(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、巻き上げ時のスプールの回転をモータで行う電動リールは、たとえば、100m以上の水深を回遊する魚を船の上から釣るときによく使用される。この種の電動リールは、リール本体と、リール本体に装着されたスプールと、スプールを回転させるハンドルと、スプールを巻き上げ方向に回転させるモータとを備えている。リール本体の上面には、カウンタケースが装着されており、このカウンタケースの上面には、水深表示用の液晶ディスプレイを有する表示部と、オン操作されているときのみモータを回転させオン操作されていないときモータを停止させる寸動スイッチや、各種モードの切り替え等を行うモード切り換えスイッチ等の複数のスイッチ操作部とが設けられ、カウンタケースのハンドル側の側面には、モータの回転速度、すなわち、スプールの巻き上げ速度を変更する速度調整レバーが設けられている。
【0003】
このような電動リールでは、速度調整レバーを所定の第1位置に揺動操作して速度調整レバーの所定の第1位置に対応する所定の第1速度でモータを回転させているとき、寸動スイッチをオン操作すると、寸動スイッチが速度調整レバーより優先して働く、すなわち、速度調整レバーのオン操作及び速度設定が無効になり、寸動スイッチのオン操作及び速度設定が有効になることによって、寸動スイッチをオン操作している間予め別の設定スイッチで設定された寸動スイッチの速度設定の速度でモータを回転させる。そして、寸動スイッチをオン操作している状態で速度調整レバーを所定の第2位置に揺動操作し、寸動スイッチをオフ操作すると、速度調整レバーが働く、すなわち、寸動スイッチのオン操作及び速度設定が無効になり、速度調整レバーのオン操作及び速度設定が有効になることによって、速度調整レバーの所定の第2位置に対応する所定の第2速度でモータを回転させるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の電動リールは、速度調整レバーの速度は、速度調整レバーの揺動操作によって、釣人の所望する速度に容易に設定できるが、寸動スイッチの速度は別の設定スイッチで設定する必要がある。このため、釣人が速度調整レバーの揺動により設定した最適な速度調整レバーの速度を寸動スイッチの速度にするには、その都度釣人が寸動スイッチを操作して実際の巻き上げ速度を確認しながら、設定スイッチで階層メニューを表示させてから寸動スイッチの速度を設定しなくてはならず、非常に手間が掛かるとともに、釣人が所望する最適な寸動スイッチの速度を迅速かつ容易に得ることが困難である。
【0006】
本発明の課題は、電動リールにおいて、釣人が所望する最適な寸動スイッチの速度を迅速かつ容易に得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る電動リールは、釣り糸を巻き取る電動リールであって、リール本体と、リール本体に回転自在に支持された糸巻き用のスプールと、スプールを回転させるモータと、モータの駆動を制御するモータ制御部と、リール本体に揺動自在に設けられ、揺動位置に応じた回転速度でモータを停止状態から最大回転状態の間で回転させるレバー状の第1操作部材と、リール本体に設けられ、オン操作されているときのみモータを回転させ、オン操作されていないときモータを停止させる第2操作部材とを備えている。モータ制御部は、第1操作部材が所定の位置に揺動操作されてモータが所定の回転速度で回転しているとき、第2操作部材がオン操作されると、第1操作部材によって設定されたモータを所定の回転速度で回転させ続けるとともに、第1操作部材によって設定された所定の回転速度を記憶する制御を行う。
【0008】
この電動リールでは、第1操作部材(速度調整レバー)を所定の位置に揺動操作(オン操作)して第1操作部材の所定の位置に対応する所定の速度でモータを回転させているとき、第2操作部材(寸動スイッチ)をオン操作すると、第1操作部材が第2操作部材より優先して働く、すなわち、第2操作部材のオン操作が無効になり、第1操作部材のオン操作及び速度設定が有効になることによって、第1操作部材の所定の位置に対応する所定の速度でモータを回転させるとともに、予め設定された第2操作部材の速度が第1操作部材の所定の速度に変更・記憶されるようになっている。ここでは、釣人が第1操作部材の揺動により設定した最適な第1操作部材の速度を第2操作部材の速度に自動的に釣人が他に操作することなく設定されるので、釣人が所望する最適な第2操作部材(寸動スイッチ)の速度を迅速かつ容易に得ることができる。
【0009】
発明2に係る電動リールは、発明1の電動リールにおいて、モータ制御部は、第1操作部材によって設定された所定の回転速度を、第1操作部材のオフ操作によってモータの回転が停止した後に再度第2操作部材がオン操作されたときのモータの回転速度に設定する制御を行う。この場合、第1操作部材を停止位置に揺動操作(オフ操作)して、第2操作部材をオン操作すると、第2操作部材の速度が変更された第1操作部材の所定の速度でモータを回転させるようになっている。
【0010】
発明3に係る電動リールは、発明1又は2の電動リールにおいて、モータ制御部は、第1操作部材が所定の位置に揺動操作されてモータが所定の回転速度で回転しているときにおいて、所定の停止条件が満たされたと判断されてモータの回転を停止させているとき、第2操作部材がオン操作されると、モータの回転を停止させ続けるとともに、第1操作部材によって設定された所定の回転速度を、第1操作部材をオフ操作した後に再度第2操作部材がオン操作されたときのモータの回転速度に設定する制御を行う。この場合、所定の停止条件として、たとえば仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置に位置したときにモータの回転を停止(船縁停止)するようにした場合、船縁停止するまでに釣人が第1操作部材の揺動により設定した最適な第1操作部材の速度を第2操作部材の速度に自動的に釣人が他に操作することなく設定されるので、釣人が所望する最適な第2操作部材(寸動スイッチ)の速度を迅速かつ容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動リールにおいて、第1操作部材が所定の位置に揺動操作されてモータが所定の回転速度で回転しているとき、第2操作部材がオン操作されると、第1操作部材によって設定されたモータを所定の回転速度で回転させ続けるとともに、第1操作部材によって設定された所定の回転速度を、第1操作部材のオフ操作によってモータの回転が停止した後に再度第2操作部材がオン操作されたときのモータの回転速度に設定するようになっているので、釣人が第1操作部材の揺動により設定した最適な第1操作部材の速度を第2操作部材の速度に自動的に釣人が他に操作することなく設定され、釣人が所望する最適な第2操作部材(寸動スイッチ)の速度を迅速かつ容易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態を採用した電動リールは、
図1及び
図2に示すように、外部電源から供給された電力によりモータ駆動される大型の電動リールであって、糸繰り出し長さ又は糸巻き取り長さに応じて仕掛けの水深を表示する水深表示機能を有する電動リールである。
【0014】
電動リールは、釣竿に装着可能なリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール10の回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3と、本発明の一実施形態による水深表示用のカウンタケース4とを主に備えている。
【0015】
リール本体1は、フレーム7と、フレーム7の左右を覆う第1側カバー8a及び第2側カバー8bと、フレーム7の前部を覆う前カバー9(
図2参照)とを有している。フレーム7は、たとえば、ガラス繊維を含浸したポリアミド樹脂等の合成樹脂製であり、第1側板7a及び第2側板7bと、それらを下部、後部及び前上部の3箇所で連結する複数の連結部材7cとを有している。
【0016】
リール本体1の内部には、モータ12及びハンドル2に連結された糸巻き用のスプール10が回転自在に支持されている。スプール10の内部に、スプール10を糸巻き取り方向に回転駆動するモータ12が配置されている。また、リール本体1の内部には、スプール10に連動して動作するレベルワインド機構13(
図2参照)やハンドル2及びモータ12の回転をスプール10に伝達する図示しない回転伝達機構等が設けられている。回転伝達機構に設けられた図示しない遊星歯車機構にモータ12が連結されている。
【0017】
ハンドル2側の第2側カバー8bの中央下部には、
図1に示すように、ハンドル2が回転自在に支持されている。また、ハンドル2の支持部分の上方前部には、モータ12を複数段階に制御するための調整レバー5が揺動自在に支持されている。調整レバー5の後方には、クラッチ操作部材11が揺動自在に配置されている。クラッチ操作部材11は、ハンドル2及びモータ12とスプール10との駆動伝達をオン、オフする図示しないクラッチをオン、オフ操作するための部材である。このクラッチをオンすると、仕掛けの自重による糸繰り出し中に、糸繰り出し動作を停止できる。ハンドル2と逆側の第1側カバー8aには、電源ケーブル接続用のコードコネクタ14が下向きに装着されている。
【0018】
前カバー9には、
図2に示すように、釣り糸通過用の横長の開口9aが形成されている。下部の連結部材7cには、電動リールを釣竿に装着するための竿装着脚部7dが形成されている。
【0019】
リール本体1の第1側板7a及び第2側板7bの上部に、
図1及び
図2に示すように、釣り糸の先に装着された仕掛けの水深を表示するカウンタケース4が固定されている。
【0020】
カウンタケース4は、
図2及び
図3に示すように、リール本体1の前上部に載置されており、リール本体1の第1側板7a及び第2側板7bに固定されている。カウンタケース4の上面部には、液晶ディスプレイを有する表示部62が設けられ、カウンタケース4の内部には、各種の制御を行う制御部63(
図4参照)を備えている。
【0021】
また、表示部62の後方には、
図3に示すように、寸動巻き上げスイッチSW1、モード切り換えスイッチSW2及び0セットスイッチSW3が配置されている。
【0022】
寸動巻き上げスイッチSW1は、スイッチ操作をしている間だけモータ12を駆動し釣り糸を少しだけ巻き上げるためのスイッチである。
【0023】
モード切り換えスイッチSW2は、モードを切り換えるためのスイッチである。モード切り換えスイッチSW2を操作する毎に上からモード(仕掛けの水深を水面からの深さで表示するモード)と、底からモード(仕掛けの水深を水底からの水深で表示するモード)とに切り換える。また、モード切り換えスイッチSW2を3秒以上長押しすると、寸動巻き上げ速度を変更するモードに移行し、後述する表示部62のタイマ速度表示領域62cに現在の寸動巻き上げ速度が点滅表示される。そして、調整レバー5の前後方向の揺動操作又はモード切り換えスイッチSW2の押圧操作の回数によって、寸動巻き上げ速度を増減し、0セットスイッチSW3を操作することによって、寸動巻き上げ速度が設定され、タイマ速度表示領域62cが点灯表示になる。
【0024】
0セットスイッチSW3は、3秒以上操作すると、カウンタを0にリセットするためのスイッチである。
【0025】
表示部62は、
図3に示すように、上側中央に配置された3桁表示の水深表示領域62aと、その右下方に配置された3桁表示のメモ水深表示領域62bと、水深表示領域62aの左下方に配置された2桁表示のタイマ速度表示領域62cとを有している。表示部62のタイマ速度表示領域62cの上方には「通信中」を表す図形、底からモードを表す「底」の文字、速度モードを表す「速」の文字、「バッテリ状態」を表す図形及びさそいモードを表す「さそい」の文字が表示されている。
【0026】
タイマ速度表示領域62cは、
図3に示すように、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)は、釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を演算して得られた速度単位系の数値を表示し、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったとき(スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が停止したとき)にモータ12の駆動により釣り糸を巻き上げていないとき(モータ12が停止したときやハンドル2による手巻きをしているとき)は、釣り糸繰り出し速度に代えて経過時間を0、1、2のように1分単位で表示し、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げているときは、釣り糸繰り出し速度や経過時間に代えて経過時間が表示されていた表示領域に、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を、たとえば、31段階で表示する。タイマ速度表示領域62cでは、モータ12の駆動により釣り糸を巻き上げているときは、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を優先して表示させ、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が検出されているとき(釣り糸が繰り出されているとき)でも釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を表示させないようになっている。また、タイマ速度表示領域62cでは、釣り糸繰り出し速度(スプール10の回転速度)を優先して表示させ、経過時間を表示させないようになっている。タイマ速度表示領域62cでは、釣り糸繰り出し速度や経過時間を他の表示部分と異なる色で1秒毎に点滅表示し、モータ12の速度である調整レバー5の位置(段数)を他の表示部分と同様に点灯表示するようになっている。
【0027】
制御部63は、
図4に示すように、機能構成としてモータ12を制御するモータ制御部60と、表示部62を制御する表示制御部61とを有している。モータ制御部60は、モータ12をPWM制御する。
【0028】
制御部63には、寸動巻き上げスイッチSW1、モード切り換えスイッチSW2及び0セットスイッチSW3が接続されている。また、制御部63には、表示部62と、スプール10の回転速度及び回転方向を検出するためのスプールセンサ64と、ブザー65と、モータ12をPWM駆動するFETを含むモータ駆動回路66と、タイマ67とが接続されている。
【0029】
モータ駆動回路66は、調整レバー5及び寸動巻き上げスイッチSW1の操作に応じてモータ12の駆動を制御する。モータ駆動回路66は、予め設定した仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置でモータ12の駆動を停止させる制御を行うようになっている。
【0030】
タイマ67は、経過時間を計測するタイマであって、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が所定時間以上検出されなかったとき、すなわち、スプール10の釣り糸繰り出し方向の回転が停止したときにタイマ67が自動的に開始されるようになっている。また、タイマ67は、モータ駆動回路66が予め設定した仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置でモータ12の駆動を停止させる制御を行ったとき、経過時間の計測を停止しかつ経過時間を初期状態にリセットするようになっている。
【0031】
次に、制御部63のモータ制御部60によって行われるモータ制御処理を
図5及び
図6に示す制御フローチャートに従って説明する。なお、
図5では、調整レバー5を最初に操作したときのモータ制御処理を示し、
図6では、寸動巻き上げスイッチSW1を最初に操作したときのモータ制御処理を示している。
【0032】
まず、調整レバー5を最初に操作したときのモータ制御処理を
図5によって説明する。電動リールの電源がオンされ、水深表示を「0」にしたり、各種のフラグをリセットする初期設定が行われた状態で開始される。そして、
図5に示すステップS1において、調整レバー5の前後方向の揺動操作又はモード切り換えスイッチSW2の押圧操作の回数によって、寸動巻き上げ速度を増減し、0セットスイッチSW3を操作することによって、初期の寸動巻き上げ速度が設定される。ステップS1において、初期の寸動巻き上げ速度が設定されると、ステップS2へ移行する。
【0033】
ステップS2では、調整レバー5が揺動操作されたか否かを判断する。調整レバー5が所定の位置に揺動操作されたと判断されると、ステップS3へ移行し、調整レバー5の揺動位置に応じた所定の回転速度でモータ12を回転させ、ステップS4へ移行する。また、調整レバー5が所定の位置に揺動操作されていないと判断されると、ステップS15へ移行する。ステップS15では、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたか否かを判断し、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS16へ移行し、ステップS1で予め設定された初期の寸動巻き上げ速度でモータ12を回転させる。
【0034】
ステップS4では、ステップS3において、調整レバー5が所定の位置に揺動操作されてモータ12が所定の回転速度で回転しているとき、仕掛けが穂先の手前に位置する船縁停止位置に位置したか否かを判断する。ステップS4において、仕掛けが船縁停止位置に位置していないと判断されると、モータ12を回転させ続け、ステップS5へ移行する。また、ステップS4において、仕掛けが船縁停止位置に位置したと判断されると、ステップS9へ移行し、モータ12を回転停止させ、ステップS10へ移行する。ステップS10では、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたか否かを判断し、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS11へ移行する。そして、ステップS11において、モータ12が回転停止したときの調整レバー5の揺動位置に対応する巻き上げ速度を記憶し、ステップS12へ移行する。ステップS12では、モータ12が回転停止したときに記憶された調整レバー5の揺動位置に対応する速度を寸動巻き上げスイッチSW1の寸動巻き上げ速度に変更する設定を行い、ステップS13へ移行する。ステップS13では、調整レバー5をオフ操作した後に再度寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたか否かを判断し、調整レバー5をオフ操作した後に再度寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS14へ移行し、ステップS12で設定されたモータ12が回転停止したときに記憶された調整レバー5の揺動位置に対応する速度でモータ12を回転させる。
【0035】
ステップS5では、ステップS4において、船縁停止していないと判断され、調整レバー5が所定の位置に揺動操作されてモータ12が所定の回転速度で回転しているとき、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたか否かを判断し、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS6へ移行する。ステップS6では、調整レバー5の揺動位置によって設定された所定の回転速度を寸動巻き上げスイッチSW1の寸動巻き上げ速度(調整レバー5のオフ操作によってモータ12の回転が停止した後に再度寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたときのモータ12の回転速度)に変更する設定を行い、ステップS7へ移行する。ステップS7において、調整レバー5のオフ操作によってモータ12の回転が停止した後に再度寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS8へ移行し、ステップS6で設定された調整レバー5の揺動位置によって設定された所定の回転速度でモータ12を回転させる。
【0036】
次に、寸動巻き上げスイッチSW1を最初に操作したときのモータ制御処理を
図6によって説明する。電動リールの電源がオンされ、水深表示を「0」にしたり、各種のフラグをリセットする初期設定が行われた状態で開始される。そして、
図6に示すステップS21において、調整レバー5の前後方向の揺動操作又はモード切り換えスイッチSW2の押圧操作の回数によって、寸動巻き上げ速度を増減し、0セットスイッチSW3を操作することによって、初期の寸動巻き上げ速度が設定される。ステップS21において、初期の寸動巻き上げ速度が設定されると、ステップS22へ移行する。
【0037】
ステップS22では、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたか否かを判断し、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたと判断されると、ステップS23へ移行し、ステップS21で予め設定された初期の寸動巻き上げ速度でモータ12を回転させ、ステップS24へ移行する。
【0038】
ステップS24では、調整レバー5が揺動操作されたか否かを判断し、調整レバー5が揺動操作されたと判断されたときは、ステップS25へ移行し、モータ12の回転を停止する。
【0039】
このような構成の釣り用リールでは、釣り糸を繰り出すときには、クラッチ操作部材11を手前(後方)に操作することによりクラッチをオフする。クラッチオフすると、スプール10が自由回転状態になり、釣り糸に装着された重りの自重により釣り糸がスプール10から繰り出される。釣り糸が繰り出されるとスプール10が糸繰り出し方向に回転し、スプールセンサ64の検出パルスにより表示部62の水深表示が繰り出し量に応じて変化する。仕掛けが棚に到達すると、ハンドル2を糸巻き取り方向に回して図示しないクラッチ戻し機構によりクラッチをオンして釣り糸の繰り出しを停止する。
【0040】
魚等の当たりがあると、調整レバー5を操作し釣り糸を巻き上げる。調整レバー5を
図1時計回りに揺動させると、その揺動角度に応じてスプール10の回転速度又は釣り糸に作用する張力の最大値を段階的に設定できる。
【0041】
このような釣り用リールでは、調整レバー5が所定の位置に揺動操作されてモータ12が所定の回転速度で回転しているとき、寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されると、調整レバー5によって設定されたモータ12を所定の回転速度で回転させ続けるとともに、調整レバー5によって設定された所定の回転速度を、調整レバー5のオフ操作によってモータ12の回転が停止した後に再度寸動巻き上げスイッチSW1がオン操作されたときのモータ12の回転速度に設定するようになっている。ここでは、調整レバー5を所定の位置に揺動操作(オン操作)して調整レバー5の所定の位置に対応する所定の速度でモータ12を回転させているとき、寸動巻き上げスイッチSW1をオン操作すると、調整レバー5が寸動巻き上げスイッチSW1より優先して働く、すなわち、寸動巻き上げスイッチSW1のオン操作が無効になり、調整レバー5のオン操作及び速度設定が有効になることによって、調整レバー5の所定の位置に対応する所定の速度でモータ12を回転させるとともに、予め設定された寸動巻き上げスイッチSW1の速度が調整レバー5の所定の速度に変更・記憶されるようになっている。そして、調整レバー5を停止位置に揺動操作(オフ操作)して、寸動巻き上げスイッチSW1をオン操作すると、寸動巻き上げスイッチSW1の速度が変更された調整レバー5の所定の速度でモータ12を回転させる。ここでは、釣人が調整レバー5の揺動により設定した最適な調整レバー5の速度を寸動巻き上げスイッチSW1の速度に自動的に釣人が他に操作することなく設定されるので、釣人が所望する最適な寸動巻き上げスイッチSW1の速度を迅速かつ容易に得ることができる。
【0042】
〔他の実施形態〕
前記実施形態では、外部電源から供給された電力によりモータ駆動される大型の電動リールを例にあげて説明したが、これに限定されるものではなく、たとえば外部電源から供給された電力によりモータ駆動される小型の電動リールであってもよい。