(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)と中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)との重量比((a)/(b))が90/10〜35/65である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナー。
コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)及び中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)の合計とシェル部に含まれるポリエステル樹脂(c)との重量比[(コア部+中間部)/シェル部]が、85/15〜55/45である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナー。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の電子写真用トナーは、ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有するコア部、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する中間部、並びにポリエステル樹脂(c)を含有するシェル部からなる。
本発明において、トナーのコア部とは、トナーを構成する最内層の部分であり、シェル部とは、トナーを構成する最外層の部分である。その中間にある層を中間部という。
中間部は、多層であってもよく、1〜5層が好ましい。中間部の層は、同じ組成であっても、後述する工程(2)を繰り返すことで、多層とすることができる。
【0009】
本発明の電子写真用トナーは、コア部に、トナー中の離型剤の全量に対して65重量%以上90重量%未満を含む。これにより、トナー作製時における微粉の発生を抑制しつつ、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。コア部における離型剤の含有量は、微粉量の観点からは、トナー中の全量に対して好ましくは70重量%以上、より好ましくは75重量%以上であり、また、定着性の観点からは、好ましくは88重量%以下、より好ましくは85重量%以下であり、好ましくは70〜88重量%、より好ましくは75〜85重量%である。
本発明の電子写真用トナーは、中間部における離型剤の含有量が、トナー中の離型剤の全量に対して好ましくは10重量%を超えて35重量%以下、より好ましくは12〜30重量%、更に好ましくは15〜25重量%である。これにより、トナー作製時における微粉の発生を抑制しつつ、低温定着性に優れたトナーを得ることができる。
本発明の電子写真用トナーは、微粉の発生を抑制する観点から、シェル部に含まれる離型剤の含有量が、トナー中の離型剤の全量に対して5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下が更に好ましく、実質的に含有しないことがより更に好ましい。
本発明の電子写真用トナーにおける離型剤の総含有量は、トナー重量に対して1〜10重量%が好ましく、2〜8重量%がより好ましく、2〜6重量%が更により好ましい。
また、コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)と中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)との重量比((a)/(b))は、トナーの最低定着温度、粒子の円形度の観点から、好ましくは90/10〜35/65、より好ましくは75/25〜35/65、更に好ましくは75/25〜45/55、より更に好ましくは70/30〜50/50である。
コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)及び中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)の合計とシェル部に含まれるポリエステル樹脂(c)との重量比[(コア部+中間部)/シェル部]は、トナーの最低定着温度、保存耐久性の観点から、好ましくは85/15〜55/45、より好ましくは80/20〜60/40、更に好ましくは75/25〜60/40である。
トナー中におけるポリエステル樹脂の総含有量(コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)と中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)とシェル部に含まれるポリエステル樹脂(c)との合計量)に対して、コア部におけるポリエステル樹脂(a)の含有量は、トナーの最低定着温度、粒子の円形度の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%、更に好ましくは20〜50重量%であり、中間部におけるポリエステル樹脂(b)の含有量は、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜55重量%、更に好ましくは15〜50重量%であり、シェル部におけるポリエステル樹脂(c)の含有量は、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%、更に好ましくは20〜40重量%である。
【0010】
[コア部]
コア部は、ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有する。コア部のポリエステル樹脂(a)は、後述する電子写真用トナーの製造方法の工程(1)で得られるコア粒子を構成する樹脂である。
【0011】
(ポリエステル樹脂(a))
以下、コア部に含有されるポリエステル樹脂(a)について説明するが、後述するポリエステル樹脂(b)及び(c)についても好適範囲は同じである。
本発明において、ポリエステル樹脂(a)は、トナーの定着性を向上させる観点から、架橋ポリエステル樹脂であることが好ましい。架橋ポリエステル樹脂は、後述する3価以上の多価カルボン酸及び/又は3価以上の多価アルコールを用いて得ることができる。
また、ポリエステル樹脂(a)は、トナーの帯電性を向上させる観点から、非晶質ポリエステルを含むことが好ましい。非晶質ポリエステルとは、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される結晶性指数が、1.4を超える、あるいは0.6未満のポリエステルである。一方、結晶性ポリエステルとは、結晶性指数が0.6〜1.4、好ましくは0.8〜1.1のポリエステルである。
ポリエステル樹脂(a)の結晶性指数は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは0.6未満又は1.4を超え4以下、より好ましくは0.6未満又は1.5以上4以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上3以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上2以下である。当該結晶性指数は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により適宜決定することができる。
【0012】
ポリエステル樹脂(a)は、乳化性の観点から、分子末端に酸基を有することが好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂の分散性とトナーの保存安定性との両立の観点から、カルボキシル基が好ましい。
ポリエステル樹脂(a)の酸価は、樹脂の水性媒体中における乳化性の観点から、好ましくは6〜35mgKOH/g、より好ましくは10〜35mgKOH/g、更に好ましくは15〜35mgKOH/gである。
【0013】
ポリエステル樹脂(a)のガラス転移点は、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくは55〜75℃、より好ましくは55〜70℃、更に好ましくは58〜68℃である。
ポリエステル樹脂(a)の軟化点は、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくは70〜165℃、より好ましくは70〜140℃、更に好ましくは90〜140℃、更に好ましくは100〜130℃である。
なお、ポリエステル樹脂(a)を2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移点及び軟化点は、各々2種以上のポリエステル樹脂(a)の混合物として、実施例記載の方法によって得られたガラス転移点及び軟化点をいう。
【0014】
ポリエステル樹脂(a)は、トナーの低温定着性、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することが好ましい。軟化点が異なる2種類のポリエステルをそれぞれポリエステル(a−1)及び(a−2)とした場合、一方のポリエステル(a−1)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(a−2)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(a−1)とポリエステル(a−2)との重量比((a−1)/(a−2))は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは50/50〜90/10である。
また、ポリエステル樹脂(a)は、トナーの低温定着性、及び保存性の観点から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含有することが好ましい。結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステルとの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、好ましくは50/50〜5/95、より好ましくは70/30〜10/90である。
【0015】
ポリエステル樹脂(a)は、酸成分とアルコール成分とを、重縮合反応させることにより得られる。当該重縮合反応は、好ましくは触媒存在下、180〜250℃で行われることが好ましい。
酸成分としては、ジカルボン酸、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、3価以上の多価カルボン酸が挙げられ、カルボン酸には、酸無水物及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等も含まれる。これらの中でも、トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、ジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、これらの中でもテレフタル酸が好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、これらの中でも耐オフセット性の観点から、トリメリット酸が好ましい。
これらの酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエステル樹脂(a)は、トナーの耐高温オフセット性の観点から、3価以上の多価カルボン酸並びにその酸無水物又はそのアルキルエステル、好ましくはトリメリット酸又はその無水物を含有する酸成分を用いて得られたポリエステル樹脂(a)を少なくとも1種使用することが好ましい。
【0016】
アルコール成分としては、主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、ビスフェノールAの水素添加物、3価以上の多価アルコール等が挙げられ、これらの中でも、非晶質のポリエステルを得る観点から、芳香族ジオールが好ましく、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)がより好ましい。
結晶性のポリエステルを得る観点から、炭素数2〜12のα,ω−脂肪族ジオールが好ましく、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
触媒としては、縮重合反応の効率の観点から、錫化合物、チタン化合物等が好ましく、錫化合物がより好ましい。錫化合物としては、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫、ジブチル錫オキサイド等が挙げられる。チタン化合物としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。
触媒の使用量に制限はないが、酸成分とアルコール成分との総量100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.6重量部である。
【0018】
縮重合反応は、反応容器に、酸成分及びアルコール成分を入れ、180〜250℃で5〜15時間維持して行うことが好ましく、更にその後、触媒を加え180〜250℃で1〜5時間維持して反応を進行させ、5.0〜20kPaに減圧して1〜10時間維持して行うことがより好ましい。
【0019】
なお、本発明では、その効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(a)を変性したものを用いることができる。ポリエステル樹脂を変性する方法としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法により、フェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化する方法や、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂とする方法等が挙げられる。なお、後述するポリエステル樹脂(b)及び(c)についても同様である。
【0020】
(離型剤)
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができる。
コア部における離型剤の含有量は、トナーの定着性及び微粉量の観点から、コア部重量に対して、好ましくは3〜15重量%、より好ましくは4〜15重量%、更に好ましくは5〜13重量%である。なお、ここでのコア部とは、ポリエステル樹脂(a)、離型剤及び着色剤を含む。
【0021】
(着色剤)
コア部は、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、顔料及び染料が用いられ、トナーの画像濃度の観点から、顔料が好ましい。
顔料としては、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン、フタロシアニングリーン等が挙げられ、これらの中でも、銅フタロシアニンが好ましい。
染料としては、アクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
[中間部]
中間部は、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する。中間部のポリエステル樹脂(b)は、後述する電子写真用トナーの製造方法の工程(2)で中間部を形成するのに用いられるポリエステル樹脂(b)である。中間部は、1層であってもよく、多層であってもよい。
中間部に含有されるポリエステル樹脂(b)の物性及び製造方法は、上述のコア部のポリエステル樹脂(a)と同様である。また、ポリエステル樹脂(b)は、トナーの帯電性を向上させる観点から、非晶質ポリエステルを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂(b)の酸成分としては、ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が好ましく、これらの中でもテレフタル酸及びトリメリット酸が好ましい。
アルコール成分としては、芳香族ジオールが好ましく、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)がより好ましい。
ポリエステル樹脂(b)は、ポリエステル樹脂(a)と、同一であっても異なっていてもよい。ただし、ポリエステル樹脂(b)は、トナーの定着性を向上する観点から、ポリエステル樹脂(a)と同一のアルコール成分又は酸成分を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂(a)と同一のアルコール成分及び酸成分の両方を含有することがより好ましく、ポリエステル樹脂(a)と同一のアルコール成分及び酸成分からなることが更に好ましい。特に、ポリエステル樹脂(a)とポリエステル樹脂(b)とが同一の樹脂であることがより好ましい。
また、ポリエステル樹脂(b)は、トナーの定着性を向上させる観点から、架橋ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0023】
中間部に含有される離型剤は、コア部に含有される離型剤と同一でも異なっていてもよいが、トナーの定着性及び微粉量の観点から、同一であることが好ましい。
中間部における離型剤の含有量は、トナーの定着性及び微粉量の観点から、中間部重量に対して、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは2〜7重量%である。また、中間部は、着色剤を含有していてもよい。なお、ここでの中間部とは、ポリエステル樹脂(b)、離型剤及び着色剤を含む。
ポリエステル樹脂(b)は、トナーの低温定着性、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することが好ましい。軟化点が異なる2種類のポリエステルをそれぞれポリエステル(b−1)及び(b−2)とした場合、一方のポリエステル(b−1)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(b−2)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(b−1)とポリエステル(b−2)との重量比((b−1)/(b−2))は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは50/50〜90/10である。
また、ポリエステル樹脂(b)は、トナーの低温定着性、及び保存性の観点から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含有することが好ましい。結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステルとの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、好ましくは50/50〜5/95、より好ましくは70/30〜10/90である。
【0024】
[シェル部]
シェル部は、ポリエステル樹脂(c)を含有する。シェル部のポリエステル樹脂(c)は、後述する電子写真用トナーの製造方法の工程(3)でシェル部を形成するのに用いられるポリエステル樹脂(c)である。
シェル部に含有されるポリエステル樹脂(c)の物性及び製造方法は、上述のポリエステル樹脂(a)及び(b)と基本的に同様である。
ポリエステル樹脂(c)の酸成分としては、ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸が好ましく、これらの中でもテレフタル酸及びトリメリット酸が好ましい。
アルコール成分としては、芳香族ジオールが好ましく、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)がより好ましい。
ポリエステル樹脂(c)は、ポリエステル樹脂(a)と、同一であっても異なっていてもよい。ただし、ポリエステル樹脂(c)は、トナーの定着性を向上する観点から、ポリエステル樹脂(a)と同一のアルコール成分又は酸成分を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂(a)と同一のアルコール成分及び同一の酸成分の両方を含有することがより好ましい。
ポリエステル樹脂(c)は、トナーの耐久性及び帯電性を向上する観点から、ポリエステル樹脂(c)の全量に対して、非晶質ポリエステルを好ましくは70〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは実質100重量%含有することが好ましい。非晶質ポリエステルとは、前述の通り、結晶性指数が、1.4を超える、あるいは0.6未満のポリエステルである。
ポリエステル樹脂(c)は、トナーの低温定着性、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することが好ましい。軟化点が異なる2種類のポリエステルをそれぞれポリエステル(c−1)及び(c−2)とした場合、一方のポリエステル(c−1)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(c−2)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(c−1)とポリエステル(c−2)との重量比((c−1)/(c−2))は、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは50/50〜90/10である。
また、シェル部には、トナーの帯電性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、シェル部における離型剤の含有量は、シェル部重量に対して0.5重量%以下が好ましく、実質的に離型剤を含有しないことが好ましい。
更に、シェル部には着色剤を含有してもよいが、シェル部における着色剤の含有量は、シェル部重量に対して0.5重量%以下が好ましく、実質的に着色剤を含有しないことが好ましい。着色剤を含有する場合にも、中間部より少ない量であることが好ましい。なお、ここでのシェル部とは、ポリエステル樹脂(c)、離型剤及び着色剤を含む。
シェル部には、実質的に離型剤及び着色剤のいずれも含有しないことがより好ましい。
【0025】
[電子写真用トナーの製造方法]
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、下記工程(1)〜(3)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で凝集させて、コア粒子を得る工程
工程(2):コア粒子に、ポリエステル樹脂(b)を含む樹脂粒子(B1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(b)及び着色剤を含む樹脂粒子(B2)と離型剤粒子とを付着させて、コアシェル粒子(1)を得る工程
工程(3):コアシェル粒子(1)に、ポリエステル樹脂(c)を含む樹脂粒子(C)を付着させて、ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有するコア部、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する中間部、並びにポリエステル樹脂(c)を含有するシェル部からなるコアシェル粒子(2)を得る工程
【0026】
[工程(1)]
工程(1)は、ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で凝集させて、コア粒子を得る工程である。
【0027】
本工程においては、まず、ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で混合して、混合分散液を得る。以下、樹脂粒子(A1)及び樹脂粒子(A2)を総称して、樹脂粒子(A)という。
なお、着色剤は、樹脂粒子とは独立した粒子として混合してもよく、樹脂粒子に含まれていてもよいが、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、樹脂粒子に含まれていることが好ましい。すなわち、ポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。
また、本工程において、樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子を混合してもよい。樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子としては、非晶質ポリエステルを含む樹脂粒子が好ましく、後述の樹脂粒子(B)と同様の樹脂粒子がより好ましい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
【0028】
樹脂粒子(A)の含有量は、混合分散液中、好ましくは10〜40重量部、より好ましくは20〜30重量部である。水性媒体の含有量は、混合分散液中、好ましくは60〜90重量部、より好ましくは70〜80重量部である。離型剤粒子の含有量は、トナーの離型性及び帯電性の観点から、コア部の樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部である。
また、工程(1)において、着色剤を混合してもよい。着色剤を混合する場合、その含有量は、画像濃度の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部である。
混合温度は、凝集制御の観点から、好ましくは0〜40℃である。
【0029】
[ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A)]
樹脂粒子(A)は、ポリエステル樹脂(a)を含有する。樹脂粒子(A)中のポリエステル樹脂(a)の含有量は、トナーの低温定着性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂に対して、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは80〜100重量%である。
【0030】
樹脂粒子(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂(a)以外の樹脂、例えば、スチレンアクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
また、樹脂粒子(A)は、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、着色剤を含有する着色剤を含む樹脂粒子(A2)であることが好ましい。
樹脂粒子(A)が着色剤を含む樹脂粒子(A2)である場合、着色剤の含有量は、トナーの画像濃度の観点から、樹脂粒子(A2)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部である。
樹脂粒子(A)には、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
【0031】
(樹脂粒子(A)の製造)
樹脂粒子(A)は、ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂及び前記の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(A)を含有する分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機等によって分散処理を行う方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、小粒径の樹脂粒子を得る観点及びトナー作製時の凝集制御を向上する観点から、転相乳化による方法が好ましい。以下、転相乳化による方法について述べる。
【0032】
まず、ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る。
ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂が、複数の樹脂からなる場合には、予め、ポリエステル樹脂(a)とその他の樹脂を混合したものを用いてもよいが、前記アルカリ水溶液及び任意成分を添加する際に同時に添加し、溶融して混合することによって得てもよい。例えば、小粒径の樹脂粒子を得る観点から、ポリエステル樹脂(a)、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る方法が好ましい。
また、混合の際には、樹脂の乳化安定性の観点から、界面活性剤を添加することが好ましい。
【0033】
アルカリ水溶液中のアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等やアンモニア等が挙げられるが、樹脂の分散性を向上する観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。また、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは1.5〜20重量%である。アルカリは、ポリエステル樹脂(a)の分子鎖末端の酸基の中和に用いられるため、アルカリにより樹脂の分散性が向上するものと考えられる。
【0034】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、なかでも非イオン性界面活性剤が好ましく、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤を併用することがより好ましく、樹脂を十分に乳化させる観点から、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との重量比(非イオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂を十分に乳化させる観点から、好ましくは0.3〜10、より好ましくは0.5〜5である。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリチレングリコ−ルモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、これらの中でも、樹脂の乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中でも、樹脂の乳化安定性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0036】
界面活性剤の含有量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部である。
【0037】
樹脂混合物を得る方法としては、ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分、好ましくは界面活性剤を容器に入れ、撹拌器によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。
樹脂を溶融し混合する際の温度は、ポリエステル樹脂(a)のガラス転移点以上が好ましい。
【0038】
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(A)を含有する分散液を得る。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、更に好ましくは実質100重量%である。用いる水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましい。
水性媒体を添加する際の温度は、小粒径で均質な樹脂粒子を得る観点から、ポリエステル樹脂(a)のガラス転移点以上が好ましい。
【0039】
水性媒体の添加速度は、樹脂粒子を小粒径とする観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部/分、より好ましくは0.1〜30重量部/分、更に好ましくは0.5〜10重量部/分、更に好ましくは0.5〜5重量部/分である。なお、転相終了後の水性媒体の添加速度には制限はない。
【0040】
水性媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは100〜2000重量部、より好ましくは150〜1500重量部、更に好ましくは150〜500重量部である。その固形分濃度は、得られる樹脂粒子分散液の安定性と取扱い容易性等の観点から、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。なお、固形分とは、樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
【0041】
トナーの耐熱保存性及び定着性を向上する観点から、樹脂粒子(A)に含まれるポリエステル樹脂(a)を架橋することが好ましく、オキサゾリン基を有する化合物により架橋することがより好ましい。
【0042】
オキサゾリン基を有する化合物としては、分子内にオキサゾリン基を複数含有するものを使用することができるが、オキサゾリン基を含有するポリマーが好ましい。その重量平均分子量は、ポリエステル樹脂との反応性の観点から、好ましくは500〜2,000,000、より好ましくは1,000〜1,000,000である。
オキサゾリン基を含有するポリマーの市販品としては、(株)日本触媒製のエポクロスWSシリーズ(水溶性タイプ、主鎖アクリル)、Kシリーズ(エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる(いずれも商品名)。
前記オキサゾリン基を有する化合物の含有量あるいは添加量は、樹脂との架橋反応性及び生産性の観点から、樹脂分散液中、樹脂100重量部に対して、固形分として好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
【0043】
オキサゾリン基を有する化合物が添加され、かつ所定温度で混合することにより、樹脂分散液に分散している樹脂粒子の一部が架橋される。この時の温度は、好ましくは60〜100℃、より好ましくは70〜98℃である。オキサゾリン基を有する化合物による樹脂の架橋の存在は、架橋によって生成するアミド基により確認することができる。
【0044】
このようにして、得られた樹脂粒子(A)を含有する分散液中の樹脂粒子(A)の体積中位粒径は、高画像のトナーを得る観点から、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.02〜1.5μm、更に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは0.05〜0.5μmである。ここで、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径である。
また、樹脂粒子の粒度分布の変動係数(CV値)(%)は、高画像のトナーを得る観点から、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下、更に好ましくは28%以下である。なお、CV値は、下記式で表される値であり、具体的には実施例記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
【0045】
離型剤粒子は、凝集性の観点から、上述の界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を使用する場合の含有量は、凝集性及び得られるトナーの帯電性の観点から、離型剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
離型剤粒子の体積中位粒径は、得られるトナーの帯電性及びホットオフセットを防ぐ観点から、好ましくは0.1〜1μm、より好ましくは0.1〜0.7μm、更に好ましくは0.1〜0.5μmである。
離型剤粒子のCV値は、得られるトナーの帯電性の観点から、好ましくは15〜50%、より好ましくは15〜40%、更に好ましくは15〜35%である。
【0046】
(コア粒子の製造)
次に、混合分散液中の粒子、すなわちポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で凝集させて、コア粒子の分散液(以下、「コア粒子分散液」ともいう)を得る。
ここで、ポリエステル樹脂(a)及び着色剤を含む樹脂粒子(A2)と離型剤粒子とを水性媒体中で凝集させることが、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から好ましい。
本工程において、凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤としては、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が挙げられる。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。また、樹脂粒子の凝集性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上である。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
【0047】
凝集の方法としては、混合分散液の入った容器に、凝集剤を好ましくは水溶液として滴下する。凝集剤は一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよいが、添加時及び添加終了後には、十分な撹拌を行うことが好ましい。凝集制御及びトナー製造時間短縮の観点から、凝集剤の滴下時間は1〜120分が好ましい。また、滴下温度は凝集制御の観点から0〜40℃が好ましい。
【0048】
得られたコア粒子の体積中位粒径は、トナーを用いて得られる画像を高画質化する観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは3〜6μmである。また、CV値は、好ましくは30%以下、より好ましくは28%以下、更に好ましくは25%以下である。
【0049】
[工程(2)]
工程(2)は、コア粒子に、ポリエステル樹脂(b)を含む樹脂粒子(B1)と離型剤粒子とを、又はポリエステル樹脂(b)及び着色剤を含む樹脂粒子(B2)と離型剤粒子とを付着させて、コアシェル粒子(1)を得る工程である。コアシェル粒子(1)は、得られるトナーにおけるコア部及び中間部を構成する。以下、樹脂粒子(B1)及び樹脂粒子(B2)を総称して、樹脂粒子(B)という。
なお、着色剤は、樹脂粒子とは独立した粒子としてコア粒子に付着させてもよく、樹脂粒子に含まれていてもよいが、トナーの画像濃度を向上させ、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、樹脂粒子に含まれていることが好ましい。すなわち、ポリエステル樹脂(b)及び着色剤を含む樹脂粒子(B2)を付着させて、二層構造のコアシェル粒子(1)を得ることが好ましい。
本工程においては、まず、ポリエステル樹脂(b)を含む樹脂粒子(B)の分散液(以下、「樹脂粒子(B)分散液」ともいう)を調製した後、工程(1)で得られたコア粒子分散液に、樹脂粒子(B)分散液を添加して、コア粒子に樹脂粒子(B)を付着させ、コアシェル粒子(1)を得ることが好ましい。
また、樹脂粒子(B)は、トナーの画像濃度を向上させ、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、着色剤を含む樹脂粒子(B2)であることが好ましい。
樹脂粒子(B)は、前記樹脂粒子(A)と同様の方法で得ることが出来る。
樹脂粒子(B)が着色剤を含む樹脂粒子(B2)である場合、着色剤の含有量は、トナーの画像濃度の観点から、樹脂粒子(B)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜10重量部である。
【0050】
樹脂粒子(B)分散液を添加する際、コア粒子に樹脂粒子(B)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を用いることが好ましい。
樹脂粒子(B)分散液を添加する際の添加方法としては、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを同時に添加する方法、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを交互に添加する方法、コア粒子分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(B)分散液を添加する方法が好ましい。このような方法によれば、凝集剤濃度低下によるコア粒子及び樹脂粒子(B)の凝集性の低下を防ぐことができる。
【0051】
本工程における系内の温度は、トナーを用いて得られる画像を高画質化する観点から、ポリエステル樹脂(b)のガラス転移点より5℃以上低いことがより好ましい。当該温度範囲でコアシェル粒子(1)の製造を行うことで、粗大粒子の発生を抑制、シャープな粒度分布のトナーが得られるため、画質が良好となるものと考えられる。
【0052】
樹脂粒子(B)のコア粒子分散液への添加量は、トナーの帯電性及び保存安定性を向上する観点から、樹脂粒子(B)と樹脂粒子(A)との重量比(樹脂粒子(B)/樹脂粒子(A))が、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.3〜1.0、更に好ましくは0.35〜0.75となる量が好ましい。
【0053】
樹脂粒子(B)分散液は、一定の時間をかけて連続的に添加してもよく、一度に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよいが、樹脂粒子(B)がコア粒子に選択的に凝集しやすくする観点から、一定の時間をかけて連続的に添加するか、複数回に分割して添加することが好ましく、中でも、選択的な凝集を促進する観点及び製造の効率化の観点から一定の時間を掛けて連続的に添加することがより好ましい。連続的に添加する場合の添加時間は、均一なコアシェル粒子(1)を得る観点及び製造時間短縮の観点から、好ましくは1〜10時間、より好ましくは3〜8時間である。
【0054】
工程(2)で得られるコアシェル粒子(1)の体積中位粒径は、トナーの高画質化の観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜9μm、更に好ましくは4〜6μmである。
コアシェル粒子(1)の円形度は、得られるトナーの帯電性及びクリーニング性の観点から、好ましくは0.930〜0.980、より好ましくは0.935〜0.980、更に好ましくは0.940〜0.975である。コアシェル粒子(1)の円形度が高い場合は、得られるトナーの円形度も高くなる。
コアシェル粒子(1)の作成時における微粉量は、帯電性の観点から、好ましくは0〜10%以下、より好ましくは0〜7%、更に好ましくは0〜5%である。コアシェル粒子(1)の微粉量が少ない場合は、得られるトナーの微粉量も少ない。
【0055】
[工程(3)]
工程(3)は、コアシェル粒子(1)に、ポリエステル樹脂(c)を含む樹脂粒子(C)を付着させて、ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有するコア部、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する中間部、並びにポリエステル樹脂(c)を含有するシェル部からなるコアシェル粒子(2)を得る工程である。
樹脂粒子(C)は、前記樹脂粒子(A)と同様の方法で得ることができる。また、樹脂粒子(C)は、実質的に着色剤及び離型剤を含まないことが好ましい。
工程(3)において、コアシェル粒子(1)にポリエステル樹脂(c)を含む樹脂粒子(C)を付着させる方法としては、前記工程(2)のコア粒子にポリエステル樹脂(b)を含む樹脂粒子(B)を付着させる方法と同様の方法によって行うことが好ましい。
【0056】
樹脂粒子(C)の全量を添加し終えたところで凝集を停止する。不必要な凝集を防止する点から、凝集停止剤を添加して凝集を停止することが好ましい。
凝集停止剤としては、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。凝集停止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
凝集停止剤の添加量は、凝集停止性及びトナーへの凝集停止剤の残留を低減する観点から、系中の樹脂の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜8重量部である。凝集停止剤は、いかなる形態で添加してもよいが、生産性の観点から、水溶液で添加することが好ましい。
工程(3)で得られるコアシェル凝集粒子(2)の体積中位粒径は、トナーの高画質化の観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜9μm、更に好ましくは4〜6μmである。
【0057】
[合一工程]
工程(3)で得られたコアシェル粒子(2)は、主として物理的にお互いに付着している状態であるため、加熱して樹脂粒子等を融着して合一させ、合一粒子を得る。
【0058】
本工程における系内の温度は、融着を促進する観点及びトナーの保存安定性の観点から、ポリエステル樹脂(c)のガラス転移点温度以上の温度であることが好ましい。
また、トナーの帯電性の観点から、離型剤の融点より低い温度で保持することが好ましく、5℃以上低い温度で保持することがより好ましく、10℃以上低い温度で保持することが更に好ましい。
以上の点より、本工程においる保持温度は、粒子融着性の観点から、好ましくは58〜69℃、より好ましくは59〜67℃、更に好ましくは60〜64℃である。
本工程における保持時間は、粒子融着性、保存安定性、帯電性及びトナー生産性の観点から、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜18時間、更に好ましくは2〜12時間である。
【0059】
本工程においては、生成する合一粒子の円形度をモニタリングすることによって、融着の進行を確認することが好ましい。円形度のモニタリングは実施例に記載の方法によって行う。円形度が0.955以上になったところで冷却し、融着を停止する。最終的に得られる合一粒子の円形度は、得られるトナーの帯電性及びクリーニング性の観点から、好ましくは0.955〜0.980、より好ましくは0.958〜0.980、更に好ましくは0.960〜0.975である。
【0060】
本工程で得られる合一粒子の体積中位粒径は、トナーの高画質化の観点から、好ましくは2〜10μm、より好ましくは2〜8μm、より好ましくは2〜7μm、更に好ましくは3〜8μm、更に好ましくは4〜6μmである。
【0061】
[後処理工程]
本発明においては、合一工程の後に後処理工程を行ってもよく、合一粒子を単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
合一工程で得られた合一粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸で洗浄を行うことが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、非イオン性界面活性剤の曇点以下で水性溶液により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましい。乾燥時の温度は、合一粒子自体の温度が離型剤の融点より5℃以上低くなるように設定することが好ましい。乾燥方法としては、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等が好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの飛散量の低減及び帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下である。
【0062】
<電子写真用トナー>
(トナー)
乾燥等を行うことによって得られた粒子を本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のように表面処理したものを電子写真用トナーとして用いることが好ましい。
得られたトナーの軟化点は、トナーの低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、好ましくは60〜140℃、より好ましくは65〜130℃、更に好ましくは70〜120℃である。また、ガラス転移点は、低温定着性、耐久性及び保存安定性の観点から、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
トナーの円形度は、トナーの保存安定性、帯電性及びクリーニング性の観点から、好ましくは0.955〜0.980、より好ましくは0.958〜0.980、更に好ましくは0.960〜0.975である。トナー粒子の円形度は後述の方法で測定することができる。なお、トナーの円形度は、投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値であり、粒子が球形であるほど円形度が1に近い値となる値である。
トナーの体積中位粒径は、トナーの高画質化と生産性の観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは3〜7μm、更に好ましくは4〜6μmである。
トナーのCV値は、高画質化と生産性の観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。
【0063】
(外添剤)
本発明の電子写真用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、任意の微粒子が挙げられ、これらの中でも、ポリマー微粒子及び疎水性シリカが好ましく、疎水性シリカがより好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、外添剤による処理前のトナー粒子100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜6重量部である。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
【0064】
上述した実施形態に関し、本発明は以下の電子写真用トナー、及びその製造方法を開示する。
〔1〕ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有するコア部、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する中間部、並びにポリエステル樹脂(c)を含有するシェル部からなる電子写真用トナーであって、該トナー中の離型剤の全量に対して65重量%以上90重量%未満、好ましくは70〜88重量%、より好ましくは75〜85重量%がコア部に含まれる、電子写真用トナー。
〔2〕中間部における離型剤の含有量が、トナー中の離型剤の全量に対して10重量%を超えて35重量%以下、好ましくは12〜30重量%、より好ましくは15〜25重量%である、前記〔1〕に記載の電子写真用トナー。
【0065】
〔3〕コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)と中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)との重量比((a)/(b))が90/10〜35/65、好ましくは75/25〜35/65、より好ましくは75/25〜45/55、更に好ましくは70/30〜50/50である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の電子写真用トナー。
〔4〕コア部に含まれるポリエステル樹脂(a)及び中間部に含まれるポリエステル樹脂(b)の合計とシェル部に含まれるポリエステル樹脂(c)との重量比[(コア部+中間部)/シェル部]が、85/15〜55/45、好ましくは80/20〜60/40、より好ましくは75/25〜60/40である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の電子写真用トナー。
【0066】
〔5〕コア部における離型剤の含有量が、コア部重量に対して3〜15重量%、好ましくは4〜15重量%、より好ましくは5〜13重量%である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の電子写真用トナー。
〔6〕中間部における離型剤の含有量が、中間部重量に対して1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、より好ましくは2〜7重量%である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の電子写真用トナー。
〔7〕ポリエステル樹脂(a)が結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルとを含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の電子写真用トナー。
【0067】
〔8〕下記工程(1)〜(3)を含む、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
工程(1):ポリエステル樹脂(a)を含む樹脂粒子(A)と離型剤粒子とを水性媒体中で凝集させて、コア粒子を得る工程
工程(2):コア粒子に、ポリエステル樹脂(b)を含む樹脂粒子(B)及び離型剤粒子を付着させて、コアシェル粒子(1)を得る工程
工程(3):コアシェル粒子(1)に、ポリエステル樹脂(c)を含む樹脂粒子(C)を付着させて、ポリエステル樹脂(a)及び離型剤を含有するコア部、ポリエステル樹脂(b)及び離型剤を含有する中間部、並びにポリエステル樹脂(c)を含有するシェル部からなるコアシェル粒子(2)を得る工程
【実施例】
【0068】
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
【0069】
[ポリエステルの酸価]
JIS K0070に従って測定した。ただし、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
【0070】
[ポリエステルの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター((株)島津製作所製、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Parkin Elmer社製、商品名:Pyris 6 DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度50℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定した。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点とした。
【0071】
[樹脂粒子、離型剤粒子の体積中位粒径(D
50)及び粒度分布]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機((株)堀場製作所製、商品名:LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D
50)を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D
50))×100
【0072】
[樹脂粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計((株)ケツト科学研究所製、商品名:FD−230)を用いて、樹脂粒子分散液5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分%を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(重量%)=100−M
M:水分(%)=[(W−W
0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
【0073】
[コア粒子並びにコアシェル粒子(1)及び(2)の体積中位粒径(D
50)及び微粉量]
コア粒子並びにコアシェル粒子(1)及び(2)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:コールターマルチサイザーIII(商品名、ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(商品名、ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(商品名、ベックマンコールター社製)
・測定条件:コア粒子又はコアシェル粒子(1)もしくは(2)を含有する試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求めた。また、全粒子数のうちの2μm以下の粒子数の割合を微粉量(%)とした。
【0074】
[トナー(粒子)の体積中位粒径(D
50)及び粒度分布]
トナー(粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、コア粒子並びにコアシェル粒子(1)及び(2)の体積中位粒径の測定と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、商品名:エマルゲン109P、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5重量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D
50)を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D
50))×100
【0075】
[コア粒子並びにコアシェル粒子(1)及び(2)の円形度]
・分散液の調製:粒子分散液の固形分濃度が0.001〜0.05%になるように脱イオン水で希釈したものを試料分散液として使用した。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製、商品名:FPIA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
【0076】
[トナーの低温定着性評価]
上質紙(富士ゼロックス(株)製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:ML5400)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm
2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を100℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分に、メンディングテープ(3M社製、商品名:Scotchメンディングテープ810、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/秒で1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/秒で剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙((株)沖データ製、エクセレントホワイト紙A4サイズ)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」、光射条件;標準光源D
50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
【0077】
[ポリエステルの製造]
製造例1
(結晶性ポリエステル(1)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,9−ノナンジオール3936g、セバシン酸4848gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫50gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持し、結晶性ポリエステル(1)を得た。得られた結晶性ポリエステル(1)の軟化点78℃、融点72℃、結晶性指数1.1、酸価19.9mgKOH/gであった。
【0078】
製造例2
(非晶質ポリエステル(1)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3528g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1404g、テレフタル酸1248g、ドデセニルコハク酸無水物1541g、及び酸化ジブチル錫20gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、230℃で6時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、215℃まで冷却し、大気圧に戻した後、トリメリット酸無水物300gを入れ、215℃で1時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持させて、非晶質ポリエステル(1)を得た。ガラス転移点は57℃、軟化点は118℃であり、結晶性指数は1.5であった。また酸価は19.1mgKOH/gであった。
【0079】
製造例3
(非晶質ポリエステル(2)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、210℃まで冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、210℃の温度下で5時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステル(2)を得た。ガラス転移点は65℃、軟化点は107℃であり、結晶性指数は1.5であった。また酸価は24.4mgKOH/gであった。
【0080】
製造例4
(非晶質ポリエステル(3)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃に昇温し、220℃で5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶質ポリエステル(3)を得た。ガラス転移点は64℃、軟化点は122℃であり、結晶性指数は1.6であった。また酸価は21.0mgKOH/gであった。
【0081】
製造例5
(非晶質ポリエステル(4)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3004g、フマル酸996g、tert−ブチルカテコール2gおよび酸化ジブチル錫8gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、8.3KPaにて反応し下記の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステル(4)を得た。ガラス転移点は57℃、軟化点は101℃であり、結晶性指数は1.5であった。また酸価は22.4mgKOH/gであった。
【0082】
製造例6
(着色剤を含むマスターバッチの製造)
製造例5で得た非晶質ポリエステル(4)の微粉末70重量部及び銅フタロシアニンのスラリー顔料(大日精化工業(株)製、商品名:ECB−301、固形分46.2重量%)を顔料分30重量部になるようにヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗砕して青色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗砕品(マスターバッチ)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は全て微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
【0083】
製造例7
(樹脂粒子分散液(イ−1)の調製)
撹拌機を装備したフラスコに、結晶性ポリエステル(1)150g、非晶質ポリエステル(1)405g、銅フタロシアニン顔料含有のマスターバッチ375g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン150、花王(株)製)14.1g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)133g、5重量%水酸化カリウム水溶液373g、イオン交換水17.0gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、脱イオン水1995gを10g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液を得た。
更に、得られた樹脂粒子分散液3348gとオキサゾリン基含有アクリルポリマー水溶液((株)日本触媒製、商品名:「エポクロスWS−700」;ポリマー分25%)36.5gとを混合し、攪拌しながら95℃で1時間保持した。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を30重量%に調整して、樹脂粒子分散液(イ−1)分散液を得た。樹脂粒子(イ−1)の体積中位粒径は0.167μm、CV値は31.21%であった。
【0084】
製造例8
(樹脂粒子分散液(ロ−1)の調製)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶性ポリエステル(2)390g、非晶性ポリエステル(3)210g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(ネオペレックスG−15)40g及び5重量%水酸化カリウム278gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1135gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を25重量%に調整して、樹脂粒子分散液(ロ−1)分散液を得た。樹脂粒子(ロ−1)の体積中位粒径は0.158μm、CV値は24%、ガラス転移点は60℃であった。
【0085】
製造例9
(離型剤粒子分散液の製造)
1リットル容のビーカーで、脱イオン水200gにポリカルボン酸ナトリウム水溶液としてアクリル酸ナトリウム−マレイン酸ナトリウム共重合体水溶液(花王(株)製、商品名:ポイズ521、有効濃度40重量%)3.8gを溶解させた後、これにカルナウバワックス((株)加藤洋行製、商品名:カルナウバワックス1号、融点83℃)5gとパラフィンワックス(日本精鑞(株)製、商品名:HNP−9、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとが一体となって溶融した溶融混合物を得た。
得られた溶融混合物を含んだ水溶液を更に90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー(日本精機(株)製、商品名:US−600T)で30分間分散処理を行った後に室温まで冷却し、ここにイオン交換水を加え、離型剤固形分20重量%に調整し、離型剤粒子分散液を得た。離型剤粒子分散液中の離型剤粒子の体積中位粒径(D
50)は450nm、CV値は30%であった。
【0086】
[トナーの製造]
実施例1
(トナーAの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合:コア部/中間部=70/30
樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合:コア部/中間部=50/50
<工程(1):コア粒子の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積2リットルの4つ口フラスコに、全量の50重量%の樹脂粒子(イ−1)分散液100g、分散水として全量の50重量%の脱イオン水31.5g、及び全量の70重量%の離型剤粒子分散液12.6gを入れ、25℃で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム11.5gを脱イオン水136.8gに溶解した水溶液を25℃で10分かけて滴下した後、45℃まで昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が3.7μmになるまで、48℃まで温度を調整し、コア粒子を得た。得られたコア粒子の微粉量は2.8%、円形度は0.932であった。
<工程(2):コアシェル粒子(1)の作製>
工程(1)で得られたコア粒子の分散液に、残りの50重量%の樹脂粒子(イ−1)分散液100g、残りの50重量%の脱イオン水31.5g、濃度調整用に120gの脱イオン水、及び残りの30重量%の離型剤粒子分散液5.4gの混合液、及び硫酸アンモニウム4.9gを脱イオン水34.4gに溶解した水溶液を、別々に3時間掛けて滴下し、コアシェル粒子(1)を得た。得られたコアシェル粒子(1)の体積中位粒径は4.7μm、微粉量は5.1%、円形度は0.940であった。
<工程(3):コアシェル粒子(2)の作製>
工程(2)で得られたコアシェル粒子(1)の分散液に、樹脂粒子(ロ−1)分散液98.7g、脱イオン水31.7gを3時間掛けて滴下するとともに、温度を51℃に昇温し、コアシェル粒子(2)を得た。得られたコアシェル粒子(2)の体積中位粒径は5.0μm、微粉量は4.3%、円形度は0.954であった。
<工程(4):トナー粒子の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積5リットルの4つ口フラスコに、工程(3)で得られたコアシェル粒子(2)の分散液589g、アルキルエーテル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤、商品名:エマールE27C、花王(株)製)12.9gと脱イオン水2573gとを混合した水溶液を入れ、混合した。該混合物を67℃に昇温した後、円形度が0.965となるまで保持し、生トナーを得た。得られた生トナーAの体積中位粒径は5.0μm、微粉量は4.2%であった。次に、分散液を25℃に冷却し、25℃に保ちつつ、吸引濾過で固形分を分離し、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(商品名:RY50、日本アエロジル(株)製、平均粒径;0.04μm)2.5重量部、及び疎水性シリカ(商品名:キャボシールTS720、キャボット社製、平均粒径;0.012μm)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナーAを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0087】
実施例2
(トナーBの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=80/20に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=60/40に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーBを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0088】
実施例3
(トナーCの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=80/20に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=40/60に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーCを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0089】
実施例4
(トナーDの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=80/20に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=80/20に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーDを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0090】
実施例5
(トナーEの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=87/13に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=87/13に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーEを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0091】
比較例1
(トナーFの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=100/0に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーFを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0092】
比較例2
(トナーGの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=100/0に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=60/40に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーGを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0093】
比較例3
(トナーHの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=60/40に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーHを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0094】
比較例4
(トナーIの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=50/50に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーIを得た。得られたトナーの低温定着性結果、並びにコアシェル粒子(1)の作製時点での円形度及び微粉量を表1に示す。
【0095】
比較例5
(トナーJの作製)
離型剤粒子分散液の配合割合をコア部/中間部=30/70に変更し、樹脂粒子(イ−1)分散液の配合割合をコア部/中間部=30/70に変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーJを作製することを試みた。しかし、コア粒子の作成時に過剰な凝集が起こり、トナーJは得られなかった。
【0096】
【表1】
【0097】
表1から、比較例1〜5のトナーは低温定着性及び/又は微粉量の抑制が不十分であるのに対し、実施例の電子写真用トナーはいずれも、微粉量が少なく、かつ、低温定着性に優れることがわかる。特に、実施例1と比較例3及び4との比較から、離型剤のコア部の含有割合が65重量%未満の場合は、微粉量の抑制が不十分であることがわかる。