特許 5798859 竪樋支持具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5798859

(24)【登録日】2015年8月28日

(45)【発行日】2015年10月21日

(54)【発明の名称】竪樋支持具

(51)【国際特許分類】

   E04D 13/08 20060101AFI20151001BHJP

【ＦＩ】

   E04D13/08 311J

【請求項の数】1

【全頁数】10

(21)【出願番号】特願2011-213208(P2011-213208)

(22)【出願日】2011年9月28日

(65)【公開番号】特開2013-72248(P2013-72248A)

(43)【公開日】2013年4月22日

【審査請求日】2013年10月15日

(73)【特許権者】

【識別番号】593178409

【氏名又は名称】株式会社オーティス

(74)【代理人】

【識別番号】100087664

【弁理士】

【氏名又は名称】中井 宏行

(72)【発明者】

【氏名】上田 英治

【審査官】 家田 政明

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００２−２７６１０６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 実開平０６−０４３１２１（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 特許第３３６４４６２（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 特開２００３−１３８７０５（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｅ０４Ｄ １３／００−１５／０７

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

竪樋を抱持する抱持部材と、該抱持部材に連結されるスライド片と、建物の壁などに固着される取付部材とを備え、前記スライド片を前記取付部材に対して結合具を用いて結合し、進退調節可能に取り付けてなる竪樋支持具において、
挿通孔を有した基板部と、該基板部の両側方に各々延び、前記スライド片のスライド方向に直交する方向に配されたつまみ部とを備えた蝶ばねをさらに備えた構成とされ、前記基板部の前記つまみ部における基端側の両端部に、前記つまみ部が延びた方向に凹んだ凹溝が形成されており、
前記取付部材は、長孔よりなる挿通孔が開設された本体部と、該本体部の両側方に各々延びる延設片とを備えており、
前記スライド片は挿通孔を有しており、該スライド片を前記取付部材の本体部と、前記蝶ばねの基板部との間に挟みこんで、前記本体部、前記スライド片、前記基板部の各挿通孔に前記結合具を挿通させて、前記スライド片を前記取付部材に結合する構成となっており、
前記蝶ばねのつまみ部および前記取付部材の延設片の各対向面には、前記取付部材の本体部の長手方向の適宜位置で相互に係止される係止部が形成され、前記係止部のいずれもが、前記本体部の長手方向と直交する方向に突出した凸部と、該凸部に隣接する凹部とを有した凹凸部で形成され、対向面間で相互に凹凸嵌合する構成となっていることを特徴とする竪樋支持具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、一般住宅やビルなどの建物の壁面などに沿って配される竪樋支持具に関し、詳しくは、竪樋を抱持する抱持部材が連結されたスライド片を進退調節可能とした竪樋支持具に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、図５に示すように、竪樋を抱持する抱持部材が連結されたスライド片を長孔で進退調節できるようにした竪樋支持具が用いられている。

【0003】

この竪樋支持具１００は、竪樋Ｔを抱持する開閉式の抱持部材１０１と、その抱持部材１０１に連結されたスライド片１０３と、建物の壁などに固着される取付部材１０２とを備え、スライド片１０３を取付部材１０２に対して進退調節可能に取り付けて、連結ボルト１０５および蝶ナット１０６を用いて結合してなる。なお、図中の１０７はワッシャである。

【0004】

スライド片１０３には、挿通孔１０３ａが開設されており、取付部材１０２の本体部１０２ａには、挿通孔１０３ａと重合する長孔１０２ｂが開設されている。

【0005】

重合された挿通孔１０３ａと長孔１０２ｂとには、上方から連結ボルト１０５が貫通して、その下端において蝶ナット１０６と螺合している。

【0006】

このような竪樋支持具１００は、建物の壁などに取付部材１０２の取付部１０２ｃを釘などの固定具で固定し、その長孔１０２ｂとスライド片１０３の挿通孔１０３ａとを重合させるとともに、抱持部材１０１が所望の位置となるようにして進退調節させる構成となっている。

【0007】

そして、抱持部材１０１が所望の位置となったときに、蝶ナット１０６を締め付けることで、取付部材１０２とスライド片１０３とを連結させて固定したうえで、抱持部材１０１に竪樋Ｔを取り付けることができる。

【0008】

また、特許文献１には、蝶ばねを用いてスライド片の固定位置を調節できる竪樋支持具が記載されている。

【0009】

この文献に記載された竪樋支持具は、長孔を有さず、蝶ばねのつまみ部にスライド片を挿通するための貫通口を設けて、その貫通口をスライド片がスライドできるようになっている。すなわち、蝶ばねのつまみ部をつまみ操作して弾性変形させたときに、スライド片が２つの貫通口をスライドできるようになっており、つまみ部が弾性復帰したときには、貫通口のエッジ部が、スライド片がスライドできないようにスライド片を係止するようになっている。

【0010】

このように、図５のものも特許文献１に記載のものも、スライド片を前後方向に移動させて所望の位置で固定することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0011】

【特許文献1】特許第３５１３１２１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0012】

しかしながら、図５に示した竪樋支持具１００は、構造、形状は簡易であるが、連結ボルト１０５と蝶ナット１０６の螺合作業を行わなければならず、現場での作業は比較的面倒であるし、作業中に連結ボルト１０５や蝶ナット１０６、ワッシャ１０７を紛失するおそれもある。

【0013】

また、いったん位置決めされた抱持部材１０１の位置を再度調節するときは、蝶ナット１０６を緩めたうえで再調節をした後に再度、蝶ナット１０６を締め付ける必要があり、手間を要する。

【0014】

一方、特許文献１に記載の竪樋支持具によれば、連結ボルトや蝶ナットなどの結合具を用いることなく調節作業をきわめて簡易な操作で行うことができるが、スライド片を蝶ばねの弾性力のみで固定する構造であるため、スライド片と取付部材とがしっかりと結合できないおそれがある。

【0015】

なお、特許文献１では蝶ばねのつまみ部の貫通口の外側に爪を形成し、弾性復帰時に、その爪ををスライド片の凹凸部に係止させる構成も提案されているが、爪は薄肉片であるため早期に破損するおそれがある。

【0016】

本発明は、このような事情を考慮して提案されたものであり、その目的は、スライド片の進退調節を簡易にでき、かつスライド片の取付部材への固定を強固にできる竪樋支持具を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0017】

前記目的を達成するために、請求項１に記載の竪樋支持具は、竪樋を抱持する抱持部材と、該抱持部材に連結されるスライド片と、建物の壁などに固着される取付部材とを備え、前記スライド片を前記取付部材に対して結合具を用いて結合し、進退調節可能に取り付けてなる竪樋支持具において、挿通孔を有した基板部と、該基板部の両側方に各々延び、前記スライド片のスライド方向に直交する方向に配されたつまみ部とを備えた蝶ばねをさらに備えた構成とされ、前記基板部の前記つまみ部における基端側の両端部に、前記つまみ部が延びた方向に凹んだ凹溝が形成されており、前記取付部材は、長孔よりなる挿通孔が開設された本体部と、該本体部の両側方に各々延びる延設片とを備えており、前記スライド片は挿通孔を有しており、該スライド片を前記取付部材の本体部と、前記蝶ばねの基板部との間に挟みこんで、前記本体部、前記スライド片、前記基板部の各挿通孔に前記結合具を挿通させて、前記スライド片を前記取付部材に結合する構成となっており、前記蝶ばねのつまみ部および前記取付部材の延設片の各対向面には、前記取付部材の本体部の長手方向の適宜位置で相互に係止される係止部が形成され、前記係止部のいずれもが、前記本体部の長手方向と直交する方向に突出した凸部と、該凸部に隣接する凹部とを有した凹凸部で形成され、対向面間で相互に凹凸嵌合する構成となっていることを特徴とする。

【発明の効果】

【0019】

請求項１に記載の竪樋支持具によれば、スライド片を、取付部材に対して蝶ばねの操作でスライド調節できるようにしているので、進退調節を簡易かつ迅速に行える。さらに、スライド片を蝶ばねと取付部材との間に挟みこんだ状態にして、蝶ばねのつまみ部および取付部材の延設片の各対向面に設けた係止部同士で係止する固定構造となっているため、スライド片を取付部材に対して強固に固定できる。

【0020】

また、蝶ばねと取付部材との係止は、凹凸部同士の嵌合によりなされるようになっているため、少なくともいずれか一方がスライド方向に沿って等間隔に複数形成されていれば、一定ピッチで段階的な調節ができ、所望の位置で固定できる。また、複数の凹部を有した凹凸部と、複数の凸部を有した凹凸部とが相互に嵌合する構成にすれば、固定をさらに強化できる。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】本発明の一実施形態に係る竪樋支持具の分解斜視図である。

【図2】（ａ）（ｂ）は、本実施形態におけるスライド片の取付部材に対する固定態様の２例を示す模式縦断面図である。

【図3】（ａ）（ｂ）のそれぞれは、固定状態またはスライド状態を示す竪樋支持具の模式拡大縦断面図である。

【図4】（ａ）（ｂ）は、蝶ばねの他の形状例を示す斜視図である。

【図5】従来の竪樋支持具の分解斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下に、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。

【0023】

図１〜図４は、本発明の一実施形態に係る竪樋支持具の説明図である。

【0024】

この竪樋支持具１は、図１に示すように、竪樋４１を抱持する開閉式の抱持部材４０と、その抱持部材４０に連結されたスライド片３０と、建物の壁などに固着される取付部材１０と、蝶ばね２０とを備え、蝶ばね２０を操作して、スライド片３０を取付部材１０に対して進退調節して、所望の位置でリベット２等の結合具を用いて結合できる構成となっている。

【0025】

抱持部材４０としては、竪樋４１の形状に合わせて種々の形状のものが用いられる。図例ではリング状のものが用いられているが、これには限定されず、角状のものや、竪樋４１の一部だけを抱持する略半円状のものであってもよい。

【0026】

スライド片３０は、略Ｌ字状に形成されており、起立状態で用いられる支持具取付部３３には抱持部材４０にリベット４２等で固着するための取付孔３４が形成され、横設状態で使用するスライド本体３１には取付部材１０に連結するための挿通孔３２（丸孔）が形成されている。

【0027】

なお、スライド片３０は、抱持部材４０に連結でき、かつ挿通孔３２を有した部位が取付部材１０に対してスライド自在となるものであればＬ字状でなくてもよい。また、抱持部材４０との固着については図例のものに限定されない。

【0028】

取付部材１０は、建物の壁などに固着される、ボルト止めするための取付孔１１ａを有した取付部１１と、取付部１１の下端より横方向に延びる本体部１２とを備えて、略Ｌ字状に形成され、本体部１２には長手方向に延びる長孔１３が開設されている。

【0029】

取付部材１０はさらに、本体部１２の両側方に各々、斜め下方に折曲されて延びる延設片１４、１４を備えている。延設片１４の下端部の内側には、延設片１４、１４同士で相互に向き合うように、長孔１３の長手方向寸法に対応した複数の凸部１５、１５・・・が等間隔に形成されている。これら複数の凸部１５、１５・・・の形成位置は両延設片１４、１４間で合致している。なお、本図例では凸部１５は押圧加工にて形成してあり、そのため延設片１４の外面には凸部１５に対応した凹所が形成されている。この取付部材１０の凸部１５は、取付部材１０が蝶ばね２０に対して相互係止するための係止部を構成する。

【0030】

蝶ばね２０は、挿通孔２２（丸孔）が開設された基板部２１と、基板部２１の両端から相互に徐々に離反するように延びた板ばね状の２片のつまみ部２３とを備えている。つまみ部２３には、図１に示すように基板部２１を上部にしたときに凹字状となる開口部２４が形成されている。この開口部２４には、取付部材１０の延設片１４に形成した複数の凸部１５、１５・・・のうちのいずれか２つが嵌合する２つの凹部２５、２５が形成され、それらの間には仕切り部２３ａが形成されている。これら２つの凹部２５、２５は、蝶ばね２０が取付部材１０に対して相互係止するための係止部を構成する。

【0031】

また、蝶ばね２０の他例としては、図４（ａ）に示すように、蝶ばね２０のつまみ部２３の強化のために、また、つまみ操作でつまみ部２３が確実に撓むようにするために、仕切り部２３ａを上下につなげて２つの凹部２５、２５（２つの開口部２４、２４）を分離形成した構造としてもよい。

【0032】

さらに、図４（ｂ）に示すように、蝶ばね２０の基板部２１におけるつまみ部２３、２３の基端側の両端部に、下方（つまみ部２３、２３が延びた方向）に凹んだ凹溝２１ａ、２１ａを設けた構造としてもよい。この構造によれば、つまみ部２３を弱い力でつまみ操作することができる。もちろん、この凹溝２１ａ、２１ａは基板部２１の強化リブとしても作用する。なお、図４（ａ）（ｂ）における他の部位については図１の蝶ばね２０と同様であるため、同一の符号を付してその説明を省略する。

【0033】

また、本実施形態の例では、取付部材１０の凸部１５に嵌合する凹部２５が、貫通開口で構成されているが、凸部１５が嵌合できる程度の凹み穴で構成されたものでもよい。少なくとも、蝶ばね２０のつまみ部２３および取付部材１０の延設片１４の各対向面の凹部２５と凸部１５の嵌合によって、相互に係止する構造であればよい。また、蝶ばね２０のつまみ部２３に凸部を設け、取付部材１０の延設片１４に凹部を設けたものでもよい。

【0034】

これら取付部材１０、スライド片３０、蝶ばね２０は、図２に示すように連結される。

【0035】

すなわち、取付部材１０の本体部１２と両延設片１４、１４とにより囲まれた下方空間３にスライド片３０のスライド本体３１を挿入し、そのスライド本体３１の下方に蝶ばね２０を配し、取付部材１０の長孔１３、スライド片３０の挿通孔３２、蝶ばね２０の挿通孔２２を合わせてリベット２を挿通させて、三者を結合する。リベット２の代わりに、結合具としてボルト、ナットを用いてもよい。

【0036】

こうして、スライド片３０と蝶ばね２０とは、挿通孔２２、３２を介してリベット２で相互に固定され、相対的な位置関係が変動しないように結合される一方、一体となったこれら２部材は、取付部材１０に対して長孔１３を介して一体となった状態でスライド移動できるように取付部材１０に結合される。

【0037】

なお、これら３部材を結合する前にスライド片３０に抱持部材４０を連結させておいてもよいし、３部材を結合した後に抱持部材４０を連結させてもよい。また、取付部材１０を壁などに固定させた状態でスライド片３０、蝶ばね２０を結合させてもよいが、現場施工の前に、３部材を結合させておいてもよい。

【0038】

図２（ａ）（ｂ）は、スライド片３０を取付部材１０に対して蝶ばね２０を用いて固定した状態の２例を示した模式縦断面図である。

【0039】

図２（ａ）の例は、蝶ばね２０のつまみ部２３の開口部２４に形成した２つの凹部２５、２５に対して、取付部材１０の延設片１４に形成した凸部１５、１５・・・のうち取付部１１側から３番目と４番目の凸部１５、１５が嵌合した状態を示したものあり、図２（ｂ）の例は、開口部２４の２つの凹部２５、２５に対して、取付部１１側から６番目と７番目の凸部１５、１５が嵌合した状態を示したものである。

【0040】

つまり、蝶ばね２０の開口部２４には、取付部材１０のｎ番目と（ｎ＋１）番目（図例ではｎは１〜８のいずれか）の凸部１５、１５が嵌合する。

【0041】

本実施形態の図例によれば、取付部材１０の長孔１３の位置、寸法、凸部１５の位置、数、スライド片３０の挿通孔３２の位置、蝶ばね２０の凹部２５の位置、数の組み合わせ関係から、２組の凸部１５、１５と凹部２５、２５とが嵌合する構成となっている。これには限らず１組の凸部１５と凹部２５とが嵌合する構成であればよいが、スライド片３０を強固に取り付けるために複数組の凸部１５、１５と凹部２５、２５とが嵌合する構成とすることが望ましい。

【0042】

また、２組の凸部１５、１５と凹部２５、２５とが嵌合した状態では、ｎ−１、ｎ番目の凸部間、ｎ、ｎ＋１番目の凸部間、ｎ＋１、ｎ＋２番目の凸部間の各凸部間部位１６は、蝶ばね２０のつまみ部２３の壁側（図２における右側）のアーム部２３ｂ、仕切り部２３ａ、竪樋側（図２における左側）のアーム部２３ｂの各々の外面に接触する。

【0043】

また、本実施形態の例では、凸部１５、１５・・・を有した凹凸面と、凹部２５、２５・・・を有した凹凸面とが相互に凹凸嵌合する構造であるため、取付部材１０とつまみ部２３とのさらに強固な固定を実現することができる。

【0044】

このように、この竪樋支持具１は、蝶ばね２０に形成された凹部２５を取付部材１０の適宜な凸部１５と嵌合させることで、スライド片３０の突出度合いを異ならせることができるようになっている。

【0045】

このようにスライド片３０を種々の突出度合いにするための進退調節は、図３（ａ）（ｂ）に示すように、蝶ばね２０のつまみ部２３の操作によってなされる。

【0046】

図３（ａ）は、凸部１５と凹部２５とが嵌合してスライド片３０が固定された状態を示した縦断面図であり、この状態でつまみ部２３、２３をつまんで矢印方向につまみ部２３、２３を弾性変形させると、凸部１５と凹部２５の嵌合が解除され、図３（ｂ）の状態となる。この状態で、つまみ部２３、２３をつまんだまま蝶ばね２０をスライド片３０とともに取付部材１０の長孔１３に沿ってスライド移動させ、所望の位置で手指を離してつまみ部２３、２３を元の状態に復帰させると、凹部２５が凸部１５に嵌合してスライドできない状態となる。

【0047】

このように、蝶ばね２０のつまみ部２３、２３をつまみ操作するだけで、スライド片３０の進退調節を行うことができる。蝶ばね２０を片手でワンタッチ操作するだけでスライド調節できる構成であるため、現場における進退調節を簡易かつ迅速に行うことができる。

【0048】

また、蝶ばね２０とスライド片３０とは、相互に固定され一体となって相対的な位置関係が変動しない状態のままスライド調節ができる構成であるため、蝶ばね２０以外の部位、部材に触れることなくスライド調整ができる。

【0049】

さらに、進退調節する際に蝶ばね２０とスライド片３０との結合を解除する必要がないから、ボルト、ナットで結合する場合でも進退調節のためにボルト、ナットを外す必要がなく、操作性はきわめてよい。

【0050】

また、スライド片３０を蝶ばね２０と取付部材１０との間に挟みこんだ状態にして、蝶ばね２０のつまみ部２３および取付部材１０の延設片１４の対向面に設けた係止部同士（凹部２５と凸部１５）で係止する固定構造であるため、蝶ばね２０は壁などに固定された取付部材１０にしっかりと固定され、蝶ばね２０に固定されたスライド片３０も同様に強固に固定される。

【0051】

なお、スライド移動をしやすくするために、取付部材１０の本体部１２、スライド片３０、蝶ばね２０の基板部２１のそれぞれの間にわずかな隙間を設けてリベット止めすることが望ましい。このように隙間が空いていても、蝶ばね２０のばねが作用していない状態では、蝶ばね２０が取付部材１０に係止固定されているので、蝶ばね２０と固定関係にあるスライド片３０がずれ動くおそれはない。

【0052】

また本実施形態では、取付部材１０と蝶ばね２０との係止が凸部１５と凹部２５とによりなされ、その凸部１５がスライド方向に沿って等間隔に複数形成されているため、一定ピッチで段階的な調節ができる。ピッチを小さくすれば微調整も行える。

【0053】

またさらに、蝶ばね２０には９つの凸部１５、１５・・・のうちの２つの凸部１５、１５に対応して２つ凹部２５、２５が設けられているので、２組の凹凸嵌合により強固な固定が望める。

【0054】

なお、本実施形態の例では、蝶ばね２０のつまみ部２３に２つの凹部２５、２５が形成され、それらに嵌合した２つの凸部１５、１５の各外側端がアーム部２３ｂの内側端に接触するように嵌合する構造であるため、開口部２４は仕切り部２３ａを有さない構成であってもよい。

【0055】

また、２つの凸部１５、１５の各外側端がアーム部２３ｂの内側端に接触せず、各内側端が仕切り部２３ａの両端に接触する構造、つまり２つの隣接する凸部１５、１５で仕切り部２３ａを挟み込む構造であってもよい。さらに、蝶ばね２０のつまみ部２３は、隣接しない２つの凸部１５、１５に対応した凹部２５、２５を有した構造であってもよい。

【符号の説明】

【0056】

１ 竪樋支持具
２ リベット（結合具）
３ 下方空間
１０ 取付部材
１１ 取付部
１１ａ 取付孔
１２ 本体部
１３ 長孔
１４ 延設片
１５ 凸部
１６ 凸部間部位
２０ 蝶ばね
２１ 基板部
２１ａ 凹溝
２２ 挿通孔
２３ つまみ部
２３ａ 仕切り部
２３ｂ アーム部
２４ 開口部
２５ 凹部
３０ スライド片
３１ スライド本体
３２ 挿通孔
３３ 支持具取付部
３４ 取付孔
４０ 抱持部材
４１ 竪樋

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】