(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798914
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】高分子水処理膜
(51)【国際特許分類】
B01D 71/30 20060101AFI20151001BHJP
B01D 71/44 20060101ALI20151001BHJP
B01D 69/08 20060101ALI20151001BHJP
C08F 214/08 20060101ALI20151001BHJP
D01F 6/00 20060101ALI20151001BHJP
D01F 6/10 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
B01D71/30
B01D71/44
B01D69/08
C08F214/08
D01F6/00 B
D01F6/10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-283364(P2011-283364)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-132579(P2013-132579A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 龍一
(72)【発明者】
【氏名】玉井 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】久保 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】河野 篤
【審査官】
長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−509192(JP,A)
【文献】
特開2004−313989(JP,A)
【文献】
特開2003−326105(JP,A)
【文献】
特開2007−197686(JP,A)
【文献】
特開昭60−022901(JP,A)
【文献】
特開昭58−219902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
D01F 1/00−6/96
D01F 9/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニリデンモノマー及び親水性モノマーに由来する構成単位を含む塩化ビニリデン系共重合体からなりろ過機能を有する高分子水処理膜であって、
前記親水性モノマーが、水酸基含有モノマー、ヒドロキシアルキル基含有モノマー、多価アルコール含有モノマー、片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコール含有モノマー及びN−ビニル環状アミド含有モノマーからなる群から選択され、
前記塩化ビニリデンモノマーに由来する構造単位が、塩化ビニリデン系共重合体を構成する全構成単位の50〜99質量%であり、
前記塩化ビニリデン系共重合体が、10mJ/mg以上の示差走査型熱量計による融解熱を有し、
前記高分子水処理膜が中空糸膜である高分子水処理膜。
【請求項2】
親水性モノマーが、ポリアルキレングリコール含有モノマーである請求項1に記載の高分子水処理膜。
【請求項3】
ポリアルキレングリコール含有モノマーが、ポリエチレングリコール含有モノマーである請求項2に記載の高分子水処理膜。
【請求項4】
ポリアルキレングリコールの平均重合度が4〜140である請求項1〜3のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項5】
ポリアルキレングリコール含有モノマーが、片末端の一部又は全てが、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される少なくとも1種により置換されているポリアルキレングリコールを含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項6】
親水性モノマーが、N−ビニル環状アミド含有モノマーである請求項1〜5のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項7】
N−ビニル環状アミド含有モノマーが、N−ビニルピロリドンである請求項1〜6のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項8】
前記塩化ビニリデン系共重合体が、還元粘度(0.4g/dl 30℃ N―メチルピロリドン溶液)0.37〜1.25dl/gである請求項1〜7のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項9】
塩化ビニリデンモノマーに由来する構造単位が、塩化ビニリデン系共重合体を構成する全構成単位の50〜99質量%である請求項1〜8のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【請求項10】
前記高分子水処理膜が多孔質膜である請求項1〜9のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子水処理膜に関し、より詳細には、高い機械的強度と透水性とを有するとともに、耐汚染性に優れた高分子水処理膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製のために、高分子水処理膜が利用されている。
このような高分子水処理膜は、通常、水処理装置において分離膜として利用されており、例えば、ポリスルホン(PS)系、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)系、ポリエチレン(PE)系、酢酸セルロース(CA)系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリイミド(PI)系等の種々の高分子材料によって形成された、中空糸状の多孔質膜が利用されている。特に、ポリスルホン系樹脂は、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性等の物理的及び化学的性質に優れ、また製膜も容易な点から、多用されている。
【0003】
一般に、高分子水処理膜に要求される性能としては、目的とする分離特性に加え、優れた透水性を有すること、物理的強度に優れていること、各種化学物質に対する安定性(つまり、耐薬品性)が高いこと、ろ過時に汚れが付着しにくい(つまり、耐汚染性が優れている)こと等が挙げられる。
【0004】
例えば、機械的物性のバランスに優れ、透水速度が改良された、酢酸セルロース系の中空糸分離膜が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この酢酸セルロース系分離膜は、機械的強度が小さく、耐薬品性も十分でない。したがって、分離膜が汚染した場合は、物理的又は薬品による化学的手段による洗浄を行うことが極めて困難であるという問題がある。また、微生物による分解性があることから、近年下水処理で採用が増加している膜分離活性汚泥法(MBR)での使用は難しいとされている。
【0005】
そこで、耐汚染性を付与するための親水性成分としてメトキシポリエチレングリコールメタクリレートを、メタクリル酸メチルおよびスチレンと共重合した親水性材料からなる半透膜が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この共重合体は各単量体に由来する成分が相溶しているので、ガラス転移点の低いポリオキシエチレン基により共重合体自身の耐熱性が低下する。
一方、ポリ塩化ビニリデンは耐薬品性に優れ、また、200℃付近に融点を有する結晶性樹脂であり、耐熱性を備える。
従って、ポリ塩化ビニリデンを支持層とし、これにゲル化性高分子層が相互拡散して一体化した多成分系複合フィルムが、限外ろ過膜等として使用できることが提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
しかし、特許文献3では、相互拡散で一体化した多成分系複合フィルムの具体的な組成も、その耐汚染性等も明らかに示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−108053号公報
【特許文献2】特開2006−124714号公報
【特許文献3】特開2006−289985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の高分子水処理膜では、上述したような機械的強度、耐薬品性及び透水性の改善とともに、汚れによる目詰まりが発生することによる透水量の低下防止が、水処理装置の長期的な運転に対する主要な課題となっている。つまり、目詰まりによる膜の損傷及び目詰まり解消のための薬洗・逆洗などのメンテナンスに伴うコストが高騰しており、効率的にメンテナンスすることが主要な課題となっている。
従って、これらの課題を回避するために、高分子水処理膜自体の防汚性を向上させることが熱望されている。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、機械的強度、耐薬品性、耐熱性及び透水性を確保しながら、さらに防汚性を兼ね備えた高分子水処理膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、機械的強度、耐薬品性、耐熱性及び透水性を確保しながら、さらに防汚性を高めることができる高分子水処理膜について鋭意検討を行った結果、特別な方法によることなく、ポリ塩化ビニリデン系樹脂に対して親水性を向上させるモノマーを共重合させることにより、耐熱性、高い透水性能及び分離性能を有しながら、親水化によって汚れに対する耐性が向上し、薬洗・逆洗などのメンテナンスの必要頻度を減少させることができることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
本発明の高分子水処理膜は以下のとおりである。
[1]塩化ビニリデンモノマー及び親水性モノマーに由来する構成単位を含む塩化ビニリデン系共重合体からなる高分子水処理膜。
[2]親水性モノマーが、親水性の非イオン性基含有モノマーである[1]に記載の高分子水処理膜。
[3]親水性の非イオン性基含有モノマーが、水酸基含有モノマー、ヒドロキシアルキル基含有モノマー、多価アルコール含有モノマー、片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコール含有モノマー及びN−ビニル環状アミド含有モノマーからなる群から選択される[2]に記載の高分子水処理膜。
[4]親水性の非イオン性基含有モノマーが、ポリアルキレングリコール含有モノマーである[3]に記載の高分子水処理膜。
[5]ポリアルキレングリコール含有モノマーが、ポリエチレングリコール含有モノマーである[4]に記載の高分子水処理膜。
[6]ポリアルキレングリコールの平均重合度が4〜140である[4]又は[5]に記載の高分子水処理膜。
[7]ポリアルキレングリコール含有モノマーが、片末端の一部又は全てが、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される少なくとも1種により置換されているポリアルキレングリコールを含有する[4]〜[6]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
[8]親水性の非イオン性基含有モノマーが、N−ビニル環状アミド含有モノマーである[3]に記載の高分子水処理膜。
[9]N−ビニル環状アミド含有モノマーが、N−ビニルピロリドンである[8]に記載の高分子水処理膜。
[10]前記塩化ビニリデン系共重合体が、還元粘度(0.4g/dl 30℃ N―メチルピロリドン溶液)0.37〜1.25dl/gである[1]〜[9]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
[11]塩化ビニリデンモノマーに由来する構造単位が、塩化ビニリデン系共重合体を構成する全構成単位の50〜99質量%である[1]〜[10]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
[12]塩化ビニリデン系共重合体が、10mJ/mg以上の示差走査型熱量計による融解熱を有する[1]〜[10]に記載の高分子水処理膜。
[13]前記高分子水処理膜が多孔質膜である[1]〜[12]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
[14]前記高分子水処理膜が中空糸膜である[1]〜[13]のいずれか1つに記載の高分子水処理膜。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機械的強度、耐薬品性及び透水性を確保しながら、さらに防汚性を兼ね備えた高分子水処理膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の高分子水処理膜は実質的に塩化ビニリデン系共重合体からなる。
塩化ビニリデン系共重合体を構成するモノマーとしては、塩化ビニリデンモノマーと、親水性モノマーとが挙げられる。
親水性モノマーとしては、塩化ビニリデンと共重合が可能なモノマーであって、親水性を有する官能基を有しているモノマーを指す。
親水性を有する官能基は、その官能基を有するモノマー中に、水分子との間で水素結合を作り得る官能基を指し、例えば、カルボキシル基、水酸基、スルホニル基、アミノ基、アミド基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造、エステル構造、エーテル構造、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。
【0013】
親水性を有する官能基は、塩化ビニリデン系共重合体の分子中に含有されている限り、その側鎖に置換/結合していてもよいが、主鎖に置換/結合していることが好ましい。
親水性モノマーは、親水性を有する官能基の異同にかかわらず、同一のモノマーのみを用いてもよいし、異なるモノマーを組み合わせて用いてもよい。つまり、塩化ビニリデン系共重合体においては、1種のみの親水性モノマーが含有されていてもよいし、2種以上の親水性モノマーが含有されていてもよい。
【0014】
親水性モノマーとしては、例えば、
(1)アミノ基、アンモニウム基、ピリジル基、イミノ基、ベタイン構造等のカチオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下「カチオン性モノマー」と記載することがある)、
(2)水酸基、アミド基、エステル構造、エーテル構造等の親水性の非イオン性基含有ビニルモノマー(以下「非イオン性モノマー」と記載することがある)、
(3)カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等のアニオン性基含有ビニルモノマー及び/又はその塩(以下「アニオン性モノマー」と記載することがある)、
(4)その他のモノマー等が挙げられる。
【0015】
具体的には、
(1)カチオン性モノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜44のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
【0016】
ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等の総炭素数2〜44ジアルキルアミノ基を有するスチレン;
2−又は4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;
N−ビニルイミダゾール等のN−ビニル複素環化合物類;
アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;等のアミノ基を有するモノマーの酸中和物又はこれらのモノマーをハロゲン化アルキル(炭素数1〜22)、ハロゲン化ベンジル、アルキル(炭素数1〜18)もしくはアリール(炭素数6〜24)スルホン酸又は硫酸ジアルキル(総炭素数2〜8)等により4級化したもの;
【0017】
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型4級アンモニウム塩、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−スルホプロピル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−(3−カルボキシメチル)−N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン、N−カルボキシメチル−N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等のベタイン構造を有するビニルモノマー等のモノマーが例示される。
これらのカチオン性基の中でも、アミノ基及びアンモニウム基含有モノマーが好ましい。
【0018】
(2)非イオン性モノマーとしては、
ビニルアルコール;
N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;
グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の炭素数1〜8の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート(炭素数1〜8、好ましくはポリエチレングリコール)等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル(反応性を確保するために、ポリアルキレングリコールの平均重合度は4〜140であることが好ましく、4〜100がより好ましい);
【0019】
(メタ)アクリルアミド;
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のジアルキル(総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド;
【0020】
ジアセトン(メタ)アクリルアミド;
N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;
片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル又はスチリルエーテル(アルキル基は、炭素数が1〜20であり、アリール基が置換されていてもよい(ここでのアリール基は、炭素数6〜12が挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル等が挙げられる):アリール基は、なかでもフェニル基が好ましく、炭素数1〜14のアルキル基が置換されていてもよい:アルキレン基は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、炭素数1〜20であり、ポリエチレングリコールが好ましい。ポリエチレングリコールの水素は、炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、置換されているエチレングリコール単位は全体の50%以下であることが好ましい。反応性を確保するために、ポリアルキレングリコールの平均重合度は4〜140であることが好ましく、4〜100がより好ましい:スチリル基は、α位及び/又はβ位が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で置換されていてよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基を有していてもよい。);
【0021】
N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の環状アミノ基を有する(メタ)アクリルアミドが例示される。
なかでも、ビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド系モノマー及びヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル、N−ビニル環状アミドが好ましく、特に、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル、片末端アルキルエーテルまたはアリールエーテルであるポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル、N−ビニル環状アミドがより好ましい。
【0022】
(3)アニオン性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の重合性の不飽和基を有するカルボン酸モノマー及び/又はその酸無水物(1つのモノマー中に2つ以上のカルボキシル基を有する場合);
スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸等の重合性の不飽和基を有するスルホン酸モノマー;
片末端がスルホ基(−SO
3H)であるポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、アリルエーテル、ビニルエーテル、スチリルエーテル(スチリル基は、α位及び/又はβ位が炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基で置換されていてよく、芳香環上に炭素数1〜20のアルキル基を有していてもよい。ポリエチレングリコールの水素は、炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、置換されているエチレングリコール単位は全体の50%以下であることが好ましい。)
【0023】
ビニルホスホン酸、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸等の重合性の不飽和基を有するリン酸モノマー等が例示される。
アニオン性基は、塩基性物質により任意の中和度に中和されてもよい。この場合、ポリマー中の全てのアニオン性基又はその一部のアニオン性基は、塩を生成する。ここで、塩における陽イオンとしては、アンモニウムイオン、総炭素数3〜54のトリアルキルアンモニウムイオン(例えば、トリメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン)、炭素数2〜4のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数4〜8のジヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、総炭素数6〜12のトリヒドロキシアルキルアンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン等が例示される。
中和は、モノマーを中和しても、ポリマーにしてから中和してもよい。
【0024】
(4)上述したビニルモノマー以外であって、無水マレイン酸、マレイミド等の水素結合可能な活性部位を有するモノマー等が挙げられる。
【0025】
塩化ビニリデン系共重合体を構成するモノマー材料として、上述した親水性モノマー又は塩化ビニリデンと共重合可能なものであれば、さらに他のモノマーを用いることができる。
このような他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、キシリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシ(メタ)アクリレート、2−フェノキシ(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘導体、上述した親水性モノマーにおいて親水性官能基を有さないビニルモノマー等が挙げられる。
【0026】
さらに、塩化ビニリデン系共重合体を構成するモノマー材料として、架橋性モノマーを用いてもよい。
架橋性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;
【0027】
N−メチルアリルアクリルアミド、N−ビニルアクリルアミド、N,N'−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビスアクリルアミド酢酸等のアクリルアミド類;
ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、ジビニルエチレン尿素等のジビニル化合物;
ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トリアリルアンモニウム塩、ペンタエリスリトールのアリルエーテル化体、分子中に少なくとも2個のアリルエーテル単位を有するスクローゼのアリルエーテル化体等のポリアリル化合物;
ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0028】
なお、親水性モノマーとして、水酸基を有するモノマーに由来する場合には、例えば、水酸基を有するモノマー単位がビニルアルコールに由来するモノマー単位であることが好ましい。言い換えると、塩化ビニリデン共重合体は、共重合された塩化ビニリデンと酢酸ビニルにおいて、酢酸ビニル単位が加水分解により変換したビニルアルコール単位を含むことが好ましい。
ビニルアルコール単位を塩化ビニリデン系共重合体に導入する方法としては、まず、塩化ビニリデンと酢酸ビニルとを共重合し、得られた共重合体中に含まれる酢酸ビニル単位を加水分解することによりビニルアルコール単位に変換することが好ましい。なお、加水分解は、酢酸ビニル単位100%に対して行われていなくてもよく、その一部にビニルアルコール単位に変換されていない酢酸ビニル単位が、本発明の効果を実質的に損なわない範囲にて存在してもよい。
【0029】
また、ビニルアルコール単位を塩化ビニリデン系共重合体に導入する別の方法としては、まず、塩化ビニリデンと酢酸ビニルとの共重合体を膜状に成形し、その後、共重合体中に含まれる酢酸ビニル単位を加水分解する方法が挙げられる。
なかでも、加水分解する前に膜状に成形することにより、透水性・強度等の物性設計部分と、親水化の部分を分けることが可能になり、より好ましい物性を得ることができる。
【0030】
塩化ビニリデン系共重合体は、還元粘度(0.4g/dl 30℃ N―メチルピロリドン溶液)が0.37〜1.25dl/gであることが適している。特に、親水性モノマーがポリアルキレングリコール含有モノマー単位である場合、還元粘度は0.45〜1.2dl/gであることが好ましく、その他の親水性モノマーである場合、0.4〜1.15dl/gが好ましい。
【0031】
還元粘度は分子量の指標として用いられる。還元粘度が大きいほど、分子量は大きい。
還元粘度は、例えば、以下のようにして測定することができる。
0.4g/dlの塩化ビニリデン系共重合体のN―メチルピロリドン溶液を30℃で調整し、30℃の恒温水槽中におかれたウベローデ型粘度計で、溶媒であるN―メチルピロリドンの流下時間および該溶液の流下時間を測定し、前者に対する後者の比η
relを求め、次いで、(η
rel−1)を溶液濃度である0.4g/dlで除したものが還元粘度となる。
親水性モノマーがポリアルキレングリコール含有モノマーである場合に上記範囲がその他のモノマーの場合より大きいのは、前者のモノマーは側鎖が嵩高いため、測定される還元粘度が大きくなるためである。還元粘度が小さすぎると、作製した水処理膜の強度に乏しくなる。還元粘度が大きすぎると、製膜溶液が高粘度になること、高温に加熱しなければ製膜に必要な濃度が得られないこと、溶剤に溶解することが困難になることがある。
【0032】
塩化ビニリデン系共重合体における塩化ビニリデンモノマーに由来する構造単位の含有率は、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系共重合体を構成する塩化ビニリデンモノマー単位と親水性モノマー単位との合計に対して、50〜99質量%程度であることが好ましい。親水性モノマー単位は、1〜50質量%程度であることが好ましい。
このように、塩化ビニリデン系共重合体において、塩化ビニリデンモノマー単位を50質量%以上とすることにより、水処理膜、特に中空糸膜等に必要な強度を確保することができるとともに、親水性の付与により、耐汚染性を改善することができる。
塩化ビニリデン系共重合体は、示差走査型熱量計による融解熱が10mJ/mg以上であることが好ましい。融解熱は、例えば、昇温条件:室温より210℃まで10℃/分、冷却条件:210℃より−110℃まで10℃/分、昇温(2回目)条件:−110℃より260℃まで10℃/分の条件で昇温/冷却を行い、2回目の昇温における融解における吸熱量として測定した値である。
融解熱をこの範囲とすることにより、耐熱性を十分確保することができる。
【0033】
本発明の高分子水処理膜では、塩化ビニリデン系共重合体は、実質的に塩化ビニリデンモノマー単位と親水性モノマー単位とのみからなる共重合体であることが好ましいが、上述したように、その一部に、それら以外のモノマー単位が、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。例えば、さらなる柔軟性又は耐薬品性等を付与するため、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン、フッ化ビニリデン等を用いてもよい。
本発明の高分子水処理膜を構成する高分子材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、製膜時における成形性、熱安定性等を向上させる目的で、滑剤、熱安定剤、製膜助剤等をブレンドしてもよい。
【0034】
例えば、滑剤としては、ステアリン酸、パラフィンワックス等が挙げられる。
熱安定剤としては、一般に塩化ビニリデン系樹脂の成形に用いられる錫系、鉛系、Ca/Zn系メルカプチド、金属石鹸等が挙げられる。
製膜助剤としては各種重合度のポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子が挙げられる。
本発明での高分子水処理膜は、多孔質膜であることが適しており、その形状は中空糸状であることが最も好ましいが、一般に知られている形状、例えば、平膜状、スパイラル状、プリーツ状、モノリス状、チューブラー状等であってもよい。この場合、例えば、中空糸膜の外径は800〜2000μm程度、内径は400〜1200μm程度が挙げられる。また、別の観点から、その厚みは、例えば、100〜400μm程度が挙げられる。
【0035】
高分子水処理膜は、熱誘起相分離法、非溶媒相分離法、延伸法など、当該分野で公知の方法のいずれを利用して製造してもよい。なかでも、非溶媒相分離法によって製造することが好ましい。
また、本発明の高分子水処理膜は、膜間差圧100kPaにおける純水の透過水量が100L/(m
2・h)程度以上であることが好ましく、200L/(m
2・h)程度以上であることがより好ましい。
このように、本発明の高分子水処理膜によれば、透過水量と引張強度とのバランスに優れていることから、分離膜として既存の水処理装置に好適に利用することができ、水の精製を目的とする好適な水処理方法が可能となる。また、適度な耐熱性を持つことにより、水処理膜をモジュールに組み立てる際、封止剤を硬化促進させるために加熱しても膜の透水性が低下しない。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の高分子水処理膜及びその製造方法ならびに水処理方法を、実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例における配合量は、特に断りのない限り重量基準で示す。
【0037】
共重合体および膜性能の測定は、以下の方法によった。
融解熱
示差走査型熱量計を用い、共重合体を、昇温条件:室温より210℃まで10℃/分、冷却条件:210℃より−110℃まで10℃/分、昇温(2回目条件:−110℃より260℃まで10℃/分で昇温/冷却し、2回目の昇温における融解における吸熱量を融解熱として測定した。
純水透水量
中空糸膜内部に0.1MPaで純水を通し、外側に透過する水の量と、有効膜面積及び膜間差圧から透水量を計算した、
熱処理後純水透水量
中空糸膜を50重量%グリセリン水溶液に一晩浸漬後、所定の温度で3時間オーブン中にて乾燥させた。次いで、3時間純水に浸漬した後に純水透水量を評価した。
γ-グロブリンろ過時透水量・相対透水率
純水透水量評価同様に、中空糸内部に50ppmのγ−グロブリンのリン酸緩衝水溶液を通して透水量を求めた。相対透水量はこの透水量と純水透水量との比として計算した。
引張破断強度
23℃、100mm/minにて破断時の荷重を測定した。
【0038】
実施例1
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約9)モノマー単位とを重量比86:14で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合体の還元粘度は0.87であった。また、共重合体の融解熱は、21mJ/mgであった。
共重合を20%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10%とを、N−メチルピロリドン70%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.4mmであった。
また、得られた中空糸膜の純水透水性能は、910L/m
2・hr・atmであった。
中空糸膜を65℃で熱処理した後の純水透水性能は、880L/m
2・hr・atmであった。
さらに、引張破断強度は、2.5N/本であった。
この膜を用いて50ppmのγグロブリン水溶液をろ過したところ、純水透水性能と比較した相対透水率は、表1に示すように、約84%であった。
【0039】
実施例2
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約9)モノマー単位とを重量比65:35で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合体の還元粘度は1.05であった。共重合体の融解熱は、16mJ/mgであった。
実施例1と同様に製膜したところ、得られた中空糸状の膜は、内径0.7mm、外径1.3mmであった。
この膜の評価結果を表1に示す。
【0040】
実施例3
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約9)モノマー単位とを重量比95:5で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合体の還元粘度は0.47であった。共重合体の融解熱は、22mJ/mgであった。
共重合を17%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を10%とを、N−メチルピロリドン73%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.4mmであった。
この膜の評価結果を表1に示す。
【0041】
実施例4
塩化ビニリデンモノマー単位とメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの重合度約9)モノマー単位とを重量比55:45で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。共重合体の還元粘度は1.17であった。共重合体の融解熱は、11mJ/mgであった。
共重合体を18%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を8%とを、N−メチルピロリドン74%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.6mmであった。
この膜の評価結果を表1に示す。
【0042】
比較例
塩化ビニリデンモノマー単位と塩化ビニルモノマー単位とを重量比82:18で含む共重合体を懸濁重合法により製造した。
共重合体を17%と、製膜助剤としてポリエチレングリコール400を13%とを、N−メチルピロリドン70%に溶解させ、内部に水を注入させながらこの溶液を中空糸ノズルより連続的に吐出させ、水浴層にて相分離させることによって多孔質の中空糸膜を得た。
得られた中空糸状の膜は、内径0.8mm、外径1.4mmであった。
この膜の評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示したように、実施例と比較例とでは、相対透水率に大きな差が見られることから、実施例では、耐汚染性が向上することが確認された。また、65℃熱処理後においても透水性はほぼ低下しなかった。
つまり、本発明による高分子水処理膜は、汚れが付着しにくく、ろ過時においてもその透水量が充分なレベルで確保され、耐熱性もあることが確認された。
このように、汚れが付着しにくいことにより、膜の損傷、逆洗又は薬洗によるメンテナンスの頻度が少なくて済み、経済的にも非常に優位であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、水処理装置への適用の有無及び水処理装置の態様等にかかわらず、河川水及び地下水の除濁、工業用水の清澄、排水及び汚水処理、海水淡水化の前処理等の水の精製等のために使用される水処理膜として、広範に利用することができる。