特許第5798470号(P5798470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798470
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】モータのフレーム構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/18 20060101AFI20151001BHJP
   F16B 35/06 20060101ALI20151001BHJP
   F16B 45/00 20060101ALI20151001BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20151001BHJP
   H02K 9/06 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   H02K5/18
   F16B35/06 G
   F16B45/00 H
   F16B5/02 E
   !H02K9/06 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-272836(P2011-272836)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-126275(P2013-126275A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】竹島 豊
(72)【発明者】
【氏名】水谷 清信
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−090052(JP,U)
【文献】 特表2002−505569(JP,A)
【文献】 実開昭63−131566(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0264115(US,A1)
【文献】 特開2003−143806(JP,A)
【文献】 特開2003−013931(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008028607(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/18
F16B 5/02
F16B 35/06
F16B 45/00
H02K 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム本体を挟んで、負荷側カバーおよび反負荷側カバーを備えたモータのフレーム構造において、
前記負荷側カバーおよび反負荷側カバーが、通しボルトを締結するための座部をそれぞれ備え、
前記フレーム本体、負荷側カバー、および反負荷側カバーが、該座部を介して前記通しボルトによって連結され、
前記フレーム本体が、前記座部の間に、該フレーム本体に別部材を取り付けるための肉盛り部を有し、かつ、
該肉盛り部は、前記通しボルト挿通用の貫通孔を有し
前記肉盛り部に、前記別部材を取り付けるための複数のボルト孔が形成されている
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記フレーム本体は、冷却フィンを有し、少なくとも一部の冷却フィンの先端が、前記フレーム本体の軸と直角の断面において仮想四角形の辺に接するように構成され、
前記肉盛り部は、前記仮想四角形の各辺の内側に収まるように形成されている
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記モータは、減速機と連結して使用されるギヤモータのモータであり、
前記肉盛り部は、前記減速機の外形を軸方向から見たときの投影面内に収まっている
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記肉盛り部に、前記別部材を位置決めするための被係合部が形成されている
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記肉盛り部を複数有し、該複数の肉盛り部に同一の前記被係合部が形成され、
前記別部材として、当該モータを床または機器のフレームに据え付けるための脚部と、当該モータを吊り上げるための吊りボルトと、を有し、
該脚部および吊りボルトは、前記被係合部に対応する係合部を有する
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記肉盛り部は、互いに直交する第1取り付け面および第2取り付け面を有し、該第1取り付け面および第2取り付け面の両方に、前記複数のボルト孔が形成されている
ことを特徴とするモータのフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、モータと減速機とを一体に組み合わせたギヤモータが開示されている。このギヤモータにおけるモータは、フレーム本体を挟んで負荷側カバーおよび反負荷側カバーを別々に備えたフレーム構造を有している。
【0003】
負荷側カバーおよび反負荷側カバーには、通しボルトを締結するための座部がそれぞれ設けられ、この座部を介してフレーム本体、負荷側カバー、および反負荷側カバーが一本の通しボルトによって連結されている。
【0004】
反負荷側カバーの軸方向外側には、冷却ファンが取付けられ、該冷却ファンによって発生された冷却風により、フレーム本体が冷却される構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−143806号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
モータには、該モータ自体を床や産業機械の台座に取り付けるために脚部を取り付けたり、モータ自体を吊り上げるための吊りボルトを取り付けたりすることがある。
【0007】
しかしながら、このような脚部や吊りボルトを取り付けるための肉盛り部をフレーム本体に設けると、冷却ファンによる冷却風の円滑な流れが阻害され、その分、冷却性能が低下することがあったと考えられる。
【0008】
特に、通しボルトを用いてフレーム本体、負荷側カバー、および反負荷側カバーを締結している構造にあっては、(通しボルトはフレーム本体の全長に亘って存在し、かつ分解時に取り外す必要があるため)肉盛り部は、該通しボルトを避けて形成するようにしていた。そのため、特に影響が大きかった可能性がある。
【0009】
本発明は、このような従来の問題に着目してなされたものであって、冷却性能を低下させることなく、脚部や吊りボルト等の別部材を取り付けるための肉盛り部を形成することのできるモータのフレーム構造を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、フレーム本体を挟んで、負荷側カバーおよび反負荷側カバーを備えたモータのフレーム構造において、前記負荷側カバーおよび反負荷側カバーが、通しボルトを締結するための座部をそれぞれ備え、前記フレーム本体、負荷側カバー、および反負荷側カバーが、該座部を介して前記通しボルトによって連結され、前記フレーム本体が、前記座部の間に、該フレーム本体に別部材を取り付けるための肉盛り部を有し、かつ、該肉盛り部は、前記通しボルト挿通用の貫通孔を有し、前記肉盛り部に、前記別部材を取り付けるための複数のボルト孔が形成されている構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
【0011】
本発明においては、フレーム本体に肉盛り部を形成する場所(位置)として、敢えて、負荷側カバーと反負荷側カバーを連結するための通しボルトが組み込まれている部位に着目した。
【0012】
前述したように、従来は、通しボルトを避けた位置に肉盛り部を形成していた。しかしながら、通しボルトは、負荷側カバーの座部と反負荷側カバーの座部の2つの座部を利用して組み込まれるものであるため、この座部と座部の間は、もともと冷却ファンによる冷却風が十分に当たらない状況となってしまっている。本発明は、この事実に着目し、別部材を取り付けるための肉盛り部を敢えて、当該座部と座部との間に配置するようにした。
【0013】
この配置を可能とするため、本発明に係る肉盛り部には、(通しボルトとの干渉を避けるために)通しボルト挿通用の貫通孔を有している。これにより、通しボルトは肉盛り部の存在に関わらず、支障なく肉盛り部の貫通孔を貫通して取り付け・取り外しを行うことができる。
【0014】
一方で、通しボルトの座部と座部との間に肉盛り部が形成されることから、他の部分には、(従来形成されていた)肉盛り部を形成する必要がなくなる。したがって、冷却ファンによる冷却風を(障害物のない状態で)円滑にフレーム本体の周囲に流すことができ、結果として(冷却風の流れを阻害する位置に肉盛り部が形成されていた従来の状況と比較して)より冷却性能を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷却性能を低下させることなく、脚部や吊りボルト等の別部材を組み付けるための肉盛り部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の一例に係るモータと減速機とが一体化されたギヤモータの要部拡大正面図
図2図1のギヤモータの全体平面図
図3図1のギヤモータの全体側面図
図4図1のギヤモータの(A)斜視図、および(B)別の角度から見た斜視図
図5図1のギヤモータのモータのフレーム本体のみの斜視図
図6図1のギヤモータのモータのフレーム本体のみの側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の一例に係るモータが減速機と一体化されたギヤモータの要部拡大正面図である。図2はその全体平面図、図3は全体側面図である。また、図4は、図1のギヤモータをそれぞれ別の角度から見た斜視図を示している。さらに、図5は、該ギヤドモータのモータのフレーム本体のみの斜視図、図6はその側面図である。
【0019】
このギヤモータGM1のモータM1は、フレーム12で囲まれている。フレーム12は、フレーム本体14、負荷側カバー16および反負荷側カバー18とで主に構成されている。フレーム本体14、負荷側カバー16、および反負荷側カバー18は、負荷側カバー16に設けた負荷側座部22および反負荷側カバー18に設けた反負荷側座部24を介して通しボルト26によって連結されている。
【0020】
フレーム本体14の、負荷側座部22および反負荷側座部24の間には、肉盛り部28が形成されている。肉盛り部28は、該フレーム本体14に別部材(後述)を取り付けるために使用する。
【0021】
以下、詳述する。
【0022】
モータM1のフレーム本体14は、全体が円筒形とされ、端子箱30の取り付け面30Aを有している。フレーム本体14の外周には、冷却フィン32(32A〜32D)が一体的に形成されている。特に図6によく示されているように、冷却フィン32は、(フレーム本体14から放射状に突出するのではなく)フレーム本体14を、例えば、端子箱30(図6では図示略)の取り付け面30Aが鉛直方向となるようにフレーム本体14を置いたときに、鉛直方向Xおよび水平方向Yに向けて突出している。
【0023】
この実施形態では、冷却フィン32は、軸方向からフレーム本体14の軸と直角の断面を見たときに(図6の状態)、その先端が端子箱30の取り付け面30Aと平行な辺S1を有する仮想四角形(この例では仮想正方形)Sの四つの辺S1〜S4上に並ぶように突出長さが、揃えられている。
【0024】
具体的には、端子箱30の取り付け面30Aと平行な辺S1上に先端が並ぶように、(該取り付け面30Aを避けて短めの長さの10本の冷却フィン32A(特に図5参照)が設けられている。また、取り付け面30Aと直角の二つの辺S2、S4に先端が並ぶようにそれぞれ10本の冷却フィン32B、32D、さらに取り付け面30Aと平行の反対側の辺S3に先端が並ぶように、10本の冷却フィン32Cが設けられている。このように、冷却フィン32A〜32Dを配置すると、仮想四角形Sの頂点近傍に空間P1〜P4を確保することができる。
【0025】
この実施形態では、負荷側カバー16および反負荷側カバー18は、この空間P1〜P4に相当する位置に負荷側座部22および反負荷側座部24をそれぞれ4個ずつ備えている。なお、図5図6の符号14A、14Bは、フレーム本体14上に設けられた(通しボルト締め付け時の補強用の)受け座であって、負荷側座部22、反負荷側座部24とは異なる。
【0026】
フレーム本体14、負荷側カバー16および反負荷側カバー18は、この負荷側座部22および反負荷側座部24を介して1本(全体では4本)の通しボルト26によって連結される。結果として、肉盛り部28もこの仮想四角形Sの頂点近傍に位置することになる。
【0027】
なお、実施形態では、すべてのフィンの先端が仮想四角形(正方形)Sの辺上に揃っているが、一部のフィンは、その先端が仮想四角形の辺より内側に入っていてもよい。言い換えれば、各フィンの先端が接する仮想四角形のうち、最大の仮想四角形と表現することもできる。
【0028】
各図(特に図6)から明らかなように、冷却フィン32A〜32D同士の間には、肉盛り部は形成されていない。なお、各辺S1〜S4の冷却フィン32A〜32Dの両端の冷却フィン32A1、32B1、32C1、32D1は、隣接する肉盛り部28と一体化されている。肉盛り部28の構成については、後に詳述する。
【0029】
負荷側カバー16は、減速機G1のサイドカバーを兼用しており、フレーム本体14の軸方向負荷側の側部に設けられている。負荷側カバー16は、前述したように、通しボルト26を締結する際に使用する負荷側座部22を、円周方向における前記肉盛り部28に対応する位置(仮想四角形Sの頂点近傍の空間P1〜P4)に、計4個備えている。各負荷側座部22には、通しボルト26がねじ込まれるタップ穴22Aが形成されている。負荷側カバー16は、図示せぬボルトを介して、減速機G1のケーシング17と一体化されている。
【0030】
反負荷側カバー18は、フレーム本体14の軸方向反負荷側の側部に設けられている。反負荷側カバー18も、通しボルト26を締結する際に使用する反負荷側座部24を、円周方向における肉盛り部28に対応する位置(仮想四角形Sの頂点近傍の空間P1〜P4)に、計4個備えている。各反負荷側座部24には、(タップ穴ではなく)通しボルト26が貫通する貫通孔24Aが形成されている。反負荷側カバー18は、その径方向中央に開口(図示略)を備えており、該開口を介して冷却ファン19がモータM1の出力軸(図示略)と連結されている。符号25は、ファンカバーである。
【0031】
通しボルト26は、この実施形態では、4本使用されている。各通しボルト26は、その頭部26Aが反負荷側カバー18の反負荷側座部24に当接している。また、通しボルト26は、該反負荷側座部24の貫通孔24A、およびフレーム本体14の肉盛り部28の後述する貫通孔28Aをそれぞれ貫通し、その先端が負荷側カバー16の負荷側座部22のタップ穴22Aにねじ込まれている。これにより、フレーム本体14、負荷側カバー16、および反負荷側カバー18が、負荷側座部22および反負荷側座部24を介して1本の通しボルト26によって連結される。
【0032】
ここで、肉盛り部28周りの構成を説明する。肉盛り部28は、4個とも、基本的に同一の構造とされている。この実施形態では、肉盛り部28に取り付ける別部材として、モータM1を床または機器のフレーム(図示略)に据え付けるための脚部60、およびモータM1を吊り上げるための吊りボルト70が用意されている。各肉盛り部28は、脚部60の取り付け、および吊りボルト70の取り付けの双方に対応している。
【0033】
なお、各図においては、脚部60および吊りボルト70とも、2個表示されており、うち実線で示した1個が取付けられた状態、想像線で示したもう1個がこれから取り付けようとする状態をそれぞれ示している。
【0034】
各肉盛り部28には、通しボルト26を挿通するための貫通孔28Aが軸方向に沿って貫通形成されている。また、各肉盛り部28は、図6に示されるように、前記仮想四角形Sの2辺S1、S3と平行な取り付け面28A、および仮想四角形Sの2辺S2、S4と平行な取り付け面28Bをそれぞれ備えている。なお、2つの取り付け面28A、28Bが交差している頂部には、45度の面取り28Cが形成されている。各肉盛り部28の取り付け面28A、28Bの対向距離L2および対角距離L4は、いずれも仮想四角形Sの各辺S1〜S4の辺の長さL3、および対角長さL5中より小さく、肉盛り部28が仮想四角形S内に収まる大きさとされている。
【0035】
各取り付け面28A、28Bには、2個の座繰り部(被係合部)52が形成されている。つまり座繰り部52は1つの肉盛り部28ごとに計4個、フレーム全体で計16個形成されていることになる。各座繰り部52の中央には、タップ穴(雌ねじ)54が形成されている。
【0036】
肉盛り部28に別部材として用意された脚部60を取り付ける場合、1個の脚部60に対して、肉盛り部28の1つの取り付け面28A(または28B)上に形成された2個の座繰り部52を使用する。本実施形態の場合、予め、脚部60には、肉盛り部28の2つの座繰り部52に対応する2つの突起部(係合部)62を形成してある。また、各突起部62の中央に肉盛り部28側のタップ穴54と軸心が合致している貫通孔64を形成してある(特に図4参照)。
【0037】
また、肉盛り部28に別部材として用意された吊りボルト70を取り付ける場合は、1個の吊りボルト70に対して1個の座繰り部52を使用する(吊りボルト70を一対取り付けるときは別の肉盛り部28の座繰り部52を使用)。そのため、吊りボルト70には、肉盛り部28の座繰り部(被係合部)52に対応する大径部(係合部)72と、タップ穴54に螺合するねじ部74を有している。
【0038】
モータM1と連結される減速機G1は、この実施形態では、揺動内接噛合型と称される遊星歯車減速機構(図示略)を備えた減速機が採用されている。この減速機G1は、モータM1の図示せぬ出力軸と連結された入力軸(図示略)を備え、該入力軸と同軸の出力軸57から減速された回転を出力する。
【0039】
減速機の外形L1は、モータM1のフレーム本体14の肉盛り部28の外形L2よりも大きい(当然に対角距離L4よりも大きい)。換言するならば、肉盛り部28は、減速機G1を軸方向から見たときの投影面内に収まっている。さらには、この減速機G1の外形L1は、前記仮想四角形Sの頂点部分の対角距離L4よりも大きい。つまり、減速機G1の外形は、冷却フィン32の最外形部分の寸法よりも大きく、フレーム本体14の冷却フィン32に沿って流れてきた冷却ファン19の冷却風が、減速機G1と連結された負荷側カバー22に突き当たることで、該減速機G1のケーシング17も合わせて冷却できるように構成してある。
【0040】
次に、このギヤモータGM1の作用を説明する。
【0041】
モータM1の電源がオンとされ、稼働状態となると、モータM1の出力軸と連結されている冷却ファン19が回転し、冷却風をフレーム本体14の冷却フィン32側に送風する。本実施形態のフレーム構造では、肉盛り部28が4ヶ所に形成されているが、いずれも、負荷側座部22と反負荷側座部24との間に配置されており、もともと肉盛り部がなかった従来においてもこの部分での冷却は殆ど期待できなかったものである。特にこの実施形態では、仮想四角形Sの内側に肉盛り部28が収まっているので、負荷側座部22と反負荷側座部24の間の冷却に関して、新たに問題は、殆ど発生しない。
【0042】
一方、従来は、(通しボルトの位置を避けて)冷却フィン同士の間に肉盛り部を形成していたため、冷却風の流れが著しく阻害され、冷却効率が低下していた。しかし、本実施形態では、冷却フィン32同士の間には肉盛り部が一切形成されていないため、冷却風の流れは阻害されない。したがって、結果として従来より非常に効率の高い冷却を行うことができる。また、冷却フィン32に沿って流れてきた冷却風は該冷却フィン32の最大外形(すなわち、仮想四角形Sの辺S1〜S4の対角距離L4)よりも大きな外形L1を有する減速機G1のケーシング17と連結された負荷側カバー22に突き当たるため、該減速機G1のケーシング17も効率的に冷却することができる。
【0043】
なお、冷却効率が高いというメリットは、文字通り「冷却性能の向上」として享受してもよいが、従来と同等の冷却性能が得られれば十分である場合には、このメリットを、例えば冷却フィンの高さを低減することで、フレーム全体のより一層の小型化、軽量化等に振り向けるようにしてもよい。
【0044】
一方、肉盛り部28に脚部60を取り付ける場合には、取り付けようとする肉盛り部28の取り付け面28A(または28B)の座繰り部(被係合部)52に、脚部60の突起部(係合部)62を係合させると、自動的に肉盛り部28の取り付け面28Aに対する該脚部60の位置決めがなされ、肉盛り部28のタップ穴54の軸心と脚部60の貫通孔64の軸心が一致する。そのため、脚部60の裏側から貫通孔64を介してボルト(図示略)をタップ穴54にねじ込むことで、脚部60の取り付けを完了することができる。
【0045】
また、肉盛り部28に吊りボルト70を取り付ける場合には、取り付けようとする肉盛り部28の取り付け面28A(または28B)の座繰り部(被係合部)52の中央のタップ穴54に、吊りボルト70のねじ部74を螺合させていくと、やがて吊りボルト70の大径部72が、取り付け面28Aの座繰り部52と係合し、吊りボルト70を取り付け面28Aに対して垂直にかつ強固に取り付けることができる。
【0046】
座繰り部(被係合部)52や突起部62、大径部72等の係合部は、予め機械加工しておけるため、精度の高い取り付けが可能である。
【0047】
肉盛り部28は、仮想四角形Sの頂点付近の空間P1〜P4の位置に4ヶ所形成されており、また、各肉盛り部28にはそれぞれ直角方向に形成された座繰り部52がそれぞれ2個ずつ計4個形成されており、かつ、脚部60に対しても吊りボルト70に対しても同一の構造で対応できているため(互換性があるため)、例えば減速機G1に対して、あるいは端子箱30の位置に対して、勝手違いの脚部60や吊りボルト70の取り付けを非常に柔軟に行うことができる。
【0048】
なお、上記実施形態においては、冷却フィンの突出方向を2面ずつ直交するように突出させていたが、本発明においては、冷却フィンの突出方向等は、特に限定されず、例えば放射方向に突出されたものであってもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、肉盛り部が、フレーム本体の軸と直角の断面において冷却フィンの先端が接する仮想四角形よりも、内側に収まるようにしていたが、若干突出していたとしても、相応の効果を得ることができる。
【0050】
また、上記実施形態においては、モータが減速機と一体化されたギヤモータに本発明が適用された例が示されていたが、本発明に係るモータは、必ずしも減速機と一体化された状態で使用される必要はなく、例えば、モータのフレームとは独立したケーシングを有する減速機と組み合わせて使用する際にも適用できる。
【0051】
また、上記実施形態においては、肉盛り部を4個形成するとともに、各肉盛り部に別部材を取り付けるための被係合部あるいはボルト穴を複数形成するようにしていたが、本発明においては、肉盛り部の数も形成する被係合部の数もボルト穴の数も、特に限定されない。また、複数の種類の別部材を同一構造の肉盛り部に取り付けできるようにしていたが、本発明では、肉盛り部自体も、被係合部やボルト穴も、取り付ける別部材ごとに別々に形成するようにしてもよい。被係合部と、該被係合部と係合する別部材側の係合部の形状についても、上記構成に限定されるものではなく、例えば凸と凹の関係を逆にしてもよいし、被係合部の形状も必ずしも円でなくてもよい。
【0052】
さらには、本発明においては、肉盛り部にこのような被係合部を必ずしも形成しなくてもよい。例えば、(被係合部なしで)ボルト穴のみを形成しておくものであってもよいし、被係合部やボルト穴を、取り付けの要請が発生した段階で、後加工するようにしても良い。これは、別部材の方の対応する係合部についても同様である。
【符号の説明】
【0053】
M1…モータ
12…フレーム
14…フレーム本体
16…負荷側カバー
18…反負荷側カバー
19…冷却ファン
22…負荷側座部
24…反負荷側座部
26…通しボルト
28…肉盛り部
30…端子箱
32…冷却フィン
60…脚部
70…吊りボルト
S…仮想四角形
図1
図2
図3
図4
図5
図6