(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
図5は、太陽電池の出力電圧特性の一例を表す。この特性から分かるように、日照強度(W/m
2)が異なっている場合であっても、太陽電池の開放電圧(太陽電池から電流を流していない状態での出力電圧)は、ほぼ同じ値となる。このため、太陽電池の開放電圧に基づいてシステム起動タイミングを設定した場合には、実際には、日照強度が低く十分な発電電力が得られない状況であるにもかかわらず太陽光発電システムが起動されてしまう。また、そうした状況においては、太陽光発電システムの起動後、太陽電池の出力電圧が短時間で低下してしまうため、結果として、太陽光発電システムの発停回数の増加を招いてしまう。従って、太陽光発電システム自身の消費する電力消費、耐久性の面において好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、太陽電池で発電された電力を適切に蓄電装置に充電できるようにすることにある。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、太陽電池(10)によって発電された電力を蓄電装置(50)に充電する充電制御装置において、前記蓄電装置への充電を行っていないときに、所定インターバル(Tset)にて設定された取得タイミングにて前記太陽電池の発電出力の大きさを表す発電指標を取得する発電指標取得手段(S14,S16,S22)と、前記発電指標取得手段により取得された発電指標が充電開始条件を満たす場合には、前記蓄電装置への充電動作を開始し、前記発電指標が前記充電開始条件を満たさない場合には、次回の取得タイミングまで前記蓄電装置への充電動作を禁止する充電起動制御手段(S17,S23,S24)と、前記充電起動制御手段によって前記充電動作が禁止された連続回数の増加にしたがって、前記所定インターバルを長くするインターバル可変手段(S18)とを備えたことにある。
【0007】
本発明においては、発電指標取得手段が、蓄電装置への充電を行っていないときに、所定インターバルにて設定された取得タイミングにて太陽電池の発電出力の大きさを表す発電指標を取得する。この発電指標としては、例えば、太陽電池の開放電圧(負荷に電流を流していないときの出力電圧)、太陽電池から出力される電力、太陽電池から流れる電流等を採用することができる。充電起動制御手段は、発電指標取得手段により取得された発電指標が充電開始条件を満たす場合には、蓄電装置への充電動作を開始し、発電指標が充電開始条件を満たさない場合には、次回の取得タイミングまで蓄電装置への充電動作を禁止する。従って、充電動作の起動頻度を、所定インターバルによって制限することができる。また、次回の取得タイミングにおいて取得した発電指標が充電開始条件を満たさない場合には、更に、その次の取得タイミングまで、繰り返し蓄電装置への充電動作を禁止することができる。
【0008】
発電指標を取得するインターバルを短く設定すると、充電制御装置の耐久性、電力消費の面で好ましくない。逆に、発電指標を取得するインターバルを長く設定すると、日射の変化に対応できず発電電力の充電機会を逃がしてしまうおそれがある。例えば、夜間などのように発電に必要な照射が十分に得られない状況が継続する場合には、発電指標を取得するインターバルを長くしても充電機会を逃がしにくい。そこで、本発明は、インターバル可変手段を備えている。インターバル可変手段は、充電起動制御手段によって充電動作が禁止された連続回数の増加にしたがって所定インターバルを長くする。この結果、本発明によれば、充電機会を有効利用できるとともに、充電制御装置の耐久性の向上と消費電力の低減とを図ることができる。従って、太陽電池で発電された電力を適切に蓄電装置に充電することができる。
【0009】
本発明の他の特徴は、前記発電指標取得手段は、前記発電指標として、前記太陽電池の開放電圧(V)と、前記太陽電池から電流を流したときの出力電力に相関を有する電力相関値(P)とを取得し、前記充電開始条件は、前記開放電圧が設定電圧以上であり(S17)、かつ、前記電力相関値が設定電力相関値以上である(S23)という2つの条件を含んでおり、前記充電起動制御手段は、前記2つの条件のうち先に前記太陽電池の開放電圧にかかる充電開始条件の成立の有無を判断することにある。
【0010】
発電指標として、太陽電池の開放電圧を用いることができる。開放電圧を用いた場合には、太陽電池から負荷に電流を流さなくても、太陽電池の発電の程度を判断することができるが、開放電圧だけでは太陽電池の発電能力を良好に判断しにくい。そこで、本発明においては、発電指標取得手段が、発電指標として、太陽電池の開放電圧と、太陽電池から電流を流したときの出力電力に相関を有する電力相関値とを取得する。電力相関値としては、例えば、太陽電池から出力される電力、あるいは,太陽電池から流れる電流を採用することができる。充電開始条件は、開放電圧が設定電圧以上であり、かつ、電力相関値が設定電力相関値以上であるという2つの条件を含んでいる。太陽電池の特性として、太陽光から受ける照射レベルが低く発電能力が十分に増加していない段階でも、開放電圧は先に増加する。このため、太陽電池の開放電圧が設定電圧未満であれば、太陽電池の開放電圧だけで太陽電池の発電能力が少ないことを判定できる。そこで、充電起動制御手段は、2つの条件のうち先に太陽電池の開放電圧にかかる充電開始条件の成立の有無を判断する。これにより、太陽電池の開放電圧だけで太陽電池の発電能力が少ないことを判定できる状態であれば、電力相関値を取得する必要がなくなる。従って、この場合には、電力相関値を取得するための処理が不要となり、その処理頻度を低減することができる。この結果、本発明によれば、太陽電池で発電された電力を一層適切に蓄電装置に充電することができる。
【0011】
本発明の他の特徴は、前記インターバル可変手段は、前記太陽電池の開放電圧が前記設定電圧未満となって前記充電動作が禁止された連続回数の増加にしたがって前記所定インターバルを長くする(S17,S18)ことにある。
【0012】
太陽電池の開放電圧が設定電圧未満となっている状況においては、太陽電池の発電量がすぐには増加してこないケースが多い。そこで、本発明では、太陽電池の開放電圧が設定電圧未満となって充電動作が禁止された連続回数の増加にしたがって所定インターバルを長くする。これにより、一層適切な所定インターバルを設定することができ、充電機会を逃がさないようにしつつ、充電制御装置の作動頻度を低減することができる。
【0013】
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る充電制御装置について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る充電制御装置を備えた太陽光発電システムの概略構成を表している。本実施形態の太陽光発電システムは、車両に適用されるものであるが、その適用範囲は、必ずしも車両に限るものではない。太陽光発電システムは、太陽電池10と、充電制御ユニット20と、蓄電装置50とを備えている。太陽電池10は、例えば、車両の屋根に設置されたソーラーパネルを備え、ソーラーパネルで受けた太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する電力機器である。充電制御ユニット20は、太陽電池10によって発電された電力を蓄電装置50に充電するための制御装置であり、本発明の充電制御装置に相当する。以下、充電制御ユニット20を充電ECU20と呼ぶ。蓄電装置50は、高圧バッテリ51と、補機バッテリ52と、追加バッテリ53とを備えている。
【0016】
本実施形態の太陽光発電システムが搭載される車両は、走行駆動力を発生する走行駆動用モータ100を備えた自動車、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド車両(HV)、プラグインハイブリッド車両(PHV)に適用される。蓄電装置50に設けられる高圧バッテリ51は、主に走行駆動用モータ100を駆動するための高圧電源として設けられる。高圧バッテリ51は、例えば、300V程度の電圧を出力する二次電池である。高圧バッテリ51は、車両のブレーキ制動時に車輪の回転する運動エネルギーによって走行駆動用モータ100で発電させた電力(回生電力)や、充電ケーブルを介して外部電源装置(充電スタンド、家庭の電源コンセント等)から供給される電力によって充電されるだけでなく、本実施形態の太陽光発電システムによっても充電される。高圧バッテリ51から走行駆動用モータ100への電力供給、および、走行駆動用モータ100から高圧バッテリ51への電力回生は、パワーコントロールユニット(PCU)101により制御される。
【0017】
また、補機バッテリ52は、走行駆動用モータ100を除く車載電気負荷である低圧負荷110に電力を供給する低圧電源として設けられる12V系の二次電池である。追加バッテリ53は、太陽電池10によって発電された電力を一時的に蓄電しておくための二次電池であって、本実施形態においては、補機バッテリ52よりもやや高い定格電圧のものが使用される。
【0018】
高圧バッテリ51の定格電圧をV1とし、補機バッテリ52の定格電圧をV2とし、追加バッテリ53の定格電圧をV3とした場合、本実施形態の太陽光発電システムにおいては、V1>V3>V2の関係を有する。定格電圧V2と定格電圧V3との関係は、必ずしもV3>V2とする必要はない。
【0019】
各バッテリ51,52,53には、それぞれ蓄電状態(SOC:State of Charge)を検出するSOCセンサ54,55,56が設けられる。SOCセンサ54,55,56は、バッテリの満充電に対する実際の充電状態の指標を表す情報であるSOCを出力する。
【0020】
充電ECU20は、発電出力ケーブル11を介して太陽電池10と接続され、太陽電池10の出力する発電電力を受電する。また、充電ECU20は、高圧充電ケーブル61、補機充電ケーブル62、追加充電ケーブル63により高圧バッテリ51、補機バッテリ52、追加バッテリ53と接続される。これにより、各バッテリ51,52,53と充電ECU20との間の充電路が形成されている。尚、充電ECU20は、充電ECU20の作動に必要な電力を補機バッテリ52および太陽電池10から供給されるように電源部が構成されている。
【0021】
充電ECU20には、発電出力ケーブル11に接続され発電電力の通電路となる受電ライン21が設けられる。受電ライン21には、その途中にセンサ部22が設けられる。センサ部22は、受電ライン21に流れる電流を検出する電流センサと、受電ライン21の電圧を検出する電圧センサとを備えている。受電ライン21には、センサ部22の二次側(発電電力を受電する側を一次側と呼び、発電電力を蓄電装置50に供給する側を二次側と呼ぶ)に主DC/DCコンバータ30が設けられている。主DC/DCコンバータ30は、太陽電池10から入力した発電電力を昇圧あるいは降圧して出力する昇降圧回路である。主DC/DCコンバータ30が電力を出力する二次側ラインを主ライン23と呼ぶ。
【0022】
主ライン23は、高圧バッテリ51に電力供給する通電路となる第1ライン24と、補機バッテリ52に電力供給する通電路となる第2ライン25と、追加バッテリ53に電力供給する通電路となる第3ライン26とに分岐する。第1ライン24には、第1DC/DCコンバータ31が設けられる。第1DC/DCコンバータ31は、主DC/DCコンバータ30から出力された電力を入力し、出力電圧が高圧バッテリ51の充電に適した高圧バッテリ充電設定電圧となるように昇圧し、昇圧した電力を高圧充電ケーブル61を介して高圧バッテリ51に供給する昇圧回路である。第2ライン25には、第2DC/DCコンバータ32が設けられる。第2DC/DCコンバータ32は、主DC/DCコンバータ30から出力された電力を入力し、その出力電圧が補機バッテリ52の充電に適した補機バッテリ充電設定電圧となるように昇圧あるいは降圧し、電圧調整した電力を補機充電ケーブル62を介して補機バッテリ52に供給する昇降圧回路である。第3ライン26は、追加充電ケーブル63を介して追加バッテリ53に接続される。尚、上記の受電ライン21、主ライン23、第1ライン24,第2ライン25,第3ライン26は、それぞれ、電力ラインとグランドラインとの2つのラインから構成されている。各ケーブル11,61,62,63についても同様である。
【0023】
このように、充電ECU20は、主DC/DCコンバータ30、第1DC/DCコンバータ31、第2DC/DCコンバータ32により充電器を構成している。太陽電池10によって発電された電力は、通常の処理においては、追加バッテリ53に一時的に蓄電される。このため、主DC/DCコンバータ30の出力電圧は、追加バッテリ53の充電設定電圧となるように調整される。この太陽光発電システムにおいては、主DC/DCコンバータ30と第2DC/DCコンバータ32とが、それぞれ昇圧機能と降圧機能とを有するため、太陽電池10の定格電圧、補機バッテリ52の定格電圧、追加バッテリ53の定格電圧の大小関係が異なる場合にも対応することができる。また、充電先のバッテリを適宜切り替えることができる。
【0024】
充電ECU20には、マイコン40が設けられる。マイコン40は、各DC/DCコンバータ30,31,32の作動を制御する。マイコン40は、各DC/DCコンバータ30,31,32の作動制御にあたっては、センサ部22のセンサ信号を読み込み、太陽電池10の発電状態が蓄電装置50を適切に充電できる状態となっているかを判断する。太陽電池10は、日照強度が低い場合には発電電力が低下するため、発電電力が充電ECU20自身の消費電力よりも高い場合にのみ充電ECU20を起動させるべきである。従来装置においては、発電電圧が設定電圧を超えたときに充電ECU20を起動させる構成を採用しているが、その場合には、
図5に示す太陽電池10の出力電圧特性の関係から、日照強度が低く十分な発電電力が得られない状態でも太陽光発電システムが起動されてしまう。また、充電ECU20は、高圧バッテリ51から電力供給される走行駆動用モータ100の駆動を制御する他のECUと通信可能に接続されており、自身の起動により他のECUを起動させてしまうことになる。そこで、本実施形態においては、発電状態を検出する検出インターバルを設定し、その検出インターバルで設定される検出タイミングにおいてのみ発電状態を検出することにより、充電ECU20の起動頻度を検出インターバルによって制限する。しかも、検出タイミングにおける発電電圧が設定電圧に満たない場合には、検出インターバルを徐々に長くしていくように補正することで、無駄に充電ECU20が起動して充電を行うことを抑制する。
【0025】
<ソーラー充電制御ルーチンの実施形態>
以下、太陽電池10の発電電力の充電制御(ソーラー充電制御と呼ぶ)について
図2を用いて説明する。
図2は、マイコン40の実施するソーラー充電制御ルーチンを表す。本ルーチンは、太陽光発電システムを作動させるための所定の操作が行われた後から繰り返される。
【0026】
まず、マイコン40は、ステップS11において、検出インターバルを表すタイマ設定値Tsetを初期値Tset0に設定し、続くステップS12において、計時タイマをスタートさせる。続いて、マイコン40は、ステップS13において、自身をスリープ状態にして消費電力を最小限に維持する。スリープ状態であっても、計時タイマの機能は維持されている。マイコン40は、ステップS14,S15において、タイマ値tがタイマ設定値Tset以上となると起動する。これにより充電ECU20が起動して、蓄電装置50への充電動作が可能状態となる。続いて、マイコン40は、ステップS16において、センサ部22の電圧センサにより検出される発電電圧Vを読み込み、ステップS17において、発電電圧Vが発電判定閾値Vref以上であるか否かを判断する。この発電電圧Vは、太陽電池10から負荷に電流を流していない状態における出力電圧、つまり、太陽電池10の開放電圧を表す。
【0027】
例えば、夜間においては、太陽電池10から発電電圧が出力されない。この場合には、ステップS17の判断は、「No」となり、マイコン40は、ステップS18において、タイマ設定値Tsetを加算設定値αだけ増加補正する(Tset←Tset+α)。続いて、マイコン40は、ステップS19において、計時タイマをリスタートさせ、その処理をステップS13に戻す。つまり、タイマ値tをゼロクリアした後、計時を開始して、自身をスリープ状態に戻す。日射が得られない状況では、こうした処理が繰り返される。この場合には、タイマ設定値Tsetが時間の経過とともに増加補正され、マイコン40の起動インターバル(発電電圧の判定インターバル)が徐々に長くなっていく。このため、充電ECU20の起動に係る消費電力を抑えることができる。また、充電ECU20の起動に連動する他のECUの起動頻度を低く抑えて、他のECUの起動に係る消費電力をも抑制することができる。
【0028】
こうした処理が繰り返され、日照強度が増加すると、発電電圧Vが上昇し、ステップS17の判断が「Yes」となる。この場合、マイコン40は、ステップS20において、タイマ設定値Tsetを初期値Tset0に戻す。続いて、ステップS21において、充電試行処理を実施する。この処理は、太陽電池10の出力電力の測定を目的とした一時的な処理であって正規の充電処理ではない。例えば、マイコン40は、主DC/DCコンバータ30のみを一時的に作動させる。これにより、太陽電池10から追加バッテリ53に充電電流が流れる。マイコン40は、ステップS22において、センサ部22の電流センサと電圧センサとのセンサ値を読み込んで、太陽電池10から出力された電力Pを計算し、続くステップS23において、電力Pが発電判定閾値Pref1以上であるか否かを判断する。
【0029】
尚、電力は、単位時間当たりに電流がする仕事量を表すため、ステップS22,S23においては、電力Pに代えて、電流センサにより検出された電流Iを読み込み、太陽電池10から流れた電流Iが発電判定閾値Iref1以上であるか否かを判定する構成であってもよい。また、太陽電池10の発電能力を検出するにあたっては、必ずしも、追加バッテリ53への通電を行う必要はなく、例えば、センサ部22と主DC/DCコンバータ30との間の受電ライン21における電力ラインとグランドラインとの間に発電能力判定用の抵抗素子およびスイッチを設けておき、スイッチをオンしてこの抵抗素子に太陽電池10から電流を流して、そのときの電力あるいは電流を検出する構成であってもよい。この場合には、主DC/DCコンバータ30を作動させる必要はない。
【0030】
発電判定閾値Pref1は、充電ECU20の作動に必要な消費電力よりも大きい値に設定されている。ステップS23において、電力Pが発電判定閾値Pref1未満であると判定された場合、太陽電池10は、ある程度の日射を受けて発電をしているものの、その発電電力が充電ECU20の消費電力よりも小さい状況であると判断することができる。そこで、マイコン40は、ステップS23において「No」と判定した場合には、その処理をステップS19に戻す。これにより、計時タイマがリスタートされ、マイコン40はスリープ状態となる。この場合、タイマ設定値Tsetは初期値Tset0に戻されている。つまり、発電状態を検出する検出インターバルが初期のインターバルに戻される。この理由は、発電電圧Vが発電判定閾値Vref以上である場合には、発電電圧Vが発電判定閾値Vref未満である場合に比べて、その後、発電電力が増加してくる可能性が高いからである。
【0031】
こうした処理が繰り返され、ステップS23において、電力Pが発電判定閾値Pref1以上である判定された場合、マイコン40は、ステップS24において、充電制御を実施する。この場合、主DC/DCコンバータ30を作動させて、太陽電池10から追加バッテリ53に充電電流を流す。これにより、追加バッテリ53が充電される。マイコン40は、ステップS25において、太陽電池10の出力する電力Pが発電判定閾値Pref2未満であるか否かについて判断し、電力Pが発電判定閾値Pref2以上となっているあいだは、ステップS24の充電制御を継続する。この発電判定閾値Pref2は、充電ECU20の消費電力よりもやや大きい値であって、かつ、発電判定閾値Pref1よりも小さな値に設定されている。
【0032】
マイコン40は、太陽電池10の出力する電力Pが低下して発電判定閾値Pref2未満になると、追加バッテリ53の充電を終了して、その処理をステップS19に進める。これにより、計時タイマがリスタートされ、マイコン40は上述した処理を繰り返す。
【0033】
マイコン40は、ステップS24の充電制御中に各SOCセンサ54,55,56により検出されるSOCを読み込み、追加バッテリ53のSOCが基準値に達したとき、あるいは、高圧バッテリ51のSOCが基準値を下回ったとき、主DC/DCコンバータ30に加えて第1DC/DCコンバータ31を作動させて、追加バッテリ53から高圧バッテリ51に電力供給する。この場合、マイコン40は、太陽電池10が発電している電力を有効利用するために、その発電電力と追加バッテリ53の出力電力との両方を高圧バッテリ51に供給するように主DC/DCコンバータ30の出力電圧を制御する。例えば、主DC/DCコンバータ30の出力電圧を追加バッテリ53の出力電圧と同じとなるように制御する。また、マイコン40は、ステップS24の充電制御中に補機バッテリ52のSOCの低下を検出したとき、主DC/DCコンバータ30に加えて第2DC/DCコンバータ32を作動させて、太陽電池10が発電している電力を補機バッテリ52に供給して補機バッテリ52を充電する。
【0034】
以上説明したように。本実施形態の太陽光発電システムにおいては、太陽電池10の発電した電力を蓄電装置50に充電するための充電開始条件が設定されており、この充電開始条件が成立しない場合には、次回の発電能力の検出タイミングまでマイコン40をスリープ状態にして充電動作を禁止し、充電開始条件が成立した場合にのみ、蓄電装置50の充電を開始する。この充電開始条件は、太陽電池10の発電電圧Vが発電判定閾値Vref以上であること(以下、第1条件と呼ぶ)と、太陽電池10の出力電力が発電判定閾値Pref1以上であること(以下、第2条件と呼ぶ)とのアンド条件である。マイコン40は、所定の検出インターバルで第1条件の成立の有無を判定し、第1条件が成立していない場合には、その時点で(第2条件の成立の有無を判定することなく)、次の発電電圧の検出タイミングまで自身をスリープ状態に維持する。また、第1条件が成立しなかった場合には、検出インターバルを加算設定値αだけ増加させる。これにより、検出インターバルは、充電ECU20による充電動作が禁止された連続回数の増加にしたがって増加補正される。この結果、太陽光発電に必要な日射が得られない状況においては、検出インターバルが徐々に増加されるため、充電ECU20の起動頻度を少なくすることができる。また、第1条件が成立しなかった場合には、太陽電池10の出力電力を検出するための処理(充電試行)が行われないため、その分の消費電力を抑えることができる。これらの結果、充電ECU20の耐久性の向上と消費電力の低減とを図ることができる。
【0035】
また、太陽電池10の発電が開始された後であっても、太陽電池10の出力できる電力が発電判定閾値Pref1未満である場合には、第2条件が成立しない。このため、充電ECU20により蓄電装置50の充電が開始されない。従って、充電ECU20の作動により、蓄電装置50のSOCが逆に低下してしまうことを防止する。
【0036】
例えば、検出インターバルを最初から長めの一定値に設定した場合には、日射の変化に対応できず、蓄電装置50を充電すべきタイミングに対して実際に充電を開始するタイミングが大幅に遅れてしまうことがある。つまり、発電電力の充電機会を逃がしてしまうことがある。かといって、検出インターバルを最初から短めの一定値に設定した場合には、マイコン40の起動頻度が増加してしまうし、第1条件が成立した場合には、第2条件の成立の有無を判断するために、充電試行頻度が増加してしまう。従って、主DC/DCコンバータ30の作動頻度が増加してしまい耐久性の面においても好ましくない。
【0037】
そこで、本実施形態においては、第1条件が成立しないような状況、つまり、太陽電池10の開放電圧Vが発電判定閾値Vrefに満たない状況においては、太陽電池10の発電量がすぐには増加してこないケースが多いため、検出インターバルを徐々に増加させる。これにより、充電機会を逃がさないようにしつつ、充電ECU20の起動頻度を低減することができる。また、第1条件が成立した場合でも、そのまま蓄電装置50の充電動作を開始せずに、第2条件の成立の有無を判定し、太陽電池10の発電できる電力が充電ECU20の消費電力よりも大きくなってから充電動作を開始する。この結果、太陽電池10の発電電力を適切に蓄電装置50に充電することができる。
【0038】
尚、本実施形態においては、ソーラー充電制御ルーチンの起動時に、一旦、マイコン40をスリープさせているが、ソーラー充電制御ルーチンの起動時においては、マイコン40をスリープさせないようにする構成であってもよい(起動時のみ、S12〜S15を省略)。ソーラー充電制御ルーチンは、実質的には、ステップS13以降の処理が繰り返し実施されるものであるため、起動時のみにかかる処理は問題とはならない。
【0039】
<ソーラー充電制御ルーチンの変形例1>
次に、ソーラー充電制御ルーチンの変形例1について説明する。この変形例1は、日照強度が低く蓄電装置50への充電が行なわれない状態においても、補機バッテリ52のSOCが低い場合には、補機バッテリ52を充電できるようにしたものである。
図3は、マイコン40の実施する変形例1のソーラー充電制御ルーチンを表す。実施形態のソーラー充電制御ルーチンと同じ処理については、図面に実施形態(
図2)と同一のステップ符号を付して説明を省略する。この変形例1のソーラー充電制御ルーチンでは、実施形態のソーラー充電制御ルーチンに対してステップS31,S32,S33,S34,S35の処理を追加したものである。
【0040】
マイコン40は、ステップS17において、発電電圧Vが発電判定閾値Vref未満であると判定した場合、ステップS31において、補機充電フラグFを読み込み、補機充電フラグFがゼロ(F=0)であるか否かを判断する。この補機充電フラグFは、後述するように補機バッテリ52を充電している時に「1」に設定されるものである。また、補機充電フラグFは、本ルーチンの起動時にはゼロに設定されている。マイコン40は、補機充電フラグFが「0」であれば、その処理をステップS18に進め、補機充電フラグFが「1」であれば、ステップS18の処理をスキップする。この処理は、補機バッテリ52の充電中に検出インターバルを何度も増加させないようにするためのものである。
【0041】
続いて、マイコン40は、ステップS32において、補機バッテリ52のSOCセンサ55により検出されるSOC(SOC2と呼ぶ)を読み込み、SOC2が補機充電開始判定閾値SOC2ref未満であるか否かを判断する。マイコン40は、SOC2が補機充電開始判定閾値SOC2ref未満である場合には、ステップS33において、第2DC/DCコンバータ32の作動を制御して、追加バッテリ53から補機バッテリ52に充電する。この場合、マイコン40は、第2DC/DCコンバータ32の出力電圧を補機バッテリ52の充電に適した設定電圧に設定して第2DC/DCコンバータ32を作動させる。これにより、追加バッテリ53に蓄積された電力により補機バッテリ52を充電することができる。
【0042】
続いて、マイコン40は、ステップS34において、補機充電フラグFを「1」に設定して、その処理をステップS16に戻す。こうして、太陽電池10の発電電圧Vが発電判定閾値Vref未満となっている間、補機バッテリ52のSOC2が補機充電開始判定閾値SOC2refに到達するまで、補機バッテリ52への充電が継続される。この場合、ステップS31の判断により(S31:No)、タイマ設定値Tsetの増加補正が行われないようになっている。尚、補機バッテリ52の充電中に、太陽電池10の発電電圧Vが発電判定閾値Vref以上となった場合でも、太陽電池10の出力する電力Pが発電判定閾値Pref1未満である場合には(S23:No)、その処理がステップS32に進められ、補機バッテリ52の充電が継続される。また、補機バッテリ52の充電の途中で太陽電池10の出力する電力Pが発電判定閾値Pref1以上となると(S23:Yes)、補機バッテリ52の充電が終了し、追加バッテリ53の充電が開始される(S22,S23)。
【0043】
マイコン40は、こうした処理を繰り返し、補機バッテリ52のSOC2が補機充電開始判定閾値SOC2ref以上になると(S32:No)、ステップS35において、補機充電フラグFを「0」に設定し、続く、ステップS19にて、計時タイマをリスタートさせる。尚、補機充電開始判定閾値SOC2refに関しては、補機バッテリ52の充電を開始するための閾値と、充電を終了させるための閾値とにヒステリシスを持たすとよい。
【0044】
以上説明した変形例1のソーラー充電制御ルーチンによれば、実施形態の作用効果に加えて、太陽光発電により補機バッテリ52を充電することができない場合であっても、追加バッテリ53を使って補機バッテリ52を適切に充電することができるという効果を奏する。
【0045】
尚、充電ECU20は、その電源として補機バッテリ52と太陽電池10とから電力供給を受けるように電源回路が構成されている。従って、補機バッテリ52のSOCが低下して、補機バッテリ52の出力電圧が充電ECU20の作動可能電圧に満たなくなった場合であっても、日射によって太陽電池10が発電している場合には、発電電力によって充電ECU20を起動させることができる。これにより、追加バッテリ53を使って補機バッテリ52を充電することができ、補機バッテリ52のバッテリ上がりを防止することができる。
【0046】
<ソーラー充電制御ルーチンの変形例2>
次に、ソーラー充電制御ルーチンの変形例2について説明する。この変形例2は、太陽光発電のできない時間帯において、マイコン40のスリープ状態を維持させるようにしたものである。
図4は、マイコン40の実施する変形例2のソーラー充電制御ルーチンの特徴部分を示す。この変形例2は、実施形態のソーラー充電制御ルーチンのステップS19の処理の前に、ステップS41〜ステップS43の処理を追加したものである。従って、この追加処理について説明する。
【0047】
マイコン40は、充電開始条件が成立しない場合(S17:No,S23:No)、あるいは、蓄電装置50の充電制御が終了すると(S25:Yes)、ステップS41において、現在時刻が太陽光発電のできない時間帯(夜間と呼ぶ)であるか否かを判断する。マイコン40は、時計機能を有する車載器(例えば、ナビゲーション装置)から時刻情報を取得する機能を備えており、この時刻情報で表される現在の時刻が夜間であるか否かを判断する。マイコン40は、夜間となる時間帯を予め記憶しており、この時間帯と現在時刻とに基づいて判断する。尚、太陽光発電のできない時間帯は年間を通じて変化するため、時刻情報に加えてカレンダー情報(現在の月日を表す情報)を取得できる構成である場合には、夜間として設定される時間帯をカレンダー情報に基づいて可変設定することが好ましい。
【0048】
マイコン40は、ステップS41において「Yes」と判定した場合には、ステップS42において、現在時刻から夜間が終了する時刻(日の出時刻)までの時間Tsunを演算する。続いて、マイコン40は、ステップS43において、タイマ設定値Tsetを時間Tsunに設定し(Tset←Tsun)、その処理をステップS19に進めて、上述した処理を実行する。尚、マイコン40は、ステップS43においてタイマ設定値Tsetを時間Tsunに設定した場合には、そのことを履歴データとして記憶しておき、夜間が終了して起動した場合に、履歴データに基づいて、タイマ設定値Tsetを初期値Tset0に戻す処理を行う。
【0049】
以上説明した変形例2のソーラー充電制御ルーチンによれば、太陽光発電のできない夜間においては、マイコン40の起動が禁止されるため、一層、充電ECU20の消費電力を抑えることができる。尚、この変形例2のソーラー充電制御ルーチンは、変形例1にも適用することができる。この場合、ステップS41〜ステップS43の処理を、ステップS35とステップS19との間に組み込めばよい。
【0050】
以上、本実施形態の充電制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、充電制御装置は、車両に搭載された太陽光発電システムに適用されるものであるが、他の太陽光発電システムに適用されるものであってもよい。例えば、家庭用、業務用の太陽光発電システムに適用されるものであってもよい。また、本実施形態においては、蓄電装置50は、3つのバッテリ51,52,53を備えているが、少なくとも1つの二次電池を備えたものであればよい。
【0052】
また、本実施形態においては、第1条件が成立しないときに検出インターバルを増加させる構成であるが(S17,S18)、第1条件が成立し、かつ、第2条件が成立しない場合においても検出インターバルを増加させる構成であってもよい。この場合、ステップS20の処理は、ステップS23で「Yes」と判定された直後に行うようにすればよい。また、ステップS23で「No」と判定された場合の移行先をステップS18とすればよい。また、検出インターバルを増加させるための加算設定値αは、その上限値が設定されるものであるとよい。
【0053】
また、検出インターバルの可変設定にあたっては、本実施形態では加算設定値αずつ徐々に増加させるようにしているが、例えば、長短2種類の検出インターバルを切り替えるようにしてもよい。また、検出インターバルを指数関数的に増加させるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、2つの条件(第1条件、第2条件)が成立することを充電開始条件としているが、例えば、第1条件のみ、あるいは、第2条件のみを充電開始条件とした構成であってもよい。