(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798840
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】接続端子
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20151001BHJP
H01R 4/24 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
H01R13/11 302E
H01R4/24
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-188696(P2011-188696)
(22)【出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2013-51136(P2013-51136A)
(43)【公開日】2013年3月14日
【審査請求日】2014年7月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】神田 秀典
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭59−32870(JP,B2)
【文献】
実用新案登録第2529455(JP,Y2)
【文献】
実公平03−023675(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 4/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材より形成され、電線を接続する電線接続部と、相手端子との接続を行う接点部とを備え、前記電線接続部と前記接点部が並列に配置され、前記電線接続部と前記接点部のいずれか長い方の範囲内で短い方が並列に配置され、前記電線接続部は、前記接点部の反対面側が電線配置面とされていることを特徴とする接続端子。
【請求項2】
請求項1記載の接続端子であって、
前記電線接続部には、前記電線内に突き刺す爪部が設けられていることを特徴とする接続端子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の接続端子であって、
前記電線接続部と前記接点部は、双方の前端で連結部を介して連結されていることを特徴とする接続端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線に接続される接続端子に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の接続端子は、従来より種々提案されている。
図3には、従来の接続端子を使用したシールドコネクタが示されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
図5において、シールドコネクタ50は、インナーハウジング51と、このインナーハウジング51内に収容された複数の接続端子52と、インナーハウジング51の外周を被うシールドシェル60とを備えている。
【0004】
インナーハウジング51は、所定の誘電率の絶縁体より形成されている。各接続端子52は、電線接続部53と、相手端子との接続を行う接点部54とを有する。電線接続部53には、シールド電線W1の各芯線70がそれぞれ接続されている。シールドシェル60は、導電性材より形成されている。シールドシェル60は、シールド本体61とこれに組み付けされるシールドカバー62とから構成されている。シールド本体61とシールドカバー62の後端部には、シールド電線W1のシールド線71が加締めによって接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−266498号公報
【特許文献2】特開2009−37826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の接続端子52は、
図6に詳しく示すように、電線接続部53と接点部54が一直線状に直列に配置されている。従って、接続端子52の長さ寸法L2が長いという問題がある。特に、上記したシールドコネクタ50は、シールド電線W1の芯線70とシールド線71をそれぞれ接続する必要があるため、他種類のコネクタと較べて長寸法となる。そのため、シールドコネクタ50では、接続端子52の長さ寸法L2を極力短くすることが特に要請される。
【0007】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、長さ寸法の短い接続端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、導電性材より形成され、電線を接続する電線接続部と、相手端子との接続を行う接点部とを備え、前記電線接続部と前記接点部が並列に配置され、前記電線接続部と前記接点部のいずれか長い方の範囲内で短い方が並列に配置され
、前記電線接続部は、前記接点部の反対面側が電線配置面とされていることを特徴とする。
【0009】
前記電線接続部には、前記電線内に突き刺す爪部が設けられることが好ましい。
【0011】
前記電線接続部と前記接点部は、双方の前端で連結部を介して連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電線接続部と接点部のいずれか長い方の寸法が接続端子の長さ寸法となるため、接続端子の長さ寸法が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態を示し、電線を接続した接続端子の側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態を示し、接続端子の斜視図である。
【
図3】本発明の第2実施形態を示し、電線を接続した接続端子の側面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態を示し、接続端子の斜視図である。
【
図5】従来例の接続端子が適用されたシールドコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態を示す。
図1及び
図2に示すように、接続端子1Aは、1枚の導電性金属材である銅合金材の板を折り曲げることによって形成されている。接続端子1Aは、電線Wを接続する電線接続部2と、相手端子(図示せず)との接続を行う接点部10と、電線接続部2と接点部10間を連結する連結部20とを備えている。
【0016】
電線接続部2は、接点部10とは反対側である上面が電線配置面3として形成されている。電線配置面3には、他の箇所よりも一段高いハンダ接続面3aが形成されている。
【0017】
接点部10は、上面接触片部11と、この上面接触片部11の後端側より前方に向かって大きく折り曲げられた弾性接触片部12とを有する。接点部10は、雌接点形状である。相手端子であるオス端子(図示せず)が上面接触片部11と弾性接触片部12の間に挿入されると、弾性接触片部12の撓み復帰力によって密着され、電気的に接続される。
【0018】
連結部20は、電線接続部2と接点部10の双方の前端同士を連結している。連結部20で連結された電線接続部2と接点部10は、並列に、つまり、側面から見て上下縦並びに配置されている。
【0019】
電線Wは、導体30とこの外周を被う絶縁外皮31とから構成されている。電線Wの先端側は、最先端の絶縁外皮31を残してその少し内側の絶縁外皮31が剥ぎ取られている。これにより、電線Wは、先端より少し内側の一部区間で導体30が外部に露出されている。
【0020】
電線Wの先端側は、導体30の露出箇所がハンダ接続面3aに載置される位置で電線接続部2の電線配置面3に配置されている。そして、導体30とハンダ接続面3a間がハンダ付けされている。
【0021】
上記構成において、接続端子1Aは、電線接続部2と接点部10が並列に、つまり、側面から見て上下縦並びに配置されている。従って、電線接続部2と接点部10のいずれか長い方の寸法、この実施形態では電線接続部2の寸法が接続端子1Aの長さ寸法L1となるため、接続端子1Aの長さ寸法L1が短くなる。
【0022】
電線接続部2は、接点部10の反対面側が電線配置面3とされている。従って、電線配置面3の上方が開放スペースとなるため、電線Wの配置作業及び固定作業が容易である。
【0023】
電線接続部2と接点部10は、双方の前端で連結部20を介して連結されている。従って、接点部10を雌端子形状として容易に作成できる。
【0024】
電線接続部2の電線配置面3には、他の面より一段高いハンダ接続面3aが形成されている。従って、電線Wとのハンダ付けを確実に、しかも、強固なハンダ付けとすることができる。
【0025】
(第2実施形態)
図3及び
図4は、本発明の第2実施形態を示す。
図3及び
図4に示すように、接続端子1Bは、前記第1実施形態の接続端子1Aと比較するに、電線接続部2に爪部4が設けられている点のみが相違する。爪部4は、電線接続部2の一部の切り起こしによって形成されている。爪部4の端面は、刃状に形成されている。爪部4は、電線W内に突き刺さっている。
【0026】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、図面の同一構成箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
この第2実施形態では、前記第1実施形態と同様の理由によって、接続端子1Bの長さ寸法L1が短くなる等の効果がある。
【0028】
電線接続部2には、爪部4が設けられている。従って、接続端子1Bは、電線Wに作用する引っ張り力Pをハンダ固定力と爪部4の係止力によって受けるため、電線Wの引っ張り強度が向上する。爪部4が導体30に接触することにより、電線接続抵抗が低くなる。
【0029】
(変形例)
前記各実施形態では、接続端子1A,1Bには電線Wの導体30がハンダ付けで接続されているが、接続手段は問わない。
【0030】
上記した接続端子1A,1Bをシールドコネクタに適用すれば、シールドコネクタの短寸法化の要請に応えることができ、好ましい。
【符号の説明】
【0031】
1A,1B 接続端子
2 電線接続部
3 電線配置面
4 爪部
10 接点部
20 連結部
W 電線