特許第5798515号(P5798515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5798515排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798515
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20151001BHJP
   F01N 3/02 20060101ALI20151001BHJP
   F01N 13/10 20100101ALI20151001BHJP
   F01N 3/023 20060101ALI20151001BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20151001BHJP
   F01N 3/029 20060101ALI20151001BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   F01N3/28 301V
   F01N3/02 301Z
   F01N13/10
   F01N3/02 321B
   F01N3/24 E
   F01N3/24 F
   F01N3/24 T
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-55409(P2012-55409)
(22)【出願日】2012年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-189894(P2013-189894A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2014年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】高見 雅保
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−163339(JP,A)
【文献】 特開2010−071177(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142058(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/026864(WO,A1)
【文献】 特開2003−254058(JP,A)
【文献】 特開2012−071743(JP,A)
【文献】 特開2012−072723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
F01N 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ配列方向を前後方向、前後方向と交差するシリンダヘッド(1)の幅方向を横方向とし、シリンダヘッド(1)の横一側に排気マニホルド(2)を取り付け、排気マニホルド(2)の上方に前後方向に向けた排気処理装置(3)を配置し、この排気処理装置(3)をステー(4)でエンジン本体(5)に取り付けた、排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジンにおいて、
排気マニホルド(2)の前後方向中央部に合流排気出口(6)を設け、排気処理装置(3)の前後方向一端側に排気入口ケース(7)を設けるに当たり、
排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)の上部に過給機(8)を取り付け、過給機(8)の排気タービン(9)から排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)に向けて排気導出管(10)を導出し、過給機(8)と排気導出管(10)とを介して排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)と排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)とを連通させ、
排気導出管(10)の導出端部に導出端フランジ(11)を設け、この導出端フランジ(11)に排気入口ケース(7)の入口フランジ(12)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)を排気導出管(10)に支持させるとともに、
排気処理装置(3)の前後方向他端側に排気出口ケース(13)を設け、この排気出口ケース(13)側で排気処理装置(3)に前記ステー(4)を連結し、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に前記ステー(4)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気出口ケース(13)側の部分を前記ステー(4)で排気導出管(10)に連通させ、
前記ステー(4)の一端部を、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に取り付けるとともに、前記ステー(4)の他端部を、シリンダヘッド(1)に取り付けたサーモスタットケース(14)の冷却水出口フランジ(15)に取り付けた、ことを特徴とする排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジンに関し、詳しくは、排気処理装置の構造を簡素化することができる、排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排気処理装置付き多気筒エンジンとして、シリンダヘッドの横一側に排気マニホルドを取り付け、排気マニホルドの上方に前後方向に向けた排気処理装置を配置し、この排気処理装置をステーでエンジン本体に取り付けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種の排気処理装置付き多気筒エンジンによれば、排気処理装置をエンジン本体と一体で機械に搭載できるため、機械への排気処理装置の搭載が容易になる利点がある。
しかし、この従来技術では、排気マニホルドの前後方向中央部に合流排気出口を設け、排気処理装置の前後方向一端側に排気入口ケースを設けるに当たり、排気処理装置に前後方向に沿う排気導入通路を一体形成し、この排気導入通路を介して排気マニホルドの合流排気出口と排気処理装置の排気入口ケースとを連通させているため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−71177号公報(図15参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
《問題》 排気処理装置の構造が複雑になる。
排気処理装置に前後方向に沿う排気導入通路を一体形成するため、排気処理装置の構造が複雑になる。このため、排気処理装置の製作が困難になる。
【0005】
本発明の課題は、排気処理装置の構造を簡素化することができる、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
シリンダ配列方向を前後方向、前後方向と交差するシリンダヘッド(1)の幅方向を横方向とし、図1図3に例示するように、シリンダヘッド(1)の横一側に排気マニホルド(2)を取り付け、排気マニホルド(2)の上方に前後方向に向けた排気処理装置(3)を配置し、この排気処理装置(3)をステー(4)でエンジン本体(5)に取り付けた、排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジンにおいて、
図1図3に例示するように、排気マニホルド(2)の前後方向中央部に合流排気出口(6)を設け、排気処理装置(3)の前後方向一端側に排気入口ケース(7)を設けるに当たり、
図1図3に例示するように、排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)の上部に過給機(8)を取り付け、過給機(8)の排気タービン(9)から排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)に向けて排気導出管(10)を導出し、過給機(8)と排気導出管(10)とを介して排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)と排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)とを連通させ、
図1図4に例示するように、排気導出管(10)の導出端部に導出端フランジ(11)を設け、この導出端フランジ(11)に排気入口ケース(7)の入口フランジ(12)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)を排気導出管(10)に支持させるとともに、
排気処理装置(3)の前後方向他端側に排気出口ケース(13)を設け、この排気出口ケース(13)側で排気処理装置(3)に前記ステー(4)を連結し、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に前記ステー(4)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気出口ケース(13)側の部分を前記ステー(4)で排気導出管(10)に連通させ、
前記ステー(4)の一端部を、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に取り付けるとともに、前記ステー(4)の他端部を、シリンダヘッド(1)に取り付けたサーモスタットケース(14)の冷却水出口フランジ(15)に取り付けた、ことを特徴とする排気処理装置付きの立形直列多気筒エンジン。
【発明の効果】
【0007】
(請求項1に係る発明)
請求項1に係る発明は、次の効果を奏する。
《効果》 排気処理装置の構造を簡素化することができる。
図1図3に例示するように、排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)の上部に過給機(8)を取り付け、過給機(8)の排気タービン(9)から排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)に向けて排気導出管(10)を導出し、過給機(8)と排気導出管(10)とを介して排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)と排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)とを連通させたので、排気処理装置(3)に排気導入通路を一体形成する必要がなく、排気処理装置(3)の構造を簡素化することができる。このため、排気処理装置(3)の製作が容易になる。
【0008】
《効果》 排気処理装置の変形を防止することができる。
図1図3に例示するように、排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)を排気導出管(10)に支持させるとともに、排気処理装置(3)の排気出口ケース(13)側の部分を前記ステー(4)で排気導出管(10)に連結させたので、排気タービン(9)の振動が排気導出管(10)とステー(4)とを介して排気入口ケース(7)と排気出口ケース(13)側の部分に伝達され、排気入口ケース(7)と排気出口ケース(13)側の部分の振動が同調しやすい。このため、排気入口ケース(7)と排気出口ケース(13)側の部分の振動の不調和によって生じる排気処理装置(3)の変形を防止することができる。
【0009】
《効果》 排気処理装置がエンジン本体に強固に支持される。
図1図3に例示するように、前記ステー(4)の一端部を、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に取り付けるとともに、前記ステー(4)の他端部を、シリンダヘッド(1)に取り付けたサーモスタットケース(14)の冷却水出口フランジ(15)に取り付けたので、前記ステー(4)を介して排気処理装置(3)がエンジン本体(5)に強固に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る排気処理装置付きディーゼルエンジンを排気側の斜後から見た要部斜視図である。
図2図1のエンジンを排気側から見た要部側面図である。
図3図1のエンジンを排気側から見たエンジン上半部の側面図である。
図4図1のエンジンを吸気側から見た要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図4は本発明の実施形態に係る排気処理装置付き多気筒エンジンを説明する図であり、この実施形態では、排気処理装置付き多気筒ディーゼルエンジンについて説明する。
このエンジンは、DPF排気処理装置付きの立形水冷の直列4気筒ディーゼルエンジンである。
シリンダ配列方向を前後方向、前後方向と交差するシリンダヘッド(1)の幅方向を横方向とする。
図3に示すように、シリンダブロック(16)の上部にシリンダヘッド(1)を組み付け、シリンダヘッド(1)の上部にヘッドカバー(17)を組み付けている。
シリンダヘッド(1)の前部にはエンジン冷却ファン(18)を配置し、シリンダブロック(16)の後部にはフライホイールハウジング(19)を配置している。
【0012】
図3に示すように、シリンダヘッド(1)の横一側に排気マニホルド(2)を取り付け、排気マニホルド(2)の上方に前後方向に向けた排気処理装置(3)を配置し、この排気処理装置(3)をステー(4)でエンジン本体(5)に取り付けている。
【0013】
図1図3に示すように、排気マニホルド(2)の前後方向中央部に合流排気出口(6)を設け、排気処理装置(3)の前後方向一端側(後側)に排気入口ケース(7)を設けるに当たり、次のようにしている。
図1図3に示すように、排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)の上部に過給機(8)を取り付け、過給機(8)の排気タービン(9)から排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)に向けて排気導出管(10)を導出し、過給機(8)と排気導出管(10)とを介して排気マニホルド(2)の合流排気出口(6)と排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)とを連通させている。
排気導出管(10)は排気タービン(9)の後端部からヘッドカバー(17)側の横斜上向きに導出されている。
過給機(8)は、後側の排気タービン(9)と前側のコンプレッサ(37)とを備え、コンプレッサ(37)の吸気入口(38)には吸気ダクト(39)を接続し、コンプレッサ(37)の圧縮空気出口(40)には過給パイプ(41)を介して図4の吸気マニホルド(42)を連通させている。
【0014】
図1図3に示すように、排気導出管(10)の導出端部に導出端フランジ(11)を設け、この導出端フランジ(11)に排気入口ケース(7)の入口フランジ(12)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気入口ケース(7)を排気導出管(10)に支持させるとともに、排気処理装置(3)の前後方向他端側(前側)に排気出口ケース(13)を設け、この排気出口ケース(13)側で排気処理装置(3)に前記ステー(4)を連結し、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に前記ステー(4)を載せて取り付けることにより、排気処理装置(3)の排気出口ケース(13)側の部分を前記ステー(4)で排気導出管(10)に連結させている。
導出端フランジ(11)は、水平な姿勢になっている。
【0015】
図1図3に示すように、前記ステー(4)の一端部(後端部)を、排気導出管(10)の導出端フランジ(11)に取り付けるとともに、前記ステー(4)の他端部(前端部)を、シリンダヘッド(1)に取り付けたサーモスタットケース(14)の冷却水出口フランジ(15)に取り付けている。
サーモスタットケース(14)は、シリンダヘッド(1)の前端部に配置されている。
【0016】
図1図3に示すように、排気入口ケース(7)の周壁から径方向外側に向けて入口パイプ(20)を導出し、この入口パイプ(20)の導出端に入口フランジ(12)を設けている。排気入口ケース(7)内にはDOC(21)を収容している。
排気入口ケース(7)と排気出口ケース(13)との間にはDPF収容ケース(22)を配置し、DPF収容ケース(22)内にDPF(23)を収容している。
排気出口ケース(13)の周壁から径方向外側に向けて出口パイプ(24)を導出し、この出口パイプ(24)の導出端に出口フランジ(25)を設けている。
出口フランジ(25)には、排気ダクト(26)の入口フランジ(27)を接続している。
DOCはディーゼル酸化触媒の略称、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略称である。DPF(23)では、排気中に含まれるPM(粒子状物質)を捕捉し、排気を浄化する。
排気入口ケース(7)と排気出口ケース(13)とはDPF収容ケース(7)にケース連結部(28)(29)で連結している。
【0017】
ステー(4)は、水平基板(30)と、水平基板(30)の後端寄りに設けられた後端側起立板(31)と、水平基板(30)の前端に設けられた前端側起立板(32)とで構成され、水平基板(30)の後端部を排気導出管(10)の導出端フランジ(11)の上に載せて取り付け、水平基板(30)の前端部を冷却水出口フランジ(15)の上に載せて取り付けている。また、水平基板(30)の前端部の支持は、シリンダヘッド(1)に取り付けた補強ステー(33)で補強している。
そして、後端側起立板(31)に後側のケース連結部(28)の取付片(28a)を取り付け、前端側起立板(32)に前側のケース連結部(29)の取付片(29a)を取り付けている。
【0018】
図1図3に示すように、排気処理装置(3)は、DPF(23)の上流側と下流側の差圧を検出する差圧センサ(34)と、DPF(23)の上流側の排気温度を検出するDPF上流側温度センサ(35)と、図4に示すように、DOC(2)の上流側の排気温度を検出するDOC上流側温度センサ(36)とを備えている。
差圧センサ(35)と、DPF上流側温度センサ(35)と、DOC上流側温度センサ(36)とはエンジンECU(図外)を介してコモンレール式燃料噴射装置(図外)に連携させている。
【0019】
この排気処理装置では、差圧センサ(34)で検出した差圧、DPF上流側温度センサ(35)で検出したDPF上流側排気温度、燃料噴射量等を用いて、エンジンECUが、実験的に求められたPM堆積量の推定マップに基づいて、DPF(23)のPM堆積量を推定し、PM堆積量が所定の再生必要値に至ったら、エンジンECUがメイン噴射後のポスト噴射により排気中に未燃燃料を供給し、この未燃燃料を排気中の酸素によりDOC(21)で触媒燃焼させ、排気温度を昇温させ、この排気の熱でDPF(23)に堆積したPMを焼却除去し、DPF(23)の再生を図る。
なお、DOC上流側温度センサ(36)で測定したDOC上流側排気温度がDOC(21)の活性化温度よりも低い場合には、エンジンECUがポスト噴射を停止する。
【符号の説明】
【0020】
(1) シリンダヘッド
(2) 排気マニホルド
(3) 排気処理装置
(4) ステー
(5) エンジン本体
(6) 合流排気出口
(7) 排気入口ケース
(8) 過給機
(9) 排気タービン
(10) 排気導出管
(11) 導出端フランジ
(12) 入口フランジ
(13) 排気出口ケース
(14) サーモスタットケース
(15) 冷却水出口フランジ
図1
図2
図3
図4