(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つの前記ベース材上に複数の電子部品を一括形成した後、前記電子部品単位で個片化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子部品パッケージの製造方法。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は周波数特性に優れているため、デバイス、具体的にプリント基板実装部品の一つとして多用されている。ただし、水晶振動子の特性を安定させるには、外気の影響を遮断するため密封容器に入れることが望ましい。この様なパッケージ構造の例は、「ガラス−セラミック複合体およびそれを用いたフラットパッケージ型圧電部品」(特許文献1)などで提案されている。
【0003】
上記構造例によれば、ベース部材に水晶片を納め、キャップ部材を被せてなるパッケージにおいて、水晶片とほぼ同じ熱膨張率の材料でパッケージを構成することを特徴とし、セラミックスにガラス粉末を混合したものでパッケージを構成するというものである。
【0004】
しかし、当該パッケージはガラス−セラミック複合体であるため、1個のベース部材に水晶片を載せ、キャップ部材を被せるところの単品生産によって生成されるので、生産性が著しく低い。加えて、ガラス−セラミック複合体は加工が難しく、生産コストが嵩む。
【0005】
これらの欠点を解消するべく、パッケージを加工容易なガラスで製造する方法が提案されており、「電子部品パッケージ」(特許文献2)などが提案されている。
【0006】
図7を用いて特許文献2に記載の従来技術の概要を説明する。特許文献2によれば、ベース部材110に貫通孔を作製する工程(a)、貫通孔に低融点ガラスを流し込み、金属ピン120をはめ込む工程(b)、金属ピン120を押し込むと共に、ガラス板を凹状に加工する工程(c)、電極130を印刷によって形成する工程(d)、水晶振動子等の部品140を金属ピンに搭載する工程(e)、封止材150を介してキャップ部材160とベース部材110を封止接合する工程(f)を経て、電子部品パッケージ100を製造する方法が提案されている。この中で(c)の工程において、加熱温度をガラスの軟化点温度(約1000℃)以上にしてガラスを溶着させることで、ベース部材110に密着固定した金属ピン120を得ることができるため、工程(f)で確実に機密性を保つことができ、低コストで製造できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の電子部品パッケージ100の製造方法の工程(c)において、
図8に示す課題がある。即ち、(c−1)に示すように金属ピン120がベース部材110の厚みに比べて短い、あるいは、金属ピン120の押し込み量が少ないと、金属ピン120の周面が低融点ガラス170に包まれてしまうため、工程(d)で形成する電極130との導通性が確保できない。また、(c−2)に示すように、設計通りに金属ピン120を押し込めても、ベース部材110がガラスの軟化点以上の温度にさらされているため、ガラスが金属ピン120の先端をカバーすることが懸念される。さらには、(c−3)に示すように、金属ピン120が約1000℃の温度にさらされ、金属ピン120の周囲に酸化膜180が成長し、電極130と電子部品140とが、導通しなくなるという課題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、生産性が良く、しかも電子部品と外部電極との導通性を確保した電子部品パッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
請求項1に記載の発明は、電子部品パッケージの製造方法であって、ガラス製のベース材を上下に貫通する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に前記ベース材よりも融点の低い低融点ガラスを塗布して、前記貫通孔に挿入した際に当該貫通孔より一部が突出する突出部を備えた導電部材を挿入し、当該導電部材を前記低融点ガラスで周囲を覆うように溶着する工程と、前記ベース材を上下方向から研磨して前記突出部を除去する工程と、前記導電部材の前記突出部が除去された側の端部に電子部品を搭載する工程と、前記導電部材の前記突出部が除去された側の端部と反対側の端部近傍の周面を覆う低融点ガラスをエッチング加工し、当該エッチング加工した部分に絶縁樹脂を形成する工程と、前記導電部材の前記反対側の端部の端面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を介して前記導電部材と外部電極とを電気的に接続する工程と、を含むことを特徴とする。
このようにすることで、溶着時に生成した酸化膜を取り除いた後に、導電部材表面に酸化膜の成長を防ぐことができるため、電子部品と外部電極との導通を確保できる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子部品パッケージの製造方法であって、前記電子部品を搭載する工程は、前記導電部材の前記突出部が除去された側の端部に内部配線を形成する工程と、前記内部配線の上面に配置された接続部材で前記電子部品を下面より支持する工程と、前記ベース材と対向する面に凹部を有したカバー材を当該ベース材に接合して前記電子部品を前記凹部内に封止する工程と、を含んでなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子部品パッケージの製造方法であって、前記金属膜を形成する工程において、前記金属膜を形成した後に前記絶縁樹脂を除去することを特徴とする。
このようにすることで、絶縁樹脂による導通不良を回避し、確実に導電部材と外部電極の電気的接続箇所を確保できる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電子部品パッケージの製造方法であって、前記絶縁樹脂は溶剤によって溶解することで除去されることを特徴とする。
このようにすることで、フォトリソグラフィの工程を設けることなく、また、マスク等を用いずに導電部材端面のみに金属膜を形成できる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子部品パッケージの製造方法であって、1つの前記ベース材上に複数の電子部品を一括形成した後、前記電子部品単位で個片化する工程をさらに備えることを特徴とする。
このようにすることで、一括して製造することにより、低コストな製造方法を提供できる。
【0015】
また、導電部材表面の金属膜は、最表面の物質が金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムの貴金属である電子部品パッケージを提供する。このようにすることで、イオン化傾向の小さい金属膜で覆うことで、より安定して外部電極が形成でき、電子部品と外部電極との導通を確保できる。
【0016】
また、導電部材は、鉄−ニッケル合金、コバール合金、鉄−ニッケル−クロム合金のいずれかであり、金属膜はニッケル置換型の無電解めっきを用いて製造することを提供する。このとき、低融点ガラスの成分がめっきの触媒毒となるため、絶縁樹脂で覆うことにより、触媒毒作用を消失でき、直接密着性良く貴金属膜を形成することができるため、電子部品パッケージを構成する、低融点ガラス等の他の部材へのダメージを最小に抑えることができ、少ない工程数で金属膜を形成できるため、また、通常のスパッタ法による膜形成では必要なマスクが不要になり、低コストで電子部品と外部電極との導通を確保できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ベース材(貫通孔の低融点ガラス)と導電部材の溶着時に、導電部材に生成されてしまう酸化膜を研磨によって除去できるとともに、導電部材の端面に金属膜が設けられるので、導電部材と外部電極との電気的接続性が確保される。また、ベース材は加工性に優れたガラス材であるので生産性が良く低コストで製造できる。さらに、貫通孔に塗布された低融点ガラス中の成分が導電部材形成のためのめっき処理(ニッケルめっき処理)を阻害するが、絶縁樹脂で当該低融点ガラスを覆うことで、めっき処理が可能となるので、信頼性の高い製品を低コストで提供できる。
【0018】
したがって。本発明は、生産性が良く、しかも電子部品と外部電極との導通性を確保した電子部品パッケージの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態(実施形態1)を図に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電子部品パッケージの断面図である。電子部品パッケージ1は、ガラス製のベース材11とカバー70で上下を囲まれた内部空間に電子部品60が搭載された構成からなる。
【0021】
ここで、電子部品60は、当該電子部品60の下面を支持する接続部50と、ベース材11の上面に形成された内部配線40、ベース材11の上下に亘って導電確保された導電部材31と、ベース材11の下面に配設された金属膜80を介して、基板に実装される端子である外部電極90と電気的に接続されている。当該電子部品60は、例えば、水晶振動子や圧電素子からなる。
【0022】
接続部50は、例えば、銀ペースト等の導電接着剤を焼成したものからなるが、電子部品60の構成によっては、導電接着剤を用いなくても良い。当該接続部50は、電子部品60の下面を支持する。
内部配線40は、ベース材11の上面に形成された配線部材であり、接続部50と導電部材31とを電気的に接続する。
【0023】
導電部材31は、ベース材11の上下に亘って形成された導電性の部材であり、上下端部に配置された内部配線40及び外部電極90(金属膜80)を電気的に接続する。当該導電部材31は、例えば、鉄−ニッケル合金、コバール合金、鉄−ニッケル−クロム合金等を用いる。導電部材31は、これら以外の金属でもよく、ベース材11と熱膨張係数が近いものを用いることで、熱履歴による破壊を防ぐことができる。なお、導電部材31の周面を覆う低融点ガラス21は、後述する導電部材31の溶着時に形成される部材である。具体的には、低融点ガラス21は、ガラスフリットを焼成(加熱溶融後に冷却)することで得られ、Si(又はNi、Fe、Bi、Zn、Al、B)等の酸化物の粉末で構成されたものである。そして、低融点ガラス21は、ベース材11を構成するガラスの融点(ガラスの組成比によって変化するが、600〜1500℃程度)よりも低い融点(400〜500℃程度)で溶融する。これは、低融点ガラス21が、SiO2の粉末に、Bi2O3やNa2Oなどのアルカリ酸化物の粉末が加わることで融点が下がっているためである。
【0024】
金属膜80は、ベース材11の下面に配設された金属材の膜である。当該金属膜80は、最表面に金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等の貴金属を使用する。ここで、貴金属は、イオン化傾向が小さく、耐腐食性があるため、外部電極90が形成されるまでの間の時間的劣化や、基板実装後の加熱時による劣化を抑えることができるので、製品(電子部品パッケージ1)としての信頼性を高める。ここで、金属膜80は導電部材31との金属拡散を防ぐために、拡散防止層として下地層と貴金属膜との間にニッケル等の金属膜を形成しても良い。当該金属膜の形成方法には、めっき法を用いる。また、導電部材31がニッケル成分を含む場合、金属膜80を形成する際に、ニッケル置換型の無電解めっきを直接用いることができるので、通常めっきによる処理を省くことが可能になる。その結果、めっきは導電部材31上だけに形成すれば済むため、電子部品パッケージ1の低コスト化が可能になる。
【0025】
外部電極90は、外部と電気接続するための端子であり、上面が金属膜80に固着される。外部電極90の材質は、例えば、スパッタ膜でも良いが、ガラス製であるベース材11が脆いため、基板実装時の応力を緩和する目的で、銀ペースト等の導電性接着剤を用いる方が一層好ましい。
【0026】
(電子部品パッケージの製造方法)
図1に示した電子部品パッケージ1は個片化された状態の断面図であるが、製造方法としては個別パッケージでなく、ウェハーレベルで作製され、最後にダイシング等で切断されて、得られるものである。次に、電子部品パッケージ1の製造方法について
図2〜
図4を用いて説明する。
【0027】
図2は本発明に係る電子部品パッケージの製造工程を示す図である。
工程(a)は、ベース材10を上下に亘って貫通する貫通孔を形成する工程である。貫通孔は、例えば、サンドブラスト、レーザー加工、ドリル加工、熱プレス加工、等でテーパ状に形成する。
【0028】
工程(b)は、貫通孔内部に塗布した低融点ガラス20によって、導電部材30を溶着する工程である。ここで、導電部材30は貫通孔からずれ落ちないように一部が貫通孔の上端より大きなT字型のものを用いる。ガラス溶着させるためには、少なくとも低融点ガラスが溶ける温度である400〜500℃にする必要があり、このような温度で加熱すると導電部材30のT字型の頭の部分には酸化膜が生成され、導通が取れなくなる。
【0029】
工程(c)は、導電部材30と、低融点ガラス20と、ベース材10と、を上下より研磨して、導電部材30のT字の頭部分を除去するとともに、下端を覆う低融点ガラス20から導電部材30を露出させる工程である。ここで、導電部材30、低融点ガラス20ごと、ベース材10が薄く研磨される。このようにすることで導電部材30の下部を覆う低融点ガラス20がなくなり、ベース材11(研磨後のベース材10)の上下で導電部材31(研磨後の導電部材30)を介して導通が取れる状態になる。
【0030】
工程(d)は、導電部材31の上面に内部配線40を形成する工程である。内部配線40はスパッタ法で形成し、電子部品60と導電部材31を電気的に結ぶ回路となる。この時点で、電子部品60が搭載される側の導電部材31は内部配線40で覆われるため、酸化膜の成長等の懸念がなくなり、導通が確保される。
【0031】
工程(e)は、内部配線40の上部に配設する接続部50を介してベース材11の上部に電子部品60を搭載する工程である。
【0032】
工程(f)は、ベース材11との対向面の一部を凹状に加工したカバー70をベース材11と接合する工程である。カバー70の材質は、接合方法や、電子部品60に要求される仕様(例えば、真空度等)、コスト等を考慮して適宜に選択すればよい。例えば、電子部品60が水晶振動子であり、ベース材11とカバー70の接合後に周波数調整をする場合には、カバー70にはガラス製の部材を選択する。
【0033】
工程(g)は、低融点ガラス21の一部をエッチングし、当該エッチング部分に絶縁樹脂25を形成する工程である。絶縁樹脂25は後述の工程でめっき処理を行う場合に、めっき液へ悪影響を及ぼす低融点ガラス21を覆うために形成する。最小量の絶縁樹脂25で覆うために、低融点ガラス21を酸洗浄等によりエッチングし、そのエッチング部分に絶縁樹脂25を充填する。ここで、低融点ガラスをエッチングせずに、スクリーン印刷等により形成する場合は、
図3に示すように導電部材31が貫通孔の中心軸からずれていると、導電部材31が絶縁樹脂25で覆われて、導通確保ができなくなる。一方、このエッチングを用いる方法であれば、導電部材31が上記中心軸からずれていても導通確保ができる。絶縁樹脂25の材質には、エポキシ樹脂や有機溶剤に可能なレジスト等を用いることができる。
【0034】
工程(h)は導電部材31の表面(下面)にめっき処理によって金属膜80を形成する工程である。これまでの工程で説明した接合方法によっては、再度酸化膜が成長する可能性がある。この酸化膜はめっき処理時の酸洗浄等の前処理で除去できる。酸洗浄等の前処理は低融点ガラスもエッチングする可能性があるが、絶縁樹脂25の形成により保護できる。また、無電解めっきを行うことで導電部材31の端面だけに金属膜80を形成できる。このとき、低融点ガラス21がめっき液に触れると、低融点ガラス21の成分がめっき液に悪影響を及ぼすが、上述のエッチング部分を絶縁樹脂25で覆うことにより、めっき液への影響を遮断させることができる。特にニッケルめっき時には低融点ガラス21の成分であるビスマスが触媒毒になることが知られており、低融点ガラス21を露出させない対策が必要にある。なお、
図4に示すようなめっき処理によって金属膜80を形成した後、絶縁樹脂25を有機溶剤で除去することで、
図2(h)のように絶縁樹脂25の取り除かれた状態が形成される。
【0035】
工程(i)は、金属膜80の下面に外部電極90を形成する工程である。外部電極90はスパッタ法、或いは、導電性接着材を印刷し焼成することで形成する。更に、導電樹脂上にスパッタ膜やめっき膜を形成しても良い。
【0036】
その後、図示しない個片化する工程を行うことで、
図1に示す電子部品パッケージを製造できる。具体的には、カバー材70の材質によって個片化する方法は変わるが、例えば、ダイシングや、レーザーカットによって個片化を行う。
【0037】
以上により、本実施形態に係る電子部品パッケージ1の製造方法によると、ベース材10(貫通孔の低融点ガラス20)と導電部材30の溶着時に、導電部材30に生成されてしまう酸化膜を研磨によって除去できるとともに、導電部材30の端面に金属膜80が設けられるので、導電部材30と外部電極90との電気的接続性が確保される。また、ベース材10は加工性に優れたガラス材であるので生産性が良く低コストで製造できる。さらに、貫通孔に塗布された低融点ガラス20中の成分が導電部材30形成のためのめっき処理(ニッケルめっき処理)を阻害するが、絶縁樹脂25で当該低融点ガラス20を覆うことで、めっき処理が可能となるので、信頼性の高い電子部品パッケージ1を低コストで提供できる。
【0038】
(実施形態2)
次いで、本発明の実施形態2を図に基づいて説明する。
図5は本実施形態2に係る電子部品パッケージ1aの断面図である。ここで、
図5に示す電子部品パッケージ1aが
図1に示す電子部品パッケージ1と相違する点は、
図1に示した低融点ガラス21のエッチング部分に絶縁樹脂25を充填する構成にかえて、低融点ガラス21の底面に絶縁樹脂25aを形成した構成を用いる点である。
【0039】
電子部品パッケージ1aは、ガラス製のベース材11とカバー70で上下を囲まれた内部空間に電子部品60が搭載された構成からなる。
【0040】
ここで、電子部品60は、当該電子部品60の下面を支持する接続部50と、ベース材11の上面に形成された内部配線40と、ベース材11の上下に亘って導電確保された導電部材31と、ベース材11の下面に配設された金属膜80を介して、基板に実装される端子である外部電極90と電気的に接続されている。当該電子部品60は、例えば、水晶振動子や圧電素子からなる。
【0041】
接続部50は、例えば、銀ペースト等の導電接着剤を焼成したものからなるが、電子部品60の構成によっては、導電接着剤を用いなくても良い。当該接続部50は、電子部品60の下面を支持する。
【0042】
導電部材31は、鉄−ニッケル合金、コバール合金、鉄−ニッケル−クロム合金等を用いる。導電部材31は、これら以外の金属でもよく、ベース材11と熱膨張係数が近いものを用いることで、熱履歴による破壊を防ぐことができる。なお、導電部材31の周面を覆う低融点ガラス21は、後述する導電部材31の溶着時に形成される部材である。具体的には、低融点ガラス21は、ガラスフリットを焼成(加熱溶融後に冷却)することで得られ、Si(又はNi、Fe、Bi、Zn、Al、B)等の酸化物の粉末で構成されたものである。そして、低融点ガラス21は、ベース材11を構成するガラスの融点(ガラスの組成比によって変化するが、600〜1500℃程度)よりも低い融点(400〜500℃程度)で溶融する。これは、低融点ガラス21が、SiO2の粉末に、Bi2O3やNa2Oなどのアルカリ酸化物の粉末が加わることで融点が下がっているためである。
【0043】
金属膜80は、ベース材11の下面に配設された金属材の膜である。当該金属膜80は、最表面に金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等の貴金属を使用する。ここで、貴金属は、イオン化傾向が小さく、耐腐食性があるため、外部電極90が形成されるまでの間の時間的劣化や、基板実装後の加熱時による劣化を抑えることができるので、製品(電子部品パッケージ1a)としての信頼性を高める。ここで、金属膜80は導電部材31との金属拡散を防ぐために、拡散防止層として下地層と貴金属膜との間にニッケル等の金属膜を形成しても良い。当該金属膜の形成方法には、めっき法を用いる。また、導電部材31がニッケル成分を含む場合、金属膜80を形成する際に、ニッケル置換型の無電解めっきを直接用いることができるので、通常めっきによる処理を省くことが可能になる。その結果、めっきは導電部材31上だけに形成すれば済むため、電子部品パッケージ1aの低コスト化が可能になる。このとき、低融点ガラス21がめっき液に触れると、低融点ガラス21の成分がめっき液に悪影響するため、絶縁樹脂25aによって覆うことにより、めっき液を正常に機能させることができる。特にニッケルめっき時には低融点ガラス21の成分であるビスマスが触媒毒になることが知られており、低融点ガラス21を露出させない対策が必要にある。
【0044】
外部電極90は、外部と電気接続するための端子であり、上面が金属膜80に固着される。外部電極90の材質は、例えば、スパッタ膜でも良いが、ガラス製であるベース材11が脆いため、基板実装時の応力を緩和する目的で、銀ペースト等の導電性接着剤を用いる方が一層好ましい。絶縁樹脂25aにはエポキシ樹脂を使用することで、導電性接着剤と絶縁樹脂25aとは、エポキシ樹脂を含んでいるため、強固に密着することができる。
【0045】
(電子部品パッケージの製造方法)
図5に示した電子部品パッケージ1aは個片化された状態の断面図であるが、製造方法としては個別パッケージでなく、ウェハーレベルで作製され、最後にダイシング等で切断されて、得られるものである。次に、電子部品パッケージ1aの製造方法について
図6を用いて説明する。
【0046】
図6は本発明に係る電子部品パッケージの製造工程を示す図である。
工程(a)は、ベース材10を上下に亘って貫通する貫通孔を形成する工程である。貫通孔は、例えば、サンドブラスト、レーザー加工、ドリル加工、熱プレス加工、等でテーパ状に形成する。
【0047】
工程(b)は、貫通孔内部に塗布した低融点ガラス20によって、導電部材30を溶着する工程である。ここで、導電部材30は貫通孔からずれ落ちないように一部が貫通孔の上端より大きなT字型のものを用いる。ガラス溶着させるためには、少なくとも低融点ガラスが溶ける温度である400〜500℃にする必要があり、このような温度で加熱すると導電部材30のT字型の頭の部分には酸化膜が生成され、導通が取れなくなる。
【0048】
工程(c)は、導電部材30と、低融点ガラス20と、ベース材10と、を上下より研磨して、導電部材30のT字の頭部分を除去するとともに、下端を覆う低融点ガラス20から導電部材30を露出させる工程である。ここで、導電部材30、低融点ガラス20ごと、ベース材10が薄く研磨される。このようにすることで導電部材30の下部を覆う低融点ガラス20がなくなり、ベース材11(研磨後のベース材10)の上下で導電部材31(研磨後の導電部材30)を介して導通が取れる状態になる。
【0049】
工程(d)は、導電部材31の上面に内部配線40を形成する工程である。内部配線40はスパッタ法で形成し、電子部品60と導電部材31を電気的に結ぶ回路となる。この時点で、電子部品60が搭載される側の導電部材31は内部配線40で覆われるため、酸化膜の成長等の懸念がなくなり、導通が確保される。
【0050】
工程(e)は、内部配線40の上部に配設する接続部50を介してベース材11の上部に電子部品60を搭載する工程である。
【0051】
工程(f)は、ベース材11との対向面の一部を凹状に加工したカバー70をベース材11と接合する工程である。カバー70の材質は、接合方法や、電子部品60に要求される仕様(例えば、真空度等)、コスト等を考慮して適宜に選択すればよい。例えば、電子部品60が水晶振動子であり、ベース材11とカバー70の接合後に周波数調整をする場合には、カバー70にはガラス製の部材を選択する。
【0052】
工程(g)は、貫通孔(低融点ガラス21)の底面に絶縁樹脂25aを形成する工程である。絶縁樹脂25aは後述の工程でめっき処理を行う場合に、めっき液へ悪影響を及ぼす低融点ガラス21を覆うために形成する。
図6(g)では、絶縁樹脂25aはベース材11にも一部形成されているが、必ずしも形成されていなくても良い。また、導電部材31の底面には形成されていないが、導電部材31の底面全体を覆わなければ、一部被っていてもよい。ここで、絶縁樹脂25aの材質には、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0053】
工程(h)は、導電部材31の底面にめっき処理によって金属膜80を形成する工程である。これまでの工程で説明した接合方法によっては、再度酸化膜が成長する可能性がある。この酸化膜はめっき処理時の酸洗浄等の前処理で除去できる。酸洗浄等の前処理は低融点ガラスもエッチングする可能性があるが、絶縁樹脂25aの形成により保護できる。また、無電解めっきを行うことで導電部材31の端面だけに金属膜80を形成できる。
【0054】
工程(i)は、金属膜80の下面に外部電極90を形成する工程である。外部電極90はスパッタ法、或いは、導電性接着材を印刷し焼成することで形成する。更に、導電樹脂上にスパッタ膜やめっき膜を形成しても良い。
【0055】
その後、図示しない個片化する工程を行うことで、
図5に示す電子部品パッケージ1aを製造できる。具体的には、カバー材70の材質によって.個片化する方法は変わるが、例えば、ダイシングや、レーザーカットによって個片化を行う。
【0056】
以上により、本実施形態に係る電子部品パッケージ1aの製造方法によると、ベース材10(貫通孔の低融点ガラス20)と導電部材30の溶着時に、導電部材30に生成されてしまう酸化膜を研磨によって除去できるとともに、導電部材30の端面に金属膜80が設けられるので、導電部材30と外部電極90との電気的接続性が確保される。また、ベース材10は加工性に優れたガラス材であるので生産性が良く低コストで製造できる。さらに、貫通孔に塗布された低融点ガラス20中の成分が導電部材30形成のためのめっき処理(ニッケルめっき処理)を阻害するが、絶縁樹脂25aで当該低融点ガラス20を覆うことで、めっき処理が可能となるので、信頼性の高い電子部品パッケージ1aを低コストで提供できる。
【0057】
なお、以上の実施形態における記述は、本発明に係る好適な電子部品パッケージ及びその製造方法の一例であり、これに限定されるものではない。また、以上の実施形態における電子部品パッケージの各部の細部構成に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。具体的には、例えば、ベース材10に形成される貫通孔の形状は、テーパ状に限定されるものではなく、円筒状等であってもよい。また、導電部材30は、一部が貫通孔の上端よりも大きければよいので、T字の頭部分を備えた形状に限られるものではなく、例えば、丸ねじ状等であってももちろん良い。さらに、電子部品パッケージ1,電子部品パッケージ1aに搭載する電子部品10として、水晶振動子や圧電素子を例示したが、他の電子部品であっても当然良い。