【実施例】
【0035】
(比較例1)
改質されていないNaphthol Blue−Blackを含む転相インクの調製
600mLビーカーに、以下のものを加えた。26.7gのCrompton Corporationから市販されているKEMAMIDE S−180(ステアリルステアラミド)、18.72gのトリアミドワックス(米国特許第6,860,930号に記載されているようなトリアミド)、80.69gのBaker Petrolite製のポリワックス(平均ピーク分子量が約350〜約730グラム/モルであり、多分散性が約1.03〜約3.0であり、高分子量末端の方へ偏った非対称な分子量分布を有する、米国特許第7,407,539号に記載されるようなポリエチレンワックス)、18.72gのArakawa Corporationから市販されているKE−100樹脂、3当量のステアリルイソシアネートおよびグリセロール系アルコールの付加物であるウレタン樹脂1.6
g(米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されるように調製)、0.2
gのCrompton Corpから入手可能なNaugard−445(酸化防止剤)、8gのLubrizol Corporationから市販されているSOLSPERSE 17000。
【0036】
この材料をオーブン中、120℃で溶融させ、次いで、Union Processから入手可能なUnion Process 01アトライタに移し、さらに120℃まで加熱し、Hoover Precision Productsから入手可能な440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球1800gを入れた。このアセンブリに加熱したインペラを接続した。この混合物に、4.8gのNaphthol Blue−Blackをゆっくりと加えた。インペラの速度を、インペラの周速度が約150cm/秒になるように上げていき、この状態でアトライタを18時間動かし続けた。ふるいで分けることによって鋼鉄ショットを除去した後、得られたインクは強いゲルを形成し、濾過によって評価することはできなかった。
【0037】
(実施例1および実施例2)
本実施形態の転相インクの調製
着色剤(Naphthol Blue−Black、Nitrazine Yellow)、N,N−ジメチル
−N,N−ジオクタデシル
アンモニウムブロミドをSigma Aldrichから購入した。改質されたNaphthol Blue−BlackおよびNitrazine Yellowの化合物は、市販の着色剤と、N,N−ジメチル
−N,N−ジオクタデシル
アンモニウムブロミドとを、着色剤と臭化アンモニウムの比率1:2で反応させることによって調製された。反応は、水中、80℃で非常にすばやく進行し、得られた不溶性化合物を、ガラスフリットを用いた濾過によって単離した。
【0038】
(実施例1)
改質されたNaphthol Blue−Blackを含む転相インク1の調製
600mLビーカーに、以下のものを加えた。26.7gのCrompton Corporationから市販されているKEMAMIDE S−180(ステアリルステアラミド)、18.72gのトリアミドワックス(米国特許第6,860,930号に記載されているようなトリアミド)、80.69gのBaker Petrolite製のポリワックス(平均ピーク分子量が約350〜約730グラム/モルであり、多分散性が約1.03〜約3.0であり、高分子量末端の方へ偏った非対称な分子量分布を有する、米国特許第7,407,539号に記載されるようなポリエチレンワックス)、18.72gのArakawa Corporationから市販されているKE−100樹脂、3当量のステアリルイソシアネートおよびグリセロール系アルコールの付加物であるウレタン樹脂2.56g(米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されるように調製)、0.2
gのCrompton Corpから入手可能なNaugard−445(酸化防止剤)、8gのLubrizol Corporationから市販されているSOLSPERSE 17000。
【0039】
この材料をオーブン中、120℃で溶融させ、次いで、Union Processから入手可能なUnion Process 01アトライタに移し、さらに120℃まで加熱し、Hoover Precision Productsから入手可能な440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球1800gを入れた。このアセンブリに加熱したインペラを接続した。この混合物に、4.8gのNaphthol Blue−Blackをゆっくりと加えた。インペラの速度を、インペラの周速度が約150cm/秒になるように上げていき、この状態で、容器の上部にあるステンレス鋼球が互いに穏やかに回転し始めるように、アトライタを18時間動かし続けた。鋼鉄ショットをふるい分けによって除去し、次いで、Gerard Daniel Worldwideから入手可能な5ミクロンのステンレス鋼メッシュフィルタで濾過することによって、結果としてインクが得られた。インクは、Rheometrics RFS−3レオメーターによって、円錐形および平板形状に合わせて周波数モードで測定される場合、115℃での複素粘度は13.6cPであった。
【0040】
(実施例2)
改質されたNitrazine Yellowを含む転相インク2の調製
1000mLビーカーに、以下のものを加えた。53.4gのCrompton Corporationから市販されているKEMAMIDE S−180(ステアリルステアラミド)、37.44gのトリアミドワックス(米国特許第6,860,930号に記載されているようなトリアミド)、161.38gのBaker Petrolite製のポリワックス(平均ピーク分子量が約350〜約730グラム/モルであり、多分散性が約1.03〜約3.0であり、高分子量末端の方へ偏った非対称な分子量分布を有する、米国特許第7,407,539号に記載されるようなポリエチレンワックス)、18.72gのArakawa Corporationから市販されているKE−100樹脂、3当量のステアリルイソシアネートおよびグリセロール系アルコールの付加物であるウレタン樹脂5.12g(米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されるように調製)、0.2
gのCrompton Corpから入手可能なNaugard−445(酸化防止剤)、16gのLubrizol Corporationから市販されているSOLSPERSE 17000。
【0041】
この材料をオーブン中、120℃で溶融させ、次いで、Union Processから入手可能なUnion Process 01アトライタに移し、さらに120℃まで加熱し、Hoover Precision Productsから入手可能な440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球1800gを入れた。このアセンブリに加熱したインペラを接続した。この混合物に、化合物で改質されたNitrazine Yellow12gをゆっくりと加えた。インペラの速度を、インペラの周速度が約150cm/秒になるように上げていき、この状態で、容器の上部にあるステンレス鋼球が互いに穏やかに回転し始めるように、アトライタを18時間動かし続けた。鋼鉄ショットを除去した後に、ふるい分けをして、Gerard Daniel Worldwideから入手可能な5ミクロンのステンレス鋼メッシュフィルタを通して濾過することによって、結果としてインクが得られた。インクは、Rheometrics RFS−3レオメーターによって、円錐形および平板形状に合わせて周波数モードで測定される場合、115℃での複素粘度は10.2cPであった。
【0042】
(比較例2)
実施例1と同様にインクを作成したが、但し、着色剤は、Clariant Corporationから入手可能なPigment Red 176であった。この顔料インクを、Lubrizol Corporationから入手可能な顔料共力剤SOLSPERSE 22000の助けを借りつつ分散させた。
【0043】
(比較例3)
実施例1と同様にインクを作成したが、但し、着色剤は、Toyo inkから入手可能なPigment Red 122であった。この比較例の顔料インクを、以下の構造を有するカスタムキナクリドン共力剤(Q−syn−1)の助けを借りつつ分散させた。
【化3】
【0044】
式中、nは1〜4であり、Xは任意の金属、アルキル四級アンモニウムまたはアリール四級アンモニウムであり、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ同じであるか、または異なっており、それぞれ、H、CH
3、OCH
3またはClである。
【0045】
(比較例4)
実施例1と同様にインクを作成したが、但し、着色剤は、Clariant Corporationから入手可能なPigment Red 185であった。この顔料インクを、Lubrizol Corporationから入手可能な顔料共力剤SOLSPERSE 22000の助けを借りつつ分散させた。
【0046】
(印刷試験の結果)
液垂れおよびしみ
以前に述べたように、インクの液垂れは、パージサイクル中にかけられた圧力がなくなった後に、所与の印刷ヘッドのノズルを通って、制御不可能で変わらない量のインクが流れ続ける場合に生じる、望ましくない現象である。また、しみも望ましくない現象であり、何回かのパージ/拭き取りサイクルの後であっても、潜在的なインクのすべて、または一部分が印刷ヘッドに残る。試験インクの液垂れに対する抵抗性を評価するために、このインクを印刷ヘッド内で試験した。試験が終わった後に、印刷ヘッドにインク基材を流すことによって十分にクリーニングした。
【0047】
リファレンスインク基剤の液垂れを生じさせる、加えられた圧力を測定し、圧力ゲージで測定する場合、2.1〜2.8水柱インチの範囲であった。これらの値は、ある程度、種々の印刷ヘッドで行われた試験歴によってかわったが、望ましい加えられる圧力の基準である約1.5水柱インチよりも大きいとき、リファレンスインク基剤のすべてが液垂れした。この例で、液垂れ圧を、Omega Engineering,Inc.(スタンフォード、コネチカット)から入手可能なモデル番号DPIS8型の加圧トランスデューサで測定し、マノメーターに対して較正した。しかし、他の種類の加圧トランスデューサを用いて液垂れ圧を測定してもよい。
【0048】
所与の試験インクの液垂れ圧閾値を、まず、インク基剤について用いられる範囲の圧力をかけることによって決定した。液垂れが観察されたら、その試験インクの液垂れ圧閾値は、圧力を徐々に減らしていくことによって決定されるだろう。また、所与の試験インクのΔ液垂れ圧は、リファレンスインク基剤と試験インクサンプルの液垂れ圧閾値の測定値の差によって算出した。
Δ(液垂れ圧)=液垂れ圧(サンプル)−液垂れ圧(リファレンス)
【0049】
したがって、市販の基剤(コントロールとする)に対し、負の異なる水柱インチの液垂れ圧を有する試験インクは、典型的には、プリンタで用いられる、低い圧力がかけられると液垂れした。表1は、液垂れおよびしみの試験結果を示す。
【0050】
(バンディング)
顔料インクのバンディングは、望ましくない印刷の特徴であり、これ自体が、印刷したページ全体にわたって、目立たないが、光学密度が変動していることをあらわしている。この事象の主な理由は、顔料インクが経時変化するにつれて、印刷ヘッドに付着する顔料粒子のレベルがさまざまであるためである。試験インクのバンディングの評価を利用し、そのインクの印刷ヘッドでの安定性に関する予備的な情報を得る。
【0051】
バンディング試験は、インクを印刷ヘッド内で、118℃で72時間維持することからなる。まず、印刷ヘッドにきれいなインク基剤を十分に流し、以前の試験インクをすべて、または少なくとも大部分除去し、インク同士の望ましくない相互汚染の可能性をなくすか、または少なくとも最低限にする。プリンタに試験インクを入れたら、100%の完全な密度の塗りつぶし印刷を適切な基板上で行う。この場合、Xerox Digital Color Xpressions Plus Copy紙を使用し、試験終了時に採取した同じ紙の上で同じ目的物から作成した印刷物と比較し、この時点で、試験インクは、プリンタ内で一定時間(例えば、118℃で3日間)放置された状態であった。塗りつぶされたものの濃度一貫性の適切な測定値は光学密度であり、別個の間隔で測定することによって(例えば、1ミリメートル間隔での一連の測定)決定することができる。ページ全体にわたって一貫性のある光学密度の測定値のために(例えば、印刷処理方向に対して垂直方向)、測定した光学密度の標準偏差の割合は、できる限り低くなければならない。印刷画像の平均光学密度は、以下の式から算出されるように、印刷したページ全体にわたって測定した種々の個々の光学密度の算術平均であると定義され、
【数1】
ここで、
【数2】
は、測定された光学密度の平均であり、iは、個々の光学密度測定位置であり、x
iは、個々の光学密度測定結果であり、nは、行った光学密度測定の回数である。測定した光学密度の標準偏差は、無作為な概算値として、以下の式から算出され、
【数3】
ここで、sは、測定された光学密度の標準偏差であり、
【数4】
は、測定された光学密度の平均であり、iは、個々の光学密度測定位置であり、x
iは、個々の光学密度測定結果であり、Nは、行った光学密度測定の回数である。したがって、測定された光学密度の変動係数、すなわち、バンディングCVは、以下の式から算出される。
【数5】
印刷物の光学密度は、周囲条件下、GretagMacBeth ColorEye(登録商標)7000A分光光度計、D50光源、2°観測器、ANSI Status A応答によって測定した。インクのバンディングが存在しない場合、理想的には、2個の印刷物で、視覚的に区別可能な差がないはずである。
【表1】
【0052】
図3Aおよび
図3Bは、118℃で0日め(
図3A)および3日後(
図3B)の実施例1のインク1のバンディング試験ページを示す。
図3Bは、3日後の最初の印刷のバンディング試験を示しており、印刷ヘッドノズルの大部分が、印刷物全体にわたって合理的で均一な光学密度を与えているため、最適化されていないインクの安定性が良好であることを示している。
図4Aおよび
図4Bは、118℃で0日め(
図4A)および3日後(
図4B)の実施例2のインク2のバンディング試験ページを示す。
図4Bは、3日後の最初の印刷のバンディング試験を示しており、印刷ヘッドノズルの大部分が、印刷物全体にわたって合理的で均一な光学密度を与えているため、最適化されていないインクの安定性が良好であることを示している。
【0053】
図5Aおよび
図5Bは、118℃で0日め(
図5A)および17時間後(
図5B)の比較例4のインク3のバンディング試験ページを示す。
図5Bは、17時間後の最初の印刷のバンディング試験を示しており、いくつかの印刷ヘッドノズルが、動いていないか、および/または着色剤が少量存在するか、まったく存在しないため、インクの安定性が悪いことを示しており、このことは、118℃で、印刷ヘッド内にインクを放置している間に顔料粒子が付着したことを示している。
【0054】
表1は、バンディングの結果をまとめたものであり、最もよいバンディング結果が、印刷したページ全体にわたって、光学密度が全体的に最も低い変動であることを示す。