特許第5798812号(P5798812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798812
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】電動リールのモータ取付構造
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/017 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A01K89/017
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-138207(P2011-138207)
(22)【出願日】2011年6月22日
(65)【公開番号】特開2013-114(P2013-114A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−034406(JP,A)
【文献】 特開平09−308173(JP,A)
【文献】 特開昭58−159645(JP,A)
【文献】 特開2009−284793(JP,A)
【文献】 特開2006−109831(JP,A)
【文献】 実開昭51−025706(JP,U)
【文献】 特開平08−223847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00−89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動リールのモータの蓋部材をリール本体に取り付ける電動リールのモータ取り付け構造であって、
前記蓋部材を前記リール本体に固定する複数のボルト部材と、
前記ボルト部材の外周側で前記蓋部材の前記端面と前記リール本体の間に配置されたシール部材と、
を備えたリールのモータ取付構造。
【請求項2】
前記シール部材は、前記リール本体に装着されたOリングである、請求項に記載の電動リールのモータ取付構造。
【請求項3】
前記モータは、
前記リール本体に対して固定され、少なくとも一端に円形の開口を有する筒状のケース部材と、
前記ケース部材に固定され前記開口を塞ぐための円板状の前記蓋部材と、
前記ケース部材及び前記蓋部材に回転自在に支持された出力軸と、を備え、
前記蓋部材は、外周面に前記一端側の端面から間隔を隔てて配置された少なくとも一つの係合凹部を有し、
前記ケース部材は、前記係合凹部に沿って折り曲げられる少なくとも一つの舌片を有する、請求項1又は2に記載の電動リールのモータ取付構造
【請求項4】
前記モータは、前記蓋部材と前記ケース部材との固定部分を少なくともカバーする合成樹脂製の筒状のカバー部材をさらに備える、請求項に記載の電動リールのモータ取付構造
【請求項5】
前記カバー部材は、前記ケース部材及び前記蓋部材の外周面をカバーする、請求項に記載の電動リールのモータ取付構造
【請求項6】
前記ケース部材は、前記蓋部材を介して前記リール本体に固定される、請求項から5のいずれか1項に記載の電動リールのモータ取付構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動リールのリール本体に回転自在に支持されたスプールを駆動する電動リールのモータ取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
糸巻き上げ時のスプールの回転をモータで行うことのできる電動リールは、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、スプールを手動で回転させるためのハンドルと、スプールを巻き上げ方向に駆動する電動のモータとを備えている。リール本体の上面には、水深表示用のディスプレイや各種の入力を行うスイッチが設けられたカウンターケースが装着されている。
【0003】
電動リールのモータは、スプールの前方やスプールの内部に設けられている。モータは、開口を一端に有するケース部材と、ケース部材の開口を塞ぐための蓋部材と、ケース部材の内周面に固定された固定子と、ケース部材及び蓋部材に回転自在に装着された回転子と、を有している(例えば、特許文献1参照)。従来のモータのケース部材は、金属製の有底筒状の部材である。ケース部材の開口側には、蓋部材を固定するための舌片が形成されている。蓋部材は円板状の部材であり、ケース部材の内周面が蓋部材の外周面に嵌合している。蓋部材には、舌片を折り曲げて蓋部材とケース部材とを固定するための係合凹部が外周面から外側端面にかけて凹んで形成されている。ケース部材の舌片を係合凹部内で内側に折り曲げることにより蓋部材をケース部材にカシメ固定している。カシメ固定部分には、封止部材が形成されており、封止部材により封止されている。また、ケース部材は、カシメ固定部分を含めて外側面に防錆塗装がなされている。これらにより、モータの防水処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−284793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電動リールのモータでは、内部での結露を防止するために、カシメ固定部分に封止部材を形成すると共に、カシメ固定部分を含めてケース部材及び蓋部材の外周面に防錆塗装膜が形成されている。このように、封止部材及び防錆塗装膜を形成すると、モータの防水処理のコストが増大する。そこで、封止部材及び防錆塗装膜の形成に代えて、安価な合成樹脂製の筒状の収縮チューブ等の筒状のカバー部材でケース部材及び蓋部材の外周面を覆うことが考えられる。しかし、蓋部材の外側端面に係合凹部が開口しているため、係合凹部の開口部分をカバー部材で覆うことができない。このため、外側端面の係合凹部から内部に液体が浸入するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、両軸受リールのモータにおいて、ケース部材と蓋部材とを容易に防水処理できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る電動リールのモータ取付構造は、電動リールのモータの蓋部材をリール本体に取り付ける構造である。電動リールのモータ取付構造は、蓋部材をリール本体に固定する複数のボルト部材と、ボルト部材の外周側で蓋部材の端面とリール本体の間に配置されたシール部材と、を備える。
【0008】
この電動リールのモータ取付構造では、外周面を防水処理しやすいモータの蓋部材をボルト部材により着脱可能かつ容易にリール本体に取り付けできる。また、ボルト部材の外周側にシール部材が配置されるので、ボルト部材でモータをリール本体に取り付けても、ボルト部材側に液体が浸入しにくくなる。
【0009】
発明に係る電動リールのモータ取付構造は、発明記載のモータ取付構造において、シール部材は、リール本体に装着されたOリングである。この場合には、安価なOリングにより、リール本体と蓋部材との間を容易にシールできる。
【0010】
発明3に係る電動リールのモータ取付構造は、発明1または2に記載のモータ取付構造において、モータは、筒状のケース部材と、円板状の蓋部材と、出力軸と、を備える。ケース部材は、リール本体に対して固定され、少なくとも一端に円形の開口を有する。蓋部材は、ケース部材に固定され開口を塞ぐための部材である。出力軸は、ケース部材及び蓋部材に回転自在に支持される。蓋部材は、外周面に一端側の端面から間隔を隔てて配置された少なくとも一つの係合凹部を有する。ケース部材は、係合凹部に沿って折り曲げられる少なくとも一つの舌片を有する。
【0011】
この電動リールのモータでは、ケース部材には舌片が形成され、蓋部材には舌片が折り曲げられる係合凹部が形成されている。この係合凹部は、蓋部材の一端側の端面から間隔を隔てて蓋部材の外周面に凹んで形成されている。このため、蓋部材の一端側の端面には係合凹部が開口しない。また、係合凹部から一端側の端面までの間に円周面が蓋部材の外周面に形成される。この結果、熱収縮チューブや筒状の弾性体等で構成された筒状部材をケース部材及び蓋部材の外周面に装着すれば、係合凹部を含めてケース部材及び蓋部材の外周面を覆うことができる。これにより、係合凹部に封止部材を形成する必要がなくなり、ケース部材と蓋部材とを容易に防水処理できるようになる。しかも、蓋部材の端面にカシメ固定用の凹部が開口しないので、リール本体と蓋部材の端面との間を防水処理しやすくなる。
【0012】
発明に係る電動リールのモータ取付構造は、発明に記載のモータ取付構造において、蓋部材とケース部材との接続部分を少なくともカバーする合成樹脂製の筒状のカバー部材をさらに備える。この場合には、例えば収縮チューブや弾性チューブ等の筒状のカバー部材により蓋部材とケース部材との少なくとも接続部分が覆われるので、ケース部材と蓋部材とを容易かつ確実に防水処理できるようになる。また、カバー部材により蓋部材とケース部材とがさらに確実に固定される。
【0013】
発明に係る電動リールのモータ取付構造は、発明に記載のモータ取付構造において、カバー部材は、ケース部材の外周面から蓋部材の端面までをカバーする。この場合には、ケース部材及び蓋部材の外周面が全てカバーされ、ケース部材を金属製にしてもケース部材を防錆処理できる。
【0014】
発明に係る電動リールのモータは、発明からのいずれかに記載のモータ取付構造において、ケース部材は、蓋部材を介してリール本体に固定される。この場合には、ケース部材が蓋部材を介してリール本体に固定されるので、モータの固定が容易になる
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、蓋部材の一端側の端面には係合凹部が開口しない。また、係合凹部から一端側の端面までの間に円周面が蓋部材の外周面に形成される。この結果、熱収縮チューブや筒状の弾性体等で構成された筒状部材をケース部材及び蓋部材の外周面に装着すれば、係合凹部を含めてケース部材及び蓋部材の外周面を覆うことができる。これにより、係合凹部に封止部材を形成する必要がなくなり、ケース部材と蓋部材とを容易に防水処理できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態が採用された電動リールの斜視図。
図2】その縦断面図。
図3】ハンドルと逆側の側カバーを外した状態の電動リールの側面一部断面図。
図4】モータ取付構造を示す図2の断面拡大部分図。
図5】モータの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<全体構成>
本発明の一実施形態を採用した電動リールは、図1に示すように、主にハンドル1が装着されたリール本体2と、リール本体2に回転自在に装着されたスプール3と、スプール3内に装着されたモータ4とを備えている。リール本体2の上部には、水深表示等を行うためのカウンターケース5が装着されている。リール本体2の内部には、図2に示すように、ハンドル1の回転をスプール3に伝達するとともにモータ4の回転をスプール3に伝達する回転伝達機構6が設けられている。
【0018】
<リール本体の構成>
リール本体2は、図2に示すように、フレーム13と、フレーム13の両側方を覆う第1側カバー14及び第2側カバー15と、モータ4を装着するためのモータホルダ27と、を有している。フレーム13は、アルミニウムダイキャスト製の一体成形された部材であり、第1側板16及び第2側板17と、第1側板16及び第2側板17を複数箇所で連結する連結部材18とを有している。下部の連結部材18には、釣り竿を装着するための竿装着脚19が装着されている。第1側板16は、周縁部にリブを有する板状部材である。モータホルダ27は、アルミニウムダイキャスト製の部材であり、第1側板16の中心部の軸方向外側に配置され、固定ボルト26により第1側板16に固定されている。第1側カバー14はハンドル1と逆側に配置され、第1側板16の外方を覆う。第2側カバー15は、ハンドル1装着側に配置され、第2側板17の外方を覆う。
【0019】
モータホルダ27には、モータ4が着脱可能に取り付けられている。モータ4は、スプール3内に形成されたモータ収納空間3aに収納されている。モータ収納空間3aは、グリス等によりシールされている。モータホルダ27の内部には、図2及び図4に示すように、軸方向内方(図2右方)に突出する筒状のモータ保持部27aと、モータ保持部27aの内周側から軸方向外方(図2左方)に突出するクラッチ収納部27bと、が形成されている。モータ保持部27aの軸方向内側の端面には、モータ4の基端部(後述する蓋部材32)が取付ボルト23(ボルト部材の一例)により締結されている。また、モータ保持部27aの外周面には、スプール3の一端を回転自在に支持するためのシール付きの転がり軸受25が装着されている。転がり軸受25の外輪25aは、スプール3の内周面に装着される。転がり軸受25の内輪25bは、モータ保持部27aの外周面に装着され、モータ4とモータ保持部27aとによって挟持されている。クラッチ収納部27bの内周面には、ワンウェイクラッチ29が装着されている。ワンウェイクラッチ29は、ローラ式のものであり、モータ4の出力軸30(後述)の糸繰り出し方向の回転を禁止する。また、モータホルダ27の外側面には、図3に示すように、放射状に多数の放熱フィン27cが形成されている。さらに、モータホルダ27には、モータ4の1対の配線端子70bが通過可能な1対の取出孔27dと、取付ボルト23が挿入されるボルト孔27eと、が形成されている。取出孔27dは、配線端子70bにモータ配線が接続された後に、シリコンゴムなどの適宜のシール剤により封止される。ボルト孔27eは、取付ボルト23がねじ込まれた後に、シリコンゴムなどの適宜の封止剤により封止される。ボルト孔27eの径方向外方には、図4に示すように、環状のシール装着溝27fが形成されている。シール装着溝27fには、モータホルダ27とモータ4の後述する蓋部材32の端面32fとの間をシールするOリング(シール部材の一例)35が装着されている。
【0020】
カウンターケース5は、釣り糸の先端に装着された仕掛けの水深を表示するとともに、モータ4を制御するために設けられている。カウンターケース5には、図1に示すように、仕掛けの水深データLXや棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶表示ディスプレイからなる水深表示部98と、水深表示部98の周囲に配置された複数のスイッチからなる操作キー部99とが設けられている。
【0021】
カウンターケース5の内部には、液晶ディスプレイからなる水深表示部98やモータ4を制御するためのマイクロコンピュータからなるモータ制御部(図示せず)が収納されている。モータ制御部には、操作キー部99と、第2側カバー15に揺動自在に装着されスプールの速度や釣り糸の張力を調整するための調整レバー101と、スプール3の回転数と回転方向とを検出するスプールセンサ(図示せず)と、水深表示部98と、モータ4をパルス幅変調(PWM)したデューティ比で駆動するモータ駆動部(図示せず)と、が接続されている。モータ制御部は、調整レバー101の操作量に応じてモータ4の巻き上げ速度や巻き上げトルクを制御する。また、スプールセンサの出力により釣り糸の先端に取り付けられる仕掛けの水深を算出し、それを水深表示部98に表示する。
【0022】
<モータの構成>
モータ4は、リール本体2に回転自在に支持されたスプール3を糸巻取方向に駆動する。モータ4は、図2図4及び図5に示すように、基端に円形の開口31aを有する有底筒状のケース部材31と、蓋部材32と、出力軸30と、カバー部材33と、を有している。蓋部材32は、開口31aを塞ぐためにケース部材31の基端に固定される。出力軸30は、ケース部材31と蓋部材32とに回転自在に装着される。カバー部材33は、ケース部材31及び蓋部材32の外周面をカバーする。
【0023】
ケース部材31は、有底筒状の部材であり、底部で出力軸30を回転自在に支持している。ケース部材31は、深絞りプレス成形された金属製の部材である。ケース部材31は、蓋部材32を介してリール本体2に対して固定されている。
【0024】
ケース部材31は、開口31a部分に周方向に間隔を隔てて形成されたカシメ固定用の複数(たとえば2つ)の舌片31bを有している。舌片31bは、内側に折り曲げ可能なものであり、開口31aに周方向に僅かな間隔で形成された2つのスリットにより概ね矩形に形成されている。ケース部材31の外周面には、鋼鉄製の筒状のフラックスリング36が固定されている。フラックスリング36は、ケース部材31の外周面から磁束が漏れるのを抑制してモータ4の効率を向上させるために設けられている。
【0025】
ケース部材31の内部には、図5に示すように、永久磁石を有する界磁(固定子)67と、コイルを有する電機子(回転子)68と、整流子69と、ブラシ70とが配置されている。ケース部材31の底部に第1軸受76aを介して出力軸30が回転自在に支持されている。
【0026】
蓋部材32は、図4に示すように、モータホルダ27に固定されている。蓋部材32は、円板状の、たとえばアルミニウム合金製の部材であり、ケース部材31にカシメ固定されている。蓋部材32に、第1軸受76aを介して出力軸30が回転自在に支持されている。第1軸受76a及び第2軸受76bは、外周面が球面のたとえば真鍮製の滑り軸受である。蓋部材32は、軸方向に沿って貫通して形成された2つの取出溝32aと、取付ボルト23がねじ込まれる、たとえば2つのネジ孔32bと、を有している。取出溝32a及びネジ孔32bは、モータホルダ27の取出孔27d及びボルト孔27eに各別に対向可能な位置に形成されている。モータホルダ27の外側面から取付ボルト23をボルト孔27eに挿入し、ネジ孔32bに取付ボルト23をねじ込むことにより、リール本体2のモータホルダ27にモータ4が固定される。これらの蓋部材32と取付ボルト23とOリング35と、によりモータ取付構造10が構成される。
【0027】
蓋部材32の外周面は、基端(一端の一例)側の第1外周面32dと先端側の第2外周面32eとで構成されている。第1外周面32dは、第2外周面32eより大径である。第1外周面32dと第2外周面32eとの段差に、ケース部材31の開口31aが当接する。蓋部材32は、第2外周面32eに凹んで形成された2つの係合凹部32cを有している。この実施形態では、例えば係合凹部32cは、第1外周面32dと第2外周面32eとの境界部分より第2外周面32e側に形成されている。したがって、係合凹部32cは、蓋部材32の基端側の端面32fから間隔を隔てて配置されている。2つの係合凹部32cは、内側に折り曲げられた舌片31bに係合可能な形状である。舌片31bを係合凹部32cに向けて内側に折り曲げることにより、蓋部材32がケース部材31にカシメ固定される。
【0028】
カバー部材33は、図4に示すように、舌片31bと係合凹部32cとで構成された蓋部材32とケース部材31との接続部分であるカシメ固定部分34を少なくともカバーする。この実施形態では、カバー部材33は、図2に示すように、カシメ固定部分34(図4)を含んでケース部材31及び蓋部材32の外周面全体に取り付けられている。カバー部材33は、図4に示すように、舌片31bを覆うように形成されている。カバー部材33は、例えば、熱収縮性を有する合成樹脂製の筒状部材である。カバー部材33をケース部材31及び蓋部材32の外周面に装着して加熱することにより、カバー部材33は、ケース部材31及び蓋部材32の外周面に密着する。
【0029】
出力軸30は、図4および図5に示すように、ケース部材31と蓋部材32とに回転自在に装着されている。出力軸30の左端は蓋部材32から突出しており、そこには、セレーション30aが形成され、モータ4の逆転を防止するワンウェイクラッチ29がたとえばセレーション結合により回転不能に固定されている。出力軸30の右端部30bは、図2に示すようにケース部材31の先端から突出している。この突出した先端には、回転伝達機構6を構成する2段減速の遊星歯車機構40が装着されている。
【0030】
界磁67は、図4及び図5に示すように、ケース部材31の内周面に固定されており、希土類合金粉末をたとえば筒状に焼結して固めて得られた円筒状の異方性磁石である。
【0031】
電機子68は、図5に示すように、界磁67の内周面に対向して配置されている。電機子68は、放射状に突出する、たとえば5つの極部を有する電機子鉄心77と、電機子鉄心77の極部に巻回されたコイル78とを有している。電機子鉄心77は、アモルファス珪素合金製の薄板を重ねて形成したものであり、ヒステリシスロスが少ない高い透磁率を有するものである。
【0032】
整流子69は、出力軸30に電気的に絶縁して固定された筒状の絶縁部材69aの外周面に周方向に5つ分割されて形成された導体である。整流子69は、ブラシ70に電気的に接続されている。
【0033】
ブラシ70は、蓋部材32に装着された絶縁体製の取付部材70aに固定されており、整流子69の対向する周面で整流子69に電気的に接続されている。ブラシ70は、蓋部材32の1対の取出溝32aを貫通して外部に突出するように配置された2つの配線端子70bに電気的に接続されている。この取出溝32aと配線端子70bの隙間は、たとえば瞬間接着剤により封止されている。これにより、モータ4内部への液体の浸入を阻止している。また、配線端子70bはモータホルダ27の取出孔27dを通ってモータホルダ27の外部に露出している。配線端子70bには、図示しないモータ配線が接続され、モータ配線はカウンターケース5の内部に導入されている。
【0034】
このような構成された電動リールのモータでは、カシメ固定部分34の舌片31bがカシメられる係合凹部32cが蓋部材32の外周面に端面32fから間隔を隔てて配置されている。このため、係合凹部32cは、端面32fに開口しない。また、係合凹部から一端側の端面までの間に円周面が蓋部材の外周面に形成される。この結果、熱収縮チューブや筒状の弾性体等で構成されたカバー部材33をケース部材31及び蓋部材32の外周面に装着すれば、係合凹部32cを含めてケース部材31及び蓋部材32の外周面を覆うことができる。これにより、係合凹部32cに封止部材を形成する必要がなくなり、ケース部材31と蓋部材32とを容易に防水処理できるようになる。
【0035】
また、端面32fに係合凹部32cが開口しないので、端面32fにおいて取付ボルト23の外周面がシール部材であるOリング35により、モータホルダ27と端面32fとの間を防水処理できる。このため、取付ボルト23の外周側からの液体の浸入を防止できる。
【0036】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
(a)前記実施形態では、カバー部材33でカシメ固定部分34を含む蓋部材32とケース部材31の外周面全体をカバーしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋部材32とケース部材31との接続部分であるカシメ固定部分34だけをカバー部材でカバーするようにしても良い。
【0038】
(b)前記実施形態では、スプール3のモータ収納空間3aに収納されるモータ4を例に本発明を説明したが、スプールの前方でリール本体に形成されたモータ収納空間に収納されるモータにも本発明を適用できる。
【0039】
(c)前記実施形態では、カバー部材33として熱収縮チューブを用いたが本発明はこれに限定されない。例えば、合成樹脂製の筒状の弾性部材をカバー部材として用いても良い。カバー部材は、蓋部材及びカバー部材の外周面に密着可能なものであればどのようなものでも良い。
【0040】
(d)前記実施形態では、蓋部材32がリール本体2のモータホルダ27に固定されているが、ケース部材がリール本体2のフレーム13に固定されていてもよい。
【0041】
(e)前記実施形態では、ケース部材31が有底筒状であったが、ケース部材が筒状部と底部とに分割されているものであってもよい。
【0042】
(f)前記実施形態では、取付ボルト23及び配線端子70bを封止する封止部材としてシリコンゴム等のシール剤を用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、シアノアクリレート(cyanoacrylate)等を主成分とする接着剤を用いてもよい。
【0043】
(g)前記実施形態では、ブラシを有する直流モータを例に本発明は説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブラシレスの直流モータであっても良い。
【0044】
(h)前記実施形態では、蓋部材32の外周面を大径の第1外周面32dと小径の第2外周面32eとで構成したが本発明はこれに限定されない。蓋部材の外周面の同じ外径の外周面であっても良い。この場合でも、係合凹部を端面から離反した位置に配置すればよい。これにより、蓋部材とケース部材の外周面との間に段差が生じるが、カバー部材で覆うことができる。
【0045】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0046】
(A)電動リールのモータ4は、電動リールのリール本体2に回転自在に支持されたスプール3を駆動する。モータ4は、筒状のケース部材31と、円板状の蓋部材32と、出力軸30と、を備える。ケース部材31は、リール本体2(モータホルダ27)に対して固定され、少なくとも一端に円形の開口31aを有する。蓋部材32は、ケース部材31に固定され開口31aを塞ぐための部材である。出力軸30は、ケース部材31及び蓋部材32に回転自在に支持される。蓋部材32は、外周面に一端側の端面32fから間隔を隔てて配置された少なくとも一つの係合凹部32cを有する。ケース部材31は、係合凹部32cに沿って折り曲げられる少なくとも一つの舌片31bを有する。
【0047】
この電動リールのモータ4では、ケース部材31には舌片31bが形成され、蓋部材32には舌片31bが折り曲げられる係合凹部32cが形成されている。この係合凹部32cは、蓋部材32の一端側の端面32fから間隔を隔てて蓋部材32の第2外周面32eに凹んで形成されている。このため、蓋部材32の一端側の端面32fには係合凹部32cが開口しない。また、係合凹部32cから一端側の端面32fまでの間に円周面が蓋部材32の第1外周面32dに形成される。この結果、熱収縮チューブや筒状の弾性体等で構成されたカバー部材33をケース部材31及び蓋部材32の外周面に装着すれば、係合凹部32cを含めてケース部材31及び蓋部材32の外周面を覆うことができる。これにより、係合凹部32cに封止部材を形成する必要がなくなり、ケース部材31と蓋部材32とを容易に防水処理できるようになる。しかも、蓋部材32の端面32fにカシメ固定用の凹部が開口しないので、リール本体2と蓋部材32の端面32fとの間を防水処理しやすくなる。
【0048】
(B)モータ4において、蓋部材32とケース部材31との接続部分であるカシメ固定部分34を少なくともカバーする合成樹脂製の筒状のカバー部材33をさらに備える。この場合には、例えば収縮チューブや弾性チューブ等の筒状のカバー部材33により蓋部材32とケース部材31との少なくともカシメ固定部分34が覆われるので、ケース部材31と蓋部材32とを容易かつ確実に防水処理できるようになる。また、カバー部材33により蓋部材32とケース部材31とがさらに確実に固定される。
【0049】
(C)モータ4において、カバー部材33は、ケース部材31の外周面から蓋部材32の端面までをカバーする。この場合には、ケース部材31及び蓋部材32の外周面が全てカバーされ、ケース部材31を金属製にしてもケース部材31を防錆処理できる。
【0050】
(D)モータ4において、ケース部材31は、蓋部材32を介してリール本体2(モータホルダ27)に固定される。この場合には、ケース部材31が蓋部材32を介してリール本体2に固定されるので、モータ4の固定が容易になる。
【0051】
(E)モータ取付構造10は、モータ4の蓋部材32と、蓋部材32をリール本体に固定する複数の取付ボルト23と、を備える。
【0052】
この電動リールのモータ取付構造10では、外周面を防水処理しやすいモータ4の蓋部材32を取付ボルト23により着脱可能かつ容易にリール本体2(モータホルダ27)に取り付けできる。
【0053】
(F)モータ取付構造10において、取付ボルト23の外周側で蓋部材32の端面32fとリール本体2(モータホルダ27)の間に配置されたシール部材としてのOリング35をさらに備える。この場合には、取付ボルト23の外周側にOリング35が配置されるので、取付ボルト23でモータ4をリール本体2に取り付けても、取付ボルト23側に液体が浸入しにくくなる。また、安価なOリングにより、リール本体2と蓋部材32との間を容易にシールできる。
【符号の説明】
【0054】
2 リール本体
3 スプール
4 モータ
10 モータ取付構造
27 モータホルダ
30 出力軸
31 ケース部材
31a 開口
31b 舌片
32 蓋部材
32c 係合凹部
32f 端面
33 カバー部材
34 カシメ固定部分
35 Oリング
図1
図2
図3
図4
図5