特許第5798581号(P5798581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798581
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   G06K7/10 416
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-24892(P2013-24892)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-154038(P2014-154038A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2014年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】白石 貴志
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 信介
(72)【発明者】
【氏名】内藤 英浩
(72)【発明者】
【氏名】柿野 友成
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−195082(JP,A)
【文献】 実開昭60−187972(JP,U)
【文献】 特開2008−027062(JP,A)
【文献】 特開2007−057296(JP,A)
【文献】 特開2012−216138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00−7/14
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に開口している撮像窓と、
前記撮像窓に配置され、透過性を有する平板状の透過板と、
前記筐体の外側に形成されるものであって撮像領域のうちある一定の解像度以上の範囲である読取領域に位置する被写体画像を、前記透過板を介して撮像素子に結像する撮像部と、
前記撮像領域を前記透過板の出射面を反射面として折り返した光路で定義される領域、もしくは、前記撮像部の撮像領域を前記透過板の入射面を反射面として折り返した光路で定義される領域のうち、より広い何れかの領域である等価撮像領域の内側であって前記撮像領域の外側に設けられ、前記読取領域に照明光を照射する照明装置と、
前記照明装置からの照明光の光線の光路を屈折させ、前記等価撮像領域の外側に位置する前記照明装置の虚像から出射されたような光路に変更する光路変更部材と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記光路変更部材は、光学素子であって、前記照明装置の発光点を、前記光学素子の光軸よりも前記撮像部の結像系の光軸から離れる方向に偏心させている、
ことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光路変更部材は、前記照明装置からの照明光の光線のうち、前記撮像素子に近い側の光線の光路を前記撮像素子に対して離間する方向に屈折させる、
ことを特徴とする請求項1または2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記照明装置は、前記撮像部よりも上方位置から撮像領域に対して照明光を照射する、
ことを特徴とする請求項1ないしの何れか一記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POS(Point of Sales)端末等に接続されて使用される画像読取装置は、商品に付されたコードシンボルの画像や商品の全体または一部のオブジェクト画像を筐体に形成された撮像窓を介して光学的に撮像し、撮像した画像をデコードしてコードシンボルのコード情報(商品コード等)を取得したり、撮像した画像から特徴量を抽出したりする。このような画像読取装置は、コードシンボル画像やオブジェクト画像をCCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像素子によって撮像している。
【0003】
また、この種の画像読取装置は、撮像素子に対する防塵を目的として、ガラスや樹脂製の透過性を有する平板状の透過板によって撮像窓を閉塞している。
【0004】
加えて、この種の画像読取装置は、撮像素子の撮像領域であるコードシンボルやオブジェクトの読取領域をLED(Light Emitting Diode)等の照明装置を用いて照明する。従来の画像読取装置は、照明装置から照射された光が撮像窓を閉塞している透明体によって反射されることによる迷光が撮像素子に入射することを防止すべく、透明体の外側で撮像素子の撮像領域を照射する位置に照明装置を配置している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術によれば、透過板の外側で撮像素子の撮像領域を照射する位置に照明装置を配置することで、画像読取装置自体の大きさが大きくなってしまう、という問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の画像読取装置は、筐体に開口している撮像窓と、前記撮像窓に配置され、透過性を有する平板状の透過板と、前記筐体の外側に形成されるものであって撮像領域のうちある一定の解像度以上の範囲である読取領域に位置する被写体画像を、前記透過板を介して撮像素子に結像する撮像部と、照明装置と、光路変更部材と、を備える。前記照明装置は、前記撮像領域を前記透過板の出射面を反射面として折り返した光路で定義される領域、もしくは、前記撮像部の撮像領域を前記透過板の入射面を反射面として折り返した光路で定義される領域のうち、より広い何れかの領域である等価撮像領域の内側であって前記撮像領域の外側に設けられ、前記読取領域に照明光を照射する。前記光路変更部材は、前記照明装置からの照明光の光線の光路を屈折させ、前記等価撮像領域の外側に位置する前記照明装置の虚像から出射されたような光路に変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかる画像読取装置を用いたPOSシステムの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、画像読取装置が備える撮像装置の概略構成を示す断面図である。
図3図3は、従来の照明装置の配置を示す模式図である。
図4図4は、照明装置の設置位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。
【0009】
ここで、図1は実施形態にかかる画像読取装置11を用いたPOSシステム1の全体構成を示す斜視図である。なお、図面中の矢印Aは画像読取装置11の幅方向(左右方向)を示し、矢印Bは画像読取装置11の前後方向の前方を示し、矢印Cは画像読取装置11の上下方向の上方を示している。
【0010】
図1に示すように、POS(Point Of Sales)システム1は、縦型スキャナである画像読取装置11と、画像読取装置11で撮像した画像に応じて売上登録処理を実行するPOS端末12とを備えている。画像読取装置11は、買物カゴ等が載置されるサッカー台10上の略中央部に立設している。また、POS端末12は、サッカー台10の一方の端部付近に設けられている。これら画像読取装置11とPOS端末12とは、図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されている。なお、画像読取装置11とPOS端末12とによりPOSターミナル部を構成する。
【0011】
画像読取装置11は、撮像装置17、キーボード21、ディスプレイ19等を備えている。撮像装置17は、オペレータに対面する撮像窓16を介して、商品に付されたコードシンボル(バーコードや二次元コード等)の画像や商品の全体または一部のオブジェクト画像を光学的に撮像する。キーボード21は、コードシンボルやオブジェクト画像で登録不能な商品の登録を行うための各種キー等を配設する。ディスプレイ19は、POS端末12による売上登録処理に応じ、オペレータや買物客に対して登録された商品の品名、価格等を表示する。
【0012】
次いで、撮像装置17の構成について詳述する。ここで、図2は画像読取装置11が備える撮像装置17の概略構成を示す断面図である。
【0013】
図2に示すように、撮像装置17は、開口している撮像窓16を有する筐体15を備えている。撮像装置17は、筐体15内に、撮像部14と、照明装置13とを備えている。ここで、撮像部14の撮像領域Dは、図2においては線L1と線L2との間の領域である。
【0014】
筐体15は、略直方体形状の箱状に形成されており、その正面壁15aに撮像窓16が形成されている。筐体15は、当該筐体15の正面前方に位置したオペレータ(図示せず)と対面する。撮像窓16は、正面視で略四角形に形成されている。
【0015】
撮像窓16は、撮像部14に対する防塵を目的として、透過性を有する平板状の透過板18によって閉塞されている。透過板18は、例えばガラスや樹脂製である。透過板18は、筐体15に支持されている。具体的には、透過板18は、筐体15の内面における撮像窓16の周縁部に接着などの固定手段によって固定されることで、筐体15に支持されている。
【0016】
照明装置13は、透過板18を透過して撮像部14の撮像領域Dに照明光Iを照射し、撮像領域Dに存在する対象物を照明する。照明装置13からの照明光Iの外郭は、図2においては線L3と線L4で示されている。なお、符号20は、詳細は後述するが、照明装置13からの照明光Iの光線の光路を屈折させて変更する光路変更部材である。
【0017】
照明装置13は、光源であるLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を有している。なお、照明装置13は、単一のLED光源のみを有する構成であっても、複数のLED光源を有する構成であっても、いずれでも良い。照明装置13は、撮像部14よりも上方位置から撮像領域Dに対して照明光Iを照射する。これにより、画像読取装置11は、照明装置13からの照明光Iが画像読取装置11を操作するオペレータの目に直接入らないようにしている。
【0018】
撮像部14は、特に図示しないが、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子14aと、結像レンズ14bとを有する。図2に示すように、撮像部14(結像レンズ14b)の光軸Fは、画像読取装置11(撮像装置17)の前後方向に沿って延出し、撮像窓16を通過する。
【0019】
より詳細には、撮像部14は、筐体15における撮像窓16の外側に形成される読取領域Eに位置する読取対象を撮像する。ここで、図2においては、読取領域Eは、概略的に、撮像領域Dのうち線L6と透過板18との間の領域である。
【0020】
ここで、読取領域Eについて説明する。撮像部14の撮像素子14aの撮像可能範囲は、結像レンズ14bの特性により決定される。本実施形態の結像レンズ14bは固定焦点レンズであって、焦点位置(ピントが最も合っている位置)はレンズ先端から一定の距離だけ離れた位置にある。この焦点位置に撮像物である商品が置かれた時の解像度が最も高く、鮮明に撮像でき、焦点位置から撮像素子14aに対して近づく方向および遠ざかる方向に撮像物である商品が置かれるにしたがってピントがぼけて解像度が低くなる。例えば、バーコードをデコードするためには、撮像素子14aが取得した商品の画像データからバーコードを形成する各色(例えば、白黒)のバーの幅を計測する必要があり、ピントがぼけると計測できなくなる。したがって、撮像領域Dのうちある一定の解像度以上の範囲が、画像処理ボード(図示せず)による画像データからのコードシンボルの抽出が可能な読取領域Eとなる。
【0021】
すなわち、撮像部14は、撮像窓16の前方(外側)の読取領域Eに位置した読取対象である対象物からの反射光であって撮像窓16から筐体15内に入射した反射光を受ける位置に配置されている。撮像部14は、撮像窓16から筐体15内に入射した対象物からの反射光を撮像素子14aに結像レンズ14bを介して結像させることにより撮像して、画像データを出力する。
【0022】
次いで、照明装置13の設置位置について詳述する。
【0023】
従来の画像読取装置においては、照明装置から照射された光が撮像窓を閉塞している透過板によって反射されることによる迷光が撮像素子に入射することを防止すべく、透過板の外側で撮像素子の撮像領域を照射する位置に照明装置を配置していた。この点について、図3を参照して説明する。図3に示すように、従来の画像読取装置は、迷光を発生させないため、撮像領域dを防塵用の透過板50の出射面を反射面として折り返した光路で定義される領域、もしくは、撮像部14の撮像領域dを透過板50の入射面を反射面として折り返した光路で定義される領域のうち、より広い何れかの領域g(以下、等価撮像領域と呼ぶ)の外側に照明装置51を設けていた。
【0024】
しかしながら、従来の画像読取装置においては、等価撮像領域gの外側であって透過板50の外側で撮像素子の撮像領域を照射する位置に照明装置51を配置することで、画像読取装置自体の大きさが大きくなってしまう、という問題があった。
【0025】
ここで、図4は照明装置13の設置位置を示す模式図である。図4に示すように、本実施形態の画像読取装置11においては、画像読取装置11の小型化を図るべく、撮像領域Dの外側であって等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置している。
【0026】
ただし、図4に示すように等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置した場合には、透過板18からの反射光が撮像部14の結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達する迷光が発生する。より詳細には、照明装置13から出射した光のうち、透過板18の入射面または出射面で反射して結像レンズ14bの入射瞳を通って撮像素子14aに到達する一部の光線が、迷光となっている。これらの迷光は、読取対象である商品から反射して撮像素子14aに入射する正規の光に重畳されてしまう。このため、迷光が発生した場合には、画像読み取りに支障をきたしてしまう、という問題がある。
【0027】
そこで、本実施形態の画像読取装置11の撮像装置17は、等価撮像領域Gの内側に配置した照明装置13の虚像を等価撮像領域Gの外側に位置させることを目的として、照明装置13からの照明光Iの光線のうち、撮像素子14aに近い側の光線の光路を撮像素子14aに対して離間する方向に屈折させる光学素子である光路変更部材20を設けている。光路変更部材20としては、レンズ、照明用ミラー、プリズムなどを適用できる。
【0028】
ここで、図4は照明装置13および光路変更部材20の配置例を示す模式図である。図4に示すように、撮像領域Dの外側であって等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置するとともに、光路変更部材20(例えば、レンズ)の光軸に対し、照明装置13のLEDの発光点を結像レンズ14bの光軸から離れる方向に偏心させている。これにより、光路変更部材20で屈折された照明装置13からの照明光Iの光線は、等価撮像領域Gの外側に位置する照明装置13の虚像13´から出射されたような光路を通る。
【0029】
さらに、光路変更部材20(例えば、レンズ)は、その光軸を等価撮像領域Gの境界線の傾き(等価画角)に対して、透過板18の中央方向に傾けて配置するようにしても良い。
【0030】
すなわち、等価撮像領域Gの内側に照明装置13を配置したとしても、照明装置13からの照明光Iの光線が等価撮像領域Gの外側に位置する照明装置13の虚像から出射されたような光路を通ることから、迷光が撮像素子14aに到達することはなくなる。
【0031】
このように、本実施形態の画像読取装置11によれば、照明装置13を、等価撮像領域Gの内側に配置することができるため、撮像装置17および画像読取装置11の小型化を図ることできる。
【0032】
なお、上記実施形態では、画像読取装置11とPOS端末12とで構成されるPOSターミナル部について説明したが、これに限るものではなく、画像読取装置11およびPOS端末12の機能を備えた1台構成の装置に適用するようにしても良い。画像読取装置11およびPOS端末12の機能を備えた1台構成の装置としては、スーパーマーケット等の店舗に設置されて用いられるセルフチェックアウト装置(以降、単にセルフPOSと称する)が挙げられる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
11 画像読取装置
13 照明装置
14 撮像部
16 撮像窓
18 透過板
20 光路変更部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0035】
【特許文献1】特開2012−216138号公報
図1
図2
図3
図4