【実施例】
【0046】
つぎに、本発明の実施例を比較例と共に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する本発明の上記3つの実施態様のうち、第1の方法により実施したものである。
【0048】
すなわち、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に対して、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を噴霧し、混合添加した後、加熱することなく常温(室温)で所要時間放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート骨材を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材と、セメント、水、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
【0049】
まず、粒径5mm以下に粉砕したごみ焼却灰バーナー溶融スラグ骨材1350gを用意した。この溶融スラグ骨材の金属アルミニウム含有量は、0.20重量%であり、また金属鉄含有量は、0.11重量%であった。
【0050】
ついで、このバーナー溶融スラグ骨材を約5リットルのステンレス鋼製角バットに入れ、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)67.5gを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を加熱することなく室温(試験時は約10℃)で一夜(16時間)放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート細骨材を作製した。
【0051】
なおここで、酢酸カルシウム水溶液の重量%の数値は、酢酸カルシウム水溶液中の酢酸カルシウムのモル濃度を、重量濃度に換算した数値を表す。そして、この重量濃度から、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【0052】
<モルタル膨張試験>
ついで、上記コンクリート細骨材を用いてモルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施した。ここで、モルタル膨張試験は、JIS A 5031の附属書1に基づいて行った。
【0053】
薬剤処理コンクリート細骨材(粒径5mm以下)1350g、ポルトランドセメント1200g、水540g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。ついで、このモルタル混練物を、長さ550mm×径50mm×厚み0.05mmのポリエチレン製袋に約200mmまで充填して、水を400mL入れた1Lメスシリンダーに入れた。メスシリンダーの水面と袋に入れたモルタル面が一致するまで袋を下げ、この時のメスシリンダーの読みから400mLを差し引くことによりモルタルの体積V1(mL)を求めた。そして、袋の上端を結び、これを吊るして24時間、常温で静置して固化させた。
【0054】
そして、固化後、モルタル試験片を先と同様に、水を400mL入れた1Lメスシリンダーに入れ、メスシリンダーの水面と袋に入れたモルタル面が一致するまで袋を下げ、この時のメスシリンダーの読みから400mLを差し引くことにより固化後のモルタルの体積V2(mL)を求め、次式によりモルタル膨張率を求めた。
【0055】
モルタル膨張率(%)=(V2−V1)/V1×100。
【0056】
なお、モルタル膨張率は3個の供試体の平均値を用いた。
【0057】
得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、並びに用いた膨脹抑制剤の種類、膨脹抑制剤水溶液の濃度(重量%)、同水溶液量(g)、同水溶液のpH、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)、乾燥処理条件としての温度(℃)および時間(h)を、下記の表1に示した。
【0058】
実施例2
上記実施例1の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を20重量%(pH:8.3)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
【0059】
比較例1
比較のために、上記実施例1の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として従来の亜硝酸系薬剤(商品名フローリックRES、株式会社フローリック製)を用いた点にある。
【0060】
上記実施例1の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例1の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.9)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【0061】
比較例2
比較のために、上記実施例2の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例2の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度20重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.8)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
【表1】
【0062】
実施例3
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する上記3つの実施態様のうち、第2の方法により実施したものである。
【0063】
すなわち、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに常温(室温)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液に、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
【0064】
まず、上記実施例1で用いたものと同じごみ焼却灰バーナー溶融スラグ1350gを用意した。ついで、約5リットルのステンレス鋼製角バットに水540gを入れ、これにモルタル骨材用膨張抑制剤である酢酸カルシウム6.75gを溶解して、酢酸カルシウム水溶液(pH:7.3)を作製した。この酢酸カルシウム水溶液の濃度は1.25重量%であり、酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
【0065】
その後、上記バーナー溶融スラグ1350gをステンレス鋼製角バットに入れて、上記酢酸カルシウム水溶液に分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得、ついで直ちに、加熱することなく室温(10℃)で、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液1896.75gに、ポルトランドセメント1200g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
【0066】
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表2にあわせて示した。
【0067】
実施例4
上記実施例3の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を2.5重量%(pH:7.4)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
【0068】
実施例5
上記実施例3の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、膨脹抑制剤の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート、Ca:Mgモル比=3:7)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は1.25重量%(pH:8.0)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
【0069】
実施例6
上記実施例4の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例4の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は2.5重量%(pH:8.1)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
【0070】
比較例3
比較のために、実施例1で使用した粒径5mm以下に粉砕したごみ焼却灰バーナー溶融スラグ骨材に、膨張抑制剤を用いることなく、水(pH:7.0)のみを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を、上記実施例1の場合と同様に、乾燥して、コンクリート細骨材を作製した。
【0071】
ついで、得られた比較例1のコンクリート細骨材を用いて、上記実施例1の場合と同様に、モルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施した。得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
【0072】
比較例4
比較のために、上記実施例3の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例3の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度1.25重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【表2】
【0073】
実施例7
コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造する上記3つの実施態様のうち、第3の方法により実施したものである。
【0074】
すなわち、コンクリート骨材用膨張抑制剤であるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩の水溶液を作製し、この酢酸塩水溶液を、粉砕された粒子状の溶融スラグ骨材に所定の割合で加え、溶融スラグ骨材を分散させた後、常温(室温)で所要時間放置して、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を製造する。つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液と、セメント、およびAE減水剤を、所定の割合で配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを製造した。
【0075】
まず、上記実施例1で用いたものと同じごみ焼却灰バーナー溶融スラグ1350gを用意した。ついで、約5リットルのステンレス鋼製角バットに水540gを入れ、これにモルタル骨材用膨張抑制剤である酢酸カルシウム6.75gを溶解して、酢酸カルシウム水溶液(pH:7.3)を作製した。この酢酸カルシウム水溶液の濃度は1.25重量%であり、酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
【0076】
その後、上記バーナー溶融スラグ1350gをステンレス鋼製角バットに入れて、上記酢酸カルシウム水溶液に分散させて、膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液を得た後、室温(10℃)で、約2時間放置した。
【0077】
つぎに、この膨張抑制コンクリート骨材分散水溶液1896.75g、ポルトランドセメント1200g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
【0078】
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表3にあわせて示した。
【0079】
実施例8
上記実施例7の場合と同様にして、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例7の場合と異なる点は、膨脹抑制剤溶液の濃度を2.5重量%(pH:7.4)とした点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、1.0重量%であった。
【0080】
比較例5
比較のために、上記実施例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度1.25重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【0081】
比較例6
比較のために、上記実施例8の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、実施例8の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度2.5重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:7.0)を用いた点にある。亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【表3】
【0082】
比較例7
比較のために、上記実施例1の場合と同じバーナー溶融スラグ骨材を約5リットルのステンレス鋼製角バットに入れ、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の従来の亜硝酸系薬剤水溶液(pH:6.9)67.5gを噴霧し、混合添加した。その後、混合物を、室温(105℃)で一夜(16時間)放置し、乾燥して、膨張抑制コンクリート細骨材を作製した。この亜硝酸系薬剤水溶液の重量濃度から、スラグ骨材に対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【0083】
ついで、従来の薬剤処理コンクリート細骨材(粒径5mm以下)1350g、ポルトランドセメント1200g、水540g、およびAE減水剤60g(原液を1/10に希釈した物)を配合して、ペースト状に練り込み、モルタルを作製した。
【0084】
そして、上記実施例1の場合と同様にしてモルタル膨張試験を実施し、得られたモルタル試験の計測結果であるモルタル膨張率(%)、および用いた膨脹抑制剤の種類等の処理条件を、下記の表4にあわせて示した。
【0085】
比較例8
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、従来の亜硝酸系薬剤水溶液の濃度を20重量%(pH:6.8)とした点にある。重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
【0086】
比較例9
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【0087】
比較例10
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度20重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.3)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、1.0重量%であった。
【0088】
比較例11
比較のために、上記比較例7の場合と同じ方法により、コンクリート骨材用膨張抑制剤を用いてモルタルを製造するが、比較例7の場合と異なる点は、膨脹抑制剤の種類を変更して、CMA(カルシウム・マグネシウム・アセテート、Ca:Mgモル比=3:7)を用いた点にある。CMA水溶液よりなる膨脹抑制剤溶液の濃度は10重量%(pH:8.4)であり、CMA水溶液の重量濃度から計算したスラグに対する膨張抑制剤の添加量は、0.5重量%であった。
【0089】
コンクリート骨材用膨張抑制剤として、濃度10重量%の酢酸カルシウム水溶液(pH:8.0)を用いた点にある。酢酸カルシウム水溶液の重量濃度から、スラグに対する膨張抑制剤の添加量(重量%)を計算すると、0.5重量%であった。
【表4】
【0090】
上記表1〜4の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜8によれば、いずれの場合にも、溶融スラグ骨材中の金属アルミニウムの表面に難溶性の保護皮膜を形成させて、微粒の金属アルミニウムを無害化することができ、モルタル膨張率が低く、モルタル膨張による強度低下を確実に抑制することができて、しかも難溶性保護皮膜の形成時に水素の発生がなく、また加熱
による乾燥
の工程を必要とせず、すなわち加熱
による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができて、製造コストが非常に安くつくものであった。
【0091】
特に、本発明の第2の方法である実施例3、4、5、6によれば、加熱
による乾燥に要する熱エネルギーや時間を削減することができるだけでなく、膨張抑制剤によるコンクリート骨材の前処理工程自体も省略することができ、コンクリートの製造コストが非常に安くつくものである。
【0092】
これに対し、比較例3のように、膨張抑制剤を用いることなく、水のみをバーナー溶融スラグ骨材に噴霧してモルタルを製造した場合には、モルタル試験片の膨張率が高く、バーナー溶融スラグ骨材中に含まれる金属アルミニウムがセメント中のアルカリ成分と反応して水素を発生し、コンクリート中に水素が気泡となって残り、モルタルが膨張したり、結果として強度が低下するという問題があった。
【0093】
また、コンクリート骨材用膨張抑制剤として従来の亜硝酸系薬剤を用いた比較例1,2,4,5,6,7,8の場合には、比較例7と8の場合のように、高温で
の加熱
による乾燥
の処理を行うことにより、低いモルタル膨張率が得られるが、加熱
による乾燥のため熱エネルギーや時間を必要とするという問題があった。そして、その他の高温で
の加熱
による乾燥
の処理を行わない比較例1〜6では、本発明の実施例に比べて、いずれもモルタル膨張率が高いものであった。そして、いずれにしても、従来の亜硝酸系薬剤よりなるコンクリート骨材用膨張抑制剤は、価格が非常に高いという問題があった。
【0094】
さらに、コンクリート骨材用膨張抑制剤として酢酸カルシウムやCMAを用いた比較例9〜11の場合には、高温で
の加熱
による乾燥
の処理を行うことにより、低いモルタル膨張率が得られるが、加熱
による乾燥のため
の熱エネルギーや時間を必要とし、コンクリートの製造コストがアップするおそれがあるという問題がある。
【0095】
なお、上記実施例では、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酢酸塩を含む膨張抑制剤を用いてモルタルを製造し、モルタル膨張試験を実施したが、該膨張抑制剤を用い、さらに砂利などのコンクリート粗骨材を混合してコンクリートを製造し、コンクリート強度試験を実施する場合にも、同様に、セメント中のアルカリ成分との反応による水素発生を防止し、コンクリートの膨張を2%以下の適正値に確実に抑制することができるとともに、コンクリートの強度低下を抑制することができるものである。