(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798567
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ファイバートレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20151001BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
G02B6/46
H02G11/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-538883(P2012-538883)
(86)(22)【出願日】2010年11月9日
(65)【公表番号】特表2013-511069(P2013-511069A)
(43)【公表日】2013年3月28日
(86)【国際出願番号】US2010055963
(87)【国際公開番号】WO2011059955
(87)【国際公開日】20110519
【審査請求日】2013年11月6日
(31)【優先権主張番号】12/941,489
(32)【優先日】2010年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/260,680
(32)【優先日】2009年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507202736
【氏名又は名称】パンドウィット・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・チュン・イン・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ジェー・ドンネル
(72)【発明者】
【氏名】ディビッド・シー・キリンスキス
【審査官】
里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−164224(JP,A)
【文献】
米国特許第05127082(US,A)
【文献】
国際公開第2009/032245(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/46
A47B 77/00−77/13
A47B 83/00−88/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバー分配を管理するための、ファイバートレイであって、
前記ファイバートレイは、
ラックに固定されるように適合されたハウジングであって、前記ハウジングは、滑り機構を備える内側側面を含み、前記滑り機構が、前記ハウジングの前記内側側面それぞれの長手方向に延在していると共に、前記内側側面それぞれに直線経路と垂直経路と湾曲経路とを備えている、前記ハウジングと、
前記ハウジング内に受容される引き出しであって、前記引き出しは、底面、第1側面、第2側面、前面、および背面を含み、前記第1側面および前記第2側面が、前記直線経路、前記垂直経路、及び前記湾曲経路の内部で滑動するためのピンを有する、前記引き出しと、を含んでおり、
前記直線経路が、前記長手方向に延在していると共に、第1端部及び第2端部を含んでおり、
前記湾曲経路が、第1開放端部及び第2端部を含んでおり、
前記垂直経路が、前記長手方向に対して垂直とされる方向において、前記直線経路の前記第1端部又は前記第2端部と前記湾曲経路の前記第2端部とに接続されている、ファイバートレイ。
【請求項2】
前記湾曲経路が、C形状の経路である、請求項1に記載のファイバートレイ。
【請求項3】
前記滑り機構が、前記ハウジングからの前記引き出しの取り外しおよび配置を制御するための、前記湾曲経路の前記第1端部での突起を更に含む、請求項1に記載のファイバートレイ。
【請求項4】
前記滑り機構が前記引き出しを完全に延伸させる場合に前記引き出しを停止させるための、一次的停止壁部と、前記引き出しが前記湾曲経路に尚早に入り込むことを防止するための、二次的制止壁部とを、前記直線経路の前記第1端部及び前記第2端部それぞれに含む、請求項1に記載のファイバートレイ。
【請求項5】
前記一次的停止壁部、前記二次的制止壁部、および前記湾曲経路が、前記引き出しの移動を制御および維持する、請求項4に記載のファイバートレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の説明
本出願は、2009年11月12日に出願された米国仮特許出願第61/260,680号への優先権を主張し、その主題は、参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ファイバートレイに関し、より詳細には、ファイバートレイ内の引き出しのための滑り機構に関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバートレイは、スペースが限られている領域内でのファイバー分配を、管理および編成するように設計される。ファイバートレイは、ラック上に設置されるハウジングを含む。引き出しがハウジングから延伸し、その引き出し内に経路付けされるケーブルへのアクセスを提供する。しかしながら、引き出し上に設置されるファイバーおよびファイバー管理付属品の重量のために、完全に設置された引き出しは、延伸位置に維持することが困難である。また、確実に停止しない引き出しは、引き出しが非意図的に取り外された場合には、ファイバーへの損傷を引き起こす恐れもある。それゆえ、延伸位置に維持することが可能な引き出しを、設置することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの場合、ケーブル管理のために引き出しを取り外し、再び引き出しを設置することが必要である。ある引き出しは、取り外しが困難であるか、または永久的にハウジングに取り付けられており、この場合、ファイバーの設置のための十分なスペースが提供されない。それゆえ、引き出しが、ハウジングから容易に取り外され、かつハウジング内に容易に再設置されることもまた、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ファイバー分配を管理および編成する、ファイバートレイが開示される。このファイバートレイは、ハウジング、およびハウジング内に受容される引き出しを含む。ハウジングは、ラックに固定される。ハウジングは、滑り機構を備える内側側面を含み、この滑り機構は、各内側側面の長さに延在する。滑り機構は、第1端部および第2端部を含む。滑り機構はまた、第1端部および第2端部の一方に配置された、少なくとも1つの湾曲経路も含む。引き出しは、底面、第1側面、第2側面、前面、および背面を含む。この引き出しの第1側面および第2側面は、滑り機構内部で滑動するピンを有する。滑り機構は、後退位置と、完全に延伸した保守位置との間で、引き出しが滑動することを可能にする。滑り機構はまた、引き出しをハウジングから取り外し、かつハウジング内に再設置することも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ラックの一区域上に設置されたファイバートレイの斜視図である。
【
図2】引き出しがハウジングから完全に延伸した状態の、
図1のファイバートレイの斜視図である。
【
図3】ハウジングの上面が取り外された状態の、
図2の引き出し及びハウジングの斜視図である。
【
図4A】
図3のハウジングの内側側面上に設置される、本発明の滑り機構の側面斜視図である。
【
図4B】
図3の引き出しの側面の部分斜視図である。
【
図5】ハウジングの上面が取り外された状態の、
図1のハウジング内に設置された引き出しの上面図である。
【
図6】
図5の線6−6に沿った、ハウジング内に設置された引き出しの断面図である。
【
図7】延伸位置での、
図5の引き出しの断面図である。
【
図8】保守位置での、
図5の引き出しの断面図である。
【
図9】ヒンジピンが、滑り機構内の一次的停止壁部に係合している状態の、
図8の引き出しの詳細図である。
【
図10】ヒンジピンが、滑り機構の湾曲経路の第2端部にある状態の、
図9と同様の引き出しの詳細図である。
【
図11】ヒンジピンが、滑り機構の湾曲経路の第1端部にある状態の、
図9と同様の引き出しの詳細図である。
【
図12】ハウジングから取り外された、
図9の引き出しの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1〜
図3は、ラック30に固定されたハウジング32を含んだ、ファイバートレイ20を示している。引き出し40が、ハウジング32から延伸する。引き出し40は、底面42、右側又は第1側面44、左側又は第2側面46、前面48、および開放後部又は背面50を有する、金属板の引き出しである。引き出し40の各側面44、46は、ヒンジピン52を含んでいる。
図4Bに示すように、ヒンジピン52は、引き出し40の各側面44、46の後部50付近に位置している。各ヒンジピン52は、自己締付ヒンジピンである。
【0008】
図3に示すように、滑り機構60は、ハウジング32の内側側面36に沿って配置されている。滑り機構60は、締結具38によって、ハウジング32の内側側面36に固定されている。滑り機構60は、引き出し40が、後退位置と、完全に延伸した保守位置と、の間で滑動することを可能にしている。滑り機構60はまた、必要に応じて、引き出し40を容易にハウジング32から取り外し、かつハウジング32内に再設置することも可能にする。
【0009】
図4Aに示すように、滑り機構60は、滑り機構60の各端部62、64に、一次的停止壁部66、二次的制止壁部68、および湾曲経路70を含んでいる。湾曲経路70は、概してC形状であり、第1開放端部72および第2端部74を有する。突起すなわち隆起部76が、湾曲経路70の第1開放端部72に配置されている。突起76は、引き出し40を、取り外す際、またはハウジング32内に設置する際に、制御するためのものである。
【0010】
垂直経路78が、湾曲経路70の第2端部74から直線経路80に延びている。直線経路80は、滑り機構60の各端部62、64において、滑り機構60内の湾曲経路70を連結した一次的停止壁部66から延びている。
【0011】
滑り機構60の一次的停止壁部66は、引き出し40がハウジング32から完全に延伸すると、引き出し40がハウジング32から取り外されることが可能となる前に、引き出し40を強制的に停止させる。二次的制止壁部68は、引き出し40が停止する前に、引き出し40が偶発的に湾曲経路70内に滑り込むことを防止している。概してC形状の湾曲経路70は、引き出し40の非意図的な移動を制限している。それゆえ、一次的停止壁部66、二次的制止壁部68、および湾曲経路70は、引き出し40の移動を制御および維持する機構を提供している。結果として、引き出し40を延伸位置または後退位置に維持するために、別個の係止機構は必要とされない。
【0012】
滑り機構60の対称性の特徴により、滑り機構60は、ハウジング32の左側面上または右側面上のいずれでも使用することが可能となっている。必要とされる滑り機構の設計が1つのみであるため、ファイバートレイ20内に滑り機構60を提供するコストは、低減される。
【0013】
図5および
図6は、後退位置での引き出し40を示している。引き出し40の側面44、46から延出したヒンジピン52は、滑り機構60の第2端部64で、直線経路80内に配置されている。
【0014】
図7は、完全に延伸した位置での引き出し40を示す。引き出し40の側面44、46から延出したヒンジピン52は、滑り機構60の第1端部62で、直線経路80内に配置されている。
図8および
図9に示すように、引き出し40が完全に延伸すると、引き出し40は、引き出し40に対する重力の影響により、保守位置へと下方向に傾斜して、定位置で係止する。ヒンジピン52は、一次的停止壁部66に係合して、引き出し40を停止させ、引き出し40が、滑り機構60から落下するか、または滑り出ることを防止する。
図8に示すように、引き出し40の底面42は、ハウジング32上で支えられる。
【0015】
図10〜
図12は、引き出し40が、ハウジング32から取り外されるところを示している。引き出し40を取り外すために、ユーザーは、ヒンジピン52が滑り機構60内の湾曲経路70を辿るように、引き出し40を導く。
【0016】
ハウジング32内へ引き出し40を設置するプロセスは、引き出し40の取り外しの逆である。ユーザーは、ヒンジピン52を、滑り機構60の湾曲経路70の第1端部72に揃えて並べる。次に、ヒンジピン52が湾曲経路70に沿って滑動するように、引き出し40を移動させて、ヒンジピン52を湾曲経路70の第2端部74に到達させる。その時点で、引き出し40は水平であり、ヒンジピン52は、滑り機構60の直線経路80内へと、垂直経路78を落下させる。次いで、引き出し40を、後退位置へと、直線経路80に沿ってハウジング32内へ押し戻すことができる。
【0017】
それゆえ、本発明の滑り機構60により、ハウジング32内の、引き出し40の取り外しおよび設置が容易になる.
【0018】
更には、本発明の特定の好ましい実施形態が図示され、説明されてきたが、本発明の教示から逸脱することなく、変更および修正を実施し得ることが、当業者には明白であろう。上述の説明および添付の図面に記載される事項は、単に例示としてのみ提供され、限定として提供されるものではない。本発明の実際の範囲は、以下の特許請求の範囲において、それらの適切な、従来技術に基づく観点から見た場合に、規定されるものとする。
【符号の説明】
【0019】
20 ・・・ファイバートレイ、 30 ・・・ラック、 32 ・・・ハウジング、 36 ・・・内側側面、 40 ・・・引出し、 42 ・・・底面、 44 ・・・第1側面、 46 ・・・第2側面、 48 ・・・前面、 50 ・・・後部、 52 ・・・ヒンジピン、 60 ・・・滑り機構、 62 ・・・第1端部、 64 ・・・第2端部、 66 ・・・一次的停止壁部、 68 ・・・二次的制止壁部、 70 ・・・湾曲経路、 76 ・・・突起、 78 ・・・垂直経路、 80 ・・・直線経路