(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した吸音システムについて、図面を参照して説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.概説
2.横梁
3.吸音部材
4.背面板
5.ルーバー
6.吸音被覆シート
7.吸音システムの吸音方法
8.効果
9.吸音被覆シートの変形例
9−1.第一変形例
9−2.第二変形例
9−3.第三変形例
9−4.第四変形例
9−5.第五変形例
10.吸音層の変形例
10−1.第六変形例
10−2.第七変形例
10−3.第八変形例
10−4.第九変形例
10−5.第十変形例
10−6.第十一変形例
11.その他の変形例
【0013】
<1.概説>
図1に示すように、例えば高架道路や高架鉄道等2(以下、単に、高架道路等ともいう。)の桁下裏面には、交通騒音レベルの低減のため、地上の一般道路3等の交通騒音等を吸音する吸音システム1が設置されている。
【0014】
具体的に、吸音システム1は、
図1及び
図2に示すように、高架道路等2の桁下裏面側に主桁から吊り材4によって高架道路等2の橋軸直角方向(道路幅方向)に略水平に吊り下げられた支持部材となる横梁5と、高架道路等2の橋軸方向(長手方向)に隣り合う横梁5,5間に設けられ、騒音等を吸音する吸音部材6と、吸音部材6に対して桁側に設けられ、吸音システム1の背面部となると共に、施工、点検及び補修等の作業時に作業用の足場となる背面板7と、吸音部材6に対して地上側に設けられ、化粧部材となるルーバー8とを備えている。
【0015】
<2.横梁>
図2に示すように、高架道路等2の桁下裏面側に主桁から吊り材4によって吊り下げられた横梁5は、例えばH形鋼を、高架道路等2の道路幅方向に略水平に設け、高架道路等2の長手方向に所定の間隔を存して複数個設置することで構成されている。このとき、横梁5は、一対のフランジ部9,10が高さ方向に並ぶように設けられている。更に、横梁5の上側フランジ部9には、背面板7が取り付けられ、下側フランジ部10には、ルーバー8が取り付けられている。
【0016】
更に、
図3に示すように、ルーバー8が取り付けられる下側フランジ部10には、ルーバー8を取り付けるための取付部材となるルーバー取付治具11が挿通される取付孔12が形成されている。この取付孔12は、例えば、横梁5の長手方向と略垂直な幅方向の両端部近傍に、それぞれ長手方向に所定の間隔を存して複数個形成される。更に、下側フランジ部10には、少なくとも下側フランジ部10の下面10aを覆うように、吸音被覆シート13が取り付けられ、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間に騒音等を吸音する吸音層14が設けられている。なお、吸音被覆シート13及び吸音層14については、後述する。
【0017】
<3.吸音部材>
図2に示すように、騒音等を吸音する吸音部材6は、高架道路等2の長手方向に隣り合う横梁5,5間に略水平に配設されている。具体的に、吸音部材6は、吸音材6aと、吸音材6aを覆う被覆シート6bとを有している。吸音材6aは、例えば、所謂グラスウールに代表されるようなガラス繊維集合体や、綿やポリエステル等の合成樹脂製の不織布等で構成されている。被覆シート6bは、難燃性、撥水性、耐久性等に優れた織布や不織布若しくは可撓性シート材で構成されており、吸音材6aの全面を覆うように設けられている。なお、被覆シート6bは、ルーバー8と同じ又はほぼ同じ色の織布又は不織布若しくは可撓性シート材で構成されるようにしても良い。
【0018】
<4.背面板>
図2に示すように、吸音システム1の背面部となると共に作業用の足場となる背面板7は、例えば、鋼板を折り曲げ成形して形成された波形状の断面を有する長尺な波形プレートである。このような背面板7は、横梁5の上側フランジ部9の上面に略水平に敷設され、例えば、長手方向を高架道路等2の長手方向に向けて、高架道路等2の道路幅方向に複数個敷設されると共に、これらの長手方向に連続して更に複数個敷設されている。更に、上側フランジ部9に敷設された背面板7は、背面板取付治具(不図示)によって、上側フランジ部9に取り付けられている。なお、背面板7は、波形プレートに限定されるものではなく、平坦な長尺プレートや所謂パンチングメタル等のような加工板であっても良い。
【0019】
<5.ルーバー>
図2に示すように、化粧部材となるルーバー8は、鋼板を折り曲げ成形して形成され、例えば、天面8aが略平坦な多角形状の均等断面を有する長尺部材であり、内部が中空に設けられている。更に、天面8aには、長手方向に沿って、開口部8bが形成されている。なお、ルーバー8の断面形状は、多角形状の他に、方形状、円形状、U字状、円弧状、三角形状等であっても良い。
【0020】
このような形状のルーバー8は、天面8aを吸音被覆シート13を介して横梁5の下側フランジ部10の下面10aに当接させて、長手方向の両端部8c,8dが下側フランジ部10の下面10aに位置するように、長手方向を高架道路等2の長手方向に向けて配設されている。更に、ルーバー8は、高架道路等2の道路幅方向に例えば100mm程度の所定の間隔をあけて複数個配設されると共に、これらの長手方向に連続して更に複数個配設されている。即ち、一つの横梁5の下側フランジ部10の下面10aには、高架道路等2の長手方向に隣り合う一方のルーバー8の一端部8cと他方のルーバー8の他端部8dとが、相対するように配設されている。そして、このような高架道路等2の長手方向に隣り合う一対のルーバー8,8は、
図3に示すように、ルーバー取付治具11によって、一つの横梁5の下側フランジ部10に取り付けられている。
【0021】
具体的に、ルーバー取付治具11は、
図3に示すように、天面8aの内面と係合する係合部材11aと、ボルト11b及びナット11cとで構成されている。即ち、下側フランジ部10に配設されたルーバー8は、先ず、ボルト11bが挿通された係合部材11aがルーバー8の内部に収納されて、この係合部材11aがルーバー8の天面8aの内面と係合される。次いで、ルーバー8は、ボルト11bの軸部が、開口部8b、吸音被覆シート13の挿通孔13b、下側フランジ部10の取付孔12、吸音被覆シート13の挿通孔13cの順に挿通されて、下側フランジ部10の上面10c側で座金11dを介してナット11cが締め付けられる。以上のようにして、ルーバー8は、下側フランジ部10に取り付けられる。このとき、
図4に示すように、高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eからは、吸音部材6が外部に臨んでいると共に、吸音部材6の間から横梁5の下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13が外部に臨んでいる。
【0022】
なお、ルーバー8は、係合部材11aを設けることなく、ボルト11b及びナット11cだけで下側フランジ部10に取り付けられるようにしても良い。このとき、ボルト11bとナット11cとを、逆に配置しても良い。
【0023】
<6.吸音被覆シート>
図5に示すように、横梁5の下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13は、吸音部材6の被覆シート6bと同様に、難燃性、撥水性、耐久性等に優れ、更に、被覆シート6bと同じ又はほぼ同じ色の織布や不織布若しくは可撓性シート材で構成されている。
【0024】
このような吸音被覆シート13は、下側フランジ部10の全面、即ち、下側フランジ部10の下面10aと側面10bと上面10cとを覆うように設けられている。例えば、吸音被覆シート13は、長手方向の長さが、横梁5の長手方向の長さと略同じ長さを有し、幅方向の長さが、幅方向の端部13aが下側フランジ部10の上面10cの取付孔12よりも内側(ウェブ側)に配置されるような長さを有している。なお、吸音被覆シート13は、長手方向の長さが横梁5の長手方向の長さよりも短い所定の長さを有し、横梁5の長手方向に複数個設けられることで、下側フランジ部10の全面を覆うようにしても良い。
【0025】
更に、
図3に示すように、吸音被覆シート13は、下側フランジ部10に取り付けられた際に取付孔12に対向する位置に、挿通孔13b,13cが形成されている。これらの挿通孔13b,13cには、ルーバー8を下側フランジ部10に取り付けるルーバー取付治具11が挿通される。更に、このような挿通孔13b,13cは、例えば、吸音被覆シート13が下側フランジ部10に取り付けられた後に、カッタやポンチ等の加工工具によって形成される。なお、このように現場において加工工具を用いて挿通孔13b,13cを形成する場合には、挿通孔13b,13cから吸音被覆シート13が裂けてしまうことを防止するために、吸音被覆シート13が無配向な生地である不織布で構成されていることが好ましい。
【0026】
更に、このような吸音被覆シート13は、幅方向の端部13aが粘着層15によって下側フランジ部10の上面10cに貼り付けられている。この粘着層15は、粘着テープや接着剤等から成り、例えば、
図3に示すように、下側フランジ部10の長手方向に隣り合う取付孔12,12間に設けられている。なお、粘着層15は、取付孔12,12間だけに設けられることに限定されるものではなく、下側フランジ部10の上面10cの長手方向の端部間に連続して又は取付孔12,12間に拘わらず端部間に不連続に複数箇所に設けられるようにしても良い。
【0027】
更に、
図6に示すように、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、ルーバー8を下側フランジ部10に取り付けるルーバー取付治具11によって、下側フランジ部10の上面10cに取り付けられている。具体的に、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、取付孔12においてルーバー8と下側フランジ部10とを締結するルーバー取付治具11のボルト11b及びナット11cの締結力によって、ナット11cと下側フランジ部10の上面10cとで狭持されている。
【0028】
なお、粘着層15は、下側フランジ部10側に設けられることに限定されるものではなく、吸音被覆シート13側に設けられるようにしても良い。更に、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aを、粘着層15を用いずに、ルーバー取付治具11だけで下側フランジ部10に取り付けるようにしても良い。
【0029】
更に、吸音被覆シート13は、吸音被覆シート13とナット11cとの間に、ナット11cよりも平面視の面積が大きな抑え板を設け、この抑え板によって上方から抑えられることで、下側フランジ部10に取り付けられるようにしても良い。これにより、吸音被覆シート13を、より確実且つ強固に下側フランジ部10に取り付けることが出来る。
【0030】
以上のようにして部分的に下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13と下側フランジ部10との間には、
図5に示すように、吸音層14が設けられている。この吸音層14は、吸音被覆シート13と下側フランジ部10との間に形成された空気層であり、例えば、
図7に示すように、高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eから露出する部分に設けられている。このような空気層から成る吸音層14は、少なくとも1%以上の吸音性能を有している。従って、吸音システム1は、ルーバー8の間8eから横梁5に向かって入射された音を、この吸音層14によって吸音することが出来る。
【0031】
なお、吸音層14は、高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eから露出する部分にのみ設けられることに限定されるものではなく、露出する部分に加え、露出していない部分にも設けられるようにしても良く、更に、吸音被覆シート13と、下面10aと側面10bとの間、若しくは、下面10aと側面10bと上面10cとの間に設けられるようにしても良い。
【0032】
<7.吸音システムの吸音方法>
本発明に係る吸音システム1は、
図4に示すように、ルーバー8が下側フランジ部10に高架道路等2の道路幅方向に所定の間隔を存して複数個配設され、高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eから、吸音部材6が外部に臨んでいると共に、吸音部材6の間から横梁5の下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13が外部に臨んでいる。従って、本発明に係る吸音システム1は、地上の一般道路3等を走行する車両の騒音が入射されると、先ず、入射された音を、高架道路等2の道路幅方向に互いに隣接するルーバー8の間8eで反復反射して減衰させる。次いで、吸音システム1は、ルーバー8の間8eから入射された音を、吸音部材6及び吸音層14によって、即ち、高架道路等2の桁下裏面側の全面で吸音させる。具体的には、ルーバー8の間8eから横梁5,5間に入射された音を、吸音部材6によって吸音させ、ルーバー8の間8eから横梁5に向かって入射された音を、吸音層14によって吸音させる。
【0033】
<8.効果>
本発明に係る吸音システム1は、横梁5の下側フランジ部10に吸音被覆シート13を取り付けて、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間に吸音層14を設けることで、この吸音層14によって、ルーバー8の間8eから横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。
【0034】
更に、本発明に係る吸音システム1は、横梁5の下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13が吸音部材6の吸音材6aを覆う被覆シート6bと同じ又はほぼ同じ色であるので、横梁5の下側フランジ部10と吸音部材6との一体感が増して、下方から見上げられても横梁5が目立たなくなり、全体の景観を向上させることが出来る。
【0035】
<9.吸音被覆シートの変形例>
<9−1.第一変形例>
なお、吸音被覆シート13は、
図5及び
図6に示す上述した第一実施例のように、下側フランジ部10の全面を覆うように設けることに限定されるものではなく、
図8に示すように、下側フランジ部10の下面10aと側面10bと上面10cの一部とを覆うように設けても良い。
【0036】
具体的に、このような吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の上面10cの取付孔12よりも外側(ウェブと反対側)の縁部上に配置されている。更に、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の上面10cの縁部又は吸音被覆シート13の幅方向の端部13aに設けられた粘着層15によって、下側フランジ部10の上面10cの縁部に貼り付けられている。
【0037】
このように下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13によって設けられた吸音層14であっても、第一実施例と同様に、横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。更に、吸音システム1全体の景観を向上させることが出来る。
【0038】
<9−2.第二変形例>
更に、
図9に示すように、吸音被覆シート13は、下側フランジ部10の下面10aと側面10bとを覆うように設けても良い。
【0039】
具体的に、このような吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の側面10b上に配置されている。更に、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の側面10b又は吸音被覆シート13の幅方向の端部13aに設けられた粘着層15によって、下側フランジ部10の側面10bに貼り付けられている。
【0040】
このように下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13によって設けられた吸音層14であっても、第一実施例と同様に、横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。更に、吸音システム1全体の景観を向上させることが出来る。
【0041】
<9−3.第三変形例>
更に、
図10及び
図11に示すように、吸音被覆シート13は、下側フランジ部10の下面10aだけを覆うように設けても良い。
【0042】
具体的に、このような吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の下面10aの取付孔12よりも外側に配置されている。更に、
図10に示すように、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10の下面10aの端部又は吸音被覆シート13の幅方向の端部13aに設けられた粘着層15によって、下側フランジ部10の下面10aに取り付けられている。更に、
図11に示すように、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10と下側フランジ部10にルーバー取付治具11によって取り付けられたルーバー8とで狭持されることで、下側フランジ部10の下面10aに取り付けられている。なお、吸音被覆シート13の幅方向の端部13aは、下側フランジ部10とルーバー8とで狭持されることだけで、下側フランジ部10の下面10aに取り付けられるようにしても良い。
【0043】
このように下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13によって設けられた吸音層14であっても、第一実施例と同様に、横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。更に、吸音システム1全体の景観を向上させることが出来る。
【0044】
<9−4.第四変形例>
更に、
図5、
図8乃至
図10に示すように、第一実施例及び第一乃至第三変形例の吸音被覆シート13は、更に、下側フランジ部10の下面10aの幅方向の略中央部に設けられた更なる粘着層15aによって、下側フランジ部10の下面10aにも貼り付けられるようにしても良い。
【0045】
具体的に、粘着層15aは、粘着層15と同様に粘着テープや接着剤等から成り、例えば、下側フランジ部10の下面10aに、横梁5の長手方向に所定の間隔を存して複数個設けられている。従って、吸音被覆シート13は、下側フランジ部10の下面10aに対応する部分が下方側へ大きく弛むことを防止出来る。
【0046】
なお、粘着層15aは、下側フランジ部10の下面10aの長手方向の長さとほぼ同じ長さを有し、長手方向の端部間に亘って連続して設けるようにしても良い。更に、粘着層15aは、下側フランジ部10の下面10aの幅方向の略中央部に一つ設けることに限定されるものではなく、下側フランジ部10の下面10a、側面10b及び上面10c等に複数個設けるようにしても良い。更に、吸音被覆シート13側に設けるようにしても良い。
【0047】
<9−5.第五変形例>
更に、
図5、
図8乃至
図10に示す第一実施例及び第一乃至第四変形例の吸音被覆シート13は、
図12に示すように、断面略コ字状のクリップ16によって下側フランジ部10に取り付けられて、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間に吸音層14を設けるようにしても良い。
【0048】
具体的に、クリップ16は、下側フランジ部10の側面10b側から、一片16aが下側フランジ部10の下面10a上の吸音被覆シート13と係合され、他片16bが、
図5及び
図8に示すように吸音被覆シート13が下側フランジ部10の上面10cを覆う場合、この下側フランジ部10の上面10c上の吸音被覆シート13に係合され、
図9及び
図10に示すように吸音被覆シート13が下側フランジ部10の上面10cを覆わない場合、下側フランジ部10の上面10cに係合される。かくして、クリップ16は、吸音被覆シート13を挟み込んで下側フランジ部10に取り付けられる。
【0049】
このように下側フランジ部10に取り付けられた吸音被覆シート13によって設けられた吸音層14であっても、横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。更に、吸音システム1全体の景観を向上させることが出来る。
【0050】
<10.吸音層の変形例>
<10−1.第六変形例>
更に、
図5、
図8乃至
図10及び
図12に示す第一実施例及び第一乃至第五変形例の吸音被覆シート13は、
図13に示すように、吸音部材6の吸音材6aと同様に吸音性能を有する吸音材17を介して下側フランジ部10に取り付けられるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、空気層に代えて、吸音材17から成る吸音層14が設けられる。なお、このような吸音層14は、少なくとも下側フランジ部10の下面10aと吸音被覆シート13との間に設けられていれば良く、更に、少なくとも高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eから露出する部分に設けられていれば良い。
【0051】
かくして、吸音材17から成る吸音層14は、空気層と同様に、少なくとも1%以上の吸音性能を有し、ルーバー8の間8eから横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。
【0052】
<10−2.第七変形例>
更に、
図5、
図8乃至
図10及び
図12に示す第一実施例及び第一乃至第五変形例の吸音被覆シート13は、
図14に示すように、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間の全面に粘着層15を設け、この粘着層15によって、下側フランジ部10に取り付けられるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、空気層に代えて、粘着層15から成る吸音層14が設けられる。なお、このような吸音層14は、少なくとも下側フランジ部10の下面10aと吸音被覆シート13との間に設けられていれば良く、更に、少なくとも高架道路等2の道路幅方向に隣り合う一対のルーバー8の間8eから露出する部分に設けられていれば良い。
【0053】
かくして、粘着層15から成る吸音層14は、空気層と同様に、少なくとも1%以上の吸音性能を有し、ルーバー8の間8eから横梁5に向かって入射された音を吸音することが出来る。従って、吸音システム1は、従来の横梁よりも横梁5の吸音率を向上させることが出来、全体の吸音率を向上させることが出来る。
【0054】
<10−3.第八変形例>
更に、
図13に示す第六変形例において、下側フランジ部10と吸音材17との間と吸音材17と吸音被覆シート13との間の少なくとも一方に空気層を設けるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、吸音材17と空気層とから成る吸音層14が設けられるようにする。更に、このとき、空気層は、層間の全面、又は一部或いは複数箇所に設けられるようにする。
【0055】
<10−4.第九変形例>
更に、
図14に示す第七変形例において、下側フランジ部10と粘着層15との間と粘着層15と吸音被覆シート13との間の少なくとも一方に空気層を設けるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、粘着層15と空気層とから成る吸音層14が設けられるようにする。更に、このとき、空気層は、層間の全面、又は一部或いは複数箇所に設けられるようにする。
【0056】
<10−5.第十変形例>
更に、
図13に示す第六変形例において、下側フランジ部10と吸音材17との間と吸音材17と吸音被覆シート13との間の少なくとも一方に粘着層15を設けるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、吸音材17と粘着層15とから成る吸音層14が設けられるようにする。
【0057】
<10−6.第十一変形例>
更に、第十変形例において、下側フランジ部10と粘着層15との間と、粘着層15と吸音材17との間と、粘着層15と吸音被覆シート13との間の一つ以上に空気層を設けるようにしても良い。即ち、下側フランジ部10と吸音被覆シート13との間には、吸音材17と粘着層15と空気層とから成る吸音層14が設けられるようにする。更に、このとき、空気層は、層間の全面、又は一部或いは複数箇所に設けられるようにする。
【0058】
<11.その他の変形例>
なお、吸音被覆シート13は、横梁5の下側フランジ部10に取り付けられるものに限定されるものではなく、高架道路等2の道路幅方向に間隔をあけて、長手方向に略水平に設置された縦梁の下側フランジ部に取り付けられるようなものでも良い。