(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プリント配線板、電子部品から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽したり、プリント配線板における導体の代替(例えば、高周波伝送線路に対するリファレンス導体等)としたりするために、導電性粘着シートをプリント配線板、電子部品等に貼着することがある。また、導電性粘着シートが貼着されたプリント配線板、電子部品等を、電子機器の筐体、シャーシ等に固定するために、導電性粘着シートの両面に粘着性が求められることがある。
【0003】
両面に粘着性を有する導電性粘着シートとしては、下記のものが知られている。
(1)粘着剤からなるシート中に導電性粒子を含む導電性粘着シート(例えば、特許文献1〜3等)。
しかし、(1)の導電性粘着シートには、下記の問題がある。
【0004】
・導電性粒子同士の接触によって、厚さ方向および面方向の導電性を確保しているが、導電性粒子同士の接触が不十分であったり、接触抵抗が存在したりするため、面方向の導電性が不十分である。
・面方向の導電性を十分に確保するためには、導電性粒子を増やす必要がある。しかし、導電性粒子の配合割合が増加すると、導電性粒子を保持するバインダとなる粘着剤等の割合が低下することにより、導電性粘着シートの強度が低下し、剥離フィルムからの剥離の際等に断裂してしまう。
・また、導電性粒子としては、通常、貴金属(銀等)の粒子、貴金属(金等)がめっきされたカーボン粒子といった高価な粒子が用いられるため、導電性粒子を増やすと製造コストが高くなる。
・また、導電性粒子を増やした場合、導電性粘着シートが厚くなる。近年、電子機器には、小型化、薄型化が求められており、薄い導電性粘着シートが求められている。
・粘着剤や接着剤および導電性粒子のみからなるため、ハンダ付け等の熱に対してシートとしての形状を維持できない、すなわち耐熱性が不十分である。
【0005】
面方向の導電性が良好な導電性粘着シートとしては、下記のものが知られている。
(2)厚さ方向に導電性貫通孔が形成された樹脂フィルムと;該樹脂フィルムの両面に形成された金属の蒸着膜および該蒸着膜の表面に形成された厚さ1.0μm以上のめっき層から構成される2つの導電層と;2つの導電層のそれぞれの表面に形成された、粘着剤およびカルボニル法で製造したニッケル粒子を含む2つの導電性粘着剤層とを備えた導電性粘着シート(特許文献4)。
しかし、(2)の導電性粘着シートには、下記の問題がある。
【0006】
・近年、電子機器には、小型化、薄型化が求められており、薄い導電性粘着シートが求められている。しかし、導電層の表面抵抗を低くするために導電層の厚さが1.0μm以上とされているため、導電性粘着シートを十分に薄くできない。また、導電性粘着シートの可とう性、生産性がよくない。
・カルボニル法で製造したニッケル粒子は、表面に突起を有する。そのため、導電層やプリント配線板のグランド回路との接触面積が小さく、接触抵抗が大きい。導電層やグランド回路との接触抵抗を小さくするために接触圧を高くした場合には、ニッケル粒子が導電層やグランド回路を突き破り、導電層やグランド回路の面方向の導電性が低下する。また、導電性粘着シートを薄くするために、基材である樹脂フィルムを薄くすると、ニッケル粒子が樹脂フィルムも突き破り、樹脂フィルムの強度が低下する。
・樹脂フィルムに導電性貫通孔を形成する必要があるため、製造が煩雑でるばかりか、無数の孔によって強度も不十分である。
・基材が熱可塑性の樹脂フィルムであるため、ハンダ付け等の熱に対して耐熱性が不十分である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書における「導電性粒子の真球度」は、導電性粒子の電子顕微鏡像から少なくとも30個の導電性粒子を無作為に選び、それぞれの導電性粒子について、最小径および最大径を測定し、下記式から真球度を求め、測定した少なくとも30個の導電性粒子の真球度を平均したものである。
真球度=最小径/最大径。
本明細書における「導電性粒子の平均粒子径」は、上記した真球度で得た最小径と最大径の中央値を一粒子の粒子径とし、測定した少なくとも30個の粒子の粒子径を算術平均して得られる。
本明細書において「対向」しているとは、上面から見たときに少なくとも一部が重なり合う状態をいう。
【0016】
<導電性粘着シート>
図1は、本発明の導電性粘着シートの一例を示す断面図である。
導電性粘着シート10は、導電性支持基材12と、導電性支持基材12の一方の表面に形成された第1の導電層14と、導電性支持基材12の他方の表面に形成された第2の導電層15と、第1の導電層14の表面を覆う第1の導電性粘着剤層16と、第2の導電層15の表面を覆う第2の導電性粘着剤層18と、第1の導電性粘着剤層16の表面を覆う第1の剥離フィルム20と、第2の導電性粘着剤層18の表面を覆う第2の剥離フィルム22とを備えたものである。
【0017】
(導電性支持基材)
導電性支持基材12は、導電性粒子11を含む熱硬化性樹脂の硬化物13からなり、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性をほとんどまたはまったく有さない。導電性支持基材12のマトリックスを熱硬化性樹脂の硬化物13とすることによって、導電性粘着シート10の耐熱性が良好となる。
【0018】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、UV硬化アクリレート樹脂等が挙げられ、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
【0019】
導電性粒子11としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられ、導電性の点から、貴金属(銀、金、白金等)の粒子、貴金属(金、銀等)がめっきされた非貴金属(銅、ニッケル等)の粒子、貴金属(金、銀等)がめっきされた焼成カーボン粒子等が好ましく、特に、貴金属(金、銀等)がめっきされた焼成カーボン粒子は、真球度が高いため、薄い導電層を突き破ることなく、低い接触圧でも安定した導通が得られることから好ましい。
【0020】
導電性粒子11の真球度は、0.8以上が好ましい。導電性粒子11の真球度が高いほど、薄い導電層を突き破ることなく、低い接触圧でも安定した導通が得られる。
【0021】
導電性粒子11の平均粒子径は、第1の導電層14と第2の導電層15との電気的接続の点から、導電性支持基材12の厚さの0.8〜1.4倍が好ましく、0.9〜1.2倍がより好ましく、ほぼ同程度であることがさらに好ましい。
【0022】
導電性粒子11の含有量は、導電性支持基材12の100体積%のうち、0.5〜20体積%が好ましく、1〜10体積%がより好ましい。導電性粒子11の含有量が0.5質量%以上であれば、厚さ方向の導電性を十分に確保できる。導電性粒子11の含有量が20質量%以下であれば、面方向の導電性を抑え、かつ導電性粒子11の量が抑えられることによって導電性粘着シート10の価格を抑えることができる。
【0023】
導電性支持基材12の120℃における貯蔵弾性率は、10
6〜10
8Paが好ましく、3×10
6〜8×10
7(Pa)がより好ましい。通常、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、これからなるフィルムは、柔軟性に乏しく、特に、厚さを薄くした場合は、非常に脆く自立膜として存在できるほどの強度がない。導電性支持基材12の120℃における貯蔵弾性率を、10
6〜10
8Paの範囲とすることによって、柔軟性や強度と、耐熱性とのバランスが良好となり、使用される高温雰囲気中においても十分な強度を有する。
貯蔵弾性率は、試料に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定することができる。
【0024】
導電性支持基材12の厚さは、1〜10μmであり、1〜5μmが好ましい。導電性支持基材12の厚さが1μm以上であれば、耐熱性が良好となる。導電性支持基材12の厚さが10μm以下であれば、導電性粘着シート10を薄くできる。
【0025】
(導電層)
第1の導電層14および第2の導電層15(以下、これらをまとめて導電層とも記す。)は、導体(金属)からなる層である。導電層は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、導体(高周波伝送線路に対するリファレンス導体等)、電磁波シールド層等として機能する。
【0026】
導電層としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着等)、CVD、めっき等によって形成された金属薄膜、導電性粒子を含む塗料を塗布して形成された導電塗膜等が挙げられ、面方向の導電性に優れる点から、金属薄膜が好ましく、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、物理蒸着による金属薄膜(蒸着膜)がより好ましい。
【0027】
導電層を構成する金属薄膜の材料としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
【0028】
導電層の厚さは、0.01μm以上1μm未満である。導電層の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。導電層の厚さが1μm未満であれば、導電性粘着シート10を薄くできる。また、生産性、可とう性がよくなる。
【0029】
導電層がリファレンス導体の場合、リファレンス導体の厚さは、0.02〜0.1μmがより好ましい。リファレンス導体の厚さが0.02μm以上であれば、該リファレンス導体に導電性粒子26を介して電気的に接続するプリント配線板のグランドをさらに強化できる。リファレンス導体の厚さが0.1μm以下であれば、導電性粘着シート10をさらに薄くできる。また、生産性、可とう性がさらによくなる。
【0030】
導電層が電磁波シールド層の場合、電磁波シールド層の厚さは、0.1μm以上1μm未満がより好ましい。電磁波シールド層の厚さが0.1μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。電磁波シールド層の厚さが1μm未満であれば、導電性粘着シート10をさらに薄くできる。また、生産性、可とう性がさらによくなる。
【0031】
導電層の表面抵抗は、0.5〜500Ωであり、1〜300Ωが好ましい。導電層の表面抵抗が0.5Ω以上であれば、導電層を充分に薄くできる。導電層の表面抵抗が500Ω以下であれば、リファレンス導体として充分に機能できる。
【0032】
(導電性粘着剤層)
第1の導電性粘着剤層16および第2の導電性粘着剤層18(以下、これらをまとめて導電性粘着剤層とも記す。)は、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性をほとんどまたはまったく有さず、かつ粘着性を有する層である。
導電性粘着剤層としては、例えば、
図1に示すように、粘着剤または接着剤24と、該粘着剤または接着剤24に分散した導電性粒子26とを含む層が挙げられる。
【0033】
粘着剤または接着剤24としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)や、粘着付与剤を含んでいてもよい。
さらに、粘着剤または接着剤24の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂を添加したり、ガラス繊維等のミクロフィブリルを接着および導通を阻害しない程度に加えたりすることもできる。
【0034】
導電性粒子26としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられ、導電性の点から、貴金属(銀、金、白金等)の粒子、貴金属(金、銀等)がめっきされた非貴金属(銅、ニッケル等)の粒子、貴金属(金、銀等)がめっきされた焼成カーボン粒子等が好ましく、特に、貴金属(金、銀等)がめっきされた焼成カーボン粒子は、真球度が高いため、薄い導電層を突き破ることなく、低い接触圧でも安定した導通が得られることから好ましい。
【0035】
導電性粒子26の真球度は、0.8以上であり、0.9以上が好ましく、0.95以上がより好ましい。導電性粒子26の真球度が高いほど、薄い導電層を突き破ることなく、低い接触圧でも安定した導通が得られる。
【0036】
導電性粒子26の平均粒子径は、導電層と、プリント配線板のグランドとの電気的接続の点から、プリント配線板に導電性粘着シート10を貼着した後の導電性粘着剤層の厚さの0.8〜1.4倍が好ましく、0.9〜1.2倍がより好ましく、ほぼ同程度であることがさらに好ましい。
【0037】
導電性粒子26の含有量は、導電性粘着剤層の100体積%のうち、0.5〜20体積%が好ましく、1〜10体積%がより好ましい。導電性粒子26の含有量が0.5質量%以上であれば、厚さ方向の導電性を十分に確保できる。導電性粒子26の含有量が20質量%以下であれば、面方向の導電性を抑え、かつ導電性粒子26の量が抑えられることによって導電性粘着シート10の価格を抑えることができる。
【0038】
導電性粘着剤層の厚さは、5〜15μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。導電性粘着剤層の厚さが5μm以上であれば、被着体に対し、十分な密着強度を得ることができる。導電性粘着剤層16の厚さが15μm以下であれば、導電性粘着シート10を薄くでき、また、導電性粒子26の量が抑えられる。
【0039】
(剥離フィルム)
第1の剥離フィルム20および第2の剥離フィルム22(以下、これらをまとめて剥離フィルムとも記す。)は、導電性粘着剤層を保護するものであり、導電性粘着シート10をプリント配線板等に貼着する際には、導電性粘着剤層から取り除かれる。
【0040】
剥離フィルムとしては、片面が離型処理されたセパレータ等、公知の剥離フィルムを用いればよい。
【0041】
(導電性粘着シートの厚さ)
導電性粘着シート10の厚さ(剥離フィルムを除く)は、10〜45μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。
【0042】
(作用効果)
以上説明した導電性粘着シート10にあっては、導電性支持基材12の両方の表面に形成された面方向に導電性を有する導電層を有するため、面方向の導電性に優れる。そのため、導電性粘着剤層に面方向の導電性を持たせる必要がなく、従来の導電性粘着シートに比べ導電性粘着剤層を薄くできる。また、導電性支持基材12自体も十分に薄く、強度が高い。よって、導電性粘着シート10を薄くできる。
【0043】
また、以上説明した導電性粘着シート10にあっては、導電性支持基材12の厚さ方向の導電性が導電性粒子11によって確保されているため、導電性支持基材12に導電性貫通孔を形成する必要がない。よって、導電性支持基材12が薄くても、強度が高い。
また、以上説明した導電性粘着シート10にあっては、導電性粘着剤層の導電性粒子26の真球度が0.8以上であるため、導電性粒子26が導電層を突き破りにくく、面方向の導電性が低下しくい。また、導電性粒子26が導電性支持基材12を突き破りにくく、導電性支持基材12が薄くても、強度が低下しにくい。
【0044】
また、以上説明した導電性粘着シート10にあっては、導電層が薄いため、導電性粘着シート10の可とう性がよく、また、導電性粘着シート10を十分に薄くできる。
また、以上説明した導電性粘着シート10にあっては、導電性支持基材12が熱硬化性樹脂の硬化物からなるため、耐熱性に優れる。なお、導電性支持基材12が熱硬化性樹脂の硬化物からなる薄膜であるが、導電性支持基材12の120℃における貯蔵弾性率を、10
6〜10
8Paの範囲とすることによって、柔軟性や強度と、耐熱性とのバランスが良好となる。
【0045】
また、以上説明した導電性粘着シート10にあっては、従来の導電性粘着シートに比べ導電性粘着剤層を薄くでき、かつ面方向の導電性を持たせる必要がない。そのため、導電性粘着剤層に含ませる高価な導電性粒子26の量を減らすことができる。よって、従来の導電性粘着シートに比べ安価である。また、導電性粒子26の量を減らすことができるため、導電性粘着剤層自体の強度が高い。
【0046】
<導電性粘着シートの製造方法>
本発明の導電性粘着シートの製造方法は、下記の工程(a)〜(f)を有する方法である。
(a)剥離基材の一方の表面に、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂の硬化物からなり、厚さ方向に導電性を有する、厚さ1〜10μmの導電性支持基材を形成する工程。
(b)導電性支持基材の表面に、面方向に導電性を有する厚さ0.01μm以上1μm未満の第1の導電層を形成する工程。
(c)第1の導電層の表面に、真球度が0.8以上の導電性粒子を含み、厚さ方向に導電性を有する第1の導電性粘着剤層を設ける工程。
(d)導電性支持基材から剥離基材を剥離する工程。
(e)導電性支持基材の表面に、面方向に導電性を有する厚さ0.01μm以上1μm未満の第2の導電層を形成する工程。
(f)第2の導電層の表面に、真球度が0.8以上の導電性粒子を含み、厚さ方向に導電性を有する第2の導電性粘着剤層を設ける工程。
【0047】
(工程(a))
図2に示すように、第3の剥離フィルム28(剥離基材)の一方の表面に、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂の硬化物からなる導電性支持基材12を形成する。
熱硬化性樹脂組成物は、上述した熱硬化性樹脂と、導電性粒子と、必要に応じて溶媒、他の成分を含むものである。
【0048】
導電性支持基材12を、熱硬化性樹脂組成物の塗布によって形成しているため、導電性支持基材12を薄くできる。なお、熱硬化性樹脂の硬化物は硬いため、導電性支持基材12を薄くした場合は、強度が不十分となるが、上述したように、導電性支持基材12の120℃における貯蔵弾性率を、10
6〜10
8Paの範囲とすることによって、柔軟性や強度と、耐熱性とのバランスが良好となる。
【0049】
導電性支持基材12の貯蔵弾性率の制御は、反応性のモノマー、オリゴマー、硬化剤等の当量(架橋密度)および構造からもたらされる強靭性の観点から反応性のモノマー、オリゴマー、硬化剤等の種類や組成を選択し、熱硬化性樹脂の硬化物の貯蔵弾性率を調整することによって行われる。
このほか、貯蔵弾性率は、熱硬化性樹脂を硬化させる際の温度や時間等の硬化条件を調整する、あるいは熱硬化性を有さない成分として熱可塑性エラストマー等の熱可塑性樹脂を選択し、添加することによって調整できる。
【0050】
(工程(b))
図2に示すように、導電性支持基材12の表面に、面方向に導電性を有する第1の導電層14を形成する。
【0051】
第1の導電層14の形成方法としては、物理蒸着、CVD、めっき等によって金属薄膜を形成する方法、導電性粒子を含む塗料を塗布する方法等が挙げられ、面方向の導電性に優れる第1の導電層14を形成できる点から、物理蒸着、CVD、めっき等によって金属薄膜を形成する方法が好ましく、第1の導電層14の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる第1の導電層14を形成でき、ドライプロセスにて簡便に第1の導電層14を形成できる点から、物理蒸着による方法がより好ましい。
【0052】
(工程(c))
図2に示すように、第1の導電層14の表面に、厚さ方向に導電性を有する第1の導電性粘着剤層16を形成する。さらに、第1の導電性粘着剤層16の表面を第1の剥離フィルム20で覆う。
【0053】
第1の導電性粘着剤層16の形成方法としては、第1の導電層14の表面に、導電性粘着剤組成物または導電性接着剤組成物を塗布する方法、導電性粘着剤シートを貼着する方法、等が挙げられる。第1の導電性粘着剤層16を薄く形成できる点から、導電性粘着剤組成物または導電性接着剤組成物を塗布する方法が好ましい。
【0054】
(工程(d))
図2に示すように、導電性支持基材12から第3の剥離フィルム28を剥離する。
【0055】
(工程(e))
図2に示すように、導電性支持基材12の表面に、面方向に導電性を有する第2の導電層15を形成する。
【0056】
第2の導電層15の形成方法としては、第1の導電層14の形成方法と同様の方法が挙げられ、好ましい方法も同様である。
【0057】
(工程(f))
図2に示すように、第2の導電層15の表面に、厚さ方向に導電性を有する第2の導電性粘着剤層18を設ける。さらに、第2の導電性粘着剤層18の表面を第2の剥離フィルム22で覆う。
【0058】
第2の導電性粘着剤層18の形成方法としては、第1の導電性粘着剤層16の形成方法と同様の方法が挙げられ、好ましい方法も同様である。
【0059】
(作用効果)
以上説明した本発明の導電性粘着シートの製造方法にあっては、上述した工程(a)〜(f)を有するため、本発明の導電性粘着シートを低コストでかつ生産性よく製造できる。
【0060】
<プリント配線板>
図3は、本発明のプリント配線板の一例を示す断面図である。
プリント配線板1は、基板32の片面に信号回路34およびグランド回路36を有するプリント配線板本体30と;基材フィルム42の片面に接着剤層44を有し、プリント配線板本体30の信号回路34およびグランド回路36を有する側の表面を被覆するようにプリント配線板本体30に接着剤層44によって貼着され、グランド回路36の直上に開口部46を有するカバーレイフィルム40と;カバーレイフィルム40の基材フィルム42の側の表面を被覆するように、かつ開口部46において第1の導電性粘着剤層16がグランド回路36と接するように、カバーレイフィルム40、および開口部46におけるグランド回路36に第1の導電性粘着剤層16によって貼着された導電性粘着シート10とを備えたものである。
【0061】
導電性粘着シート10の第2の導電性粘着剤層18は、例えば、電子機器の筐体、シャーシ等の他の部材50に貼着される。
【0062】
信号回路34およびグランド回路36の近傍には、導電性粘着シート10の第1の導電層14が、開口部46を除いて、カバーレイフィルム40および第1の導電性粘着剤層16を介して離間して対向配置される。
【0063】
信号回路34と第1の導電層14との離間距離は、カバーレイフィルム40の基材フィルム42の厚さと接着剤層44の厚さと導電性粘着シート10の第1の導電性粘着剤層16の厚さの総和である。離間距離は、30〜200μmが好ましい。離間距離が30μmより小さいと、信号回路34のインピーダンスが低くなるため、100Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路34の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなるという不利がある。離間距離が200μmより大きいと、プリント配線板1が厚くなり、可とう性が不足するという問題がある。離間距離は、60〜200μmがより好ましい。
【0064】
(プリント配線板本体)
プリント配線板本体30は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工して信号回路34、グランド回路36、グランド層等の配線回路としたものである。
銅張積層板としては、基板32の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り合わせたもの;銅箔の表面に基板32を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
【0065】
基板:
基板32の材料としては、ガラス繊維強化エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等)、ポリビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリスチレン等が挙げられる。
プリント配線板1がフレキシブルプリント配線板の場合、基板32としては、ポリマーフィルムが好ましい。
【0066】
ポリマーフィルムの表面抵抗は、1×10
6Ω以上が好ましい。
ポリマーフィルムとしては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルム等がより好ましい。
ポリマーフィルムの厚さは、5〜200μmが好ましく、屈曲性の点から、6〜25μmがより好ましく、10〜25μmが特に好ましい。
【0067】
配線回路:
配線回路(信号回路34、グランド回路36、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1〜50μmが好ましく、18〜35μmがより好ましい。
配線回路の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、カバーレイフィルム40や導電性粘着シート10に覆われていない。
【0068】
接着剤層:
基板32に銅箔(配線回路)を貼り合わせる接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5〜30μmが好ましい。
【0069】
(カバーレイフィルム)
カバーレイフィルム40は、基材フィルム42の片面に、接着剤の塗布、粘着シートの貼着等によって接着剤層44を形成したものである。
【0070】
基材フィルム:
基材フィルム42の表面抵抗は、1×10
6Ω以上が好ましい。
基材フィルム42の材料としては、ポリイミド、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル等が挙げられ、耐熱性もあり、誘電率が低く、誘電損失が低いため信号回路を劣化させることがなく、また信号回路34のインピーダンス調整にも有利に働く点から、液晶ポリマー、フッ素樹脂、脂環式ポリオレフィンまたはポリフェニレンエーテルが好ましく、液晶ポリマー、フッ素樹脂または脂環式ポリオレフィンが特に好ましい。
基材フィルム32の厚さは、1〜100μmが好ましく、可とう性の点から、3〜25μmがより好ましい。
【0071】
接着剤層:
接着剤層44の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシル変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層44の厚さは、1〜100μmが好ましく、1.5〜60μmがより好ましい。
【0072】
(プリント配線板の製造方法)
プリント配線板1は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、基板32の片面に信号回路34およびグランド回路36を有するプリント配線板本体30と、基材フィルム42の片面に接着剤層44を有し、グランド回路36に対応する位置に開口部46を有するカバーレイフィルム40とを、プリント配線板本体30の信号回路34およびグランド回路36を有する側の表面と、カバーレイフィルム40の接着剤層44とが接するように重ね、プレス機(図示略)等によって熱プレスして、プリント配線板本体30表面にカバーレイフィルム40を接着剤層44によって貼着する。
【0073】
ついで、カバーレイフィルム40付きプリント配線板本体30と、導電性粘着シート10とを、カバーレイフィルム40の基材フィルム42と、導電性粘着シート10の第1の導電性粘着剤層16とが接するように重ね、プレス機(図示略)等によって冷間プレスして(必要であれば加熱して)、開口部46において第1の導電性粘着剤層16内の導電性粒子によってグランド回路36と第1の導電層14とが接続されるように、カバーレイフィルム40の表面に導電性粘着シート10を第1の導電性粘着剤層16によって貼着する。
【0074】
必要に応じて、導電性粘着シート10の第2の導電性粘着剤層18を、電子機器の筐体、シャーシ等の他の部材50に貼着し、プリント配線板1を固定する。
【0075】
(作用効果)
以上説明したプリント配線板1にあっては、信号回路34およびグランド回路36を有するプリント配線板本体30と、導電性粘着シート10とを備え、グランド回路36と第1の導電層14とが、第1の導電性粘着剤層16を介して電気的に接続し、信号回路34の近傍に第1の導電層14が配置されているため、信号回路34の近傍に配置された第1の導電層14が信号回路34に対するリファレンス導体となり、グランドが強化され、ノイズ耐性が向上する。または、第1の導電層14が十分な厚さを有すれば、電磁波ノイズの遮蔽機能にも優れる。
【0076】
(他の形態)
なお、本発明のプリント配線板は、基板の少なくとも一方の表面に信号回路およびグランド回路を有するプリント配線板本体と、本発明の導電性粘着シートとを備え、プリント配線板本体のグランド回路または外部のグランドと導電性粘着シートの導電層とが、導電性粘着シートの導電性粘着剤層を介して電気的に接続し、信号回路の近傍に導電層が配置されていればよく、図示例のプリント配線板1に限定はされない。
例えば、プリント配線板本体は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、プリント配線板本体は、裏面側に信号回路およびグランド回路を有し、該裏面側にカバーレイフィルムおよび本発明の導電性粘着シートが貼着されたものであってもよい。
【実施例】
【0077】
以下、実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0078】
〔実施例1〕
(導電性粘着シートの製造)
工程(a):
片面が離型処理された厚さ37μmのポリエステルフィルム(第3の剥離フィルム28)の離型処理された側の表面に、エポキシ樹脂、および平均粒子径が5μmの、金めっきされた焼成カーボン粒子(導電性粒子11)の5体積%を含む熱硬化性樹脂組成物を塗布し、140℃で0.5時間放置し、エポキシ樹脂を硬化させて、金めっきされた焼成カーボン粒子を含むエポキシ樹脂の硬化物からなり、厚さ方向に導電性を有する、厚さ5μm、120℃における貯蔵弾性率が4×10
6Paの導電性支持基材12を形成した。貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用いて測定した。測定結果を
図4に示す。
【0079】
工程(b):
導電性支持基材12の表面に、EB蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、厚さ0.04μm、表面抵抗100Ωの蒸着膜(第1の導電層14)を形成した。
【0080】
工程(c):
変性アクリル樹脂からなる絶縁性粘着剤組成物に、平均粒子径が10μmの、金めっきされた焼成カーボン粒子(導電性粒子26)を5体積%分散させた導電性粘着剤組成物を用意した。
第1の導電層14の表面に導電性粘着剤組成物を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布して、第1の導電性粘着剤層16を形成した。
さらに、第1の導電性粘着剤層16の表面に、片面が離型処理された厚さ50μmのポリエステルフィルム(第1の剥離フィルム20)を、離型処理された側の表面が第1の導電性粘着剤層16に接するように被せた。
【0081】
工程(d):
導電性支持基材12から第3の剥離フィルム28を剥離した。
【0082】
工程(e):
導電性支持基材12の表面に、EB蒸着法にて銅を物理的に蒸着させ、厚さ0.04μm、表面抵抗100Ωの蒸着膜(第2の導電層15)を形成した。
【0083】
工程(f):
第1の導電層14の表面に、工程(c)と同じ導電性粘着剤組成物を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、第2の導電性粘着剤層18を形成した。
さらに、第2の導電性粘着剤層18の表面に、片面が離型処理された厚さ37μmのポリエステルフィルム(第2の剥離フィルム22)を、離型処理された側の表面が第2の導電性粘着剤層18に接するように被せ、厚さ25μm(剥離フィルムを除く)の導電性粘着シート10を得た。
【0084】
(プリント配線板の製造)
まず、厚さ10μmのポリイミドフィルム(基材フィルム42)の表面に、ニトリルゴム変性エポキシ樹脂からなる絶縁性接着剤組成物を、乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、接着剤層44を形成し、カバーレイフィルム40を得た。カバーレイフィルム40には、グランド回路36に対応する位置に開口部46を形成した。
【0085】
ついで、厚さ12μmのポリイミドフィルム(基板32)の片面に、信号回路34およびグランド回路36が形成されたプリント配線板本体30を用意した。
プリント配線板本体30にカバーレイフィルム40を熱プレスにより貼着した。
【0086】
ついで、導電性粘着シート10から第1の剥離フィルム20を剥離した後、カバーレイフィルム40の表面に第1の導電性粘着シート10を冷間プレスにより貼着し、プリント配線板1を得た。この際、第1の導電層14は、開口部46において導電性粒子によってグランド回路36に接地した。