特許第5798913号(P5798913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5798913-計量キャップ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798913
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】計量キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20151001BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B65D83/06 N
   B65D47/20 K
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-282670(P2011-282670)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133107(P2013-133107A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】岸上 晴男
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−278057(JP,A)
【文献】 実開昭56−128156(JP,U)
【文献】 特開2004−262492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D83/06
B65D83/04
B65D47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部を閉塞するとともに、該容器本体内に連通して内容物が通過可能な通過孔が形成された栓体と、
該栓体に配設されるとともに、内部が前記通過孔に連通し、かつ内容物が吐出される吐出孔が形成された吐出筒部と、を備えた計量キャップであって、
前記吐出筒部は、内部が前記通過孔内に連通可能な基部からキャップ軸に交差する方向に延在し、その前端に前記吐出孔が形成され、
前記栓体には、前記吐出孔を該吐出孔の前方から閉塞する閉塞壁が立設され、
前記吐出筒部は、前記吐出孔が前記閉塞壁により閉塞され、かつ前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過可能な計量姿勢と、前記吐出孔が前記閉塞壁からキャップ軸方向に離間して開放され、かつ前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過するのを遮断する吐出姿勢と、の間で揺動自在に配設され、
前記吐出筒部の前記基部における後端部には、該吐出筒部が前記計量姿勢から前記吐出姿勢に移る過程において、前記通過孔の開口を狭めて前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過するのを遮断する遮断部が配設され
前記遮断部は、前記吐出筒部が前記吐出姿勢にあるときに、前記通過孔の内周縁における前端に当接することを特徴とする計量キャップ。
【請求項2】
請求項1記載の計量キャップであって、
前記吐出筒部は、前記基部側から前記吐出孔側の前方に向かうに従い漸次、前記栓体からキャップ軸方向に離間していることを特徴とする計量キャップ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の計量キャップであって、
前記遮断部は、後方に向かうに従い漸次、前記栓体からキャップ軸方向に離間する方向に延在する摺接部材を備え、前記摺接部材は、前記吐出筒部が前記計量姿勢から前記吐出姿勢に移る過程において、前記通過孔の内周縁における後端に摺接することを特徴とする計量キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の計量キャップとして、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される容器本体の口部を閉塞するとともに、容器本体内に連通して内容物が通過可能な通過孔が形成された栓体と、通過孔を上方から覆うとともに、その内部が通過孔に連通し、内容物を投入するための投入口が形成された計量部と、投入口を開閉するための外蓋と通過孔を開閉するための内蓋の両機能を果たすスライド蓋と、を備えた構成が知られている。
この計量キャップでは、まず投入口を閉じて通過孔を開けた状態から容器本体を傾けることで、通過孔を通して内容物を計量部に注入する。そして、容器本体の傾きを一旦戻した後、スライド蓋を操作して投入口を開けて通過孔を閉じた状態にし、再度容器本体を傾けることで、投入口を通して内容物が投入されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−195480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した特許文献1の構成では、計量部とは別体でスライド蓋を設ける等の必要があるため、部品点数が増加し、構成の複雑化に繋がるという問題がある。
また、計量部内で内容物を計量した後、計量された内容物を投入するまでの間に、容器本体の傾きを戻した状態でスライド蓋を操作する必要があるため、内容物を取り出すときの操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、容器本体を逆立ち姿勢にしたままの状態で、内容物の計量、及び計量された内容物の吐出の双方を行うことが可能になり、構造を複雑にすることなく、高い操作性を具備させることができる計量キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る計量キャップは、内容物が収容される容器本体の口部を閉塞するとともに、該容器本体内に連通して内容物が通過可能な通過孔が形成された栓体と、該栓体に配設されるとともに、内部が前記通過孔に連通し、かつ内容物が吐出される吐出孔が形成された吐出筒部と、を備えた計量キャップであって、前記吐出筒部は、内部が前記通過孔内に連通可能な基部からキャップ軸に交差する方向に延在し、その前端に前記吐出孔が形成され、前記栓体には、前記吐出孔を該吐出孔の前方から閉塞する閉塞壁が立設され、前記吐出筒部は、前記吐出孔が前記閉塞壁により閉塞され、かつ前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過可能な計量姿勢と、前記吐出孔が前記閉塞壁からキャップ軸方向に離間して開放され、かつ前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過するのを遮断する吐出姿勢と、の間で揺動自在に配設され、前記吐出筒部の前記基部における後端部には、該吐出筒部が前記計量姿勢から前記吐出姿勢に移る過程において、前記通過孔の開口を狭めて前記容器本体内の内容物が前記通過孔を通過するのを遮断する遮断部が配設され、前記遮断部は、前記吐出筒部が前記吐出姿勢にあるときに、前記通過孔の内周縁における前端に当接することを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、内容物が収容された容器本体に装着され、かつ吐出筒部が計量姿勢にある状態で、まず容器本体を上下反転させた逆立ち姿勢にすると、容器本体内の内容物が栓体の通過孔を通して吐出筒部内に貯められる。この状態で、吐出筒部を揺動させて、前述の計量姿勢から吐出姿勢に移す過程で、遮断部が通過孔の開口を狭めて容器本体内の内容物が通過孔を通過するのを遮断する。これにより、容器本体内の内容物が予期せず通過孔から排出されることなく、吐出筒部内の計量された内容物のみが吐出孔から外部に吐出される。
以上より、容器本体を逆立ち姿勢にしたままの状態で、内容物の計量、及び計量された内容物の吐出の双方を行うことが可能になり、構造を複雑にすることなく、高い操作性を具備させることができる。
さらに、遮断部が、吐出筒部が吐出姿勢にあるときに通過孔の内周縁における前端に当接するように構成しているため、吐出筒部の吐出姿勢において通過孔を通じた容器本体内と吐出筒部内との間での内容物の通過を確実に遮断できる。また、吐出筒部が吐出姿勢になる位置を容易、かつ確実に決めることができる。
【0008】
また、前記吐出筒部は、前記基部側から前記吐出孔側の前方に向かうに従い漸次、前記栓体からキャップ軸方向に離間していてもよい。
【0009】
この場合、吐出筒部を、基部側から吐出孔側の前方に向かうに従い漸次、栓体からキャップ軸方向に離間する方向に延在させることで、吐出筒部が計量姿勢にある状態で容器本体を逆立ち姿勢にした際に、通過孔を通過した内容物が吐出筒部内の前端まで進入し易くなる。これにより、吐出筒部内に一定量の内容物を確実に進入させることができるので、計量を容易、かつ確実に行うことができる。
【0010】
また、前記遮断部は、後方に向かうに従い漸次、前記栓体からキャップ軸方向に離間する方向に延在する摺接部材を備え、前記摺接部材は、前記吐出筒部が前記計量姿勢から前記吐出姿勢に移る過程において、前記通過孔の内周縁における後端に摺接していてもよい。
【0011】
この場合、遮断部が通過孔の内周縁における後端に摺接する摺接部材を備えているので、吐出筒部が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、通過孔を通じて容器本体の内外が連通するのを防止できる。したがって、吐出筒部が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、内容物が通過孔を通じて容器本体外に漏れるのを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る計量キャップによれば、容器本体を逆立ち姿勢にしたままの状態で、内容物の計量、及び計量された内容物の吐出の双方を行うことが可能になり、構造を複雑にすることなく、高い操作性を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る計量キャップの断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る計量キャップにおいて、吐出筒部が計量姿勢にある状態で容器本体を逆立ち姿勢とした断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る計量キャップにおいて、吐出筒部が吐出姿勢にある状態で容器本体を逆立ち姿勢とした断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る計量キャップを説明する。
図1に示すように、本実施形態の計量キャップ1は、内容物S(図2参照)が収容される有底筒状の容器本体2の口部2aを閉塞するとともに、容器本体2内に連通して内容物Sが通過可能な通過孔11が形成された有頂筒状の栓体12と、栓体12に配設されるとともに、内部が通過孔11に連通し、かつ内容物Sが吐出される吐出孔13が形成された吐出筒部14と、を備えている。なお、本実施形態の容器本体2内には、例えば粒ガムや錠剤等の粒状の内容物Sが収容されている。
ここで、容器本体2と栓体12とは、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置させられた状態で配設されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸O方向に沿って計量キャップ1側を上側、容器本体2側を下側といい、キャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。また、キャップ軸Oを挟んで吐出筒部14における吐出孔13側を前側、その反対側を後側という。
【0017】
栓体12は、容器本体2の口部2aを覆う平面視円形の天壁部21と、天壁部21の外周縁から下方に向けて延設されるとともに、口部2aに螺着された外筒22と、外筒22に対して径方向の内側に配設されるとともに、口部2a内に嵌合された内筒23と、を備えている。なお、外筒22は、螺着以外の構成(例えば、アンダーカット嵌合等)によって容器本体2の口部2aに装着されていても構わない。
【0018】
天壁部21には、中央部から後側にずれた位置に、前述した通過孔11が形成されている。通過孔11の上面視形状は、径方向のうち前後方向に直交する左右方向を長手方向とする長方形状に開口している。
【0019】
また、天壁部21には、通過孔11を前方、及び左右両側から取り囲む囲繞壁部24が上方に向けて立設されている。
囲繞壁部24のうち、前側に位置する部分は吐出筒部14の吐出孔13を閉塞する閉塞壁25を構成している。閉塞壁25の上端部は、内周面が上方に向かうに従い前方に向けて傾斜することで上方に向けて先細っている。そして、閉塞壁25における上端部の内周面には、後方に向けて膨出するシール部26が形成されている。シール部26は、中央部から外周部に向かうに従い漸次厚さが薄くなる曲面状に形成されている。
【0020】
囲繞壁部24は、天壁部21上において左右方向に沿って対向する一対の側壁部27を備えている。側壁部27は、閉塞壁25の左右両端縁から後方に向けて各別に延設され、後方に向かうに従いキャップ軸O方向に沿う高さが漸次低くなるように形成されている。各側壁部27の後端部には、天壁部21における左右方向の内側、すなわち対向する他の側壁部27に向けて突出する円柱状の係合突起28が配設されている。すなわち、通過孔11及び係合突起28それぞれの前後方向に沿う配設位置は、互いに同等になっている。
【0021】
また、天壁部21において、前後方向に沿う閉塞壁25と、通過孔11と、の間に位置する部分には、規制壁部29が上方に向けて立設されている。この規制壁部29は、左右方向に沿う両側壁部27間に配設されるとともに、キャップ軸O方向に沿う高さが囲繞壁部24よりも低く形成されている。
【0022】
吐出筒部14は、囲繞壁部24の内側に配設された角筒形状のものであり、キャップ軸O方向に沿う縦断面視でL字状に形成されている。具体的に、吐出筒部14は、キャップ軸O方向に沿って延びて内部が通過孔11に連通可能な有頂筒状の基部41と、基部41の上端部から前方に向かうに従い上方に向けて突設された本体部42と、を備えている。
【0023】
基部41は、その下端開口部が通過孔11を通して容器本体2内に連通しており、容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過して吐出筒部14内に進入するようになっている。また、基部41の上端部における左右方向の両側には、図示しない一対の係合凹部が形成され、これら係合凹部内に前述した各係合突起28が各別に嵌合されることで、吐出筒部14が回転自在に支持されている。これにより、本実施形態の吐出筒部14は、吐出孔13が閉塞壁25により前方から閉塞され、かつ容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過可能な計量姿勢(図1中実線)と、吐出孔13が閉塞壁25から上方に離間して開放され、かつ容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過するのを遮断する吐出姿勢(図1中鎖線)と、の間で、係合突起28の軸線回りに揺動可能に構成されている。
【0024】
基部41における前壁部47の下端部は、前述した計量姿勢において、天壁部21の上面における通過孔11よりも前方に位置する部分に近接または当接する一方、吐出姿勢において、前述した規制壁部29に近接または当接している。
【0025】
基部41の後壁部43には、前述した吐出姿勢において、容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過するのを遮断する遮断部44が配設されている。具体的に、遮断部44は、後壁部43の下端縁から下方に向けて突出した突出部45と、後壁部43の下端縁から後方に向かうに従い漸次、上方に向けて延設された摺接部材46と、を備えている。
【0026】
突出部45の下端縁は、前壁部47よりも下方に位置するとともに、通過孔11内に配設されている。突出部45は、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、通過孔11内を前方に向けて移動して、通過孔11の開口(通過孔11の内周縁における前端と、突出部45との間の開口)を狭めるように構成されている。この場合、突出部45は、前述した計量姿勢において、通過孔11の内周縁における後端に近接または当接することで、通過孔11を通じた容器本体2の内部と、容器本体2及び吐出筒部14の双方の外部と、の間での内容物Sの通過を遮断している。一方、突出部45は、吐出姿勢において、通過孔11の内周縁における前端に近接または当接することで、通過孔11を通じた容器本体2内と吐出筒部14内との間での内容物Sの通過を遮断している。
【0027】
摺接部材46は、下端縁(後壁部43との連結部分)を起点にして前後方向に撓み変形可能に構成されている。また、摺接部材46の下部は後方に向けて膨出する湾曲面に形成され、摺接部材46の上部は上方に向けて延在している。そして、摺接部材46は、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、通過孔11の内周縁の後端に摺接しながら移動するようになっている。したがって、前述した吐出姿勢において、通過孔11は摺接部材46により閉塞されるとともに、通過孔11の内周縁における後端には、摺接部材46のうち、下部と上部との連結部分が当接している。
また、摺接部材46の上端縁には、吐出筒部14を操作する操作片48が後方に向けて突設されている。
【0028】
本体部42は、内部が基部41及び前述した通過孔11を通じて容器本体2内に連通しており、その前端に前述した吐出孔13が形成されている。また、吐出孔13の開口縁は、下方に向かうに従い後方に向けて傾斜している。そして、本体部42の吐出孔13には、前述した計量姿勢において、閉塞壁25のシール部26の外周部分が開口縁に前方から当接するとともに、中央部が吐出孔13内に嵌合されている。これにより、吐出孔13が閉塞されている。
【0029】
次に、前述した計量キャップの1作用を説明する。
本実施形態の計量キャップ1を用いて内容物Sを計量するには、計量キャップ1が計量姿勢にある状態で、容器本体2を口部2aが上方を向く正立姿勢(図1参照)から口部2aが下方を向く逆立ち姿勢(図2参照)に上下反転させる。ここで、図2に示すように、容器本体2を逆立ち姿勢とすることで、容器本体2における上下が反転することとなり、逆立ち姿勢の容器本体2において、キャップ軸O方向に沿った計量キャップ1側が下側、容器本体2側が上側となる。
【0030】
そして、容器本体2を逆立ち姿勢とすると、容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通して吐出筒部14内に進入する。吐出筒部14内に進入した内容物Sは、基部41内を通って本体部42の前端まで達すると、内容物Sが閉塞壁25のシール部26により塞き止められる。これにより、吐出筒部14内に吐出筒部14の容積に対応した量の内容物Sが貯められる。
【0031】
続いて、容器本体2を逆立ち姿勢に維持した状態で、計量キャップ1を計量姿勢から吐出姿勢とする。具体的には、図3に示すように、操作片48を上方に向けて押し上げると、吐出筒部14が係合突起28の軸線回りに回動する。すると、摺接部材46が通過孔11の内周縁における後端に摺接しながら前方に向けて移動するとともに、本体部42の吐出孔13が閉塞壁25から離間するように下方に向けて移動することで、計量キャップ1が吐出姿勢となる。すなわち、吐出姿勢では、遮断部44のうち、突出部45が通過孔11の内周縁における前端に当接することで、通過孔11を通じた容器本体2内と吐出筒部14内との間での内容物Sの通過を遮断している。また、摺接部材46が通過孔11の内周縁における後端に当接することで、通過孔11を通じた容器本体2の内部と、容器本体2及び吐出筒部14の双方の外部と、の間での内容物Sの通過を遮断している。
【0032】
一方、吐出姿勢では、吐出孔13が閉塞壁25から離間して下方に向けて開放されることで、計量姿勢時に吐出筒部14内に貯められた内容物Sが吐出孔13を通じて吐出される。
なお、吐出姿勢において、吐出筒部14は、基部41のうち、突出部45が通過孔11の内周縁における前端に当接するとともに、前壁部47が規制壁部29に当接することで、それ以上の揺動動作が規制されている。また、容器本体2内の内容物Sを再度吐出させる場合には、計量キャップ1を計量姿勢に戻し、再度前述した動作を行う。
【0033】
このように、本実施形態によれば、内容物Sが収容された容器本体2に装着され、かつ吐出筒部14が計量姿勢にある状態で、まず容器本体2を上下反転させた逆立ち姿勢にすると、容器本体2内の内容物Sが栓体12の通過孔11を通して吐出筒部14内に貯められる。この状態で、吐出筒部14を係合突起28の軸線回りに揺動させて、前述の計量姿勢から吐出姿勢に移す過程で、遮断部44が通過孔11の開口を狭めて容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過するのを遮断する。これにより、容器本体2内の内容物Sが予期せず通過孔11から排出されることなく、吐出筒部14内の計量された内容物Sのみが吐出孔13から外部に吐出される。
以上より、容器本体2を逆立ち姿勢にしたままの状態で、内容物Sの計量、及び計量された内容物Sの吐出の双方を行うことが可能になり、構造を複雑にすることなく、高い操作性を具備させることができる。
【0034】
また、本体部42を前方に向かうに従い上方に向けて突設することで、吐出筒部14が計量姿勢にある状態で容器本体2を逆立ち姿勢にした際に、通過孔11を通過した内容物Sが吐出筒部14内の前端まで進入し易くなる。これにより、吐出筒部14内に一定量の内容物Sを確実に進入させることができるので、計量を容易、かつ確実に行うことができる。
【0035】
さらに、遮断部44が通過孔11の内周縁における後端に摺接する摺接部材46を備えているので、計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、通過孔11を通じた容器本体2の内部と、容器本体2及び吐出筒部14の双方の外部と、が連通するのを防止できる。したがって、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、内容物Sが通過孔11を通じて容器本体2外に漏れるのを防止できる。
また、遮断部44の突出部45が、吐出姿勢にあるときに通過孔11の内周縁における前端に当接するように構成しているため、吐出姿勢において通過孔11を通じた容器本体2内と吐出筒部14内との間での内容物Sの通過を確実に遮断できる。また、吐出筒部14が吐出姿勢になる位置を容易、かつ確実に決めることができる。
【0036】
なお、摺接部材46が後壁部43と前後方向に間隔をあけた状態で延設しているため、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、摺接部材46を通過孔11の内周縁における後端に倣って後壁部43に接近離間する方向に撓み変形させることも可能になる。この場合には、摺接部材46と通過孔11の内周縁とを確実に密接させることができ、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、内容物Sが通過孔11を通じて容器本体2外に漏れるのを確実に防止できる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0038】
例えば、前述した実施形態では、粒ガムや錠剤等の粒状の内容物Sが容器本体2内に収容されている場合について説明したが、これに限らず粉状、液状等、適宜選択可能である。
さらに、前述した実施形態では、本体部42が基部41の上端部から前方に向かうに従い上方に向けて突設された場合について説明したが、これに限らず、基部41に対する本体部42の角度は適宜設計変更が可能である。この場合、例えば、吐出姿勢において、本体部42の吐出孔13が下方を向くように設定しても構わない。
【0039】
また、前述した実施形態では、摺接部材46が後壁部43と前後方向に間隔をあけた状態で延設された場合について説明したが、これに限らず、摺接部材46と後壁部43とをキャップ軸O方向に沿う全体を一体的に形成しても構わない。
また、前述した実施形態では、遮断部44(突出部45及び摺接部材46)が通過孔11の内周縁に当接した場合について説明したが、これに限らず、吐出筒部14が計量姿勢から吐出姿勢に移る過程において、容器本体2内の内容物Sが通過孔11を通過するのを遮断できる程度に通過孔11の開口を狭めることができればよい。
【0040】
さらに、前述した実施形態では、栓体12を有頂筒状に形成した場合について説明したが、これに限らず、板状等であっても構わない。
また、吐出筒部14と栓体12との間に、吐出筒部14を計量姿勢に向けて付勢するようなスプリング等の付勢手段を設けても構わない。これにより、吐出姿勢とした後に吐出筒部14を自動復帰させることもできる。
【0041】
また、前述した実施形態では、吐出姿勢にあるときに、遮断部44の突出部45が通過孔11の内周縁における前端に当接することで、吐出姿勢になる位置を決める構成について説明したが、これに限られない。
例えば、天壁部21における通過孔11よりも後方に、摺接部材46または操作片48に向けて突出する規制部を設けても構わない。この場合、吐出筒部14が吐出位置になるときに、摺接部材46または操作片48に当接するように規制部を形成することで、吐出筒部14のそれ以上の揺動動作を規制して、吐出筒部14が吐出姿勢になる位置を容易、かつ確実に決めることができる。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…計量キャップ
2…容器本体
2a…口部
11…通過孔
12…栓体
13…吐出孔
14…吐出筒部
25…閉塞壁
41…基部
44…遮断部
46…摺接部材
O…キャップ軸
S…内容物
図1
図2
図3