特許第5798889号(P5798889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798889
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ドアミラーハウジングの塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 7/00 20060101AFI20151001BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B05D7/00 K
   B05D1/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-241292(P2011-241292)
(22)【出願日】2011年11月2日
(65)【公開番号】特開2013-94748(P2013-94748A)
(43)【公開日】2013年5月20日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社石▲崎▼本店
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久
(74)【代理人】
【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二
(74)【代理人】
【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実
(74)【代理人】
【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也
(74)【代理人】
【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100131901
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 雅典
(74)【代理人】
【識別番号】100132012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩下 嗣也
(74)【代理人】
【識別番号】100141276
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 康二
(74)【代理人】
【識別番号】100143409
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100157093
【弁理士】
【氏名又は名称】間脇 八蔵
(74)【代理人】
【識別番号】100163186
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 裕吉
(74)【代理人】
【識別番号】100163197
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100163588
【弁理士】
【氏名又は名称】岡澤 祥平
(72)【発明者】
【氏名】川野 喜代蔵
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎治
(72)【発明者】
【氏名】村上 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−342616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D1/00−7/26
B05B12/00−13/06
B05C7/00−21/00
B60R1/06−1/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延び、且つ、外面の上下方向中程が車両前方に凸状に湾曲し、車両用ドアミラーのミラー部を収容するドアミラーハウジングの塗装方法であって、
複数のドアミラーハウジングを、回転手段の鉛直回転軸周りに長手方向を略水平に向けた姿勢で上下2段に互いに接近させて環状に、且つ、上段の各ドアミラーハウジング外面が上記回転手段の回転軸から見て斜め上方に、下段の各ドアミラーハウジング外面が上記回転手段の回転軸から見て斜め下方にそれぞれ向くように上記回転手段に取り付け、その後、上記回転手段により上記各ドアミラーハウジングを回転させた状態で、上記回転手段の側方に配置された塗料吐出手段の吐出ノズルを上記各ドアミラーハウジングの外面に倣って上下に移動させつつ上記塗料吐出手段から各ドアミラーハウジングに向けて塗料を吐出して上記各ドアミラーハウジングの外面を塗装することを特徴とするドアミラーハウジングの塗装方法。
【請求項2】
請求項1に記載のドアミラーハウジングの塗装方法において、
上記各ドアミラーハウジングは、右側又は左側用のものであり、これらドアミラーハウジングを上段と下段とで上記回転手段の側方から見て点対称となるように向きを変えて上記回転手段に取り付け、
上記回転手段の回転を正転と逆転とに交互に切り替えながら塗装することを特徴とするドアミラーハウジングの塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアミラーのミラー部を収容するドアミラーハウジングの塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パネル状被塗装物の外面を塗装する方法として、例えば、特許文献1では、回転軸が鉛直に向く回転体と、該回転体の側方に吐出ノズルが配置された塗料吐出機とを用い、複数の被塗装物を、上記回転体の鉛直回転軸周りに長手方向を略鉛直に向けた姿勢で一列に接近させて環状にし、且つ、各被塗装物外面が外側方に向くように上記回転体に取り付ける。そして、上記回転体の回転により上記各被塗装物を回転させた状態で、上記吐出ノズルから各被塗装物に向けて噴霧状の塗料を側方から吐出することにより、複数の被塗装物外面を短時間で塗装できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−82068号公報(段落0037〜0041欄、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用ドアミラーのミラー部を収容するドアミラーハウジングを特許文献1の如き塗装方法で塗装する場合、一般的なドアミラーハウジングは、車幅方向に延び、且つ、外面の上下方向中程が車両前方に凸状に湾曲しているので、複数のドアミラーハウジングを回転体の鉛直回転軸周りに長手方向を略鉛直に向けた姿勢で一列に接近させて環状に取り付けると、各ドアミラーハウジング外面は略鉛直に沿って延びることとなる。したがって、噴霧状の塗料を各ドアミラーハウジング外面に側方から吹き付けると、各ドアミラーハウジング外面によって吐出ノズル側に跳ね返されるオーバーミストが多くなり、その後、跳ね返ったオーバーミストが既に塗膜が形成された各ドアミラーハウジング外面に付着することで塗膜の厚みが不均一となって塗装不良を引き起こすおそれがある。
【0005】
これを回避するために、各ドアミラーハウジングを回転体の鉛直回転軸周りに長手方向を略水平に向けた姿勢で一列に接近させて環状に取り付けて塗装する方法が考えられる。この塗装方法にすると、噴霧状の塗料を各ドアミラーハウジング外面に側方から吹き付けたときに、オーバーミストの多くが湾曲するドアミラーハウジングの外面に沿って反吐出ノズル側に滑らかに移動するようになる。
【0006】
しかし、複数のドアミラーハウジングを回転体の鉛直回転軸周りに長手方向を略水平に向けた姿勢で一列に接近させて環状に取り付けると、同数のドアミラーハウジングを回転体の鉛直回転軸周りに長手方向を略鉛直に向けた姿勢で一列に接近させて環状に取り付ける場合に比べて回転半径が大きくなってしまい、塗装装置のレイアウト上、不利な構成となってしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドアミラーハウジングの塗装において、コンパクトなレイアウトで塗装作業を行うことができ、しかも、塗膜の厚みを均一にできるドアミラーハウジングの塗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、回転体への各ドアミラーハウジングの取り付けに工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、車幅方向に延び、且つ、外面の上下方向中程が車両前方に凸状に湾曲し、車両用ドアミラーのミラー部を収容するドアミラーハウジングの塗装方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、複数のドアミラーハウジングを、回転手段の鉛直回転軸周りに長手方向を略水平に向けた姿勢で上下2段に互いに接近させて環状に、且つ、上段の各ドアミラーハウジング外面が上記回転手段の回転軸から見て斜め上方に、下段の各ドアミラーハウジング外面が上記回転手段の回転軸から見て斜め下方にそれぞれ向くように上記回転手段に取り付け、その後、上記回転手段により上記各ドアミラーハウジングを回転させた状態で、上記回転手段の側方に配置された塗料吐出手段の吐出ノズルを上記各ドアミラーハウジングの外面に倣って上下に移動させつつ上記塗料吐出手段から各ドアミラーハウジングに向けて塗料を吐出して上記各ドアミラーハウジングの外面を塗装することを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、上記各ドアミラーハウジングは、右側又は左側用のものであり、これらドアミラーハウジングを上段と下段とで上記回転手段の側方から見て点対称となるように向きを変えて上記回転手段に取り付け、上記回転手段の回転を正転と逆転とに交互に切り替えながら塗装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、回転手段の鉛直回転軸周りに各ドアミラーハウジングを上下2段に取り付けるので、該各ドアミラーハウジングを長手方向が略水平に向く姿勢で上記回転手段に取り付けても、長手方向が略鉛直方向に向く姿勢で一列の環状に上記回転手段に取り付ける場合より回転手段の回転半径が大きくならず、コンパクトなレイアウトで塗装作業を行うことができる。また、上段に取り付けられた各ドアミラーハウジングと下段に取り付けられた各ドアミラーハウジングとが互いに接近することで、各々の外面が上下に連続して湾曲状に配置されるので、噴霧状の塗料を上段及び下段に位置する各ドアミラーハウジングの側方から吹き付けると、オーバーミストの多くが上段及び下段の各ドアミラーハウジングの外面に沿って反塗料吹出側に滑らかに移動し、オーバーミストの跳ね返りによる塗装不良の発生を抑えてドアミラーハウジング外面の塗膜の厚みを均一にできる。
【0013】
第2の発明では、ドアミラーハウジングの回転が塗装の途中で反転することで、上段の各ドアミラーハウジング外面と下段の各ドアミラーハウジング外面とに噴霧状の塗料がバランス良く吹き付けられるようになる。したがって、各ドアミラーハウジング外面に付着する塗料の車幅方向におけるばらつきを抑え、各ドアミラーハウジング外面の塗膜の厚みを確実に均一にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る塗装方法が適用された塗装装置の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る塗装方法が適用された塗装装置の治具周りの拡大平面図である。
図3図1の矢視A図である。
図4図3のB−B線断面図である。
図5】回転体を正転させながらドアミラーハウジングの塗装を行っている状態を示す図1の拡大正面図である。
図6】回転体を逆転させながらドアミラーハウジングの塗装を行っている状態を示す図1の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る塗装方法が適用された塗装装置1を示す。該塗装装置1は、車両用ドアミラーのミラー部(図示せず)を収容する右側用ドアミラーハウジング10の外面を塗装するものであり、噴霧状の塗料を吐出する吐出ノズル2aを有する塗料吐出機2(塗料吐出手段)と、上記ドアミラーハウジング10を複数支持する治具3(回転手段)とを備えている。
【0017】
上記塗料吐出機2は、上記治具3の側方に配置され、上記吐出ノズル2aがアーム先端に取り付けられた6軸汎用ロボット2bと、塗料を供給する塗料供給タンク2cとを備えている。
【0018】
上記汎用ロボット2bは、サーボモータ制御により駆動する従来周知のものであり、6軸をそれぞれ駆動させることにより、上記吐出ノズル2aから吐出する塗料の方向を自在に変更できるようになっている。
【0019】
また、上記塗料供給タンク2cと上記吐出ノズル2aとの間には、上記塗料供給タンク2cから供給される塗料を上記吐出ノズル2aに送る塗料用配管2dが配索されている。
【0020】
上記治具3は、地面に載置された箱形の治具ケース4を備え、該治具ケース4内部には、回転軸心を上下方向に向けたサーボモータ5が設けられている。
【0021】
該サーボモータ5の出力軸5aには、上記治具ケース4から上方に延びる回転軸6が取り付けられ、上記サーボモータ5の回転駆動に連動して回転するようになっている。
【0022】
上記回転軸6の上端には、図2乃至図4にも示すように、厚みのある円盤状ホルダ7が中心軸を回転軸心に合わせて固定されている。
【0023】
該ホルダ7の上面側には、当該ホルダ7の中心軸周辺から放射状に外周端縁まで延びる5つの溝部7aが周方向に等間隔で形成され、各溝部7a底面の上記ホルダ7中心軸側には、凹部7bが形成されている。
【0024】
また、上記治具3は、上記ドアミラーハウジング10を支持する支持フレーム8を5つ備えている。
【0025】
該支持フレーム8は、略水平方向に延びる細棒状をなし、その一端は、下方に略L字状に折れ曲がる折曲部8aを有する一方、他端側は、側方から見て略コ字状に、且つ、平面視で略菱形状に二股になっていて(図2及び図3参照)、2つの他端側端部には、それぞれトグルクランプ9が取り付けられている。
【0026】
上記ドアミラーハウジング10は、車幅方向に延び、且つ、外面の上下方向中程が車両前方に凸状に湾曲するとともに車幅方向右側に行くにつれて上下の幅が次第に短くなる形状をなしていて、上記ドアミラーハウジング10裏面の略中央には、当該ドアミラーハウジング10の長手方向に沿って延びる突出片10aが突設されている(図3参照)。
【0027】
そして、上記支持フレーム8他端側の2個のトグルクランプ9で2個のドアミラーハウジングの各々の突出片10aを挟む一方(図3参照)、上記折曲部8aが上記凹部7bに対応するように上記支持フレーム8の一端側を上記ホルダ7の1つの溝部7aに嵌め込むことにより、上記2個のドアミラーハウジング10が長手方向を略水平に向けた姿勢で、且つ、上下で上記治具3の側方から見て点対称となるように向きを変えて互いに接近させた状態で上記治具3に取り付けられるようになっている。
【0028】
また、上記2個のドアミラーハウジングは、上記治具3に取り付けられた状態で、上側のドアミラーハウジング10外面が上記治具3の回転軸6から見て斜め上方に、下側のドアミラーハウジング10外面が上記治具3の回転軸6から見て斜め下方をそれぞれ向くようになっている。
【0029】
同様に、各々にドアミラーハウジング10を2個ずつ取り付けた4つの支持フレーム8を上記ホルダ7の残りの4つの溝部7aに嵌め込むことにより、10個のドアミラーハウジングが上記治具3の回転軸6周りに上下2段に互いに接近させて環状に取り付けられるようになっている。
【0030】
そして、図5及び図6に示すように、上記治具3における回転軸6の回転を正転(図5の矢印R1)と逆転(図6の矢印R2)とに交互に切り替えながら上記各ドアミラーハウジング10を回転させた状態で、上記ロボット2bを駆動させて上記吐出ノズル2aを上記各ドアミラーハウジング10の外面に倣って上下に移動させつつ上記吐出ノズル2aから各ドアミラーハウジング10に向けて噴霧状の塗料を吐出して上記各ドアミラーハウジング10の外面を塗装するようになっている。
【0031】
次に、上記塗装装置1で複数のドアミラーハウジング10の外面を塗装する方法について説明する。
【0032】
まず、作業者は、上記支持フレーム8の各トグルクランプ9の挟持部分を開放しておき、図3に示すように、2個のドアミラーハウジング10を側方から見て点対称となるように向きを変えた状態で、上記ドアミラーハウジング10裏面の突出片10aを上記トグルクランプ9で挟持することにより、上記支持フレーム8に取り付ける。
【0033】
同様に、上記支持フレーム8に2個のドアミラーハウジング10を取り付けたものを、4つ用意する。
【0034】
そして、図4に示すように、上記折曲部8aを上記凹部7bに対応させて上記各支持フレーム8の一端側を上記ホルダ7の各溝部7aにそれぞれ嵌め込む。すると、図1及び図2に示すように、10個のドアミラーハウジング10が上記治具3の回転軸6周りに、長手方向を略水平方向に向けた姿勢で上下2段に互いに接近した状態で環状に並び、上段の各ドアミラーハウジング10外面が上記治具3の回転軸6から見て斜め上方に、下段の各ドアミラーハウジング10外面が上記治具3の回転軸6から見て斜め下方に向く。
【0035】
しかる後、上記治具3のサーボモータ5を制御して、図5に示すように、上記治具3おける回転軸6を矢印R1の方向に正転させて上記10個のドアミラーハウジング10を回転させ、さらに、上記ロボット2bを制御して、上記吐出ノズル2aを元位置(図1のPs参照)から上段のドアミラーハウジング10の斜め上方の位置(以下、位置P1呼ぶ。図5参照)まで移動させる。尚、上記回転軸6の回転数を約300rpmとする。
【0036】
そして、上記吐出ノズル2aから噴霧状の塗料を上段のドアミラーハウジング10に向けて吐出させつつ、当該吐出ノズル2aを各ドアミラーハウジング10の外面に倣って下方に移動させる。このとき、位置P1から上段のドアミラーハウジング10下端寄りの位置(以下、位置P2と呼ぶ。図5参照)までの吐出ノズル2aの移動速度を20mm/s、塗料の吐出量を150g/sとし、位置P2から下段のドアミラーハウジング10上端寄りの位置(以下、位置P3と呼ぶ。図5参照)までの吐出ノズル2aの移動速度を15mm/s、塗料の吐出量を110g/sとし、位置P3から下段のドアミラーハウジング10の斜め下方の位置(以下、位置P4呼ぶ。図5参照)までの吐出ノズル2aの移動速度を20mm/s、塗料の吐出量を150g/sとする。
【0037】
その後、上記治具3のサーボモータ5を制御して、図6に示すように、上記治具3の回転軸6を矢印R2の方向に逆転させて上記10個のドアミラーハウジング10を回転させ、上記吐出ノズル2aから噴霧状の塗料を吐出させつつ、当該吐出ノズル2aを各ドアミラーハウジング10の外面に倣って上方に移動させる。このとき、位置P4から位置P3までの吐出ノズル2aの移動速度を20mm/s、塗料の吐出量を150g/sとし、位置P3から位置P2までの吐出ノズル2aの移動速度を20mm/s、塗料の吐出量を110g/sとし、位置P2から位置P1までの吐出ノズル2aの移動速度を22mm/s、塗料の吐出量を150g/sとする。
【0038】
そして、上記ロボット2bを制御して、上記吐出ノズル2aを元位置Ps(図1参照)まで移動させるとともに、上記治具3のサーボモータ5を制御して、回転軸6の回転を停止させ、治具3に取り付けられた各ドアミラーハウジング10の塗装を終了する。
【0039】
その後、それぞれ塗装後の2個のドアミラーハウジング10が取り付けられた各支持フレーム8をホルダ7から取り外し、塗装前の2個のドアミラーハウジング10が取り付けられた支持フレーム8をそれぞれホルダ7の溝部7aに嵌め込み、上述の手順を繰り返してドアミラーハウジング10外面の塗装を順次行う。
【0040】
以上より、本発明の実施形態では、治具3の鉛直回転軸6回りに各ドアミラーハウジング10を上下2段に取り付けるので、該各ドアミラーハウジング10を長手方向が略水平に向く姿勢で上記治具3に取り付けても、長手方向が略鉛直方向に向く姿勢で一列の環状に上記治具3に取り付ける場合より治具3の回転半径が大きくならず、コンパクトなレイアウトで塗装作業を行うことができる。
【0041】
また、上段に取り付けられた各ドアミラーハウジング10と下段に取り付けられた各ドアミラーハウジング10とが互いに接近することで、各々の外面が上下に連続して湾曲状に配置されるので、噴霧状の塗料を上段及び下段に位置する各ドアミラーハウジング10の側方から吹き付けると、オーバーミストの多くが上段及び下段の各ドアミラーハウジング10の外面に沿って反吐出ノズル2a側に滑らかに移動し、オーバーミストの跳ね返りによる塗装不良の発生を抑えてドアミラーハウジング10外面の塗膜の厚みを均一にできる。
【0042】
さらに、各ドアミラーハウジング10の回転が塗装の途中で反転することで、上段の各ドアミラーハウジング10外面と下段の各ドアミラーハウジング10外面とに噴霧状の塗料がバランス良く吹き付けられるようになる。したがって、各ドアミラーハウジング10外面に付着する塗料の車幅方向におけるばらつきを抑え、各ドアミラーハウジング10外面の塗膜の厚みを確実に均一にできる。
【0043】
尚、本発明の実施形態では、本発明の塗装方法を右側用ドアミラーハウジング10の塗装工程に適用した事例を説明したが、本発明の塗装方法は左側用ドアミラーハウジングの塗装工程にも適用できる。
【0044】
また、本発明の実施形態では、各ドアミラーハウジング10外面に倣って吐出ノズル2aを移動させている途中の段階で、吐出ノズル2aの移動速度と塗料の吐出量とを変更させているが、吐出ノズル2aの移動速度を一定で、且つ、塗料の吐出量を一定で塗装を行ってもよい。
【0045】
また、本発明の実施形態の治具3は、ドアミラーハウジング10を上段に5個、下段に5個取り付けているが、それ以外の数を取り付けることが可能な治具を用意して塗装を行ってもよい。
【0046】
また、本発明の実施形態では、治具3に同形状の右側用ドアミラーハウジング10を10個取り付けて塗装しているが、同形状である必要はなく、種類の異なるドアミラーハウジングを複数取り付けて本発明の塗装方法で塗装してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、車両用ドアミラーのミラー部を収容するドアミラーハウジングの塗装に適している。
【符号の説明】
【0048】
2 塗料吐出機(塗料吐出手段)
2a 吐出ノズル
3 治具(回転手段)
6 回転軸
10 ドアミラーハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6