【文献】
JOURNAL OF THERMAL ANALYSIS AND CALORIMETRY,1999年,Vol.55,p.885-893
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のグリセロール脱水システム、触媒、及び方法の幾つかの実施例を、
図1〜10を参照して説明する。まず、
図1を参照すると、流体接続された取入口14及び流体接続された排出口16を有する反応炉12を含むシステム10が示されている。実施例によれば、反応炉12及び/又は排出口16の一部の両方を反応ゾーンと考えることができる。反応炉12は、例えば、Inconel(登録商標)のような合金を含んでおり、合金及び/又はステンレス鋼材料のような比較的不活性の及び/又は安定した材料で構成することができる。反応炉は、例えば、ガラス、セラミック及び/又はチタンで構成することもできる。反応炉12の鋼構成材には、なおコーティングを施しても良い。例えば、鋼構成材は、Silcossteel(登録商標)及び/又はSiltek(登録商標)(Restek Corporation)で構成することができる。取入口14及び/又は排出口16は、反応炉と同一又は異なる材料で構成しても良い。また、反応炉12は、所定の温度をその中にある内容物に設定するように構成しても良い。
【0021】
図1及び3に表わされるように、提示したシステム内の材料の流れは底部から頂部に向かっている。
図2に表わされるように、材料の流れは頂部から底部に向かっている。請求した発明は、図面に表わされたものに限定されるべきではない。システムの幾つかの実施形態は、何れの構成からも利益を得られる。さらに、不活性パッキング又はトレー20がシステム反応炉の底部に提示されている。パッキングは反応炉の底部及び頂部の両方又は反応炉内部の任意の所望位置又は複数の位置に存在できるものと理解すべきである。
【0022】
反応炉12は、パッキング又はトレー20によって支持できる触媒18を収容することができる。反応炉12内部の触媒18は、リン酸又はリン酸塩成分が含まれる。幾つかの実施例によれば、触媒18はリン含有触媒と呼ばれても良い。触媒18のリン酸塩成分は、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、二リン酸塩、ポリリン酸塩及び/又はメタリン酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、触媒18のリン酸塩成分はリン酸二水素である。
【0023】
また、触媒18は、周期表の2〜12族の少なくとも1つ以上の金属及び/又はRb、K及びCsを含んでも良い。幾つかの実施例によれば、触媒18は、例えば、コバルト、Fe、K、Cs又はRbを含んでも良い。金属は、酸化状態の異なるものを供給しても良い。例えば、コバルトはコバルト(II)及び/又はコバルト(III)として供給しても良い。触媒のコバルトは、硝酸コバルト(II)六水和物及び/又は炭酸コバルトとして供給しても良い。金属とリン酸二水素との割合は約1:2としても良い。支持材はヒュームド支持材であっても良く、例えば、Si、Al、Ti及び/又はZrの1つ以上を含んでも良い。また、その他の安定した支持形態は、ガンマアルミナ、シリカ構造(SBA−16)又はその混合物等を使用しても良い。
【0024】
一実施例によれば、ヒュームド支持材を供給し、次に、支持材、リン酸塩材料(例えば、リン酸、P
2O
5及び/又は二塩基リン酸塩)、及び周期表の2〜12族の少なくとも1つ以上の金属及び/又はRb、K及びCsからなる混合物を調製することによって、触媒18を調製しても良い。支持材、リン酸塩材料及び周期表の2〜12族の少なくとも1つ以上の金属及び/又はRb、K及びCsからなる混合物を調製する前に、支持材を酸性溶液に曝す又は熱処理することができる。この酸性溶液は、例えば、硝酸が含まれ、別の実施例によれば、酸性溶液は少なくとも5%v/vの硝酸を備えることができ、酸性溶液に曝すことは、支持材への溶液の還流が含まれる。支持材の熱処理は、少なくとも800℃まで支持材を加熱することが含まれる。一実施例によれば、調製された支持材、リン酸塩及び金属混合物を乾燥させるか、又は少なくとも60℃〜800℃で熱処理することができる。
【0025】
幾つかの特定の実施例によれば、リン酸と金属の混合物を調製することができる。例えば、リン酸約2モルに対して硝酸コバルト(II)約1モルのモル比で、85%(wt/wt)溶液(Aldrich)のようなリン酸水溶液を硝酸コバルト(II)(Aldrich)と混合して、次に、水で希釈し、混合物を形成することができる。別の混合物を形成するために、ゲル化又はスラリー懸濁状態になるまで、この混合物には、ヒュームドシリカ(例えば、Cabot Hs−5合成、アモルファス、コロイド状高表面ヒュームドシリカ)のようなシリカを添加することができる(スラリー法)。固形混合物を形成するために、例えば、ロタバップ乾燥によって、この別の混合物を真空下において約60℃〜約80℃で乾燥させることができる。この固形混合物を熱処理して、次に、30〜70の篩目を使用して予備成形又は調製ペレットを縮小することによって、分粒することができる。Co(H
2PO
4)
2を含むバルク溶液を使用し、59.62gのCo(NO
3)
2×6H
2O、47.35gのH
3PO
4及び193.74gの水を添加することによって調製される触媒調製物のより詳細な実施例を以下に開示する。
【0026】
1つの触媒調製物は、100.23gの上記バルク溶液及び83.3302gのシリカゾル(Nalco 1034)を撹拌中に溶液への滴下が生じるように載置することによって、500mL丸底フラスコの中で調製することができる。シリカゾルの添加中には、溶液の外観が明るいピンク色から乳白状赤紫色に変化することがある。シリカゾルの添加後には、ゲル化(スラリー)を容易にするために、pHを9まで高めることができる。pH9でゲル化が生じなかった場合は、溶液をゲル化させるために、水をロータリーエバポレーションさせ、次に、乾燥するまで水を除去することができる。次に、触媒を熱処理工程中に乾燥させ、熱処理し、希望どおりにサイズを縮小することができる。
【0027】
別の触媒調製物は、100.24gの上記バルク溶液及び70.8379gのシリカゾル(Ludox AS−40)を撹拌中に溶液へ滴下が生じるように載置することによって、500mL丸底フラスコ中で調製することができる。シリカゾルの添加中には、溶液が明るいピンクから乳白状紫色に変化することがある。シリカゾルの添加後には、ゲル化(スラリー)を容易にするために、溶液を加熱することができる。ゲル化が生じなかった場合は、溶液をゲル化するために、水をロータリーエバポレーションさせ、次に、乾燥するまで水を除去することができる、そして、触媒を熱処理工程中に乾燥させ、熱処理し、所望のサイズに縮小することができる。
【0028】
さらに別の触媒調製物は、100.23gの上記バルク溶液及び28.3gのHS−5シリカ(Cabot)を載置することによって、500mL丸底フラスコ中で調製することができる。HS−5の添加中には、溶液がゲル化することがあり、均質な溶液(スラリー)を得るために、水を添加しても良い。溶液を一晩撹拌し、乾燥するまで水をロータリーエバポレーションさせる。次に、触媒を熱処理工程中に乾燥させ、熱処理し、サイズを縮小できる。
【0029】
また、触媒は、14.9gのHS−5シリカ(Cabot HS−5)を載置し、6.5gのCo(NO
3)
2−6H
2O、5.06gのH
3PO
4及び26.3gのH
2Oを含む溶液を滴下添加することによって、400mL瓶の中で調製することもできる。混合中には、初期湿潤度に達するまで、上記バルク溶液が滴下添加される(「初期湿潤度含浸」法 別名"IWI")。次に、溶液を乾燥するまでオーブンの中で一晩乾燥させることができる。次に、触媒を熱処理工程中に乾燥させ、熱処理し、所望のサイズに選択できる。
【0030】
別の実施形態によれば、Rb触媒を調製し、グリセロールのような多水酸基化合物の脱水に利用できる。実施例として、RbCO
3及びH
3PO
4を上述のHS−5ヒュームドシリカスラリーと併用することによって、RbH
2PO
4触媒を調製することができる。水はロータリーエバポレーションによって調整物から除去することができ、残りの固形物は乾燥させ、次に、600℃で4時間熱処理する。幾つかのさらに具体的な実施形態によれば、それぞれ9.99gのシリカ(HS−5ヒュームドシリカ)、3.22gの炭酸ルビジウム(Rb
2CO
3)及び4.63gのリン酸(H
3PO
4)を500mL瓶の中の100gの水に添加し、一晩撹拌することによって、その溶液を調製することができる。その場合、ある程度の量のCO
2が溶液から発生することがある。次に、溶液をロータリーエバポレータの上に載置して、水を除去することができる。残りの固形物は、熱処理の前に、乾燥室の中に一晩置くことができる。
【0031】
熱処理工程は、ロータリーエバポレーションされた混合物を0.5℃/分で100℃に加熱して、混合物をその温度に2時間維持して、その後に、混合物の温度を2℃/分で600℃に上昇させ、その温度を4時間維持し、次に、調製済触媒を得るために、サイズ縮小の前後に室温まで冷却することができる。
【0032】
図1を参照すると、石英及び/又はスチールウール(鋼綿)のようなパッキング20を反応炉12に備えることができる。パッキングは反応炉12内部での触媒の支持だけでなく、取入口材料及び排出口材料の両方のより一様分布も容易にできる。パッキング20自体は、反応炉12中に装入できる触媒18の上下両方に備えることができる。触媒18及びパッキング20の両方は、反応炉12によって定義された容量の略全てを費やすことができ、それによって、残りの空隙容量は殆どなくなる。さらに、必要に応じて、触媒は、石英又はアルファアルミナのような比較的不活性な材料によって希釈しても良い。幾つかの実施例によれば、比較的不活性な材料による触媒の希釈は、触媒床全体にわたって熱移動及び物質移動を向上できる。
【0033】
取入口14は、不図示の反応物リザーバ又は反応性混合物リザーバに連結することができる。取入口14は、反応炉12を反応物リザーバに連結する導管であると言うこともできる。生成物24を反応物22から形成するために、システム10は、反応物リザーバからの反応物を触媒18に曝すように構成することができる。反応物22を触媒18に曝す前に、触媒18は触媒反応を準備完了状態とすることができる。触媒18を触媒反応の準備完了状態にすることは、反応炉内部の触媒の温度を250℃〜350℃の間に維持しながら、取入口14を介して窒素及び/又は空気を触媒18に供給することを含むことになる。窒素及び/又は空気へ触媒を曝した後に、反応炉内部の触媒の温度を250℃〜350℃の間に維持しながら、取入口14を介して、触媒を水及び窒素及び/又は空気に曝すことができる。水は、この下準備段階中に触媒に曝されている混合物の約95%にすることができ、一方、窒素及び/又は空気は5%となる。触媒18の下準備後に、取入口14を介して、反応物22を触媒18に曝すことができる。
【0034】
反応物22は、混合物及び/又は純反応物流の形とすることができる。混合物としては、反応22は、1つ以上の多水酸基化合物、単一の多水酸基化合物、及び/又は、水のような希釈剤及び/又は窒素のような気体が挙げられる。反応物22は粗バイオ燃料生成物が挙げられる。反応物22は、例えば、グリセロールのような多水酸基化合物からなる。グリセロールはバイオ燃料生産時の副生成物を使用することができる。幾つかの実施例によれば、反応物22のグリセロールは、精製グリセロール及び/又は粗グリセロール副生成物の形であっても良い。反応物22は、3%〜70%(wt/wt)、約8%〜10%(wt/wt)、約25%〜30%(wt/wt)の量のグリセロールが含まれ、幾つかの具体的な実施形態では、反応物22は、少なくとも約25%(wt/wt)及び/又は70%(wt/wt)未満のグリセロールからなる。
【0035】
反応物22はキャリア材料を含むこともできる。幾つかの実施例によれば、反応物22にはグリセロール、水、N
2及び/又はCO
2が含まれる。反応物は97%(wt/wt)の量の水が含まれる。幾つかの実施例によれば、反応物22は3%〜70%(wt/wt)の量のグリセロール、97%(wt/wt)の量の水、並びに、1%〜5%(wt/wt)の量(各単独又は合算重量)のCO
2及び/又はN
2が含まれる。
【0036】
幾つかの実施例によれば、触媒18に曝される前に、反応物22は少なくとも約110℃の温度を有することができる。幾つかのその他の実施例によれば、反応物22は反応炉内の触媒の温度と略同じ温度に加熱することができる。別の実施例として、反応物22は反応炉12に入る前に約300℃に加熱することができる。
【0037】
反応炉12に対する取入口14の全域での圧力差を促進することによって、取入口14を介して反応物22を反応ゾーン及び触媒18に曝すことができる。排出口16からの生成物の排出を容易にするために、排出口16までの圧力差を促進することができる。この圧力差は、例えば、取入口14の上流又は排出口16の下流に配置されたポンプを介して促進することができる。ポンプは、反応炉12を通る材料の流れを促進することができ、この流れは、重量空間速度(WHSV、多水酸基反応物グラム数/触媒グラム数/時間)及び/又はガス空間速度(GHSV、総ガス供給量/触媒量/時間)として定量化することができる。反応物の滞留時間はGHSVの逆数から計算することができる。
【0038】
反応物22は約0.02〜約12の範囲のWHSVでシステム10に供給することができる。反応物22は約500〜約60,000のGHSVでシステム10に供給することもできる。反応物22は、触媒18に曝される際には約0.001〜約7秒の滞留時間を有している。幾つかの実施例によれば、滞留時間は約0.45秒である。例えば、流動ポンプを用いてシステム10全域の圧力差を操作することによって、システム10のこれらの流動パラメータを促進することができる。幾つかの具体的な構成によれば、反応炉12に供給される反応物22の背圧は5psig未満とすることができる。
【0039】
図2を参照すると、システム30が示されている。取入口36は1つ以上の導管に、例えば、ドライエア導管40、水路44、導管48及び/又はグリセロール導管52に連結することができる。常に、これらの更なる導管はリザーバに連結することができ、例えば、ドライエア導管40はドライエアリザーバ42に連結でき、水路44は貯水器46に連結でき、導管48はリザーバ50に連結でき、グリセロール導管52はグリセロールリザーバ54に連結することができる。例えば、代表的リザーバからの材料の制御及び/又は流動を容易にするために、これらの導管はバルブ、ブロワ及び/又はポンプを介して取入口36に連結することができる。取入口36は、触媒34及び排出口38を含む反応炉アセンブリ32にも連結することができる。
図2に表わされるように、システム30は、反応炉アセンブリ32に入るコンポーネントの個別制御を容易にするように構成できる。さらに、排出口38を介して回収するために、これらのコンポーネントは頂部から底部に向かって反応炉アセンブリ32に入ることができる。
【0040】
図1を参照すると、生成物24を形成するために、グリセロールを含む反応物22を触媒18に曝しても良い。生成物24は、多水酸基化合物の脱水物が含まれる。例えば、生成物24は、多水酸基化合物グリセロールの脱水物アクロレインが含まれる。アクロレイン及び/又はtの一方又は両方を、グリセロールの脱水物並びに副生成物とすることができる。
【0041】
システム10には、反応炉12から生成物24を受けるように構成された排出口16が含まれる。排出口16は、図示せぬ生成物リザーバに連結でき、及び/又は、図示せぬ生成物精製アセンブリに連結することができる。生成物精製アセンブリには、例えば、蒸留アセンブリ及び/又は乾燥アセンブリが含まれる。排出口16は、図示せぬ生成物リザーバに反応炉12を連結する導管であると考えることができる。
【0042】
幾つかの実施例によれば、触媒は、支持材なしよりはむしろ支持材ありとすることができる。したがって、バルク(支持材なし)Co(H
2PO
4)
2よりはNalco製シリカゾルのCo(H
2PO
4)
2の方が好ましい。本明細書の文脈における「触媒」に言及すると、触媒はその前駆体物質及びそれらのモル比の観点から参照されると理解すべきである。決定可能な反応中の触媒の実際の化学組成物は、完了した各分析に対して決定されてはいない。一例として、シリカのCo(H
2PO
4)
2を化学組成物とすることは良いが、熱処理後に、この組成物はCo
2P
2O
7になることがある。以下の表1を参照すると、(前駆体物質によって参照され、上記説明に従って調製された)支持材あり触媒と支持材なし触媒の比較を示している。
【表1】
一実施例によれば、以下の表2のパラメータによるグリセロールからアクロレインへの脱水を容易にするために、反応ゾーンを有するNalco製シリカゾルのCo(H
2PO
4)
2を使用できる。
【表2】
【0043】
幾つかの実施例によれば、生成物24内部の副生成物は、コークスのような炭素系副生成物となることがある。炭素副生成物は、平均燃焼温度(純酸素中)が250℃〜800℃の共役炭素化合物を含んでいることがある。これらの副生成物が、生成物24を反応物22から生産するためのシステム10の連続使用を妨げることが既に分かっている。一例として、炭素系副生成物が、反応物22から生成物24への転換を容易にする触媒の能力を抑制し、さらに、例えば、システム10を詰まらせることによって、反応物及び/又は生成物がシステム10の全体を通過するのを妨げることが既に分かっている。
【0044】
例えば、
図4を参照すると、本発明のシステム、方法及び触媒を用いて得られるデータのプロット図が示されている。幾つかの実施例によれば、GHSVは1時間当り約7,600とすることができる。実施例で定めているように、グリセロールの分圧は約0.084にでき、一方、水の分圧は約0.891にでき、窒素の分圧は約0.026にできる。プロセスは、総圧が1気圧、温度約280℃で実施できる。このデータによれば、システムの圧力差が約1.5psigから22psigに拡大するにつれて、システムの転換率が低下し、システム内で詰まりが生じていることが明らかとなる。
【0045】
プロセス中に、タイプの異なる炭素副生成物が発生することが既に分かっている。炭素副生成物は軟質又は硬質炭素副生成物の形をとることがある。軟質炭素副生成物とは、温度約250℃〜400℃でシステムから除去できる炭素副生成物であり、硬質炭素副生成物は、温度約400℃〜800℃の温度でシステムから除去される。た
図4Aを参照すると、使用済み触媒床の一部がサンプリングされ、上部(即ち、供給口に最も近い)が主として軟質炭素副生成物を含み、一方、下部(即ち、生成物出口に最も近い)が主として硬質炭素副生成物を含んでいることが分かった。
【0046】
次に
図4Bを参照すると、3回のグリセロール脱水プロセスが実施され、反応炉コンポーネントから炭素副生成物がサンプリングされた。図示のように、詰まりが生じた反応炉セグメントについては、燃焼温度が780℃と高く、多量の硬質炭素副生成物を含んでいた。反応炉内部の生成物保持が生成物の除去を妨げ、触媒上の炭素の形成を順番に引き起こしたので、反応ゾーンの内側であるが触媒床の外側に形成された炭素副生成物が、圧力上昇の主原因であろうということが既に分かっている。
【0047】
少なくとも、より低温での除去が可能であるという理由から、硬質炭素副生成物よりも軟質炭素副生成物の形成の方がより望ましいということが既に分かっている。軟質炭素副生成物をシステムから除去するためには、約250℃〜約350℃という開示プロセスの反応温度と同様の低温を使用しても良い。幾つかの実施例によれば、生産プロセス中に発生した軟質炭素副生成物は、システムの再生の有無に関わらず、除去することができる。
【0048】
幾つかの実施例によれば、本発明のシステム及び方法は、形成される炭素副生成物を受け入れ可能な量及び/又はタイプの炭素副生成物に限定し、それによって、生産速度の点で十分に満足できる生成物24の形成を提供できるパラメータを含んでいる。そして生産速度には、反応物選択性及び/又は反応物転換率の一方又は両方が含まれる。
【0049】
一実施例では、アクロレインを形成するために、グリセロールがリン含有触媒に曝される。一例として、脱水物生産速度は、反応物がグリセロールである場合のアクロレイン生産性が含まれる。これは、単位時間当りの触媒重量単位当りに生産されるアクロレインの重量(例えば、アクロレイングラム数/触媒グラム数/時間)とすることができる。グリセロールの変換率は、反応させられたグリセロールのパーセンテージの形で報告できる。ある別の生成物というよりはアクロレインを形成するためのプロセスの選択性も同様にパーセンテージの形で報告できる。
【0050】
プロセスの開始時には、初期速度を記録することができる。例えば、初期生産速度、初期転換率及び/又は初期選択性を記録することができる。さらに、取入口14に供給される背圧もプロセスの開始時に初期背圧として記録することもできる。脱水プロセス中にシステムを用いる際に、これらの全てのパラメータの1つ又は組み合わせが相当程度低下した場合、生成物24の形成はもはや満足できるものとは考えられない。例えば、選択性及び/又は転換率が10〜15%低下し、及び/又は、背圧が4〜5倍上昇し、例えば、1psigから4〜5psigに、4〜5psigから20又は25psigになり、及び/又は、5psigから50psigにというように10倍上昇した場合は、過剰な炭素副生成物が触媒の上、又は反応炉の内部に堆積している。これらのパラメータは、炭素副生成物の生産によるシステムの詰まりのようなシステム不具合の目安となる。
図4はシステムの不具合を例証するものである。
【0051】
生成物の生成がもはや満足できない場合は、1つには、システム自体及び/又はシステム内部の触媒を再生することによって、本発明のシステムを再生できることが既に発見されている。幾つかの実施例によれば、システムの再生は、炭素系副生成物を含めた副生成物をシステムから除去することが含まれる。
【0052】
図3を参照すると、構成配置A及びBで同じシステムとなっているシステム60が示されている。システム60は、脱水物を循環的に生産し、反応ゾーンを再生するように構成されたシステムとすることができる。構成配置Aは、本明細書記載のシステム10の構成配置と同じにできるし、反応ゾーン内部から多水酸基化合物の脱水物を生産するように構成されたシステムとすることもできる。構成配置Bは、脱水を実施するために用いられた後の、それによって、使用済みグリセロール脱水触媒が収容されているシステム10の構成配置である。一例として、構成配置Aでは、脱水物の生産は、ある生産速度で脱水物を形成するために、反応物リザーバからの反応物を反応ゾーン内部で触媒に曝される。構成配置Bでは、反応ゾーンの再生は、サイクル開始時の生産速度の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%で脱水物を生産するため、反応ゾーンに戻される。
【0053】
幾つかの実施例によれば、プロセスは、反応物の供給停止後に、リン含有材料を反応炉に供給することが含まれる。リン含有材料は脱水触媒中のリンの量を増やすことになる。幾つかの構成配置では、多水酸基化合物への触媒の露出中及び/又は再生中に、その量及び/又はタイプの触媒のリンを使い尽くす場合がある。触媒を反応ゾーンから除去せずに、例えば、触媒の補充又は再リン酸塩化を行なえる。リン含有材料の供給後に、反応物を再度触媒に曝すことができる。この再リン酸塩化は、必要に応じて、生産設備のオペレータが、露出、再生及び再リン酸塩化の1つ以上を含む循環型生産方式に統合できる。再リン酸塩化に用いられるリン含有材料は、例えば、リン酸トリブチル及び/又はリン酸トリメチルのような有機リン酸塩が挙げられる。例えば、この材料を触媒に曝し、次に触媒を空気のもとで乾燥させ、その後、反応物へ触媒を再度曝す前に、触媒は水に曝される。
【0054】
この程度まで再生できる触媒を維持することにより、触媒の除去及び調整又は交換によってしか改善できない収率損失を避ける。それにより好ましくは、システムは、プロセス条件下で任意の触媒充填物の場合には、少なくとも1000時間、より好ましくは少なくとも2000時間、さらにより好ましくは少なくとも4000時間のオンライン後に、通常操業条件下でその初期ピーク生産性実績と比較して経済的に持続可能なレベルの生産性を保ち続ける。
【0055】
生産及び再生は多数のパラメータに従って実施できる。
図3に反応炉12に入る単一の導管を示しているが、この単一の導管は、例えば、反応炉12に直接入る複数の導管、及び/又は取入口14よりも前にユニオン継手を介して複数の導管を受け取る単一の導管の何れかを表していると理解する。一例として、グリセロールは一方の導管を介して反応炉12に供給でき、水は他方の導管を介して反応炉に供給することができる。脱水物を形成するために、触媒をグリセロールに曝し、グリセロールへの触媒の露出を中断でき、グリセロールへの触媒の露出中断後に、概ねガス状の水に触媒が曝される。脱水物を形成するために、しばらくしてから、グリセロールは反応炉に再度供給される。
【0056】
このプロセスを実施するための選択的な方法に関しては、脱水触媒へ多水酸基反応物を曝すことによる生成物24の調製中に、炭素副生成物が形成されることがある。脱水触媒へ多水酸基反応物を曝すことは停止でき、そして露出の停止後に、システム自体並びに触媒を流動ガスに曝し、システムの内容物は炭素副生成物の少なくとも一部を反応炉から放出するのに十分な温度に加熱される。生成物24を形成するために、反応炉の内容物を加熱した後に、多水酸基反応物が反応炉に再度供給される。
【0057】
本発明の幾つかのプロセスは、反応炉12へ反応物22の供給を中断して、反応物の供給中断後に、反応炉の触媒の温度を800℃以下に維持しながら、ガス62が反応炉に供給される。ガスは、例えば、再生混合物のコンポーネントとされる。かかる再生混合物は、例えば、水単独、ドライエア、N
2及び/又はCO
2を単独又は組み合わせが含まれる。一実施例によれば、再生混合物は、例えば、酸化剤が含まれ、グリセロールのような多水酸基反応物の供給中断後に、この再生混合物を反応炉に供給できる。この酸化剤の供給中には、触媒の温度は800℃以下に維持でき、酸化剤の供給後には、反応炉へグリセロールが再度供給される。ガス62の供給時に、排出口16を介して副生成物64をシステム60から除去しても良い。
【0058】
上述した幾つかの実施例によれば、反応物22は、グリセロールのような多水酸基反応物、並びに水が含まれる。再生への遷移は、反応炉へ水の供給を維持しながら多水酸基反応物の供給中断が含まれる。反応炉へ供給中の水は、例えば、ガス状とすることができ、十分な量のガス状の水が供給されると、反応性混合物が反応炉に再度供給される。
【0059】
一例として、反応物22がグリセロールのような多水酸基反応物、水及びN
2を含む場合は、多水酸基反応物を停止させ、水及びN
2を構成配置Bの一部である反応炉12に送り、その中を通過させる。幾つかの実施例によれば、これはシステムから反応物を洗浄することと考えられる。この反応物の洗浄は所定の時間だけ続けられ、及び/又は排出口16の反応物、生成物及び/又は副生成物はモニタされる。モニタリング中は、排出口16の中の反応物、生成物及び/又は副生成物の量が時間と共に安定し、例えば、量の変化が5%/分未満である場合は、システムの洗浄が完全であったと考えられる。システムの洗浄が完全に行われたかを検証するためのモニタリング中は、その上で背圧をモニタしても良い。
【0060】
再生の完了後には、システムは、システムへの反応物の供給が行われる生産又はオンラインモードに戻すのが望ましいであろう。例えば、背圧が洗浄中に相当程度上昇し、初期背圧に戻ってしまった場合は、反応物をシステムに供給し続けることが望ましいであろう。背圧の変化がない場合は、再生を継続することが望ましい。
【0061】
システムに供給される水の量を減らし、及び/又は、N
2の量を増やすことによって、システムの再生を継続しても良い。システムへの水の供給量の減少及び/又は供給中断後に、空気をシステムに提供しても良い。幾つかの実施例によれば、5〜500sccmのN
2及び/又は約5〜1,000sccmの空気がシステムに供給される。システムへのN
2及び/又は空気の供給中には、システムは反応温度(又はそれ以下)から温度550℃〜800℃に加熱される。システムの加熱は温度勾配に基づいて行なえる。例えば、勾配は1℃/分〜約40℃/分、1℃/分〜約10℃/分、1℃/分〜約5℃/分、5℃/分〜約10℃/分、及び/又は、10℃/分〜約40℃/分とすることができる。再生プロセスでの加熱中には、多量の副生成物及び/又はその分解生成物をシステムから除去しても良い。排出口16から出てくる副生成物によるシステムの詰まり、又はその除去中に生じる過剰な熱勾配を回避するために、これらの副生成物を迅速というよりは徐々に除去するのが望ましいことが既に分かっている。
【0062】
幾つかの実施例によれば、加熱は、システムを介して供給されるN
2及び/又は空気の量に基づいて、周期的に行なわれる。本実施例及びその他の幾つかの実施例によれば、CO
2のような、副生成物及び/又は副生成物残渣の量をモニタでき、モニタされた量の減少が時間と共に安定した場合は、加熱プロセスは中止される。一例として、CO
2の量の変化が5%/分未満である場合は、システムは再生されたと考えられる。さらに一例として、CO
2の量を、プロセス中及び/又は前回の再生後に記録された量のような、閾値と比較することができ、この量が加熱中にモニタされた量と略同じである場合は、システムは再生されたと考えられる。
【0063】
副生成物の除去には好都合であるものの、システムをただ単に800℃超の温度に加熱することによって、触媒が分解されて、現実的に不活性になる場合があることが既に分かっている。例えば、触媒自体から結晶性ピロリン酸塩の形成によって、触媒の活性が低下する場合があることが既に分かっている。M
2P
2O
7(ここでMは、コバルトのような、2〜12族の1つ以上の金属)の形の結晶性ピロリン酸塩の存在は、触媒が多水酸基化合物の選択性及び/又は転換率に関しての性能劣化を起こしていることと関連があると考えられている。さらに、このことは、上述の硬質炭素副生成物を作りにくいパラメータでのシステム運転の重要性を強く指摘している。例えば、Nalco製シリカゾル上のCo(H
2PO
4)
2及びHS−5ヒュームドシリカ上のCo(H
2PO
4)
2としての26wt%PO
4の再生が実施された。再生は以下のパラメータに基づいて実施された。
1. 窒素中での室温から280℃への初期加熱
2. 30分間の蒸気導入
3. 30分間のグリセロール/蒸気/窒素導入
4. 5〜10分間のグリセロール循環、蒸気/窒素循環終了
5. 5分間のみの蒸気循環、窒素循環中止
6. 空気循環及び20分間で540℃への温度勾配開始
7. 45〜60分間保持
8. 280℃への冷却
9. 30分間の蒸気開始
10. グリセロール供給開始(サイクル2)
11. ステップ4〜9繰り返し
12. グリセロール供給開始(サイクル3)
以下の表3を参照すると、表の指定生産パラメータと共に上記指定再生パラメータを用いて、非ヒュームドシリカ支持体触媒の生産速度が示されている。
【表3】
以下の表4を参照すると、表の指定生産パラメータと共に上記指定再生パラメータを用いて、ヒュームドシリカ支持体触媒の生産速度が示されている。
【表4】
【0064】
以上のように、ヒュームドシリカ支持体は非ヒュームドシリカ支持体から大幅な改善を実証している。
【0065】
硬質炭素副生成物を作るプロセスパラメータが用いられた場合は、400℃以下の再生温度は一般的には硬質炭素副生成物の除去には有効ではない。硬質炭素副生成物を除去するために、再生温度を400℃以上に上げた場合は、M
2P
2O
7の形のピロリン酸塩が作られ、この手段により触媒が不活性になることがある。
【0066】
本明細書記載の脱水法及び本発明の再生法の両方の幾つかの実施形態は、有効かつ活性な触媒を維持できる生産設備を提供する。含まれているのは、550℃のような、生成物除去のために硬質炭素に要求される温度でさえ過剰な量のピロリン酸塩を形成することのない材料を提供するための触媒形成及び触媒調製法である。
【0067】
再生後に、システムは約250℃から約350℃に冷却でき、次に、触媒18へ反応物22を曝す前に、触媒18は触媒反応準備完了状態にされる。触媒18を触媒準備完了状態にすることは、反応炉内部の触媒の温度を250℃〜350℃に維持しながら、取入口14を介してN
2及び/又は空気を触媒18に供給することが含まれる。N
2及び/又は空気へ触媒18を曝した後に、反応炉内部の触媒の温度を250℃〜350℃に維持しながら、取入口14を介して触媒を水及びN
2及び/又は空気に曝す。水は、この準備完了段階中に触媒に曝されている混合物の約95%とすることができ、一方、N
2及び/又は空気は5%とすることができる。触媒18の準備完了後に、取入口14を介して反応物22は触媒18に曝される。この準備完了状態を容易にするのが、
図3の構成配置Aである。
【0068】
システム10、30及び/又は60は、化学合成脱水プロセスを実施するための全生産設備の一部である。例えば、
図1に表わされるように、システム10は単一の反応炉12を含んでいるが、例えばシステム10を、連続脱水プロセスを実施するように構成された複数の反応炉を含むより大型のシステムの一部であると考えられる。例えば、一方の反応炉を「オンライン」に、もう一方の反応炉を「オフライン」にしても良い。本実施形態によれば、オンラインの反応炉は脱水の実施のために用い、一方、オフラインの反応炉は、触媒を再生又は新しい触媒を調製し、脱水プロセスを実施するために用いても良い。
【0069】
図5を参照すると、反応性混合物が21,664のGHSVでシステムに供給され、1時間当り触媒1グラム当り2.43グラムのグリセロールを、グリセロールの18.8wt%である反応性混合物と共に転換するシステムの再生を実証するプロット図が示されている。システムへのグリセロールの供給が中断され、システムの再生のために、水及び/又は空気が供給される。さらに、触媒床の下流に詰まった炭素の除去が行われた。グリセロールは21,184のGHSVでシステムに戻され、1時間当り触媒1グラム当り2.43グラムのグリセロールが転換される。
【0070】
図6及び7を参照すると、同じシステムにおいて、2回の追加グリセロール脱水/反応及び再生サイクルが示されている。それによれば、"J11"及び"J11再生"として参照される第1のサイクルでは、WHSVは1時間当り触媒1グラム当り12グラムのグリセロールであり、GHSVは1時間当り37,000であった。グリセロールの分圧は0.086、水の分圧は0.888、窒素の分圧は0.026であった。触媒は空気中で545℃において1時間再生された。第2のサイクル(J11、J15再生2)の場合、グリセロールは、1時間当り触媒1グラム当り2.4グラムのグリセロールのWHSV及び1時間当り8,994のGHSVで供給された。グリセロールの分圧は0.086、水の分圧は0.888、窒素の分圧は0.026であった。
【0071】
図6を参照して上に説明した再生が、以下の表5に表の形で示されている。
【表5】
【0072】
図8及び9を参照すると、再生を含む多数のサイクルが、サイクル時間32分間で、550℃で空気を使用する再生と共に実施されている。サイクル1〜6及び6〜20が示されているが、サイクル1〜6のGHSVは1時間当り34,192で、グリセロールの圧力は0.046、水の圧力は0.848、窒素の圧力は0.014であり、サイクルは280℃で実施された。サイクル6〜20のGHSVは1時間当り34,192であり、グリセロール、水及び窒素の圧力はサイクル1〜6の場合と同じであった。
図8及び9を参照して上に示した再生が、以下の表6に表の形で示されている。
【表6】
【0073】
図10には、多数の再生が示されている。示されているサイクルNo.1〜20は、1時間当り触媒1グラム当り6.04グラムのグリセロールの空間速度及び1時間当り34,192のGHSVで実施された。グリセロールの圧力は0.046、水の圧力は0.848、そして窒素の圧力は0.014に維持された。サイクル時間32分間で、550℃にて空気を使用して、再生は実施された。
【0074】
図11及び12を参照すると、相安定性を実証する触媒のXRD分析結果が示されている。
図11は、スラリーの調整を含む本明細書記載の手順に従って調製された触媒の相安定性を実証している。
図12は、支持体の含浸を含む本明細書記載の手順に従って調製された触媒の相安定性を実証している。スラリー調製触媒に関しては、相安定性は、ピロリン酸塩及び/又は環状テトラメタリン酸塩への相変態が発生したことを明示している。この相変態は、例えば、再リン酸塩化なしでは触媒を何回も再生できないという結果につながる触媒被毒と合致している。或いは、
図12の相変態は相変態を明示しているわけではない。したがって、
図12の触媒は何回でも再生できることになる。
【0075】
次に
図13を参照すると、含浸触媒を使用する脱水がグラフによって示されている。より具体的には、Co(H
2PO
4)
2/f−シリカ(
15wt%PO
4)触媒が調製され、以下の条件で、即ち、GHSV=9,387/時間、WHSV=1.266gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.476m/秒、供給グリセロール 11.5wt%、2.25mol% グリセロール、88.65mol% H
2O、9.11mol% N
2、初期圧力低下3.5psigで、グリセロールに曝された。
【0076】
図14を参照すると、含浸触媒として調製されたCo(PO
4)
2/HS−5としての22wt%PO
4のCo(III)触媒を使用する脱水がグラフによって示されている。触媒を調製するために、Co
3(PO
4)
2がHS−5上の20%硝酸IWIに溶解され、乾燥され、次に600℃で熱処理された。脱水は、以下の条件で、即ち、GHSV=10,176/時間(1気圧)、WHSV=0.893gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.695m/秒、Pgly=0.029気圧、PH
2O=0.854気圧、PN
2=0.117気圧、Wt%gly=14.7%、DP=8.5psiで実施された。触媒床は以下のように、即ち、3.4g触媒(5.2cm
3実測)、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)、長さ=27.1cm、ID=5.19mmに構成された。
【0077】
図15を参照すると、HS−5(スラリー)上の23wt%PO
4リン酸Co(III)のCo(III)触媒を使用するグリセロールの脱水を図示されたように実施し、再生される。アセチルアセトン酸Co(III)をH
3PO
4(70wt%)(P/Co=5)に添加することによって、触媒を調製することができ、この触媒がHS−5支持体に添加され、得られたゲルが乾燥され、次に熱処理される。反応炉床は、1.57gの触媒、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)を含み、長さ=27.1cm、内径=5.19mmとされる。以下の条件で、即ち、GHSV=10,395/時間(1気圧)、WHSV=1.93gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.682m/秒、グリセロール圧力=0.029気圧、H
2O圧力=0.854気圧、N
2圧力=0.117気圧、Wt%グリセロール=14.7%、圧力差=8.9psi(初期)で、反応物が反応炉に供給される。分析結果は、初期材料のP/Co=4.45、使用後はP/Co=3.08であることを示していた。
【0078】
図16を参照すると、リン酸鉄系触媒(リン酸鉄系/HS−5シリカ(スラリー)としての25wt%PO
4)によるグリセロールの脱水中に得られたデータが示されている。反応炉は、2.00gの触媒、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)を含み、長さ=27.2cm、内径=5.19mmで構成される。第1の条件は、GHSV=10,395/時間(1気圧)、WHSV=1.517gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.695m/秒、グリセロール圧力=0.029気圧、H
2O圧力=0.854気圧、N
2圧力=0.117気圧、Wt%グリセロール=14.7%、圧力差=9.4psi(初期)とされる。記録された第2の条件は、GHSV=10,669/時間(1気圧)、WHSV=1.517gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.712m/秒、グリセロール圧力=0.028気圧、H
2O圧力=0.826気圧、空気圧=0.146気圧、Wt%グリセロール=14.7%、圧力差=14.0psi(初期)とされる。
【0079】
図17を参照すると、リン酸鉄系触媒及び希釈剤としてのCO
2によるグリセロールの脱水中に得られたデータが示されている(リン酸鉄系/HS−5シリカ(スラリー)としての25wt%PO
4)。反応炉は、2.00gの触媒、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)を含み、長さ=27.2cm、内径=5.19mmで構成される。初期反応条件は、GHSV=10,395/時間(1気圧)、WHSV=1.517gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.682m/秒、グリセロール圧力=0.029気圧、H
2O圧力=0.854気圧、CO
2圧力=0.117気圧、Wt%グリセロール=14.7%、圧力差=9.4psiとすることができる。記録された第2の条件は、GHSV=10,669/時間(1気圧)、WHSV=1.517gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.712m/秒、グリセロール圧力=0.028気圧、H
2O圧力=0.826気圧、空気圧=0.146気圧、Wt%グリセロール=14.7%、とされる。記録された第3の条件は、GHSV=10,074/時間(1気圧)、WHSV=1.517gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.677m/秒、グリセロール圧力=0.030気圧、H
2O圧力=0.897気圧、空気圧=0.093気圧、Wt%グリセロール=14.7%、とされる。
【0080】
図18を参照すると、過剰なPO
4を使用して得られたデータが示されている。触媒は、P/Co=〜4のCo(H
2PO
4)
2/f−シリカ−スラリーである15wt%PO
4として26%PO
4と等価とされる。この触媒は、2.25gの触媒(5.5cm
3実測)、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)が入る内径=5.19mm、長さ=26.1cmの反応炉の中で使用される。脱水は、以下の条件で、即ち、GHSV=4,712/時間、WHSV=1.384gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.34m/秒、グリセロール圧力=0.0593気圧、H
2O圧力=0.7065気圧、N
2圧力=0.2342気圧、Wt%グリセロール=30%、初期圧力差(床)=9.8psi、初期圧力差(合計)=13.4psiで実施される。データは、最初の7時間は安定した能力を有する他のHS−5ヒュームドシリカ上のスラリー調製15wt%PO
4との比較での転換率及び選択性の改善や、活性を回復させる600℃での空気再生を実証してはいない。
図19を参照すると、上記
図18に示したデータの継続であるCo(H
2PO
4)
2/f−シリカ(P/Co=〜4のスラリー)としての15wt%PO
4による第2の空気再生を実証するデータが得られる。第2の再生中には、グリセロール流を停止させ、蒸気流中に20分間保持して、空気を(〜250sccmで)供給し、5分間保持して、反応ゾーンを30分間で600℃に昇温し、2時間保持して、次に、(空気流中で)3時間で280℃に冷却される。グリセロール供給開始の20分前に、蒸気流が開始される。
【0081】
図20を参照すると、Co(H
2PO
4)
2/f−シリカ(P/Co=〜4のスラリー)としての15wt%PO
4の再リン酸塩化による触媒の再生中に得られたデータが示されている。反応炉及び触媒の負荷は、ここで調製されたCo/P触媒並びに反応流量及び条件と合致している。例えば、Co(H
2PO
4)
2の形で〜15wt%PO
4のHS−5ヒュームドシリカ(Cabot)上の最終負荷に使用されるものとして、Co/P触媒は、上記スラリー法に従い、リン酸(H
3PO
4)の水溶液を作り、次に、3.5〜5のモル比をもつ炭酸コバルトに対してH
3PO
4を炭酸コバルトにゆっくり添加することによって調製できる。反応炉では、総床容量〜5.5mLの場合、2.25gの触媒(直径0.25〜0.6mm、30〜60メッシュ)をステンレス鋼製反応塔(内径5.2mm)中に充填し、窒素流中で280℃に加熱し、次に、蒸気が30分間導入される。反応物質グリセロールは、GHSV=4,712/時間、WHSV=1.384gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール分圧=0.0593気圧、蒸気分圧=0.7065気圧、窒素分圧=0.2342気圧で供給される。
【0082】
触媒は16〜24時間で再生される。即ち、グリセロール供給を15分間停止する(窒素及び蒸気のみ)。空気を導入し、窒素及び蒸気をオフにする。30分間で600℃に昇温して2時間保持する。空気中で280℃に冷却する(〜3時間)。グリセロール供給前に、空気をオフにし、窒素蒸気を15〜30分間オンにする。グリセロールは、GHSV=4,712/時間、WHSV=1.384gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール分圧=0.0593気圧、蒸気分圧=0.7065気圧、窒素分圧=0.2342気圧で再度供給される。
【0083】
触媒は再度再生でき、グリセロールを、GHSV=4,712/時間、WHSV=1.384gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール分圧=0.0593気圧、蒸気分圧=0.7065気圧、窒素分圧=0.2342気圧で供給される − 急速不活性化。
【0084】
活性の損失時には、グリセロール流を停止し、触媒が入った反応炉を蒸気流の中に20分間保持して、水流をオフにした後に、N
2流を10分間で150sccmに増やすことができる。次に、リン酸トリブチルが1mL/時間で1時間反応炉に供給される。次に、反応炉を空気流(〜250sccm)の中に一晩〜8時間保持し、グリセロール供給開始の前に、蒸気流が20分間供給される。触媒の活性を「通常不活性化パターン」の前に〜1時間回復させて、変換率〜20%で安定させても良い。
【0085】
図21を参照すると、Co(H
2PO
4)
2/f−シリカ(P/Co=〜4のスラリー)である15wt%PO
4の再リン酸塩化による触媒の再生中に得られたデータが示されている。反応炉及び触媒の負荷は、ここで調製されたCo/P触媒並びに反応流量及び条件と合致している。活性の損失が認められると、反応炉及び触媒を600℃で約10時間空気に曝し、N
2流(150sccm)中で280℃に冷却し、1時間保持される。次に、リン酸トリブチルが1mL/時間で1.75時間触媒に曝され、次に、触媒を空気流(〜250sccm)中に1時間保持される。グリセロール供給開始前30分間(又はリン酸トリブチルが検出されなくなるまで)、蒸気流は反応炉及び反応炉に存在する触媒に供給される。触媒の活性を回復させ、同時に、選択性を僅かに改善できる(93%対91%)。
【0086】
図22を参照すると、脱水を実施するためにRb触媒、即ち、28%RbH
2PO
4 w/過剰H
3PO
4/f−シリカ(HS−5)を使用して得られたデータが示されている。反応炉は、長さ=26.0cm、内径=5.19mmであり、30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)を有する2.81gの触媒(5.5cm
3実測)が添加される。第1の条件では、反応炉は以下の条件で、即ち、GHSV=9,451/時間(1気圧)、WHSV=1.079gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.683m/秒、グリセロール圧力=0.029気圧、H
2O圧力=0.855気圧、N
2圧力=0.117気圧、Wt%グリセロール=14.7%、圧力差=8.0psiで実施される。上記のように、第2の条件が提供され、この条件は、以下のもの、即ち、290℃の反応炉、GHSV=2,766/時間(1気圧)、WHSV=1.079gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.2m/秒、グリセロール圧力=0.098気圧、H
2O圧力=0.503気圧、N
2圧力=0.399気圧、Wt%グリセロール=50%、圧力差=6.5psi(初期)が含まれる。記録された第3の条件では、反応炉は、290℃、GHSV=6,409/時間(1気圧)、WHSV=1.079gグリセロール/g触媒/時間、空塔速度=0.463m/秒、グリセロール圧力=0.042気圧、H
2O圧力=0.217気圧、N
2圧力=0.741気圧、Wt%グリセロール=50%、圧力差=6.5psiに維持される。Rb触媒は相当程度のローバスト性を実証した。
【0087】
図23を参照すると、未使用Rb触媒のXRDデータが示されており、
図24には使用済みRb触媒のXRDデータが示されている。このXRDは、脱水及びその後の再生中に生じるリン酸塩浸出の不足を実証するものである。
【0088】
図25を参照すると、脱水を実施するためにRb触媒、即ち、28%RbH
2PO
4 w/過剰H
3PO
4/f−シリカ(HS−5)を使用して得られたデータを示しており、プロセスが継続されるにつれて得られた追加データを
図26に示している。30〜60メッシュ(Dp=0.595〜0.25mm)を有する約2.76gの触媒(5.7cm
3実測)を、長さ=27cm、内径=5.19mmを有する反応炉に充填できる。記録された第1の条件は、290℃の反応炉で実施され、GHSV=4,756/時間(1気圧)、WHSV=1.80gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.09気圧、H
2O圧力=0.462気圧、N
2圧力=0.448気圧、Wt%グリセロール=30wt%、圧力差=6.2psiである。
【0089】
記録された第2の条件は、300℃の反応炉で実施され、GHSV=3,734/時間(1気圧)、WHSV=1.10gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.07気圧、H
2O圧力=0.36気圧、N
2圧力=0.57気圧、Wt%グリセロール=50wt%、圧力差=4・5psiとされる。条件2aでは、反応炉は300℃に、GHSV=5,886/時間(1気圧)、WHSV=1.1gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.045気圧、H
2O圧力=0.228気圧、N
2圧力=0.728気圧、Wt%グリセロール=50%とされる。
【0090】
記録された第3の条件は、300℃の反応炉で実施され、GHSV=5,822/時間(1気圧)、WHSV=1.1gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.045気圧、H
2O圧力=0.231気圧、N
2圧力=0.365気圧、空気圧=0.359気圧、Wt%グリセロール=50%とされる。
【0091】
記録された第4の条件は、300℃の反応炉で実施され、GHSV=5,822/時間(1気圧)、WHSV=1.1gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.045気圧、H
2O圧力=0.229気圧、N
2圧力=0.637気圧、空気圧=0.089気圧、Wt%グリセロール=50%とされる。
【0092】
記録された第5の条件は、300℃の反応炉で実施され、GHSV=9,099/時間(1気圧)、WHSV=1.1gグリセロール/g触媒/時間、グリセロール圧力=0.029気圧、H
2O圧力=0.856気圧、空気圧=0.115気圧、Wt%グリセロール=50%とされる。
【0093】
図25及び26を参照すると、脱水プロセスは、アクロレイン選択性78%、アセトール選択性15%で不活性化するまで>60時間継続された。空気を加えることによって、転換率の改善(100%)及び選択性の改善(最大70%)と、アセトール形成及び二量体形成の減少が見られた。触媒は再生された。