特許第5798960号(P5798960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5798960
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】鋼製足場板
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/34 20060101AFI20151001BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   E04G7/34 305B
   E04G5/08 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-65915(P2012-65915)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194484(P2013-194484A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593027473
【氏名又は名称】リードエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 健三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛二
(72)【発明者】
【氏名】中山 健一
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−020052(JP,U)
【文献】 実開昭59−171157(JP,U)
【文献】 特開2001−173225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/34
E04G 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製の足場パイプで組み付けられた仮設足場に橋架される鋼製足場板において、
足場板本体と、
前記足場板本体の下面に並列に配置される上面と、互いに間隙を有して配置される辺と、をそれぞれ備える第1、第2の底板と、前記第1、第2の底板と、前記足場板本体の下面とをそれぞれ接続する第1、第2の側板と、を備える枠体治具と、
前記足場パイプを保持する保持部と、前記保持部の両端にそれぞれ配置され、前記枠体治具の間隔を介して前記枠体治具内に挿入されて前記第1、第2の底板の上面および辺の少なくとも一方と係合する第1、第2の係合部と、を備える固定治具と、
を具備することを特徴とする鋼製足場板。
【請求項2】
前記第1、第2の底板の上面と辺の少なくとも一方が前記間隙に沿って凹凸を有する
ことを特徴とする請求項1記載の鋼製足場板。
【請求項3】
前記第1、第2の係合部の少なくとも一方は、板形状の係合部本体と、前記係合部本体を板厚方向に貫通する回転可能な突出軸と、前記突出軸の一端に設けられる取手部と、前記突出軸の他端に設けられ、前記第1、第2の底板の上面に係合する板形状の板部材と、を有する係合治具を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載の鋼製足場板。
【請求項4】
前記係合治具の板部材は、板ばねからなる
ことを特徴とする請求項記載の鋼製足場板。
【請求項5】
前記係合治具の板部材は、
前記第1、第2の底板の上面と係合する下面を有する第1の部材と、
前記第1の部材の両端にそれぞれ接続され、前記第1、第2の側板の内面とそれぞれ係合する外面を有する第2、第3の部材と、
を有することを特徴とする請求項3又は4記載の鋼製足場板。
【請求項6】
前記第1の部材の下面と前記第2の部材の外面とがなす直線に対して、前記第2の部材の外面の中心、前記突出軸の中心軸、前記第3の部材の外面の中心の順に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の鋼製足場板。
【請求項7】
前記第1、第2の係合部のいずれか他方は、板形状の係合部本体と、前記第1、第2の底板の上面に係合するように前記係合部本体から張り出した張出部を備える
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の鋼製足場板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、例えば原子力発電所などの仮設足場に使用される鋼製足場板に関する。
【背景技術】
【0002】
このような発電所では、定検改良工事において、配管系の点検作業を行うために、仮設足場を構築する作業が数多く発生している。そして、この点検作業が終了すると、仮設足場を解体するが、この際に鋼製の足場板を円筒形のパイプに固定している番線を切断撤去し廃棄していた。
【0003】
しかし、近年では、定検改良工事毎に発生する放射性廃棄物に対して、発注元の廃棄低減要求が高まっており、従来切断撤去し放射性廃棄物として廃棄していた固定治具である番線についても廃棄低減要求がされている。そこで、再利用可能な足場板固定具で固定することで廃棄物の低減を検討していた(例えば、特許文献1、特許文献2)。しかしながら、この固定具による固定では引張強度が十分でない等の理由により、使用されず番線が使用されていた。この番線はまっすぐに伸ばしたのち放射能汚染検査を行い、汚染のあるものであれば、ドラム缶に詰めて屋内保管し、汚染の無いものは、クリアランスレベル以下の廃棄物として構内保管していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−102821号公報
【特許文献2】特開2011−58265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、番線は、放射能汚染検査が可能となるように、全て真っ直ぐに伸ばす作業が必要であり、その工数は増加の一途を辿っており、この作業に手間と時間がかかっていた。また、このような汚染の無い番線のクリアランスレベル以下の廃棄物は、再利用することも廃棄することも困難な状況となっており、更にドラム缶詰された放射性廃棄物は保管量が定期点検毎に増加し続け、屋内保管が困難な状況にあった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、都度廃棄する番線の代わりに再利用が可能な治具を用いて構成することで、点検作業時の作業工数と作業時間を低減できる鋼製足場板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明の鋼製足場板は、鋼製の足場パイプで組み付けられた仮設足場に橋架される鋼製足場板において、足場板本体と、前記足場板本体の下面に並列に配置される上面と、互いに間隙を有して配置される辺と、をそれぞれ備える第1、第2の底板と、前記第1、第2の底板と、前記足場板本体の下面とをそれぞれ接続する第1、第2の側板と、を備える枠体治具と、前記足場パイプを保持する保持部と、前記保持部の両端にそれぞれ配置され、前記枠体治具の間隔を介して前記枠体治具内に挿入されて前記第1、第2の底板の上面および辺の少なくとも一方と係合する第1、第2の係合部と、を備える固定治具と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定治具の再利用促進、放射性廃棄物の削除及び点検作業時の作業工数と作業時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る仮設足場の構成を示す斜視図である。
図2図1に示した鋼製足場板を示す正面図である。
図3】同じく鋼製足場板の側面図である。
図4】一実施形態の鋼製足場板の一部を示す斜視図である。
図5】鋼製足場板の枠体治具の一部を示す斜視図である。
図6】鋼製足場板の固定治具を示す正面図である。
図7】同じく鋼製足場板の固定治具を示す側面図である。
図8】固定治具の一部を示す斜視図である。
図9】同じく固定治具の一部の上面図である。
図10】第2の係合部の係合治具を示す斜視図である。
図11】同じく第2の係合部の係合治具を示す正面図である。
図12】同じく第2の係合部の係合治具を示す上面図である。
図13】他の実施形態の鋼製足場板の一部を示す斜視図である。
図14図13に示した鋼製足場板の一部の変形例を示す斜視図である。
図15】他の実施形態の枠体治具の一部を示す斜視図である。
図16】他の実施形態の保持部の一部を示す上面図である。
図17図15に示した固定治具と図16に示した枠体治具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る仮設足場10の構成を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、この仮設足場10は、複数の縦に配置された単管足場パイプ11、横に配置された単管足場パイプ(以下、「横足場パイプ」という)12および斜めに配置された単管足場パイプ13によってそれぞれ組み合わされるとともに、所定高さに配置された複数の横足場パイプ12上に橋架された鋼製足場板20を備える。
【0012】
この鋼製足場板20は、適当な高さ、この実施形態では、例えば図1の紙面の下から3段目の横足場パイプ12上に複数箇所配置されている。この鋼製足場板20は、資材の運搬、載置や作業者の往来、高所への移動などを可能としている。なお、この鋼製足場板20は、橋架された複数の横足場パイプ12の配列方向を、鋼製足場板20の長手方向(紙面の厚さ方向)とし、横足場パイプ12の長手方向を、鋼製足場板20の短手方向(紙面の左右方向)とする。
【0013】
図2は、図1に示した鋼製足場板20を示す正面図である。図3は、同じく鋼製足場板20の側面図である。
図2図3に示すように、この鋼製足場板20は、足場板本体21と、枠体治具24と、固定治具27と、を備える。なお、図2では足場板本体21と枠体治具24の一部を破断して示し、図3では足場板本体21の一部を破断して示している。
【0014】
足場板本体21は、1枚の鋼製の板材からなり、下面には枠体治具24が取り付けられている。この枠体治具24には、固定治具27が吊り下がった状態で懸架されている。この固定治具27は、横足場パイプ12を保持する保持部28と、保持部28の両端にそれぞれ配置され、枠体治具24と係合する第1および第2の係合部29,30と、を備える。なお、枠体治具24と固定治具27の詳細は、後述説明する。
【0015】
図4は、一実施形態の鋼製足場板20の一部を示す斜視図である。この図4では、鋼製足場板20の長手方向の一端側の一部を破断して示しており、紙面の左手前側が破断面を示している。
【0016】
図4に示すように、鋼製の板材からなる足場板本体21は、長手方向に沿った端面22a,22bが下方向に断面コ字形状にそれぞれ折り曲げられている。この足場板本体21の端面22a,22bは、横足場パイプ12へ載置される脚部の機能をそれぞれ有している。
【0017】
また、この足場板本体21下面の短手方向の中央部には、鋼製足場板20の強度を高めるために、補強部材23が足場板本体21の長手方向に沿って配設されている。この補強部材23は、種々の形状があり、板材の折り曲げによるL形の形成をしていたり、中空の直方体のケースもあり、折り曲げや溶接により足場板本体21と一体をなしている。
【0018】
この足場板本体21下面の補強部材23と端面22a,22bとの間には、枠体治具24,25がそれぞれ配設されている。この枠体治具24,25は、足場板本体21の長手方向を長手方向として、互いに同一形状に構成されている。なお、この枠体治具24,25は、上述したごとく同一形状なので、代表して枠体治具24について図5を用いて説明する。
【0019】
図5は、鋼製足場板20の枠体治具24の一部を示す斜視図である。この図5では、枠体治具24の長手方向の一端側の一部を破断して示しており、紙面の右手後側が破断面を示している。
【0020】
図5に示すように、枠体治具24は、足場板本体21(図4参照)の長手方向を長手方向とし、断面が略コ字形状に形成され、上板24aと、第1および第2の底板24b,24cと、第1および第2の側板24d,24eと、を備える。
【0021】
上板24aは、足場板本体21(図4参照)の下面に、例えば溶接などで取り付けられる上面と、この上面の背側の下面とを有する。
第1および第2の底板24b,24cは、上面24b1,24c1と、辺24b2,24c2とをそれぞれ有する。
【0022】
この第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1は、上板24aの下面側に並列に配置され、かつ上板24aの下面と対向して配置される。
この辺24b2,24c2は、第1および第2の底板24b,24cの長手方向に沿って設けられている。この辺24b2,24c2は、足場板本体21の下面側に互いに隙間を有して配置されている。
【0023】
第1および第2の側板24d,24eは、上板24aの下面側に並列に配置され、上板24aと第1および第2の底板24b,24cをそれぞれ接続している。この第1および第2の側板24d,24eは、上板24aの幅(短手方向の長さ)と同じ内幅で互いに対向して配置されている。
【0024】
この上面24b1,24c1には、隙間に沿って凹凸を有している。さらに、この辺24b2,24c2には、間隙に沿って凹凸を有している。この第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と、第1および第2の側板24d,24eの内面とのなす角が、鋭角になるように形成されている。
【0025】
この辺24b2,24c2に形成される凹凸は、例えば先端(上面24b1,24c1と辺24b2,24c2の表面側)が尖った三角形状からなり、この三角形が隙間に沿って連続的に形成されている。
【0026】
また、この辺24b2,24c2間に設けられた隙間は、長さ(長手方向の長さ)は枠体治具24の長手方向の長さと同じで、幅(短手方向の長さ)は側板24d,24e間の内幅より小さく構成されている。
【0027】
このように、この実施形態では、辺24b2,24c2に凹凸を形成するので、固定治具27の係合時にこの凹凸の先端が、後述する第1の係合部29の張出部29bの下面に食い込んで摩擦力を高めることができる。
【0028】
なお、この実施形態では、枠体治具24,25を2つ設けたが、いずれか一方でもよい。また、この第1および第2の底板24b,24cに設けられた凹凸は、第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と辺24b2,24c2の少なくとも一方に設けてもよい。この場合は、この凹凸が間隙に沿っていればよい。
【0029】
また、この実施形態の枠体治具24は、断面コ字形状に構成したが、これに限らず、例えば第1および第2の底板24b,24cと、この第1および第2の底板24b,24cと足場板本体21の下面とをそれぞれ接続する第1および第2の側板24d,24eとから形成されていてもよい。この場合には、第1および第2の側板24d,24eが、足場板本体21下面に、例えば溶接などで取り付けられる。
【0030】
図6は、鋼製足場板20の固定治具27を示す正面図である。図7は、同じく鋼製足場板20の固定治具27を示す側面図である。図8は、固定治具27の一部を示す斜視図である。図9は、同じく固定治具27の一部の上面図である。
【0031】
図6図7に示すように、固定治具27は、横足場パイプ12(図2参照)を保持する保持部28と、保持部28の両端にそれぞれ配置される第1および第2の係合部29,30と、を備える。
【0032】
図8図9に示すように、保持部28は、横足場パイプ12の口径にあわせた径の円弧を有するU字形状のバンド部からなる。この保持部28は、例えばバンド幅cで構成されている。この保持部28の両端には、第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と係合する第1および第2の係合部29,30と、を備える。
【0033】
この第1の係合部29は、係合部本体29aを有し、この第2の係合部30は、係合部本体31aと、係合治具32とを有する。
第1の係合部29および第2の係合部30の係合部本体29a,31aは、保持部28のU字の両端が外側にL字形状にそれぞれ折り曲げられた端部である。
【0034】
図9に示すように、この第1の係合部29および第2の係合部30の係合部本体29a,31aは、保持部28のバンド幅cより大きい幅dからなり、かつ幅方向の両側に張り出した張出部29b,29b,31b,31bをそれぞれ有している。また、第2の係合部30の係合部本体31aには、板厚方向に貫通した貫通孔31cが設けられている。この貫通孔31cには、後述する係合治具32が回転可能に係合している。
【0035】
この保持部28のバンド幅cは、第1および第2の底板24b,24cの辺24b2,24c2間の隙間の幅より小さく構成されている。また、この第1の係合部29および第2の係合部30の係合部本体29a,31aの幅dは、この第1および第2の底板24b,24cの辺24b2,24c2間の隙間(図5参照)の幅より大きく、かつ第1および第2の側板24d,24e間の内幅より小さく構成されている。また、係合部本体31aに設けられた貫通孔31cの直径は、第1および第2の底板24b,24cの辺24b2,24c2間の隙間の幅より小さく構成されている。
【0036】
この実施形態では、固定治具27を枠体治具24に取り付ける場合には、図2に示したように、第1の係合部29が第1および第2の底板24b,24cの辺24b2,24c2間の隙間を介して第1および第2の底板24b,24cの上面に係合する。また、第2の係合部30の係合部本体31aは、第1および第2の底板24b,24cの下面に係合する。この状態の時に、横足場パイプ12は、吊り下げられた保持部28のU字部分内に保持されて固定される。
【0037】
すなわち、例えばこの第1の係合部29における係合部本体29a一方の張出部29bが第1の底板24bの上面24b1(図5参照)に、この係合部本体29aの他方の張出部29bが第2の底板24cの上面24c1(図5参照)にそれぞれ係合することとなる。
【0038】
また、例えばこの第2の係合部30における係合部本体31aの一方の張出部31bが第1の底板24bの下面(図5参照)に、他方の張出部31bが第2の底板24cの下面(図5参照)にそれぞれ係合することとなる。
【0039】
このような構成とするために、保持部28のU字部分の両端の長さは、係合する第1および第2の底板24b,24cの下面と上面24c1の高さ(この実施形態では係合する第1および第2の底板24b,24cが、前述したごとく斜めに傾斜されているので、その傾斜の高さ)だけ異なっている。
すなわち、この実施形態では、保持部28のU字部分の両端部のうち、第2の係合部30側の端部が第1の係合部29側の端部より、前述の傾斜の高さだけ短くなるように、この第1の係合部29と第2の係合部は段違いに形成されている。
【0040】
さらに、横足場パイプ12を保持部28のU字部分内に沿って挿入されて固定するため、保持部28のU字部分の両端部のうち、第2の係合部30側の端部の長さが、横足場パイプ12の外径とほぼ同じ長さに形成されている(図2参照)。
したがって、この実施形態では、固定治具27を枠体治具24に取り付ける場合には、横足場パイプ12は、保持部28のU字部分内に挿入されて、この保持部28と、この保持部28が係合する第1および第2の底板24b,24cの下面とで固定可能に挟持されることとなる。
【0041】
図10は、第2の係合部30の係合治具32を示す斜視図である。図11は、同じく第2の係合部30の係合治具32を示す正面図である。図12は、同じく第2の係合部30の係合治具32を示す上面図である。固定治具27における保持部28の第2の係合部30は、係合治具32を備える(図6図7参照)。
【0042】
図10図11に示すように、係合治具32は、突出軸32aと、取手部32bと、板部材32cと、を備える。
突出軸32aは、第2の係合部30の係合部本体31aに設けられた貫通孔31c(図8図9参照)を、板厚方向に貫通して回転可能に配置されている。この突出軸32aは、貫通孔31cの直径より小さい幅の平板形状から構成されている。この突出軸32aは、突出軸32aの中心軸xを中心に回転する。また、この突出軸32aは、上端に板部材32cを取り付ける突起32a1を有する。
【0043】
取手部32bは、突出軸32aの下端に、この突出軸32aと一体に形成されている。この取手部32bは、突出軸32aの幅より大きい幅で、かつ貫通孔31cの直径より大きい幅の平板形状に構成されている。この構成により、この取手部32bは、第2の係合部30の係合部本体31aの下面に係合可能となる。このように、この取手部32bは、第2の係合部30の係合部本体31aと係合する機能を有している。さらに、この取手部32bは、ユーザが手作業によって突出軸32aの回転を容易にするための回転ノブの機能を有している。
【0044】
板部材32cは、この突出軸32aの突起32a1に取り付けられる板形状の部材である。この実施形態では、例えばこの板部材32cをかしめて突出軸32aの突起32a1に取り付けるなどの方法がある。この板部材32cは、固定治具27を枠体治具24に取り付ける場合に、第1および第2の底板24b,24cの上面24c1に係合する板ばねからなる。
【0045】
図10図12に示すように、この板部材32cは、第1の部材32c1と、第2の部材32c2と、第3の部材32c3と、第4の部材32c4と、第5の部材32c5と、を備える。
【0046】
第1の部材32c1は、上面から見ると略S字形状の平板で形成された基板である。この第1の部材32c1は、その重心を中心として板厚方向に貫通した孔部Sを有している。この孔部Sは、上述したごとくかしめられて、突出軸32aの突起32a1に嵌合した状態で取り付けられている。
【0047】
第2の部材、第3の部材32c2,32c3は、平板で形成された側板である。この第2および第3の部材32c2,32c3は、上記第1の部材32c1の両端部にそれぞれ配置される。この第2および第3の部材32c2,32c3は、固定治具27を枠体治具24に取り付ける場合に、第1および第2の側板24d,24eの内面とそれぞれ係合する外面を有している。
【0048】
第4および第5の部材32c4,32c5は、平板で形成された接ぎ板である。
この第4および第5の部材32c4,32c5のうち、第4の部材32c4は、上記第1の部材32c1の一端と上記第2の部材32c2とを接続している。この第4の部材32c4は、図11の正面側から見ると、第2の部材32c2側が第1の部材側より高く、かつ紙面の左下がりに傾斜して配置されている。
【0049】
また、この第4および第5の部材32c4,32c5のうち、第5の部材32c5は、第1の部材32c1の他端と第3の部材32c3とを接続している。この第5の部材32c5は、図11の正面側から見ると、第3の部材32c3側が第1の部材側より高く、かつ紙面の右下がり傾斜して配置されている。
【0050】
図12に示すように、この板部材32cでは、第1の部材32c1の下面と第2の部材32c2の外面とがなす直線(この実施形態では第4の部材32c4が介在しているので、例えば第2の部材32c2と第4の部材32c4の外面とがなす直線)Lに対して、第2の部材32c2の外面の中心、突出軸32aの中心軸x、第3の部材32c3の外面の中心の順に配置される。
【0051】
すなわち、この実施形態では、この突出軸32aの中心軸をx、この第2の部材32c2の外面の中心をy、この第3の部材32c3の外面の中心をzとし、これらx、y、zを第2の部材32c2の外面と第4の部材32c4の下面とがなす直線Lに直角に投影した点をx1、y1、z1とする。この時に、この実施形態では、この直線L上に投影された点が、y1、x1、z1の順に配置された状態となるように、板部材32cを略S字形状に構成するものである。
【0052】
この板部材32cは、上述したごとく、板ばねで構成されており、その長さfは上述した第1および第2の側板24d,24e間(図5参照)の内幅より例えば若干大きく構成されている。また、この板部材32cの幅dは、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間の幅より小さく構成されている。
【0053】
これにより、この板部材32cを、第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間を介して枠体治具24内部へ挿入することを可能にしている。
なお、この枠体治具24内部への挿入の場合には、板部材32cの長さf方向を、この第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間の長手方向に一致させて行うことが望ましい。
【0054】
固定治具27を枠体治具24に取り付ける場合に、この板部材32cは、図3に示すように第2および第3の部材32c2,32c3の外面が第1および第2の側板24d,24eの内面とそれぞれ当接して係合する。この当接により、板部材32cは撓んで第1の部材32c1の下面が第1および第2の底板24b,24cの上面と係合する。
【0055】
この板部材32cを略S字形状に構成することより、第2の部材32c2の外面の中心yと、第3の部材32c4の外面の中心zとは、この直線Lに対して互いに対向せずに、ずれた状態となる。この結果、板部材32cを回転させて第2および第3の部材32c2,32c4を、第1および第2の側板24d,24eに係合させたり、係合を解除させたりする際に、この係合や解除の動作がスムーズに容易に行うことが可能となる。
【0056】
また、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面が第1および第2の側板24d,24eの内面とそれぞれ当接している状態では、板ばねの反発力によって第2および第3の部材32c2,32c3の外面を、第1および第2の側板24d,24eの内面に押し付ける力が強くなる(図3参照)。この結果、枠体治具24と係合治具32との係合状態が強くなる。
【0057】
また、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面が第1および第2の側板24d,24eの内面とそれぞれ当接している状態では、第1の部材32c1と取手部32bとによって、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24cと、固定治具27における保持部28の係合部本体31aとを狭持する(図3参照)。この結果、枠体治具24と係合治具32との係合状態がさらに強くなり、固定治具27を枠体治具24の所望位置に容易に固定配置することができる。
【0058】
また、上述した枠体治具24と係合治具32との係合により、固定治具27は、枠体治具24に対して図3の紙面に示す上下方向と左右方向で係合する状態となって、係合状態が強くなるとともに、固定治具27を枠体治具24の所望位置に容易に固定配置することができる。
【0059】
また、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面と第1および第2の側板24d,24eの内面との当接による係合状態を解除する場合には、取手部32bを、中心軸xを中心として時計方向又は反時計方向に回すと(図10参照)、板部材32cが容易に撓み、この係合状態を容易に解除することができる。
【0060】
なお、この実施形態では、この板部材32cを第1〜第5の部材32c1〜32c5で構成したが、これに限らず、例えば第1〜第3の部材32c1〜32c3で構成することも可能である。この場合には、第1の部材32c1の下面と第2の部材32c2の外面とがなす直線に対して、突出軸32aの中心軸x、第2の部材32c2の外面の中心y、第3の部材32c3の外面の中心zが、y、x、zの順に配置されるように構成すればよい。この場合には、少ない部品点数で容易に板部材を構成することができるとともに、この実施形態の板部材32cと同様の効果を奏することができる。
【0061】
また、上述した配置以外に、例えば第1の部材32c1の下面と第2の部材32c2の外面とがなす直線に対して、突出軸32aの中心軸x、第2の部材32c2の外面の中心y、第3の部材32c3の外面の中心zを、一致するように配置することも可能である。
【0062】
また、この実施形態では、第2の係合部30に係合治具32を取り付けたが、これに限らず、係合治具32を第1の係合部29に備えることも可能である。この場合には、この第1の係合部29と枠体治具24との係合状態をさらに強くすることができる。この結果、鋼製足場板20と横足場パイプ12とをさらに強く固定することが可能となる。
【0063】
次に、この実施形態に係る鋼製足場板20を図1に示した仮設足場10に設置する場合を説明する。なお、この実施形態では、保持部28と、第1および第2の係合部29,30と、を備える固定治具27(図6図7参照)を、足場板本体21の下面に配置された枠体治具24(図4参照)に取り付ける場合について説明する。
【0064】
この取付作業では、まずU字形状の保持部28の一端に設けられた第1の係合部29を、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間を介して、この枠体治具24内部に挿入する。この挿入により、第1の係合部29は、第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と辺24b2,24c2との少なくとも一方に係合される(図2参照)。
【0065】
この第1および第2の底板24b,24cの辺24b2,24c2には、間隙に沿って先端が尖った凹凸を有するので(図5参照)、固定治具27の係合時にこの尖った先端が第1の係合部29の張出部29bの下面に食い込んで摩擦力を高めることができる。このため、第1の係合部29は、移動を制限され、この枠体治具24の一定の位置に固定されることとなる。
【0066】
次に、この固定治具27の保持部28のU字部分内に横足場パイプ12を挿入し、仮設足場10(図1参照)の所望位置にセットする。そして、この固定治具27における保持部28の他端に設けられた第2の係合部30を、第1および第2の底板24b,24cの下面に係合させる。この実施形態では、第2の係合部30の張出部31bが、この第1および第2の底板24b,24cの下面に係合される。さらに、この第2の係合部30の係合部本体31aに設けられた係合治具32の板部材32cを、第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間を介して、枠体治具24内部に挿入する(図3参照)。
【0067】
この挿入時には、例えば係合治具32の板部材32cの長さf方向(図12参照)を、第1および第2の底板24b,24c間に設けられた隙間の長手方向(図4図5参照)に合わせた状態で、この係合治具32の板部材32cを、この枠体治具24内部に挿入する。
【0068】
次に、作業者の作業によって、この係合治具32の取手部32bを、中心軸xを中心として時計方向または反時計方向に回す(図10参照)。この取手部32bの回転に伴って、この係合治具32の板部材32cも時計方向または反時計方向に回転する。この回転は、板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面が枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面に係合されるまで行う。
【0069】
この回転による係合では、この板部材32cの第1の部材32c1が略S字形状に構成され、第2の部材32c2の外面と第4の部材32c4の下面とがなす直線Lに対して、第2の部材32c2の外面の中心と第3の部材32c3の外面の中心が対向せずにずれているので、この板部材32cは撓んで変形し易くなる。
【0070】
この板部材32cが変形し易いということは、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面と枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面とによるこの係合状態の解除時も同様である。
したがって、この取手部32bの回転による板部材32cと枠体治具24との係合および係合解除の動作をスムーズに行うことができる。
【0071】
また、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面と枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面との当接状態の時には、板部材32cの第1の部材32c1と取手部32bとによって、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24cと、保持部28の係合部本体31aとを狭持する(図2図3参照)。
【0072】
この結果、この第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と辺24b2,24c2に設けられた凹凸の尖った先端が、この板部材32cの第1の部材32c1の下面に食い込んで摩擦力を高めることができる。このため、第1の係合部29は、さらに移動を制限され、この枠体治具24の一定の位置に固定されることとなる。
【0073】
次に、鋼製足場板20の解体時には、作業者の作業によって、この係合治具32の取手部32bを時計方向または反時計方向に回し(図10参照)、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面と枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面との当接状態を解除する。
【0074】
次に、固定治具27の保持部28のU字部分内から横足場パイプ12を抜き取る。そして、固定治具27の第1および第2の係合部29,30を枠体治具24から取り外す。これにより、この固定治具27の第1および第2の係合部29,30と、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24cおよび第1および第2の側板24d,24eとの係合状態を解除することができる。
【0075】
このように、この実施形態では、仮設足場に橋架される足場板本体21と、足場板本体21の下面に配置される枠体治具24,25と、横足場パイプ12を保持した状態で枠体治具24,25に係合する固定治具27とで、鋼製足場板20を構成するので、番線の代わりに再利用が可能な構成することができ、配管系の点検作業時の作業工数と作業時間を低減することができる。
【0076】
すなわち、例えば原子力発電所などの定検改良工事において、仮設足場10の組み立て時に曲がった番線を放射能汚染検査などの検査が可能となるように、1本、1本を延ばす作業は多大な手間と時間を要することとなる。
【0077】
これに対して、この実施形態に係る鋼製足場板20は、使用前も使用後も常に検査し易い一定の形状を保持するので、放射能汚染検査などが容易で、番線のように使用後に真っ直ぐに伸ばすなどの作業が不要となる。
この結果、この実施形態に係る鋼製足場板20は、例えば原子力発電所などの定検改良工事において、この煩わしい作業を排除できるので、配管系の点検作業時の作業工数と作業時間を低減することができる。
【0078】
また、この実施形態では、鋼製足場板20の足場板本体21に取り付けられた枠体治具24に、単管足場パイプ12を固定するための固定治具27を係合させるので、鋼製足場板20の取り付け作業が容易で作業時間を低減することができる。
【0079】
また、この実施形態では、この枠体治具24と固定治具27とを、この固定治具27に取り付けた係合治具32を回転させて係合させるので、鋼製足場板20の取り付け作業が容易で作業時間を低減することができる。また、この構成により、この枠体治具24と固定治具27と係合解除も、係合治具32を回転させるだけで容易に行うことができ、鋼製足場板20の取り外し作業や微調整作業なども容易となり、さらに作業時間を低減することができる。
【0080】
また、この実施形態では、この板部材32cの第2および第3の部材32c2,32c3の外面が、この枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面と係合する。さらに、この板部材32cの第1の部材32c1と取手部32bとによって、この枠体治具24の第1および第2の底板24b,24cと、固定治具27における保持部28の係合部本体31aとを狭持する。この結果、固定治具27は、枠体治具24に対して図3の紙面に示す上下方向と左右方向で係合する状態となって、係合状態が強くなるとともに、固定治具27を枠体治具24の所望位置に容易に固定配置することができる。
【0081】
また、この実施形態では、この板部材32cの第2の部材32c2の外面の中心yと、第3の部材32c3の外面の中心zとが、この第2の部材32c2の外面と第4の部材32c4の下面とがなす直線Lに対して互いに対向せずに、ずれた状態となるように、この板部材32cを略S字形状に構成する。これにより、板部材32cを回転させて第2および第3の部材32c2,32c3を、第1および第2の側板24d,24eに係合させたり、係合を解除させたりする際に、この係合や解除の動作がスムーズに容易に行うことが可能となる。この結果、枠体治具24に対する固定治具27の固定配置、この固定配置の解除、この固定配置位置の微調整の作業を容易に行うことができる。
【0082】
(実施形態2)
図13は、他の実施形態の鋼製足場板20の一部を示す斜視図である。この図13では、鋼製足場板20の長手方向の一端側の一部を破断して示しており、紙面の左手前側が破断面を示している。
【0083】
この実施形態では、実施形態1と異なる点は、足場板本体21下面の短手方向の中央部に枠体治具24を配設したことである。
この枠体治具24は、図5に示したごとく、足場板本体21の長手方向を長手方向とし、断面が略コ字形状に形成され、上板24a、第1および第2の底板24b,24cと、第1および第2の側板24d,24eと、を備える。この上板24aは、足場板本体21の下面に、折り曲げ一体形成又は、溶接などで取り付けられている。
【0084】
この実施形態でも、実施形態1と同様に、固定治具27の第1の係合部29を、枠体治具24内部から第1および第2の底板24b,24cの上面24b1,24c1と辺24b2,24c2との少なくとも一方に係合させる(図2参照)。
【0085】
次に、この固定治具27の第2の係合部30の張出部31bを、第1および第2の底板24b,24cの下面に係合させる(図3参照)。
さらに、固定治具27における係合治具32の板部材32cを、この枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eの内面に係合させる。これに伴い、この板部材32cの第1の部材32c1と取手部32bとによって、枠体治具24の第1および第2の底板24b,24cと、保持部28の係合部本体31aとを狭持する(図2図3参照)。
【0086】
この実施形態では、実施形態1と同様の効果を奏するとともに、実施形態1に示した補強部材23(図4参照)に代えて枠体治具24を、足場板本体21下面の短手方向の中央部に設けたので、鋼製足場板の部品点数を削減できるとともに、その製作コストを低減できる。
【0087】
(変形例)
図14は、図13に示した鋼製足場板20の一部の変形例を示す斜視図である。この図14では、鋼製足場板20の長手方向の一端側の一部を破断して示しており、紙面の左手前側が破断面を示している。
【0088】
この変形例では、足場板本体21が2枚の鋼製の板材51,52からなる。この板材51は、長手方向に沿った一方の端面51aが下方向に断面コ字形状に折り曲げられるとともに、長手方向に沿った他方の端面51bが下方向に断面コ字形状に折り曲げられている。この板材52は、長手方向に沿った一方の端面52aが下方向に断面コ字形状に折り曲げられるとともに、長手方向に沿った他方の端面52bが下方向に断面コ字形状に折り曲げられている。
【0089】
この折り曲げられた端面51a,52aは、図4図13の端面22a,22bと同様の構成であり、図1に示した横足場パイプ12へ載置される脚部の機能をそれぞれ有している。
また、この折り曲げられた端面51aと51bは、例えば略同一形状からなる。
また、折り曲げられた端面52aと52bは、例えば略同一形状からなる。
【0090】
これら端面51b,52bは、図5図13に示した枠体治具24の一部の機能を有する。すなわち、図5に示すように、この端面51bは、折返し部51cを介して上板24aの図中右半分と、第2の底板24cと、第2の側板24eと同様に構成されている。
【0091】
この端部52bは、折返し部52cを介して上板24aの図中左半分と、第1の底板24bと、第1の側板24dと同様に構成されている。また、これら板材51,52は、折返し部51c,52cを溶接して一体化することで、足場板本体21を構成している。
【0092】
この変形例では、実施形態2と同様の効果を奏するとともに、枠体治具24の機能を足場板本体21と一体的に構成したので、さらに鋼製足場板の部品点数を削減できる。なお、これら端部51b,52bは、横足場パイプ12へ載置される脚部の機能を有することも可能である。また、この他の変形例としては、例えば1枚の足場板本体21を折り曲げ構造として、枠体治具24を足場板本体21と一体成型することも可能である。
【0093】
(実施形態3)
図15は、他の実施形態の枠体治具34の一部を示す斜視図である。この図15では、枠体治具34の長手方向の一端側の一部を破断して示しており、紙面の右手後側が破断面を示している。
【0094】
図15に示すように、枠体治具34は、足場板本体21(図4参照)の長手方向を長手方向とし、断面が略コ字形状に形成されるとともに、上板34a、第1および第2の底板34b,34cと、第1および第2の側板34d,34eと、を備える。
【0095】
上板34aは、実施形態1に示した枠体治具24の上板24aと同様に、足場板本体21の下面に、例えば溶接などで取り付けられる上面と、この上面の背側の下面とを有する。
第1および第2の底板34b,34cは、上面34b1,34c1と、辺34b2,34c2とをそれぞれ有する。
【0096】
この第1および第2の底板34b,34cの上面34b1,34c1は、上板34aの下面側に並列に配置され、かつ上板34aの下面と並列に対向して配置される。
この辺34b2,34c2は、第1および第2の底板34b,34cの長手方向の端部を上板34a側に延ばして突出させて設けられている。この辺34b2,34c2は、互いに隙間を有して配置されている。また、この延ばした辺34b2,34c2の高さは、任意に設定できる。例えば、この辺34b2,34c2の高さは、後述する第2の係合部40の係合部本体41aの板厚などに基づいて設定することが可能である。
【0097】
第1および第2の側板34d,34eは、実施形態1に示した枠体治具24の第1および第2の側板24d,24eと同様に、上板34aの下面側に並列に配置され、上板34aと第1および第2の底板34b,34cをそれぞれ接続している。この第1および第2の側板34d,34eは、上板34aの幅と同じ内幅で互いに対向して配置されている。
【0098】
この辺34b2,34c2には、間隙に沿って凹凸を有している。この辺34b2,34c2に形成される凹凸は、例えば先端が尖った三角形状からなり、この三角形がこの辺34b2,34c2の長手方向に沿って連続的に形成されている。
この辺34b2,34c2間に設けられた隙間は、長さ(長手方向の長さ)は枠体治具34の長手方向の長さと同じで、幅(短手方向の長さ)は側板34d,34e間の内幅より小さく構成されている。
【0099】
このように、この実施形態では、辺34b2,34c2に凹凸を形成するので、固定治具27の係合時にこの凹凸の先端が、後述する第1の係合部29の張出部29bの下面に食い込んで摩擦力を高めることができる。
【0100】
図16は、他の実施形態の固定治具27の一部を示す上面図である。図17は、図15に示した枠体治具34と図16に示した第2の係合部40との側面図である。
図16図17に示すように、固定治具27は、横足場パイプ12(図2参照)を保持する保持部38と、保持部38の両端にそれぞれ配置される第1および第2の係合部39,40と、を備える。
【0101】
この保持部38は、実施形態1の保持部28と同様、横足場パイプ12の口径にあわせた径の円弧を有するU字形状のバンド部からなる。この保持部38は、実施形態1の保持部28と同様、例えばバンド幅cで構成されている。この保持部38の両端には、第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2と係合する第1および第2の係合部39,40と、を備える。この第1の係合部39は、係合部本体39aを有し、この第2の係合部40は、係合部本体41aと、係合治具42とを有する。この辺34b2,34c2は、第1および第2の底板34b,34cの長手方向の端部を上板34a側に延ばして突出させて設けられている。
【0102】
第1の係合部39および第2の係合部40の係合部本体39a,41aは、保持部38のU字の両端が外側にL字形状にそれぞれ折り曲げられた端部である。
【0103】
図16に示すように、この第1の係合部39の係合部本体39aは、図9に示した係合部本体29aと同様に、保持部38のバンド幅より大きい幅からなり、かつ幅方向の両側に張り出した張出部39b,39bを有している。この第2の係合部40の係合部本体41aは、図9に示した係合部本体31aとは異なり、張出部を有さずにこの係合部本体41aからなる。
【0104】
また、第2の係合部40の係合部本体41aには、板厚方向に貫通した貫通孔41cが設けられている。この貫通孔41cには、後述する係合治具42が回転可能に係合している。
【0105】
この保持部38のバンド幅は、図3に示した保持部28と同様に、第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2間の隙間の幅に等しいか若干小さく構成されている。また、この第1の係合部39の係合部本体39aの幅は、この第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2間の隙間(図5参照)の幅より大きく、かつ第1および第2の側板34d,34e間の内幅より小さく構成されている。
【0106】
また、この第2の係合部40の係合部本体41aの幅は、この保持部38のバンド幅に等しく構成されている。また、係合部本体41aに設けられた貫通孔41cの直径は、第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2間の隙間の幅より小さく構成されている。
【0107】
このように、この実施形態では、保持部38の第2の係合部40の係合部本体41aの幅を、保持部38のバンド幅と同様に構成することで、保持部38の作製を容易にし、作製時間の削減を可能にできる。
【0108】
第2の係合部40の係合治具42は、突出軸42aと、取手部42bと、板部材42cと、を備える。この係合治具42の構成は、図10図11に示した係合治具32とほぼ同様であるが、以下の点が異なる。
【0109】
すなわち、第2の係合部40の係合治具42が、図10図11に示した係合治具32と異なる点は、図17に示すように、取手部42bの幅gが第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2間の隙間の幅より大きく構成されている点である。
【0110】
固定治具27を枠体治具34に取り付けた場合に、この板部材42cの第2および第3の部材42c2,42c3の外面が第1および第2の側板34d,34eの内面とそれぞれ当接して係合する。これとともに、この板部材42cの第1の部材42c1の下面が、この第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2と係合する。さらに、この取手部42bの上面が、この第1および第2の底板34b,34cの下面と係合する。
【0111】
このように、枠体治具34と固定治具27を構成することで、この実施形態では、実施形態1と同様の効果を奏するとともに、第2の係合部40の係合部本体41aの幅を保持部38のバンド幅と同様に構成するので、保持部38の作製を容易にし、作製時間の削減が図られる。
【0112】
なお、この第1および第2の底板34b,34cの辺34b2,34c2の高さは、例えば、この第2の係合部40の係合部本体41aの板厚とほぼ等しく設定することも可能である。この場合には、第1の部材42c1と取手部42bとによって、枠体治具34の第1および第2の底板34b,34cと、固定治具27における保持部38の係合部本体41aとを狭持することが可能となる。
【0113】
このような枠体治具34と係合治具42との係合により、固定治具27は、枠体治具34に対して図17の紙面に示す上下方向と左右方向で係合する状態となって、この係合状態が強くなるとともに、固定治具27を枠体治具34の所望位置に容易に固定配置することができる。
【0114】
また、この実施形態では、図15に示した枠体治具34と、図16に示した保持部38とを組み合わせたが、これに限らない。例えば、図5に示した枠体治具34と、図16に示した保持部38とを組み合わせてもよいし、図9に示した保持部28と、図15に示した枠体治具34とを組み合わせてもよい。
【0115】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。例えば実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0116】
10…仮設足場、11,13…単管足場パイプ、12…単管足場パイプ(横足場パイプ)、20…鋼製足場板、21…足場板本体、22a,22b…足場板本体の端面、23…補強部材、24,25…枠体治具、24a…上板、24b…第1の底板、24c…第2の底板、24b1…第1の底板の上面、24c1…第2の底板の上面、24b2…第1の底板の辺、24c2…第2の底板の辺、24d…第1の側板、24e…第2の側板、27…固定治具、28…保持部、29…第1の係合部、30…第2の係合部、29a,31a…係合部本体、29b,31b…張出部、31c…貫通孔、32…係合治具、32a…突出軸、32a1…突起、32b…取手部、32c…板部材、32c1…第1の部材、32c2…第2の部材、32c3…第3の部材、32c4…第4の部材、32c5…第5の部材、34…枠体治具、34a…上板、34b…第1の底板、34c…第2の底板、34b1,…第1の底板の上面、34c1…第2の底板の上面、34b2…第1の底板の辺、34c2…第2の底板の辺、34d…第1の側板、34e…第2の側板、38…保持部、39…第1の係合部、40…第2の係合部、39a,41a…係合部本体、39b…張出部、41c…貫通孔、42…係合治具、42a…突出軸、42b…取手部、42c…板部材、42c1…第1の部材、S…孔部。
図1
図2
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図17