(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正極用電極は前記第1の集電体群に挿入されるm+1枚の電極体からなり、前記負極用電極は前記第2の集電体群に挿入されるm+1枚の電極体からなる、請求項2に記載の非水電解質二次電池用電極。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
<非水電解質二次電池用電極の構造>
図1は、本発明の非水電解質二次電池用電極の一実施形態を示す断面図である。非水電解質二次電池用電極1は互いに対向し、平面視して重なるように配置された正極用電極2、負極用電極4及び3枚の集電体3a,3b,3cを備えている。3枚の集電体3a,3b,3cによって1つの電極単位を構成する。集電体3a,3b,3cを総称して「集電体3」という。
【0015】
正極用電極2の両面には正極活物質層51,52が形成され、負極用電極4の両面には負極活物質層63,64が形成されている。第1集電体3aの、正極活物質層51に対向する面には、負極活物質層61が形成されている。第3集電体3cの、負極活物質層64に対向する面には、正極活物質層54が形成されている。また、第2集電体3bの、負極用電極4に形成された負極活物質層63に対向する面には正極活物質層53が形成され、正極用電極2に形成された正極活物質層52に対向する面には、負極活物質層62が形成されている。このように両面に極性の違う正極活物質層53及び負極活物質層62が形成されている第2集電体3bを「バイポーラ電極」と言うことがある。
【0016】
3枚の集電体3a,3b,3cは、電気的に互いに接続されて1つの電極単位を構成している。電気的な接続方法は限定されないが、例えば、後に
図3を用いて説明するように、一枚の金属箔をS字状に折り畳んで構成すれば、電気的な接続は達成される。また、それぞれ3枚の金属箔を互いに重ねて、第1集電体と第2集電体及び第2集電体と第3集電体とをリード線、リード箔などの金属体を用いて、半田、圧着、超音波融着などの方法で接続してもよい。
【0017】
1つの電極単位の中にあって対向する正極活物質層53と正極活物質層54は、つながっていても良く、間欠されていても良いが、集電体3を折り畳む場合、正極活物質層53,54が滑落しないためには、間欠されていることが好ましい。1つの電極単位の中にあって対向する負極活物質層61と負極活物質層62の関係も同様である。以下の図面は、間欠されていることを前提に描いている。
【0018】
なお、1つの電極単位の中にあって対向する正極活物質層53と正極活物質層54とがつながっている場合、折り畳む箇所に形成されている正極活物質層/負極活物質層の面積は、集電体を介して対向する正極活物質層/負極活物質層の面積とくらべ5%以内であることが好ましい。5%以上の場合、各単電池部分の容量がばらつくため、充電の際、過充電になる恐れがある。
【0019】
正極用電極2と3枚の集電体3a,3b,3cと負極用電極4との間には、それぞれセパレータ7が介在される。セパレータ7、正極活物質層、及び負極活物質層の空隙には、リチウムイオンなどのイオンが伝導する電解質溶液が存在している。
また、正極用電極2と集電体3a,3bとを積層する場合、電解液による液絡、隣り合う集電体同士の接触、外部からの水分、酸素などの浸透を防ぐため、正極用電極2の周辺に絶縁封止材8が形成されている。負極用電極4の周辺にも、同様に絶縁封止材8が形成されている。
【0020】
以上のように、第1集電体3a、第2集電体3bの間に、セパレータ7を介して正極用電極2が挟まれ、第2集電体3b、第3集電体3cの間に、セパレータ7を介して負極用電極4が挟まれた構造となる。
図1で正極用電極2、負極用電極4又は集電体3a,3b,3cを介して、対向する正極活物質層51,52,53,54と負極活物質層61,62,63,64とが平面視して重なる面積を"S1"と表示している。電池の投影面積はこの面積S1に比例すると考えることができる。
【0021】
ここで、電池の一方の面に正極用電極102、他方に負極用電極104を配置し、中間に1枚の集電体103を挿入することによって、積層方向に直列に接続した従来の電池構造(
図8参照)と比較しながら説明する。
図8の従来の電池構造において、正極活物質層105,107と負極活物質層106,108とが平面視して、積層方向に重なる面積を“S0”とする。
【0022】
本発明では、正極用電極2、負極用電極4若しくは集電体3a,3b,3cを介して対向する正極活物質層51,52,53,54と負極活物質層61,62,63,64とが互いに重なる面積S1は、従来の対向する正極活物質層105,107と負極活物質層106,108とが重なる面積S0に対して、後に説明するように2分の1以下とすることができる。
【0023】
図1に示す本発明の構造によれば、電気的に互いに接続された集電体3a,3bの間に正極用電極2を配置し、集電体3b,3cの間に負極用電極4を配置している。これにより、第1集電体3aと正極用電極2との間及び正極用電極2と第2集電体3bとの間にそれぞれ発電構造を構成することができ、しかも集電体3a,3bが電気的に接続されることにより、1つの単電池を形成することができる。さらに第2集電体3bと負極用電極4との間及びに負極用電極4と第3集電体3cとの間にそれぞれ発電構造を構成することができ、しかも集電体3b,3cが電気的に接続されることにより、1つの単電池を形成することができる。
【0024】
また、正極用電極2と負極用電極4との間は、バイポーラ電極である第2集電体3bが介在され、第2集電体3bの下に存在する単電池と第2集電体3bの上に存在する単電池との直列構造となっている。
このように、1つの非水電解質二次電池用電極の中に並列構造と直列構造とを並存させて構成することができる。
【0025】
図2は、一枚の金属箔をS字状に折り畳んで3枚の集電体3a,3b,3cを形成する場合の、折り畳む前の集電体3を示す断面図である。バイポーラ電極である第2集電体3bとなる中央の部分には、正極活物質層53と負極活物質層62とが両面にそれぞれ形成され、集電体3a,3cとなる集電体3の両端の部分には、それぞれ負極活物質層61と正極活物質層54とが形成されている。
【0026】
図3は、この一枚の金属箔をS字状に折り畳んで1つの電極単位を構成する手順を示す。
このような本発明の構造を、
図8の構造と比べると、
図8の構造も、バイポーラ電極103の上下に存在する単電池を直列に接続しているので、電池の電圧は同じである。しかし、電池内で正極活物質層と負極活物質層とが対向する面積(実質的な活物質対向面積)が異なる。
【0027】
本発明の構造では、1枚のセパレータ7を介した正極活物質層と負極活物質層の対向面積は、
図2に示すように2S1である。これは前述したように1つの単電池が並列構造を形成しているからである。
図8の従来の構造では、1枚のセパレータ7を介した正極活物質層と負極活物質層との対向面積は、S0である。
よって、電池の電圧が同じならば、電池から取り出すことができる電力(電池容量)は、本発明の構造では2S1に比例するものとなり、従来の構造では、S0に比例するものとなる。
【0028】
したがって、電池の投影面積が同じであれば(S1=S0)、本発明の構造は、従来のものに比べて2倍の電池容量を実現できる。電池容量が同じであれば、電池の投影面積は、従来の構造と比べて半分で済むことになる(S1=S0/2)。
なお、
図1の構造において、正極用電極2につながる電極体がもう一枚追加されて、これらの2枚の電極体の間に集電体3aを挟んで配置し、負極用電極4につながる電極体がもう一枚追加されて、これらの2枚の電極体の間に集電体3cを挟んで配置した構造を採用することもできる。この構造を採用すれば、単電池内で正極活物質層と負極活物質層とが対向する面積(実質的な活物質対向面積)が、
図1の構造では2S1であったが、これを3S1に増やすことができる。
【0029】
次に本発明の非水電解質二次電池用電極の他の実施形態を説明する。
図4は、電極単位の個数nが2である場合の非水電解質二次電池用電極を示す断面図であり、
図5は分解図である。
この非水電解質二次電池用電極は、第1の電極単位E1と第2の電極単位E2とを有する。第1の電極単位E1は3枚の集電体3a,3b,3cで構成され、第2の電極単位E2は3枚の集電体3d,3e,3fで構成されている。第1の電極単位E1を構成する集電体3a,3bの間に正極用電極2が介在されている。また、第2の電極単位E2を構成する集電体3e,3fの間に負極用電極4が介在されている。
【0030】
さらに正極用電極2につながる電極体がもう一枚追加されて、正極用電極2とで、第1の電極単位E1を構成する第1集電体3aを間に挟んで配置されている。正極用電極2の追加された部分を“2a”と表記する。追加された電極2aは、好ましくは電池の取り出し電極となる。追加された電極2aは、正極用電極2の一部を折り返したものであっても良く、一枚の金属箔を正極用電極2とは別に用意して電気的に接続したものであってもよい。第1集電体3aの両面には負極活物質層61,60が形成され、追加された電極2aには正極活物質層50が形成されている。このように第1の電極単位E1を構成する第1集電体3aの表面と裏面でそれぞれ発電構造を形成することとして、
図1に示した正極用電極2と比べて、対向する活物質層の面積を増やしている。
【0031】
負極用電極4も同様であり、負極用電極4につながる電極体がもう一枚追加されている。負極用電極4の追加された部分を“4a”と表記する。追加された電極4aは、好ましくは電池の取り出し電極となる。負極用電極4と追加された電極4aは、第2の電極単位E2を構成する集電体3fを間に挟んで配置されている。集電体3fの両面には正極活物質層57,58が形成され、追加された電極4aには負極活物質層68が形成されている。このように第2の電極単位E2を構成する集電体3fの表面と裏面でそれぞれ発電構造を形成することができるので、
図1に示した正極用電極2、負極用電極4と比べて、実質的な活物質対向面積を増やすことができる。
【0032】
その他は
図1の構造と同様であり、正極用電極2の両面には正極活物質層51,52が形成され、負極用電極4の両面には負極活物質層66,67が形成されている。第1集電体3aの、正極活物質層51に対向する面には、負極活物質層61が形成され、第2集電体3bの、正極活物質層52に対向する面には、負極活物質層62が形成されている。また、集電体3eの、負極用電極4に形成された負極活物質層66に対向する面には正極活物質層56が形成され、集電体3fの、負極用電極4に形成された負極活物質層67に対向する面には正極活物質層57が形成されている。
【0033】
この
図4の構造では、第1の電極単位E1を構成する集電体3b,3cの間に、第2の電極単位E2を構成する集電体3dが介在され、第2の電極単位E2を構成する集電体3d,3eの間に、第1の電極単位E1を構成する集電体3cが介在されている。そして集電体3dの両面には負極活物質層63,64が形成され、第3集電体3cの両面には正極活物質層54,55が形成されている。このようにして第1の電極単位E1、第2の電極単位E2が、
図5に示すように、互い違いに入り込む形になっている。
【0034】
このように第2集電体3bの負極活物質層62が形成された面の裏面には、正極活物質層53が形成されている。したがって第2集電体3bは、正極活物質層53及び負極活物質層62が表面と裏面にそれぞれ形成されたバイポーラ電極となる。一方第2集電体3eの正極活物質層56が形成された面の裏面には、負極活物質層65が形成され、バイポーラ電極となる。このようにして第1の電極単位E1を構成する3枚の集電体3a,3b,3cの真中の第2集電体3bが、正極活物質層53及び負極活物質層62が表面と裏面にそれぞれ形成されたバイポーラ電極となり、第2の電極単位E2を構成する3枚の集電体3d,3e,3fの真中の第2集電体3eが、正極活物質層56及び負極活物質層65が表面と裏面にそれぞれ形成されたバイポーラ電極となる。
【0035】
この
図4の非水電解質二次電池用電極によれば、第1集電体3aと正極用電極2との間、第1集電体3aと追加された電極2aとの間、第2集電体3bと正極用電極2との間にそれぞれ発電構造を構成し、それらを並列構成にして1つの単電池を形成することができる。この単電池はS1の3倍の活物質対向面積を有する。
また、負極用電極4と集電体3eとの間、負極用電極4と集電体3fとの間、負極用電極4の追加された電極4aと集電体3fとの間にそれぞれ発電構造を構成することができ、これらを並列に接続して1つの単電池を形成することができる。この単電池も、S1の3倍の活物質面積を有する。
【0036】
さらに、集電体3dと第2集電体3bとの間、集電体3dと第3集電体3cとの間、第3集電体3cと集電体3eとの間にそれぞれ発電構造を構成し、これらを並列に接続して1つの単電池を形成することができる。この単電池もS1の3倍の実質的な活物質対向面積を有する。
このようにして、S1の3倍の活物質対向面積を有する電池を作ることができる。
【0037】
また、正極用電極2と集電体3dとの間は、前述したバイポーラ電極3bが介在され、負極用電極4と第3集電体3cとの間は、前述したバイポーラ電極3eが介在され、それぞれ電池の直列構造を構成している。よって、合計3段の単電池の直列構造とすることができる。
このように、1電極単位の中に並列構造と3段の直列構造とを並存させて構成することができる。
【0038】
図1の構造と比較すると、電池の投影面積、すなわち正極活物質層と負極活物質層とが平面視して重なる面積S1は同じであるが、実質的な活物質対向面積は、
図1の構造がS1の2倍であるのに対して、
図4の構造ではS1の3倍となっている。したがって、実質的な活物質対向面積を同じにするならば、電池の投影面積を
図1の2/3に縮小することができる。そして単電池が3段の直列構造を有するので、電池から取り出すことのできる電圧は
図1の構造の1.5倍になる。したがって、実質的な活物質対向面積と電圧との積を電池から取り出すことのできる電池電力量と考えると、この
図2の非水電解質二次電池用電極は、電池の投影面積が同じであれば、
図1の非水電解質二次電池用電極の2.25倍(電圧1.5倍、実質的な活物質対向面積1.5倍)の電池容量となる。
【0039】
さらに電極単位を重ねることにより、高電圧化することができる。
図6は、本発明の非水電解質二次電池用電極のさらに他の実施形態を示す断面図である。この場合電極単位の個数nは4であり、非水電解質二次電池用電極は、第1の電極単位E1〜第4の電極単位E4を備えている。この非水電解質二次電池用電極は、
図4の非水電解質二次電池用電極の本質的な構造上の特徴を全部有しており、電極単位の個数を増やしただけのものである。
【0040】
図1の非水電解質二次電池用電極と比べると、実質的な活物質対向面積は、
図1の構造がS1の2倍であるのに対して、
図6ではS1の3倍となっている。したがって、実質的な活物質対向面積は3S1=1.5倍となる。実質的な活物質対向面積を同じにするならば、電池の投影面積を
図1の2/3に縮小することができる。そして5段の直列構造を有するので、電池から取り出すことのできる電圧は
図1の構造(2段)の2.5倍になる。
【0041】
図7は、本発明の非水電解質二次電池用電極のさらに他の実施形態を示す断面図である。この場合電極単位の個数nは3であり、各電極単位E1〜E3を構成する集電体の枚数は5である。電極単位E1を構成する5枚の集電体のうち、それらの中心に位置する集電体3cはバイポーラ電極であり、このバイポーラ電極を境界として下方の集電体3a,3bは第1の集電体群を構成し、上方の集電体3d,3eは第2の集電体群とを構成している。第1の電極単位E1を構成する第1の集電体群3a,3bと正極用電極2とによって単電池を形成している。ここで正極用電極2は電池の取り出し電極2aを含め、3枚の電極体からなり、それぞれが第1の集電体群3a,3b及びバイポーラ電極3cの負極活物質形成面と対向している。
【0042】
また電極単位E2を構成する5枚の集電体3f〜3jのうち、それらの中心に位置する集電体3hはバイポーラ電極であり、このバイポーラ電極3hを境界として下方の集電体3f,3gは、電極単位E1の集電体3c,3d,3eに対向して単電池を形成している。このバイポーラ電極3hを境界として上方の集電体3i,3jは、電極単位E3の集電体3k,3l,3mに対向して単電池を形成している。
【0043】
また電極単位E3の構成は電極単位E1を上下対称にした構成であり、電極単位E1と同様である。そして正極活物質と負極活物質との間にはセパレータが介在しているが、ここでは図示を省略している。
以上のようにして、
図7の構造では実質的な活物質対向面積は、
図1の構造がS1の2倍であるのに対して、
図7の構造ではS1の5倍となっている。そして単電池4段の直列構造を有する。
【0044】
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、電極単位の個数nはさらに追加することができ、各電極単位を構成する集電体の枚数も(2m+1)枚(mは1以上の整数)と、mの選択によってさらに増加することができる。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池用電極を採用した、本発明の非水電解質二次電池について説明する。
【0045】
本発明の非水電解質二次電池の正極活物質層は、リチウムコバルト化合物、リチウムニッケル化合物、リチウムマンガン化合物、リチウム鉄化合物などで例示される正極活物質を含む。特に、リチウムイオンの挿入・脱離反応において安定性の高いリチウムマンガン化合物であることが好ましい。
リチウムマンガン化合物としては、例えば、Li
2MnO
3、Li
aM
bMn
1−bN
cO
4(0<a≦2、0≦b≦0.5、1≦c≦2、Mは2〜13族でかつ第3、4周期に属する元素、Nは14〜16族でかつ第3周期に属する元素)、Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されるリチウムマンガン化合物が挙げられる。ここでのMは、2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素から選ばれる少なくとも1種であるが、安定性向上の効果が大きい点から、Al、Mg、Zn、Ni、Co、Fe及びCrが好ましく、Al、Mg、Zn、Ni及びCrがより好ましく、Al、Mg、Zn及びNiがさらに好ましい。また、ここでのNは安定性向上の効果が大きい点から、Si、P及びSが好ましい。
【0046】
中でも、正極活物質の安定性が高いことから、Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されるリチウムマンガン化合物であることが特に好ましい。x<0の場合は、正極活物質の容量が減少する傾向がある。また、x>0.2の場合は炭酸リチウムなどの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。y=0の場合は、正極活物質の安定性が低くなる傾向がある。また、y>0.6の場合はMの酸化物などの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。
【0047】
Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種)は、スピネル構造であることが好ましい。スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さいので好ましい。
Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種)は、リチウム化合物、マンガン化合物、Mの化合物を500℃以上、1500℃以下で加熱処理することによって得ることができる。500℃未満、又は1500℃より高いと、所望の構造をした正極活物質を得ることができない場合がある。加熱処理は、リチウム化合物、マンガン化合物、及びMの化合物を混合して加熱処理もよいし、マンガン化合物とMの化合物とを加熱処理した後に、リチウム化合物と加熱処理してもよい。正極活物質の結晶性を向上させるため、加熱処理後、再び500℃以上、1500℃以下で再加熱処理してもよい。再加熱処理の温度は、最初におこなった温度と同じでもよいし、違っていてもよい。加熱処理は、空気存在下でもよいし、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスの存在下でおこなってもよい。加熱処理には、特に限定されないが、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
【0048】
リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、ハロゲン化リチウムなどを用いることができる。これらリチウム化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
マンガン化合物としては、例えば、二酸化マンガン等のマンガン酸化物、炭酸マンガン、硝酸マンガン、マンガン水酸化物などを用いることができる。これらマンガン化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0049】
Mの化合物としては、例えば、炭酸化物、酸化物、硝酸化物、水酸化物、硫酸化物などを用いることができる。Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4に含まれるMの量は、加熱処理時におけるMの化合物の量で制御することができる。Mの化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
リチウム化合物、マンガン化合物及びMの化合物の配合比は、リチウム、マンガン及びMの原子比をそれぞれ1+x(リチウム)、2−x−y(マンガン)、及びy(M)、但し、0≦x≦0.2、0<y≦0.6を満たす範囲で選択される。例えば、Mn/Liの原子比1.5の正極活物質を作製する場合、原料の性状や加熱条件によって配合比1.5前後で多少の幅をもたせてもよい。
【0050】
本発明の正極活物質の表面には、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
負極活物質層61,62,63,64は、リチウムイオンの挿入・脱離反応が0.3V(vs.Li
+/Li)以上2.0V(vs.Li
+/Li)以下で進行する負極活物質を含む。0.3V(vs.Li
+/Li)以上2.0V(vs.Li
+/Li)以下である場合、集電体3に後述で例示されるアルミニウム等の金属が用いることができ、且つ、実用的な電池電圧を発現できる。
【0051】
リチウムイオンの挿入反応が0.3V(vs.Li
+/Li)以上2.0V(vs.Li
+/Li)以下で進行するとは、負極活物質へのリチウムイオン挿入が2.0V(vs.Li
+/Li)以下で開始し、0.3V(vs.Li
+/Li)以上で終了することである。一方、リチウムイオンの脱離反応が0.3V(vs.Li
+/Li)以上、2.0V(vs.Li
+/Li)以下で進行するとは、負極活物質からのリチウムイオン脱離が0.3V(vs.Li
+/Li)以上で開始し、2.0V(vs.Li
+/Li)以下で終了することである。
【0052】
リチウムイオン挿入・脱離反応の電圧値(vs.Li
+/Li)は、例えば、負極活物質を用いた動作極、リチウム金属を対極とした半電池の充放電特性を測定し、プラトー開始時、及び終了時の電圧値を読み取ることによって求めることができる。プラトーが2箇所以上あった場合は、もっとも低い電圧値のプラトーが0.3V(vs.Li
+/Li)以上であればよく、もっとも高い電圧値のプラトーが2.0V(vs.Li
+/Li)以下であればよい。半電池に用いる動作極、電解液、セパレータ7は後述のものと同様のものを用いることができる。
【0053】
リチウムイオンの挿入・脱離反応が0.3V(vs.Li
+/Li)以上2.0V(vs.Li
+/Li)以下で進行する負極活物質は、チタン酸リチウム、二酸化チタン、五酸化ニオブ、一酸化マンガン及び二酸化モリブデンなどが好ましく、負極活物質の安定性が高い点から、チタン酸リチウム、二酸化チタンがより好ましく、チタン酸リチウムがさらに好ましい。これら負極活物質は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0054】
チタン酸リチウムは、スピネル構造であることが好ましく、分子式としてLi
4Ti
5O
12で表されるものが好ましい。スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
チタン酸リチウムは、リチウム化合物、チタン化合物を500℃以上1500℃以下で加熱処理することによって得ることができる。500℃未満、又は1500℃より高いと、所望の構造をしたチタン酸リチウムを得ることができにくい傾向がある。チタン酸リチウムの結晶性を向上させるため、加熱処理後、再び500℃以上1500℃以下で再加熱処理してもよい。再加熱処理の温度は、最初におこなった温度と同じでもよいし、違っていてもよい。加熱処理は、空気存在下でもよいし、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスの存在下でおこなってもよい。加熱処理には、特に限定されないが、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
【0055】
リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、ハロゲン化リチウムなどを用いることができる。これらリチウム化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
チタン化合物としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、一酸化チタンなどのチタン酸化物を用いることができる。
【0056】
リチウム化合物、及びチタン化合物の配合比は、原料の性状や加熱条件によってリチウム、及びチタンの原子比、Ti/Li=1.25前後で多少の幅をもたせてもよい。
チタン酸リチウムの表面には、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
本発明において、正極活物質層及び/又は負極活物質層には導電助材を含有させてもよい。導電助材としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0057】
正極活物質層及び/又は負極活物質層に含まれる導電助材の量は、正極活物質又は負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。この範囲であれば、正極活物質層又は負極活物質層の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体3との接着性が十分に得ることができる。
【0058】
本発明において、正極活物質層及び/又は負極活物質層にはバインダーを含有させてもよい。特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは負極の作製しやすさから、非水溶媒又は水に、溶解又は分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0059】
正極活物質層及び/又は負極活物質層に含まれるバインダーの量は、正極活物質又は負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。範囲であれば、活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体3との接着性が十分に得ることができる。
正極活物質層/負極活物質層の作製方法としては、正極活物質/負極活物質、導電助材、及びバインダーの混合物を集電体3上に塗工することによって作製する方法が挙げられるが、作製方法の容易さから、混合物及び溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体3上に塗工した後に、溶媒を除去する作製方法が好ましい。
【0060】
スラリーの作製は、特に限定されないが、正極活物質/負極活物質、導電助材、バインダー、及び溶媒を均一に混合できることから、ボールミル、プラネタリミキサ、ジェットミル、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましい。スラリーの作製は、特に限定されないが、正極活物質/負極活物質、導電助材、及びバインダーを混合した後に溶媒を加えて作製してもよいし、正極活物質/負極活物質、導電助材、バインダー、及び溶媒を一緒に混合して作製してもよい。
【0061】
スラリーの固形分濃度は、30wt%以上80wt%以下であることが好ましい。30wt%未満の場合スラリーの粘度が低すぎる傾向があるため、一方、80wt%より高い場合はスラリーの粘度が高すぎる傾向があるため、後述の電極の形成が困難となる場合がある。
スラリーに用いる溶媒は、非水溶媒、あるいは水であることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
【0062】
集電体3上への正極活物質層/負極活物質層の形成は、特に限定されないが、例えばスラリーをドクターブレード、ダイコータ、コンマコータ等により塗布した後に、溶剤を除去する方法、あるいはスプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法が好ましい。溶媒を除去する方法は、オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が簡単であり好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては、空気、不活性ガス、真空状態などが挙げられる。また、溶媒を除去する温度は、特に限定されないが、60℃以上250℃以下であることが好ましい。60℃未満では溶媒の除去に時間を要する場合があり、250℃より高いと、バインダーが劣化する場合がある。
【0063】
正極活物質層/負極活物質層を生成した後、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。
集電体3は、0.3V(vs.Li
+/Li)よりも貴である雰囲気下で安定である金属が好ましく、Li
1+xM
yMn
2―x―yO
4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、Mは2〜13族でかつ第3〜4周期に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表される正極活物質、及びチタン酸リチウムのリチウムイオン挿入、脱離反応の電位に対する安定性が高いことから、アルミニウムであることが特に好ましい。アルミニウムは、正極及び負極の電極反応雰囲気下で安定であることから、特に限定されないが、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
【0064】
集電体3の表面粗度Raは、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。0.05μm未満であると、前述の正極及び負極との接着性が低下する場合があり、0.5μmより大きいと、前述の正極及び負極を均一に形成することが困難となる場合がある。なお、表面粗度Raは、光波干渉式表面粗さ測定器などを用いて測定できる。
集電体3の電気抵抗は、5μΩ・cm以下であることが好ましい。5μΩ・cmより高い場合は、電池の性能が低下する恐れがある。電気抵抗は、四端子法で測定することができる。
【0065】
集電体3の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満では作製の観点から取り扱いが困難となり、100μmより厚い場合は経済的観点から不利になる。
なお、集電体3は、アルミニウム以外の物質(銅、SUS、ニッケル、チタン、及びそれらの合金)の表面にアルミニウムを被覆したものも用いることもできる。
【0066】
セパレータ7は、特に限定されず、例えば織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。セパレータ7の材質は、特に限定されないが、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらを2種類以上複合したものが用いられる。セパレータ7には、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
【0067】
セパレータ7の厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満の場合、正極活物質層と負極活物質層との接触する場合があり、100μmより厚い場合は電池の抵抗が高くなる場合がある。経済性、取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。
セパレータ7の大きさと負極活物質層全体の面積との面積比は特に限定されないが、1≦F/E≦1.5を満たすことが好ましい(但し、Eは負極活物質層61,62,63,64全体の面積、Fはセパレータ7の面積を示す)。
【0068】
F/Eが1未満である場合は、正極活物質層と負極活物質層とが接触し、1.5より大きい場合は外装に要する体積が大きくなり、電池の出力密度が低下する場合がある。
電解液は、特に限定されないが、液体の溶媒に溶質を溶解させたものを用いることができる。溶媒は、例えば、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン、1,2−ジメトキシエタンなどを用いることができる。これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよいが、後述の溶質を溶解させやすさ、リチウムイオンの伝導性の高さから、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。また、電解液の代わりに、高分子に電解液をしみこませたゲル状電解質、ポリエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの高分子固体電解質、あるいは、サルファイドガラス、オキシナイトライドなどの無機固体電解質も用いることができる。
【0069】
溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO
4、LiBF
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiCF
3SO
3、LiN(SO
2CF
3)
2などは溶媒に溶解しやすいことから好ましい。電解液にふくまれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。0.5mol/L未満では所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合があり、一方、2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。
【0070】
電解液には、難燃剤、安定化剤などの添加剤が微量含まれてもよい。
絶縁封止材8は、外部からの水分、酸素などの浸透に対する密封性、耐熱性があることが好ましい。絶縁封止材8は、特に限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム及びその誘導体などを用いることができる。
【0071】
本発明の非水電解質二次電池は、集電体3、正極用電極2、負極用電極4、及びセパレータ7を含む積層体を作製した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、金属缶で外装してもよい。また、外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。電極単位の積層数は、所望の電圧値を発現するまで積層させることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、複数接続することによって組電池とすることができる。本発明の組電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって適宜直列、並列に接続することによって作製することができる。また、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。