特許第5798615号(P5798615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライフェンホイザー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー マシーネンファブリークの特許一覧

<>
  • 特許5798615-ローラ機構 図000002
  • 特許5798615-ローラ機構 図000003
  • 特許5798615-ローラ機構 図000004
  • 特許5798615-ローラ機構 図000005
  • 特許5798615-ローラ機構 図000006
  • 特許5798615-ローラ機構 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798615
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ローラ機構
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/46 20060101AFI20151001BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20151001BHJP
   F16C 13/02 20060101ALI20151001BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20151001BHJP
   B29C 43/24 20060101ALI20151001BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   B29C43/46
   F16H19/04 K
   F16C13/02
   F16C13/00 Z
   B29C43/24
   B29L7:00
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-262991(P2013-262991)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-128973(P2014-128973A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】12199014.7
(32)【優先日】2012年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510252841
【氏名又は名称】ライフェンホイザー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー マシーネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ベーム
【審査官】 越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−271950(JP,A)
【文献】 特開2008−126497(JP,A)
【文献】 特開2001−300956(JP,A)
【文献】 特開昭57−112496(JP,A)
【文献】 特開昭64−064815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
F16C 13/00−13/06
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のローラ(2、3)が支持枠(16)に固定され、ローラ間にローラ間隙(4)を形成することができ、ローラ(2、3)の先端が軸受け(5、6、7、8)に回転可能に取り付けられ、ローラ(2、3)の内少なくとも1本が繰出ローラとして形成されて、ローラ間隙(4)を変更しつつ繰出ローラの軸受け(5、6)を移動することのできる調整システム(9)が該ローラに装備されているローラ機構(1)であって、調整システム(9)が、ラック(10)ならびに、ラックと歯の噛み合うピニオン(11)を備え、該ピニオンがモータ(12)を介して回転駆動可能であり、その際ピニオン(11)とラック(10)の間隔が、両部材間の歯の噛み合いの深さを変更することによって変更可能であることを特徴とするローラ機構。
【請求項2】
ピニオン(11)に作用する偏心歯車装置を介してピニオン(11)とラック(10)の間隔が変更可能であることを特徴とする請求項1に記載のローラ機構(1)。
【請求項3】
ピニオン(11)とモータ(12)を支持枠(16)に固定する際に交換可能なスペーサプレート(120)を間に挟み、スペーサプレート(120)の厚さによってピニオン(11)とラック(10)の間隔が限定されることを特徴とする請求項1に記載のローラ機構。
【請求項4】
ピニオン(11)とラック(10)の間隔が解除可能に固定可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【請求項5】
繰出ローラが両方の軸受け(5、6)にそれぞれ一の調整システム(9)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【請求項6】
繰出ローラの両方の調整システム(9)を介して繰出ローラーの軸受け(5、6)を繰出ローラとともに支持枠(16)に沿って直線状に移動させる請求項5記載のローラ機構(1)。
【請求項7】
調整システム(9)のピニオン(11)とモータ(12)の間に歯車装置(14)が配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【請求項8】
歯車装置(14)が遊星歯車装置として形成されていることを特徴とする請求項7に記載のローラ機構(1)。
【請求項9】
モータ(12)がサーボモータであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【請求項10】
3本のローラ(2、3、15)を含み、そのローラの内2本のローラ(2、15)が繰出ローラとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【請求項11】
繰出ローラ(2、15)の内少なくとも1本が固定ローラ(に対する軸交差を調整することにより、ローラのたわみが補正可能であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のローラ機構(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2本のローラがケーシングに固定され、ローラ間にローラ間隙を形成することができ、ローラの先端が軸受けに回転可能に取り付けられ、ローラの内少なくとも1本が繰出ローラとして形成されて、ローラ間隙を変更しつつ繰出ローラの軸受けを移動することのできる調整システムが該ローラに装備されているローラ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなローラ機構は例えばプラスチックシートおよびプラスチックプレートの製造に使用される。典型的な使用例は、押出工程において形成された溶融物をフラットダイからの流出後に、2本のローラ間の調節可能な平滑用間隙を通して導く、いわゆるカレンダ装置である。溶融物はこの間に冷却されて、シート全面にわたって厚さが均一で外見が均質のシート帯が生じるように形成される。このようないわゆるカレンダシートは例えばポリスチロール、ポリプロピレンないしポリエステルで形成され、特に食品の輸送および保護において、ならびに自動車産業において広く利用される。
【0003】
カレンダ装置には通常ローラが少なくとも2本含まれ、その内の1本は固定式のローラで、少なくとももう1本のローラは繰出ローラとして形成されている。該繰出ローラは調整システムを介して移動可能であり、したがって固定式のローラと調整可能なローラの間の平滑用間隙を異なる大きさに調整することができる。この方法で厚さの異なるシートが製造され得る。
【0004】
周知のカレンダ装置は、その際通常は油圧式調整システムを装備しており、これには様々な欠点がある。とにかくこの場合に使用される油圧作動液(通常はオイル)は、漏れた場合にシート帯を汚染して、これを使用不能にする。さらに、定期的に交換する必要のある油圧液の使用は比較的費用がかかり、相応の装置は比較的大きなスペースを必要とする。結局、油圧システムはここで必要な精度で制御できない場合が非常に多く、したがって調整された平滑用間隙の算定および場合によってはその追加調節のために、費用のかかる追加の測定装置を装備する必要がある。
【0005】
特許文献1により、複数のローラを備え、ラック・ピニオンシステムで構成された調整手段を用いて、最上部のローラの接触面圧をその下に位置する他のローラ上に発生させることのできるカレンダが知られている。間隙調整は最下部のローラを基にして、そこに作用する油圧シリンダを介して実行される。
【0006】
特許文献2および特許文献3は、スピンドル・スピンドルナットシステムを用いたローラ調節装置を有するカレンダを記載する。しかし、このようなスピンドルとその上を移動するスピンドルナットを用いたシステムは、調整性を保証するために両方の調整方向において大きな遊びを設けることが不可避であり、このために、例えばカレンダ装置において正確な間隙調整をするには、このような構造は不適切となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第4434713号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2861504号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第1989038号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上述の技術水準の欠点を克服し、高精度の、理想的には遊びのないローラ間隙の調整を可能にするローラ機構の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は請求項1の特徴を備えたローラ機構により解決される。
本発明の有利な実施形態および発展的形態は従属請求項の対象事項である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ローラ間隙の調整に用いられる調整システムが、ラックならびに、ラックと歯の噛み合うピニオンを備え、ピニオンがモータを介して回転駆動可能であり、その際ピニオンとラックの間隔が、両部材間の歯の噛み合いの深さを変更することによって変更可能であることを考慮する。
【0011】
換言すれば、本発明の中心概念はこれまでローラの繰り出しに用いられてきた油圧システムを電気機械式システムに替えることにある。このようなシステムは、正確な位置決めに関して発明に従って考慮されたラックとピニオンを備えた形態において従来の油圧システムより優れており、油圧システムに対する経済的な代替案となる。
【0012】
詳細には、ラックが繰出ローラの軸受けに作用し、モータを介して駆動可能なピニオンと共に、モータおよびピニオンの回転運動がラックの、したがって繰出ローラの軸受けの直線運動に転換されるように共同作用することが考慮されている。そこで、モータの回転方向に応じて、繰出ローラが固定ローラに接近する方向ないしこれから遠ざかる方向に、ローラ間隙を変更しつつ動かされ得る。その際ラックとピニオンの対応する歯部は、調整距離を非常に正確に調整できるように形成されている。これによってμm幅における最小限の調整距離を移動させることができる。
【0013】
発明に従って考慮されたピニオンとラックの間隔の可変性に基づいて、この噛み合っている、調整装置の両部材間の歯の噛み合いの深さが調整され、変更され得る。通常、ピニオンとこれに対応するラックの歯の噛み合いの深さは、その場合に一般的な歯面間の遊びに基づいて、付属のモータを用いたピニオンの回転時に、ラックの歯切り部におけるピニオン歯部の滑らかな移動を保証する既定の大きさに固定される。しかし、例えば望みの位置に達した後に、ピニオンとラックの間隔を相応に狭めることによって歯の噛み合いの深さをより大きくすると、存在する歯面間の遊びも狭められて理想的にはほぼ完全に排除される。
【0014】
本発明はこの上述の作用を利用して、それ自体が有利なラック・ピニオンシステムを用いた容易な調整を保証し、調整装置内の遊びを排除する。この方法によって実験では既に遊びが1/100mm未満に調整された。
【0015】
ローラ間隙の変更が改めて必要になれば、まず歯の噛み合いの深さ、そしてこれに伴う歯面間の遊びを、ピニオンとラックの間隔を大きくすることによって再び通常のレベルに広げ、次いでピニオンの回転によって望みの調整距離を移動した後に、新たに遊びの排除プロセスを開始することを考慮しておくことができる。
【0016】
しかし、調整は稀にしか必要でないことから、遊びの排除された状態においてもなお調整が可能であるので、調整装置を用いて永続的な調整を行うことも可能である。
【0017】
本発明の代替実施形態においては、ピニオンとモータをケーシングに固定する際に交換可能なスペーサプレートを間に挟み、スペーサプレートの厚さによってピニオンとラックの間隔が限定されるようにすることが考慮されている。スペーサプレートの適切な厚さの選択あるいは該プレートの相応の再加工、例えば機械式材料除去によって、調整装置内の遊びが望みの大きさに排除され得る。
【0018】
本発明の提案に従って、ピニオンに作用する偏心歯車装置を介してピニオンとラックの間隔を変更することができ、該装置は例えばクランクハンドルないし制御可能な駆動装置を介して相応に操作されることによって、ピニオンとラックの間隔を望み通りに変更させる。
【0019】
さらに、安定した調整状態が保証されるように、ピニオン11とラック10の間隔が解除可能に固定可能であることを考慮しておくことができる。この方法によってピニオンによる予圧をラックに対して発生させ、両部材間の遊びを完全に排除することもできる。両部材には、例えば摩擦および磨損を最小限にするために、適切なコーティング、例えばPVDコーティングを施しておくこともできる。
【0020】
ラックおよびピニオンは本発明の提案に従って、より広い歯面支持を実現するために斜歯形状に形成されている。
さらに、ラックはより優れた安定性を達成するために、焼き戻し、研磨ならびにホーニング加工によって形成されている。
【0021】
本発明の実施形態に従って、繰出ローラは両方の軸受けに、ラックとピニオンならびに付属の駆動モータからなる、発明に従った調整システム各1つを装備している。その際、両調整システムが中央制御可能であることが好ましく、それによってローラの非常に精確な平行移動、したがってローラの全長にわたって均一な大きさに形成されたローラ間隙の調整が可能である。
【0022】
本発明のさらに別の提案は、ピニオンと調整システムのモータの間に歯車装置を配置しておくことを考慮する。このような歯車装置によって、例えば駆動装置に歯車比を導入することができる。発明のより好ましい実施形態では、該歯車装置はねじり剛性が高く、歯面間の遊びが少ない遊星歯車装置として形成されており、これによって特に大きな歯車比が実現され得る。
【0023】
ピニオンを駆動するモータは発明の実施形態に従ってサーボモータである。サーボモータはコンパクトな構造形式に加えて、その非常に優れた制御挙動において傑出しており、マイクロメータの精度で目標位置に達することを可能にする。
【0024】
発明に従ったローラ機構のさらに別の実施形態では、3本のローラが考慮されており、そのローラの内少なくとも2本が繰出ローラとして形成されている。このような機構において2つのローラ間隙を調整することができ、例えばカレンダ成形されるべきシート帯を連続的に両方の平滑用間隙を通して導くことができ、それによってカレンダ工程における特に優れた成果が達成され得る。
【0025】
最後に、発明に従ったローラ機構によってさらに、不可避なローラのたわみを補正する目的で、繰出ローラが調整不能なローラの向こう側に横切ることができるように取り付けられた、すなわち両ローラの理想的な中心線がこの場合平行には延びず、相互に僅かに交差して延びる、いわゆる軸交差も可能になり、それによって両ローラ間にたわみのない一定の間隙を調整することができる。
以下において、本発明が実施例に基づき、添付の図面を参考にしてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】発明に従ったローラ機構の模式的俯瞰図である。
図2図1に示したローラ機構の模式的側面図である。
図3】発明に従ったローラ機構の部分図である。
図4】発明に従った、歯面間の遊びを減少させるための原理を示した模式図である。
図5a】発明に従ったローラ機構の図3に相当する代替実施形態を示した図である。
図5b図5aに従った装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および2は全体として1で表示されたカレンダ装置のローラ機構を示しており、該機構には支持枠16に固定されて平行配置された3本のローラ2、3、15が含まれる。3本のローラ2、3、15は全て、先端部が軸受け5、6、7、8、18、19に回転可能に取り付けられており、該軸受けを介して支持枠16と接続している。3本のローラ2、3、15の各々が専用の駆動モータ17を有し、これを介して回転され得る。
中央に配置されたローラ3は固定ローラであり、それに対して両方のローラ2、15は繰出ローラとして形成されている。両繰出ローラはそれぞれ両側に調整システム9を装備しており、これを介して各軸受け5、6、18、19が、中に収容しているローラ2、15と共に支持枠16に沿って直線状に移動され得る。
軸受け5、6、18、19の移動によって、ローラ2と3の間でローラ間隙4が、そしてローラ3と15の間でローラ間隙20が調整され得る。
【0028】
以下に示す、調整システム9の構造および作動方法の説明は、図1の左下に示した、ローラ2の軸受け5を移動するための調整システム9に限定する。ローラ機構の構造的左右対称性に基づいて、ローラ2のもう一方の先端に配置された調整システム9に対しても、ローラ15の位置を制御する両方の調整システム9に対しても同じことが当てはまる。
調整システム9はラック10ならびにこれと共同作用するピニオン11を有する。ラック10は軸受け5に作用する。サーボモータ12および間に挿入された遊星歯車装置14を介して、ピニオン11を回転駆動することができ、これによってさらに、ラック10およびこれと同時に軸受け5が直線状に、支持枠16によって導かれて移動される。サーボモータ12の回転方向に応じて、固定ローラ3に接近する、あるいはこれから遠ざかる移動が行われる。その際サーボモータの使用によって、非常に正確に望みの位置に達することができる。
【0029】
ローラ2を固定ローラ3に対して正確に平行移動して配置することができるように、両軸受け5および6の繰り出し動作を行うための調整システム9は同期駆動される。
前述の調整システム9の操作によって、繰出ローラ2、15が望みの移動距離に達し、固定ローラ3に対するローラ間隙が望みの大きさに調整されると直ぐに、できる限り一定の製品品質を保証する目的で、ローラ間に接触面圧が発生した場合においてもローラ間隙を望みの大きさに維持するために、調整可能なローラの全てができる限り遊びなしで固定される必要がある。
【0030】
この目的でサーボモータ12は、遊星歯車装置14ならびに該装置によって回転駆動されるピニオン11を用いて、図3から明らかなように、外歯を備えた環状の偏心輪90および該外歯に噛み合うピニオン91からなる偏心歯車装置に取り付けられており、該ピニオンは例えば回し工具(図示せず)ないし適切な駆動モータが旋回軸92に作用することによって自転することができ、さらに歯車の噛み合いの結果として偏心輪90をいわばねじり回転させる。
【0031】
図4に示した模式図から明らかなように、偏心輪90を一方ないし反対の回転方向に操作すると、ラック10に噛み合うピニオン11が、図4において矢印Sで示した通り、ラック10の歯元100内部の方向あるいはその反対方向へ移動する。
これに従って、偏心輪90の操作によってピニオン11が矢印Sの方向に右に移動されると、ラック10におけるピニオン11のピニオン歯部111の歯の噛み合いの深さが大きくなり、したがってピニオン11とラック10の間隔Tが相応に狭められる。それに応じてピニオン11とラック10の間の歯面間の遊びも少なくなり、したがってピニオン11とラック10の間にほぼ完全に遊びのない状態が調節され得る。
【0032】
繰出ローラ2、15と固定ローラ3の間のローラ間隙を変更するために調整システム9を改めて操作する必要があれば、その場合はまず、ピニオン11が図4の図に従って矢印Sの方向に左に動かされるように、ピニオン91を用いて偏心輪90を回転させ、それによってピニオン11とラック10の間隔Tを広げることにより、ピニオン11とラック10の間の歯の噛み合いの深さを浅くして、ピニオン11が矢印Rの方向に容易に回転し、その反応として矢印Vの方向に移動されるのに十分な歯面間の遊びを再び得ることができる。この方法によって新たな望みのローラ間隙が調節されると直ぐに、歯の噛合の深さを再びできる限り最小限に減らすために、改めて偏心輪90が操作される。
この代わりとして、歯面間の遊びを永続的に最小限に減らして維持することも、この状態においてもなおラック10におけるピニオン11の動きが可能であることから、可能である。しかし、調節されたラックの遊びが僅かであることからローラ間隙の高精度の調節が可能である。
【0033】
ここでカレンダシートを製造する際には、可塑化装置において製造され、シート押出ダイから流出する溶融流が図1に従ったカレンダ装置に流し込まれ、そこでまずローラ2の上を通って導かれ、次にローラ間隙4を通って流されて、ローラ3の下からローラ間隙20を通り抜けて再びローラ15の上へ導かれる。カレンダ装置には通常、でき上がったシートを巻き付ける巻き取り装置が接続する。カレンダ装置のローラ2、3、15は溶融流を冷却するために冷やされる。
【0034】
図1に示した状況においてローラ間隙4は広く開いており、これは例えばカレンダ成形するべき溶融流が最初に中に通される際に使用される。溶融流がローラ2、3、15を介して導かれ、ローラ間隙4、20を通り抜けると直ぐに、ローラ間隙4を、軸受け5、6の移動により上述の方法で、予め設定した、それぞれのカレンダ工程に必要な大きさになるまで小さくすることができる。このように狭く調節した平滑用隙間は、図1においてはローラ間隙20の例で認識できる。図2の側面図において、繰出ローラとして形成されたローラ2が相応の移動によって相互に離れた2つの位置で示されている。
発明に従った、サーボモータおよび遊星歯車装置を備えたローラ機構を用い、使用されるローラの種類に応じて500000Nまでの把持力および100000Nまでの移動力を示すことができる。この方法で実現可能な移動距離は5μmから2μmの位置決め精度において一般的に150mmから200mmである。
【0035】
発明に従った電気機械式調整システムを備えたローラ機構の利点は、特に正確な制御性ならびに油圧システムに比べて操作がより容易なことにある。それに加えて電気機械式システムは構造方式がよりコンパクトであり、磨損がより僅かである。発明に従ったシステムによって可能な繰出ローラの精確な位置決め性能に基づいて、主としてローラ間隙を追加調整するための追加の測定装置および調整装置を備える必要がなく、したがって、電気機械式システムの使用によって経済的な利点も生じる。
【0036】
図5a、5bに従った実施例においては、ピニオン11を駆動するモータ12が交換可能なスペーサプレート120を間に挟んで支持枠16に固定されており、その際、スペーサプレート120の厚さはピニオン11とラック10の間隔、したがってラック10におけるピニオン11のピニオン歯部の噛合の深さを決定する。
【0037】
ここでスペーサプレート120の厚さを例えば該プレートの交換および/あるいは加工によって変更すると、ピニオン11とラック10の間隔、したがって歯面間の遊びも相応に変化する。スペーサプレート120の厚さをより薄く形成すれば、それだけ上述の遊びがより小さくなる。これによって歯面間の遊びを可能な限り最適な最小限に調節することができる。
【0038】
最後に図5bからは、ここに示した実施例において調整システム9を備えた両方の繰出ローラ2、15が形成されているが、繰出ローラ15には追加として調整システム9に対して90°方向転換して配置された第2の調整システム9aが装備されており、該システムを用いて固定ローラ3に対する軸交差を調整することによって、ローラのたわみが補正され得ることがさらに認識される。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b