【実施例】
【0017】
図1に示すように、二液用射出機10は、先端にノズル11を備える射出筒12と、この射出筒12に軸方向に移動自在に収納される棒状のプランジャ13と、射出筒12の基部を支える支持盤14と、この支持盤14を支えるベース15と、このベース15に取付けられ支持盤14に平行に配置されるシリンダ支持板16と、このシリンダ支持板16に支えられプランジャ13を前後進させるプランジャ移動手段17と、射出筒12の上面に取付けられるミキシング機構20とからなる。
【0018】
プランジャ13は前部に螺旋溝13aを備える。
支持盤14とシリンダ支持板16は、上部同士をタイロッド18で連結することが望ましい。タイロッド18により、支持盤14及びシリンダ支持板16の振れを防止することができる。
プランジャ移動手段17は、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動シリンダが適している。
【0019】
図2に示すように、ミキシング機構20は、射出筒12の上面に載せられる弁箱21と、この弁箱21に上下移動可能の収納される弁体22と、弁箱21の上にボルト23、23で固定され弁体22を上下させるバルブアクチュエータ24と、弁箱21の側方に取付けられるミキシングブロック25と、このミキシングブロック25に回転可能に収納されるスクリュー26と、ミキシングブロック25の一端に取付けらスクリュー26を回すスクリュー回転機構27とからなる。
スクリュー回転機構27は、減速機付き電動機が好適である。
【0020】
ミキシングブロック25から弁箱21へ水平な第1通路28が設けられ、この第1通路28の先端から鉛直に下がるようにして弁箱21及び射出筒12に第2通路29が設けられ、この第2通路29が射出筒12内まで延びている。バルブアクチュエータ24で、弁体22が下げられると、この弁体22で第2通路29が塞がれ、弁閉状態になる。また、バルブアクチュエータ24で、弁体22が上げられると第2通路29と第1通路28が繋がり、弁閉状態になる。
【0021】
図3に示すように、スクリュー26は螺旋羽根26aを有し、混合室31に収納される。この混合室31の下部に第1通路28が設けられる。また、混合室31の上部に第1液供給路32と第2液供給路33が接続される。第1液供給路32は、第1シリンダ34で圧送される第1の液状材料としての第1液35を混合室31へ導く通路であり、第2液供給路33は、第2シリンダ36で圧送される第2の液状材料としての第2液37を混合室31へ導く通路である。
【0022】
図4に示すように、第1液供給路32と第2液供給路33は、スクリュー26の回転中心を通る線38上に配置され且つ第1液供給路32と第2液供給路33の間にスクリュー26が置かれる。第1液供給路32の接続口と第2液供給路33の接続口は、1回の穴開け工程で設けることができる。
【0023】
図3において、スクリュー回転機構27でスクリュー26を低速で回す。好ましくは矢印(1)のように逆回転させる。そして、第1液供給路32から第1液35を混合室31へ供給し、第2液供給路33から第2液37を混合室31へ供給する。
図4に示すように、スクリュー26が中央にあるため、第1液35と第2液37が直接混合することはなく、一旦、スクリュー26の基部に当たる。
【0024】
その後、
図3にて、スクリュー26の螺旋羽根26aに沿って旋回しながら進む。この際、矢印(1)のように低速で逆回転させると、第1液35と第2液37の前進速度(図では下へ進む速度)が減速される。すなわち、第1液35と第2液37は長い時間かけてスクリュー26で撹拌混合される。逆回転させることにより、スクリュー26が短くても十分な混合を行わせることができる。
【0025】
混合済み液状材料39は、
図5(a)に示すように、第2通路29から螺旋溝13aに至り、螺旋溝13aを通って、プランジャ13の前方空間に貯められる。プランジャ13を徐々に後退する。
【0026】
第1液35は、例えば硬化剤(液状シリコーンゴム)であり、第2液37は、例えば主剤(液状シリコーンゴム)であって、第1液35に第2液37を混合した後は、時間経過に比例して性質(物性)が変化する。
【0027】
プランジャ13が後退限に達すると、
図5(b)に示すように、最初の材料39sは前方に貯められ、最後の材料39eは後方(プランジャ13直近位置)に貯められる。プランジャ13を前進させると、最初の材料39sがノズル11から射出され、最後の材料39eが最後にノズル11から射出される。すなわち、先入れ先出しがなされ、射出筒12での最初の材料39sの滞留時間と最後の材料39eとを近似させることができるため、材料の変質が防止される。従って、量産工程における硬化防止のためのメンテナンス時間を減らすことができる。加えて、連続稼働時間が増加できるため、生産性の向上を図ることができる。
【0028】
ところで、
図2において、第1通路28がプランジャ13に直交するように延びており、ミキシングブロック25、スクリュー26及びスクリュー回転機構27は、プランジャ13から距離Lだけ離れた位置に設けられる。結果、プランジャ13を中心にして、図面反時計回りの偶力(モーメント)が発生する。この偶力は射出筒12にねじり力として作用する。ミキシングブロック25、スクリュー26及びスクリュー回転機構27を大型化すると、この偶力が増大し、射出筒12に影響する。
装置的には偶力が無い方が好まれる。そこで、偶力を無くすることができる例を次に説明する。
【0029】
図6に示すように、第1通路28をプランジャ13と平行になるように配置する。すなわち、弁箱21とミキシングブロック25とを射出筒12の軸方向に沿って並べる。結果、射出筒12に偶力が作用する心配はなくなる。その他は符号を流用し、詳細な説明は省略する。
【0030】
さらなる変更例を次に説明する。
図7に示すように、ミキシング機構20は、スタティックミキサー(静止型混合機)であってもよい。スタティックミキサー41は、ミキシングブロック25と、静止部材(非回転部材)であるミキサーエレメント42と、このミキサーエレメント42の一端から第1液35及び第2液37を導入するエンドプレート43とからなる。ミキサーエレメント42は、平板を右又は左にねじった形態のものが好ましい。
【0031】
エンドプレート43を介して第1シリンダ34から第1液35をミキシングブロック25内へ圧入する。同時に、第2シリンダ36から第2液37をミキシングブロック25内へ圧入する。
第1液35及び第2液37はミキサーエレメント42により、順次撹拌混合されるが、この際に分離、転換、変転を繰り返され、撹拌混合が促される。スクリュー回転機構(
図3、符号27)が不要であるため、ミキシング機構20が簡単に且つ安価になる。