(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器の小型化および薄型化に伴い、電子機器に搭載される半導体装置(半導体パッケージ)においても小型化および薄型化が要求されている。
【0007】
半導体装置の小型化および薄型化を実現するためには、例えば前記特許文献1の
図3に示すように、半導体チップを支持するためのダイパッド(タブ、チップ搭載部)を排除した構造が有効とされている。
【0008】
しかしながら、このような構造の場合、半導体装置内に搭載された半導体チップの裏面が封止体から露出するため、半導体チップに負荷(応力)が加わり、半導体チップにクラックが発生し易くなる。半導体チップの厚さが厚ければ、半導体チップにわずかな負荷が加わったとしても深刻な問題とはならないが、半導体装置の小型化および薄型化の要求に伴い、半導体チップの厚さも薄くなる傾向にある。そのため、小型化および薄型化が進む半導体装置においては、半導体チップにわずかな負荷が加わることによる半導体装置の信頼性の低下の恐れがある。また、半導体チップの裏面が封止体から露出すると、封止体と半導体チップとの界面から水分が浸入し、その水分による半導体装置の信頼性の低下の恐れもある。
【0009】
そこで、本願発明者は、前記特許文献2の
図2に示すように、絶縁性樹脂層(接着フィルム、接着剤、接着層、封止材)を介して母基板上に半導体チップを配置する製造方法について検討した。このような製造方法によれば、半導体チップの裏面に絶縁性樹脂層が配置されるため、半導体チップの裏面を保護することができる。また、このような製造方法によれば、ダイパッドが排除できるため、ダイパッドの排除と半導体チップの裏面の保護との両立が可能となる。従って、半導体装置の小型化および薄型化を実現できることだけでなく、半導体装置の信頼性の低下も抑制することができるので、このような製造方法は有効であると考えられた。
【0010】
しかしながら、本願発明者は、半導体装置の更なる小型化を実現するために、外部端子となるリードの厚さも薄くする必要があると考え、前記特許文献3のように、電解めっき法を用いて形成される外部端子について検討した。その結果、電解めっき法を用いることにより、外部端子は、前記特許文献2のような導電性基板をパターニングすることで形成されたリードフレームの一部から成るリードの厚さの約半分以下の厚さで形成できることが分かった。
【0011】
ところで、電解めっき法を用いて外部端子を形成する場合は、金属から成る基材を母基板として使用する。そのため、半導体チップ等を覆う封止体を形成した後に、封止体から母基板を剥離しなければならない。しかしながら、本願発明者が検討したところ、平面視において半導体チップの側面から絶縁性樹脂層の一部が突出すると、封止体から母基板を剥離するときに、その半導体チップの側面から突出した絶縁性樹脂層の一部が母基板に残り、封止体の下面の一部に欠けが生じるという新たな問題が発生した。これは、封止体と絶縁性樹脂層との密着力よりも、金属から成る母基板と絶縁性樹脂層との密着力が勝るためである。封止体に上記欠けがあると、この欠けている部分から封止体と半導体チップとの界面に水分が浸入し、その水分による半導体装置の信頼性の低下が懸念された。
【0012】
そこで、本願発明では、半導体装置の小型化および薄型化を図るために、金属から成る基材を母基板とする電解めっき法を用いて外部端子を形成するが、平面視において半導体チップの側面から絶縁性樹脂層が突出しないようにすることによって、その下面に欠けのない封止体を形成することのできる技術を開示する。
【0013】
本発明の目的は、電解めっき法を用いて形成される外部端子を有する半導体装置の製造において、欠けのない封止体を形成することのできる技術を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の信頼性の低下を抑制して、半導体装置の小型化および薄型化を図ることのできる技術を提供することにある。
【0015】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0017】
この実施の形態は、以下の工程を含む半導体装置の製造方法である。(a)第1主面、第1主面に設けられた複数のチップ領域、複数のチップ領域のうちの互いに隣り合うチップ領域間に設けられた切断領域、および第1主面とは反対側の第2主面を有する半導体ウエハを準備する工程、(b)半導体ウエハの第1主面が第1ステージの表面と対向するように、第1温度に加熱された第1ステージの表面に半導体ウエハを配置し、半導体ウエハに熱を加えた状態で半導体ウエハの第2主面にフィルム状の接着剤を貼り付ける工程、(c)接着剤が貼り付けられた半導体ウエハに、第1温度よりも高い第2温度を加える工程、(d)切断領域に沿って半導体ウエハおよび接着剤を切断し、接着剤の一部を有する半導体チップを取得する工程、(e)第3温度に加熱された第2ステージの表面に配置された金属からなる母基板の上面に、接着剤の一部を介して半導体チップを配置し、半導体チップを母基板の上面に固定する工程、(f)半導体チップの電極パッドと母基板の外部端子とを導電性部材を介して電気的に接続する工程、(g)半導体チップ、接着剤の一部、および母基板の上面を樹脂で封止することで、封止体を形成する工程、(h)封止体から母基板を剥離し、封止体から接着剤の一部の裏面を露出する工程。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
電解めっき法を用いて形成される外部端子を有する半導体装置の製造において、欠けのない封止体を形成することができる。また、半導体装置の信頼性の低下を抑制して、半導体装置の小型化および薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態による半導体装置の樹脂封止体を透かした要部平面図である。
【
図2】本発明の実施の形態による半導体装置の裏面(実装面)側の要部平面図である。
【
図3】
図1に示すA−A′線に沿った半導体装置の要部断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図5】
図4に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置および接着剤貼り付け装置の要部断面図である。
【
図6】
図5に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置および接着剤貼り付け装置の要部断面図である。
【
図7】
図6に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態によるウエハベーク工程の熱処理温度(第2温度)をパラメータとした接着剤の硬化率と熱処理時間との関係を説明するグラフ図である。
【
図9】
図7に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図10】
図9に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図11】
図10に続く、半導体装置の製造工程中における母基板の要部平面図である。
【
図12】
図11に示すB−B′線に沿った母基板の要部断面図である。
【
図13】
図11および12に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置および円筒コレットの要部断面図である。
【
図14】
図13に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図15】(a)および(b)は、半導体チップと母基板とが良好に接続されていない状態(接着剤の不良転写状態)を説明する半導体装置の要部断面図である。
【
図16】(a)および(b)は、それぞれ半導体チップと母基板とが良好に接続されている状態を説明する第1例および第2例の半導体装置の要部断面図である。
【
図17】本発明の実施の形態によるウエハベーク工程の熱処理条件をパラメータとした接着剤の転写率とダイボンディング工程の熱処理温度(第3温度)との関係を説明するグラフ図を示す。
【
図18】本発明の実施の形態によるウエハベーク工程の熱処理条件をパラメータとしたダイシェア強度とダイボンディング工程の熱処理温度(第3温度)との関係を説明するグラフ図である。
【
図19】
図14に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図20】
図19に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置およびキャピラリの要部断面図である。
【
図21】
図20に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図22】
図21に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図23】
図22に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図24】
図23に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図25】
図24に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図26】
図25に続く、半導体装置の製造工程中における半導体装置の要部断面図である。
【
図27】本発明の実施の形態による半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0022】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0023】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態において、ウエハと言うときは、Si(Silicon)単結晶ウエハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウエハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。
【0024】
また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態)
≪半導体装置について≫
本発明の実施の形態による半導体装置について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は半導体装置の樹脂封止体を透かした要部平面図、
図2は半導体装置の裏面(実装面)側の要部平面図、
図3は
図1に示すA−A′線に沿った半導体装置の要部断面図である。
【0026】
半導体装置(半導体パッケージ)24は、半導体チップ14、半導体チップ14の裏面に形成された接着剤(接着フィルム、接着層、封止材)5、半導体チップ14の周囲に設けられた複数の外部端子(電極)16、および半導体チップ14の表面に配置された複数の電極パッド(ボンディングパッド)2と複数の外部端子16とを電気的に接続する複数の導電性部材19から構成されている。また、半導体チップ14、接着剤5の側面、複数の外部端子16のそれぞれの一部(上面および側面)、および複数の導電性部材19は樹脂封止体(封止体)21によって封止されている。しかし、樹脂封止体21の下面からは半導体チップ14の裏面は露出しておらず、半導体チップ14の裏面に接着された接着剤5の下面および複数の外部端子16のそれぞれの他部(下面(実装面))が露出した構造となっている。
【0027】
このように、半導体チップ14の裏面にダイパッドを配置せず、さらに、電解めっき法により形成される複数の外部端子16を用いることにより、半導体装置24の小型化および薄型化を実現することができる。また、半導体チップ14の裏面は接着剤5によって保護されており、半導体チップ14への水分の浸入も抑制することができるので、半導体装置24の信頼性の低下も抑制することができる。
【0028】
≪半導体装置の製造方法について≫
次に、本発明の実施の形態による半導体装置の製造方法を
図4〜
図27を用いて工程順に説明する。
図4〜
図7、
図9、
図10、
図13、
図14、および
図19〜
図26は半導体装置の製造方法を説明する製造工程中における半導体装置の要部断面図、
図8はウエハベーク工程の熱処理温度(第2温度)をパラメータとした接着剤の硬化率と熱処理時間との関係を説明するグラフ図、
図11は半導体装置の製造方法を説明する製造工程中における母基板の要部平面図、
図12は
図11に示すB−B′線に沿った母基板の要部断面図、
図15は半導体チップと母基板とが良好に接続されていない状態(接着剤の不良転写状態)を説明する半導体装置の要部断面図、
図16は半導体チップと母基板とが良好に接続されている状態を説明する半導体装置の要部断面図、
図17はウエハベーク工程の熱処理条件をパラメータとした接着剤の転写率とダイボンディング工程の熱処理温度(第3温度)との関係を説明するグラフ図、
図18はウエハベーク工程の熱処理条件をパラメータとしたダイシェア強度とダイボンディング工程の熱処理温度(第3温度)との関係を説明するグラフ図、
図27は半導体装置の製造方法を説明する工程図である。
【0029】
<ウエハ準備工程P1>
まず、
図4に示すように半導体ウエハ1を準備する。半導体ウエハ1は単結晶シリコンからなり、その直径は、例えば200mmまたは300mm、その厚さ(第1の厚さ)は、例えば0.7mm以上(製造工程への投入時の値)である。半導体ウエハ1は、第1主面(表面)1x、第1主面1xにマトリックス状に区画形成された複数のチップ領域1CA、複数のチップ領域1CAのうちの互いに隣り合うチップ領域1CA間に形成された切断領域(スクライブ領域、ダイシング領域、ダイシングライン)1SA、および第1主面1xとは反対側の第2主面(裏面)1yを有している。
【0030】
半導体ウエハ1の第1主面1xの各チップ領域1CAには、これに限定されないが、複数の半導体素子と、絶縁層と配線層とをそれぞれ複数段積み重ねた多層配線層と、この多層配線層を覆うようにして形成された表面保護膜とから構成される集積回路が形成されている。上記絶縁層は、例えば酸化シリコン膜で形成されている。上記配線層は、例えばアルミニウム、タングステン、または銅などの金属膜で形成されている。上記表面保護膜は、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜等の無機絶縁膜および有機絶縁膜を積み重ねた多層膜で形成されている。また、半導体ウエハ1の第1主面1xの各チップ領域1CAには、上記複数の半導体素子と電気的に接続された複数の電極パッド(ボンディングパッド)2が各チップ領域1CAの各辺に沿って配置されている(
図1には、複数の電極パッド2のうちの一部を記載)。これら複数の電極パッド2は、上記多層配線層のうちの最上層の配線からなり、上記表面保護膜にそれぞれの電極パッド2に対応して形成された開口部により露出している。
【0031】
<バックグラインド工程P2>
次に、半導体ウエハ1の第1主面1x側に集積回路を覆う保護テープ(バックグラインドテープ)を貼り付けた後、半導体ウエハ1の第2主面1yを、研削材(例えば粗さ♯360)を用いて粗研削することにより、半導体ウエハ1の厚さを所定の厚さまで薄くする。続いて半導体ウエハ1の第2主面1yを、先に使用した研削材よりも目の粗さが細かい研削材(例えば粗さ♯1500または♯2000)を用いて仕上げ研削することにより、粗研削時に生じた半導体ウエハ1の第2主面1yの歪みを除去する(バックグラインド)。さらに、仕上げ研削時に生じた半導体ウエハ1の第2主面1yの研磨スジを、例えばスピンエッチ法、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などにより除去する(ストレスリリーフ)。上記バックグラインドおよび上記ストレスリリーフを終えた時点での半導体ウエハ1の厚さ(第2の厚さ)は、例えば0.13mmである。なお、上記ストレスリリーフは全ての半導体ウエハ1に対して行う必要はなく、半導体チップに要求される強度に応じて行う。
【0032】
<接着剤貼り付け工程(第1温度)P3>
次に、
図5および
図6に示すように、半導体ウエハ1の第2主面1yに、フィルム状の接着剤(接着フィルム、接着層、封止材)5を貼り付ける。接着剤5は、後の製造工程において、半導体チップを母基板の上面に固定する際の接着剤として機能し、さらに、半導体装置として完成した後においては、半導体チップの裏面を保護する封止材として機能する。接着剤5は、例えば熱硬化型であり、フィラー(SiO
2の粒)を含有するエポキシ系樹脂から成る。その厚さは、例えば20〜30μmであり、25μmを中心値とする周辺範囲が好適である。また、そのフィラー含有量は、例えば60wt%である。
【0033】
接着剤5の半導体ウエハ1の第2主面1yへの貼り付けは、具体的には以下のように行われる。
【0034】
まず、
図5に示すように、半導体ウエハ1の第1主面1x側に保護テープ3を貼り付けた状態で、半導体ウエハ1の第1主面1xと、熱源を有する第1ステージ4の表面(上面、ウエハ搭載面)4xとを対向させて、第1ステージ4の表面4x上に半導体ウエハ1を配置する。半導体ウエハ1は、第1ステージ4の内部に設けられた真空経路6を介して真空吸着され、第1ステージ4の表面4x上に固定されている。また、第1ステージ4は、第1温度(例えば80〜100℃)に加熱されており、第1ステージ4の表面4x上に配置された半導体ウエハ1にも第1ステージ4の熱が伝わり、上記第1温度と同等の温度に加熱される。この半導体ウエハ1に熱を加えた状態で、半導体ウエハ1の第2主面1yに、フィルム状の接着剤5を貼り付ける。
【0035】
次に、位置固定された第1固定ローラ7と第2固定ローラ8とによって張られた接着剤5に向かって、図中に示す矢印9の方向に第1ステージ4を移動する。第1ステージ4の移動速度は、例えば5mm/secである。
【0036】
次に、
図6に示すように、加圧ローラ10により接着剤5と半導体ウエハ1の第2主面1yとの間に圧力を加える。熱および圧力を加えながら、半導体ウエハ1の周縁部の一部から、この周縁部の一部と半導体ウエハ1の中心部を介して対向する周縁部の他部に向かって、加圧ローラ10を転がして、徐々に接着剤5を半導体ウエハ1の第2主面1yの接着させて行き、最終的に半導体ウエハ1の第2主面1yの全面に接着剤5を貼り付ける。半導体ウエハ1に貼り付ける前の接着剤5には、所定の張力をかけている。これにより、しわのない、均一な厚さの接着剤5を半導体ウエハ1の第2主面1yに貼り付けることができる。また、接着剤5の一方の面であって、加圧ローラ10と接する側の面(半導体ウエハ1の第2主面1yと接する面と反対側の面)には接着剤5を保護するための保護シート11が設けられている。
【0037】
第1固定ローラ7、第2固定ローラ8、および加圧ローラ10は常温である。また、半導体ウエハ1の第2主面1yに貼り付ける前の接着剤5および保護シート11も常温である。しかし、半導体ウエハ1に接触した瞬間に半導体ウエハ1の熱(例えば80〜100℃)が接着剤5に伝わり、接着剤5は溶けて未硬化状態(第1形状)の強い接着力を有する。ここで、接着剤5の温度が、例えば40〜50℃と低くなると接着剤5が溶けにくくなり、半導体ウエハ1と接着剤5との接着力が弱くなる。半導体ウエハ1と接着剤5との接着力が弱いと、半導体ウエハ1を半導体チップに個片化する製造工程(ウエハダイシング工程P6)において、半導体チップが接着剤5から剥がれて、半導体チップの飛散等の問題が生じる。
【0038】
<ウエハベーク工程(第2温度)P4>
次に、
図7に示すように、保護テープ3および保護シート11を除去した後、接着剤5が貼り付けられた半導体ウエハ1に対して、圧力を加えることなく、第1温度よりも高い第2温度(例えば120℃)で60分程度の熱処理を施す。この熱処理は、例えばベーク炉(接着剤5が貼り付けられた半導体ウエハ1を収納する加熱された室内)を用いたエア(Air)ベークである。これにより、接着剤5の硬化反応を促進させて、未硬化状態(第1形状)から半硬化状態(第2形状)とする。この熱処理では、接着剤5に圧力を加えていないので、接着剤5の変形を抑えることができる。
【0039】
ここで、接着剤5を完全硬化すると、半導体チップを母基板の上面に配置する製造工程(ダイボンディング工程P7)において、接着剤5が柔らかくならないため、半導体チップと母基板との接着力が弱くなり、半導体チップを母基板の上面に固定することが難しくなる。従って、ウエハベーク工程P4における熱処理条件(熱処理温度(第2温度)および熱処理時間)の設定は重要である。
【0040】
図8に、熱処理温度(第2温度)をパラメータとした接着剤の硬化率と熱処理時間との関係を説明するグラフ図を示す。
【0041】
図8に示すように、熱処理温度(第2温度)が高いほど硬化速度が速くなる。従って、熱処理に要する時間は長くはなるが、熱処理温度(第2温度)が低いほど接着剤5の硬化率の制御は容易である。熱処理を施す前の接着剤5の未硬化状態にも依存するが、前の製造工程である接着剤貼り付け工程P3において、例えば80〜100℃の第1温度により半導体ウエハ1の第2主面1yに接着剤5を貼り付けた場合は、第2温度が120℃、熱処理時間が60分を中心とする周辺範囲が最も好適な熱処理条件であると考えられる。
【0042】
<ダイシングテープ貼り付け工程P5>
次に、
図9に示すように、ダイシングテープ12を準備する。なお、図示はしないが、ダイシングテープ12の周縁部には、平面視において環状のフレームが貼り付けられている。ダイシングテープ12は、例えばポリオリフィンを基材とし、その厚さは、例えば90μmである。また、ダイシングテープ12の上面(半導体ウエハ1が固定される面)には、接着層13が形成されている。接着層13は、例えばアクリル系UV硬化型の粘着剤であり、例えばUV照射前は200g/25mm、UV照射後は10〜20g/25mmの粘着力を有している。
【0043】
次に、ダイシングテープ12の上面と半導体ウエハ1の第2主面1yとを対向させて、両者を接着剤5および接着層13を介して貼り付ける。これにより、ダイシングテープ12の上面に、接着剤5および接着層13を介して半導体ウエハ1が固定される。
【0044】
<ウエハダイシング工程P6>
次に、
図10に示すように、例えばダイヤモンド微粒を貼り付けた極薄の円形刃を用いて、半導体ウエハ1を切断領域1SAに沿って縦、横に切断する。同時に、接着剤5および接着層13も半導体ウエハ1の切断領域1SAに沿って縦、横に切断する。半導体ウエハ1は半導体チップ14に個片化されるが、個片化された後も半導体チップ14はダイシングテープ12を介してフレームに固定されているため、整列した状態を維持している。また、前の製造工程である接着剤貼り付け工程P3において、半導体ウエハ1の第2主面1yに接着剤5が強く接着されているので、半導体チップ14が接着剤5から剥がれて、半導体チップ14の飛散等の問題も生じることはない。
【0045】
<ダイボンディング工程(第3温度)P7>
次に、
図11および
図12に示すように、母基板(基板、基材、母材)15を準備する。母基板15は、例えばステンレス(SUS430)または銅などの導電性部材から成り、1つの半導体チップ14が配置される領域(チップ搭載領域DIA)がマトリックス状に区画形成された多数個取り基板である。
図11では、複数のチップ搭載領域DIAからなる1つのブロックが、3つ形成された母基板15を例示している。母基板15の厚さは、例えば150μmである。
【0046】
母基板15の上面(表面、チップ搭載面)のチップ搭載領域DIAの周囲には、複数の外部端子(電極)16が形成されている。外部端子16は、例えば電解めっき法により金(Au)膜、ニッケル(Ni)膜、および金(Au)膜または銀(Ag)膜を下から順次形成した積層膜により構成され、ニッケル(Ni)膜がひさし状に張り出したマッシュルーム形状を有している。外部端子16の上面は、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAよりも高い位置にあるが、電解めっき法により形成する外部端子16は、導電性基板(金属板)をパターニングすることで形成されたリードフレームの一部から成るリードの厚さの約半分以下の厚さで形成することができる。また、外部端子16の形状をマッシュルーム形状とすることにより、後の製造工程であるモールド工程P10において、外部端子16のアンカー効果が期待できる。外部端子16を構成する金(Au)膜の厚さは、例えば0.1μm以上、ニッケル(Ni)膜の厚さは、例えば50〜80μm、金(Au)膜または銀(Ag)膜の厚さは、例えば2.5μm以上である。
【0047】
次に、ダイシングテープ12の下面側から紫外線を照射して、接着層13の接着力を、例えば10〜20g/25mm程度に低下させることにより、接着層13を硬化させる。これにより、各半導体チップ14がダイシングテープ12から剥がれやすくなる。
【0048】
次に、
図13に示すように、母基板15の下面と、熱源を有する第2ステージ18の表面(上面)18xとを対向させて、第2ステージ18の表面18x上に母基板15を配置する。第2ステージ18は、例えばステンレス(SUS430)などの導電性部材から成り、第3温度(例えば40〜80℃)に加熱されている。第2ステージ18の表面18x上に配置された母基板15に第2ステージ18の熱が伝わり、母基板15は上記第3温度と同等の温度に加熱されている。
【0049】
次に、半導体チップ14の表面を円筒コレット17によって吸着し、保持した後、半導体チップ14をダイシングテープ12から引き剥がしてピックアップする。接着層13の接着力が弱められているので、薄く強度が低下している半導体チップ14であっても確実にピックアップすることができる。半導体チップ14の裏面には、接着剤5が接着している。
【0050】
次に、
図14に示すように、ピックアップされた半導体チップ14は、母基板15の上面の所定のチップ搭載領域DIAに搬送される。続いて、半導体チップ14の裏面に接着している接着剤5を介して、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに半導体チップ14を配置し、熱(例えば40〜80℃)を加えることで、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに半導体チップ14を固定する。
【0051】
ここで、接着剤5が所望する状態(形状)となるように、第2ステージ18の第3温度、および半導体チップ14を母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに配置する際の荷重が制御される。接着剤5の所望する状態とは、好ましくは、接着剤5の側面が半導体チップ14の側面よりも内側にある状態(接着剤5の側面が半導体チップ14の裏面と母基板15との間にある状態)、または接着剤5の側面が半導体チップ14の側面と段差を有することなく同一面にある状態をいう。
【0052】
以下に、接着剤5の望ましくない形状および望ましい形状について、
図15および
図16を用いて詳細に説明する。
図15(a)および(b)に望ましくない形状の接着剤5を有する半導体装置の要部断面図、
図16(a)は望ましい形状の接着剤5を有する第1例の半導体装置の要部断面図、
図16(b)は望ましい形状の接着剤5を有する第2例の半導体装置の要部断面図を示す。
【0053】
接着剤5の望ましくない形状とは、
図15(a)に示すように、半導体チップ14の側面14sよりも外側に接着剤5の側面5sがあり、平面視において接着剤5の一部が半導体チップ14の側面14sから突出している形状をいう。このように、平面視において接着剤5の一部が半導体チップ14の側面14sから突出していると、後の製造工程である母基板剥がし工程P11において、
図15(b)に示すように、平面視において半導体チップ14の側面14sから突出した接着剤5の一部5aが母基板15に残り(不良転写状態)、母基板15から剥がされた樹脂封止体21の下面に欠け(窪み)21aが形成される。樹脂封止体21の下面に形成されたこの欠け21aから、例えば半導体チップ14と樹脂封止体21との間に水分が浸入し、その水分による半導体装置の信頼性の低下が生じる危険性がある。
【0054】
上記のことから、接着剤5は、平面視において半導体チップ14の側面14sから突出しない形状とすることが望ましい。すなわち、
図16(a)に示すように、好ましくは、接着剤5の側面5sと半導体チップ14の側面14sとが段差を有することなく同一面となるように、接着剤5を潰れすぎないように形成する。または、
図16(b)に示すように、好ましくは、接着剤5の側面5sが半導体チップ14の側面14sよりも内側に位置するように(接着剤5の側面5sが半導体チップ14の裏面と母基板15との間に位置するように)、接着剤5を潰れすぎないように形成する。これにより、前述した樹脂封止体21の下面における欠け21aの形成を防ぐことができる。
【0055】
従って、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに半導体チップ14を配置する際には、接着剤5が潰れて広がらないようにすることが重要である。そのためは、第2ステージ18の第3温度、および半導体チップ14を母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに配置する際の荷重を制御する必要がある。以下に、これら条件について説明する。
【0056】
(1).第2ステージ18の第3温度について
図17に、接着剤の転写率(母基板から剥がされた後に接着剤が母基板の上面に残る確率)と第3温度との関係を説明するグラフ図を示す。前の製造工程であるウエハベーク工程P4における熱処理条件をパラメータとしている。接着剤の転写率が0%のときが良好領域であり、0%よりも大きいと不良領域となる。
【0057】
接着剤の転写率は、ウエハベーク工程P4における熱処理条件(熱処理温度(第2温度)および熱処理時間)にも依存するが、第3温度が高くなるに従い高くなる。ウエハベーク工程P4において熱処理温度(第2温度)に120℃、熱処理時間に60分を選択した場合は、熱処理条件のマージン等も考慮すると、40〜80℃の範囲が最も好適な第3温度であると考えられる。
【0058】
一方で、ダイシェア強度(接着剤と母基板との接着力)が低い場合は、後の製造工程であるワイヤボンディング工程P9において、半導体チップ14が母基板15から剥離する危険性がある。そのため、所定のダイシェア強度を有する必要がある。
【0059】
図18に、ダイシェア強度と第3温度との関係を説明するグラフ図を示す。前の製造工程であるウエハベーク工程P4における熱処理条件をパラメータとしている。ダイシェア強度が300gr以上のときが良好領域であり、300gr未満のときが不良領域となる。ダイシェア強度の測定に用いた半導体チップの平面寸法は0.8mm×0.8mmである。
【0060】
ダイシェア強度は、ウエハベーク工程P4における熱処理条件(熱処理温度(第2温度)および熱処理時間)にも依存するが、第3温度が高くなるに従い高くなる。ウエハベーク工程P4において熱処理温度(第2温度)に120℃、熱処理時間に60分を選択した場合は、40℃以上の第3温度において、良好なダイシェア強度が得られている。
【0061】
従って、第3温度としては、接着剤5の転写率およびダイシェア強度から、40〜80℃を選択することができる。
【0062】
(2).接着剤5の温度について
接着剤5は、荷重を掛けなくても、40℃を越える熱を加えると溶けて変形する。そのため、半導体チップ14を母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに配置する直前まで、40℃を越える熱を加えないことが望ましい。また、接着剤5を介して半導体チップ14と母基板15とを接着する際も、接着剤5全体を溶かすのではなく、母基板15と接触する面のみを溶かして、半導体チップ14と接触する面および側面5sは溶かさないことが望ましい。そこで、本実施の形態では、接着剤5の変形をできるだけ抑制するために、エア(Air)ベークを用いずに、ヒートステージを用いた。
【0063】
円筒コレット17は常温であり、円筒コレット17に保持された半導体チップ14およびその裏面に接着した接着剤5も常温である。この状態で、円筒コレット17は、第3温度(例えば40〜80℃)に加熱された母基板15の上面のチップ搭載領域DIA上に移動する。その後、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに半導体チップ14を配置するが、ヒートステージ(第2ステージ18)を用いているので、接着剤5の母基板15と接触する面のみに熱が加わり、この面の接着剤5のみを溶かして、接着剤5と母基板15とを接着させることができる。接着剤5全体に熱が加わらないので、接着剤5の変形を抑制することができる。
【0064】
(3).荷重について
接着剤5は溶けると自重により変形するので、接着剤5の変形を抑制するためには、半導体チップ14に掛ける荷重はできるだけ小さくすることが望ましい。例えば荷重を掛けることなく、半導体チップ14を母基板15の上面のチップ搭載領域DIAに乗せる程度であってもよい。
【0065】
<接着剤ベーク工程(第4温度)P8>
次に、
図19に示すように、複数の半導体チップ14が貼り付けられた母基板15に対して、圧力を加えることなく、第3温度よりも高い第4温度(例えば150℃)で60分程度の熱処理を施す。この熱処理は、例えばベーク炉(複数の半導体チップ14が貼り付けられた母基板15を収納する加熱された室内)を用いたエア(Air)ベークである。これにより、接着剤5の硬化反応を促進させて、半硬化状態(第2形状)から完全硬化状態(第3形状)とする。これにより、接着剤5を介した半導体チップ14と母基板15との接着力が強くなり、また、接着剤5の硬度が高くなる。
【0066】
<ワイヤボンディング工程P9>
次に、
図20に示すように、半導体チップ14の表面の縁辺に配置された複数の電極パッド2と、母基板15の上面のチップ搭載領域DIAの周囲に形成された複数の外部端子16とを、例えば熱圧着に超音波振動を併用したネイルヘッドボンディング法(ボールボンディング法)により、複数の導電性部材19を用いてそれぞれ電気的に接続する。導電性部材19には、例えばワイヤ(金ワイヤ)を用いる。具体的には、ワイヤの先端をアーク放電により溶融して表面張力でボールを形成し、それをキャピラリ(円筒状の接続治具)20により電極パッド2上および外部端子16上に、例えば120kHzの超音波振動を加えながら熱圧着する。
【0067】
また、主として、正ボンディング方式(半導体チップ14の電極パッド2とワイヤの一部を接続した後に、外部端子16とワイヤの他部を接続する方式)を用いるが、逆ボンディング方式(外部端子16とワイヤの一部を接続した後に、半導体チップ14の電極パッド2とワイヤの他部を接続する方式)を用いても良い。
【0068】
半導体チップ14と母基板15との接着力が弱い場合または接着剤5の硬度が不足している場合は、超音波が減衰してワイヤの圧着不良(ワイヤの接合強度の低下)が発生する。そのため、前の製造工程である接着剤ベーク工程P8において、接着剤5の硬化反応を促進させて、完全硬化状態(第3形状)としておく必要がある。また、キャピラリ20に超音波振動を加えていない場合であっても、ワイヤの一部を半導体チップ14の電極パッド2に接続する際には荷重が加わるため、やはり接着剤5は完全硬化状態(第3形状)となっていることが好ましい。
【0069】
<モールド工程P10>
次に、
図22に示すように、複数の半導体チップ14が搭載された母基板15を金型成型機にセットし、温度を上げて液状化した封止樹脂を金型成型機に圧送して流し込み、母基板15の上面側を封止樹脂で封入して、1つの樹脂封止体(封止体)21を形成する。続いて、例えば175℃の温度で5時間の熱処理(ポストキュアベーク)を施す。この熱処理は、例えばエア(Air)ベークである。これにより、母基板15の上面、複数の半導体チップ14、複数の外部端子16のそれぞれの一部(上面および側面)、および複数の導電性部材19などが母基板15の上面側を被覆する樹脂封止体21によって封止される。樹脂封止体21の厚さは、例えば300μmである。樹脂封止体21は、低応力化を図ることを目的として、例えばフェノール系硬化剤、シリコーンゴム、および多数のフィラー(例えばシリカ)などが添加されたエポキシ系の熱硬化性絶縁樹脂からなる。
【0070】
<母基板剥がし工程P11>
次に、
図23に示すように、樹脂封止体21から母基板15を折り曲げながら引き剥がす。これにより、樹脂封止体21の下面から接着剤5および複数の外部端子9のそれぞれの他部(下面、実装面)を露出させる。母基板15を引き剥がした後も、半導体チップ14の裏面には接着剤5が接着している。
【0071】
<レーザーマーク工程P12>
次に、
図24に示すように、レーザー25を用いて樹脂封止体21の上面に品名などを捺印する。
【0072】
<パッケージダイシング工程P13>
次に、
図25に示すように、ダイシングシート22を準備する。ダイシングシート22の上面には、接着層23が貼り付けられている。接着層23は、例えばアクリル系UV硬化タイプの粘着剤である。続いて、ダイシングシート22の上面に接着層23を介して、複数の半導体チップ14、複数の外部端子16のそれぞれの一部(上面および側面)、および複数の導電性部材19などを被覆した樹脂封止体21を固定する。
【0073】
次に、例えばダイヤモンド微粒を貼り付けた極薄の円形刃を用いて、封止樹脂体21の下面側から封止樹脂体21をスクライブ領域に沿って縦、横に切断する。同時に、接着層23も上記スクライブ領域に沿って縦、横に切断する。封止樹脂体21は半導体装置(半導体パッケージ)24に個片化されるが、個片化された後も半導体装置24はダイシングシート22を介して固定されているため、整列した状態を維持している。続いて、封止樹脂体21および接着層23を切断する際に発生した屑などを除去するために、半導体装置24を洗浄する。
【0074】
次に、ダイシングシート22の下面側から紫外線を照射して、接着層23の接着力を低下させる。これにより、各半導体装置24がダイシングシート22から剥がれやすくなる。このダイシングシート22は、紫外線を透過することが可能な材料から成るため、紫外線を透過させることが可能である。
【0075】
次に、
図26に示すように、ダイシングシート22を除去することにより、個々の半導体装置24に分ける。半導体装置24の樹脂封止体21の下面には、複数の外部端子16のそれぞれの下面(実装面)、および複数の半導体チップ14のそれぞれの裏面に接着剤5が露出している。従って、複数の半導体チップ14のそれぞれの裏面は、接着剤5に保護されている。
【0076】
<テスト工程P14>
次に、製品規格に沿って選別し、さらに最終外観検査を経て製品(半導体装置24)が完成する。
【0077】
<テーピング工程P15>
次に、キャリアテープに予め形成されている窪みに製品(半導体装置24)を収納する。その後、例えばキャリアテープをリールに巻き取り、防湿された袋にリールを収納し、この状態で出荷する。
【0078】
(変形例1)
前述した「接着剤貼り付け工程(第1温度)P3」において、半導体ウエハ1に接着剤5を貼り付ける際には、ローラ(第1固定ローラ7、第2固定ローラ8、および加圧ローラ10)を用いたが、これに限定されるものではない。例えば予め半導体ウエハ1の外形に合わせて模った接着剤を、半導体ウエハ1の中心部から周縁部に向かって徐々に接着させて行き、最終的に半導体ウエハ1の第2主面1yの全面に接着剤を貼り付ける方法でもよい。
【0079】
(変形例2)
前述した「ウエハベーク工程(第2温度)P4」および「接着剤ベーク工程(第4温度)P8」では、ベーク炉を用いたエア(Air)ベークにより熱処理を行ったが、これに限定されるものではない。例えば「ダイボンディング工程(第3温度)P7」と同様に、ヒートステージを用いた熱処理をおこなっても良い。ただし、「ウエハベーク工程(第2温度)P4」および「接着剤ベーク工程(第4温度)P8)」では、接着剤5全体の硬化を促すことを目的としているため、接着剤5の硬化速度または接着剤5の形状の均一化(不均一に変形しない)を考慮した場合には、接着剤5全体に熱が伝わりやすい、ベーク炉を用いたエア(Air)ベークを使用することが好ましい。
【0080】
(変形例3)
接着剤5が半硬化状態であってもワイヤボンディングができる場合には、「接着剤ベーク工程(第4温度)P8」を省いてもよい。詳細に説明すると、「ダイボンディング工程(第3温度)P7」において、1つの母基板15上に設けられるチップ搭載領域DIAの数が相対的に多い場合、最初のチップ搭載領域DIAに配置された半導体チップ14は、最後のチップ搭載領域DIAに半導体チップ14が配置されるまでの間、接着剤5が熱の影響を受けることになる。そのため、「ダイボンディング工程(第3温度)P7」における熱履歴によっては、「接着剤ベーク工程(第4温度)P8」を施さなくても、既に接着剤5の硬化が完了する場合もある。しかしながら、ワイヤの接合強度を向上させるためには、超音波が半導体チップ14に加わった際に、半導体チップ14が動かないことが好ましいため、「ダイボンディング工程(第3温度)P7」の後に、さらに「接着剤ベーク工程(第4温度)P8」を施すことが好ましい。
【0081】
このように、本実施の形態によれば、半導体装置24の小型化および薄型化を図るために、ステンレスまたは銅などの導電性部材を母基板15とする電解めっき法により外部端子16を形成するが、樹脂封止体21から母基板15を剥がすときに半導体チップ14の裏面に貼り付けられた接着剤5が母基板15に残らないので、樹脂封止体21の下面が欠けることがない。さらに、樹脂封止体21の下面が欠けておらず、さらに、半導体チップ14の裏面は接着剤5により保護されているので、半導体装置の信頼性の低下を抑制して、半導体装置の小型化および薄型化を図ることができる。
【0082】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。