【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、平坦な上面を有するライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備えるものである。
ここで、トレーリングエッジは、
(1)基体の上面と平行であり、第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)基体の上面と平行であり、第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより基体と近づくようにリセスした中央部とを含む。
また、ライトギャップは、トレーリングエッジの第1および第2の端部を覆う部分よりもトレーリングエッジの中央部を覆う部分において大きな厚さを有する。
【0011】
本発明の第2のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、前記トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)前記トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)前記ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)前記一対のサイドギャップを挟んで前記ライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)前記一対のサイドシールドの上面と接し、前記ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備えるものである。
ライトギャップは、
(1)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第1のコーナーと対向する第1の端部と、
(2)前記トレーリングエッジと平行であり、前記ライトポールの前記第2のコーナーと対向する第2の端部と、
(3)前記第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、前記トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有する中央部と
を含む。
【0012】
本発明の第3のPMR装置は、シングルライト方式のPMR装置であって、
(a)基体上に設けられ、エアベアリング面(ABS)において、リーディングエッジおよびトレーリングエッジと、トレーリングエッジと第1および第2のコーナーでそれぞれ交差する第1および第2の側面とを含むライトポールと、
(b)トレーリングエッジと接するように設けられ、凹凸状の上面を有する
ライトギャップと、
(c)ライトポールの側面とそれぞれ接し、実質的に一定の厚さを有する一対のサイドギャップと、
(d)一対のサイドギャップを挟んでライトポールと対向する一対のサイドシールドと、
(e)一対のサイドシールドの上面と接し、ライトギャップを覆うトレーリングシールドと
を備える。
ここでトレーリングエッジは、
(1)基体の上面と平行であり、第1のコーナーで終端する第1の端部と、
(2)基体の上面と平行であり、第2のコーナーで終端する第2の端部と、
(3)第1および第2の端部を繋ぎ、かつ、それらより基体と近づくようにリセスした中央部と
を含む。
また、ライトギャップは、
(1)トレーリングエッジと平行であり、ライトポールの第1のコーナーと対向する第1のライトギャップ端部と、
(2)トレーリングエッジと平行であり、ライトポールの第2のコーナーと対向する第2のライトギャップ端部と、
(3)第1および第2のライトギャップ端部を繋ぎ、かつ、それらよりも大きな厚さを有し、トレーリングエッジから離れるように突出した凸面を有するライトギャップ中央部と
を含む。
【0013】
本発明の第1のPMR装置の製造方法は、シングルライト方式のPMR装置を製造する方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に誘電体層に囲まれたライトポールを、基体の上に形成することと、
(c)ライトポールの上面に所定角度でイオンビームを照射するイオンビームエッチングを行い、ライトポールの上面近傍を一部除去することでトレーリングエッジの中央部に凹部を形成することと、
(d)トレーリングエッジの上にライトギャップを形成したのち、その上面を平坦化することで、ライトギャップにおけるトレーリングエッジの中央部を覆う部分の厚さを、トレーリングエッジの中央部の両側に位置する第1および第2の端部を覆う部分の厚さよりも大きくすることと、
(e)誘電体層を選択的に除去することで、ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成することと、
(f)ライトギャップを覆い、かつサイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む。
【0014】
本発明の第2のPMR装置の製造方法は、シングルライト方式のPMR装置を製造する方法であって、
(a)上面を有する基体を用意することと、
(b)基体の上面と平行なトレーリングエッジを含む上面と、リーディングエッジと、トレーリングエッジおよびリーディングエッジを繋ぐ第1および第2の側面とを有すると共に第1の誘電体層に囲まれたライトポールを、基体の上に形成することと、
(c)第1の誘電体層およびトレーリングエッジの上に第2の誘電体層を形成したのち、その上面を平坦化することと、
(d)第2の誘電体層の上面の一部を覆うように選択的に第3の誘電体層を形成し、部分的に厚さの大きいライトギャップを形成することと、
(e)第1および第2の誘電体層を選択的に除去することで、ライトポールの側面を一様の厚さで覆うようにサイドギャップを形成すると共に、ライトギャップに、厚さの大きな中央部と、その両隣に位置し、基体の上面と平行な面を含む第1および第2の端部とを形成することと、
(f)ライトギャップを覆い、かつサイドギャップにも接するように磁性層を形成することでシールドをすることと
を含む。
【0015】
本発明の第1のPMR装置によれば、本発明の第1の目的は、例えばリーディングエッジに対して垂直な面に対して(トラック幅方向において)対称の形状を有し、ライトギャップによってトレーリングシールドから隔離され、かつ、サイドギャップによってサイドシールドから隔離されたライトポールによって実現される。ライトギャップは、平坦な上面を有し、その上面がトレーリングシールドと接している。ライトポールのリーディングエッジは、クロストラック方向においてトレーリングエッジよりも狭い幅を有し、直線状をなしており、サイドシールドの下面と共通の平面に含まれている。リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、2つの側面とそれぞれ接続されている。ここで、第1の側面はトレーリングエッジにおける一端と交わり第1のコーナーを形成し、第2の側面はトレーリングエッジにおける他端と交わり第2のコーナーを形成している。トレーリングエッジは平坦面ではなく、2つの端部とそれらに挟まれた中央部との3つの部分からなる。2つの端部は、第1および第2のコーナーで終端し、基体(の上面)に対して平行な部分である。中央部は、2つの端部よりもリーディングエッジに近づくように湾曲した凹部である。一形態において、中央部は基体に向けて実質的に半円形状をなすように湾曲し、円弧の中心において最小の厚さ(凹部の最深部)となるように構成される。中央部は半円形状に限らず、台形状や矩形状であってもよい。中央部の深さおよび幅は、記録動作の際、トラック端部における磁場勾配(Oe/nm)の向上に最も大きな影響を与える。典型的な例では、サイドシールドの各上面は、トレーリングシールドの下面と対向している。ライトポールを取り囲むためである。
【0016】
本発明の第2のPMR装置は、例えば、ライトポールが、リーディングエッジと直交する面を中心として左右対称な構造であり、一対の側面およびリーディングエッジは第1のPMR装置と同様のものである。しかしながら、トレーリングエッジは直線状であり、ライトポールの上面はABSにおいて基体(の上面)と平行である。重要な特徴は、ライトギャップの上面はもはや平坦でなく、3つの部分(一対の端部およびそれに挟まれた中央部)に分けられていることである。2つの端部は、ライトポールのトレーリングエッジと平行であり、中央部は好ましくは湾曲した凸部である。すなわち、ライトギャップは、中央部において2つの端部よりも大きな厚さを有している。一形態として、中央部は、基体から離れるように膨らみ、実質的に半円形状をなすように湾曲し、円弧の中心において最大の厚さとなるように構成される。中央部は半円形状に限らず、台形状や矩形状の凸部であってもよい。サイドシールドおよびトレーリングシールドの特徴は、上記第1の実施態様と同様である。
【0017】
本発明の第3のPMR装置は、第1および第2のPMR装置における特徴部分を組み合わせたものであり、トレーリングエッジがリセスした中央部を含むライトポールと、リセスした中央部を含むトレーリングシールドとを有する構造である。トレーリングエッジのリセス部分は、ダウントラック方向においてトレーリングシールドのリセス部分と対応する位置にあり、かつ、両者のクロストラック方向の幅が一致していることが望ましい。
【0018】
クロストラック方向において対称な形状を有し、誘電体層に埋設され、リセスした中央部を含むトレーリングエッジを有するライトポールの形成方法は以下の通りである。まず、誘電体層およびライトポールの両端部の表面は保護された状態で斜め方向からのIBE処理を行い、ライトポールの上面の中央部分を選択的に除去する。これにより断面が左右対称であって、円形状、矩形状または台形状の輪郭を有する開口を形成する。その後、ライトギャップ層をライトポールの上面に形成したのち、ライトギャップ層の上面を平坦化する。ライトギャップの上面は、基体の表面と平行とする。
【0019】
続く工程により、中央部がリセスしたライトシールドを形成する。上面が平坦なライトポールは、誘電体層に埋設される。そののち、上面が平坦なライトギャップ層がライトポールの上に、誘電体層を介して形成される。トレーリングエッジのリセス部分と対応する位置に開口を有するフォトレジストマスク層を形成する。そののち、その開口を埋めるように、例えばライトギャップと同様の材料からなる新たな誘電体層を形成する。これにより、実質的に平坦なライトギャップの上面から突出した凸部が形成される。その後、フォトレジスト層が選択的に除去され、磁性層を形成することで一対のサイドシールドおよびトレーリングシールドを形成する。