【実施例】
【0086】
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0087】
実施例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0088】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0089】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0090】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0091】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0092】
実施例2
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0093】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0094】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0095】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0096】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン15部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート150部およびポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの付加モル数:9)150部との混合溶液、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕200部および脱イオン水700部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0097】
実施例3
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0098】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0099】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0100】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0101】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン50部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水2165部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0102】
実施例4
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0103】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0104】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0105】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0106】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持し、さらにレオロジーコントロール剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−507、有効成分含有率:30%〕25部をフラスコ内に添加し、そのままの状態を30分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0107】
実施例5
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0108】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート490部、スチレン450部、ブチルアクリレート40部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0109】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0110】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0111】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン50部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部およびポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの付加モル数:9)500部との混合溶液、脱イオン水2165部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は92℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0112】
実施例6
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0113】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート680部、2−エチルヘキシルアクリレート200部、ブチルアクリレート100部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0114】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0115】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0116】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート250部およびジトリメチロールプロパンテトラアクリレート250部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は30℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0117】
実施例7
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0118】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート420部、スチレン450部、2−エチルヘキシルアクリレート110部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0119】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0120】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0121】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持し、さらにレオロジーコントロール剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−507、有効成分含有率:30%〕25部をフラスコ内に添加し、そのままの状態を30分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0122】
実施例8
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0123】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0124】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0125】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0126】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0127】
実施例9
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0128】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート300部、イソボルニルアクリレート640部、ブチルアクリレート40部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0129】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0130】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0131】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン50部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部およびポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの付加モル数:9)500部との混合溶液、脱イオン水2165部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は136℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0132】
実施例10
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0133】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0134】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0135】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0136】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとを1:3の質量比で混合した重合開始剤25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0137】
前記シーラーとは別に、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、脱イオン水210部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−97〕200部、炭酸カルシウム〔竹原化学工業(株)製、軽質炭酸カルシウム〕600部、タルク〔日本タルク(株)製、品番:MICROACE S−3〕200部、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕10部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をディスパー攪拌下で混合した後、回転速度3000min
-1にて60分間攪拌することによって熟成を行ない、100メッシュの金網で濾過し、不揮発分量が75質量%である白色の顔料ペーストを得た。なお、顔料ペーストにおける不揮発分量は、樹脂エマルションにおける不揮発分量と同様の方法で求めた。
【0138】
次に、前記で得られたシーラー125部をホモディスパーで回転速度1500min
-1にて撹拌しながら、このシーラーに前記で得られた顔料ペースト47部を添加することにより、混合物を得た。その後、クレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が65±1KUとなるようにセルロース誘導体系増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP600、有効成分含有率:3%〕を前記で得られた混合物に添加し、引き続いてホモディスパーを用いて回転速度1500mim
-1で30分間撹拌し、顔料を含有するシーラーを得た。このシーラーを安定化させるために、室温中で1日間放置した後に使用に供した。
【0139】
実施例11
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0140】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0141】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0142】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0143】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとを1:3の質量比で混合した重合開始剤25部と多官能モノマーとして1,4−ブタンジオールジアクリレート500部との混合溶液、脱イオン水1260部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持し、さらにレオロジーコントロール剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−507、有効成分含有率:30%〕25部をフラスコ内に添加し、そのままの状態を30分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0144】
次に、前記で得られたシーラー125部をホモディスパーで回転速度1500min
-1にて撹拌しながら、このシーラーに実施例10と同様にして調製した顔料ペースト47部を添加することにより、混合物を得た。その後、クレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が65±1KUとなるようにセルロース誘導体系増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP600、有効成分含有率:3%〕を前記で得られた混合物に添加し、引き続いてホモディスパーを用いて回転速度1500mim
-1で30分間撹拌し、顔料を含有するシーラーを得た。このシーラーを安定化させるために、室温中で1日間放置した後に使用に供した。
【0145】
比較例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水1040部を仕込んだ。
【0146】
滴下ロートに脱イオン水290部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10〕の25%水溶液120部、メチルメタクリレート850部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、ブチルアクリレート80部、メタクリル酸10部およびアクリル酸10部を添加し、滴下用プレエマルションを調製した。
【0147】
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の6%にあたる85部を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
【0148】
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液43部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液40部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
【0149】
その後、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。得られた樹脂エマルションを室温まで冷却した後、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕500部および脱泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕5部をフラスコ内に添加し、そのままの状態で120分間維持した。その後、フラスコ内の内容物を300メッシュの金網で濾過することにより、シーラーを得た。得られたシーラーに含まれているエマルション粒子のガラス転移温度は70℃であり、シーラーの不揮発分の含有量は40質量%であった。
【0150】
実験例
〔試験板の作製1〕
実施例1〜7および実施例9〜11で得られた各シーラーを、それぞれ、基材の表面温度が60℃±5℃の状態で表面に凹凸形状が形成されている窯業系基材にエアスプレー〔アネスト岩田(株)製〕を用いて塗布量100g/m
2にて塗布し、室温で5分間放置した後、紫外線を照射(500mJ)することにより、試験板を得た。
【0151】
〔試験板の作製2〕
実施例8および比較例1で得られた各シーラーを、それぞれ、基材の表面温度が60℃±5℃の状態で表面に凹凸形状が形成されている窯業系基材にエアスプレー〔アネスト岩田(株)製〕で塗布量100g/m
2にて塗布し、100℃の熱風乾燥機で10分間乾燥させることにより、試験板を得た。
【0152】
<耐透水性>
試験板に形成された被膜上にロート(直径:10cm)を載置し、両者の接触部をシリコーン系バスボンド〔コニシ(株)製〕でシールし、JIS K5400に規定の「ロート法」に準拠して24時間経過後の減水量を測定し、以下の評価基準に基づいて耐透水性を評価した。
(評価基準)
20:0.03mL/cm
2未満
15:0.03mL/cm
2以上、0.05mL/cm
2未満
10:0.05mL/cm
2以上、0.08mL/cm
2未満
5:0.08mL/cm
2以上、0.1mL/cm
2未満
0:0.1mL/cm
2以上
【0153】
<耐ブロッキング性>
試験板を作製後、ただちに60℃の熱風乾燥機内に入れ、塗装面同士を重ね合わせ、得られた積層体の面に500g/cm
2(約490kPa)の荷重をかけ、48時間放置した。
【0154】
次に、試験板を室温まで冷却した後、その試験板同士をゆっくりと剥がし、被膜の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
20:異常が認められない。
15:剥離抵抗があるが、被膜に異常が認められない。
10:剥離抵抗があり、被膜の一部に痕が残る。
5:剥離抵抗があり、被膜の一部に剥がれが認められる。
0:試験板同士を剥離させることができない。
【0155】
<色調保持性>
試験板の外観を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて色調保持性を評価した。
(評価基準)
20:下地の色の変化がなく、色調が維持されている。
15:下地の色が一部変化しているが、基材の色調を保持している。
10:下地の色が一部変化し、基材の色調がやや変化している。
5:下地の色が斑に変化しているか、または基材の色調が明らかに変化している。
0:下地の色が全体に変化し、基材の色調が明らかに変化している。
【0156】
<基材密着性>
試験板の被膜をカッターナイフで2mm角の碁盤目が100マス形成されるようにカットし、碁盤目上にセロハン粘着テープ〔(株)ニチバン製、商品名:セロテープ(登録商標)CT405AP−18〕を貼り付け、JIS K5400に準拠して剥離試験を行ない、残存している碁盤目を数え、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
20:すべて残存
15:98〜99マス残存
10:90〜97マス残存
5:80〜89マス残存
0:79マス残存
【0157】
<耐凍害性>
試験板の側面をシリコーン系バスボンド〔コニシ(株)製〕でシールした後、凍結融解試験機を用い、大気中で−20℃に冷却することによって2時間凍結した後に20℃の水中に2時間浸漬する操作を1サイクルとし、100サイクルごとに拡大倍率が30倍のルーペを用いて被膜面のクラックの発生状態を観察しながら前記操作を300サイクル行ない、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
20:300サイクルでも問題なし
15:200サイクルで問題がないが、300サイクルでクラックが発生
10:150サイクルで問題がないが、200サイクルでクラックが発生
5:100サイクルで問題がないが、150サイクルでクラックが発生
0:100サイクルでクラックが発生
【0158】
<総合評価>
各評価の得点を合計することにより、総合評価(満点:100点)を行なった。
【0159】
【表1】
【0160】
表1に示された結果から、各実施例で得られたシーラーは、いずれも、耐透湿性、耐ブロッキング性、色調保持性、基材密着性および耐凍害性に総合的に優れた被膜を形成することがわかる。