それぞれ、XO、XOの平均付加モル数を表し、m、nは、それぞれ、0〜500であり、m+n=5〜500である。
【0023】
O、XOのどちらか一方がオキシプロピレン基の場合は、m、nは、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜10である。
【0024】
O、XOのいずれもがオキシエチレン基の場合は、m、nは、好ましくは5〜200であり、より好ましくは10〜150であり、さらに好ましくは20〜100である。
【0025】
m、nを上記の範囲とすることで、そのような一般式(I)で表される化合物(A)をアミノ酸(B)と併用することにより、相乗的に、本発明の水硬性材料用改良剤のひび割れ抑制性および耐凍結融解性を向上させることができる。
【0026】
Yは水酸基を含有する化合物の残基を表す。水酸基を含有する化合物としては、例えば、炭素原子数1〜8の炭化水素に結合している水素原子の少なくとも1つが水酸基に置き換わったもの等が挙げられる。水酸基を含有する化合物としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール類;等が挙げられる。水酸基を含有する化合物としては、これらの中でも、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類であり、より好ましくは、エチレングリコールである。
【0027】
p、qは、それぞれ独立に、0〜6である。ただし、pとqは同時に0にはならない。pとqの合計は、好ましくは2〜12であり、より好ましくは2〜6である。
【0028】
化合物(A)としては、具体的には、例えば、炭素数1〜4のアルコールにエチレンオキシドを付加したポリエチレングリコールモノアルキルエーテル;トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコールにエチレンオキシドを付加した化合物;ポリエチレングリコール;等が挙げられる。化合物(A)としては、これらの中でも、好ましくは、ポリエチレングリコールである。このようなポリエチレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは2000〜20000であり、より好ましくは3000〜15000であり、さらに好ましくは4000〜10000である。
【0029】
アミノ酸(B)は、アミノ基とカルボキシル基の両方の官能基を持つ有機化合物である。アミノ酸(B)としては、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸等が挙げられる。アミノ酸は、その構造により、光学異性体(D型、L型)、または、ラセミ体として存在することができる。
【0030】
アミノ酸(B)としては、好ましくは、水100gへの20℃における溶解度が2g以上のアミノ酸である。
【0031】
アミノ酸(B)としては、具体的には、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒドロキシ基を有するアミノ酸(例えば、セリン、トレオニンなど)、硫黄原子を含むアミノ酸(例えば、システイン、メチオニンなど)、アミド基を有するアミノ酸(例えば、、アスパラギン、グルタミンなど)、イミノ基を有するアミノ酸(例えば、プロリンなど)、芳香族基を有するアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなど)等が挙げられる。アミノ酸(B)としては、これらの中でも、好ましくは、グリシン、D,L−α−アラニン、β−アラニンである。
【0032】
本発明の水硬性材料用改良剤は、化合物(A)とアミノ酸(B)とを、重量比で、(A)/(B)=60/40〜99/1の割合で含有する。(A)/(B)の割合が上記範囲内に収まることにより、本発明の水硬性材料用改良剤は、化合物(A)とアミノ酸(B)とを併用することによる、ひび割れ抑制機能および凍結融解性を相乗的に向上させる効果が得られ、さらに、コンクリートのフレッシュ物性を良好に維持することができる。(A)/(B)の割合は、好ましくは70/30〜98/2であり、より好ましくは90/10〜95/5である。
【0033】
本発明の水硬性材料用改良剤の添加量は、セメントに対して、固形分換算で、好ましくは0.5〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜15重量%であり、さらに好ましくは1〜10重量%である。水硬性材料用改良剤の添加量を、セメントに対して、固形分換算で、0.5〜20重量%にすることにより、本発明の水硬性材料用改良剤は、ひび割れ抑制性能および耐凍結融解性をより効果的に発現することができる。
【0034】
本発明の水硬性材料用改良剤は、任意の適切な減水剤を含んでいても良い。このような減水剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系等のスルホン酸系減水剤;ポリオール誘導体;ポリオキシアルキレン基とアニオン性基とを有する重合体(好ましくは、ポリオキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体(ポリカルボン酸系減水剤)、ポリオキシアルキレン基とリン酸基とを有する重合体);などが挙げられる。
【0035】
ポリオキシアルキレン基とカルボキシル基とを有する重合体(ポリカルボン酸系減水剤)としては、例えば、(メタ)アリルアルコール、3−メチル3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにアルキレンオキシドを付加したアルケニルエーテル系単量体および(メタ)アクリル酸やマレイン酸等の不飽和カルボン酸系単量体を含む単量体組成物から得られる共重合体またはその塩(特開平10−236858号公報、特開2001−220417号公報参照);(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体および(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体組成物から得られる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報参照);などが挙げられる。
【0036】
ポリオキシアルキレン基とリン酸基とを有する重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン基を有する特定の単量体とリン酸モノエステル系単量体とリン酸ジエステル系単量体とを含む単量体組成物から得られる共重合体(特開2006−052381号公報参照)などが挙げられる。
【0037】
上記のような減水剤の中でも、好ましくは、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリカルボン酸系減水剤である。
【0038】
本発明の水硬性材料用改良剤は、化合物(A)およびアミノ酸(B)を必須成分として含むものであるが、以下の(1)〜(20)に例示するような他の公知の水硬性材料用改良剤(材)を含有することができる。
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の多糖類のアルキル化もしくはヒドロキシアルキル化誘導体の一部または全部の水酸基の水素原子が、炭素数8〜40の炭化水素鎖を部分構造として有する疎水性置換基と、スルホン酸基又はそれらの塩を部分構造として含有するイオン性親水性置換基で置換されてなる多糖誘導体;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマーおよびその四級化合物;等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸またはクエン酸、および、これらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩または有機塩等のオキシカルボン酸;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、またはデキストリン等のオリゴ糖、またはデキストラン等の多糖類、およびこれらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸ならびにその塩またはホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、および、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸およびその誘導体;等。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート;等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、炭素原子数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール,3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド;等。
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステルまたはその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステルまたはその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(16)その他の界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール;アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール;ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン;ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール;ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン;ポリアルキレンオキシド誘導体類(例えば、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたもの);アルキル基またはアルコキシ基を置換基として有してもよい、スルホン酸基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤;等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)収縮低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(20)膨張材:エトリンガイト系、石灰系等。
【0039】
本発明の水硬性材料用改良剤は、本発明の作用効果を奏する範囲内で、必要に応じて、他の混和材料を併用してもよい。しかしながら、本発明の水硬性材料用改良剤は、他の混和材料と組み合わせなくても、硬化物の強度低下を抑制でき、優れたひび割れ抑制機能を発現でき、優れた耐凍結融解性を発現できる。したがって、低コストで本発明の水硬性材料用改良剤を提供することを考えた場合には、他の混和材料は必ずしも併用する必要はない。
【0040】
本発明の水硬性材料用改良剤の製造方法については、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、化合物(A)とアミノ酸(B)とを、任意の適切な混合方法によって混合することが挙げられる。
【0041】
本発明の水硬性材料用改良剤の使用形態としては、水硬性材料組成物に添加する方法が一般的であるが、硬化後の水硬性材料組成物の表面に本発明の水硬性材料用改良剤を塗布、もしくは散布しても良い。
【0042】
本発明の水硬性材料用改良剤は、水/セメント比の適用範囲が広く、水/セメント比(重量比)で、好ましくは60%〜15%のコンクリートまで製造が可能である。
【0043】
本発明のセメント組成物は、本発明の水硬性材料用改良剤とセメントを含む。本発明のセメント組成物は、好ましくは、本発明の水硬性材料用改良剤とセメントに加えて、さらに、細骨材、水を含み、このようなセメント組成物をモルタルと称することがある。また、本発明のセメント組成物は、また、好ましくは、本発明の水硬性材料用改良剤とセメントに加えて、さらに、細骨材、粗骨材、水を含み、このようなセメント組成物をコンクリートと称することがある。
【0044】
セメント組成物の製造に用いるセメントとしては、例えば、普通、低熱、中庸熱、早強、超早強、耐硫酸塩等のポルトランドセメント;高炉セメント;シリカセメント;フライアッシュセメント;エコセメント;シリカヒュームセメント;などが挙げられる。また、セメント組成物中に含まれ得る粉体として、例えば、シリカヒューム、フライアッシュ、石灰石微粉末、高炉スラグ微粉末、膨張材、その他の鉱物質微粉末などが挙げられる。細骨材としては、例えば、川砂、山砂、海砂、砕砂、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材などが挙げられる。粗骨材としては、例えば、川砂利、砕石、重量骨材、軽量骨材、スラグ骨材、再生骨材などが挙げられる。水としては、例えば、JIS A 5308付属書9に示される上水道水、上水道水以外の水(河川水、湖沼水、井戸水など)、回収水などが挙げられる。
【0045】
セメント組成物中には、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、硬化促進剤、凝結遅延剤、防錆剤、防水剤、防腐剤などが挙げられる。
【0046】
セメント組成物の製造方法、運搬方法、打設方法、養生方法、管理方法などについては、任意の適切な方法を採用し得る。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、特に明記しない限り、実施例における部及び%は重量基準である。
【0048】
<ひび割れ抵抗性評価>
水硬性材料用改良剤の所定量を秤量して水で希釈したもの300gと、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)600gをホバート型モルタルミキサー(ホバート社製、型番:N−50)を用いて低速で3分間混練して、評価用供試体を調製するためのセメントペーストを得た。
得られたセメントペースト250gを、図1に示した形状のリング拘束供試体を調製するために、リング拘束試験型枠(外枠:PE蓋付きポリスチレン、金属製リング:SUS304)に流し込んで、3日間密封養生を行なった。
3日間密封養生後、ペースト硬化体をリング拘束試験型枠から取り出し、リング拘束供試体とした。リング拘束供試体の形態は図1に示した通りである。
この供試体を、室温20℃、湿度60%の恒温恒湿室内に保管し、ひび割れ抵抗性の評価を行なった。保管開始から供試体にひび割れが生じるまでの時間をひび割れ発生時間とした。ひび割れ発生時間が長いほど、ひび割れ抵抗性に優れていることを示す。
【0049】
〔製造例1〕:化合物(A)(PEG400)の合成
温度計、撹拌機、窒素、およびエチレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応容器に、トリエチレングリコールを200g、48%水酸化ナトリウム水溶液を0.6g仕込んだ。反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で昇温して加熱攪拌した。加熱攪拌下に微量の窒素を流通させながら、反応容器内を減圧し、内温を120℃まで上げて内圧100mmHgで1時間脱水を行った。1時間脱水後、窒素で加圧し、内温を150℃まで上げて、安全圧下(反応容器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で、内温を150±5℃に維持しながらエチレンオキシド600gを添加することにより、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)を得た。
【0050】
〔製造例2〕:化合物(A)(PEG2000)の合成
温度計、撹拌機、窒素、およびエチレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応容器に、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)を200g、48%水酸化ナトリウム水溶液を0.2g仕込んだ。反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で昇温して加熱攪拌した。加熱攪拌下に微量の窒素を流通させながら、反応容器内を減圧し、内温を120℃まで上げて内圧50mmHgで1時間脱水を行った。1時間脱水後、窒素で加圧し、内温を150℃まで上げて、安全圧下(反応容器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で、内温を150±5℃に維持しながらエチレンオキシド200gを添加することにより、重量平均分子量800のポリエチレングリコール(PEG800)を得た。
温度計、撹拌機、窒素、およびエチレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応容器に、得られたPEG800を150g、48%水酸化ナトリウム水溶液を0.42g仕込んだ。反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で昇温して加熱攪拌した。加熱攪拌下に微量の窒素を流通させながら、反応容器内を減圧し、内圧50mmHgで1時間脱水を行った。1時間脱水後、窒素で加圧し、内温を150℃まで上げて、安全圧下(反応容器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で、内温を150±5℃に維持しながらエチレンオキシド225gを添加することにより、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール(PEG2000)を得た。
【0051】
〔製造例3〕:化合物(A)(PEG4500)の合成
温度計、撹拌機、窒素、およびエチレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応容器に、重量平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG400)を200g、48%水酸化ナトリウム水溶液を0.2g仕込んだ。反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で昇温して加熱攪拌した。加熱攪拌下に微量の窒素を流通させながら、反応容器内を減圧し、内温を120℃まで上げて内圧50mmHgで1時間脱水を行った。1時間脱水後、窒素で加圧し、内温を150℃まで上げて、安全圧下(反応容器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で、内温を150±5℃に維持しながらエチレンオキシド200gを添加することにより、重量平均分子量800のポリエチレングリコール(PEG800)を得た。
温度計、撹拌機、窒素、およびエチレンオキシド導入管を備えたステンレス製高圧反応容器に、得られたPEG800を150g、48%水酸化ナトリウム水溶液を0.42g仕込んだ。反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で昇温して加熱攪拌した。加熱攪拌下に微量の窒素を流通させながら、反応容器内を減圧し、内圧50mmHgで1時間脱水を行った。1時間脱水後、窒素で加圧し、内温を150℃まで上げて、安全圧下(反応容器内の窒素分圧の方がエチレンオキシド分圧より常に高くなるような条件)で、内温を150±5℃に維持しながらエチレンオキシド700gを添加することにより、重量平均分子量4500のポリエチレングリコール(PEG4500)を得た。
【0052】
〔実施例1〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例2で得たPEG2000を用い、アミノ酸(B)としてグリシン(Gly、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(1)を調製した。
水硬性材料用改良剤(1)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0053】
〔実施例2〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてグリシン(Gly、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(2)を調製した。
水硬性材料用改良剤(2)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0054】
〔実施例3〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてグリシン(Gly、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(3)を調製した。
水硬性材料用改良剤(3)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0055】
〔実施例4〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてD,L−α−アラニン(Ala、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(4)を調製した。
水硬性材料用改良剤(4)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0056】
〔実施例5〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてD,L−α−アラニン(Ala、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(5)を調製した。
水硬性材料用改良剤(5)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0057】
〔実施例6〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてβ−アラニン(Bala、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(6)を調製した。
水硬性材料用改良剤(6)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0058】
〔実施例7〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてβ−アラニン(Bala、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(7)を調製した。
水硬性材料用改良剤(7)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0059】
〔比較例1〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用いて、水硬性材料用改良剤(C1)を調製した。
水硬性材料用改良剤(C1)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0060】
〔比較例2〕
表1に示すように、化合物(A)として製造例3で得たPEG4500を用い、アミノ酸(B)としてグリシン(Gly、和光純薬)を用い、これらを混合して、水硬性材料用改良剤(C2)を調製した。
水硬性材料用改良剤(C2)をセメントに対して1.5重量%用いて、ひび割れ抵抗性評価の方法にしたがって、セメントペーストを調製し、該セメントペーストからリング拘束供試体を作成した。ひび割れ抵抗性評価の結果を表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
表2において、本発明の水硬性材料用改良剤を用いた実施例1〜7では、いずれもひび割れ発生時間が50時間を越えており、優れたひび割れ抵抗性を発現できることが判る。一方、比較例1、2では、実施例よりひび割れ発生時間が短くなっており、本発明の水硬性材料用改良剤には及ばないことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の水硬性材料用改良剤は、他の混和材料との組み合わせを必要とせず、耐凍結融解性に優れ、また硬化物の強度低下を起こすことなく、優れたひび割れ抑制機能を示す、汎用性の高い水硬性材料用改良剤として、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に好適に利用できる。
図1